高表面積の繊維状シリカナノ粒子
繊維状形態を有する高表面積ナノ粒子を開示する。ナノ粒子は複数の繊維を有し、ここで、それぞれの繊維は他の一つの繊維と接触しており、それぞれの繊維は、長さが約1nm〜約5000nmである。また、本発明のナノ粒子の適用、本発明のナノ粒子の製造方法が開示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2010年3月2日に出願された米国仮出願第61/309,721号に基づき優先権を主張するものであり、当該出願はこの結果参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
1. 発明の分野
本発明は概して、高表面積ナノ粒子及びその適用の分野に関連する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
2. 関連する技術の説明
ナノテクノロジーは、材料、マイクロエレクトロニクス、コンピューティング、製薬、医薬、環境、エネルギー及び化学産業に、大きな影響を与えている。ナノ粒子は、長い間、バルク型と比較して、より高められた化学的及び物理的特性を備えているものと認識されてきた。これらは、高い価値を有する材料の組み合わせを製造するための基礎的要素として適用されうる(Xia et al., 2000)。これらは、種々のサイズ、結晶化度、形態、及び化学組成物であり得る。ナノ粒子は種々の材料から構成され得、シリカが最もよく知られる例の一つである(例えば、Gole et al., 2003参照)。多数の産業上の利用のために、シリカナノ粒子、特に特定の寸法及び形態を有するナノ球体の必要性が増している。
【0004】
シリカ球体の分野は、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)の加水分解による単分散したシリカの合成のための、Stoberによる革新的な方法(Stober et al., 1968)の出現後、特に広がってきている。メソポーラスシリカのテンプレート指向合成(Kresge et al., 1992)の出現に続いて、ナノ球体の形態及び細孔のサイズを制御することに多いに関心が寄せられてきている(Huo et al., 1994; Tanev and Pinnavaia, 1995; Zhao et al., 1998; Carlsson et al., 1999)。テンプレート技術を用いて、種々の幅広い形態を有するメソポーラス材料やナノシリカ材料が、合成された(例えば、Cha et al., 2000; Sakamoto et al., 2000; Lu et al., 2001; Finnefrock et al., 2001; Yu et al., 2002; Che et al., 2003; Che et al., 2004; Yokoi et al., 2006; Gao et al., 2006; Bao et al., 2007; Han et al., 2009; Suzuki et al., 2009; Meng et al., 2009; Suzuki et al., 2010参照)。これらの材料は、触媒作用において幅広い適用を見出している(Davis et al., 2002; Corma and Garcia, 2008; Weckhuysen, 2009)。
【0005】
触媒作用におけるナノ粒子の有効性は主に、大きな内表面及び細孔において活性な触媒分子をよく分散させる、それらのミクロ構造に起因する。しかし、幾つかの細孔の内部では活性部位への到達性が限られるために、活性金属の焼結による問題として、触媒作用におけるナノ粒子の利用性、特にかなりの物質輸送が必要でナノ粒子の高表面積が潜在的に代替として使用しうる場合におけるナノ粒子の利用性が限られたものになっている(Gellman, 2009; Joo et al., 2009; Schlogl and Hamid, 2004; Reetz, 2008)。
【0006】
したがって、高表面積のナノ粒子の必要性がある。そのようなナノ粒子は、触媒分子の活性及び安定性を向上させ、高表面積が望ましい他の分野での利用を見出すことになるであろう。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、特に高表面積を有する、秩序だったナノ粒子の新しいファミリーの同定に関連する。高表面積は、ナノ粒子の繊維状形態によって生じる。ナノ粒子は非常に優れた物理的特性を示し、その物理的特性は、ナノ粒子を触媒支持体として利用可能にさせる高表面積、及びナノ粒子の表面に高度に分散しかつ容易に到達可能な基を高濃度で含むことを可能にする繊維状表面形態を含む。本発明のナノ粒子はまた、高い熱安定性及び高い機械的安定性を有し、産業上幅広い利用に適したものとなっている。
【0008】
本発明は概して、それぞれの繊維が少なくとも一つの他の繊維と接触している、複数の繊維を有するナノ粒子を含む。本明細書で使用される「ナノ粒子」なる用語は、最大直径が1〜5000nmの粒子をさす。本明細書で使用される「複数」は、3以上をさす。本明細書で使用される「繊維」は、長さ及び最大太さを含む、細く、糸状の構造をさす。太さは、繊維の長さにわたって変わり得、または繊維の長さにわたって均一であり得る。異なる繊維は異なる太さであり得、または同じ太さであり得る。同様に、繊維は、種々の長さであり得、または均一の長さであり得る。いくつかの態様において、繊維はさまざまな長さでありさまざまな太さでありうる。他の態様において、単一のナノ粒子の繊維は均一の太さであり長さである。
【0009】
本発明の特定の態様において、ナノ粒子は、シリカ(二酸化ケイ素)、チタニア、アルミナ、セリア、ジルコニア、またはそれらの混合物を含む。
【0010】
単一のナノ粒子の繊維は、長さが、約1、10、50、100、500、または1000nmから、約2000、2500、3000、3500、4000、または5000nmの間であり得、それらの間のすべての値と範囲を含む。特定の態様において、それぞれの繊維は、長さが約1、10、50、100、または500nmから、約500、600、700、800、900、または1000nmの間であり得、それらの間のすべての値と範囲を含む。さらに特定の態様において、それぞれの繊維は、長さが、約1nm〜約500nmである。特定の繊維の最大太さは、約1nm〜約100nmの範囲でありうる。さらに特定の態様において、特定の繊維の最大太さは、約1nm〜約50nm、約1nm〜約10nm、または約4nm〜約10nmの範囲である。いくつかの態様において、それぞれの繊維は、長さが約1nm〜約1000nmであり、太さが約1nm〜約50nmである。さらなる態様において、単一のナノ粒子のそれぞれの繊維は、長さが約1nm〜約250nmであり、太さが約1nm〜約10nmである。
【0011】
一つのナノ粒子の繊維の数は変わりうる。いくつかの態様において、ナノ粒子は、少なくとも約100本の繊維、少なくとも約1000本の繊維、少なくとも約10,000本の繊維、少なくとも約100,000本の繊維、または少なくとも約1,000,000本以上の繊維、あるいは、それらの範囲で変わりうる任意の数字の範囲の繊維を含む。
【0012】
いくつかの態様では、ナノ粒子は、実質的に球状の立体配置を有する(本明細書では「ナノ球体」という)。そのような態様では、ナノ粒子は、ナノ球体の中で実質的に放射状に配向している(すなわちナノ粒子の中心部に向かって集まる)繊維を含む。そのような態様において、繊維の長さは、繊維の末端から、繊維がナノ球体の中心部で別のナノ繊維と接触している点までの距離であり、すなわちナノ球体の半径とほぼ等しい。特定の態様において、ナノ粒子は、少なくとも100本の繊維を含むシリカから構成されるナノ球体であり、それぞれの繊維は長さが約1nm〜約250nmであり、それぞれの繊維の太さは約1nm〜約10nmである。
【0013】
特定の態様において、上述のように、繊維はシリカから構成される。更なる態様において、シリカ繊維は、一つまたは複数の付着したリガンドを含む。本明細書で使用される「リガンド」は、繊維に接触しているイオン、分子、化合物、巨大分子、または分子群をさす。接触は、直接的な接触、例えば共有結合またはイオン結合による接触でありうる。例えばリガンドは、シリカの酸素原子と共有結合によって接触し得る。または接触は、リンカーのような介在分子を経るような間接的な接触であり得る。リガンドは、単なる吸収または吸着によって接触されうる。ある局面では、介在する分子が、リガンド及び繊維と接触している。リンカーの例は、アルキル、ヒドリド、カルベン、カルビン、シクロペンタジエニル、アルコキシド、アミド、またはイミド基を含むがこれに限定されない。接触は、繊維表面への基の単なる吸収または吸着によってなされ、繊維自体または繊維状表面内に混合される。
【0014】
リガンドの例は、金属触媒分子、医薬、及び有機分子を含むがこれに限定されない。本明細書で使用される「金属触媒分子」は、金属イオン、金属酸化物、種々の任意の有機金属複合体、または金属イオンもしくは金属酸化物が結合する任意の分子をさす。金属の例は、Au、Pt、Pd、Ag、Ni、Ru、Rh、Ir、Os、Co、Mo、W、Re、Mn、In、Ga、Cd、Cr、Zr、Ta、Fe及びCuを含むがこれに限定されない。金属酸化物の例は、上記金属の種々の金属酸化物、Al2O3、TiO2、Fe2O3、CeO2、CuO、ZnO、SiO2、V2O5、MgO、La2O3、ZrO2、SnO2、MnO2、MoO3、Mo2O5及びゼオライトを含むがこれに限定されない。いくつかの態様において、リガンドは医薬である。本明細書で使用される「医薬」は、患者の病気または他の状態の検査、治療、または予防に使用される化学物質をさす。「医薬」なる用語は、薬物療法、イメージング剤、及びそれと同様なものの成分を含む。ある局面において、薬物療法は治療薬を含む。治療薬の例は、抗菌剤、抗炎症剤、化学療法剤、ホルモン、鎮痛剤、または治療用核酸を含む。
【0015】
いくつかの態様において、ナノ粒子は、最大直径が、約20、30、40、50、60、70.80、90、100、200、300、400、または500nmから、約1000、1500、2000、25000、3000、3500、4000、4500、または5000nmの間であり、それらの間のすべての値と範囲を含む。更なる態様において、ナノ粒子は、最大直径が約100nm〜約750nmである。またさらなる態様において、ナノ粒子は、最大直径が約250nm〜約500nmである。
【0016】
特定の態様において、ナノ粒子は、最大太さが約1nm〜約10nmでありかつ長さが約25nm〜約250nmである複数の繊維から構成されるナノ球体であり、ここで、ナノ粒子はシリカから構成され、直径が約50nm〜約500nmである。さらなる特定の態様において、ナノ球体は、直径が約250nm〜約450nmである。
【0017】
本発明の他の態様は、前述の任意のナノ粒子を含む組成物に関連する。組成物は溶液でありうる。溶液は、水性溶媒、有機溶媒、または、有機溶媒及び水性溶媒の混合物等の溶媒を含みうる。
【0018】
本発明のさらなる態様は、前述の任意のナノ粒子を含む複合体(本明細書では「ナノ複合体」という)に関連する。複合体は、当業者に公知の任意の方法を用いて製造されてもよい。
【0019】
本発明の前述の任意のナノ粒子を含む触媒もまた、本明細書において企図される。ナノ粒子は、上述のように、付着した金属または金属酸化物を含み得る。本発明のナノ粒子は、本発明のナノ粒子の繊維状の立体構造において、反応混合物と、金属または金属酸化物との接触を大きい面積で可能にする大きい表面積を提供する。また、前述の任意のナノ粒子を反応混合物と接触させる工程であって、触媒作用が起きる工程を含む、反応混合物へ触媒を送達する方法も開示する。
【0020】
下記の工程を含む、本発明のナノ粒子を生産するための方法もまた開示する。
(a) シリカ前駆体、テンプレート分子、及び溶媒を含む組成物を準備する工程であって、テンプレート分子が下記の構造式の化合物であり:
式中、nが5〜25の範囲の数字であり、かつR1が、
または
または
であり、式中、X-が、Cl、Br、I、またはFであり;かつR2〜R14がそれぞれ独立して、H、Cl、Br、I、OH、及びC1-C10アルキルからなる群より選択される、工程;
(b)(a)の組成物を熱またはマイクロ波照射にさらす工程であって、シリカを含む粒子が形成される、工程;及び
(c)溶媒の一部分またはすべてを(b)の組成物から取り除き、単離されたシリカテンプレート粒子を生産する工程;及び
(d)(c)の単離されたシリカテンプレート粒子をか焼させ、ナノ粒子を生産する工程。
【0021】
特定の態様において、テンプレート分子は臭化セチルピリジニウム(CPB)または臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムである。テンプレート分子の改変は、繊維の長さ及び形態の改変をもたらす。
【0022】
溶媒は、当業者に公知のいかなる溶媒でもよい。溶媒は例えば、水性溶媒、有機溶媒、または、水性溶媒及び有機溶媒の混合物であり得る。特定の態様において、溶媒は、シクロヘキサン、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタノール、ブタノール、イソプロパノール、エタノール、メタノール、ヘキサノール及び水を含む群から選択される一つまたは複数の溶媒である。特定の態様において、溶媒は、シクロヘキサン、ペンタノール及び水の混合物である。
【0023】
特定の態様において、シリカ前駆体は、オルト珪酸テトラエチルである。他のシリカ前駆体は、オルト珪酸テトラフェニル、オルト珪酸テトラアリル、オルト珪酸テトラブチル、ケイ素テトラアセテート及びオルト珪酸テトラプロピルを含む。
【0024】
特定の態様において、(a)の組成物は尿素をさらに含む。尿素は、シリカ前駆体の加水分解を促進する。(a)の組成物は、熱及び/またはマイクロ波照射にさらされうる。特定の態様において、組成物はマイクロ波照射にさらされる。
【0025】
いくつかの態様において、当該方法は、リガンドを(d)のナノ粒子の表面に付着させる工程を含むかまたはさらに含む。リガンドは、前述のリガンドのいずれでもよい。当業者に公知の任意の方法を、リガンドをナノ粒子の表面に付着させるのに用いうる。いくつかの態様において、リガンドは、ナノ粒子の表面に焼結された金属または金属酸化物である。金属または金属酸化物は前述のいかなる金属または金属酸化物でもよい。
【0026】
この材料は、種々のプロセスにおいて触媒支持体として使用されうる。本発明のいくつかのさらなる態様は、反応混合物を本発明のナノ粒子と接触させる工程を含む、反応混合物中の反応を触媒する方法に関連し、ここで、ナノ粒子は、ナノ粒子の繊維に付着した金属または金属酸化物を含む。本発明のナノ粒子は、不均一触媒、均一触媒、光触媒、電気触媒、有機分子触媒、及び/または酵素触媒として適用されうる。反応は、酸化、水素添加、水素処理、メタセシス反応、異性化、転位反応、脱離反応、加水分解反応、及び縮合反応であり得る。
【0027】
本発明はさらに、薬学的に許容可能な量の本発明のナノ粒子を患者に投与する工程を含む、患者に医薬を送達する方法を含み、ここでナノ粒子は、ナノ粒子の少なくとも一つの繊維に付着した、一つまたは複数の医薬を含む。
【0028】
本発明はまた、一つまたは複数のシールされた容器内に本発明のナノ粒子を含むキットに関連する。いくつかの態様において、ナノ粒子は、クロマトグラフィーカラムの中に含まれる。またさらなる態様では、キットは、本発明のナノ粒子の使用のための指示に関連する。
【0029】
本発明のナノ粒子を含む固定相を含むクロマトグラフィーの方法及びカラムもまた、本発明の部分として企図される。
【0030】
本発明のナノ粒子はまた、水及び油から金属を除去するための薬剤として適用されうる。この点について、ナノ粒子は、金属を含むことが既知であるかあるいは金属を含むことが疑われる水または油と混合される。ナノ粒子はまた、水素などのエネルギーの貯蔵のために用いられうる。本発明のナノ粒子はまた、包装産業における包装材料として用いられる。
【0031】
本発明の一つの態様に関連して記述された任意の限定は、本発明の他の任意の態様に適用されうることが特に企図される。さらに、本発明の任意の組成物は、本発明の任意の方法に使用され得、本発明の任意の方法は、本発明の任意の組成物を生産または使用するために用いられうる。
【0032】
特許請求の範囲中の「または」なる用語の使用は、代替の選択肢のみを言及することが明確に示されていない限り、あるいは選択肢が相互に除外されない限り、開示が、一つの選択肢及び「及び/または」を意味するという定義を支持していたとしても、「及び/または」を意味するように使用される。
【0033】
この出願中、「約」なる用語は、ある値が、値を決定するのに使用される装置及び/または方法の、誤差の標準偏差を含むことを示すのに使用される。
【0034】
本明細書で使用されるように、ほかに明確に示されていないならば、「一つの("a" または "an")」は、一つまたは複数を意味し得る。本特許請求の範囲で示されるように、「含む」という単語と連結して使用されるとき、「一つの("a" または "an")」なる単語は、一つまたは一より多い複数を意味し得る。本明細書で使用される「別の("another")」は、少なくとも二つ目またはそれより多いものを意味し得る。
【0035】
本発明の他の目的、特徴、及び有利な点は、下記の詳細な説明から明らかになるであろう。しかし、本発明の精神及び範囲の中での種々の変更および修正が、この詳細な説明から当業者に明らかになるので、詳細な説明及び特定の実施例は、本発明の好ましい態様を示しているものの、説明のためにのみ与えられていることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
下記の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明のある局面をさらに説明するために含まれる。発明は、これらの図面の一つまたは複数を、本明細書で述べられている特定の態様の詳細な説明と組み合わせて参照することにより、より良く理解されうる。
【図1】シリカナノ球体構造の略図。
【図2】シリカナノ球体のHRSEMイメージ。
【図3】400℃(図3a)、550℃(図3b)、800℃(図3c)、および最大950℃(図3d)の温度でか焼した後のシリカナノ球体のHRSEMイメージ;か焼前(図3e)及びか焼後(図3f)の繊維の太さ。
【図4】シリカナノ球体のHRTEMイメージ(高分解能透過型電子顕微鏡像)。
【図5】シリカナノ球体のEDX分析。
【図6】KCC-1のTGA(熱重量分析)(図6a)及び29Si CP-MAS NMRスペクトル(図6b)。
【図7】シリカナノ球体(いわゆるKCC-1)のTG-IR(TGA/フーリエ変換赤外線)分析。
【図8】KCC-1のBET(Brunauer-Emmett-Teller)分析。
【図9】TEOS 0.012モルあたりの、尿素 0.0モル(図9a)、0.003モル(図9b)、0.006モル(図9c)、0.01モル(図9d)での、シリカナノ球体のSEMイメージ。
【図10】従来の多孔性シリカ(図10a)、MCM-41(図10b)、及びKCC-1(図10c)の違い。
【図11】圧力43MPa(図11a)、130MPa(図11b)、216MPa(図11c)での機械的圧縮後、及び沸騰水での24時間加熱後(図11d)のKCC-1のHRTEMイメージ。
【発明を実施するための形態】
【0037】
説明的態様の記載
本発明は、多孔性表面形態によって高表面積を有する、新しいクラスのナノ粒子の製造に基づく。ナノ粒子は、触媒、医薬送達及びクロマトグラフィーのような幅広い範囲の適用が可能となるように、表面と結合した分子の提示を可能にする。
【0038】
A. 製造
本発明のいくつかの態様は、本発明のナノ粒子を製造する方法に関連する。
【0039】
1. ミクロエマルジョン形成
本発明のナノ粒子は、当業者に公知の任意の材料を使用して製造されうる。特定の態様では、シリカ前駆体を含むミクロエマルジョンが形成され、シリカから構成されるナノ粒子になる。
【0040】
これらの態様では、ミクロエマルジョンの基本的な成分として、シリカ前駆体、テンプレート分子、尿素、及び一つまたは複数の溶媒が含まれる。テンプレート分子は、上述の任意の分子でよい。溶液中のテンプレート分子は、ミセルのような凝集体を形成し得る。テンプレート分子の炭化水素基は、繊維の形成のための骨格として働く。
【0041】
シリカ前駆体は、当業者に公知の任意の源から得られうる。シリカ前駆体、テンプレート分子、及びナノ粒子の製造のための他の成分は、商業的供給源や天然資源から得ることができ、または化学的に合成することができる。シリカ前駆体の例は、オルト珪酸テトラエチル(TEOS)またはオルト珪酸テトラメチル(TMOS)であるがこれに限定されない。
【0042】
尿素は、ミクロエマルジョン中でシリカ前駆体を加水分解するように働く。ミクロエマルジョン中でシリカ前駆体を加水分解するのに適用されうる他の分子は、チオ尿素、アミド、アンモニア、ヒドラジン一水和物、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、リン酸カリウム、及び、当業者に公知の、任意の他の類似の薬剤を含む。
【0043】
加水分解に続いて、負の電荷をもった珪酸分子は、自己組織化したテンプレート分子の間の空いている空間で集合する。自己組織化した珪酸は、縮合し、テンプレートミセル内でシリカ材料の結晶化がもたらされる。結果として生じるナノ粒子の形態は、テンプレート分子の立体構造に大いに依存する。特定の局面においてナノ粒子は、上述のように、ナノ球体である。
【0044】
上述のように、ミクロエマルジョンの溶媒成分は、水性溶媒、有機溶媒、双極性の非プロトン溶媒、またはこれらの溶媒の混合物でありうる。
【0045】
その後、混合物は、熱またはマイクロ波照射に、120℃で1〜4時間さらされる。
【0046】
形成されたシリカは、遠心分離によってなど、当業者に公知の任意の方法を用いて単離することができる。粒子は洗浄または空気乾燥され得る。
【0047】
合成された粒子は、その後か焼される。か焼は、当業者に公知の任意の方法を用いて行うことができる。例えば、か焼は、試料を空気中550℃で6時間加熱する工程を含み得る。また、か焼は、試料を約550℃〜約950℃の範囲(この間のすべての値及び範囲を含む)の温度で加熱する工程を含み得る。構造的特徴付けは、当業者に公知の種々の任意の方法を用いて行うことができる。
【0048】
2. 金属コーティング
いくつかの態様において、ナノ粒子は、金属または金属酸化物のようなリガンドでコーティングされる。触媒であるリガンドとして使用される金属の例は、Fe、Cr、Al、Ga、In、Hf、Sn、Zr、Mo、Ti、V、Co、Ni、Cu、Y、Ta、W、Pb、B、Nb、Ge、Pr、U、Ce、ErNd、Mg、Ca、Ba、Sr、Au、Siまたはそれらの組み合わせを含むが、これに限定されない。さらに、金属酸化物ベースの材料が企図され、ケイ素、ゲルマニウム、すず、鉛、アンチモン、ビスマス、ポロニウム、ランタノイド、及びアクチナイドに基づく金属酸化物が含まれる。金属非酸化物ナノ粒子は、II-VI、III-V、及びIV量子ドットを含み;金属酸化物ナノ粒子は、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化タングステン、酸化セリウム、酸化アンチモン、及び酸化ケイ素を含みうる。金属酸化物の合成は、Fe3+、Cr3+、A3+、Ga3+、In3+、Hf4+、Sn4+、Zr4+、Nb5+、W6+、Pr3+、Er3+、Nd3+、Ce3+、U3+、Y3+及びそれらの組み合わせの塩のような無機塩を用いて行われてきている。
【0049】
本発明のナノ粒子は、電極のための触媒として強力な活性を有することが期待される白金族の遷移金属及び/または主にそのような白金属遷移金属から構成される合金ナノ粒子を含み得る。白金族遷移金属は、Pt、Ru、Ir、Pd、Os、及びRhの中から選択され得、単独種またはそれらの混合物を含み得る。
【0050】
いくつかの態様において、金属コーティングがナノ粒子の表面に施される。金属コーティングは、当業者に公知の任意の方法を用いて施されうる。そのような技術の例は、化学蒸着、イオン注入、スプレー塗装等を含むが、これに限定されない。
【0051】
金属コーティングは、本発明のシリカナノ粒子を、金属(または金属塩)及び溶媒(または溶媒の混合物)を含む組成物中に置くことによって、製造されうる。
【0052】
金属塩のいくつかの例は、白金塩、ルテニウム塩、イリジウム塩、パラジウム塩、オスミウム塩、及びロジウム塩を含む。白金塩は、Pt2+、Pt3+、またはPt4+を含む塩を含み、例えば、PtX2、PtX3、PtX4、[PtA6]X2、M12[PtX4]、M12[PtX2Y2]、M1[PtX3Y]、M1[PtX2Y2]、またはM12[PtX6](ここで、X及びYは、それぞれ、F-、Cl-、Br-、I-、OH-、CN-、NO3-、N3-、CH3COO-、SCN-、アセチルアセトネート、1/2SO42-または1/2CO32-のような陰イオンであり;M1は、K、NaまたはHなどの一価の陽イオンであり;及びAはNH3またはアミンである)の形で代表されうる。特に、PtCl2、PtBr2、PtI2、Pt(CN)2、Pt(SCN2、PtCl3、PtBr3、PtI3、PtF4、PtCl4、PtBr4、PtI4、K2[PtCl2(acac2]、及びH2PtCl6があげられうる。
【0053】
ルテニウム塩は、Ru2+、Ru3+、またはRu4+を含む塩を含み、例えば、RuX2、RuX3、RuX4、[RuX6]M13、またはM1[RuX4](ここで、Xは、ClまたはBrのようなハロゲン、または、NO3-またはSO4のような陰イオンであり、M1は、K、Na、Rb、CsまたはHなどの一価の陽イオンである)の形で代表されうる。
【0054】
イリジウム塩は、Ir+、Ir2+、Ir3+、またはIr4+を含む塩を含み、例えば、IrX、IrX2、IrX3、IrX4、[IrX6]M13、またはM1[IrX4](ここで、Xは、ClまたはBrのようなハロゲン、または、SO4のような陰イオンであり、M1は、K、Na、Rb、CsまたはHなどの一価の陽イオンである)の形で代表されうる。
【0055】
パラジウム塩は、Pd2+を含む塩を含み、一般に、Pd--Z2の形で代表されうる。Zは、Cl、Br、またはIのようなハロゲン、または、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、アセチルアセトネート、炭酸塩、過塩素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、または酸化物のような塩を形成する基である。いくつかの例は、PdCl2、PdBr2、PdI2、Pd(OCOCH3)2、Pd(OCOCF3)2、PdSO4、Pd(NO3)2、及びPdOを含む。
【0056】
オスミウム塩は、Os+、Os2+、Os3+、またはOs4+を含む塩を含み、例えば、OsX、OsX2、OsX3、OsX4、[OsX6]M13、またはM1[OsX4](ここで、Xは、ClまたはBrのようなハロゲン、または、SO4のような陰イオンであり、M1は、K、Na、Rb、CsまたはHなどの一価の陽イオンである)の形で表されうる。特定の例として、OsBr4、OSO4、OsCl4、KOs(SO4)2、RbOs(SO4)2、及びCsOs(SO4)2があげられうる。
【0057】
ロジウム塩は、Rh3+を含む塩を含み、RhX3、Rh2x6、[RhA6]X3、M13 [RhX6]、またはM1[RhX4](ここで、Xは、FまたはClのようなハロゲン、または、CNまたはSO4のような陰イオンであり;M1は、K、NaまたはHなどの一価の陽イオンであり;及びAはNH3またはアミンである)の形で代表されうる。特定の例として、Rh2O3、RhO2、Rh2(SO4)3、Rh(OH)3、Rh(NO3)3、RhCl3、RhF3、Rh(CN)3、KRh(SO4)2、Na2RhCl4、NaRh(SO4)2、及びHRh(SO4)2があげられうる。
【0058】
金属塩を溶解または分散できる溶媒は、溶媒の官能基によって異なる。溶媒は、水、アセトン及びメチルエチルケトンのようなケトン、酢酸エチルのようなエステル、メタノール及びエタノールのようなアルコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジグリム及びヘキサメチルリン酸トリアミドのような非プロトン性極性溶媒、並びに、さらに、ニトロメタン及びアセトニトリル、その他を含みうる。水、及び、水と混合された親水性有機溶媒、例えばアルコールまたはケトンなどが好適に用いられうる。
【0059】
金属塩の濃度は、塩を溶解するのに使用される溶媒に応じて変わりうるが、約0.001%から塩の飽和溶液濃度までの値であり得る。
【0060】
3. 他のリガンド
本発明のいくつかの態様は、金属以外に一種または複数種のリガンドが付着したナノ粒子に関する。リガンドの例は、有機分子及び医薬を含む。またリガンドとして企図されるのは、半導体材料及びセラミックである。セラミック材料のいくつかの例は、ブルシャイト、リン酸三カルシウム、アルミナ、シリカ、及びジルコニアを含む。いくつかの態様では、リガンドはポリマーである。ポリマーの例は、ポリスチレン、シリコンゴム、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリエーテル、及びポリエチレンを含む。生物分解性の、バイオポリマー(例えば、BSAなどのポリペプチド、多糖等)、他の生物学的材料(例えば、炭水化物)、及び/または重合体化合物が、可能なリガンドとして企図される。金もまた、その周知の反応性の特性及び生物学的不活性ゆえに、リガンドとして企図される。
【0061】
本明細書で述べたナノ粒子は、デキストラン、デンドリマー、両親媒性ポリマー/バイオポリマー(例えば、リン脂質及びペプチド)、ポリマー、界面活性剤またはキレート特性を有する化学物質からなる群より選択されるリガンドでコーティングされうる。
【0062】
4. 表面改質及びリンカー
本発明のナノ粒子は、リガンドが容易にその表面に結合できるように、表面改質され得る。ナノ粒子の表面改質は、例えば、ナノ粒子溶液を、カップリング剤(リンカー)を含む溶液で処理することによって達成されうる。例えば、カップリング剤は、シランカップリング剤でありうる。
【0063】
リンカーの代表的な官能基は、以下:ヒドロキシル、カルボキシル、アミノ、リン酸エステル、ホスホネート、硫酸エステル、亜硫酸エステル、スルフェナート、スルフィナート、スルホン酸エステル、スルホキシド、スルホン、アミド、エステル、ケトン、アルデヒド、ニトリル、アルケン、アルキン、エーテル、チオール、ヒドロキサム酸、シラン、珪酸、カルバモジチオネート(carbamodithionate)、ジチオン酸塩、メルカプタン、ジスルフィド、過酸化物、及びニトロン酸エステル基、を含むが、これに限定されない。
【0064】
リンカーは、上述の溶媒等を使用することによって準備された希釈溶液の形で用いられ得、一般に水溶液の形で用いられる。リンカーの濃度に関しては、任意の好適な濃度で使用され得、例えば、0.001〜5.0%または0.01〜1.0%の濃度のリンカー溶液が、溶液に添加されうる。
【0065】
複合基にうまく利用されうる多数のタイプのリンカーが知られているものの、異なる薬理学的特性及び能力に基づいて、あるリンカーが概して他のリンカーより好まれるであろう。
【0066】
代表的なより好ましいリンカーには、ポリエチレングリコール、デンドリマー、tert-ブチル保護基を含む分子、イソブチレン酸化物結合を含む分子、アミノベンジルアルコール、ヒドロキシベンジルアルコール結合、アミノベンゼンジメタノール、アミノベンゼントリメタノール、ヒドロキシベンゼンジメタノール、ヒドロキシベンゼントリメタノール、ビニルスルホキシド、置換ビニルスルホキシド、置換メトキシメチル結合、置換ビニルエーテル結合、炭酸塩結合、エステル結合、無水物結合、置換カルバミン酸無水物結合、炭素無水物結合、置換尿素結合、置換ウレタン結合、置換グアニジン結合、エーテル結合、メルカプタン結合、スルホキシド結合、スルフィナート結合、スルホン酸エステル結合、スルフェナート結合、ニトロン酸エステル結合、亜硫酸エステル結合、硫酸エステル結合、リン酸結合、ホスホン酸エステル結合、ホスフィン結合、シラン結合、珪酸結合、ジスルフィド結合、過酸化物結合、アルカン結合、アルケン結合、アルキン結合、ヨードニウム結合、アミノ結合、置換アリルエーテル結合、置換ベンジルエーテル結合及びイミン結合が含まれるが、これに限定されない。立体的に「障害のある」ジスルフィド結合を含むリンカーが、治療薬の早期の放出を防ぐために含まれうる。
【0067】
いくつかの態様において、リンカーはさらに、架橋剤として定義される。架橋剤は、二つの異なる分子の置換基を一緒に結び付ける分子架橋を形成するのに使用される。
【0068】
5. 形状
ナノ粒子の形状には特に限定はなく、例えば、球状の、不規則な、細長い、楕円体、杆状体、三角形、六角形、等の形状であってよく、または少なくとも二つ以上の形状を含む組み合わせであってもよい。特定の態様では、ナノ粒子は、本質的に球状(すなわちナノ球体)である。
【0069】
6. 溶液
組成物の溶液において、ナノ粒子は概して、溶液の総重量に対して約0.0000001wt%〜約100wt%の量(塊がない粉末(solid-free powder))で溶液中に存在しうる。一つの態様において、ナノ粒子は概して、約0.000001wt%〜約15wt%の量で溶液中に存在しうる。別の態様では、ナノ粒子は概して、約0.01wt%〜約1wt%の量で溶液中に存在しうる。さらに別の態様では、ナノ粒子は概して、約1wt%〜約10wt%の量で溶液中に存在しうる。
【0070】
7. 他の改質
いくつかの態様において、ナノ粒子は、プラスまたはマイナスの電荷を与えるように分子によって官能基化されうる。またナノ粒子は、疎水性または親水性の表面を提供するように分子によって官能基化されうる。
【0071】
B. 適用
本発明のナノ粒子は、幅広い用途に用いられうる。例えば、上述のように、それらは、触媒または触媒支持体として用いられうる。それらはまた、水及び油から金属を除去するために用いられうる。それらはさらに、水素などのエネルギー貯蔵のために用いられうる。それらは、包装材料として包装産業で用いられうる。それらはまた、医薬送達、遺伝子送達、及び医薬イメージングにおいて利用されうる。ナノ粒子は、触媒、薬剤の輸送、医薬送達、包装、センサーとして、及びそれらの組み合わせにおいて利用されうる。本発明において有用な医薬は、治療化合物、放射性化合物、化学療法剤、DNA/RNA分子、タンパク質、またはMRI造影剤であり得る。
【0072】
送達の型は、当業者に公知の任意の方法を含みうる。例としては、吸入による肺へのエアロゾル送達、皮下注射、経口摂取、経皮送達、及び標的化送達(targeted delivery)を含み得る。
【0073】
触媒作用の利用に関して、触媒活性部位は、ナノ粒子の繊維表面に配置されるか、ナノ粒子の繊維内に組み入れられるか、またはこれら両方の組み合わせでありうる。
【0074】
有機金属化合物は、ナノ粒子に結合し、触媒作用の利用を提供し得る。触媒作用の利用の例として、部分酸化反応、酸化反応(例えば、空気中または水中の有機汚染物を分解するため等)、生体触媒作用(例えば、バイオリアクターとして酵素を含有する中空の球体を使用する等)、エナンチオ選択的触媒作用(例えば、医薬分子の前駆体を生産するため等)、オンデマンド触媒作用、及び金属によって触媒された有機及び無機反応を含むが、これに限定されない。
【0075】
本発明のナノ粒子はまた、電子工学のための薄膜材料または絶縁体としてのコーティング等のセラミックスとしての利用を見出すかもしれない。さらにそれらは、塗料、日焼け止めローション、及び香水のような分散液中の成分として使用されうる。農業的利用は、殺虫剤、殺菌剤、または肥料のための送達粒子としての使用を含むと考えられる。消費者用の食料品のために、ナノ粒子に載せられてナノ粒子と結合するものとして、保存剤、香料、臭気物質、染料等が含まれうる。
【0076】
従って本発明は、幅広い範囲の物質を積載するためにナノ粒子を官能基化できることを含む。本発明のナノ粒子はまた、水素貯蔵において、クロマトグラフィーのためのカラム充填物として、及びナノ複合材料として、利用されうる。
【0077】
C. キット
本発明のある態様は概して、本発明のナノ粒子を含むキットに関連する。例えばいくつかの態様において、キットは、一つまたは複数の、本明細書で述べたようなあらかじめ決められた量のナノ粒子を含むシールされた容器を含む。
【0078】
本発明のキットは、本発明のナノ粒子をあらかじめ決められた量含むシールされたバイアルを含みうる。本発明の更なる態様では、ナノ粒子は、金属イオンまたは上述の他のリガンドでコーティングされている。
【実施例】
【0079】
D. 実施例
下記の実施例は、本発明の好ましい態様を説明するために含まれている。以下の実施例で開示された技術は、本発明者によって発見された、本発明の実施に当たりうまく機能させるための技術を代表するものであると当業者に認識されるべきであり、したがって、その実施に当たり好ましい様式を構成すると考えられうる。しかし当業者は、本発明の開示に当たり、開示された特定の態様において多数の修正がなされえ、本発明の精神と範囲を逸脱しない類似の結果をなお得ることができると認識すべきである。
【0080】
実施例1
繊維状形態を伴う高表面積シリカナノ球体
本発明のナノ粒子の製造にはまず、シクロヘキサン:ペンタノール:水の混合物中に、テンプレートとしての臭化セチルピリジニウム(CPB)及び尿素を使用したミクロエマルジョンの形成が行われた。シリカ前駆体(オルト珪酸テトラエチル)は、分解した尿素によって加水分解され、その後、これらの加水分解され負に荷電した珪酸分子が、自己組織化したテンプレート(CPB)分子の間にできた空間に集まり(図1)、自由な放射状方向及び制限された接線方向に凝集した。最後に、自己組織化した珪酸の縮合によって、(溶媒中に分散した)個々のミセル内でのシリカ材料の結晶化がもたらされ、繊維状シリカナノ球体が生産された。
【0081】
異なる形態を持つナノ粒子をもたらす代替のテンプレートは、テンプレートが、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムまたは塩化ベンジルジメチルヘキサデシルアンモニウムに変わったとき生じた。したがって、ミセル液中の特定の界面活性剤分子の組織に基づいて形態を改変することができ、これはしばしば、テンプレート、前駆体物質、添加剤及び溶媒中の、繊細な疎水性‐親水性平衡状態に基づく。繊維状形態は、テンプレートが、塩化ベンジルジメチルヘキサデシルアンモニウムに変わったときには失われるのが観察された。このテンプレート分子による形態への影響は、界面活性剤の充填パラメータに関連しており、非極性テンプレート鎖(この場合はセチル)の体積及び長さ、並びに、水溶性頭部(この場合は、ピリジニウムまたはトリメチルアンモニウム)の有効面積に依存する。
【0082】
ナノ粒子の形成における反応溶媒の効果を研究するために、ペンタノール、ブタノールまたはイソプロパノールを加えた、シクロヘキサン及びヘキサンの溶媒のいくつかの組み合わせが試験された。繊維状形態を有するシリカ球体がすべてのケースで観察されたものの、多分散性は非常に異なっており、50nm〜200nmの粒子サイズの分布となった。シクロヘキサンとペンタノールの混合物は有用な溶媒であり、分布の狭い粒子サイズで物質が得られた。
【0083】
高表面積を有する繊維状シリカナノ球体(KCC-1)の合成が行われた。このタイプの繊維状形態を持つシリカナノ球体(図2及び図4)は、前例がない。典型的な合成において、TEOS(2.5g、0.012mol)を、シクロヘキサン(30mL)及びペンタノール(91.5mL)の溶液に溶解した。次に、水(30mL)にCPB(1g、0.0026モル)及び尿素(0.6g、0.01モル)を含む撹拌された溶液を添加した。この混合物を室温で30分撹拌し、得られた溶液をテフロンシールされたMWリアクターに配置した。反応混合物は、MW放射(400Wパワー)に120℃で4時間さらされた。反応が完了し、混合物の温度が室温まで冷えたのち、形成されたシリカを遠心分離によって単離し、蒸留水とアセトンで洗浄し、24時間空気乾燥した。合成されたままの材料は、その後空気中で550℃で6時間、か焼された。この合成の間特別な注意や複雑な技術は必要とされなく、したがって全工程は、経済的及び持続可能であった。
【0084】
高分解能走査型電子顕微鏡(HRSEM)の像(図2)は、試料が、250nm〜450nmの範囲の直径を有する、均一のサイズのコロイド状の球体からなることを明らかにした。これらのシリカ球体の精査によって(図2の挿入図参照)、材料が、球体を形成するように三次元に配置されたデンドリマー状の繊維(8〜10nmの太さの繊維で形成されたアングル)を有することが示され、これは利用可能な高表面積に容易にアクセスすることを可能にする。
【0085】
この材料の繊維状の性質によって、シリカ球体の表面上に、高分散で容易にアクセスできる超高濃度の金属粒子を得ることができる。重要なことに、400〜950℃の異なる温度でのシリカ球体のSEM分析(図3a〜3f)は、形態及び粒子サイズにおいて目に見える変化はなく、シリカナノ球体が高度に安定的(熱的におよび機械的に)であることを示している。粒子の癒着は、厳しい熱処理の後でさえも起こらなかった。高発熱性媒体中での触媒作用に熱安定性が必要とされるので、これは重要な観察結果である。
【0086】
とりわけ、繊維の太さは、か焼前(図3e)は8〜10nmであるが、550℃でのか焼後(図3f)は4〜5nmに減った。これは、繊維の周りのテンプレートコーティングが失われるためにおこる。950℃までか焼温度を上げても、太さまたは二つの繊維間の距離のさらなる減少は観察されず、シリカのミクロ構造は無傷のままであった。この結果は、本発明のナノ球体が、シリカナノ球体の繊維状のチャンネルに容易にアクセスできる触媒を準備するのに使用されうることを示している。
【0087】
触媒支持体としての多孔性材料の有効性は主にそれらのミクロ構造に起因し、これによって活性な触媒部位が大きな内部表面及び細孔に分散し、そのことが触媒の活性を改善する。しかし、細孔(図10a)中、またはチャンネル(図10b)中の活性部位への乏しい到達性はしばしば、非常に大きな輸送が必須である適用を制限する。したがって、容易にアクセスできる高表面積を有する(すなわち、細孔の中へではない)シリカ支持体が望ましい。本発明のシリカナノ球体(KCC-1)の繊維状形態は、デンドリマー状のシリカ繊維(図10c)とそれぞれのチャンネル(細孔ではない)の存在により、著しい高表面積を有する。これらのナノ球体は、ナノ球体の繊維状チャンネル内(炭素ナノチューブ内のように)での、焼結に耐える触媒を超高濃度で容易に準備することを可能にすると考えられる。このことは従来のメソポーラスシリカでは難しい。
【0088】
シリカ球体の機械的安定性をさらに、高解像度透過型電子顕微鏡(HRTEM)を用いて調査した。KCC-1の繊維状形態が、216MPa圧力までの機械的圧縮後でさえも影響されないままであることが観察された(図 11a-11c)。その機械的安定性のレベルは、86MPaの圧力で影響されるMCM-41に匹敵する。したがってKCC-1は良好な機械的安定性を有し、これは触媒ベッドの破壊及び閉塞が避けられうることを意味する。KCC-1はまた熱水安定性を有し、沸騰水中での24時間の加熱後でさえ、繊維状形態は無変化のままであった(図11d)。このように、本発明のシリカナノ球体は、良好な触媒支持体のために必須の特性である、非常に高い熱的安定性、機械的安定性、及び熱水安定性を有する。
【0089】
更に、合成されたままのシリカナノ球体の構造的特徴付けを、高解像度透過型電子顕微鏡(HRTEM)によって行った(図4)。これらのイメージのより細かい精査によって、輪郭がはっきりし、かつ高度に整然とした繊維が、粒子の中心から出てきて、均一にすべての方向に広がっていることを明らかにされた。
【0090】
シリカナノ球体のSEM及びHRTEMイメージは繊維の存在を示すが、これらの繊維が、球体の中心から成長しているのか、またはそれらが固体のコアを有するシリカ球体の表面にのみ存在するのかは不明確である。三次元(3D)断層写真の研究から得られた結果を示すビデオクリップによって示されるように、KCC-1の三次元(3D)断層写真は、繊維が球体の中心から、自由な放射状方向に、かつ制限された接線方向に均一に成長し、繊維状球体シリカ粒子を形成することを明らかにした。
【0091】
エネルギー分散X線(EDX)分析は、KCC-1ナノ球体の化学組成を決定するために使用された。図5に示されるように、試料は、ケイ素及び酸素及び炭素のみから構成されていた(炭素は、TEMのグリッドから、また、いくらかのテンプレートの痕跡からきている)。それらの結果は、シリカ材料の形成を裏付けた。ほぼ同様のパーセンテージのケイ素及び酸素が、ナノ球体の端部及び中心部のEDXS分析において観察された。
【0092】
試料の化学組成をさらに確認するために、シリカナノ球体の熱重量分析(TGA)(図6a)が、窒素雰囲気下で行われた。室温から1550℃までに、最大約3.8%の無視できる重量損失が観察された。この損失は、分画それぞれのTGA/フーリエ変換赤外光(FT-IR)分析により確認されたように(図7)、化学的に吸着した水及びヒドロキシル基の損失に帰することができる。材料はまた、固体状態29Si CP-MAS NMR分光法によって特徴づけられた。得られたスペクトルは、-106ppmと-112ppmで二つの特徴的なシグナルを示し、それらは異なる凝縮度のSiO4の部分構造に相当するQ3及びQ4部位に帰属した(図6b)。-60辺りの領域でのシグナルの欠如は、材料中にSi-C結合がない構造を示している。か焼による有機成分の除去後のシリカナノ球体の窒素吸着‐脱離等温線は、タイプIVパターンを示した(図8)。BET(ブルナウアー‐エメット‐テラー;Brunauer-Emmett-Teller)表面積及び平均細孔サイズは、それぞれ、641m2/g-1及び4.5nmであることが見出された。このように、合成シリカナノ粒子は、良好な触媒支持体に必須の性質である、高表面積とすぐれた熱的及び焼結安定性とを有する。
【0093】
シリカ形態に関する尿素の濃度の効果を調べるために、一連の実験が、いろいろな尿素-TEOSモル比で行われた。尿素を使用しない時、少量のシリカのみが単離され、シリカナノ球体は、短い長さ(90〜120nm)の細い繊維を有して単分散した(図9a)。これらの結果は、繊維状形態と粒子サイズの鍵は、異なる量の尿素を用いたシリカ合成が行われたときに明らかだったように、尿素による加水分解のスピードの制御にあることを示している。SEMイメージは、尿素の濃度が、0.18gm(0.003モル)から0.6gm(0.01モル)へ増加した時に、ない場合(図9b)から不十分な繊維状(図9c)に、さらに良好な繊維状(図9d)のナノ球体へとシリカが成長し始めることを示している。尿素の量をさらに増加しても、粒子サイズ分布の増加以外、繊維状形態の変化は観察されなかった。これは、TEOS分子の過剰な尿素による早い(すなわち、制御されない)加水分解によるのかもしれない。
【0094】
上述の実験は、前例のない繊維状形態を有する新しい系統の高表面積シリカナノ球体を明らかにした。材料は、(1)高表面;(2)繊維状表面形態;(3)良好な熱的安定性及び熱水安定性;及び(4)高機械的安定性を含む、優れた物理的特性を示す。これらの理由により、KCC-1はシリカ支持触媒に有用であり、それは活性部位への到達性を著しく増加することができる。KCC-1はまた、医薬送達に、水素貯蔵に、クロマトグラフィー支持体として、及びナノ複合体材料においても有用である。
【0095】
本明細書において開示された方法及び特許請求の範囲に記載された方法のすべては、本開示に照らして、過剰な実験なしになされ得、行われうるものである。この発明の方法は、好ましい態様について記載されており、当業者には、本明細書に記載された方法に、本発明の概念、精神及び範囲を逸脱しない変化が、適用されうることが明らかであろう。さらに特定していえば、化学的かつ生理学的に関連したある薬剤が、本明細書に記載された薬剤に置換されえ、同じまたは類似の結果が達成されるであろうことが明らかであろう。そのような、当業者に明らかな類似の置換及び改良のすべてが、添付の特許請求の範囲で規定されている本発明の精神、範囲及び概念内であるとみなされる。
【0096】
参考文献
下記の参考文献は、それらが本明細書で述べられたものを補完する代表的な手順の、または、他の詳細を提供する範囲で、特に参照によって本明細書に組み入れられる。
【技術分野】
【0001】
この出願は、2010年3月2日に出願された米国仮出願第61/309,721号に基づき優先権を主張するものであり、当該出願はこの結果参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
1. 発明の分野
本発明は概して、高表面積ナノ粒子及びその適用の分野に関連する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
2. 関連する技術の説明
ナノテクノロジーは、材料、マイクロエレクトロニクス、コンピューティング、製薬、医薬、環境、エネルギー及び化学産業に、大きな影響を与えている。ナノ粒子は、長い間、バルク型と比較して、より高められた化学的及び物理的特性を備えているものと認識されてきた。これらは、高い価値を有する材料の組み合わせを製造するための基礎的要素として適用されうる(Xia et al., 2000)。これらは、種々のサイズ、結晶化度、形態、及び化学組成物であり得る。ナノ粒子は種々の材料から構成され得、シリカが最もよく知られる例の一つである(例えば、Gole et al., 2003参照)。多数の産業上の利用のために、シリカナノ粒子、特に特定の寸法及び形態を有するナノ球体の必要性が増している。
【0004】
シリカ球体の分野は、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)の加水分解による単分散したシリカの合成のための、Stoberによる革新的な方法(Stober et al., 1968)の出現後、特に広がってきている。メソポーラスシリカのテンプレート指向合成(Kresge et al., 1992)の出現に続いて、ナノ球体の形態及び細孔のサイズを制御することに多いに関心が寄せられてきている(Huo et al., 1994; Tanev and Pinnavaia, 1995; Zhao et al., 1998; Carlsson et al., 1999)。テンプレート技術を用いて、種々の幅広い形態を有するメソポーラス材料やナノシリカ材料が、合成された(例えば、Cha et al., 2000; Sakamoto et al., 2000; Lu et al., 2001; Finnefrock et al., 2001; Yu et al., 2002; Che et al., 2003; Che et al., 2004; Yokoi et al., 2006; Gao et al., 2006; Bao et al., 2007; Han et al., 2009; Suzuki et al., 2009; Meng et al., 2009; Suzuki et al., 2010参照)。これらの材料は、触媒作用において幅広い適用を見出している(Davis et al., 2002; Corma and Garcia, 2008; Weckhuysen, 2009)。
【0005】
触媒作用におけるナノ粒子の有効性は主に、大きな内表面及び細孔において活性な触媒分子をよく分散させる、それらのミクロ構造に起因する。しかし、幾つかの細孔の内部では活性部位への到達性が限られるために、活性金属の焼結による問題として、触媒作用におけるナノ粒子の利用性、特にかなりの物質輸送が必要でナノ粒子の高表面積が潜在的に代替として使用しうる場合におけるナノ粒子の利用性が限られたものになっている(Gellman, 2009; Joo et al., 2009; Schlogl and Hamid, 2004; Reetz, 2008)。
【0006】
したがって、高表面積のナノ粒子の必要性がある。そのようなナノ粒子は、触媒分子の活性及び安定性を向上させ、高表面積が望ましい他の分野での利用を見出すことになるであろう。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、特に高表面積を有する、秩序だったナノ粒子の新しいファミリーの同定に関連する。高表面積は、ナノ粒子の繊維状形態によって生じる。ナノ粒子は非常に優れた物理的特性を示し、その物理的特性は、ナノ粒子を触媒支持体として利用可能にさせる高表面積、及びナノ粒子の表面に高度に分散しかつ容易に到達可能な基を高濃度で含むことを可能にする繊維状表面形態を含む。本発明のナノ粒子はまた、高い熱安定性及び高い機械的安定性を有し、産業上幅広い利用に適したものとなっている。
【0008】
本発明は概して、それぞれの繊維が少なくとも一つの他の繊維と接触している、複数の繊維を有するナノ粒子を含む。本明細書で使用される「ナノ粒子」なる用語は、最大直径が1〜5000nmの粒子をさす。本明細書で使用される「複数」は、3以上をさす。本明細書で使用される「繊維」は、長さ及び最大太さを含む、細く、糸状の構造をさす。太さは、繊維の長さにわたって変わり得、または繊維の長さにわたって均一であり得る。異なる繊維は異なる太さであり得、または同じ太さであり得る。同様に、繊維は、種々の長さであり得、または均一の長さであり得る。いくつかの態様において、繊維はさまざまな長さでありさまざまな太さでありうる。他の態様において、単一のナノ粒子の繊維は均一の太さであり長さである。
【0009】
本発明の特定の態様において、ナノ粒子は、シリカ(二酸化ケイ素)、チタニア、アルミナ、セリア、ジルコニア、またはそれらの混合物を含む。
【0010】
単一のナノ粒子の繊維は、長さが、約1、10、50、100、500、または1000nmから、約2000、2500、3000、3500、4000、または5000nmの間であり得、それらの間のすべての値と範囲を含む。特定の態様において、それぞれの繊維は、長さが約1、10、50、100、または500nmから、約500、600、700、800、900、または1000nmの間であり得、それらの間のすべての値と範囲を含む。さらに特定の態様において、それぞれの繊維は、長さが、約1nm〜約500nmである。特定の繊維の最大太さは、約1nm〜約100nmの範囲でありうる。さらに特定の態様において、特定の繊維の最大太さは、約1nm〜約50nm、約1nm〜約10nm、または約4nm〜約10nmの範囲である。いくつかの態様において、それぞれの繊維は、長さが約1nm〜約1000nmであり、太さが約1nm〜約50nmである。さらなる態様において、単一のナノ粒子のそれぞれの繊維は、長さが約1nm〜約250nmであり、太さが約1nm〜約10nmである。
【0011】
一つのナノ粒子の繊維の数は変わりうる。いくつかの態様において、ナノ粒子は、少なくとも約100本の繊維、少なくとも約1000本の繊維、少なくとも約10,000本の繊維、少なくとも約100,000本の繊維、または少なくとも約1,000,000本以上の繊維、あるいは、それらの範囲で変わりうる任意の数字の範囲の繊維を含む。
【0012】
いくつかの態様では、ナノ粒子は、実質的に球状の立体配置を有する(本明細書では「ナノ球体」という)。そのような態様では、ナノ粒子は、ナノ球体の中で実質的に放射状に配向している(すなわちナノ粒子の中心部に向かって集まる)繊維を含む。そのような態様において、繊維の長さは、繊維の末端から、繊維がナノ球体の中心部で別のナノ繊維と接触している点までの距離であり、すなわちナノ球体の半径とほぼ等しい。特定の態様において、ナノ粒子は、少なくとも100本の繊維を含むシリカから構成されるナノ球体であり、それぞれの繊維は長さが約1nm〜約250nmであり、それぞれの繊維の太さは約1nm〜約10nmである。
【0013】
特定の態様において、上述のように、繊維はシリカから構成される。更なる態様において、シリカ繊維は、一つまたは複数の付着したリガンドを含む。本明細書で使用される「リガンド」は、繊維に接触しているイオン、分子、化合物、巨大分子、または分子群をさす。接触は、直接的な接触、例えば共有結合またはイオン結合による接触でありうる。例えばリガンドは、シリカの酸素原子と共有結合によって接触し得る。または接触は、リンカーのような介在分子を経るような間接的な接触であり得る。リガンドは、単なる吸収または吸着によって接触されうる。ある局面では、介在する分子が、リガンド及び繊維と接触している。リンカーの例は、アルキル、ヒドリド、カルベン、カルビン、シクロペンタジエニル、アルコキシド、アミド、またはイミド基を含むがこれに限定されない。接触は、繊維表面への基の単なる吸収または吸着によってなされ、繊維自体または繊維状表面内に混合される。
【0014】
リガンドの例は、金属触媒分子、医薬、及び有機分子を含むがこれに限定されない。本明細書で使用される「金属触媒分子」は、金属イオン、金属酸化物、種々の任意の有機金属複合体、または金属イオンもしくは金属酸化物が結合する任意の分子をさす。金属の例は、Au、Pt、Pd、Ag、Ni、Ru、Rh、Ir、Os、Co、Mo、W、Re、Mn、In、Ga、Cd、Cr、Zr、Ta、Fe及びCuを含むがこれに限定されない。金属酸化物の例は、上記金属の種々の金属酸化物、Al2O3、TiO2、Fe2O3、CeO2、CuO、ZnO、SiO2、V2O5、MgO、La2O3、ZrO2、SnO2、MnO2、MoO3、Mo2O5及びゼオライトを含むがこれに限定されない。いくつかの態様において、リガンドは医薬である。本明細書で使用される「医薬」は、患者の病気または他の状態の検査、治療、または予防に使用される化学物質をさす。「医薬」なる用語は、薬物療法、イメージング剤、及びそれと同様なものの成分を含む。ある局面において、薬物療法は治療薬を含む。治療薬の例は、抗菌剤、抗炎症剤、化学療法剤、ホルモン、鎮痛剤、または治療用核酸を含む。
【0015】
いくつかの態様において、ナノ粒子は、最大直径が、約20、30、40、50、60、70.80、90、100、200、300、400、または500nmから、約1000、1500、2000、25000、3000、3500、4000、4500、または5000nmの間であり、それらの間のすべての値と範囲を含む。更なる態様において、ナノ粒子は、最大直径が約100nm〜約750nmである。またさらなる態様において、ナノ粒子は、最大直径が約250nm〜約500nmである。
【0016】
特定の態様において、ナノ粒子は、最大太さが約1nm〜約10nmでありかつ長さが約25nm〜約250nmである複数の繊維から構成されるナノ球体であり、ここで、ナノ粒子はシリカから構成され、直径が約50nm〜約500nmである。さらなる特定の態様において、ナノ球体は、直径が約250nm〜約450nmである。
【0017】
本発明の他の態様は、前述の任意のナノ粒子を含む組成物に関連する。組成物は溶液でありうる。溶液は、水性溶媒、有機溶媒、または、有機溶媒及び水性溶媒の混合物等の溶媒を含みうる。
【0018】
本発明のさらなる態様は、前述の任意のナノ粒子を含む複合体(本明細書では「ナノ複合体」という)に関連する。複合体は、当業者に公知の任意の方法を用いて製造されてもよい。
【0019】
本発明の前述の任意のナノ粒子を含む触媒もまた、本明細書において企図される。ナノ粒子は、上述のように、付着した金属または金属酸化物を含み得る。本発明のナノ粒子は、本発明のナノ粒子の繊維状の立体構造において、反応混合物と、金属または金属酸化物との接触を大きい面積で可能にする大きい表面積を提供する。また、前述の任意のナノ粒子を反応混合物と接触させる工程であって、触媒作用が起きる工程を含む、反応混合物へ触媒を送達する方法も開示する。
【0020】
下記の工程を含む、本発明のナノ粒子を生産するための方法もまた開示する。
(a) シリカ前駆体、テンプレート分子、及び溶媒を含む組成物を準備する工程であって、テンプレート分子が下記の構造式の化合物であり:
式中、nが5〜25の範囲の数字であり、かつR1が、
または
または
であり、式中、X-が、Cl、Br、I、またはFであり;かつR2〜R14がそれぞれ独立して、H、Cl、Br、I、OH、及びC1-C10アルキルからなる群より選択される、工程;
(b)(a)の組成物を熱またはマイクロ波照射にさらす工程であって、シリカを含む粒子が形成される、工程;及び
(c)溶媒の一部分またはすべてを(b)の組成物から取り除き、単離されたシリカテンプレート粒子を生産する工程;及び
(d)(c)の単離されたシリカテンプレート粒子をか焼させ、ナノ粒子を生産する工程。
【0021】
特定の態様において、テンプレート分子は臭化セチルピリジニウム(CPB)または臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムである。テンプレート分子の改変は、繊維の長さ及び形態の改変をもたらす。
【0022】
溶媒は、当業者に公知のいかなる溶媒でもよい。溶媒は例えば、水性溶媒、有機溶媒、または、水性溶媒及び有機溶媒の混合物であり得る。特定の態様において、溶媒は、シクロヘキサン、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタノール、ブタノール、イソプロパノール、エタノール、メタノール、ヘキサノール及び水を含む群から選択される一つまたは複数の溶媒である。特定の態様において、溶媒は、シクロヘキサン、ペンタノール及び水の混合物である。
【0023】
特定の態様において、シリカ前駆体は、オルト珪酸テトラエチルである。他のシリカ前駆体は、オルト珪酸テトラフェニル、オルト珪酸テトラアリル、オルト珪酸テトラブチル、ケイ素テトラアセテート及びオルト珪酸テトラプロピルを含む。
【0024】
特定の態様において、(a)の組成物は尿素をさらに含む。尿素は、シリカ前駆体の加水分解を促進する。(a)の組成物は、熱及び/またはマイクロ波照射にさらされうる。特定の態様において、組成物はマイクロ波照射にさらされる。
【0025】
いくつかの態様において、当該方法は、リガンドを(d)のナノ粒子の表面に付着させる工程を含むかまたはさらに含む。リガンドは、前述のリガンドのいずれでもよい。当業者に公知の任意の方法を、リガンドをナノ粒子の表面に付着させるのに用いうる。いくつかの態様において、リガンドは、ナノ粒子の表面に焼結された金属または金属酸化物である。金属または金属酸化物は前述のいかなる金属または金属酸化物でもよい。
【0026】
この材料は、種々のプロセスにおいて触媒支持体として使用されうる。本発明のいくつかのさらなる態様は、反応混合物を本発明のナノ粒子と接触させる工程を含む、反応混合物中の反応を触媒する方法に関連し、ここで、ナノ粒子は、ナノ粒子の繊維に付着した金属または金属酸化物を含む。本発明のナノ粒子は、不均一触媒、均一触媒、光触媒、電気触媒、有機分子触媒、及び/または酵素触媒として適用されうる。反応は、酸化、水素添加、水素処理、メタセシス反応、異性化、転位反応、脱離反応、加水分解反応、及び縮合反応であり得る。
【0027】
本発明はさらに、薬学的に許容可能な量の本発明のナノ粒子を患者に投与する工程を含む、患者に医薬を送達する方法を含み、ここでナノ粒子は、ナノ粒子の少なくとも一つの繊維に付着した、一つまたは複数の医薬を含む。
【0028】
本発明はまた、一つまたは複数のシールされた容器内に本発明のナノ粒子を含むキットに関連する。いくつかの態様において、ナノ粒子は、クロマトグラフィーカラムの中に含まれる。またさらなる態様では、キットは、本発明のナノ粒子の使用のための指示に関連する。
【0029】
本発明のナノ粒子を含む固定相を含むクロマトグラフィーの方法及びカラムもまた、本発明の部分として企図される。
【0030】
本発明のナノ粒子はまた、水及び油から金属を除去するための薬剤として適用されうる。この点について、ナノ粒子は、金属を含むことが既知であるかあるいは金属を含むことが疑われる水または油と混合される。ナノ粒子はまた、水素などのエネルギーの貯蔵のために用いられうる。本発明のナノ粒子はまた、包装産業における包装材料として用いられる。
【0031】
本発明の一つの態様に関連して記述された任意の限定は、本発明の他の任意の態様に適用されうることが特に企図される。さらに、本発明の任意の組成物は、本発明の任意の方法に使用され得、本発明の任意の方法は、本発明の任意の組成物を生産または使用するために用いられうる。
【0032】
特許請求の範囲中の「または」なる用語の使用は、代替の選択肢のみを言及することが明確に示されていない限り、あるいは選択肢が相互に除外されない限り、開示が、一つの選択肢及び「及び/または」を意味するという定義を支持していたとしても、「及び/または」を意味するように使用される。
【0033】
この出願中、「約」なる用語は、ある値が、値を決定するのに使用される装置及び/または方法の、誤差の標準偏差を含むことを示すのに使用される。
【0034】
本明細書で使用されるように、ほかに明確に示されていないならば、「一つの("a" または "an")」は、一つまたは複数を意味し得る。本特許請求の範囲で示されるように、「含む」という単語と連結して使用されるとき、「一つの("a" または "an")」なる単語は、一つまたは一より多い複数を意味し得る。本明細書で使用される「別の("another")」は、少なくとも二つ目またはそれより多いものを意味し得る。
【0035】
本発明の他の目的、特徴、及び有利な点は、下記の詳細な説明から明らかになるであろう。しかし、本発明の精神及び範囲の中での種々の変更および修正が、この詳細な説明から当業者に明らかになるので、詳細な説明及び特定の実施例は、本発明の好ましい態様を示しているものの、説明のためにのみ与えられていることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
下記の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明のある局面をさらに説明するために含まれる。発明は、これらの図面の一つまたは複数を、本明細書で述べられている特定の態様の詳細な説明と組み合わせて参照することにより、より良く理解されうる。
【図1】シリカナノ球体構造の略図。
【図2】シリカナノ球体のHRSEMイメージ。
【図3】400℃(図3a)、550℃(図3b)、800℃(図3c)、および最大950℃(図3d)の温度でか焼した後のシリカナノ球体のHRSEMイメージ;か焼前(図3e)及びか焼後(図3f)の繊維の太さ。
【図4】シリカナノ球体のHRTEMイメージ(高分解能透過型電子顕微鏡像)。
【図5】シリカナノ球体のEDX分析。
【図6】KCC-1のTGA(熱重量分析)(図6a)及び29Si CP-MAS NMRスペクトル(図6b)。
【図7】シリカナノ球体(いわゆるKCC-1)のTG-IR(TGA/フーリエ変換赤外線)分析。
【図8】KCC-1のBET(Brunauer-Emmett-Teller)分析。
【図9】TEOS 0.012モルあたりの、尿素 0.0モル(図9a)、0.003モル(図9b)、0.006モル(図9c)、0.01モル(図9d)での、シリカナノ球体のSEMイメージ。
【図10】従来の多孔性シリカ(図10a)、MCM-41(図10b)、及びKCC-1(図10c)の違い。
【図11】圧力43MPa(図11a)、130MPa(図11b)、216MPa(図11c)での機械的圧縮後、及び沸騰水での24時間加熱後(図11d)のKCC-1のHRTEMイメージ。
【発明を実施するための形態】
【0037】
説明的態様の記載
本発明は、多孔性表面形態によって高表面積を有する、新しいクラスのナノ粒子の製造に基づく。ナノ粒子は、触媒、医薬送達及びクロマトグラフィーのような幅広い範囲の適用が可能となるように、表面と結合した分子の提示を可能にする。
【0038】
A. 製造
本発明のいくつかの態様は、本発明のナノ粒子を製造する方法に関連する。
【0039】
1. ミクロエマルジョン形成
本発明のナノ粒子は、当業者に公知の任意の材料を使用して製造されうる。特定の態様では、シリカ前駆体を含むミクロエマルジョンが形成され、シリカから構成されるナノ粒子になる。
【0040】
これらの態様では、ミクロエマルジョンの基本的な成分として、シリカ前駆体、テンプレート分子、尿素、及び一つまたは複数の溶媒が含まれる。テンプレート分子は、上述の任意の分子でよい。溶液中のテンプレート分子は、ミセルのような凝集体を形成し得る。テンプレート分子の炭化水素基は、繊維の形成のための骨格として働く。
【0041】
シリカ前駆体は、当業者に公知の任意の源から得られうる。シリカ前駆体、テンプレート分子、及びナノ粒子の製造のための他の成分は、商業的供給源や天然資源から得ることができ、または化学的に合成することができる。シリカ前駆体の例は、オルト珪酸テトラエチル(TEOS)またはオルト珪酸テトラメチル(TMOS)であるがこれに限定されない。
【0042】
尿素は、ミクロエマルジョン中でシリカ前駆体を加水分解するように働く。ミクロエマルジョン中でシリカ前駆体を加水分解するのに適用されうる他の分子は、チオ尿素、アミド、アンモニア、ヒドラジン一水和物、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、リン酸カリウム、及び、当業者に公知の、任意の他の類似の薬剤を含む。
【0043】
加水分解に続いて、負の電荷をもった珪酸分子は、自己組織化したテンプレート分子の間の空いている空間で集合する。自己組織化した珪酸は、縮合し、テンプレートミセル内でシリカ材料の結晶化がもたらされる。結果として生じるナノ粒子の形態は、テンプレート分子の立体構造に大いに依存する。特定の局面においてナノ粒子は、上述のように、ナノ球体である。
【0044】
上述のように、ミクロエマルジョンの溶媒成分は、水性溶媒、有機溶媒、双極性の非プロトン溶媒、またはこれらの溶媒の混合物でありうる。
【0045】
その後、混合物は、熱またはマイクロ波照射に、120℃で1〜4時間さらされる。
【0046】
形成されたシリカは、遠心分離によってなど、当業者に公知の任意の方法を用いて単離することができる。粒子は洗浄または空気乾燥され得る。
【0047】
合成された粒子は、その後か焼される。か焼は、当業者に公知の任意の方法を用いて行うことができる。例えば、か焼は、試料を空気中550℃で6時間加熱する工程を含み得る。また、か焼は、試料を約550℃〜約950℃の範囲(この間のすべての値及び範囲を含む)の温度で加熱する工程を含み得る。構造的特徴付けは、当業者に公知の種々の任意の方法を用いて行うことができる。
【0048】
2. 金属コーティング
いくつかの態様において、ナノ粒子は、金属または金属酸化物のようなリガンドでコーティングされる。触媒であるリガンドとして使用される金属の例は、Fe、Cr、Al、Ga、In、Hf、Sn、Zr、Mo、Ti、V、Co、Ni、Cu、Y、Ta、W、Pb、B、Nb、Ge、Pr、U、Ce、ErNd、Mg、Ca、Ba、Sr、Au、Siまたはそれらの組み合わせを含むが、これに限定されない。さらに、金属酸化物ベースの材料が企図され、ケイ素、ゲルマニウム、すず、鉛、アンチモン、ビスマス、ポロニウム、ランタノイド、及びアクチナイドに基づく金属酸化物が含まれる。金属非酸化物ナノ粒子は、II-VI、III-V、及びIV量子ドットを含み;金属酸化物ナノ粒子は、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化タングステン、酸化セリウム、酸化アンチモン、及び酸化ケイ素を含みうる。金属酸化物の合成は、Fe3+、Cr3+、A3+、Ga3+、In3+、Hf4+、Sn4+、Zr4+、Nb5+、W6+、Pr3+、Er3+、Nd3+、Ce3+、U3+、Y3+及びそれらの組み合わせの塩のような無機塩を用いて行われてきている。
【0049】
本発明のナノ粒子は、電極のための触媒として強力な活性を有することが期待される白金族の遷移金属及び/または主にそのような白金属遷移金属から構成される合金ナノ粒子を含み得る。白金族遷移金属は、Pt、Ru、Ir、Pd、Os、及びRhの中から選択され得、単独種またはそれらの混合物を含み得る。
【0050】
いくつかの態様において、金属コーティングがナノ粒子の表面に施される。金属コーティングは、当業者に公知の任意の方法を用いて施されうる。そのような技術の例は、化学蒸着、イオン注入、スプレー塗装等を含むが、これに限定されない。
【0051】
金属コーティングは、本発明のシリカナノ粒子を、金属(または金属塩)及び溶媒(または溶媒の混合物)を含む組成物中に置くことによって、製造されうる。
【0052】
金属塩のいくつかの例は、白金塩、ルテニウム塩、イリジウム塩、パラジウム塩、オスミウム塩、及びロジウム塩を含む。白金塩は、Pt2+、Pt3+、またはPt4+を含む塩を含み、例えば、PtX2、PtX3、PtX4、[PtA6]X2、M12[PtX4]、M12[PtX2Y2]、M1[PtX3Y]、M1[PtX2Y2]、またはM12[PtX6](ここで、X及びYは、それぞれ、F-、Cl-、Br-、I-、OH-、CN-、NO3-、N3-、CH3COO-、SCN-、アセチルアセトネート、1/2SO42-または1/2CO32-のような陰イオンであり;M1は、K、NaまたはHなどの一価の陽イオンであり;及びAはNH3またはアミンである)の形で代表されうる。特に、PtCl2、PtBr2、PtI2、Pt(CN)2、Pt(SCN2、PtCl3、PtBr3、PtI3、PtF4、PtCl4、PtBr4、PtI4、K2[PtCl2(acac2]、及びH2PtCl6があげられうる。
【0053】
ルテニウム塩は、Ru2+、Ru3+、またはRu4+を含む塩を含み、例えば、RuX2、RuX3、RuX4、[RuX6]M13、またはM1[RuX4](ここで、Xは、ClまたはBrのようなハロゲン、または、NO3-またはSO4のような陰イオンであり、M1は、K、Na、Rb、CsまたはHなどの一価の陽イオンである)の形で代表されうる。
【0054】
イリジウム塩は、Ir+、Ir2+、Ir3+、またはIr4+を含む塩を含み、例えば、IrX、IrX2、IrX3、IrX4、[IrX6]M13、またはM1[IrX4](ここで、Xは、ClまたはBrのようなハロゲン、または、SO4のような陰イオンであり、M1は、K、Na、Rb、CsまたはHなどの一価の陽イオンである)の形で代表されうる。
【0055】
パラジウム塩は、Pd2+を含む塩を含み、一般に、Pd--Z2の形で代表されうる。Zは、Cl、Br、またはIのようなハロゲン、または、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、アセチルアセトネート、炭酸塩、過塩素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、または酸化物のような塩を形成する基である。いくつかの例は、PdCl2、PdBr2、PdI2、Pd(OCOCH3)2、Pd(OCOCF3)2、PdSO4、Pd(NO3)2、及びPdOを含む。
【0056】
オスミウム塩は、Os+、Os2+、Os3+、またはOs4+を含む塩を含み、例えば、OsX、OsX2、OsX3、OsX4、[OsX6]M13、またはM1[OsX4](ここで、Xは、ClまたはBrのようなハロゲン、または、SO4のような陰イオンであり、M1は、K、Na、Rb、CsまたはHなどの一価の陽イオンである)の形で表されうる。特定の例として、OsBr4、OSO4、OsCl4、KOs(SO4)2、RbOs(SO4)2、及びCsOs(SO4)2があげられうる。
【0057】
ロジウム塩は、Rh3+を含む塩を含み、RhX3、Rh2x6、[RhA6]X3、M13 [RhX6]、またはM1[RhX4](ここで、Xは、FまたはClのようなハロゲン、または、CNまたはSO4のような陰イオンであり;M1は、K、NaまたはHなどの一価の陽イオンであり;及びAはNH3またはアミンである)の形で代表されうる。特定の例として、Rh2O3、RhO2、Rh2(SO4)3、Rh(OH)3、Rh(NO3)3、RhCl3、RhF3、Rh(CN)3、KRh(SO4)2、Na2RhCl4、NaRh(SO4)2、及びHRh(SO4)2があげられうる。
【0058】
金属塩を溶解または分散できる溶媒は、溶媒の官能基によって異なる。溶媒は、水、アセトン及びメチルエチルケトンのようなケトン、酢酸エチルのようなエステル、メタノール及びエタノールのようなアルコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジグリム及びヘキサメチルリン酸トリアミドのような非プロトン性極性溶媒、並びに、さらに、ニトロメタン及びアセトニトリル、その他を含みうる。水、及び、水と混合された親水性有機溶媒、例えばアルコールまたはケトンなどが好適に用いられうる。
【0059】
金属塩の濃度は、塩を溶解するのに使用される溶媒に応じて変わりうるが、約0.001%から塩の飽和溶液濃度までの値であり得る。
【0060】
3. 他のリガンド
本発明のいくつかの態様は、金属以外に一種または複数種のリガンドが付着したナノ粒子に関する。リガンドの例は、有機分子及び医薬を含む。またリガンドとして企図されるのは、半導体材料及びセラミックである。セラミック材料のいくつかの例は、ブルシャイト、リン酸三カルシウム、アルミナ、シリカ、及びジルコニアを含む。いくつかの態様では、リガンドはポリマーである。ポリマーの例は、ポリスチレン、シリコンゴム、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリエーテル、及びポリエチレンを含む。生物分解性の、バイオポリマー(例えば、BSAなどのポリペプチド、多糖等)、他の生物学的材料(例えば、炭水化物)、及び/または重合体化合物が、可能なリガンドとして企図される。金もまた、その周知の反応性の特性及び生物学的不活性ゆえに、リガンドとして企図される。
【0061】
本明細書で述べたナノ粒子は、デキストラン、デンドリマー、両親媒性ポリマー/バイオポリマー(例えば、リン脂質及びペプチド)、ポリマー、界面活性剤またはキレート特性を有する化学物質からなる群より選択されるリガンドでコーティングされうる。
【0062】
4. 表面改質及びリンカー
本発明のナノ粒子は、リガンドが容易にその表面に結合できるように、表面改質され得る。ナノ粒子の表面改質は、例えば、ナノ粒子溶液を、カップリング剤(リンカー)を含む溶液で処理することによって達成されうる。例えば、カップリング剤は、シランカップリング剤でありうる。
【0063】
リンカーの代表的な官能基は、以下:ヒドロキシル、カルボキシル、アミノ、リン酸エステル、ホスホネート、硫酸エステル、亜硫酸エステル、スルフェナート、スルフィナート、スルホン酸エステル、スルホキシド、スルホン、アミド、エステル、ケトン、アルデヒド、ニトリル、アルケン、アルキン、エーテル、チオール、ヒドロキサム酸、シラン、珪酸、カルバモジチオネート(carbamodithionate)、ジチオン酸塩、メルカプタン、ジスルフィド、過酸化物、及びニトロン酸エステル基、を含むが、これに限定されない。
【0064】
リンカーは、上述の溶媒等を使用することによって準備された希釈溶液の形で用いられ得、一般に水溶液の形で用いられる。リンカーの濃度に関しては、任意の好適な濃度で使用され得、例えば、0.001〜5.0%または0.01〜1.0%の濃度のリンカー溶液が、溶液に添加されうる。
【0065】
複合基にうまく利用されうる多数のタイプのリンカーが知られているものの、異なる薬理学的特性及び能力に基づいて、あるリンカーが概して他のリンカーより好まれるであろう。
【0066】
代表的なより好ましいリンカーには、ポリエチレングリコール、デンドリマー、tert-ブチル保護基を含む分子、イソブチレン酸化物結合を含む分子、アミノベンジルアルコール、ヒドロキシベンジルアルコール結合、アミノベンゼンジメタノール、アミノベンゼントリメタノール、ヒドロキシベンゼンジメタノール、ヒドロキシベンゼントリメタノール、ビニルスルホキシド、置換ビニルスルホキシド、置換メトキシメチル結合、置換ビニルエーテル結合、炭酸塩結合、エステル結合、無水物結合、置換カルバミン酸無水物結合、炭素無水物結合、置換尿素結合、置換ウレタン結合、置換グアニジン結合、エーテル結合、メルカプタン結合、スルホキシド結合、スルフィナート結合、スルホン酸エステル結合、スルフェナート結合、ニトロン酸エステル結合、亜硫酸エステル結合、硫酸エステル結合、リン酸結合、ホスホン酸エステル結合、ホスフィン結合、シラン結合、珪酸結合、ジスルフィド結合、過酸化物結合、アルカン結合、アルケン結合、アルキン結合、ヨードニウム結合、アミノ結合、置換アリルエーテル結合、置換ベンジルエーテル結合及びイミン結合が含まれるが、これに限定されない。立体的に「障害のある」ジスルフィド結合を含むリンカーが、治療薬の早期の放出を防ぐために含まれうる。
【0067】
いくつかの態様において、リンカーはさらに、架橋剤として定義される。架橋剤は、二つの異なる分子の置換基を一緒に結び付ける分子架橋を形成するのに使用される。
【0068】
5. 形状
ナノ粒子の形状には特に限定はなく、例えば、球状の、不規則な、細長い、楕円体、杆状体、三角形、六角形、等の形状であってよく、または少なくとも二つ以上の形状を含む組み合わせであってもよい。特定の態様では、ナノ粒子は、本質的に球状(すなわちナノ球体)である。
【0069】
6. 溶液
組成物の溶液において、ナノ粒子は概して、溶液の総重量に対して約0.0000001wt%〜約100wt%の量(塊がない粉末(solid-free powder))で溶液中に存在しうる。一つの態様において、ナノ粒子は概して、約0.000001wt%〜約15wt%の量で溶液中に存在しうる。別の態様では、ナノ粒子は概して、約0.01wt%〜約1wt%の量で溶液中に存在しうる。さらに別の態様では、ナノ粒子は概して、約1wt%〜約10wt%の量で溶液中に存在しうる。
【0070】
7. 他の改質
いくつかの態様において、ナノ粒子は、プラスまたはマイナスの電荷を与えるように分子によって官能基化されうる。またナノ粒子は、疎水性または親水性の表面を提供するように分子によって官能基化されうる。
【0071】
B. 適用
本発明のナノ粒子は、幅広い用途に用いられうる。例えば、上述のように、それらは、触媒または触媒支持体として用いられうる。それらはまた、水及び油から金属を除去するために用いられうる。それらはさらに、水素などのエネルギー貯蔵のために用いられうる。それらは、包装材料として包装産業で用いられうる。それらはまた、医薬送達、遺伝子送達、及び医薬イメージングにおいて利用されうる。ナノ粒子は、触媒、薬剤の輸送、医薬送達、包装、センサーとして、及びそれらの組み合わせにおいて利用されうる。本発明において有用な医薬は、治療化合物、放射性化合物、化学療法剤、DNA/RNA分子、タンパク質、またはMRI造影剤であり得る。
【0072】
送達の型は、当業者に公知の任意の方法を含みうる。例としては、吸入による肺へのエアロゾル送達、皮下注射、経口摂取、経皮送達、及び標的化送達(targeted delivery)を含み得る。
【0073】
触媒作用の利用に関して、触媒活性部位は、ナノ粒子の繊維表面に配置されるか、ナノ粒子の繊維内に組み入れられるか、またはこれら両方の組み合わせでありうる。
【0074】
有機金属化合物は、ナノ粒子に結合し、触媒作用の利用を提供し得る。触媒作用の利用の例として、部分酸化反応、酸化反応(例えば、空気中または水中の有機汚染物を分解するため等)、生体触媒作用(例えば、バイオリアクターとして酵素を含有する中空の球体を使用する等)、エナンチオ選択的触媒作用(例えば、医薬分子の前駆体を生産するため等)、オンデマンド触媒作用、及び金属によって触媒された有機及び無機反応を含むが、これに限定されない。
【0075】
本発明のナノ粒子はまた、電子工学のための薄膜材料または絶縁体としてのコーティング等のセラミックスとしての利用を見出すかもしれない。さらにそれらは、塗料、日焼け止めローション、及び香水のような分散液中の成分として使用されうる。農業的利用は、殺虫剤、殺菌剤、または肥料のための送達粒子としての使用を含むと考えられる。消費者用の食料品のために、ナノ粒子に載せられてナノ粒子と結合するものとして、保存剤、香料、臭気物質、染料等が含まれうる。
【0076】
従って本発明は、幅広い範囲の物質を積載するためにナノ粒子を官能基化できることを含む。本発明のナノ粒子はまた、水素貯蔵において、クロマトグラフィーのためのカラム充填物として、及びナノ複合材料として、利用されうる。
【0077】
C. キット
本発明のある態様は概して、本発明のナノ粒子を含むキットに関連する。例えばいくつかの態様において、キットは、一つまたは複数の、本明細書で述べたようなあらかじめ決められた量のナノ粒子を含むシールされた容器を含む。
【0078】
本発明のキットは、本発明のナノ粒子をあらかじめ決められた量含むシールされたバイアルを含みうる。本発明の更なる態様では、ナノ粒子は、金属イオンまたは上述の他のリガンドでコーティングされている。
【実施例】
【0079】
D. 実施例
下記の実施例は、本発明の好ましい態様を説明するために含まれている。以下の実施例で開示された技術は、本発明者によって発見された、本発明の実施に当たりうまく機能させるための技術を代表するものであると当業者に認識されるべきであり、したがって、その実施に当たり好ましい様式を構成すると考えられうる。しかし当業者は、本発明の開示に当たり、開示された特定の態様において多数の修正がなされえ、本発明の精神と範囲を逸脱しない類似の結果をなお得ることができると認識すべきである。
【0080】
実施例1
繊維状形態を伴う高表面積シリカナノ球体
本発明のナノ粒子の製造にはまず、シクロヘキサン:ペンタノール:水の混合物中に、テンプレートとしての臭化セチルピリジニウム(CPB)及び尿素を使用したミクロエマルジョンの形成が行われた。シリカ前駆体(オルト珪酸テトラエチル)は、分解した尿素によって加水分解され、その後、これらの加水分解され負に荷電した珪酸分子が、自己組織化したテンプレート(CPB)分子の間にできた空間に集まり(図1)、自由な放射状方向及び制限された接線方向に凝集した。最後に、自己組織化した珪酸の縮合によって、(溶媒中に分散した)個々のミセル内でのシリカ材料の結晶化がもたらされ、繊維状シリカナノ球体が生産された。
【0081】
異なる形態を持つナノ粒子をもたらす代替のテンプレートは、テンプレートが、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムまたは塩化ベンジルジメチルヘキサデシルアンモニウムに変わったとき生じた。したがって、ミセル液中の特定の界面活性剤分子の組織に基づいて形態を改変することができ、これはしばしば、テンプレート、前駆体物質、添加剤及び溶媒中の、繊細な疎水性‐親水性平衡状態に基づく。繊維状形態は、テンプレートが、塩化ベンジルジメチルヘキサデシルアンモニウムに変わったときには失われるのが観察された。このテンプレート分子による形態への影響は、界面活性剤の充填パラメータに関連しており、非極性テンプレート鎖(この場合はセチル)の体積及び長さ、並びに、水溶性頭部(この場合は、ピリジニウムまたはトリメチルアンモニウム)の有効面積に依存する。
【0082】
ナノ粒子の形成における反応溶媒の効果を研究するために、ペンタノール、ブタノールまたはイソプロパノールを加えた、シクロヘキサン及びヘキサンの溶媒のいくつかの組み合わせが試験された。繊維状形態を有するシリカ球体がすべてのケースで観察されたものの、多分散性は非常に異なっており、50nm〜200nmの粒子サイズの分布となった。シクロヘキサンとペンタノールの混合物は有用な溶媒であり、分布の狭い粒子サイズで物質が得られた。
【0083】
高表面積を有する繊維状シリカナノ球体(KCC-1)の合成が行われた。このタイプの繊維状形態を持つシリカナノ球体(図2及び図4)は、前例がない。典型的な合成において、TEOS(2.5g、0.012mol)を、シクロヘキサン(30mL)及びペンタノール(91.5mL)の溶液に溶解した。次に、水(30mL)にCPB(1g、0.0026モル)及び尿素(0.6g、0.01モル)を含む撹拌された溶液を添加した。この混合物を室温で30分撹拌し、得られた溶液をテフロンシールされたMWリアクターに配置した。反応混合物は、MW放射(400Wパワー)に120℃で4時間さらされた。反応が完了し、混合物の温度が室温まで冷えたのち、形成されたシリカを遠心分離によって単離し、蒸留水とアセトンで洗浄し、24時間空気乾燥した。合成されたままの材料は、その後空気中で550℃で6時間、か焼された。この合成の間特別な注意や複雑な技術は必要とされなく、したがって全工程は、経済的及び持続可能であった。
【0084】
高分解能走査型電子顕微鏡(HRSEM)の像(図2)は、試料が、250nm〜450nmの範囲の直径を有する、均一のサイズのコロイド状の球体からなることを明らかにした。これらのシリカ球体の精査によって(図2の挿入図参照)、材料が、球体を形成するように三次元に配置されたデンドリマー状の繊維(8〜10nmの太さの繊維で形成されたアングル)を有することが示され、これは利用可能な高表面積に容易にアクセスすることを可能にする。
【0085】
この材料の繊維状の性質によって、シリカ球体の表面上に、高分散で容易にアクセスできる超高濃度の金属粒子を得ることができる。重要なことに、400〜950℃の異なる温度でのシリカ球体のSEM分析(図3a〜3f)は、形態及び粒子サイズにおいて目に見える変化はなく、シリカナノ球体が高度に安定的(熱的におよび機械的に)であることを示している。粒子の癒着は、厳しい熱処理の後でさえも起こらなかった。高発熱性媒体中での触媒作用に熱安定性が必要とされるので、これは重要な観察結果である。
【0086】
とりわけ、繊維の太さは、か焼前(図3e)は8〜10nmであるが、550℃でのか焼後(図3f)は4〜5nmに減った。これは、繊維の周りのテンプレートコーティングが失われるためにおこる。950℃までか焼温度を上げても、太さまたは二つの繊維間の距離のさらなる減少は観察されず、シリカのミクロ構造は無傷のままであった。この結果は、本発明のナノ球体が、シリカナノ球体の繊維状のチャンネルに容易にアクセスできる触媒を準備するのに使用されうることを示している。
【0087】
触媒支持体としての多孔性材料の有効性は主にそれらのミクロ構造に起因し、これによって活性な触媒部位が大きな内部表面及び細孔に分散し、そのことが触媒の活性を改善する。しかし、細孔(図10a)中、またはチャンネル(図10b)中の活性部位への乏しい到達性はしばしば、非常に大きな輸送が必須である適用を制限する。したがって、容易にアクセスできる高表面積を有する(すなわち、細孔の中へではない)シリカ支持体が望ましい。本発明のシリカナノ球体(KCC-1)の繊維状形態は、デンドリマー状のシリカ繊維(図10c)とそれぞれのチャンネル(細孔ではない)の存在により、著しい高表面積を有する。これらのナノ球体は、ナノ球体の繊維状チャンネル内(炭素ナノチューブ内のように)での、焼結に耐える触媒を超高濃度で容易に準備することを可能にすると考えられる。このことは従来のメソポーラスシリカでは難しい。
【0088】
シリカ球体の機械的安定性をさらに、高解像度透過型電子顕微鏡(HRTEM)を用いて調査した。KCC-1の繊維状形態が、216MPa圧力までの機械的圧縮後でさえも影響されないままであることが観察された(図 11a-11c)。その機械的安定性のレベルは、86MPaの圧力で影響されるMCM-41に匹敵する。したがってKCC-1は良好な機械的安定性を有し、これは触媒ベッドの破壊及び閉塞が避けられうることを意味する。KCC-1はまた熱水安定性を有し、沸騰水中での24時間の加熱後でさえ、繊維状形態は無変化のままであった(図11d)。このように、本発明のシリカナノ球体は、良好な触媒支持体のために必須の特性である、非常に高い熱的安定性、機械的安定性、及び熱水安定性を有する。
【0089】
更に、合成されたままのシリカナノ球体の構造的特徴付けを、高解像度透過型電子顕微鏡(HRTEM)によって行った(図4)。これらのイメージのより細かい精査によって、輪郭がはっきりし、かつ高度に整然とした繊維が、粒子の中心から出てきて、均一にすべての方向に広がっていることを明らかにされた。
【0090】
シリカナノ球体のSEM及びHRTEMイメージは繊維の存在を示すが、これらの繊維が、球体の中心から成長しているのか、またはそれらが固体のコアを有するシリカ球体の表面にのみ存在するのかは不明確である。三次元(3D)断層写真の研究から得られた結果を示すビデオクリップによって示されるように、KCC-1の三次元(3D)断層写真は、繊維が球体の中心から、自由な放射状方向に、かつ制限された接線方向に均一に成長し、繊維状球体シリカ粒子を形成することを明らかにした。
【0091】
エネルギー分散X線(EDX)分析は、KCC-1ナノ球体の化学組成を決定するために使用された。図5に示されるように、試料は、ケイ素及び酸素及び炭素のみから構成されていた(炭素は、TEMのグリッドから、また、いくらかのテンプレートの痕跡からきている)。それらの結果は、シリカ材料の形成を裏付けた。ほぼ同様のパーセンテージのケイ素及び酸素が、ナノ球体の端部及び中心部のEDXS分析において観察された。
【0092】
試料の化学組成をさらに確認するために、シリカナノ球体の熱重量分析(TGA)(図6a)が、窒素雰囲気下で行われた。室温から1550℃までに、最大約3.8%の無視できる重量損失が観察された。この損失は、分画それぞれのTGA/フーリエ変換赤外光(FT-IR)分析により確認されたように(図7)、化学的に吸着した水及びヒドロキシル基の損失に帰することができる。材料はまた、固体状態29Si CP-MAS NMR分光法によって特徴づけられた。得られたスペクトルは、-106ppmと-112ppmで二つの特徴的なシグナルを示し、それらは異なる凝縮度のSiO4の部分構造に相当するQ3及びQ4部位に帰属した(図6b)。-60辺りの領域でのシグナルの欠如は、材料中にSi-C結合がない構造を示している。か焼による有機成分の除去後のシリカナノ球体の窒素吸着‐脱離等温線は、タイプIVパターンを示した(図8)。BET(ブルナウアー‐エメット‐テラー;Brunauer-Emmett-Teller)表面積及び平均細孔サイズは、それぞれ、641m2/g-1及び4.5nmであることが見出された。このように、合成シリカナノ粒子は、良好な触媒支持体に必須の性質である、高表面積とすぐれた熱的及び焼結安定性とを有する。
【0093】
シリカ形態に関する尿素の濃度の効果を調べるために、一連の実験が、いろいろな尿素-TEOSモル比で行われた。尿素を使用しない時、少量のシリカのみが単離され、シリカナノ球体は、短い長さ(90〜120nm)の細い繊維を有して単分散した(図9a)。これらの結果は、繊維状形態と粒子サイズの鍵は、異なる量の尿素を用いたシリカ合成が行われたときに明らかだったように、尿素による加水分解のスピードの制御にあることを示している。SEMイメージは、尿素の濃度が、0.18gm(0.003モル)から0.6gm(0.01モル)へ増加した時に、ない場合(図9b)から不十分な繊維状(図9c)に、さらに良好な繊維状(図9d)のナノ球体へとシリカが成長し始めることを示している。尿素の量をさらに増加しても、粒子サイズ分布の増加以外、繊維状形態の変化は観察されなかった。これは、TEOS分子の過剰な尿素による早い(すなわち、制御されない)加水分解によるのかもしれない。
【0094】
上述の実験は、前例のない繊維状形態を有する新しい系統の高表面積シリカナノ球体を明らかにした。材料は、(1)高表面;(2)繊維状表面形態;(3)良好な熱的安定性及び熱水安定性;及び(4)高機械的安定性を含む、優れた物理的特性を示す。これらの理由により、KCC-1はシリカ支持触媒に有用であり、それは活性部位への到達性を著しく増加することができる。KCC-1はまた、医薬送達に、水素貯蔵に、クロマトグラフィー支持体として、及びナノ複合体材料においても有用である。
【0095】
本明細書において開示された方法及び特許請求の範囲に記載された方法のすべては、本開示に照らして、過剰な実験なしになされ得、行われうるものである。この発明の方法は、好ましい態様について記載されており、当業者には、本明細書に記載された方法に、本発明の概念、精神及び範囲を逸脱しない変化が、適用されうることが明らかであろう。さらに特定していえば、化学的かつ生理学的に関連したある薬剤が、本明細書に記載された薬剤に置換されえ、同じまたは類似の結果が達成されるであろうことが明らかであろう。そのような、当業者に明らかな類似の置換及び改良のすべてが、添付の特許請求の範囲で規定されている本発明の精神、範囲及び概念内であるとみなされる。
【0096】
参考文献
下記の参考文献は、それらが本明細書で述べられたものを補完する代表的な手順の、または、他の詳細を提供する範囲で、特に参照によって本明細書に組み入れられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の繊維を含むナノ粒子であって、それぞれの繊維が他の一つの繊維と接触しており、それぞれの繊維が、約1nm〜約5000nmの長さであり、かつ約1nm〜約50nmの太さである、ナノ粒子。
【請求項2】
ナノ粒子がシリカで構成されている、請求項1記載のナノ粒子。
【請求項3】
それぞれの繊維が、約1nm〜約250nmの長さである、請求項1記載のナノ粒子。
【請求項4】
それぞれの繊維が、約1nm〜約25nmの太さである、請求項1記載のナノ粒子。
【請求項5】
それぞれの繊維が、約1nm〜約10nmの太さである、請求項1記載のナノ粒子。
【請求項6】
それぞれの繊維が、約1nm〜約250nmの長さであり、かつ約1nm〜約10nmの太さである、請求項1記載のナノ粒子。
【請求項7】
繊維が、さまざまな太さ及びさまざまな長さである、請求項1記載のナノ粒子。
【請求項8】
繊維が、均一の太さ及び均一の長さである、請求項1記載のナノ粒子。
【請求項9】
約103〜106本の繊維で構成されている、請求項1記載のナノ粒子。
【請求項10】
少なくとも約104本の繊維で構成されている、請求項9記載のナノ粒子。
【請求項11】
少なくとも約105本の繊維で構成されている、請求項10記載のナノ粒子。
【請求項12】
ナノ球体の中で実質的に放射状に配向している複数の繊維から構成されるナノ球体としてさらに規定される、請求項1記載のナノ粒子。
【請求項13】
それぞれの繊維が、約1nm〜約250nmの長さであり、かつ約1nm〜約10nmの太さである、請求項12記載のナノ粒子。
【請求項14】
一つまたは複数の繊維に付着した、一種または複数種のリガンドをさらに含む、請求項1記載のナノ粒子。
【請求項15】
一種または複数種のリガンドが、金属触媒分子、医薬または有機分子である、請求項14記載のナノ粒子。
【請求項16】
リガンドが、リンカーを介して、または単なる吸収もしくは吸着によって繊維に付着している、請求項15記載のナノ粒子。
【請求項17】
リンカーが、アルキル、水素化物、カルベン、カルビン、シクロペンタジエニル、アルコキシド、アミド、またはイミド基を含む、請求項16記載のナノ粒子。
【請求項17】
リンカーが、アルキル、水素化物、カルベン、カルビン、シクロペンタジエニル、アルコキシド、アミド、またはイミド基である、請求項17記載のナノ粒子。
【請求項18】
リガンドが金属触媒分子である、請求項15記載のナノ粒子。
【請求項19】
金属触媒分子が、金属イオンまたは金属酸化物である、請求項18記載のナノ粒子。
【請求項20】
金属触媒分子が、Au、Pt、Pd、Ag、Ni、Ru、Rh、Ir、Os、Co、Fe、及びCuからなる群より選択される金属である、請求項19記載のナノ粒子。
【請求項21】
金属触媒分子が、Al2O3、TiO2、Fe2O3、CeO2、CuO、ZnO、SiO2、V2O5、MgO、La2O3、ZrO2、SnO2、MnO2、MoO3、Mo2O5及びゼオライトからなる群より選択される金属酸化物である、請求項19記載のナノ粒子。
【請求項22】
最大直径が約50nm〜約5000nmである、請求項1記載のナノ粒子。
【請求項23】
最大直径が約100nm〜約750nmである、請求項22記載のナノ粒子。
【請求項24】
最大直径が約250nm〜約500nmである、請求項23記載のナノ粒子。
【請求項25】
請求項1〜24のいずれか一項記載のナノ粒子を含む、組成物。
【請求項26】
請求項1〜24のいずれか一項記載のナノ粒子を含む、複合体。
【請求項27】
請求項19〜21のいずれか一項記載のナノ粒子を含む、触媒。
【請求項28】
組成物を、請求項19〜21のいずれか一項記載のナノ粒子に接触させる工程を含む、触媒を組成物に送達する方法。
【請求項29】
触媒が金属または金属酸化物である、請求項28記載の方法。
【請求項30】
以下の工程を含む、請求項1記載のナノ粒子を生産するための方法:
(a) シリカ前駆体、テンプレート分子、及び溶媒を含む組成物を準備する工程であって、テンプレート分子が式:
の化合物であり、
式中、
nが、5〜25の数字であり、
R1が、
または
または
であり、
式中、
X-が、Cl、Br、I、またはFであり、かつ
R2〜R9がそれぞれ独立して、H、Cl、Br、I、OH、及びC1-C10アルキルからなる群より選択される、工程;
(b)(a)の組成物を、熱またはマイクロ波照射にさらす工程であって、シリカを含む粒子が組成物中で形成される、工程;
(c)加熱またはマイクロ波照射された(b)の組成物から、溶媒の一部または全部を取り除き、単離されたシリカテンプレート粒子を生産する工程;及び
(d)(c)の単離されたシリカテンプレート粒子をか焼し、シリカナノ粒子を生産する工程。
【請求項31】
テンプレート分子が、臭化セチルピリジニウム(CPB)である、請求項30記載の方法。
【請求項32】
テンプレート分子が、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムである、請求項30記載の方法。
【請求項33】
溶媒が、シクロヘキサン、ペンタノール、及び水からなる群より選択される一つまたは複数の溶媒を含む、請求項30記載の方法。
【請求項34】
(a)の組成物が尿素をさらに含む、請求項30記載の方法。
【請求項35】
(a)の組成物が熱にさらされる、請求項30記載の方法。
【請求項36】
(a)の組成物がマイクロ波照射にさらされる、請求項30記載の方法。
【請求項37】
リガンドを、(d)のナノ粒子の表面に付着させる工程をさらに含む、請求項30記載の方法。
【請求項38】
リガンドが金属である、請求項37記載の方法。
【請求項39】
金属が、Au、Pt、Pd、Ag、Ni、Ru、Rh、Ir、Os、Co、Fe、及びCuからなる群より選択される、請求項38記載の方法。
【請求項40】
リガンドが金属酸化物である、請求項37記載の方法。
【請求項41】
金属酸化物が、Al2O3、TiO2、Fe2O3、CeO2、CuO、ZnO、SiO2、V2O5、MgO、La2O3、ZrO2、SnO2、MnO2、MoO3、Mo2O5及びゼオライトからなる群より選択される、請求項40記載の方法。
【請求項42】
以下の工程を含む、リガンドに付着した複数の繊維を含むシリカナノ粒子を製造するための方法:
(a) 複数の繊維を含むシリカナノ粒子を得る工程であって、それぞれの繊維が他の一つの繊維と接触しており、それぞれの繊維が、長さが約1nm〜約5000nmであり、かつ太さが約1nm〜約50nmである、工程;及び
(b) リガンドを、ナノ粒子上の繊維に付着させる工程。
【請求項43】
リガンドが触媒である、請求項42記載の方法。
【請求項44】
反応混合物を、請求項19〜21のいずれか一項記載のナノ粒子と接触させる工程を含む、反応混合物中で反応を触媒する方法。
【請求項45】
一つまたは複数のシールされた容器中に、請求項1〜21のいずれか一項記載のナノ粒子を含む、キット。
【請求項46】
ナノ粒子が、クロマトグラフィーカラム中に含まれる、請求項45記載のキット。
【請求項47】
請求項1〜21のいずれか一項記載のナノ粒子を含む固定相を含む、クロマトグラフィーカラム。
【請求項48】
請求項1〜21のいずれか一項記載のナノ粒子を含む、医薬送達装置。
【請求項49】
請求項1〜24のいずれか一項記載のナノ粒子を水または油に接触させる工程を含む、油または水から金属を取り除くための方法であって、該水または油が、金属を含むことが既知であるかまたは金属を含むことが疑われる、方法。
【請求項50】
請求項1〜24のいずれか一項記載のナノ粒子を、エネルギー源に接触させる工程を含む、エネルギーを貯蔵するための方法。
【請求項51】
エネルギー源が水素である、請求項50記載の方法。
【請求項52】
請求項1〜24のいずれか一項記載のナノ粒子を含む、包装材料。
【請求項1】
複数の繊維を含むナノ粒子であって、それぞれの繊維が他の一つの繊維と接触しており、それぞれの繊維が、約1nm〜約5000nmの長さであり、かつ約1nm〜約50nmの太さである、ナノ粒子。
【請求項2】
ナノ粒子がシリカで構成されている、請求項1記載のナノ粒子。
【請求項3】
それぞれの繊維が、約1nm〜約250nmの長さである、請求項1記載のナノ粒子。
【請求項4】
それぞれの繊維が、約1nm〜約25nmの太さである、請求項1記載のナノ粒子。
【請求項5】
それぞれの繊維が、約1nm〜約10nmの太さである、請求項1記載のナノ粒子。
【請求項6】
それぞれの繊維が、約1nm〜約250nmの長さであり、かつ約1nm〜約10nmの太さである、請求項1記載のナノ粒子。
【請求項7】
繊維が、さまざまな太さ及びさまざまな長さである、請求項1記載のナノ粒子。
【請求項8】
繊維が、均一の太さ及び均一の長さである、請求項1記載のナノ粒子。
【請求項9】
約103〜106本の繊維で構成されている、請求項1記載のナノ粒子。
【請求項10】
少なくとも約104本の繊維で構成されている、請求項9記載のナノ粒子。
【請求項11】
少なくとも約105本の繊維で構成されている、請求項10記載のナノ粒子。
【請求項12】
ナノ球体の中で実質的に放射状に配向している複数の繊維から構成されるナノ球体としてさらに規定される、請求項1記載のナノ粒子。
【請求項13】
それぞれの繊維が、約1nm〜約250nmの長さであり、かつ約1nm〜約10nmの太さである、請求項12記載のナノ粒子。
【請求項14】
一つまたは複数の繊維に付着した、一種または複数種のリガンドをさらに含む、請求項1記載のナノ粒子。
【請求項15】
一種または複数種のリガンドが、金属触媒分子、医薬または有機分子である、請求項14記載のナノ粒子。
【請求項16】
リガンドが、リンカーを介して、または単なる吸収もしくは吸着によって繊維に付着している、請求項15記載のナノ粒子。
【請求項17】
リンカーが、アルキル、水素化物、カルベン、カルビン、シクロペンタジエニル、アルコキシド、アミド、またはイミド基を含む、請求項16記載のナノ粒子。
【請求項17】
リンカーが、アルキル、水素化物、カルベン、カルビン、シクロペンタジエニル、アルコキシド、アミド、またはイミド基である、請求項17記載のナノ粒子。
【請求項18】
リガンドが金属触媒分子である、請求項15記載のナノ粒子。
【請求項19】
金属触媒分子が、金属イオンまたは金属酸化物である、請求項18記載のナノ粒子。
【請求項20】
金属触媒分子が、Au、Pt、Pd、Ag、Ni、Ru、Rh、Ir、Os、Co、Fe、及びCuからなる群より選択される金属である、請求項19記載のナノ粒子。
【請求項21】
金属触媒分子が、Al2O3、TiO2、Fe2O3、CeO2、CuO、ZnO、SiO2、V2O5、MgO、La2O3、ZrO2、SnO2、MnO2、MoO3、Mo2O5及びゼオライトからなる群より選択される金属酸化物である、請求項19記載のナノ粒子。
【請求項22】
最大直径が約50nm〜約5000nmである、請求項1記載のナノ粒子。
【請求項23】
最大直径が約100nm〜約750nmである、請求項22記載のナノ粒子。
【請求項24】
最大直径が約250nm〜約500nmである、請求項23記載のナノ粒子。
【請求項25】
請求項1〜24のいずれか一項記載のナノ粒子を含む、組成物。
【請求項26】
請求項1〜24のいずれか一項記載のナノ粒子を含む、複合体。
【請求項27】
請求項19〜21のいずれか一項記載のナノ粒子を含む、触媒。
【請求項28】
組成物を、請求項19〜21のいずれか一項記載のナノ粒子に接触させる工程を含む、触媒を組成物に送達する方法。
【請求項29】
触媒が金属または金属酸化物である、請求項28記載の方法。
【請求項30】
以下の工程を含む、請求項1記載のナノ粒子を生産するための方法:
(a) シリカ前駆体、テンプレート分子、及び溶媒を含む組成物を準備する工程であって、テンプレート分子が式:
の化合物であり、
式中、
nが、5〜25の数字であり、
R1が、
または
または
であり、
式中、
X-が、Cl、Br、I、またはFであり、かつ
R2〜R9がそれぞれ独立して、H、Cl、Br、I、OH、及びC1-C10アルキルからなる群より選択される、工程;
(b)(a)の組成物を、熱またはマイクロ波照射にさらす工程であって、シリカを含む粒子が組成物中で形成される、工程;
(c)加熱またはマイクロ波照射された(b)の組成物から、溶媒の一部または全部を取り除き、単離されたシリカテンプレート粒子を生産する工程;及び
(d)(c)の単離されたシリカテンプレート粒子をか焼し、シリカナノ粒子を生産する工程。
【請求項31】
テンプレート分子が、臭化セチルピリジニウム(CPB)である、請求項30記載の方法。
【請求項32】
テンプレート分子が、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムである、請求項30記載の方法。
【請求項33】
溶媒が、シクロヘキサン、ペンタノール、及び水からなる群より選択される一つまたは複数の溶媒を含む、請求項30記載の方法。
【請求項34】
(a)の組成物が尿素をさらに含む、請求項30記載の方法。
【請求項35】
(a)の組成物が熱にさらされる、請求項30記載の方法。
【請求項36】
(a)の組成物がマイクロ波照射にさらされる、請求項30記載の方法。
【請求項37】
リガンドを、(d)のナノ粒子の表面に付着させる工程をさらに含む、請求項30記載の方法。
【請求項38】
リガンドが金属である、請求項37記載の方法。
【請求項39】
金属が、Au、Pt、Pd、Ag、Ni、Ru、Rh、Ir、Os、Co、Fe、及びCuからなる群より選択される、請求項38記載の方法。
【請求項40】
リガンドが金属酸化物である、請求項37記載の方法。
【請求項41】
金属酸化物が、Al2O3、TiO2、Fe2O3、CeO2、CuO、ZnO、SiO2、V2O5、MgO、La2O3、ZrO2、SnO2、MnO2、MoO3、Mo2O5及びゼオライトからなる群より選択される、請求項40記載の方法。
【請求項42】
以下の工程を含む、リガンドに付着した複数の繊維を含むシリカナノ粒子を製造するための方法:
(a) 複数の繊維を含むシリカナノ粒子を得る工程であって、それぞれの繊維が他の一つの繊維と接触しており、それぞれの繊維が、長さが約1nm〜約5000nmであり、かつ太さが約1nm〜約50nmである、工程;及び
(b) リガンドを、ナノ粒子上の繊維に付着させる工程。
【請求項43】
リガンドが触媒である、請求項42記載の方法。
【請求項44】
反応混合物を、請求項19〜21のいずれか一項記載のナノ粒子と接触させる工程を含む、反応混合物中で反応を触媒する方法。
【請求項45】
一つまたは複数のシールされた容器中に、請求項1〜21のいずれか一項記載のナノ粒子を含む、キット。
【請求項46】
ナノ粒子が、クロマトグラフィーカラム中に含まれる、請求項45記載のキット。
【請求項47】
請求項1〜21のいずれか一項記載のナノ粒子を含む固定相を含む、クロマトグラフィーカラム。
【請求項48】
請求項1〜21のいずれか一項記載のナノ粒子を含む、医薬送達装置。
【請求項49】
請求項1〜24のいずれか一項記載のナノ粒子を水または油に接触させる工程を含む、油または水から金属を取り除くための方法であって、該水または油が、金属を含むことが既知であるかまたは金属を含むことが疑われる、方法。
【請求項50】
請求項1〜24のいずれか一項記載のナノ粒子を、エネルギー源に接触させる工程を含む、エネルギーを貯蔵するための方法。
【請求項51】
エネルギー源が水素である、請求項50記載の方法。
【請求項52】
請求項1〜24のいずれか一項記載のナノ粒子を含む、包装材料。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2013−521212(P2013−521212A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555502(P2012−555502)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【国際出願番号】PCT/IB2010/002421
【国際公開番号】WO2011/107822
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(511286296)キング アブドゥーラ ユニバーシティ オブ サイエンス アンド テクノロジー (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【国際出願番号】PCT/IB2010/002421
【国際公開番号】WO2011/107822
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(511286296)キング アブドゥーラ ユニバーシティ オブ サイエンス アンド テクノロジー (2)
【Fターム(参考)】
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