説明

魚体の眼球部打ち抜き回収装置

【課題】 鰹や鮪などのように、多量の脂肪酸の成分を含んでいる眼球部を、連続自動的に能率よく且つ正確に打ち抜いて回収することができる装置を提供する。
【解決手段】 開閉可能な頭部支持台2と胴部支持台3とを備え、且つ、頭部支持台2に眼球部排出孔4を設けていると共に頭部支持台2の両側方に魚体Aの眼球部Bを眼球部排出孔4上に位置させる頭部挟持手段9を配設してあり、さらに、眼球部排出孔4の上方に眼球部打ち抜き刃体7を昇降自在に配設してこの打ち抜き刃体7により魚体Aの眼球部Bを打ち抜くと共に打ち抜かれた眼球部Bを眼球部排出口4の下面に連結、連通させている吸引ホース25を通じて回収し、眼球部Bの打ち抜き処理後に上記頭部支持台2と胴部支持台3とを同時に開放させて魚体Aを下方に排出するように構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は魚体、特に鰹や鮪等の魚体の眼球とこの眼球周辺部を頭部から打ち抜いて回収する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鰹や鮪の眼球、特に、眼球周辺の脂肪組織部分には栄養素の原料となる成分が多く含まれているため、この魚体の眼球と眼球周辺部(以下、眼球部とする)を頭部から採取すれば多量の成分を効率よく得ることができるが、そのためには、鰹等の魚体の頭部から眼球部だけを打ち抜いて回収する必要がある。魚体の眼球を打ち抜き装置としては、打ち抜く目的が上記のような栄養素などの成分を得るためではなく、小あじなどの比較的小さな魚体を空揚げにする際に、軟らかくならない眼球を除去することによって骨ごと食べることができるようにすることにある点において本発明と相違しているが、例えば、特許文献1に記載されているような打ち抜き装置が考案されている。
【0003】
この特許文献1に記載されている魚体の眼球打ち抜き具は、小あじなどの比較的小さな魚体の眼球のみを打ち抜く道具であって、魚体の頭部を載置し、且つ、その頭部における眼球の載置箇所に上下に貫通した通孔を設けてなる受台と、この受台上に立設した側板にガイドを設けて、このガイドに下端が切刃部に形成されている円筒状の凸パンチを上記通孔と同一中心線上で上下動自在に支持させ、側板に回動自在に支持されているレバーをスプリング力に抗して下方に回動させることにより上記凸パンチを押し下げて、受台上に横臥状態で載置した魚体の眼球をこの凸パンチの下端切刃部によって打ち抜くように構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6−15483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記魚の眼球打ち抜き具によれば、魚体を受台上に供給する際に、魚体の眼球が受台に設けている通孔上に配置されるように位置合わせをしなければならない上に、位置合わせされたことを確認したのち、レバーを操作して凸パンチを下動させることにより魚の眼球の打ち抜きを行わなければならないため、打ち抜き処理に手間取って処理能率が極めて悪いばかりでなく、魚体が上記位置合わせされた姿勢でもって固定されていないために、凸パンチによる眼球打ち抜きの際に、横臥している魚体の背腹方向が水平面に対して傾斜して上側の眼球が正確に打ち抜かれても、下側の眼球の打ち抜きが正確に行われなくなるといった問題点がある。
【0006】
さらに、上記レバーは手動操作によって作動させるものであるから、多大な労力と時間を要して多量の魚体の眼球打ち抜き処理を行う装置としては適さないばかりでなく、凸パンチを回転させることなく剪断作用による押切りであるから、鰹やまぐろなどの比較的大きな魚体の眼球部を打ち抜くにはその作業に困難を伴うものであり、その上、眼球の打ち抜き処理後に、該魚体を受台から人手によって排除しなければ、次の魚体の眼球打ち抜き処理を行うことができなく、処理能力が低下することになる。また、円筒状の凸パンチによって魚体の眼球部を打ち抜くと、打ち抜かれた眼球部が凸パンチ内に詰まって凸パンチによる切断力が低下するといった問題点がある。
【0007】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、鰹や鮪等の比較的大きな魚体の眼球部を迅速に能率よく且つ正確に打ち抜くことができると共に、打ち抜かれた眼球部の回収及び打ち抜き処理された魚体の排除も素早く行うことができる魚体の眼球部打ち抜き回収装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の魚体の眼球部打ち抜き回収装置は、請求項1に記載したように、機台における魚体供給終端部に下方に向かって回動自在に配設され、且つ、その中央部に打ち抜かれる魚体の眼球部排出孔を上下面間に亘って貫設してなる頭部支持台と、横臥状態にして供給される魚体の胴部を支持し、且つ、眼球部が打ち抜かれた際に下方に開放して該魚体を排除する開閉可能な胴部支持台と、上記頭部支持台における眼球部排出孔の上方に上下動自在に且つ回転可能に配設され、下動した際に魚体の眼球部を回転しながら打ち抜いて上記頭部支持台の眼球部排出孔内に突入する下端が打ち抜き刃に形成された円筒形状の眼球部打ち抜き刃体と、上記胴部支持台側から頭部支持台上に供給される魚体の頭部先端を受止して眼球部を頭部支持台の眼球部排出孔上に位置させるストッパと、頭部支持台の両側方に配設されて頭部を下方に離脱可能に挟持する頭部挟持手段と、頭部支持台の下面に一体的に接続してその上端開口部を頭部支持台の上記眼球部排出孔に連通させている吸引ホースと、この吸引ホースを接続させている頭部支持台を下方に回動させて頭部を下方に排出可能にする支持台開閉機構と、この支持台開閉機構と同調して作動する上記胴部支持台の開閉機構とから構成している。
【0009】
このように構成した魚体の眼球部打ち抜き回収装置において、請求項2に係る発明は、胴部支持台の上方に、この胴部支持台上に供給されてくる魚体の頭部を頭部支持台側に送り込んで頭部先端をストッパに受止させる魚体送り込みコンベアを配設していることを特徴とし、請求項3に係る発明は、上記胴部支持台の下方に、眼球部が打ち抜きされた魚体を外部に排出する排出コンベアを設けていることを特徴とする。
【0010】
さらに、請求項4に係る発明は、上記頭部挟持手段を、スプリング力により魚体の頭部を挟持する方向に付勢されている一対のローラから構成していると共に、頭部の顎部を支持する一方のローラには該顎部を受け入れて保持する断面く字状の周溝を備えてあり、頭部の頂部を受止する他方のローラは、周溝を設けることなく頂部を該周面に摺接させながらローラの下端から離脱させることができる円柱形状に形成していることを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、上記頭部支持台の側方に、該頭部支持台上に供給される魚体の頭部を検出して打ち抜き刃体を作動させるセンサを配設していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、機台における魚体供給終端部に下方に向かって回動自在に配設され、且つ、その中央部に打ち抜かれる魚体の眼球部排出孔を上下面間に亘って貫設してなる頭部支持台と、横臥状態にして供給される魚体の胴部を支持し、且つ、眼球部が打ち抜かれた際に下方に開放して該魚体を排除する開閉可能な胴部支持台と、上記頭部支持台における眼球部排出孔の上方に上下動自在に且つ回転可能に配設され、下動した際に魚体の眼球部を回転しながら打ち抜いて上記頭部支持台の眼球部排出孔内に突入する下端が打ち抜き刃に形成された円筒形状の打ち抜き刃体と、上記胴部支持台側から頭部支持台上に供給される魚体の頭部先端を受止して眼球部を頭部支持台の眼球部排出孔上に位置させるストッパと、頭部支持台の両側方に配設されて頭部を挟持する頭部挟持手段とを備えているので、魚体をその背腹方向を水平方向に向けた横臥状態にして胴部支持台上に供給すれば、その頭部が頭部支持台上に達した時にその先端がストッパにより受止されて眼球部の位置を頭部支持台に設けている眼球部排出孔上に簡単且つ正確に位置させることができると共に、頭部支持台の両側方に配設している挟持手段によって頭部が挟持されて頭部をその背腹方向が正確に水平方向に向けた状態、即ち、下側に向けている一方の眼球部を上記眼球部排出孔上に合わせた状態にして上側に向けている他方の眼球部を下側の眼球部に対して垂直上に向けた状態に素早く固定することができる。
【0013】
さらに、頭部支持台における眼球部排出孔の上方に円筒形状の眼球部打ち抜き刃体を上下動自在に且つ回転可能に配設しているので、この眼球部打ち抜き刃体の下動によって頭部支持台上に配置させている上記魚体の頭部における眼球部を打ち抜くことができる。この際、頭部が上記挟持手段によってその上側に向けている眼球部と下側に向けている眼球部とを眼球部排出孔上に正確に位置させた状態で固定していると共に上記打ち抜き刃体は回転しながら下動するので、上側に向けている眼球部から下側に向けている眼球部間を正確に且つ円滑に打ち抜くことができる。
【0014】
その上、頭部支持台の下面に吸引ホースの上端開口部を連通させているので、上記円筒形状の眼球部打ち抜き刃体によって打ち抜かれた眼球部を、この吸引ホースの吸引力によって眼球部排出孔を通じて該吸引ホース内に確実に吸引排除することができ、吸引ホースを通じて眼球部を容器内等に回収して爾後におけるこれらの眼球部からの栄養素等の原料となる成分を効率よく抽出等することができると共に、この吸引ホースを接続させている上記頭部支持台を下方に回動させて頭部を下方に排出可能にする支持台開閉機構と、この支持台開閉機構と同調して作動する上記胴部支持台の開閉機構とを備えているので、これらの開閉機構によって頭部支持台と胴部支持台とを下方に開放させることにより眼球部を打ち抜きされた魚体を直ちに排出することができ、魚体の眼球部打ち抜き回収作業を次々と能率よく確実に行うことができる。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、胴部支持台の上方に、この胴部支持台上に供給されてくる魚体の頭部を頭部支持台側に送り込んで頭部先端をストッパに受止させる魚体送り込みコンベアを配設しているので、胴部支持台上に魚体を供給することによって、この魚体送り込みコンベアにより該魚体を上記ストッパ側に向かって押し進めて素早くその頭部先端をストッパにより受止させると共に挟持部材によりその頭部を挟持させて眼球部打ち抜き態勢となるように位置付けすることができる。
【0016】
また、請求項3に係る発明によれば、上記胴部支持台の下方に、眼球部を打ち抜かれた魚体を外部に排出する排出コンベアを設けているので、この魚体を眼球部打ち抜き装置側から所望の位置まで自動的に排出することができ、従って、その排出によって次の魚体の眼球部打ち抜き処理を円滑に能率よく行うことができる。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、上記頭部挟持手段を、スプリング力により魚体の頭部を挟持する方向に付勢されている一対のローラから構成しているので、頭部支持台上に供給される頭部をこれらのローラによって弾力的に挟圧させてその眼球部を頭部支持台に設けている眼球部排出孔上に素早く且つ正確に位置付けすることができると共に、頭部の顎部側を支持する一方のローラには該顎部を受け入れて支持する断面く字状の周溝を備えてあり、頭部の頂部を受止する他方のローラは、周溝を設けることなく頂部を受止する円柱形状に形成されているので、眼球部の打ち抜き後に胴部支持台と共に頭部支持台を下方に開放させた際に、頭部がこれらのローラに引っかかることなく、一方のローラの周溝に受け入れられている顎部側を支点として他方の円柱形状に形成されているローラに受止されている頭部をこのローラに沿って下方に摺接させながらこれらのローラから確実に離脱させることができ、眼球部が抜き取られた魚体を円滑に下方に排出することができる。
【0018】
請求項5に係る発明によれば、上記頭部支持台の側方に、該頭部支持台上に供給される魚体の頭部を検出して眼球部打ち抜き刃体を作動させるセンサを配設しているので、頭部支持台上に魚体の頭部先端がストッパに当接した状態になると、眼球部打ち抜き刃体が自動的に下動して迅速に魚体の眼球部の打ち抜きを行うことができると共に、眼球部の打ち抜き後に打ち抜き刃体の上動に連続して上記頭部支持台と胴部支持台との開閉機構を開放方向に作動させるように構成しているので、眼球部の打ち抜き処理後、該魚体を直ちに下方に排出することができ、従って、魚体の眼球部自動高速打ち抜き回収処理が可能となるものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明装置の一部を断面した側面図。
【図2】その頭部支持台部分の斜視図。
【図3】眼球部収容タンクを含めた装置全体の側面図。
【図4】2連の装置を並設している簡略平面図。
【図5】魚体の眼球部を打ち抜く直前の状態を示す一部を断面した側面図。
【図6】その頭部支持台部分の斜視図。
【図7】頭部を挟持した一対の挟持ローラの正面図。
【図8】その平面図。
【図9】胴部支持台部分の正面図。
【図10】魚体の眼球部を打ち抜いている状態の一部を断面した側面図。
【図11】その縦断側面図。
【図12】眼球部打ち抜き刃体を上動くさせた直後の頭部支持台部分の斜視図。
【図13】眼球部を打ち抜かれた魚体を下方に排出している状態の側面図。
【図14】その胴部支持台部分の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の具体的な実施例を図面について説明すると、図1〜図4において、1は機台で、その上端面における後端側に鰹や鮪等の魚体Aの供給台1'を設けていると共に前端側に魚体Aの頭部A1を支持する頭部支持台2を配設してあり、さらに、上記供給台1'とこの頭部支持台2との間に魚体Aの胴部A2を支持する胴部支持台3を配設している。上記供給台1'は水平状に配設されている一方、上記頭部支持台2をこの供給台1'よりもやや低い位置に配設していて胴部支持台3をその後端から頭部支持台2に近接している前端に向かって斜め下方に緩やかに傾斜させてあり、供給台1'から頭部支持台2側の魚体Aの供給が容易に且つ確実に行えるようにしている。
【0021】
頭部支持台2の中央部には、後述する打ち抜き刃体7によって打ち抜かれた魚体Aの眼球部Bを下方に排出可能な大きさを有し、且つ、打ち抜き刃体7の径よりもわずかに大径の円形の眼球部排出孔4を上下面間に亘って貫設してあり、さらに、この頭部支持台2を開閉機構5によって下方に回動、開放させて頭部を下方に排出可能に構成している。
【0022】
この開閉機構5は、頭部支持台2の両側面前後部に平行に配設した前後平行リンク5a、5b(図1、図13参照)の後端部をそれぞれ回動自在に枢着していると共にこれらの平行リンク5a、5bの前端部を、頭部支持台2の両側方における機台1の対向側壁面に上記前後枢着部と同一間隔を存して回動自在に枢着し、前側リンク5aの前後枢着部間の長さと後側リンク5bの前後枢着部間の長さを同一にして、平行リンク5a、5bを前側の枢着部を支点として下方に回動させた時に、頭部支持台2を、その眼球部排出孔4を常に上下方向に向けた状態に保持しながら降下させると共にその降下に従って斜め前方に回動移動させて、頭部支持台2による魚体Aの頭部A1の支持を開放させるようにし、さらに、機台1の下部にシリンダ5cを配設すると共に、このシリンダ5cのピストンロッドの先端を、後端を機台1の下部に回動自在に枢着している第1レバー5dの上端部に連結し、この第1レバー5dの上端に、上端を上記前側リンク5aにおける頭部支持台2の一側面に対する枢着部から後方に突出している突端部に回動自在に枢着した第2レバー5eの下端を回動自在に枢着して上記シリンダ5cを作動させることにより、これらの第1、第2レバー5d、5eを介して上記平行リンク5a、5dを作動させ、頭部支持台2による頭部支持部分を開閉させるように構成している。
【0023】
同様に、上記胴部支持台3も開閉機構6によって下方に回動、開放させて魚体Aの胴部A2を下方に排出可能に構成している。胴部支持台3は、図9に示すように、両側の支持台部3a、3aに二分割されてあり、これらの両側支持台部3a、3aの外側端部を、この胴部支持台3を介して対向している機台1の対向壁面に互いに平行に支持されている第1平行回動棒6a、6aに固定して、この第1平行回動棒6a、6aの回動により該回動棒6a、6aを支点として下方に回動させて魚体Aの胴部支持部分の空間部を開放させ、また、上記第1平行回動棒6a、6aを上記と逆方向に回動させることによって胴部支持部分の空間部を閉止するように構成している。
【0024】
この胴部支持台3の開閉機構としては、上記第1平行回動棒6a、6aを支持している機台1の対向壁面における下端面の前後に軸受部材10、10を固定し、これらの両側の前後軸受部材10、10間にそれぞれ第2平行回動棒6b、6bを回動自在に支持させ、これらの第2平行棒6b、6bにレバー6c、6cの外端部を固定すると共にこのレバー6c、6cの内端部と上記両側支持台部3a、3aの対向内端部下面とを連結杆6d、6dによって回動自在に連結し、上記第2平行回動棒6b、6bにレバー6eを介してシリンダ6fのピストンロッドを連結して、このシリンダ6fを作動させることにより、上記両側支持台部3a、3aを上述したように開閉させるように構成している。
【0025】
一方、上記頭部支持台2側においては、この頭部支持台2に設けている眼球部排出孔4の中心線上に、回転しながら魚体Aの眼球部Bを打ち抜く下端が打ち抜き刃7aに形成されている円筒形状の打ち抜き刃体7を上下動自在に配設している。この打ち抜き刃体7の上端中心部に該打ち抜き7と同軸上にして回転軸11の下端を固着してあり、この回転軸11の上端部を、機台1の前端部に立設している固定縦枠1aの後面に沿って上下昇降自在に配設している昇降枠体12の下端部に回転自在に支持させている。さらに、回転軸11の上端にはこの回転軸11と同軸上に、中心にスプライン溝孔を設けている中空軸13の下端部を連結していると共に、この中空軸13の上下端部を昇降枠体12の中央部上下端に回転自在に、且つ、昇降枠体12と一体に昇降可能に支持させている。なお、打ち抜き刃体7の下端部には、打ち抜かれる眼球部Bを受け入れ可能な凹部7bを設けてあり、この凹部7bの奥部にこの凹部7bから外部に連通する空気孔7cを設けている。
【0026】
さらに、上記機台1に設けている固定縦枠1aの上端に後方に横枠1bを一体に設けて、この横枠1bの後端部を固定縦枠1aの上端から後方に突出させてあり、この突出端部に上記中空軸13のスプライン溝孔に上下摺動自在にスプライン嵌合したスプライン軸14の上端部を回転自在に支持してあり、横枠1bの前端部に設置しているモータ15によって、該モータ15の回転軸に固着したプーリ16と、上記スプラライン軸14の上端部に固着したプーリ17間に掛け渡している駆動ベルト18を介してスプライン軸14を回転駆動し、この回転を上記中空軸13を介して打ち抜き刃体7に伝達するようにしている。
【0027】
また、上記固定縦枠1aの後面に上記昇降枠体12を上下昇降可能にガイドするガイドレール19を設けてあり、このガイドレール19に昇降枠体12の前面に設けている係合部材20を上下摺動自在に係合させていると共にこの係合部材20に、固定縦枠1aの一側面に装着したエアシリンダ等の流体圧シリンダ21のピストンロッドを連結して該シリンダ21の作動により上記昇降枠体12を昇降させ、降下(下動)した際に、上記頭部支持台2上に支持されている魚体Aの眼球部Bを打ち抜き刃体7によって頭部A1から打ち抜くように構成している。
【0028】
上記頭部支持台2の前端上方における機台1の上端面に魚体Aの頭部先端を受止するストッパ8(図5、図8参照)を配設してあり、後方側から背腹方向を水平方向に向けた横臥状態にして供給される魚体Aの頭部先端がこのストッパ8に突き当たって受止された時に魚体Aの眼球部Bが頭部支持台2に設けている上記眼球部排出孔4上に位置するように、予め、このストッパ8の配設位置を設定させている。
【0029】
さらに、頭部支持台2の両側方に、魚体Aの頭部A1を挟持して眼球部排出孔4上に直接、重ね合わせている下側の眼球部B1と眼球部打ち抜き刃体7の打ち抜き刃7a側に向かって上向きになっている上側の眼球部B2とが眼球部排出孔4の中心線上、即ち、眼球部打ち抜き7の軸芯直下上に位置させた状態で固定、保持する左右一対のローラ9a、9bからなる頭部挟持手段9を配設している。
【0030】
これらのローラ9a、9bは図2、図4に示すように、水平状に保持された平面視く字状のアーム22の先端部にその上端面中心部を回転自在に支持させてあり、く字状のアーム22の基端部を機台1の両側部上端面上に配設している引っ張りスプリング23の一端に連結し、且つ、この引っ張りスプリング23の他端を機台1に固定すると共に、アーム22の屈折部を機台1上に固定した支軸24の先端に受止させて、この支軸24を支点として上記スプリング23の張引力によりく字状のアーム22を介してローラ9a(9b)を魚体Aの頭部A1を挟持する方向に押圧、付勢してあり、魚体Aが供給されていない状態においてこれらのローラ9a、9bは互いにその上端部対向周面を当接、又は近接させている。
【0031】
さらに、図7、図8に示すように、横臥状態で供給される魚体Aの頭部A1の顎部側を受止して他方のローラ9bと共に頭部A1を挟持する一方のローラ9aは、その周面を顎部を受け入れて保持する断面く字状の周溝9a1 に形成してあり、上下端部は大径部9b2 、9b3 に形成している一方、頭部A1の頂部側を受止する他方のローラ9bは、周溝を設けることなく頭部A1の頂部を受止する部分を、上半部が上端から下端に向かって徐々に小径となる逆截頭円錐形状の柱状部に、下半部がこの柱状部の下端と同一径の柱状部に形成してなる円柱形状部9b1 に形成していると共に上記アーム22の先端部を枢着させている上端部を上記一方のローラ9aの上端部と同一径の大径部9b2 に形成している。
【0032】
また、上記魚体Aの頭部支持台2の下面には、打ち抜かれた眼球部Bを吸引除去する吸引ホース25の上端開口部を一体に連結してその上端開口部を頭部支持台2に設けている眼球部排出孔4に連通させている。この吸引ホース25の他方の開口端部は、図3に示すように、本発明の装置近傍部に設置した眼球部回収容器26の開閉自在な密閉蓋26a を気密状態に貫通してこの眼球部回収容器26の上端部内に臨ませてあり、さらに、眼球部回収容器26の密閉蓋26a と排気装置27との間を排気ホース28により連結、連通させている。従って、排気装置27により排気ホース28を通じて眼球部回収容器26内を脱気していると共に吸引ホース25に吸引力を発生させて、後述するように眼球部打ち抜き刃体7により打ち抜かれた魚体Aの眼球部Bをその吸引力により吸入して回収容器26内に回収、堆積するように構成している。
【0033】
さらに、上記魚体Aの胴部支持台3の上方に、この胴部支持台3上に横臥状態で頭部側から胴部支持台3上に供給される魚体Aを上記頭部支持台2側に送り込む魚体送り込みコンベア29を配設していると共に、胴部支持台3の下方に眼球部Bを打ち抜き処理された魚体Aを外部に排出する排出コンベア30を配設している。なお、この排出コンベア30は魚体Aの眼球部打ち抜き処理作業中には常に作動させている。
【0034】
一方、上記頭部支持台2の側方に、図7に示すように、魚体Aの頭部A1が頭部支持台2上に供給されたことを検知する投受光器からなる光電センサ31が設置されてあり、この光電センサ31によって頭部A1の供給が検出された時に、上記眼球部打ち抜き刃体7を作動させる制御回路(図示せず)を設けていると共にこの制御回路中に眼球部打ち抜き刃体7が上昇した時に上記頭部支持台2の開閉機構5と胴部支持台3の開閉機構6とを同時に作動させる回路を組み込んでいる。
【0035】
このように構成した魚体の眼球部自動打ち抜き装置によって魚体A(例えば鰹)の眼球と眼球周辺部、即ち、眼球部Bを打ち抜くには、まず、機台1の後端部に設けている供給台1'上に、図1に示すように魚体Aをその背中側を上記頭部挟持手段9における頭部A1の頂部を受止するローラ9b側に向け、且つ、頭部を前方に向けた横臥状態にして載置し、作業員によってこの魚体Aを供給台1'上から胴部支持台3上に向かって送り込む。なお、作業員によることなく、上記のような横臥状態にした魚体Aをコンベアにより供給台1'上に搬入し、供給台1'上に達した魚体Aを眼球部打ち抜き作業時間毎に順次、胴部支持台3側に押し込み手段によって送り込むようにしてもよい。
【0036】
魚体Aが胴部支持台3上に送り込まれると、この胴部支持台3の上方に配設している送り込みコンベア29によって該魚体Aを強制的に押し進めて図5、図6に示すようにその頭部先端を瞬時に上記ストッパ8に当接、受止させると共に頭部先端がストッパ8に当接、受止された後においても、該送り込みコンベア29が魚体Aの上向きになっている側面に摺接してその押し込み力を該魚体Aに作用させ、魚体Aが不測に後退したり妄動するのを防止している。
【0037】
また、この送り込みコンベア29によって魚体Aが押し進められてその頭部A1が頭部支持台2上に達する時に、該頭部A1がその先端から頭部挟持手段9である左右一対のローラ9a、9b間に突入し、これらのローラ9a、9bの対向周面間を引張りスプリング23、23の引張力に抗して押し広げながら頭部先端を上述したようにストッパ8に当接、受止させるが、この際、魚体Aの眼球部Bが頭部支持台2に設けている眼球部排出孔4に対して左右にズレることなくこの眼球部排出孔4上に来るように左右一対のローラ9a、9bの挟圧位置を設定している。さらに、図7に示すようにこれらのローラ9a、9bにおける一方のローラ9aの周面に設けている断面く字状の周溝9b1 によって頭部A1の顎部が嵌合状態で受け入れられて上下方向に妄動不能に保持され、且つ、他方のローラ9bの円柱形状部9b1 に頭部A1の頂部が受止されている。
【0038】
従って、上記胴部A2上を押圧している送り込みコンベア29と共にこれらの左右一対のローラ9a、9bによって、眼球部排出孔4上に直接、重ね合わせている下側の眼球部B1と眼球部打ち抜き刃体7の打ち抜き刃7a側に向かって上向きになっている上側の眼球部B2とが眼球部排出孔4の中心線上、即ち、眼球部打ち抜き7の軸芯直下上に位置させた状態に保持することができる。
【0039】
魚体Aの頭部A1が頭部支持台2上に達すると、光電センサ30がそれを検出してシリンダ21を昇降枠体12が降下する方向に作動し、昇降枠体12に回転自在に配設している打ち抜き刃体7が昇降枠体12と共に降下(下動)して、モータ15により打ち抜き刃体7を回転させながらこの打ち抜き刃体7の打ち抜き刃7aによって眼球とその周辺部とからなる眼球部Bを打ち抜く(図10、図11参照)。なお、打ち抜き刃体7の回転は、光電センサ30によることなく眼球部打ち抜き処理中に連続的に回転させておいてもよい。
【0040】
打ち抜き刃体7の打ち抜き刃7aが上側の眼球部B2から下側の眼球部B1を貫通するまでは、この打ち抜き刃7aによって打ち抜かれた眼球部Bが打ち抜き刃体7の凹部7b内に受け入れられて収容され、打ち抜き刃7aが頭部支持台2に設けている眼球部排出孔4内にまで突入すると、凹部7b内に収容されている眼球部Bが吸引ホース25の吸引力によって眼球部排出孔4を通じて吸引ホース25内に吸入される。この際、上記凹部7bの奥部に外部に連通した空気孔7cを設けているので、凹部7b内に収納されている眼球部Bの背部側に該空気孔7cを通じて外気を送り込みながら、上記吸引ホース25の吸引力によって瞬時に凹部7bから吸引ホース25内に吸入させることができる。吸引ホース25内に吸入された眼球部Bは、眼球部回収容器26内に回収され、堆積する。そして、この堆積した眼球部Bは健康栄養素の原料、或いは、食品の原料とする。
【0041】
一方、打ち抜き刃体7は、制御回路によって魚体Aの眼球部Bの打ち抜き後から上昇して図12、図13に示すように元の位置に復帰するまで作動し、元の位置に復帰するか、或いは、打ち抜き刃体7が頭部A1から離脱して元の位置に復帰する途上において、昇降枠体12又はこの昇降枠体12を上下動させるシリンダ21のピストンロッド等によってリミットスイッチ等の検知器(図示せず)が作動してこの検知器により頭部支持台2の開閉機構5と胴部支持台3の開閉機構6とを同時に作動させて頭部支持台2と胴部支持台3とが下方に開放し、眼球部Bを打ち抜かれた魚体Aを図13に示すように、下方に配設している排出コンベア30上に落下させ、該排出コンベア30によって機外の所定場所に搬送する。
【0042】
上記頭部支持台2の開閉機構5の作動は、検知器によってシリンダ5cのピストンロッドが伸縮することによって行われる。即ち、頭部支持台2によって魚体Aの頭部A1を支持している状態からシリンダ5cのピストンロッドを収縮させると、第1、第2レバー5d、5eが図12に示すように、互いに前方に向かってく字状に屈折して第2レバー5eの上端が下方に向かって斜め前方に移動し、この第2レバー5eと連結している平行リンク5a、5dが機台1に枢着している前端部を支点として下方に向かって回動してこれらの平行リンク5a、5dの後端間に枢着、支持されている頭部支持台2が吸引ホース25と一体的に第2レバー5eの先端と同様に下方に向かって斜め前方に移動してそれまで頭部支持台2によって閉止されていた空間部を開放する。
【0043】
一方、上記胴部支持台3の開閉機構5の作動も上記検知器によって頭部支持台2と同時に行われる。即ち、検出器によってシリンダ6fが作動し、レバー6eを介して第2平行回動棒6b、6bを回動させてこれらの第2平行回動棒6b、6bに外端部を固着している両側のレバー6c、6cを図14に示すように、それぞれ上方に向かって回動させ、この回動によって連結杆6d、6dを介して胴部支持台3を構成している両側支持第部3a、3aを第1平行回動棒6a、6aを支点としてそれぞれ下方に向かって回動させてそれまで胴部支持台3により閉止されていた空間部を開放させる。
【0044】
このように、頭部支持台2と胴部支持台3とが同時に開放して眼球部打ち抜き処理された魚体Aを下方の排出コンベア上に落下させたのち、直ちに、頭部支持台開閉機構5のシリンダ5cがそのヒストンロッドを伸長させる方向に作動させると共に胴部支持台開閉機構6のシリンダ6fが上記と逆方向に作動して図1に示すように頭部支持台2と胴部支持台3とを同時に元の閉止位置に復帰させ、次の魚体Aを上記のように胴部支持台3側に供給して再び上記同様にしてその魚体Aの眼球部打ち抜き処理を行うものである。
【符号の説明】
【0045】
1 機台
2 頭部支持台
3 胴部支持台
4 眼球部排出孔
5 頭部支持台の開閉機構
6 胴部支持台の開閉機構
7 打ち抜き刃体
8 ストッパ
9 頭部挟持手段
21 打ち抜き刃体昇降用シリンダ
25 吸引ホース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機台における魚体供給終端部に下方に向かって回動自在に配設され、且つ、その中央部に打ち抜かれる魚体の眼球部排出孔を上下面間に亘って貫設してなる頭部支持台と、横臥状態にして供給される魚体の胴部を支持し、且つ、眼球部が打ち抜かれた際に下方に開放して該魚体を排除する開閉可能な胴部支持台と、上記頭部支持台における眼球部排出孔の上方に上下動自在に且つ回転可能に配設され、下動した際に魚体の眼球部を回転しながら打ち抜いて上記頭部支持台の眼球部排出孔内に突入する下端が打ち抜き刃に形成された円筒形状の眼球部打ち抜き刃体と、上記胴部支持台側から頭部支持台上に供給される魚体の頭部先端を受止して眼球部を頭部支持台の眼球部排出孔上に位置させるストッパと、頭部支持台の両側方に配設されて頭部を下方に離脱可能に挟持する頭部挟持手段と、頭部支持台の下面に一体的に接続してその上端開口部を頭部支持台の上記眼球部分排出孔に連通させている吸引ホースと、この吸引ホースを接続させている頭部支持台を下方に回動させて頭部を下方に排出可能にする支持台開閉機構と、この支持台開閉機構と同調して作動する上記胴部支持台の開閉機構とから構成していることを特徴とする魚体の眼球部打ち抜き回収装置。
【請求項2】
胴部支持台の上方に、この胴部支持台上に供給されてくる魚体の頭部を頭部支持台側に送り込んで頭部先端をストッパに受止させる魚体送り込みコンベアを配設していることを特徴とする請求項1に記載の魚体の眼球部打ち抜き回収装置。
【請求項3】
胴部支持台の下方に、眼球部が打ち抜きされた魚体を外部に排出する排出コンベアを設けていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の魚体の眼球部打ち抜き回収装置。
【請求項4】
頭部挟持手段は、スプリング力により魚体の頭部を挟持する方向に付勢されている一対のローラからなり、頭部の顎部を支持する一方のローラには該顎部を受け入れて保持する断面く字状の周溝を備えてあり、頭部の頂部を受止する他方のローラは、周溝を設けることなく頂部を該周面に摺接させながらローラの下端から離脱させることができる円柱形状に形成していることを特徴とする請求項1に記載の魚体の眼球部打ち抜き回収装置。
【請求項5】
頭部支持台の側方に、該頭部支持台上に供給される魚体の頭部を検出して打ち抜き刃を作動させるセンサを配設していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の魚体の眼球部打ち抜き回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−223905(P2011−223905A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−95156(P2010−95156)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【出願人】(000004189)日本水産株式会社 (119)
【出願人】(000222794)東洋水産機械株式会社 (8)
【Fターム(参考)】