説明

鮮度保持機能を着体に与えるセム加工肌着・着物。

【課題】水分保持剤や抗菌剤などの化学薬品等の薬剤を使用せず、鮮度保持機能を着体に与えるセム(商標登録)加工肌着・着物。肌着自体の鮮度保持ではなく、セム加工した肌着を着用した人や物の鮮度が保持できることを特徴とする。
【解決手段】本発見による肌着・着物はセム加工水での加工により鮮度保持を着体に与える機能を有しており、セム加工着衣を被せた食品や着用者の鮮度が持続され、より快適な衣生活が送れる。例えば、化学薬品による皮膚障害がなく、鮮度保持、現状維持効果により人体に必要な水分量をバランスよく保ち、肌荒れやかぶれや痒み、乾燥から生じる静電気等を抑えられ、雑菌の増殖スピードも遅らせる。又、アトピー性皮膚炎や水虫等の悪化を抑え、風呂上りの爽快感を長持ち出来る。洗濯を繰り返しても、洗濯をせずに数日間着用を続け汗や脂、埃などで肌着が汚れても肌の鮮度保持効果がある。低コストである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発見は、着用した人や物の鮮度保持効果(水分保持効果、制菌防臭効果)を発揮し得る肌着(ランニングシャツ、半袖シャツ、長袖シャツ、モモヒキ、トランクス)、ランジェリー(ブラジャー、ショーツ、パンツ、スパッツ)、パンティストッキング(ストッキング、スパッツ)、ソックス(靴下)、寝具(パジャマ、ネグリジェ、寝巻き)などの着物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、着体に鮮度保持効果を持たせる肌着・着物は、存在していない。
【0003】
水分保持や抗菌防臭加工を施した肌着は存在するが、現存するそういった肌着は生地そのものに効果があって、着用するだけで着用した肌や覆った食品の鮮度保持効果(水分保持効果や抗菌防臭効果)を発揮する肌着・着物は現在、存在していない。
【0004】
従来の肌着や生地そのものの水分保持や抗菌防臭加工の大半は、化学薬品を使用して肌着や生地に加工(付着させる加工方法の場合には定着剤等の化学薬品を使用するか、練り込み型の加工方法等が通常である)を施しているため、長時間着用した人や敏感肌の人は、化学薬品による肌荒れや痒み、かぶれ等の皮膚障害が生じる不具合があった。
【0005】
従来の抗菌剤などの化学薬品を使用した加工をする工場では、加工後の化学薬品の廃水処理に特別な手間が必要となり、また、環境汚染の原因となる不具合があった。
【0006】
従来の化学薬品を付着させたり練り込んだりする肌着(生地)への加工方法の場合、例えば、抗菌剤を使用した抗菌加工肌着では雑菌などが肌着上のその薬剤に直接接触しないと効果を発揮しないという不具合があったり、付着型の加工方法の場合、洗濯を繰り返すと化学薬品(薬剤)が落ちてしまう不具合があった。
また、抗菌剤などの化学薬剤の上に埃や汚れが付着したら効果を発揮しなくなるという不具合もあった。
【0007】
従来、肌着・着物に何らかの付加価値を施す際には、加工剤などを使用する工程を1つ以上増やす必要があり、コストアップに繋がる不具合があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の通り、このセム加工肌着・着物は、肌着・着物そのものではなく、それらを着用した人や物の鮮度保持(水分保持効果、制菌防臭効果)を現実にする。
【0009】
肌着や生地そのものが水分保持効果や抗菌防臭効果を持っていても実際に着用する人の水分保持効果や制菌防臭効果ができなければ意味がないため、実際に着用した人の肌の水分量を測定する試験を行った。
繊維業界が推奨する公的試験機関では、肌着・着物そのものの生地での水分保持や抗菌性の有無を試験することに留まっており、実際に着用した人の水分保持や抗菌性の有無を確かめる試験機関がなかったため、特別にモニターを募り、実際にセム加工肌着・着物を着用してもらい、セム加工と無加工着用後の肌の水分量を測定した。
【0010】
神奈川県横浜市立大学病院に試験を依頼した。水分保持効果を実証。
試験方法:セム加工した生地と無加工の生地で長袖を作成し、同一人物の右腕と左腕に午前9時より4時迄着用してもらった。測定は、着用前、1日目、4日目、7日目(着用→洗濯→着用→洗濯を繰り返しながら)、肌着着用部位(腕部)6箇所の水分量を測定した。水分量測定は、同一箇所5回の平均値を採用した。
水分量測機器:皮膚水分量CM820(Coourage−Khazaka electronic Gmbh.Cologne西ドイツ製)
測定場所:実験室 温度23〜25度 湿度50〜60%
試験結果:セム加工側袖を着用した腕の水分量は、無加工袖を着用した腕の水分量よりも多いことが6人全員にその効果が認められ、特に2人は顕著な差が認められた。
考察:セム加工側袖着用の皮膚(角質層)の水分量が徐々に増加する傾向が4人にみられた。また、2人はセム加工着用側の肌がスベスベ、サラサラになったと感想を述べている。
【0011】
抗菌性に関しては、繊維業界が推奨する公的試験機関では、黄色葡萄状球菌や大腸菌等の単体の菌、しかも試験機関で特別に培養した菌のみでの抗菌性の試験方法のため、実際に着用した人の汗や脂、埃や汚れなどが混ざった生活環境での試験方法がなされていなかった。
セム加工肌着・着物のテストは、モニターを募り、着用後の生地の制菌や着用後の肌の制菌性がどうか、実際に着用する環境に合わせた試験を試みた。
【0012】
神奈川県横浜市立大学病院に試験を依頼した。制菌防臭効果を実証。
試験方法:同一人物の片腕にセム加工袖を、反対側の片腕に無加工袖を着用→洗濯を繰り返し7日間着用してもらい、七日目の着用後の着用部位(上腕部肌)の細菌量をフードスタンプ培地で判定した。
袖(生地)の菌数は布1gを秤量し滅菌生理食塩水1ml加え震盪後0.1mlを寒天培養地シャーレ上に拡散し48時間後にコロニーを数えた。
試験場所:実験室 温度23〜25度 湿度50〜60%
試験結果:6名中4名分の袖にセム加工側の雑菌が少なく、無加工側に比べて制菌防臭効果が顕著に見られた。
【0013】
セム加工水での物理的加工で、水分保持剤や抗菌防臭加工剤などの化学薬品を使用せず、肌着・着物にセム加工を施すことで長時間着用を続けても薬剤による肌荒れや痒み、かぶれを生じさせない。
【0014】
生活科学研究所に試験を依頼した。安全性を実証。
試験方法:男性10名、女性10名の被験者を対象としセム加工を施した生地を1.5cm×1.5cm四方に切断して上腕部皮膚面にあて、その上よりパッチテスト用絆創膏にて接着せしめた。また対照物質としてパッチテスト用絆創膏円形布地部をブランクとして被験物質に並列して同皮膚面に接着せしめた。而して48時間後に絆創膏を取り除き、被験物質および対象物質負荷部の皮膚症状を肉眼的に観察、評価する。
評価結果:20名全員において刺激性反応は、全く認められなかった。
【0015】
洗濯を繰り返しても、逆に洗濯をせずに埃や汚れが付着していても、着用した人への鮮度保持効果が変わらない。
【0016】
神奈川県横浜市立大学に試験を依頼した。耐洗濯性と無洗濯時の効果を実証。
試験方法:セム加工した生地と無加工の生地で長袖(腕部)を作成し、それぞれ洗濯を30回繰り返した袖を同一人物の右腕と左腕にセム加工袖と無加工袖を午前9時より4時迄7日間連続して着用し着用部位(上腕)の水分量を6箇所測定した。測定は、着用前と7日目、袖着用後の腕部の水分量を測定した。水分量測定は、同一箇所5回の平均値を採用した。
水分量測機器:皮膚水分量CM820(Coourage−Khazaka electronic Gmbh.Cologne西ドイツ製)
測定場所:実験室 温度23〜25度 湿度50〜60%
試験結果:セム加工側袖を着用したとき無加工袖を着用した場合より水分保持に有効であることが6人のうち全員にその効果が認められ、内2人は特に顕著に認められた。セム加工は洗濯を繰り返しても、洗濯をしなくても効果がみられる。
考察:セム加工袖を着用したとき着用側の皮膚(角質層)の水分量が少しの例外を除いて着用前より着用後に増加している傾向が全員にみられた。また、4人はセム加工着用側の肌のしっとり感、さらさら感を感じている。
【0017】
加工工場での排水も水道水と同じ扱いで環境汚染を起こす心配がない。
【0018】
セム加工水は、水道水と同じ扱いができるこということで、肌着・着物を製造する工程で、染色や色止め、洗いなど水道水を使用する工程であればどこでも混入できる。特別なセム加工工程を増やさずに加工でき、コストアップさせない。
【0019】
製品によっては、柔軟材や着色剤などを減らせる効果もあり、コストダウンにも役立たつ。
【課題を解決するための手段】
【0020】
オゾンガスを混入した水道水に、高電圧を与える加工を施した水(セム加工水と呼ぶ)に浸けた(または噴霧した)肌着をセム加工肌着・着物と呼び、セム加工肌着・着物を着用した人や物の鮮度保持効果を実現させることに成功した。
【0021】
セム加工水は、抗菌剤などの化学薬品ではなく、水道水に機能を持たせた加工水なので、セム加工後の肌着・着物から加工水が溶け出す心配が全くなく、化学薬品による肌荒れや痒み、かぶれ等の皮膚障害の原因になることもありません。
化学薬品を使用しないことで、セム加工水を扱う作業者の肌荒れや痒み、かぶれ等の皮膚障害を起こす心配もない。
【0022】
加工工場での廃水処理に特別な手間をかけることもなく、環境汚染をしないことが現実となります。
【0023】
少量の加工も大量の加工もでき、特別な装置も必要ありませんので経済的です。
【0024】
洗濯を繰り返しても、洗濯をせずとも鮮度保持効果は変わらない。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、上記事項に鑑み、水分保持剤や抗菌剤などの化学薬品を一切使用しない、セム加工水を肌着・着物に施すことにより、化学薬品に起因する皮膚障害や環境汚染の問題を生じさせる心配がないばかりか、洗濯を繰り返しても、洗濯をしなくても、セム加工肌着・着物を着用した人や物の鮮度保持(水分保持効果や制菌防臭効果)を持続させることが可能な、鮮度保持機能を着体に与えるセム加工肌着、着衣であることを発見した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
セム加工水を加工したい肌着の生地・着物の生地に浸すのだが、その生地の色止めや洗いの工程で水道水(工場の水道水でよい)を使用する工程に追加する。
特に、温度や湿度に関係なく追加すればよい。
【実施例】
【0027】
肌着にセム加工を施す場合には、肌着生産時の生地を着色、又は漂白する釜にセム加工水を1/1000混入する。その後は、通常の肌着生産ラインのままでよい。
【0028】
パンティストッキングにセム加工を施す場合には、ストッキングの色を定着させる色止めの釜の中に1/1000セム加工水を混入する。その後は、通常の肌着生産ラインのままでよい。
【0029】
靴下にセム加工を施す場合には、縫製の済んだ靴下をスチームでセット(かかと部分の型をつける)をする工程がある。その時のスチーム(水蒸気)に1/1000セム加工水を混入し、その後は、通常の靴下製造ラインのままでよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鮮度保持機能を着体に与えるセム(商標登録)加工肌着・着物。肌着自体の鮮度保持ではなく、セム加工した肌着を着用した人や物の、鮮度が保持できることを特徴とする。