説明

鶏コンテナー及びその消毒装置

【課題】洗浄時に上部蓋を外す作業が不必要な鶏コンテナー、及び、迅速かつ効率的に鶏コンテナーの消毒を行う鶏コンテナー消毒装置を提供する。
【解決手段】鶏コンテナー20は、複数の通気孔が設けられたプラスチック製の本体と、中央部に鶏を出し入れするための開閉扉を有し、プラスチック本体との隙間が所定範囲内の間隔で取り付けられた鉄製の格子状の上部蓋とを備える。鶏コンテナー消毒装置1は、消毒液を供給する消毒液供給装置10と、複数の鶏コンテナー20を移動させるコンベアー3と、コンベアー5の上下左右を数mにわたって囲うように設置された門形状のゲート本体2と、消毒液を通し、ゲート本体2に取り付けられた配管と、配管に接続され、消毒液をコンベアー3の上に乗せられて順次送られてくる鶏コンテナー20に噴射するための複数の噴射ノズル4a〜4dとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロイラー、成鶏の鶏専用の移動用コンテナー及びその消毒装置に関する。
【背景技術】
【0002】
養鶏場においては、ブロイラー、成鶏(淘汰鶏等)を移動するために鶏専用コンテナーが用いられる。鶏専用コンテナーには、通気性や運搬性が良いこと、強固で軽量であること等が求められる(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、各養鶏場から鶏コンテナーを各地に運搬するために車両が用いられるが、農場に出入りする車両には農場などで発生した各種の雑菌やウイルスが付着していることが多く、車両を消毒しない場合には農場で発生した雑菌等を農場外に出したり、他の農場で発生した雑菌等を農場に持ち込んだりすることになり、それにより多くの農場等に雑菌等が蔓延してしまう。また、雑菌等を付着させて道路上を移動することは、社会の公衆衛生にも影響する。特に、養鶏場においては、鳥インフルエンザ等の伝染病の蔓延を防止することが極めて重要である。
【特許文献1】特開平6−245664号公報(図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の鶏コンテナーはプラスチック製の本体にプラスチック製の上部蓋を嵌め込んで使用する形態をとっている場合が多い。この場合には使用時に上部蓋が外れてしまう問題がある。一方、本体に上部蓋を固定して使用する形態をとる場合には、使用時に上部蓋が外れてしまうことはないが、洗浄時に上部蓋を外す作業が生じたり、洗浄のための時間が多くかかり不便であるという問題がある。また、上部蓋がプラスチック製では強度的に問題があり、耐用年数も短い。
【0005】
また、鶏コンテナーの消毒に関しては人手に頼ることが多く、迅速かつ効率的に鶏コンテナーの消毒を行う装置が強く要望されている。
【0006】
そこで、本発明は、洗浄時に上部蓋を外す作業が不必要な鶏コンテナー、及び、迅速かつ効率的に鶏コンテナーの消毒を行う鶏コンテナー消毒装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明に係る鶏コンテナー消毒装置は、消毒液を供給する消毒液供給手段と、消毒対象の鶏コンテナーを運ぶ移動手段と、前記移動手段を囲う枠組と、前記消毒液供給手段から供給される前記消毒液を通し、前記枠組に取り付けられた配管と、前記配管に接続され、前記消毒液を前記枠組の内側に噴射するための複数の噴射ノズルとを備えることを特徴とする。
【0008】
また、消毒液を供給する消毒液供給手段と、消毒対象の鶏コンテナーを囲う枠組と、前記枠組を移動させる移動手段と、前記消毒液供給手段から供給される前記消毒液を通し、前記枠組に取り付けられた配管と、前記配管に接続され、前記消毒液を前記枠組の内側に噴射するための複数の噴射ノズルとを備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る鶏コンテナーは、複数の通気孔が設けられた本体と、扉を有し、前記本体との隙間が所定範囲内の間隔で取り付けられた格子状の上部蓋とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る鶏コンテナーの消毒装置によれば、迅速かつ効率的に鶏コンテナーの消毒を行うことができ、鳥インフルエンザ等の伝染病の蔓延を防止することができる。
【0011】
また、本発明に係る鶏コンテナーによれば、使用時に上部蓋が外れてしまうことがなく、また、洗浄時に上部蓋を外す作業も必要でない。また、通気性や運搬性が良く強固で軽量である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下では、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明を行う。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の実施例1に係る鶏コンテナー消毒装置の斜視図である。鶏コンテナー消毒装置1は、消毒液を供給する消毒液供給装置10と、消毒液供給装置10から供給される消毒液を通すホース9と、複数の鶏コンテナー20を移動させるコンベアー3と、コンベアー3を駆動するためのモーター5と、コンベアー5の上下左右を数mにわたって囲うように設置された門形状のゲート本体(枠組)2と、消毒液を通し、ゲート本体2に取り付けられた配管(不図示)と、配管に接続され、消毒液をゲート本体2の内側のコンベアー3の上に乗せられて順次送られてくる鶏コンテナー20に噴射するための複数の噴射ノズル4a〜4dとを備える。
【0014】
噴射ノズル4a、4bはゲート本体2の支柱の両横から内側に、噴射ノズル4cは支柱の上から下方に、噴射ノズル4dは支柱の下から上方にそれぞれ消毒液を噴射して、鶏コンテナー20を効率的に消毒漏れの箇所のないように設置されている。
【0015】
次に、消毒作業について説明を行う。ユーザーは、消毒液供給装置10とモーター5の駆動スイッチをオンにして、コンベアー3が動作し、消毒液が複数の噴射ノズル4a〜4dから噴射される状態にした後、コンベアー3の上に複数の鶏コンテナー20を順次のせていくことによって、鶏コンテナー20はゲート本体2内に供給され、自動的に消毒された後、コンベアー3によってゲート本体2の他方側に排出される。ユーザーがその消毒された鶏コンテナー20を順次回収することで消毒作業が終了する。
【0016】
ゲート本体2におけるコンベアー3と平行の方向の長さを長くする、又は、複数の噴射ノズル4a〜4dによる消毒液の供給を増加することにより、モーター5により高速運転を行っても、鶏コンテナー20の消毒が十分に行われるので、短時間に鶏コンテナー20の消毒作業を完了することが可能である。
【0017】
このように、本発明に係る鶏コンテナー消毒装置によれば、迅速かつ効率的に鶏コンテナーの消毒を行うことができる。
【実施例2】
【0018】
図2は、本発明の実施例2に係る鶏コンテナーの斜視図である。鶏コンテナー20は、底面及び4つの側面に複数の通気孔が設けられたプラスチック製の本体21と、中央部に鶏を出し入れするための適度なサイズの開閉扉25を有し、プラスチック本体21との隙間が所定範囲内の間隔で取り付けられた鉄製の格子状の上部蓋22とを備える。
【0019】
鶏コンテナー20は、省力化設計がなされており、プラスチック本体21の上部外周には金具等の突起物がなく、また、上部蓋22は本体21の最上部の高さよりも数cm低い位置に設置されているため、トラック等への積みおろし等の際に引っ掛かることがなくスムーズな作業が可能である。
【0020】
さらに、上部蓋22とプラスチック本体21との隙間が広くなっているため、水洗時に中に残存している鶏の羽根等がその隙間から流出しやすくなり、鶏コンテナー20の水洗時間が従来よりも短縮できる。
【0021】
また、上部蓋22が鉄製であるため強固で破損しにくく、四種メッキを使用しているのでさびにくい。また、プラスチック本体21の両側の長側壁の外側に各2ヶ所の計4ヶ所で割りピン23により取り付けられているため、上部蓋22を脱着する場合にも作業が容易である。なお、約4.6kgと比較的軽量であるので取り扱いに便利である。
【0022】
このように、本発明に係る鶏コンテナーは、使用時に上部蓋が外れてしまうことがなく、また、洗浄時に上部蓋を外す作業も必要でない。なお、上部蓋を外す必要があるときでも簡便に作業が行える。
【0023】
以上、本発明に係る鶏コンテナー及びその消毒装置の実施例について説明を行ったが、本発明に係る鶏コンテナー及びその消毒装置は説明を行った実施例に限定はされない。例えば、本発明は、鶏以外の鳥類やその他の動物用のコンテナー及びその消毒装置として適用してもよい。また、鶏コンテナー消毒装置の形状は門形状でなくてもよく、円形状等であってももちろん良い。また、鶏コンテナーを運ぶ移動部はコンベアーでなくとも、リフト状のもの等であってもよい。
【0024】
さらに、鶏コンテナー消毒装置において、実施例1で説明を行ったような鶏コンテナーを移動部により移動させる方式をとる代わりに、鶏コンテナーを固定させ、鶏コンテナーを囲うゲート(枠組)と、ゲートを鶏コンテナーの前後方向に移動させる移動部とを備えるように構成してもよく、この場合においても実施例1と同様の効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、養鶏場に設置される鶏コンテナー及びその消毒装置等に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例1に係る鶏コンテナー消毒装置の斜視図である。
【図2】本発明の実施例2に係る鶏コンテナーの斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
1 鶏コンテナー消毒装置
2 ゲート本体
3 コンベアー
4a〜4d 噴射ノズル
5 モーター
9 ホース
10 消毒液供給装置
20 鶏コンテナー
21 プラスチック本体
22 上部蓋
23 割りピン
25 扉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消毒液を供給する消毒液供給手段と、
消毒対象の鶏コンテナーを運ぶ移動手段と、
前記移動手段を囲う枠組と、
前記消毒液供給手段から供給される前記消毒液を通し、前記枠組に取り付けられた配管と、
前記配管に接続され、前記消毒液を前記枠組の内側に噴射するための複数の噴射ノズルとを備えることを特徴とする鶏コンテナー消毒装置。
【請求項2】
消毒液を供給する消毒液供給手段と、
消毒対象の鶏コンテナーを囲う枠組と、
前記枠組を移動させる移動手段と、
前記消毒液供給手段から供給される前記消毒液を通し、前記枠組に取り付けられた配管と、
前記配管に接続され、前記消毒液を前記枠組の内側に噴射するための複数の噴射ノズルとを備えることを特徴とする鶏コンテナー消毒装置。
【請求項3】
複数の通気孔が設けられた本体と、
扉を有し、前記本体との隙間が所定範囲内の間隔で取り付けられた格子状の上部蓋と
を備えることを特徴とする鶏コンテナー。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−89531(P2007−89531A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−286319(P2005−286319)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(594208477)ヨシダエルシス株式会社 (6)
【Fターム(参考)】