鶏舎の消臭システム
【課題】 鶏舎から排出される鶏糞の臭気、鶏の体臭、餌の臭気などの複合した臭気を消臭させるシステムを提供する。
【解決手段】 鶏舎1内に、鶏を飼育するケージ11と、該ケージ11から排出された鶏糞を回収する回収手段16とが設けられるとともに、該鶏舎1内を換気する換気手段が設けられた鶏舎の消臭システムであって、前記鶏舎1内に、前記回収手段16により回収した鶏糞に向けて消臭ガスを噴射させる噴射管20を設けるとともに、該噴射管20に消臭ガスを供給する消臭ガス供給源26を接続した鶏舎の消臭システム。
【解決手段】 鶏舎1内に、鶏を飼育するケージ11と、該ケージ11から排出された鶏糞を回収する回収手段16とが設けられるとともに、該鶏舎1内を換気する換気手段が設けられた鶏舎の消臭システムであって、前記鶏舎1内に、前記回収手段16により回収した鶏糞に向けて消臭ガスを噴射させる噴射管20を設けるとともに、該噴射管20に消臭ガスを供給する消臭ガス供給源26を接続した鶏舎の消臭システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鶏舎の消臭システムに関し、特に、養鶏場の鶏舎から発生する各種の臭気を消臭するのに有効な鶏舎の消臭システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、養鶏場においては、鶏舎から排出される鶏糞の臭気(特に、鶏糞が発酵する際に発生する臭気)が周辺の地域まで拡散し、その地域に就労及び居住する人々の生活環境に影響を与えるおそれがあるため、焼却、炭化、堆肥化などの処理施設に付帯して、脱臭装置を配備するなどの手段を講じ、鶏糞の臭気が周辺の地域に拡散するのを防止している。
【0003】
しかし、養鶏場においては、鶏舎内の温度、湿度を一定に保つために、鶏舎の屋根、壁などに換気ファンを設置し、換気ファンの駆動によって、或いは自然対流によって鶏舎内を換気しているが、換気によって鶏舎内から排出される生鶏糞(発酵処理前)の臭気、鶏の体臭、餌の臭気などの臭気は、鶏糞の堆肥化発酵の際に発生する臭気に比べて軽微なものであるため、未対策のままとすることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献1】島根県養鶏協会ホームページ、インターネット、http://www.simane−egg.com/keisya.html、平成22年7月12日検索
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、養鶏場の大規模化が進み、100万羽を超える鶏を飼育する規模の養鶏場も珍しくなくなり、このような大規模の養鶏場では、例えば、10万羽程度の鶏を飼育可能な鶏舎を10棟以上備えているため、鶏舎1棟当たりの換気に必要な風量を約7000(m3/min)とすると、養鶏場全体の鶏舎の換気に必要な風量が約70000(m3/min)となる。
【0006】
このため、鶏舎の換気によって鶏舎から生鶏糞(発酵処理前)の臭気、鶏の体臭、餌の臭気などの複合した臭気が大量に排出されるため、それらの臭気を無視できない状況になりつつあり、それらの臭気が周辺の地域に拡散し、その地域に就労及び居住する人々の生活環境に影響を与えるおそれがある。
【0007】
本発明は、上記のような問題に鑑みなされたものであって、鶏舎から排出される生鶏糞(発酵処理前)の臭気、鶏の体臭、餌の臭気などの複合した臭気が周辺の地域に拡散し、その地域で就労及び生活する人々の生活環境を悪化させることのない、鶏舎の消臭システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のような課題を解決するために、本発明は、以下のような手段を採用している。
すなわち、本発明は、鶏舎内に、鶏を飼育するケージと、該ケージから排出された鶏糞を回収する回収手段とが設けられるとともに、該鶏舎内を換気する換気手段が設けられた鶏舎の消臭システムであって、前記鶏舎内に、前記回収手段により回収した鶏糞に向けて消臭ガスを噴射させる噴射管を設けるとともに、該噴射管に消臭ガスを供給する消臭ガス供給源を接続したことを特徴とする。
【0009】
本発明の鶏舎の消臭システムによれば、回収手段により回収した鶏糞に向けて噴射管から消臭ガスを噴射させることにより、鶏糞の臭気、ケージ内の鶏の体臭、給餌装置内の餌の臭気などの複合した臭気を消臭させることができる。
この場合、鶏糞の臭気、ケージ内の鶏の体臭、給餌装置内の餌の臭気などの臭気の発生源に向けて、それぞれ個別に直接消臭ガスが噴射されるように、噴射管を設置することにより、それらの臭気を効率よく消臭させることができる。
また、鶏舎内で最も臭気が強い鶏糞に向けて、消臭ガスが至近距離から直接に噴射されるように、噴射管を設置することにより、鶏糞の臭気を消臭させた消臭ガスを周囲に漂わせることができ、この周囲に漂わせた消臭ガスの余力によってケージ内の鶏の体臭、給餌装置内の餌の臭気などを消臭させることができるので、鶏及び卵が消臭ガスの薬効成分によって影響を受けるのを防止できる。
さらに、臭気の発生源に向けて消臭ガスを噴射させているので、臭気の発生源に向けてミスト状の消臭剤を噴射させる場合のように、鶏や卵に消臭剤が直接付着するようなことがないので、鶏の皮膚や目に悪影響を与えたり、卵に消臭剤の臭いが付着したり、消臭剤の薬効成分が卵に浸透するようなことはない。
従って、ケージ内の鶏、餌、卵に影響を与えることなく、鶏舎内の換気によって鶏舎から排出される鶏糞の臭気、鶏の体臭、餌の臭気などの複合した臭気を効率よく消臭して軽微なものとすることができるので、それらの臭気が周辺の地域に拡散して、その地域に就労及び居住する人々の生活環境に影響を与えるのを防止できる。
【0010】
また、本発明において、前記噴射管に外気を供給する送風機を接続したこととしてもよい。
【0011】
本発明の鶏舎の消臭システムによれば、消臭ガス供給源から消臭ガスが噴射管に供給されるとともに、この噴射管に送風機から外気が供給されることになるので、噴射管を介して、消臭ガスと外気との混合気を回収手段で回収した鶏糞に向けて噴射させることができる。従って、鶏舎から排出される鶏糞の臭気、鶏の体臭、餌の臭気などの複合した臭気を消臭させることができるとともに、鶏糞の乾燥を促進させることもできる。
また、鶏舎内に、外気を鶏糞に向けて噴射させる噴射管が既に設置されている場合には、この既設の噴射管を利用し、この噴射管に消臭ガス供給源を接続することにより、噴射管を新設することなく、既設の噴射管を利用して、鶏糞に向けて消臭ガスと外気との混合気を噴射させ、鶏舎から排出される鶏糞の臭気、鶏の体臭、餌の臭気などの複合した臭気を消臭させることができるとともに、鶏糞の乾燥を促進させることもできる。
【0012】
さらに、本発明において、前記鶏舎内に、前記回収手段により回収した鶏糞に向けて外気を噴射させる噴射管を設けるとともに、該噴射管に外気を供給する送風機を接続したこととしてもよい。
【0013】
本発明の鶏舎の消臭システムによれば、回収手段により回収した鶏糞に向けて、消臭ガスを噴射させる噴射管から消臭ガスを噴射させることにより、鶏糞の臭気、鶏の体臭、餌の臭気などの複合した臭気が消臭されるとともに、回収手段により回収した鶏糞に向けて、外気を噴射させる噴射管を介して外気を噴射させることにより、鶏糞の乾燥が促進されることになる。
【0014】
さらに、本発明において、前記回収手段は、前記ケージの下方に設けられるとともに、上部に前記ケージから排出された鶏糞を貯留可能なベルトコンベアであることとしてもよい。
【0015】
本発明の鶏舎の消臭システムによれば、ベルトコンベアの上部に、ケージから排出された鶏糞が貯留され、この鶏糞に向けて噴射管から消臭ガスが噴射される。この場合、消臭ガスにより、鶏糞の臭気、鶏の体臭、餌の臭気などの複合した臭気が消臭されるとともに、消臭ガスの流れによって鶏糞の乾燥がある程度促進される。また、消臭管から消臭ガスと外気との混合気を噴射させる場合には、消臭ガスと外気との混合気により、鶏糞の臭気、鶏の体臭、餌の臭気などの複合した臭気が消臭されるとともに、鶏糞の乾燥が促進される。さらに、消臭ガスを噴射管から噴射させ、消臭ガスと別個の噴射管から外気を噴射させる場合には、消臭ガスによって鶏糞の臭気、鶏の体臭、餌の臭気などの複合した臭気が消臭されるとともに、外気によって鶏糞の乾燥が促進される。
【0016】
さらに、本発明において、前記回収手段は、前記ケージの下方に設けられるとともに、前記ケージから排出された鶏糞を貯留可能な空間であることとしてもよい。
【0017】
本発明の鶏舎の消臭システムによれば、ケージの下方に設けられた空間内に、ケージから排出された鶏糞が貯留され、この鶏糞に向けて噴射管から消臭ガスが噴射され、鶏糞の臭気、鶏の体臭、餌の臭気などの複合した臭気が消臭されることになる。
【0018】
さらに、本発明において、前記消臭ガスは、常態では液状、固体状又は粒状をなし、前記噴射管から前記鶏糞に向けて噴射されるまでにガス化されることとしてもよい。
【0019】
本発明の鶏舎の消臭システムによれば、消臭ガスは、常態では液状、固体状又は粒状をなし、噴射管から鶏糞に向けて噴射されまでにガス化され、鶏糞の臭気、鶏の体臭、餌の臭気などの複合した臭気が消臭されることになる。
【発明の効果】
【0020】
以上、説明したように、本発明の鶏舎の消臭システムによれば、回収手段により回収した鶏糞に向けて噴射管から消臭ガスを噴射させることにより、又は噴射管から消臭ガスと外気との混合気を噴射させることにより、鶏糞の臭気、鶏の体臭、餌の臭気などの複合した臭気を消臭させることができる。
従って、鶏舎の換気によって鶏舎から排気と一緒に鶏糞の臭気、鶏の体臭、餌の臭気などの複合した臭気が排出されても、それらの臭気を軽微なものとすることができるので、それらの臭気が周辺の地域まで拡散しても、その地域に就労及び居住する人々の生活環境に影響を与えるようなことはない。また、鶏糞の乾燥を促進させることができるので、回収した鶏糞を堆肥化発酵処理装置などで処理する際の効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による鶏舎の消臭システムの第1の実施の形態を示した概略図であって、低床式の鶏舎の正面図である。
【図2】図1の左側面図である。
【図3】図1の右側面図である。
【図4】第1の実施の形態の鶏舎の消臭システムの配管系統図である。
【図5】図4の左側面図である。
【図6】図5の部分拡大図である。
【図7】本発明による鶏舎の消臭システムの第2の実施の形態の配管系統図である。
【図8】第2の実施の形態の配管系統の変形例である。
【図9】第1及び第2の実施の形態の鶏舎の消臭システムの変形例を示した正面図である。
【図10】図9の側面図である。
【図11】本発明による鶏舎の消臭システムの第3の実施の形態を示した概略図であって、高床式の鶏舎の正面図である。
【図12】図11の左側面図である。
【図13】第3の実施の形態の鶏舎の消臭システムの配管系統図である。
【図14】図12の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図6には、本発明による鶏舎の消臭システムの第1の実施の形態が示されている。本実施の形態の鶏舎の消臭システムは、低床式の鶏舎を備えた養鶏場に適用したものであって、鶏舎を換気する際に、鶏舎から排気と一緒に排出される生鶏糞(発酵処理前)の臭気、鶏の体臭、餌の臭気などの臭気を消臭させるのに有効なものである。
【0023】
低床式の鶏舎1は、例えば、図1〜図6に示すように、幅15m、軒高10m、長さ100m程度の大きさの二階建てに形成され、この鶏舎1の前面側(図1の左側)に吸気口2が設けられ、背面側(図1の右側)に排気口3が設けられ、吸気口2にクーリングパッド4(設定温度以上になると水が流れるパッド)が設けられ、排気口3に換気手段としての換気ファン5が設けられている。このタイプの鶏舎1では、例えば、1棟当たり約10万羽の鶏を飼育可能に構成される。
【0024】
また、上記の鶏舎1では、換気ファン5の駆動により、鶏舎1内に吸気口2から2000〜6000(m3/min)程度の外気が季節によって適宜調整されて吸い込まれ、この外気が鶏舎1内を図1の矢印方向に流通して排気口3から鶏舎1外に排出される。これにより、鶏舎1内が換気され、鶏舎1内の温度、湿度が季節によって適宜調整されて一定に保たれる。
【0025】
さらに、上記の鶏舎1の1階部分6及び2階部分7には、例えば、図4〜図6に示すように、所定の大きさのケージ11(金網状の鳥カゴ)が4段に重ねられた状態でそれぞれ6列に設けられ、各ケージ11内に所定羽の鶏を収容可能に構成されている。
【0026】
この場合、図5に示すように、第1列のケージ群10aと第2列のケージ群10b、第3列のケージ群10cと第4列のケージ群10d、及び第5列のケージ群10eと第6列のケージ群10fとが互いに密着し、第1列のケージ群10aと鶏舎1の壁面8との間、第2列のケージ群10bと第3列のケージ群10cとの間、第4列のケージ群10dと第5列のケージ群10eとの間、及び第6列のケージ群10fと鶏舎1の壁面8との間に所定幅の通路9がそれぞれ形成されるように、鶏舎1の1階部分6及び2階部分7にそれぞれケージ群10a〜10fが6列に設けられている。
【0027】
各ケージ11の外側面12には、図5及び図6に示すように、各ケージ11内の鶏に餌を与える給餌装置13と各ゲージ11から排出された卵を回収する集卵装置14とが、各ケージ11の全長に亘るように、かつ上下に間隔をおいて設けられるとともに、各ケージ11内の鶏に飲み水を与える給水設備の給水口(図示せず)が各ケージ11の長手方向に所定の間隔ごとに複数箇所に設けられている。
【0028】
各ケージ11の下方には、図4〜図6に示すように、各ケージ11の全幅よりも幅広の鶏糞回収用の回収手段であるベルトコンベア16が、各ケージ11の全長に亘るように、かつ、各ケージ11の下面との間に所定の間隙が形成されるように回転可能に設けられ、このベルトコンベア16で各ケージ11から排出される鶏糞を回収搬出するように構成されている。
【0029】
本実施の形態においては、各ベルトコンベア16を定期的(例えば、3〜7日間隔毎)に駆動させることにより、各ベルトコンベア16で回収した鶏糞を養鶏場の敷地内に設置された堆肥化発酵処理装置(図示せず)などに定期的に搬入して処理している。なお、各ベルトコンベア16の運転間隔は、鶏舎1の規模などに応じて適宜に設定することができる。
【0030】
各ケージ11の下面中央部には、図5及び図6に示すように、複数の噴射孔21を有する噴射管20が各ケージ11の全長に亘るようにそれぞれ設けられるとともに、各噴射管20は、鶏舎1の両端部又は中央部などに設けられる配給管22を介して鶏舎1の外部に設けられた消臭ガス供給源26に接続されている。
【0031】
消臭ガス供給源26を駆動させることにより、消臭ガス供給源26から消臭ガスが配給管22内に供給され、この消臭ガスが配給管22を介して各噴射管20に供給され、各噴射管20の噴射孔21から各ベルトコンベア16の上部の鶏糞に向けて噴射される。
【0032】
消臭ガスには、鶏糞の臭気、鶏の体臭、餌の臭気などの臭気を分解して無臭化できるものを用いることができる。但し、皮膚に付いた場合、眼に入った場合、誤って経口した場合、何れの場合にも人畜無害で安全なものであることが条件である。
【0033】
また、消臭ガスは、ガス状のものに限らず、常態で液状、固体状、又は粒状をなし、各噴射管20の噴射孔21からベルトコンベア16の上部の鶏糞に向けて噴射されるまでにガス化されるものであってもよい。但し、卵に消臭ガスの残臭などの影響のないことを事前に確認しておく必要がある。
【0034】
各噴射管20の噴射孔21から、ベルトコンベア16の上部の鶏糞に向けて消臭ガスを噴射させることにより、消臭ガスが鶏糞に直接噴射され、鶏糞から発生する臭気が消臭されるとともに、鶏糞の乾燥がある程度促進される。また、鶏糞を消臭させた消臭ガスが周囲に漂うことにより、ケージ11内の鶏から発生する体臭、給餌装置13内の餌から発生する臭気、鶏が周囲にこぼした餌や水分からの臭気などの臭気が消臭される。
【0035】
上記のように構成した本実施の形態の鶏舎の消臭システムにあっては、各ケージ11の下面中央部に、ベルトコンベア16の上部の鶏糞に対応するように噴射管20を設け、この噴射管20の噴射孔21から消臭ガスをベルトコンベア16の上部の鶏糞に向けて噴射させることにより、鶏糞の臭気、鶏の体臭、餌の臭気などの複合した臭気を消臭させることができる。また、消臭ガスの流れによって鶏糞の乾燥をある程度促進させることができる。
【0036】
従って、鶏舎1内を一定の温度、湿度に保つために、鶏舎1内に大量の外気を導いて鶏舎1内を換気しても、鶏舎1からの排気と一緒に排出される鶏糞の臭気、鶏の体臭、餌の臭気などの複合した臭気を軽微なものとすることができるので、それらの臭気が周辺の地域に拡散しても、その地域に就労及び居住する人々の生活環境に影響を与えるようなことはない。
【0037】
また、ベルトコンベア16の上部の鶏糞に消臭ガスを噴射させることにより、消臭ガスの流れによって鶏糞の乾燥をある程度促進させることができるので、回収した鶏糞を堆肥化発酵処理装置(図示せず)で発酵処理する場合や、炭化処理や焼却処理する場合の処理効率を高めることができる。
【0038】
なお、本実施の形態においては、鶏舎1の換気風量を約6000(m3/min)としているので、鶏舎1から約6000(m3/min)の無臭化された臭気ガスが排出されることになる。この鶏舎1から排出される臭気ガス量は、季節に応じて温度と湿度とを調整するために変化し、例えば、温度、湿度の高い夏季には、クーリングパッドを稼動させて換気ファン4を強風で使用することにより、大量の臭気ガスが排出され、温度、湿度の低い冬季には、クーリングパッドを稼動させずに換気ファン4を弱風で使用することにより、少量の臭気ガスが排出されることになる。
【0039】
図7には、本発明による鶏舎の消臭システムの第2の実施の形態が示されている。本実施の形態の鶏舎の消臭システムは、各噴射管20に消臭ガスと外気とを供給し、消臭ガスと外気との混合気を各噴射管20の噴射孔21からベルトコンベア16の上部の鶏糞に向けて噴射させるように構成したものであって、その他の構成は前記第1の実施の形態に示すものと同様である。
【0040】
すなわち、本実施の形態の鶏舎の消臭システムは、各噴射管20を配給管22を介して鶏舎1の外部に設けられたブロワ23に接続するとともに、ブロワ23の吸引口24に供給管25を介して消臭ガス供給源26を接続したものである。
なお、この場合、図8に示すように、ブロワ23の吐出側の配給管22の部分に供給管25を介して消臭ガス供給源26を接続してもよい。
【0041】
本実施の形態においては、ブロワ23を駆動させることにより、外気が吸引口24から配給管22内に吸引されるとともに、消臭ガス供給源26を駆動させることにより、消臭ガス供給源26から消臭ガスが供給管25を介してブロワ23の吸引口24に吸引され、吸引口24から配給管22内に供給され、消臭ガスと外気との混合気が配給管22を介して各噴射管20に供給され、各噴射管20の噴射孔21からベルトコンベア16の上部の鶏糞に向けて噴射される。
【0042】
本実施の形態においては、ブロワ23の駆動により外気を強制的に吸い込み、各噴射管20の噴射孔21から消臭ガスとの混合気としてベルトコンベア16の上部に鶏糞に向けて噴射させているので、消臭ガスのみを鶏糞に向けて噴射させるように構成した第1の実施の形態の消臭システムよりも鶏糞の乾燥をより促進させることができる。
【0043】
また、本実施の形態においては、鶏糞の回収の数日前から回収当日までの間、各ベルトコンベア16の上部に滞留されている水分70%程度の生鶏糞に向けて、各噴射管20の噴射孔21から消臭ガスと外気との混合気を噴射させることにより、鶏糞に含まれる水分を低減させている。
【0044】
例えば、ブロワ23によって約1000(m3/min)の外気を給気管25を介して配給管22内に吸い込み、この外気を配給管22から各噴射管20に導き、各噴射管20の噴射孔21から消臭ガスとの混合気として各ベルトコンベア16の上部の生鶏糞に向けて噴射させ、各ベルトコンベア16の上部に滞留している水分70%程度の生鶏糞の水分を60〜65%に調整している。これにより、堆肥化発酵処理装置で発酵処理する場合や、炭化処理や焼却処理する場合の処理効率を第1の実施の形態に示すものよりも更に高めることができる。
【0045】
上記のように構成した本実施の形態の鶏舎の消臭システムにあっては、各ケージ11の下面中央部に、ベルトコンベア16の上部の鶏糞に対応するように噴射管20を設け、この噴射管20の噴射孔21から消臭ガスと外気との混合気をベルトコンベア16の上部の鶏糞に向けて噴射させるように構成したことにより、鶏糞の臭気、鶏の体臭、餌の臭気などの複合した臭気を消臭させることができる。また、消臭ガスと外気との混合気の流れによって鶏糞の乾燥を促進させることができる。
【0046】
従って、鶏舎1内を一定の温度、湿度に保つために、鶏舎1内に大量の外気を導入して鶏舎1内を換気しても、鶏舎1からの排気と一緒に排出される鶏糞の臭気、鶏の体臭、餌の臭気などの複合した臭気を軽微なものとすることができるので、それらの臭気が周辺の地域に拡散しても、その地域に就労及び居住する人々の生活環境に影響を与えるようなことはない。
【0047】
また、ベルトコンベア16の上部の鶏糞に向けて消臭ガスと外気との混合気を噴射させているので、第1の実施の形態に示すものよりも鶏糞の乾燥をより促進させることができ、回収した鶏糞を堆肥化発酵処理装置で処理する場合や、炭化処理や焼却処理する場合の処理の効率を更に高めることができる。
【0048】
なお、本実施の形態においては、鶏舎1の換気風量を6000(m3/min)、鶏糞の乾燥風量を500(m3/min)×2系統=1000(m3/min)としているので、鶏舎1から、6000+1000=7000(m3/min)の臭気ガスが排出されることになる。
【0049】
また、本実施の形態においては、噴射管20に消臭ガス及び外気を供給し、消臭ガスと外気との混合気を噴射孔21から噴射させるように構成しているので、噴射管20から消臭ガスのみを噴射させた第1の実施の形態よりも、噴射管20の口径及び噴射孔の口径を大きく設定している。
【0050】
なお、本実施の形態においては、各ケージ11の下面中央部に、各ケージ11の全長に亘るように噴射管20をそれぞれ設け、各噴射管20に消臭ガス供給源26から消臭ガスを供給し、ブロワ23から外気を供給し、各噴射管20の噴射孔21から消臭ガスと外気との混合気をベルトコンベア16の上部の鶏糞に向けて噴射させるように構成したが、各ケージ11の下面中央部に、各ケージ11の全長に亘るように消臭ガスを噴射させる消臭ガス噴射管(図示せず)と外気を噴射させる外気噴射管(図示せず)とをそれぞれ個別に設け、各消臭ガス噴射管から鶏糞に向けて消臭ガスを噴射させるとともに、各外気噴射管から鶏糞に向けて外気を噴射させるように構成してもよい。
【0051】
さらに、鶏舎1内に、ベルトコンベア16の上部の鶏糞に向けて外気を噴射させる噴射管(図示せず)が既に設けられている場合には、この噴射管に消臭ガス供給源26を接続して外気と共に消臭ガスを供給し、この噴射管を介して外気と消臭ガスとの混合気をベルトコンベア16の上部の鶏糞に向けて噴射させるように構成してもよい。
【0052】
なお、前記第1及び第2の実施の形態においては、鶏舎1の前面側(図1の左側)に吸気口2が設けられ、背面側(図1の右側)に排気口3が設けられ、吸気口2にクーリングパッド4が設けられ、排気口3に換気手段としての換気ファン5が設けられた低床式の鶏舎1に本発明を適用したが、図9及び図10に示すような低床式の鶏舎1に本発明を適用してもよいものであり、その場合にも同様の作用効果を奏する。
【0053】
すなわち、図9及び図10に示す低床式の鶏舎1は、鶏舎1の屋根34の中央部が一段高く形成され、この一段高く形成された部分の側面に排気口3が設けられ、この排気口3がカーテン36によって開閉自在に構成され、また、鶏舎1の1階部分6の側面側が開放され、この開放された部分が吸気口2に形成されるとともに、この吸気口2がカーテン36によって開閉自在に構成され、又は、この吸気口2にクーリングパッド4が設けられ、クーリングパッド4に設定温度以上になったときに水が流れる構成のものである。
【0054】
図11〜図14には、本発明による鶏舎の消臭システムの第3の実施の形態が示されている。本実施の形態の鶏舎の消臭システムは、高床式の鶏舎を備えた養鶏場に適用したものであって、その他の構成は前記第1の実施の形態に示すものと同様である。
【0055】
高床式の鶏舎30は、例えば、図11〜図14に示すように、床31を高く設置することにより、床31の下部に、ケージ11から排出される鶏糞を所定の期間堆積させておく、回収手段である空間33を設け、床31の上部に、例えば、ケージ11を階段状に3段〜4段に重ねたものを6列に設け、各列のケージ群10a〜10fの各ケージ11から排出される鶏糞を床31の隙間を介して床31の下部の空間32に落下させるように構成したものである。
【0056】
高床式の鶏舎30は、図12に示すように、鶏舎1の屋根34の中央部が一段高く形成されるとともに、その一段高く形成された部分の側面に排気口35が設けられ、この排気口35がカーテンに36よって開閉自在に構成されている。また、床31の下部の空間33の側面側が開放されて、その部分が吸気口37に構成されるとともに、この吸気口37がカーテン38によって開閉自在に構成されている。この鶏舎30は、床31の下部の空間33の吸気口37から鶏舎1内に外気が吸い込まれ、その外気が床31の隙間を介して床31の上部の空間32内に流れ、屋根34の排気口35から鶏舎1外に排気される。これにより、鶏舎1内が換気され、鶏舎1内の温度、湿度が一定に保たれる。なお、排気口35に換気手段としての換気ファン(図示せず)を設け、換気ファンの駆動により、鶏舎1内を強制的に換気するように構成してもよい。
【0057】
また、本実施の形態においては、図13及び図14に示すように、床31の下面側の各列のケージ群10a〜10fの下方に対応する部分にそれぞれ各列のケージ群10a〜10fの全長に亘るように噴射管20が設けられ、各噴射管20は、配給管22を介して鶏舎30の外部に設置した消臭ガス供給源26に接続されている。
【0058】
各噴射管20には、床31の下部の空間33及び床31の上部の空間32に向けて消臭ガスを噴射させる複数の噴射孔21が設けられ、消臭ガス供給源26を駆動させることにより、消臭ガス供給源26から消臭ガスが配給管22に供給され、配給管22から各噴射管20に供給され、各噴射管20の噴射孔21から床31の下部の空間33及び床31の上部の空間32に向けて噴射される。
【0059】
上記のように構成した本実施の形態の鶏舎の消臭システムにあっては、床31の下部の空間33に堆積させた鶏糞に対応するように噴射管20を設け、この噴射管20から消臭ガスを床31の下部の空間33、及び床31の上部の空間32に向けて噴射させるように構成したので、床31の下部の空間33に堆積される鶏糞の臭気、床31の上部の空間32のケージ11内の鶏の体臭、餌の臭気などの複合した臭気が、鶏舎1の吸気口37から排気口35に向かう空気の流れにより、噴射管20から噴射された消臭ガスと混合されて消臭されることになる。
【0060】
従って、鶏舎30を一定の温度、湿度に保つために、大量の外気を利用して鶏舎30内を換気しても、鶏舎30からの排気と一緒に排出される鶏糞の臭気、鶏の体臭、餌の臭気などの複合した臭気を軽微なものとすることができるので、それらの臭気が周辺の地域まで拡散しても、その地域に就労及び居住する人々の生活環境に影響を与えるようことはない。
【0061】
なお、本実施の形態においては、床31の下部に噴射管20を設けたが、これに限らず噴射管20を床31の上部などに設けてもよい。要は、床31の下部の空間33に貯留されている鶏糞の臭気が、鶏舎30内を換気する空気の流れよって上昇する際に消臭ガスによって消臭され、更にこの消臭ガスの余力によって床31の上部に設けられたケージ11内の鶏の体臭、給餌装置の餌の臭気などの臭気が消臭される位置であればよく、概ね床31の下部の鶏糞の上方で、床31の上部のケージ11及び給餌装置の下方であればよい。
【0062】
なお、前記各実施の形態においては、本発明を低床式の鶏舎1又は高床式の鶏舎30に適用したが、その他の各種の鶏舎に本発明を適用してもよいものであり、その場合にも同様の作用効果を奏する。
【符号の説明】
【0063】
1 低床式の鶏舎
2 吸気口
3 排気口
4 クーリングパッド
5 換気ファン
6 1階部分
7 2階部分
8 壁面
9 通路
10a〜10f ケージ群
11 ケージ
12 外側面
13 給餌装置
14 集卵装置
16 ベルトコンベア
20 噴射管
21 噴射孔
22 配給管
23 送風機(ブロワ)
24 吸引口
25 供給管
26 消臭ガス供給源
30 高床式の鶏舎
31 床
32 空間(上部)
33 空間(下部)
34 屋根
35 排気口
36 カーテン
37 吸気口
38 カーテン
【技術分野】
【0001】
本発明は、鶏舎の消臭システムに関し、特に、養鶏場の鶏舎から発生する各種の臭気を消臭するのに有効な鶏舎の消臭システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、養鶏場においては、鶏舎から排出される鶏糞の臭気(特に、鶏糞が発酵する際に発生する臭気)が周辺の地域まで拡散し、その地域に就労及び居住する人々の生活環境に影響を与えるおそれがあるため、焼却、炭化、堆肥化などの処理施設に付帯して、脱臭装置を配備するなどの手段を講じ、鶏糞の臭気が周辺の地域に拡散するのを防止している。
【0003】
しかし、養鶏場においては、鶏舎内の温度、湿度を一定に保つために、鶏舎の屋根、壁などに換気ファンを設置し、換気ファンの駆動によって、或いは自然対流によって鶏舎内を換気しているが、換気によって鶏舎内から排出される生鶏糞(発酵処理前)の臭気、鶏の体臭、餌の臭気などの臭気は、鶏糞の堆肥化発酵の際に発生する臭気に比べて軽微なものであるため、未対策のままとすることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献1】島根県養鶏協会ホームページ、インターネット、http://www.simane−egg.com/keisya.html、平成22年7月12日検索
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、養鶏場の大規模化が進み、100万羽を超える鶏を飼育する規模の養鶏場も珍しくなくなり、このような大規模の養鶏場では、例えば、10万羽程度の鶏を飼育可能な鶏舎を10棟以上備えているため、鶏舎1棟当たりの換気に必要な風量を約7000(m3/min)とすると、養鶏場全体の鶏舎の換気に必要な風量が約70000(m3/min)となる。
【0006】
このため、鶏舎の換気によって鶏舎から生鶏糞(発酵処理前)の臭気、鶏の体臭、餌の臭気などの複合した臭気が大量に排出されるため、それらの臭気を無視できない状況になりつつあり、それらの臭気が周辺の地域に拡散し、その地域に就労及び居住する人々の生活環境に影響を与えるおそれがある。
【0007】
本発明は、上記のような問題に鑑みなされたものであって、鶏舎から排出される生鶏糞(発酵処理前)の臭気、鶏の体臭、餌の臭気などの複合した臭気が周辺の地域に拡散し、その地域で就労及び生活する人々の生活環境を悪化させることのない、鶏舎の消臭システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のような課題を解決するために、本発明は、以下のような手段を採用している。
すなわち、本発明は、鶏舎内に、鶏を飼育するケージと、該ケージから排出された鶏糞を回収する回収手段とが設けられるとともに、該鶏舎内を換気する換気手段が設けられた鶏舎の消臭システムであって、前記鶏舎内に、前記回収手段により回収した鶏糞に向けて消臭ガスを噴射させる噴射管を設けるとともに、該噴射管に消臭ガスを供給する消臭ガス供給源を接続したことを特徴とする。
【0009】
本発明の鶏舎の消臭システムによれば、回収手段により回収した鶏糞に向けて噴射管から消臭ガスを噴射させることにより、鶏糞の臭気、ケージ内の鶏の体臭、給餌装置内の餌の臭気などの複合した臭気を消臭させることができる。
この場合、鶏糞の臭気、ケージ内の鶏の体臭、給餌装置内の餌の臭気などの臭気の発生源に向けて、それぞれ個別に直接消臭ガスが噴射されるように、噴射管を設置することにより、それらの臭気を効率よく消臭させることができる。
また、鶏舎内で最も臭気が強い鶏糞に向けて、消臭ガスが至近距離から直接に噴射されるように、噴射管を設置することにより、鶏糞の臭気を消臭させた消臭ガスを周囲に漂わせることができ、この周囲に漂わせた消臭ガスの余力によってケージ内の鶏の体臭、給餌装置内の餌の臭気などを消臭させることができるので、鶏及び卵が消臭ガスの薬効成分によって影響を受けるのを防止できる。
さらに、臭気の発生源に向けて消臭ガスを噴射させているので、臭気の発生源に向けてミスト状の消臭剤を噴射させる場合のように、鶏や卵に消臭剤が直接付着するようなことがないので、鶏の皮膚や目に悪影響を与えたり、卵に消臭剤の臭いが付着したり、消臭剤の薬効成分が卵に浸透するようなことはない。
従って、ケージ内の鶏、餌、卵に影響を与えることなく、鶏舎内の換気によって鶏舎から排出される鶏糞の臭気、鶏の体臭、餌の臭気などの複合した臭気を効率よく消臭して軽微なものとすることができるので、それらの臭気が周辺の地域に拡散して、その地域に就労及び居住する人々の生活環境に影響を与えるのを防止できる。
【0010】
また、本発明において、前記噴射管に外気を供給する送風機を接続したこととしてもよい。
【0011】
本発明の鶏舎の消臭システムによれば、消臭ガス供給源から消臭ガスが噴射管に供給されるとともに、この噴射管に送風機から外気が供給されることになるので、噴射管を介して、消臭ガスと外気との混合気を回収手段で回収した鶏糞に向けて噴射させることができる。従って、鶏舎から排出される鶏糞の臭気、鶏の体臭、餌の臭気などの複合した臭気を消臭させることができるとともに、鶏糞の乾燥を促進させることもできる。
また、鶏舎内に、外気を鶏糞に向けて噴射させる噴射管が既に設置されている場合には、この既設の噴射管を利用し、この噴射管に消臭ガス供給源を接続することにより、噴射管を新設することなく、既設の噴射管を利用して、鶏糞に向けて消臭ガスと外気との混合気を噴射させ、鶏舎から排出される鶏糞の臭気、鶏の体臭、餌の臭気などの複合した臭気を消臭させることができるとともに、鶏糞の乾燥を促進させることもできる。
【0012】
さらに、本発明において、前記鶏舎内に、前記回収手段により回収した鶏糞に向けて外気を噴射させる噴射管を設けるとともに、該噴射管に外気を供給する送風機を接続したこととしてもよい。
【0013】
本発明の鶏舎の消臭システムによれば、回収手段により回収した鶏糞に向けて、消臭ガスを噴射させる噴射管から消臭ガスを噴射させることにより、鶏糞の臭気、鶏の体臭、餌の臭気などの複合した臭気が消臭されるとともに、回収手段により回収した鶏糞に向けて、外気を噴射させる噴射管を介して外気を噴射させることにより、鶏糞の乾燥が促進されることになる。
【0014】
さらに、本発明において、前記回収手段は、前記ケージの下方に設けられるとともに、上部に前記ケージから排出された鶏糞を貯留可能なベルトコンベアであることとしてもよい。
【0015】
本発明の鶏舎の消臭システムによれば、ベルトコンベアの上部に、ケージから排出された鶏糞が貯留され、この鶏糞に向けて噴射管から消臭ガスが噴射される。この場合、消臭ガスにより、鶏糞の臭気、鶏の体臭、餌の臭気などの複合した臭気が消臭されるとともに、消臭ガスの流れによって鶏糞の乾燥がある程度促進される。また、消臭管から消臭ガスと外気との混合気を噴射させる場合には、消臭ガスと外気との混合気により、鶏糞の臭気、鶏の体臭、餌の臭気などの複合した臭気が消臭されるとともに、鶏糞の乾燥が促進される。さらに、消臭ガスを噴射管から噴射させ、消臭ガスと別個の噴射管から外気を噴射させる場合には、消臭ガスによって鶏糞の臭気、鶏の体臭、餌の臭気などの複合した臭気が消臭されるとともに、外気によって鶏糞の乾燥が促進される。
【0016】
さらに、本発明において、前記回収手段は、前記ケージの下方に設けられるとともに、前記ケージから排出された鶏糞を貯留可能な空間であることとしてもよい。
【0017】
本発明の鶏舎の消臭システムによれば、ケージの下方に設けられた空間内に、ケージから排出された鶏糞が貯留され、この鶏糞に向けて噴射管から消臭ガスが噴射され、鶏糞の臭気、鶏の体臭、餌の臭気などの複合した臭気が消臭されることになる。
【0018】
さらに、本発明において、前記消臭ガスは、常態では液状、固体状又は粒状をなし、前記噴射管から前記鶏糞に向けて噴射されるまでにガス化されることとしてもよい。
【0019】
本発明の鶏舎の消臭システムによれば、消臭ガスは、常態では液状、固体状又は粒状をなし、噴射管から鶏糞に向けて噴射されまでにガス化され、鶏糞の臭気、鶏の体臭、餌の臭気などの複合した臭気が消臭されることになる。
【発明の効果】
【0020】
以上、説明したように、本発明の鶏舎の消臭システムによれば、回収手段により回収した鶏糞に向けて噴射管から消臭ガスを噴射させることにより、又は噴射管から消臭ガスと外気との混合気を噴射させることにより、鶏糞の臭気、鶏の体臭、餌の臭気などの複合した臭気を消臭させることができる。
従って、鶏舎の換気によって鶏舎から排気と一緒に鶏糞の臭気、鶏の体臭、餌の臭気などの複合した臭気が排出されても、それらの臭気を軽微なものとすることができるので、それらの臭気が周辺の地域まで拡散しても、その地域に就労及び居住する人々の生活環境に影響を与えるようなことはない。また、鶏糞の乾燥を促進させることができるので、回収した鶏糞を堆肥化発酵処理装置などで処理する際の効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による鶏舎の消臭システムの第1の実施の形態を示した概略図であって、低床式の鶏舎の正面図である。
【図2】図1の左側面図である。
【図3】図1の右側面図である。
【図4】第1の実施の形態の鶏舎の消臭システムの配管系統図である。
【図5】図4の左側面図である。
【図6】図5の部分拡大図である。
【図7】本発明による鶏舎の消臭システムの第2の実施の形態の配管系統図である。
【図8】第2の実施の形態の配管系統の変形例である。
【図9】第1及び第2の実施の形態の鶏舎の消臭システムの変形例を示した正面図である。
【図10】図9の側面図である。
【図11】本発明による鶏舎の消臭システムの第3の実施の形態を示した概略図であって、高床式の鶏舎の正面図である。
【図12】図11の左側面図である。
【図13】第3の実施の形態の鶏舎の消臭システムの配管系統図である。
【図14】図12の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図6には、本発明による鶏舎の消臭システムの第1の実施の形態が示されている。本実施の形態の鶏舎の消臭システムは、低床式の鶏舎を備えた養鶏場に適用したものであって、鶏舎を換気する際に、鶏舎から排気と一緒に排出される生鶏糞(発酵処理前)の臭気、鶏の体臭、餌の臭気などの臭気を消臭させるのに有効なものである。
【0023】
低床式の鶏舎1は、例えば、図1〜図6に示すように、幅15m、軒高10m、長さ100m程度の大きさの二階建てに形成され、この鶏舎1の前面側(図1の左側)に吸気口2が設けられ、背面側(図1の右側)に排気口3が設けられ、吸気口2にクーリングパッド4(設定温度以上になると水が流れるパッド)が設けられ、排気口3に換気手段としての換気ファン5が設けられている。このタイプの鶏舎1では、例えば、1棟当たり約10万羽の鶏を飼育可能に構成される。
【0024】
また、上記の鶏舎1では、換気ファン5の駆動により、鶏舎1内に吸気口2から2000〜6000(m3/min)程度の外気が季節によって適宜調整されて吸い込まれ、この外気が鶏舎1内を図1の矢印方向に流通して排気口3から鶏舎1外に排出される。これにより、鶏舎1内が換気され、鶏舎1内の温度、湿度が季節によって適宜調整されて一定に保たれる。
【0025】
さらに、上記の鶏舎1の1階部分6及び2階部分7には、例えば、図4〜図6に示すように、所定の大きさのケージ11(金網状の鳥カゴ)が4段に重ねられた状態でそれぞれ6列に設けられ、各ケージ11内に所定羽の鶏を収容可能に構成されている。
【0026】
この場合、図5に示すように、第1列のケージ群10aと第2列のケージ群10b、第3列のケージ群10cと第4列のケージ群10d、及び第5列のケージ群10eと第6列のケージ群10fとが互いに密着し、第1列のケージ群10aと鶏舎1の壁面8との間、第2列のケージ群10bと第3列のケージ群10cとの間、第4列のケージ群10dと第5列のケージ群10eとの間、及び第6列のケージ群10fと鶏舎1の壁面8との間に所定幅の通路9がそれぞれ形成されるように、鶏舎1の1階部分6及び2階部分7にそれぞれケージ群10a〜10fが6列に設けられている。
【0027】
各ケージ11の外側面12には、図5及び図6に示すように、各ケージ11内の鶏に餌を与える給餌装置13と各ゲージ11から排出された卵を回収する集卵装置14とが、各ケージ11の全長に亘るように、かつ上下に間隔をおいて設けられるとともに、各ケージ11内の鶏に飲み水を与える給水設備の給水口(図示せず)が各ケージ11の長手方向に所定の間隔ごとに複数箇所に設けられている。
【0028】
各ケージ11の下方には、図4〜図6に示すように、各ケージ11の全幅よりも幅広の鶏糞回収用の回収手段であるベルトコンベア16が、各ケージ11の全長に亘るように、かつ、各ケージ11の下面との間に所定の間隙が形成されるように回転可能に設けられ、このベルトコンベア16で各ケージ11から排出される鶏糞を回収搬出するように構成されている。
【0029】
本実施の形態においては、各ベルトコンベア16を定期的(例えば、3〜7日間隔毎)に駆動させることにより、各ベルトコンベア16で回収した鶏糞を養鶏場の敷地内に設置された堆肥化発酵処理装置(図示せず)などに定期的に搬入して処理している。なお、各ベルトコンベア16の運転間隔は、鶏舎1の規模などに応じて適宜に設定することができる。
【0030】
各ケージ11の下面中央部には、図5及び図6に示すように、複数の噴射孔21を有する噴射管20が各ケージ11の全長に亘るようにそれぞれ設けられるとともに、各噴射管20は、鶏舎1の両端部又は中央部などに設けられる配給管22を介して鶏舎1の外部に設けられた消臭ガス供給源26に接続されている。
【0031】
消臭ガス供給源26を駆動させることにより、消臭ガス供給源26から消臭ガスが配給管22内に供給され、この消臭ガスが配給管22を介して各噴射管20に供給され、各噴射管20の噴射孔21から各ベルトコンベア16の上部の鶏糞に向けて噴射される。
【0032】
消臭ガスには、鶏糞の臭気、鶏の体臭、餌の臭気などの臭気を分解して無臭化できるものを用いることができる。但し、皮膚に付いた場合、眼に入った場合、誤って経口した場合、何れの場合にも人畜無害で安全なものであることが条件である。
【0033】
また、消臭ガスは、ガス状のものに限らず、常態で液状、固体状、又は粒状をなし、各噴射管20の噴射孔21からベルトコンベア16の上部の鶏糞に向けて噴射されるまでにガス化されるものであってもよい。但し、卵に消臭ガスの残臭などの影響のないことを事前に確認しておく必要がある。
【0034】
各噴射管20の噴射孔21から、ベルトコンベア16の上部の鶏糞に向けて消臭ガスを噴射させることにより、消臭ガスが鶏糞に直接噴射され、鶏糞から発生する臭気が消臭されるとともに、鶏糞の乾燥がある程度促進される。また、鶏糞を消臭させた消臭ガスが周囲に漂うことにより、ケージ11内の鶏から発生する体臭、給餌装置13内の餌から発生する臭気、鶏が周囲にこぼした餌や水分からの臭気などの臭気が消臭される。
【0035】
上記のように構成した本実施の形態の鶏舎の消臭システムにあっては、各ケージ11の下面中央部に、ベルトコンベア16の上部の鶏糞に対応するように噴射管20を設け、この噴射管20の噴射孔21から消臭ガスをベルトコンベア16の上部の鶏糞に向けて噴射させることにより、鶏糞の臭気、鶏の体臭、餌の臭気などの複合した臭気を消臭させることができる。また、消臭ガスの流れによって鶏糞の乾燥をある程度促進させることができる。
【0036】
従って、鶏舎1内を一定の温度、湿度に保つために、鶏舎1内に大量の外気を導いて鶏舎1内を換気しても、鶏舎1からの排気と一緒に排出される鶏糞の臭気、鶏の体臭、餌の臭気などの複合した臭気を軽微なものとすることができるので、それらの臭気が周辺の地域に拡散しても、その地域に就労及び居住する人々の生活環境に影響を与えるようなことはない。
【0037】
また、ベルトコンベア16の上部の鶏糞に消臭ガスを噴射させることにより、消臭ガスの流れによって鶏糞の乾燥をある程度促進させることができるので、回収した鶏糞を堆肥化発酵処理装置(図示せず)で発酵処理する場合や、炭化処理や焼却処理する場合の処理効率を高めることができる。
【0038】
なお、本実施の形態においては、鶏舎1の換気風量を約6000(m3/min)としているので、鶏舎1から約6000(m3/min)の無臭化された臭気ガスが排出されることになる。この鶏舎1から排出される臭気ガス量は、季節に応じて温度と湿度とを調整するために変化し、例えば、温度、湿度の高い夏季には、クーリングパッドを稼動させて換気ファン4を強風で使用することにより、大量の臭気ガスが排出され、温度、湿度の低い冬季には、クーリングパッドを稼動させずに換気ファン4を弱風で使用することにより、少量の臭気ガスが排出されることになる。
【0039】
図7には、本発明による鶏舎の消臭システムの第2の実施の形態が示されている。本実施の形態の鶏舎の消臭システムは、各噴射管20に消臭ガスと外気とを供給し、消臭ガスと外気との混合気を各噴射管20の噴射孔21からベルトコンベア16の上部の鶏糞に向けて噴射させるように構成したものであって、その他の構成は前記第1の実施の形態に示すものと同様である。
【0040】
すなわち、本実施の形態の鶏舎の消臭システムは、各噴射管20を配給管22を介して鶏舎1の外部に設けられたブロワ23に接続するとともに、ブロワ23の吸引口24に供給管25を介して消臭ガス供給源26を接続したものである。
なお、この場合、図8に示すように、ブロワ23の吐出側の配給管22の部分に供給管25を介して消臭ガス供給源26を接続してもよい。
【0041】
本実施の形態においては、ブロワ23を駆動させることにより、外気が吸引口24から配給管22内に吸引されるとともに、消臭ガス供給源26を駆動させることにより、消臭ガス供給源26から消臭ガスが供給管25を介してブロワ23の吸引口24に吸引され、吸引口24から配給管22内に供給され、消臭ガスと外気との混合気が配給管22を介して各噴射管20に供給され、各噴射管20の噴射孔21からベルトコンベア16の上部の鶏糞に向けて噴射される。
【0042】
本実施の形態においては、ブロワ23の駆動により外気を強制的に吸い込み、各噴射管20の噴射孔21から消臭ガスとの混合気としてベルトコンベア16の上部に鶏糞に向けて噴射させているので、消臭ガスのみを鶏糞に向けて噴射させるように構成した第1の実施の形態の消臭システムよりも鶏糞の乾燥をより促進させることができる。
【0043】
また、本実施の形態においては、鶏糞の回収の数日前から回収当日までの間、各ベルトコンベア16の上部に滞留されている水分70%程度の生鶏糞に向けて、各噴射管20の噴射孔21から消臭ガスと外気との混合気を噴射させることにより、鶏糞に含まれる水分を低減させている。
【0044】
例えば、ブロワ23によって約1000(m3/min)の外気を給気管25を介して配給管22内に吸い込み、この外気を配給管22から各噴射管20に導き、各噴射管20の噴射孔21から消臭ガスとの混合気として各ベルトコンベア16の上部の生鶏糞に向けて噴射させ、各ベルトコンベア16の上部に滞留している水分70%程度の生鶏糞の水分を60〜65%に調整している。これにより、堆肥化発酵処理装置で発酵処理する場合や、炭化処理や焼却処理する場合の処理効率を第1の実施の形態に示すものよりも更に高めることができる。
【0045】
上記のように構成した本実施の形態の鶏舎の消臭システムにあっては、各ケージ11の下面中央部に、ベルトコンベア16の上部の鶏糞に対応するように噴射管20を設け、この噴射管20の噴射孔21から消臭ガスと外気との混合気をベルトコンベア16の上部の鶏糞に向けて噴射させるように構成したことにより、鶏糞の臭気、鶏の体臭、餌の臭気などの複合した臭気を消臭させることができる。また、消臭ガスと外気との混合気の流れによって鶏糞の乾燥を促進させることができる。
【0046】
従って、鶏舎1内を一定の温度、湿度に保つために、鶏舎1内に大量の外気を導入して鶏舎1内を換気しても、鶏舎1からの排気と一緒に排出される鶏糞の臭気、鶏の体臭、餌の臭気などの複合した臭気を軽微なものとすることができるので、それらの臭気が周辺の地域に拡散しても、その地域に就労及び居住する人々の生活環境に影響を与えるようなことはない。
【0047】
また、ベルトコンベア16の上部の鶏糞に向けて消臭ガスと外気との混合気を噴射させているので、第1の実施の形態に示すものよりも鶏糞の乾燥をより促進させることができ、回収した鶏糞を堆肥化発酵処理装置で処理する場合や、炭化処理や焼却処理する場合の処理の効率を更に高めることができる。
【0048】
なお、本実施の形態においては、鶏舎1の換気風量を6000(m3/min)、鶏糞の乾燥風量を500(m3/min)×2系統=1000(m3/min)としているので、鶏舎1から、6000+1000=7000(m3/min)の臭気ガスが排出されることになる。
【0049】
また、本実施の形態においては、噴射管20に消臭ガス及び外気を供給し、消臭ガスと外気との混合気を噴射孔21から噴射させるように構成しているので、噴射管20から消臭ガスのみを噴射させた第1の実施の形態よりも、噴射管20の口径及び噴射孔の口径を大きく設定している。
【0050】
なお、本実施の形態においては、各ケージ11の下面中央部に、各ケージ11の全長に亘るように噴射管20をそれぞれ設け、各噴射管20に消臭ガス供給源26から消臭ガスを供給し、ブロワ23から外気を供給し、各噴射管20の噴射孔21から消臭ガスと外気との混合気をベルトコンベア16の上部の鶏糞に向けて噴射させるように構成したが、各ケージ11の下面中央部に、各ケージ11の全長に亘るように消臭ガスを噴射させる消臭ガス噴射管(図示せず)と外気を噴射させる外気噴射管(図示せず)とをそれぞれ個別に設け、各消臭ガス噴射管から鶏糞に向けて消臭ガスを噴射させるとともに、各外気噴射管から鶏糞に向けて外気を噴射させるように構成してもよい。
【0051】
さらに、鶏舎1内に、ベルトコンベア16の上部の鶏糞に向けて外気を噴射させる噴射管(図示せず)が既に設けられている場合には、この噴射管に消臭ガス供給源26を接続して外気と共に消臭ガスを供給し、この噴射管を介して外気と消臭ガスとの混合気をベルトコンベア16の上部の鶏糞に向けて噴射させるように構成してもよい。
【0052】
なお、前記第1及び第2の実施の形態においては、鶏舎1の前面側(図1の左側)に吸気口2が設けられ、背面側(図1の右側)に排気口3が設けられ、吸気口2にクーリングパッド4が設けられ、排気口3に換気手段としての換気ファン5が設けられた低床式の鶏舎1に本発明を適用したが、図9及び図10に示すような低床式の鶏舎1に本発明を適用してもよいものであり、その場合にも同様の作用効果を奏する。
【0053】
すなわち、図9及び図10に示す低床式の鶏舎1は、鶏舎1の屋根34の中央部が一段高く形成され、この一段高く形成された部分の側面に排気口3が設けられ、この排気口3がカーテン36によって開閉自在に構成され、また、鶏舎1の1階部分6の側面側が開放され、この開放された部分が吸気口2に形成されるとともに、この吸気口2がカーテン36によって開閉自在に構成され、又は、この吸気口2にクーリングパッド4が設けられ、クーリングパッド4に設定温度以上になったときに水が流れる構成のものである。
【0054】
図11〜図14には、本発明による鶏舎の消臭システムの第3の実施の形態が示されている。本実施の形態の鶏舎の消臭システムは、高床式の鶏舎を備えた養鶏場に適用したものであって、その他の構成は前記第1の実施の形態に示すものと同様である。
【0055】
高床式の鶏舎30は、例えば、図11〜図14に示すように、床31を高く設置することにより、床31の下部に、ケージ11から排出される鶏糞を所定の期間堆積させておく、回収手段である空間33を設け、床31の上部に、例えば、ケージ11を階段状に3段〜4段に重ねたものを6列に設け、各列のケージ群10a〜10fの各ケージ11から排出される鶏糞を床31の隙間を介して床31の下部の空間32に落下させるように構成したものである。
【0056】
高床式の鶏舎30は、図12に示すように、鶏舎1の屋根34の中央部が一段高く形成されるとともに、その一段高く形成された部分の側面に排気口35が設けられ、この排気口35がカーテンに36よって開閉自在に構成されている。また、床31の下部の空間33の側面側が開放されて、その部分が吸気口37に構成されるとともに、この吸気口37がカーテン38によって開閉自在に構成されている。この鶏舎30は、床31の下部の空間33の吸気口37から鶏舎1内に外気が吸い込まれ、その外気が床31の隙間を介して床31の上部の空間32内に流れ、屋根34の排気口35から鶏舎1外に排気される。これにより、鶏舎1内が換気され、鶏舎1内の温度、湿度が一定に保たれる。なお、排気口35に換気手段としての換気ファン(図示せず)を設け、換気ファンの駆動により、鶏舎1内を強制的に換気するように構成してもよい。
【0057】
また、本実施の形態においては、図13及び図14に示すように、床31の下面側の各列のケージ群10a〜10fの下方に対応する部分にそれぞれ各列のケージ群10a〜10fの全長に亘るように噴射管20が設けられ、各噴射管20は、配給管22を介して鶏舎30の外部に設置した消臭ガス供給源26に接続されている。
【0058】
各噴射管20には、床31の下部の空間33及び床31の上部の空間32に向けて消臭ガスを噴射させる複数の噴射孔21が設けられ、消臭ガス供給源26を駆動させることにより、消臭ガス供給源26から消臭ガスが配給管22に供給され、配給管22から各噴射管20に供給され、各噴射管20の噴射孔21から床31の下部の空間33及び床31の上部の空間32に向けて噴射される。
【0059】
上記のように構成した本実施の形態の鶏舎の消臭システムにあっては、床31の下部の空間33に堆積させた鶏糞に対応するように噴射管20を設け、この噴射管20から消臭ガスを床31の下部の空間33、及び床31の上部の空間32に向けて噴射させるように構成したので、床31の下部の空間33に堆積される鶏糞の臭気、床31の上部の空間32のケージ11内の鶏の体臭、餌の臭気などの複合した臭気が、鶏舎1の吸気口37から排気口35に向かう空気の流れにより、噴射管20から噴射された消臭ガスと混合されて消臭されることになる。
【0060】
従って、鶏舎30を一定の温度、湿度に保つために、大量の外気を利用して鶏舎30内を換気しても、鶏舎30からの排気と一緒に排出される鶏糞の臭気、鶏の体臭、餌の臭気などの複合した臭気を軽微なものとすることができるので、それらの臭気が周辺の地域まで拡散しても、その地域に就労及び居住する人々の生活環境に影響を与えるようことはない。
【0061】
なお、本実施の形態においては、床31の下部に噴射管20を設けたが、これに限らず噴射管20を床31の上部などに設けてもよい。要は、床31の下部の空間33に貯留されている鶏糞の臭気が、鶏舎30内を換気する空気の流れよって上昇する際に消臭ガスによって消臭され、更にこの消臭ガスの余力によって床31の上部に設けられたケージ11内の鶏の体臭、給餌装置の餌の臭気などの臭気が消臭される位置であればよく、概ね床31の下部の鶏糞の上方で、床31の上部のケージ11及び給餌装置の下方であればよい。
【0062】
なお、前記各実施の形態においては、本発明を低床式の鶏舎1又は高床式の鶏舎30に適用したが、その他の各種の鶏舎に本発明を適用してもよいものであり、その場合にも同様の作用効果を奏する。
【符号の説明】
【0063】
1 低床式の鶏舎
2 吸気口
3 排気口
4 クーリングパッド
5 換気ファン
6 1階部分
7 2階部分
8 壁面
9 通路
10a〜10f ケージ群
11 ケージ
12 外側面
13 給餌装置
14 集卵装置
16 ベルトコンベア
20 噴射管
21 噴射孔
22 配給管
23 送風機(ブロワ)
24 吸引口
25 供給管
26 消臭ガス供給源
30 高床式の鶏舎
31 床
32 空間(上部)
33 空間(下部)
34 屋根
35 排気口
36 カーテン
37 吸気口
38 カーテン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鶏舎内に、鶏を飼育するケージと、該ケージから排出された鶏糞を回収する回収手段とが設けられるとともに、該鶏舎内を換気する換気手段が設けられた鶏舎の消臭システムであって、
前記鶏舎内に、前記回収手段により回収した鶏糞に向けて消臭ガスを噴射させる噴射管を設けるとともに、該噴射管に消臭ガスを供給する消臭ガス供給源を接続したことを特徴とする鶏舎の消臭システム。
【請求項2】
前記噴射管に外気を供給する送風機を接続したことを特徴とする請求項1に記載の鶏舎の消臭システム。
【請求項3】
前記鶏舎内に、前記回収手段により回収した鶏糞に向けて外気を噴射させる噴射管を設けるとともに、該噴射管に外気を供給する送風機を接続したことを特徴とする請求項1に記載の鶏舎の消臭システム。
【請求項4】
前記回収手段は、前記ケージの下方に設けられるとともに、上部に前記ケージから排出された鶏糞を貯留可能なベルトコンベアであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に規制の鶏舎の消臭システム。
【請求項5】
前記回収手段は、前記ケージの下方に設けられるとともに、前記ケージから排出された鶏糞を貯留可能な空間であることを特徴とする請求項1に記載の鶏舎の消臭システム。
【請求項6】
前記消臭ガスは、常態では液状、固体状又は粒状をなし、前記噴射管から前記鶏糞に向けて噴射されるまでにガス化されることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の鶏舎の消臭システム。
【請求項1】
鶏舎内に、鶏を飼育するケージと、該ケージから排出された鶏糞を回収する回収手段とが設けられるとともに、該鶏舎内を換気する換気手段が設けられた鶏舎の消臭システムであって、
前記鶏舎内に、前記回収手段により回収した鶏糞に向けて消臭ガスを噴射させる噴射管を設けるとともに、該噴射管に消臭ガスを供給する消臭ガス供給源を接続したことを特徴とする鶏舎の消臭システム。
【請求項2】
前記噴射管に外気を供給する送風機を接続したことを特徴とする請求項1に記載の鶏舎の消臭システム。
【請求項3】
前記鶏舎内に、前記回収手段により回収した鶏糞に向けて外気を噴射させる噴射管を設けるとともに、該噴射管に外気を供給する送風機を接続したことを特徴とする請求項1に記載の鶏舎の消臭システム。
【請求項4】
前記回収手段は、前記ケージの下方に設けられるとともに、上部に前記ケージから排出された鶏糞を貯留可能なベルトコンベアであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に規制の鶏舎の消臭システム。
【請求項5】
前記回収手段は、前記ケージの下方に設けられるとともに、前記ケージから排出された鶏糞を貯留可能な空間であることを特徴とする請求項1に記載の鶏舎の消臭システム。
【請求項6】
前記消臭ガスは、常態では液状、固体状又は粒状をなし、前記噴射管から前記鶏糞に向けて噴射されるまでにガス化されることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の鶏舎の消臭システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−39908(P2012−39908A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182515(P2010−182515)
【出願日】平成22年8月17日(2010.8.17)
【出願人】(593180343)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月17日(2010.8.17)
【出願人】(593180343)
【Fターム(参考)】
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