説明

(3R,4R)−3,4−ビス(オキシカルボニル)シクロペンタノンおよび(3R,4R)−3,4−ビス(オキシカルボニル)シクロペンタノールの製造法

【課題】医薬品や農薬の原料として重要な(3R,4R)−3,4−ビス(オキシカルボニル)シクロペンタノンおよび(3R,4R)−3,4−ビス(オキシカルボニル)シクロペンタノールを、煩雑な操作を行うことなく、入手容易に簡便且つ効率的に製造する方法の提供。
【解決手段】光学活性なオキシカルボニル基を有する光学活性3,4−ビス(オキシカルボニル)−1,6−ヘキサン二酸またはその塩を溶媒から固体として析出させることによって、ジアステレオマー過剰率(%de)の向上した光学活性3,4−ビス(オキシカルボニル)−1,6−ヘキサン二酸またはその塩の固体とし、続いて環化、還元することにより、高光学純度の光学活性ビス(オキシカルボニル)シクロペンタノンおよび(3R,4R)−3,4−ビス(オキシカルボニル)シクロペンタノールを効率的に製造できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品や農薬の原料として重要な(3R,4R)−3,4−ビス(オキシカルボニル)シクロペンタノンおよび(3R,4R)−3,4−ビス(オキシカルボニル)シクロペンタノールの製造法に関する。特に、特開2009−502845号公報に記載の、C型肝炎治療薬の中間体として有用な(3R,4R)−ビス(メトキシカルボニル)シクロペンタノールの製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
(3R,4R)−3,4−ビス(オキシカルボニル)シクロペンタノンおよび(3R,4R)−3,4−ビス(オキシカルボニル)シクロペンタノールの製造法としては、例えば、下記の方法が報告されている。
【0003】
(1)ブタジエンスルホンとフマル酸ジメチルを環化してジメチル cis−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレートのラセミ体を製造した後、酸化開裂、環化、酵素的光学分割、還元を順次行い、(3R,4R)−ビス(メトキシカルボニル)シクロペンタノールを製造する方法(特許文献1、非特許文献1)。
【0004】
【化1】

【0005】
(2)ジメチル cis−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレートのラセミ体を酵素的に光学分割して(1S,2R)−1−メチル−cis−1,2,3,6−テトラヒドロフタレートを得た後、エピメリ化、t−ブチルエステル化、酸化開裂、環化を順次行い、(3R,4R)―3−(t−ブトキシカルボニル)−4−(メトキシカルボニル)シクロペンタノンを製造する方法(特許文献2、非特許文献2)。
【0006】
【化2】

【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−502845号公報
【特許文献2】特開2007−509075号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Acta Chemica Scandinavica 46,1127−29(2007)
【非特許文献2】The Journal of Organic Chemistry,1989,Vol.54,5115−5122
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来技術(1)および(2)では、共に光学分割を利用するため、生産性の低さが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記に鑑み、本発明者らが鋭意検討した結果、3,4位に光学活性オキシカルボニル基を有する1,6−ヘキサン二酸誘導体を、溶媒から固体として析出させることによって、ジアステレオマー過剰率(%de)の向上した光学活性3,4−ビス(オキシカルボニル)−1,6−ヘキサン二酸誘導体の固体が効率的に製造でき、更にこれを環化することにより、(3R,4R)−3,4−ビス(オキシカルボニル)シクロペンタノンが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本願発明は、下記式(1):
【0012】
【化3】

【0013】
(式中、R1はC1〜C20の光学活性残基を表す。Xは水素原子、アルカリ金属、又はアンモニウムを表す。)で表される(3R,4R)−3,4−ビス(オキシカルボニル)−1,6−ヘキサン二酸誘導体を、溶媒から固体として析出させる方法に関する。
【0014】
更に本発明は、上記方法により製造された前記式(1)で表される(3R,4R)−3,4−ビス(オキシカルボニル)−1,6−ヘキサン二酸誘導体の固体を環化して、下記式(2):
【0015】
【化4】

【0016】
(式中、R1は前記に同じ。)で表される(3R,4R)−3,4−ビス(オキシカルボニル)シクロペンタノンとし、次いで置換基R1をアルキル基、シクロアルキル基、または水素原子に変換する下記式(3):
【0017】
【化5】

【0018】
(式中、R2はC1〜C5のアルキル基、C3〜C7のシクロアルキル基、又は水素原子を表す。)で表される(3R,4R)−3,4−置換−シクロペンタノンを製造する方法に関する。
【発明の効果】
【0019】
本発明にかかる方法によれば、工業的実施に適した方法で、簡便且つ効率的に(3R,4R)−3,4−ビス(オキシカルボニル)シクロペンタノンおよび(3R,4R)−3,4−ビス(オキシカルボニル)シクロペンタノールを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例23に係る(3R,4R)−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル)シクロヘキセンのX線粉末解析スペクトルである。縦軸はX線の強度(cps)を示し、横軸は回折角(2θ)を示す。
【図2】本発明の実施例24に係る(3R,4R)−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル)−1,6−ヘキサン二酸のX線粉末解析スペクトルである。縦軸はX線の強度(cps)を示し、横軸は回折角(2θ)を示す。
【図3】本発明の実施例25に係る(3R,4R)−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル)−1,6−ヘキサン二酸二(ジシクロヘキシルアミン)塩のX線粉末解析スペクトルである。縦軸はX線の強度(cps)を示し、横軸は回折角(2θ)を示す。
【図4】本発明の実施例28に係る(3R,4R)−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル)シクロペンタノンのX線粉末解析スペクトルである。縦軸はX線の強度(cps)を示し、横軸は回折角(2θ)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本願発明にかかる方法を詳細に述べる。
【0022】
本願発明における(3R,4R)−3,4−ビス(オキシカルボニル)シクロペンタノンおよび(3R,4R)−3,4−ビス(オキシカルボニル)シクロペンタノールの製造法を図で表すと以下の通りである。各工程を順に説明する。なお、本願においては、特に記載のない限り、各工程を別個独立に実施することが可能である。
【0023】
【化6】

【0024】
工程1
本工程では、前記式(5)で表される光学活性1,2−ビス(オキシカルボニル)エチレンに、1,3−ブタジエンを作用させることによって、前記式(6)で表される(3R,4R)−3,4−ビス(オキシカルボニル)シクロヘキセンを製造する。
【0025】
ここで、R1はC1〜C20の光学活性残基を表す。
【0026】
前記光学活性残基R1としては、環状エステル骨格や、環状アルキル骨格、又は分岐状骨格等、一般的に嵩高い骨格を有する置換基であれば特に制限は無いが、例えば、カルボニルオキシ基と結合する原子が不斉炭素原子である環状エステル骨格や、カルボニルオキシ基と結合する原子が不斉炭素原子である環状アルキル骨格、又はカルボニルオキシ基と結合する原子が不斉炭素原子である分岐状骨格が挙げられる。そのような置換基としては、具体的に例えば、
【0027】
【化7】

【0028】
等のカルボニルオキシ基と結合する原子が不斉炭素原子である環状エステル骨格を有する光学活性残基;
【0029】
【化8】

【0030】
等のカルボニルオキシ基と結合する原子が不斉炭素原子である環状アルキル骨格を有する光学活性残基;
【0031】
【化9】

【0032】
等のカルボニルオキシ基と結合する原子が不斉炭素原子である分岐状エステル骨格を有する光学活性残基;又は、
【0033】
【化10】

【0034】
等のカルボニルオキシ基と結合する原子が不斉炭素原子である分岐状アミド骨格を有する光学活性残基等が挙げられる。
これらは、1以上の置換基を有していても良い。R1として好ましくは、
【0035】
【化11】

【0036】
で表される(D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イル基、(L)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イル基、(D)−メンチル基、(L)−メンチル基、(L)−1−オキソ−1−(ピロリジン−1−イル)プロパン−2−イル基、又は(D)−1−オキソ−1−(ピロリジン−1−イル)プロパン−2−イル基であり、更に好ましくは、
【0037】
【化12】

【0038】
で表される(D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イル基、(L)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イル基、(D)−メンチル基、又は(L)−メンチル基であり、特に好ましくは、
【0039】
【化13】

【0040】
で表される(D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イル基、又は(D)−メンチル基であり、とりわけ好ましくは、
【0041】
【化14】

【0042】
で表される(D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イル基である。
【0043】
このような光学活性残基を導入することにより、本工程及び後の晶析工程で、目的とする立体を有する化合物を効率的に得ることができる。
【0044】
本工程の出発物質である化合物(5)については、例えば、R1が(D)−メンチル基である場合は、Journal of Medicinal Chemistry,1989,Vol.32,No.1,197−202に記載された方法に従って、マレイン酸無水物に(D)−メントールを作用させ、更にモルホリンを作用させることにより簡便に製造することができる。
【0045】
前記1,3−ブタジエンの使用量は、多すぎるとコストや後処理の点で好ましくないため、上限としては化合物(5)1モルに対して、好ましくは100モルであり、更に好ましくは50モルであり、特に好ましくは10モルである。下限としては化合物(5)1モルに対して、好ましくは0.1モルであり、更に好ましくは0.2モルであり、特に好ましくは0.5モルである。
【0046】
本反応の溶媒としては、反応に影響を与えない限りにおいては特に制限はなく、具体的には例えば、水;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール、エチレングリコール等のアルコール系溶媒;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、メチルtert−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒;酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル等のエステル系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−メチル−ε−カプロラクタム、ヘキサメチルホスホルアミド等のアミド系溶媒;ジメチルプロピレンウレア等のウレア系溶媒;ヘキサメチルホスホン酸トリアミド等のホスホン酸トリアミド系溶媒等を用いることができる。これらは単独で用いても良く、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合、その混合比は特に制限されない。好ましくは、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒;塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−メチル−ε−カプロラクタム、ヘキサメチルホスホルアミド等のアミド系溶媒であり、更に好ましくはヘキサン、トルエン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、又はN,N−ジメチルアセトアミドである。特に好ましくはトルエン、又は塩化メチレンである。
【0047】
前記溶媒の使用量は、多すぎるとコストや後処理の点で好ましくないため、上限としては、化合物(5)1重量部に対して、好ましくは100重量部であり、更に好ましくは50重量部であり、特に好ましくは20重量部である。下限としては、化合物(5)1重量部に対して好ましくは0.1重量部であり、更に好ましくは0.5重量部であり、特に好ましくは1重量部である。
【0048】
本反応における反応温度には特に制限はなく、適宜設定すればよいが、副生成物の生成を少なくするため、上限としては好ましくは250℃であり、更に好ましくは200℃であり、特に好ましくは150℃である。下限としては好ましくは−80℃であり、更に好ましくは−50℃であり、特に好ましくは−20℃である。
【0049】
また、本反応における圧力には特に制限はなく、適宜設定すればよいが、上限として好ましくは10MPaであり、更に好ましくは0.9MPaであり、特に好ましくは0.5MPaである。
【0050】
本反応における反応時間には特に制限はなく、適宜設定すればよいが、上限としては好ましくは120時間であり、更に好ましくは100時間であり、特に好ましくは80時間である。下限として好ましくは0.1時間であり、更に好ましくは1時間であり、特に好ましくは3時間である。
【0051】
また、本反応においては必要に応じて活性化剤を添加しても良い。
【0052】
活性化剤としては特に制限は無いが、具体的には、例えば、塩化アルミニウム(III)、塩化鉄(III)、塩化亜鉛(II)、塩化スズ(IV)、塩化ガリウム(III)、塩化インジウム(III)、塩化スカンジウム(III)、塩化イットリウム(III)、塩化カドミニウム(II)、塩化マグネシウム(II)、臭化マグネシウム(II)、塩化ジエチルアルミニウム、塩化ジイソブチルアルミニウム、塩化チタン(IV)、塩化ジルコニウム(IV)、塩化銅(II)、塩化銅(I)、塩化ニッケル(II)、塩化アンチモン(III)、イッテルビウムトリフラート、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトライソプロポキシド、アルミニウムトリメトキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、オキサザボロリジン化合物、ボラン−エーテル錯体、ボラン−テトラヒドロフラン錯体、又はボラントリフルオライド等が挙げられる。好ましくは塩化アルミニウム(III)、塩化鉄(III)、塩化マグネシウム(II)、塩化ジエチルアルミニウム、塩化チタン(IV)、イッテルビウムトリフラート、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトライソプロポキシド、アルミニウムトリメトキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、又はボラン−エーテル錯体であり、更に好ましくは塩化アルミニウム(III)、塩化ジエチルアルミニウム、又は塩化チタン(IV)であり、特に好ましくは塩化チタン(IV)である。
【0053】
前記活性化剤の使用量としては、多すぎるとコストや後処理の点で好ましくないため、上限としては化合物(5)1モルに対して、好ましくは20モルであり、更に好ましくは10モルであり、特に好ましくは5モルである。また、下限としては化合物(5)1モルに対して、好ましくは0.001モルであり、更に好ましくは0.01モルであり、特に好ましくは0.02モルである。
【0054】
化合物(5)、1,3−ブタジエン、溶媒、活性化剤の混合順序について特に制限はない。
【0055】
本反応後の処理としては、反応液から生成物を取得するための一般的な処理を行えばよい。例えば、反応終了後の反応液に水、一般的な抽出溶媒、例えば酢酸エチル、ジエチルエーテル、塩化メチレン、トルエン、ヘキサン等を用いて抽出操作を行う。得られた抽出液から減圧加熱等の操作により、反応溶媒及び抽出溶媒を留去すると目的物が得られる。
【0056】
このようにして得られた目的物は、後続工程に使用できる十分な純度を有しているが、純度をさらに高める目的で、晶析、分別蒸留、転溶洗浄(塩の形成と解塩による化合物の有機層と水層間の移動を利用した洗浄方法)、カラムクロマトグラフィー等の一般的な精製手法により、さらに純度を高めてもよい。好ましくは、溶媒から固体を析出させる方法である。
【0057】
本工程の固体の析出に用いる溶媒としては、特に制限は無いが、具体的には例えば、水;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール、エチレングリコール等のアルコール系溶媒;酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル等のエステル系溶媒;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、メチルtert−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;ジメチルプロピレンウレア等のウレア系溶媒;ヘキサメチルホスホン酸トリアミド等のホスホン酸トリアミド系溶媒を用いることができる。これらは単独で用いても良く、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合、その混合比は特に制限されない。
【0058】
好ましくは水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、テトラヒドロフラン、メチルtert−ブチルエーテル、ジエチルエーテル、アセトン、アセトニトリル、トルエン、クロロベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、又はメチルシクロヘキサンであり、更に好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、トルエン、メチルtert−ブチルエーテル、又はヘキサンであり、特に好ましくはメタノール、又はメチルtert−ブチルエーテルである。
【0059】
前記溶媒の使用量は、多すぎるとコストや後処理の点で好ましくないため、上限としては、化合物(6)1重量部に対して、好ましくは100重量部であり、更に好ましくは50重量部であり、特に好ましくは20重量部である。下限としては、化合物(6)1重量部に対して好ましくは0.1重量部であり、更に好ましくは0.5重量部であり、特に好ましくは1重量部である。
【0060】
本工程の固体を析出させる方法としては特に限定されないが、例えば以下のような方法が挙げられる。
(a)化合物(6)と溶媒を混合後、冷却して固体を析出させる方法。
(b)化合物(6)と溶媒を混合後、濃縮する事により固体を析出させる方法。
(c)化合物(6)と溶媒を混合後、貧溶媒を添加する事により固体を析出させる方法。
(d)化合物(6)と溶媒を混合後、濃縮と貧溶媒添加の操作を、必要に応じて繰り返し、溶媒を貧溶媒に置き換える事により固体を析出させる方法。
【0061】
(a)〜(d)の方法を適宜組み合わせて固体を析出させても良い。また、固体を析出させる際には、種となる固体を添加しても良い。
【0062】
上記固体を析出させる方法で用いる溶媒としては、前述の溶媒と同じものが挙げられ、(c)、(d)の方法で用いる貧溶媒としては、例えば、トルエン、ヘキサン等が挙げられる。
【0063】
(a)〜(d)の固体を析出させる方法における実施温度は、特に限定されないが、使用する溶媒の種類および目標とする析出量と固体の品質に応じて適宜選択すればよい。好ましくは、使用する溶媒種に、化合物(6)が溶解する温度未満で、目標とする析出量と固体の品質に応じて、適宜設定すればよい。
【0064】
(a)〜(d)の方法により析出させた化合物(6)は、減圧濾過、加圧濾過、又は遠心分離等の方法により分離、取得することができる。また、取得固体中に母液が残存して固体のジアステレオマー過剰率(%de)が低下する場合は、必要に応じて、更に有機溶媒で洗浄することにより、品質を高めることもできる。
【0065】
固体の乾燥方法としては、特に制限は無いが、熱分解や溶融を避けて約60℃以下で、減圧乾燥(真空乾燥)するのが望ましい。
【0066】
また、充分にジアステレオマー過剰率(%de)が向上しなかった場合は再度、前記(a)〜(d)のいずれかの方法に付すか、又は化合物(6)を溶媒で洗浄するか、又は前記(a)〜(d)のいずれかに準じた方法で再度固体を析出させれば良い。
【0067】
なお、本工程で得られる化合物(6)の群のうち、下記式(8):
【0068】
【化15】

【0069】
で表される(3R,4R)−3,4−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル)シクロヘキセンは文献に未記載の新規化合物であり、当然ながら固体になることは知られていない。
【0070】
工程2
本工程では、前記式(6)で表される(3R,4R)−3,4−ビス(オキシカルボニル)シクロヘキセンを酸化開裂することにより、前記式(7)で表される(3R,4R)−3,4−ビス(オキシカルボニル)−1,6−ヘキサン二酸を製造する。
【0071】
ここで、R1は前記に同じである。
【0072】
酸化開裂させる方法としては、酸化剤を作用させればよい。前記酸化剤としては、酸化開裂に必要な酸化力を持つ限りにおいては特に制限は無く、具体的には、例えば、塩素酸カリウム、塩素酸ナトリウム、塩素酸アンモニウム、塩素酸バリウム、塩素酸カルシウム等の塩素酸塩;過塩素酸カリウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸アンモニウム等の過塩素酸塩;過酸化カリウム、過酸化ナトリウム、過酸化カルシウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム等の無機過酸化物;亜塩素酸カリウム、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸銅等の亜塩素酸塩;臭素酸カリウム、臭素酸ナトリウム、臭素酸マグネシウム等の臭素酸塩;硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸バリウム、硝酸銀等の硝酸塩;ヨウ素酸カリウム、ヨウ素酸ナトリウム、ヨウ素酸カルシウム等のヨウ素酸塩;過マンガン酸カリウム、過マンガン酸アンモニウム等の過マンガン酸塩;重クロム酸ナトリウム、重クロム酸アンモニウム等の重クロム酸塩;過ヨウ素酸ナトリウム、メタ過ヨウ素酸、二酸化クロム、二酸化鉛、亜硝酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウム、ペルオキソニ硫酸カリウム、ペルオキソニ硫酸ナトリウム、ペルオキソニ硫酸アンモニウム、ペルオキソほう酸カリウム、ペルオキソほう酸アンモニウム、オゾン、過塩素酸、酸化タングステン、又は過酸化水素等が挙げられる。好ましくは過塩素酸カリウム、過塩素酸ナトリウム、過ヨウ素酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、酸化タングステン、又は過酸化水素であり、更に好ましくは過塩素酸ナトリウム、過ヨウ素酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、酸化タングステンであり、特に好ましくは過マンガン酸カリウムである。
【0073】
前記酸化剤の使用量としては、多すぎるとコストや後処理の点で好ましくないため、上限として好ましくは、化合物(6)1モルに対して20モルであり、更に好ましくは15モルであり、特に好ましくは10モルである。下限として好ましくは、化合物(6)1モルに対して0.01モルであり、更に好ましくは0.1モルであり、特に好ましくは0.2モルである。
【0074】
本反応の溶媒としては、反応に影響を与えない限りにおいては特に制限はなく、具体的に例えば、水;酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;ジメチルプロピレンウレア等のウレア系溶媒;ヘキサメチルホスホン酸トリアミド等のホスホン酸トリアミド系溶媒を用いることができる。これらは単独で用いても良く、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合、その混合比は特に制限されない。
【0075】
これらのうち、好ましくは、水、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、N,N−ジメチルホルムアミド、又はN,N−ジメチルアセトアミドであり、更に好ましくは水、酢酸エチル、アセトン、又はヘキサンであり、特に好ましくは水、又は酢酸エチルである。
【0076】
前記溶媒の使用量は、多すぎるとコストや後処理の点で好ましくないため、上限としては、化合物(6)1重量部に対して、好ましくは100重量部であり、更に好ましくは50重量部であり、特に好ましくは20重量部である。下限としては、化合物(6)1重量部に対して、好ましくは0.1重量部であり、更に好ましくは0.5重量部であり、特に好ましくは1重量部である。
【0077】
本反応における反応温度には特に制限はなく、適宜設定すればよいが、副生成物の生成を少なくするため、上限としては好ましくは200℃であり、更に好ましくは150℃であり、特に好ましくは100℃である。下限としては好ましくは−80℃であり、更に好ましくは−50℃であり、特に好ましくは−20℃である。
【0078】
本反応における反応時間には特に制限はなく、適宜設定すればよいが、上限としては好ましくは120時間であり、更に好ましくは100時間であり、特に好ましくは80時間である。下限として好ましくは0.001時間であり、更に好ましくは0.01時間であり、特に好ましくは0.1時間である。
【0079】
また、必要に応じて相間移動触媒を添加してもよい。相間移動触媒としては特に制限は無いが、具体的に例えば、12−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウン−6、24−クラウン−8、ジベンゾ−18−クラウン−6、ジベンゾ−24−クラウン−8、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6、ジシクロヘキシル−24−クラウン−8等のクラウンエーテル類;クリプタンド[2,2]、クリプタンド[2,2,1]、クリプタンド[2,2,2]等のクリプタンド類;、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド[商品名:ALIQUAT 336]、トリオクチルメチルアンモニウムブロミド、メチルトリアルキル(炭素数8から10)アンモニウムクロリド[商品名:Adogen 464]、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムヨーダイド、硫酸水素テトラブチルアンモニウム等の4級アンモニウム塩等が挙げられる。好ましくはテトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムヨーダイド、又は硫酸水素テトラブチルアンモニウムであり、更に好ましくはテトラブチルアンモニウムブロミド、又は硫酸水素テトラブチルアンモニウムであり、特に好ましくは硫酸水素テトラブチルアンモニウムである。
【0080】
前記相間移動触媒の使用量としては、多すぎるとコストや後処理の点で好ましくないため、上限として好ましくは化合物(6)1モルに対して10モルであり、更に好ましくは5モルであり、特に好ましくは3モルである。下限として好ましくは化合物(6)1モルに対して0.001モルであり、更に好ましくは0.01モルであり、特に好ましくは0.02モルである。
【0081】
化合物(6)、酸化剤、溶媒、相間移動触媒の混合順序について特に制限はな い。
【0082】
反応後の処理としては、反応液から生成物を取得するための一般的な処理を行えばよい。例えば、反応終了後の反応液に水、一般的な抽出溶媒、例えば酢酸エチル、ジエチルエーテル、塩化メチレン、トルエン、ヘキサン等を用いて抽出操作を行う。得られた抽出液から減圧加熱等の操作により、反応溶媒及び抽出溶媒を留去すると目的物が得られる。
【0083】
このようにして得られた目的物は、後続工程に使用できる十分な純度を有しているが、純度をさらに高める目的で、晶析、分別蒸留、転溶洗浄(塩の形成と解塩による化合物の有機層と水層間の移動を利用した洗浄方法)、カラムクロマトグラフィー等の一般的な精製手法により、さらに純度を高めてもよい。
【0084】
好ましくは、溶媒から固体を析出させる方法、又は化合物(7)を前記式(1)
で表される光学活性3,4−ビス(オキシカルボニル)−1,6−ヘキサン二酸誘導体に変換して、溶媒から固体を析出させる方法である。
【0085】
化合物(7)を溶媒から固体として析出させる方法については下記で説明する。また、化合物(7)を化合物(1)に変換してから、化合物(1)を溶媒から固体として析出させる方法については、工程3で説明する。
【0086】
まず化合物(7)を溶媒から固体として析出させる方法について説明する。
【0087】
本工程の固体の析出に用いる溶媒としては、特に制限は無いが、具体的には例えば、水;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール、エチレングリコール等のアルコール系溶媒;酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル等のエステル系溶媒;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、メチルtert−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;ジメチルプロピレンウレア等のウレア系溶媒;ヘキサメチルホスホン酸トリアミド等のホスホン酸トリアミド系溶媒を用いることができる。これらは単独で用いても良く、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合、その混合比は特に制限されない。
【0088】
好ましくは水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、テトラヒドロフラン、メチルtert−ブチルエーテル、ジエチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、トルエン、クロロベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、又はメチルシクロヘキサンであり、更に好ましくは、酢酸エチル、メチルエチルケトン、又はヘキサンであり、特に好ましくは酢酸エチル、又はヘキサンである。
【0089】
前記溶媒の使用量は、多すぎるとコストや後処理の点で好ましくないため、上限としては、化合物(7)1重量部に対して好ましくは100重量部であり、更に好ましくは50重量部であり、特に好ましくは20重量部である。下限としては、化合物(7)1重量部に対して好ましくは0.1重量部であり、更に好ましくは0.5重量部であり、特に好ましくは1重量部である。
【0090】
本工程の固体を析出させる方法は、工程1で記載した方法と同様の方法を用いることができる。
【0091】
なお、本工程で得られる化合物(7)は文献に未記載の新規化合物であり、当然ながら固体になることは知られていない。
【0092】
工程3
本工程では、前記式(7)で表される(3R,4R)−3,4−ビス(オキシカルボニル)−1,6−ヘキサン二酸を、前記式(1)で表される(3R,4R)−3,4−ビス(オキシカルボニル)−1,6−ヘキサン二酸誘導体に変換し、化合物(1)を溶媒から固体として析出させることにより、ジアステレオマー過剰率(%de)の向上した化合物(1)の固体を製造する。
【0093】
ここで、R1は前記に同じである。
【0094】
Xはアルカリ金属、又はアンモニウムを表す。
【0095】
Xとして好ましくはリチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;メチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、ベンジルアンモニウム等のアンモニウム;(R)−1−フェネチルアンモニウム、(S)−1−フェネチルアンモニウム等の光学活性アンモニウムが挙げられる。好ましくはリチウム、ナトリウム、カリウム、又はジシクロヘキシルアンモニウムであり、更に好ましくはリチウム、ナトリウム、又はジシクロヘキシルアンモニウムであり、特に好ましくはリチウム、又はジシクロヘキシルアンモニウムである。
【0096】
化合物(7)から化合物(1)への変換方法については、一般的な手法を用いればよいが、好ましくは化合物(7)に塩基を作用させるとよい。
【0097】
前記塩基としては、特に制限はないが、具体的には例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ炭酸物;炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ炭酸水素物;n−ブチルリチウム、フェニルリチウム等の有機リチウム試薬;ナトリウムアミド、カリウムアミド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド等のアルカリ金属アミド;水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等のアルカリ金属水素化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、リチウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド等のアルキル金属アルコキシド;アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ベンジルアミン等のアミン化合物;(R)−1−フェネチルアミン、(S)−1−フェネチルアミン、(R)−1−(p−クロロフェニル)エチルアミン、(S)−1−(p−クロロフェニル)エチルアミン、(R)−1−フェニルプロピルアミン、(S)−1−フェニルプロピルアミン、(R)−2−ナフチルチルアミン、(S)−2−ナフチルチルアミン等の光学活性アミン化合物が挙げられる。好ましくは水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、又はジシクロヘキシルアミンであり、更に好ましくは水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、又はジシクロヘキシルアミンであり、特に好ましくは水酸化リチウム、又はジシクロヘキシルアミンである。
【0098】
前記塩基の使用量として、上限としては化合物(7)1モルに対して、好ましくは10モルであり、更に好ましくは7モルであり、特に好ましくは5モルである。下限としては化合物(7)1モルに対して、好ましくは0.05モルであり、更に好ましくは0.1モルであり、特に好ましくは0.2モルである。
【0099】
本工程の固体の析出に用いる溶媒としては、特に制限は無いが、具体的には例えば、水;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール、エチレングリコール等のアルコール系溶媒;酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル等のエステル系溶媒;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、メチルtert−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;ジメチルプロピレンウレア等のウレア系溶媒;ヘキサメチルホスホン酸トリアミド等のホスホン酸トリアミド系溶媒を用いることができる。これらは単独で用いても良く、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合、その混合比は特に制限されない。
【0100】
好ましくは水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、テトラヒドロフラン、メチルtert−ブチルエーテル、ジエチルエーテル、アセトン、アセトニトリル、トルエン、クロロベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、又はメチルシクロヘキサンであり、更に好ましくは水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、又は酢酸エチルであり、特に好ましくは水、エタノール、又はイソプロパノールである。
【0101】
前記溶媒の使用量は、多すぎるとコストや後処理の点で好ましくないため、上限としては、化合物(7)1重量部に対して好ましくは100重量部であり、更に好ましくは50重量部であり、特に好ましくは20重量部である。下限としては、化合物(5)1重量部に対して好ましくは0.1重量部であり、更に好ましくは0.5重量部であり、特に好ましくは1重量部である。
【0102】
本工程の固体を析出させる方法としては特に限定されないが、例えば以下のような方法が挙げられる。
(a)化合物(7)と塩基を溶媒中で混合することにより固体を析出させる方法。
(b)化合物(7)と塩基を溶媒中で混合後、冷却して固体を析出させる方法。
(c)化合物(7)と塩基を溶媒中で混合後、濃縮する事により固体を析出させる方法。
(d)化合物(7)と塩基を溶媒中で混合後、貧溶媒を添加する事により固体を析出させる方法。
(e)化合物(7)と塩基を溶媒中で混合後、濃縮と貧溶媒添加の操作を、必要に応じて繰り返し、溶媒を貧溶媒に置き換える事により固体を析出させる方法。
【0103】
(a)〜(e)の方法を適宜組み合わせて固体を析出させても良く、塩基を工程2の反応液中にあらかじめ添加しておき、反応液中で形成された化合物(1)を本工程に供して、固体を析出させても良い。また、固体を析出させる際には種となる固体を添加しても良い。
【0104】
上記固体を析出させる方法で用いる溶媒としては、前述の溶媒と同じものが挙げられ、(d)、(e)の方法で用いる貧溶媒としては例えば、トルエン、ヘキサン等が挙げられる。
【0105】
(a)〜(e)の固体を析出させる方法における実施温度は、特に限定されないが、生じる塩の種類と使用する溶媒の種類および目標とする析出量と固体の品質に応じて適宜選択すればよい。好ましくは使用する溶媒種に、化合物(1)が溶解する温度未満で設定すればよい。
【0106】
(a)〜(e)の方法により析出した化合物(1)は、減圧濾過、加圧濾過、又は遠心分離等の方法により分離、取得することができる。また、取得固体中に母液が残存して固体のジアステレオマー過剰率(%de)が低下する場合は、必要に応じて、更に有機溶媒で洗浄することにより、品質を高めることもできる。
【0107】
固体の乾燥方法としては、特に制限は無いが、熱分解や溶融を避けて約60℃以下で、減圧乾燥(真空乾燥)するのが望ましい。
【0108】
また、充分にジアステレオマー過剰率(%de)が向上しなかった場合は再度、前記(a)〜(e)のいずれかの方法に付すか、又は化合物(1)を溶媒で洗浄するか、又は前記(a)〜(e)のいずれかに準じた方法で再度固体を析出させれば良い。
【0109】
前記方法によって取得した化合物(1)は、必要に応じて解塩することにより、ジアステレオマー過剰率(%de)の向上した化合物(7)として取得することができる。得られた化合物(7)を工程4に用いてもよい。前記解塩する際は例えば、化合物(1)に、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸等の酸水溶液を添加することにより化合物(7)を遊離させ、酢酸エチル、トルエン、メチルtert−ブチルエーテル等の有機溶媒を用いて抽出し、抽出溶媒を減圧加熱等で留去することにより行うとよい。
【0110】
なお、本工程で得られる化合物(1)は文献に未記載の新規化合物であり、当然ながら固体になることは知られていない。
【0111】
工程4
本工程では、前記式(7)で表される(3R,4R)−3,4−ビス(オキシカルボニル)−1,6−ヘキサン二酸を環化して、前記式(2)で表される(3R,4R)−3,4−ビス(オキシカルボニル)シクロペンタノンを製造する。
【0112】
ここで、R1は前記に同じである。
【0113】
化合物(7)を環化する方法については、特に制限はないが、例えば、化合物(7)に酸無水物を作用させて環化すればよい。
【0114】
前記酸無水物としては特に制限は無いが、具体的には、例えば、無水酢酸、トリフルオロ酢酸無水物、トリクロロ酢酸無水物、トリブロモ酢酸無水物、プロピオン酸無水物、コハク酸無水物、マレイン酸無水物、フタル酸無水物、安息香酸無水物等のカルボン酸無水物;メタンスルホン酸無水物、p−トルエンスルホン酸無水物、トリフルオロメタンスルホン酸無水物等のスルホン酸無水物等が挙げられる。好ましくは無水酢酸、トリフルオロ酢酸無水物、トリクロロ酢酸無水物、又はメタンスルホン酸無水物であり、更に好ましくは無水酢酸、トリフルオロ酢酸無水物、又はメタンスルホン酸無水物であり、特に好ましくは無水酢酸である。
【0115】
前記酸無水物の使用量としては、多すぎるとコストや後処理の点で好ましくないため、上限として好ましくは化合物(7)1モルに対して100モルであり、更に好ましくは70モルであり、特に好ましくは50モルである。下限として好ましくは化合物(7)1モルに対して0.1モルであり、更に好ましくは0.2モルであり、特に好ましくは0.5モルである。
【0116】
また、本反応においては必要に応じて活性化剤を添加しても良い。活性化剤としては特に制限は無いが、具体的に例えば、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、ギ酸リチウム、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、トリフルオロ酢酸ナトリウム、トリクロロ酢酸ナトリウム、トリブロモ酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、マレイン酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、安息香酸ナトリウム等のカルボン酸塩;メタンスルホン酸ナトリウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸塩;炭酸バリウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩;リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム等のリン酸水素塩等が挙げられる。好ましくは酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ギ酸リチウム、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、トリフルオロ酢酸ナトリウム、トリクロロ酢酸ナトリウム、トリブロモ酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、マレイン酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、メタンスルホン酸ナトリウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸ナトリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、又はリン酸水素二カリウムであり、更に好ましくは酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ギ酸リチウム、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、又はリン酸水素二カリウムであり、特に好ましくは酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、又はリン酸水素二カリウムである。
【0117】
前記活性化剤の使用量としては、多すぎるとコストや後処理の点で好ましくないため、上限として好ましくは化合物(7)1モルに対して20モルであり、更に好ましくは5モルであり、特に好ましくは3モルである。下限として好ましくは化合物(7)1モルに対して0.001モルであり、更に好ましくは0.01モルであり、特に好ましくは0.02モルである。
【0118】
本反応においては、反応液の混合が困難である場合、必要に応じて溶媒を添加してもよい。
【0119】
前記溶媒としては、反応に影響を与えない限りにおいては特に制限はなく、具体的に例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;ジメチルプロピレンウレア等のウレア系溶媒;ヘキサメチルホスホン酸トリアミド等のホスホン酸トリアミド系溶媒を用いることができる。これらは単独で用いても良く、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合、その混合比は特に制限されない。好ましくはトルエン、クロロベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、又はメチルシクロヘキサンであり、更に好ましくはトルエン、クロロベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、又はメチルシクロヘキサンであり、特に好ましくはトルエンである。
【0120】
前記溶媒の使用量は、多すぎるとコストや後処理の点で好ましくないため、上限としては、化合物(7)1重量部に対して好ましくは100重量部であり、更に好ましくは50重量部であり、特に好ましくは20重量部である。下限としては、化合物(7)1重量部に対して好ましくは0.1重量部であり、更に好ましくは0.5重量部であり、特に好ましくは1重量部である。
【0121】
本反応における反応温度には特に制限はなく、適宜設定すればよいが、副生成物の生成を少なくするため、上限として好ましくは250℃であり、更に好ましくは200℃であり、特に好ましくは150℃である。下限としては好ましくは−20℃であり、更に好ましくは0℃であり、特に好ましくは25℃である。
【0122】
本反応における反応時間には特に制限はなく、適宜設定すればよいが、上限としては好ましくは120時間であり、更に好ましくは100時間であり、特に好ましくは80時間である。下限として好ましくは0.001時間であり、更に好ましくは0.01時間であり、特に好ましくは0.1時間である。
【0123】
化合物(7)、酸無水物、活性化剤、溶媒の混合順序について特に制限はない。
【0124】
反応後の処理としては、反応液から生成物を取得するための一般的な処理を行えばよい。例えば、反応終了後の反応液に水、一般的な抽出溶媒、例えば酢酸エチル、ジエチルエーテル、塩化メチレン、トルエン、ヘキサン等を用いて抽出操作を行う。得られた抽出液から減圧加熱等の操作により、反応溶媒及び抽出溶媒を留去すると目的物が得られる。
【0125】
このようにして得られた目的物は、後続工程に使用できる十分な純度を有しているが、純度をさらに高める目的で、晶析、分別蒸留、転溶洗浄(塩の形成と解塩による化合物の有機層と水層間の移動を利用した洗浄方法)、カラムクロマトグラフィー等の一般的な精製手法により、さらに純度を高めてもよい。好ましくは、溶媒から固体を析出させる方法である。
【0126】
本工程の固体の析出に用いる溶媒としては、特に制限は無いが、具体的には例えば、水;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール、エチレングリコール等のアルコール系溶媒;酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル等のエステル系溶媒;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、メチルtert−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;ジメチルプロピレンウレア等のウレア系溶媒;ヘキサメチルホスホン酸トリアミド等のホスホン酸トリアミド系溶媒を用いることができる。これらは単独で用いても良く、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合、その混合比は特に制限されない。
【0127】
好ましくは水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、テトラヒドロフラン、メチルtert−ブチルエーテル、ジエチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、トルエン、クロロベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、又はメチルシクロヘキサンであり、更に好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、トルエン、メチルtert−ブチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、又はヘキサンであり、特に好ましくはアセトンである。
【0128】
前記溶媒の使用量は、多すぎるとコストや後処理の点で好ましくないため、上限としては、化合物(2)1重量部に対して好ましくは100重量部であり、更に好ましくは50重量部であり、特に好ましくは20重量部である。下限としては、化合物(2)1重量部に対して好ましくは0.1重量部であり、更に好ましくは0.5重量部であり、特に好ましくは1重量部である。
【0129】
本工程の固体を析出させる方法は、工程1で記載した方法と同様の方法を用いることができる。
【0130】
なお、本工程で得られる化合物(2)は文献に未記載の新規化合物であり、当然ながら固体になることは知られていない。
【0131】
工程5
本工程では、前記式(1)で表される(3R,4R)−3,4−ビス(オキシカルボニル)−1,6−ヘキサン二酸誘導体を環化して、前記式(2)で表される(3R,4R)−3,4−ビス(オキシカルボニル)シクロペンタノンを製造する。
【0132】
ここで、R1は前記に同じである。
【0133】
また、本工程は、工程4と同様の方法で実施することができる。
【0134】
工程6
本工程では、前記式(2)で表される(3R,4R)−3,4−ビス(オキシカルボニル)シクロペンタノンの置換基R1をR2に変換して、前記式(3)で表される(3R,4R)−3,4−ビス(オキシカルボニル)シクロペンタノンを製造する。ここで、R2はC1〜C5のアルキル基、C3〜C7のシクロアルキル基、又は水素原子を表す。
【0135】
前記C1〜C5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、C3〜C7のシクロアルキルとしては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、又はシクロヘキシル基が挙げられる。これらは、1以上の置換基を有していても良い。
【0136】
そのうち、好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基、又は水酸基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基、又は水素原子であり、特に好ましくはメチル基である。
【0137】
化合物(2)の置換基R1をR2に変換する方法については、特に制限はないが、好ましくは活性化剤の存在下で、化合物(2)に水又はアルコールを作用させるとよい。
【0138】
前記アルコールとしては好ましくは、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、シクロプロパノール、シクロブタノール、シクロペンタノール、又はシクロヘキサノールであり、更に好ましくはメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、又はシクロヘキサノールであり、特に好ましくはメタノールである。
【0139】
前記アルコールの使用量としては、多すぎるとコストや後処理の点で好ましくないため、上限としては化合物(2)1モルに対して、好ましくは1000モルであり、更に好ましくは500モルであり、特に好ましくは300モルである。また、上限としては化合物(2)1モルに対して、好ましくは1モルであり、更に好ましくは2モルであり、特に好ましくは5モルである。
【0140】
前記活性化剤としては特に制限は無いが、具体的に例えば、塩酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の酸;塩化アルミニウム(III)、塩化鉄(III)、塩化亜鉛(II)、塩化スズ(IV)、塩化ガリウム(III)、塩化インジウム(III)、塩化スカンジウム(III)、塩化イットリウム(III)、塩化カドミニウム(II)、塩化マグネシウム(II)、臭化マグネシウム(II)、塩化ジエチルアルミニウム、塩化ジイソブチルアルミニウム、塩化チタン(IV)、塩化ジルコニウム(IV)、塩化銅(II)、塩化銅(I)、塩化ニッケル(II)、塩化アンチモン(III)、イッテルビウムトリフラート、チタンテトラメトキシド、チタンテトラメトキシド、チタンテトライソプロポキシド、アルミニウムテトラメトキシド、アルミニウムテトラメトキシド、アルミニウムテトライソプロポキシド、オキサザボロリジン化合物、ボランエーテル錯体、ボラン−テトラヒドロフラン錯体、又はボラントリフルオライド等が挙げられる。好ましくは塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、塩化アルミニウム(III)、塩化鉄(III)、塩化マグネシウム(II)、塩化ジエチルアルミニウム、塩化チタン(IV)、イッテルビウムトリフラート、チタンテトラメトキシド、チタンテトラメトキシド、チタンテトライソプロポキシド、アルミニウムテトラメトキシド、アルミニウムテトラメトキシド、アルミニウムテトライソプロポキシド、又はボランエーテル錯体であり、更に好ましくは硫酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、塩化アルミニウム(III)、塩化ジエチルアルミニウム、又は塩化チタン(IV)であり、特に好ましくは塩化アルミニウム(III)である。
【0141】
前記活性化剤の使用量としては、多すぎるとコストや後処理の点で好ましくないため、上限としては化合物(2)1モルに対して、好ましくは20モルであり、更に好ましくは15モルであり、特に好ましくは10モルである。また、下限としては化合物(2)1モルに対して、好ましくは0.001モルであり、更に好ましくは0.01モルであり、特に好ましくは0.02モルである。
【0142】
なお、本反応ではアルコールを溶媒に用いてもよいが、必要に応じて他の溶媒を用いてもよい。溶媒としては、反応に影響を与えない限りにおいては特に制限はなく、具体的には例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−メチル−ε−カプロラクタム、ヘキサメチルホスホルアミド等のアミド系溶媒;ジメチルプロピレンウレア等のウレア系溶媒;ヘキサメチルホスホン酸トリアミド等のホスホン酸トリアミド系溶媒等を用いることができる。これらは単独で用いても良く、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合、その混合比は特に制限されない。好ましくは、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒;塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−メチル−ε−カプロラクタム、ヘキサメチルホスホルアミド等のアミド系溶媒であり、更に好ましくはヘキサン、トルエン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、又はN,N−ジメチルアセトアミドである。特に好ましくはトルエンである。
【0143】
前記溶媒の使用量は、多すぎるとコストや後処理の点で好ましくないため、上限としては、化合物(2)1重量部に対して好ましくは100重量部であり、更に好ましくは50重量部であり、特に好ましくは20重量部である。下限としては、化合物(2)1重量部に対して好ましくは0.1重量部であり、更に好ましくは0.5重量部であり、特に好ましくは1重量部である。
【0144】
本反応における反応温度には特に制限はなく、適宜設定すればよいが、副生成物の生成を少なくするため、上限としては好ましくは250℃であり、更に好ましくは200℃であり、特に好ましくは150℃である。下限としては好ましくは−20℃であり、更に好ましくは0℃であり、特に好ましくは25℃である。
【0145】
本反応における反応時間には特に制限はなく、適宜設定すればよいが、上限としては好ましくは120時間であり、更に好ましくは100時間であり、特に好ましくは80時間である。下限として好ましくは0.001時間であり、更に好ましくは0.01時間であり、特に好ましくは0.1時間である。
【0146】
化合物(2)、メタノール、溶媒、活性化剤の混合順序について特に制限はない。
【0147】
反応後の処理としては、反応液から生成物を取得するための一般的な処理を行えばよい。例えば、反応終了後の反応液に水、一般的な抽出溶媒、例えば酢酸エチル、ジエチルエーテル、塩化メチレン、トルエン、ヘキサン等を用いて抽出操作を行う。得られた抽出液から減圧加熱等の操作により、反応溶媒及び抽出溶媒を留去すると目的物が得られる。
【0148】
このようにして得られた目的物は、後続工程に使用できる十分な純度を有しているが、純度をさらに高める目的で、晶析、分別蒸留、転溶洗浄(塩の形成と解塩による化合物の有機層と水層間の移動を利用した洗浄方法)、カラムクロマトグラフィー等の一般的な精製手法により、さらに純度を高めてもよい。好ましくは、分別蒸留、又はカラムクロマトグラフィーである。
【0149】
工程7
本工程では、前記式(3)で表される(3R,4R)−3,4−ビス(オキシカルボニル)シクロペンタノンに還元剤を作用させることにより、前記式(4)で表される(3R,4R)−3,4−ビス(オキシカルボニル)シクロペンタノールを製造する。
【0150】
前記還元剤としては、特に制限は無いが、具体的に例えば、ジボラン、ボラン・ジエチルエーテル、ボラン・ジメチルスルフィド、ボラン・ピリジン、ボラン・ピコリン等の水素化ホウ素化合物;水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素亜鉛、水素化トリエチルホウ素リチウム、水素化トリエチルホウ素ナトリウム、水素化トリエチルホウ素カリウム、シアン化水素化ホウ素ナトリウム等の水素化ホウ素金属化合物;水素化アルミニウムリチウム、水素化アルミニウムナトリウム、水素化ジイソブチルアルミニウム等の水素化アルミニウム金属化合物等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化アルミニウムリチウム、又は水素化アルミニウムナトリウムであり、更に好ましくは、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、又は水素化アルミニウムリチウムであり、特に好ましくは水素化ホウ素ナトリウム、又は水素化ホウ素カリウムである。
【0151】
前記還元剤の使用量としては、多すぎるとコストや後処理の点で好ましくないため、上限としては化合物(3)1モルに対して、好ましくは15モルであり、更に好ましくは10モルであり、特に好ましくは5モルである。また、下限としては化合物(3)1モルに対して、好ましくは0.01モルであり、更に好ましくは0.05モルであり、特に好ましくは0.1モルである。
【0152】
本反応の溶媒としては、反応に影響を与えない限りにおいては特に制限はなく、具体的に例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール、エチレングリコール等のアルコール系溶媒;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、メチルtert−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒を用いることができる。これらは単独で用いても良く、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合、その混合比は特に制限されない。好ましくは、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、メチルtert−ブチルエーテル、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、又はメチルシクロヘキサンであり、更に好ましくはメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、トルエン、ヘキサンであり、特に好ましくはメタノールである。
【0153】
前記溶媒の使用量は、多すぎるとコストや後処理の点で好ましくないため、上限としては、化合物(3)1重量部に対して好ましくは100重量部であり、更に好ましくは50重量部であり、特に好ましくは20重量部である。下限としては、化合物(3)1重量部に対して好ましくは0.1重量部であり、更に好ましくは0.5重量部であり、特に好ましくは1重量部である。
【0154】
本反応における反応温度には特に制限はなく、適宜設定すればよいが、副生成物の生成を少なくするため、上限としては好ましくは200℃であり、更に好ましくは150℃であり、特に好ましくは100℃である。下限としては好ましくは−80℃であり、更に好ましくは−50℃であり、特に好ましくは−20℃である。
【0155】
本反応における反応時間には特に制限はなく、適宜設定すればよいが、上限としては好ましくは120時間であり、更に好ましくは100時間であり、特に好ましくは80時間である。下限として好ましくは0.001時間であり、更に好ましくは0.01時間であり、特に好ましくは0.1時間である。
【0156】
本工程の化合物(3)、溶媒、還元剤の混合順序について特に制限はない。
【0157】
反応後の処理としては、反応液から生成物を取得するための一般的な処理を行えばよい。例えば、反応終了後の反応液に水、一般的な抽出溶媒、例えば酢酸エチル、ジエチルエーテル、塩化メチレン、トルエン、ヘキサン等を用いて抽出操作を行う。得られた抽出液から減圧加熱等の操作により、反応溶媒及び抽出溶媒を留去すると目的物が得られる。
【0158】
このようにして得られた目的物は、後続工程に使用できる十分な純度を有しているが、純度をさらに高める目的で、晶析、分別蒸留、転溶洗浄(塩の形成と解塩による化合物の有機層と水層間の移動を利用した洗浄方法)、カラムクロマトグラフィー等の一般的な精製手法により、さらに純度を高めてもよい。好ましくは、分別蒸留である。
【0159】
なお、本発明において、(3R,4R)−3,4−ビス(オキシカルボニル)シクロペンタノールは1,2−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル)エチレン、又は1,2−ビス((D)−メンチルオキシカルボニル)エチレンを出発原料に用いて、上記手順に従うことにより製造することができる。
【0160】
言うまでもないが、逆の立体化学を有する1,2−ビス((L)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル)エチレン、又は1,2−ビス((L)−メンチルオキシカルボニル)エチレンを出発原料に用いれば、(3S,4S)−3,4−ビス(オキシカルボニル)シクロペンタノールが製造でき、これについても本発明の範囲に含まれる。
【0161】
また、本発明で製造される固体とは、結晶、アモルファス、又はそれら混合物を表し、その混合比は任意であり、すべてが本発明の範囲に含まれる。
【実施例】
【0162】
以下に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、これら実施例は本発明を何ら限定するものではない。
【0163】
実施例に記載している1,2−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル)エチレン、光学活性3,4−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル)シクロヘキセン、光学活性3,4−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル)−1,6−ヘキサン二酸誘導体、又は光学活性3,4−ビス((D)−メンチルオキシカルボニル)シクロヘキセンの純度、及びジアステレオマー純度(=ジアステレオマー過剰率(%de))は、以下のHPLC法により分析した。
【0164】
光学活性3,4−ビス((D)−メンチルオキシカルボニル)−1,6−ヘキサン二酸誘導体の純度、及びジアステレオマー純度は、1H−NMRにより分析した。
【0165】
光学活性3,4−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル)シクロペンタノン、光学活性3,4−ビス(メチルオキシカルボニル)シクロペンタノン、又は光学活性3,4−ビス(メチルオキシカルボニル)シクロペンタノールの純度は、1H−NMRにより分析し、光学活性3,4−ビス(メチルオキシカルボニル)シクロペンタノールの光学純度は以下のGC法により分析した。
【0166】
尚、純度の標記である「wt%」は重量%を意味し、「area%」は面積百分率を意味している。
【0167】
[化学純度分析法、含量分析法及びジアステレオマー純度分析法(グラジエントHPLC法)]
カラム ナカライ製 {コスモシル5C18ARII 4.6mm×250mm}、移動相A:0.1%リン酸水溶液,移動相B:アセトニトリル(移動相A%/移動相B%=90/10〜40/60)、流速:1.0ml/min,検出:UV 210nm、カラム温度:40℃
保持時間:
・1,2−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル)エチレン:15.9分
・(3R,4R)−3,4−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル)シクロヘキセン:18.6分
・(3S,4S)−3,4−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル)シクロヘキセン:18.9分
【0168】
[化学純度分析法、含量分析法及びジアステレオマー純度分析法(イソクラテックHPLC法)]
カラム ナカライ製 {コスモシル5C18ARII 4.6mm×250mm}、移動相A:0.1%リン酸水溶液,移動相B:アセトニトリル(移動相A%/移動相B%=75/25)、流速:1.0ml/min,検出:UV 210nm、カラム温度:40℃
保持時間:
・(3S,4S)−3,4−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル)−1,6−ヘキサン二酸:14.7分
・(3R,4R)−3,4−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル)−1,6−ヘキサン二酸:15.5分
【0169】
[化学純度分析法、含量分析法及びジアステレオマー純度分析法(イソクラテックHPLC法)]
カラム ナカライ製 {コスモシル5C18ARII 4.6mm×250mm}、移動相A:0.1%リン酸水溶液,移動相B:アセトニトリル(移動相A%/移動相B%=5/95)、流速:1.0ml/min,検出:UV 210nm、カラム温度:40℃
保持時間:
・(3S,4S)−3,4−ビス((D)−メンチルオキシカルボニル)シクロヘキセン:22.9分
・(3R,4R)−3,4−ビス((D)−メンチルオキシカルボニル)シクロヘキセン:24.0分
【0170】
[光学純度分析法(GC法)]
カラム SUPELCO社製 {Gamma DEX225 0.25mm×30m}、RI検出、カラム温度:140℃、インジェクション温度:180℃、検出器温度:180℃、キャリアーガス:ヘリウム(150kPa)、検出器使用ガス:水素(60kPa)、空気(50kPa)、窒素(75kPa)
・(3S,4S)−3,4−ビス(メチルオキシカルボニル)シクロペンタノール:33.1分
・(3R,4R)−3,4−ビス(メチルオキシカルボニル)シクロペンタノール:33.4分
【0171】
(実施例1)1,2−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル)エチレンの製造
無水マレイン酸4.41g(45mmol)、トルエン9ml、(D)−パントラクトン11.71g(2.0当量)、メタンスルホン酸1.73g(0.4当量)からなる溶液を、還流下で25時間撹拌した。モルホリン2.35g(0.6当量)を加えて更に還流下で2時間撹拌した。25℃に冷却した後に蒸留水18ml、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液18ml、酢酸エチル10mlを添加すると固体が析出した。25℃で30分撹拌した後、固体を減圧濾別し、蒸留水10ml、酢酸エチル10mlで洗浄、真空乾燥することにより、標題化合物を白色固体7.70gとして得た(収率46%、純度97.2area%)。
標題化合物:
1H−NMR(CDCl3):δ(ppm)1.18(s,6H),1.25(s,6H),4.09(m,4H),5.47(s,2H),7.04(s,2H)
【0172】
(実施例2)(3R,4R)−3,4−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル)シクロヘキセンの製造
1,2−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル)エチレン525mg(1.5mmol)を塩化メチレン2mlに溶解して−10℃に冷却した。塩化チタン(IV)285mg(1.0当量)と塩化メチレン1mlからなる溶液を滴下して、−10℃で30分撹拌した。20wt%トルエン性1,3−ブタジエン溶液2.04g(5.0当量)を滴下して、−10℃で65時間撹拌した。1規定塩酸3mlとトルエン5mlを加えて目的物を有機層に抽出した(目的物のジアステレオマー純度45.0%de)。得られた有機層を蒸留水3mlで2回洗浄して、減圧濃縮した。濃縮物にメチルtert−ブチルエーテル3mlを加えて不溶物を濾別して、目的物を含む溶液を得た。この溶液を減圧濃縮してメチルtert−ブチルエーテル3mlを加えると目的物の固体が析出した。このスラリー溶液を60℃で14時間撹拌し、更に25℃で2時間した。固体を減圧濾別し、メチルtert−ブチルエーテル1mlで洗浄、真空乾燥することにより、標題化合物を白色固体191mgとして得た(収率43%、ジアステレオマー純度94.7%de)。
標題化合物:
1H−NMR(CDCl3):δ(ppm)1.15(s,6H),1.21(s,6H),2.27(m,2H),2.62(m,2H),3.03(m,2H),4.03(m,4H),5.36(s,2H),5.74(m,2H)
【0173】
(実施例3)(3R,4R)−3,4−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル)シクロヘキセンの製造
1,2−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル)エチレン14.94g(43.5mmol)を塩化メチレン58mlに溶解して−10℃に冷却した。塩化チタン(IV)8.24g(1.0当量)と塩化メチレン29mlからなる溶液を滴下して、−10℃で30分撹拌した。20wt%トルエン性1,3−ブタジエン溶液61.20g(5.0当量)を滴下して、−10℃で62時間撹拌した。1規定塩酸87mlとトルエン145mlを加えて目的物を有機層に抽出した。得られた有機層を蒸留水87mlで2回洗浄して、目的物を含むトルエン溶液309.56gを得た(純度5.5wt%、収率100%、ジアステレオマー純度45.5%de)。
【0174】
(実施例4〜8)(3R,4R)−3,4−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル)シクロヘキセンの製造
実施例2の活性化剤を下記で表される活性化剤に置き換えて、活性化剤当量、反応溶媒、反応温度を変更した以外は、同様な反応操作を実施した。
【0175】
【表1】

【0176】
(実施例9)(3R,4R)−3,4−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル)−1,6−ヘキサン二酸の製造
実施例3で製造した(3R,4R)−3,4−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル)シクロヘキセンのトルエン溶液309.56g(純度5.5wt%、43.3mmol、ジアステレオマー純度45.5%de)を減圧濃縮した。濃縮物に酢酸エチル200mlを加えて減圧濃縮する操作を2回繰り返した。濃縮物に酢酸エチル50ml、蒸留水300ml、硫酸水素テトラブチルアンモニウム1.48g(0.1当量)を加えて5℃に冷却した。この溶液に過マンガン酸カリウム20.62g(3.0当量)を加えて5℃で14時間撹拌した。25℃で40wt%グリオキサナール水溶液26.45g(4.2当量)、濃塩酸41.25g、酢酸エチル150mlを滴下して目的物を有機層に抽出した。水層に酢酸エチル150mlを加えて目的物を再度抽出して、有機層を合わせた。得られた有機層を蒸留水30mlで洗浄して34.64gまで減圧濃縮した(収率67%)。種となる固体を加えると固体が析出したので、酢酸エチル31.68gとヘキサン17.30gを加えて、25℃で1時間撹拌した。固体を減圧濾別し、酢酸エチル6.6mlとヘキサン3.3mlからなる溶液で洗浄、真空乾燥することにより、標題化合物を白色固体8.39gとして得た(収率38%、純度88.9wt%、ジアステレオマー純度60.9%de)。
標題化合物:
1H−NMR(CDCl3):δ(ppm)1.13(s,6H),1.20(s,6H),2.83(m,2H),3.07(m,2H),3.53(m,2H),4.10(m,4H),5.43(s,2H)
【0177】
(実施例10)(3R,4R)−3,4−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル))−1,6−ヘキサン二酸の製造
実施例9に記載の方法で製造した(3R,4R)−3,4−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル))−1,6−ヘキサン二酸100mg(純度85.5wt%、0.2mmol、ジアステレオマー純度51.9%de)に、メチルエチルケトン1mlとヘキサン1mlからなる溶液を添加して、25℃で17時間撹拌した。固体を減圧濾別し、ヘキサン1mlで洗浄、真空乾燥することにより、標題化合物を白色固体17mgとして得た(収率20%、純度97.6wt%、ジアステレオマー純度64.3%de)。
【0178】
(実施例11)(3R,4R)−3,4−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル))−1,6−ヘキサン二酸二リチウム塩の製造
実施例9で製造した(3R,4R)−3,4−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル)−1,6−ヘキサン二酸3.61g(純度88.9wt%、7.0mmol、ジアステレオマー純度60.9%de)をエタノール28.48gに溶解した。水酸化リチウム一水和物588mg(2.0当量)を添加すると固体が析出したので、25℃で7時間撹拌した。固体を減圧濾別し、エタノール6.42gで洗浄、真空乾燥することにより、標題化合物を白色固体2.33gとして得た(収率69%、純度82.2wt%、ジアステレオマー純度91.2%de)。
標題化合物:
1H−NMR(D2O):δ(ppm)1.13(s,6H),1.21(s,6H),2.66(m,4H),3.31(m,2H),4.21(s,4H),5.60(s,2H)
【0179】
(実施例12)(3R,4R)−3,4−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル))−1,6−ヘキサン二酸二リチウム塩の製造
実施例11で製造した(3R,4R)−3,4−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル)−1,6−ヘキサン二酸二リチウム塩1.42g(純度82.2wt%、2.5mmol、ジアステレオマー純度91.2%de)にエタノール17.96gを加え、60℃で3時間、25℃で3時間撹拌した。固体を減圧濾別し、エタノール3.98gで洗浄、真空乾燥することにより、標題化合物を白色固体1.33gとして得た(収率92%、純度80.6wt%、ジアステレオマー純度99.5%de)。
【0180】
(実施例13)(3R,4R)−3,4−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル))−1,6−ヘキサン二酸の製造
実施例11に記載の方法で製造した(3R,4R)−3,4−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル))−1,6−ヘキサン二酸二リチウム塩358mg(純度52.7wt%、0.4mmol、ジアステレオマー純度98.0%de)に酢酸エチル3mlと1規定塩酸2mlを加えて目的物を有機層に抽出した。有機層を蒸留水2mlで2回洗浄して減圧濃縮した。濃縮物に酢酸エチル1mlと加えると固体が析出したので、ヘキサン1mlを加えて25℃で2時間撹拌した。固体を減圧濾別し、酢酸エチル0.5mlで洗浄、真空乾燥することにより、標題化合物を白色固体147mgとして得た(収率72%、純度92.5wt%、ジアステレオマー純度99.4%de)。
【0181】
(実施例14)(3R,4R)−3,4−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル))−1,6−ヘキサン二酸二(ジシクロヘキシルアミン)塩の製造
実施例9に記載の方法で製造した(3R,4R)−3,4−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル)−1,6−ヘキサン二酸157mg(純度75.5wt%、0.25mmol、ジアステレオマー純度82.7%de)をイソプロパノール1mlに溶解した。ジシクロヘキシルアミン90mg(2.0当量)を添加すると固体が析出したので、25℃で30分撹拌した。固体を減圧濾別し、イソプロパノール0.3mlで洗浄、真空乾燥することにより、標題化合物を白色固体113mgとして得た(収率57%、純度92.7wt%、ジアステレオマー純度94.1%de)。
標題化合物:
1H−NMR(D2O):δ(ppm)1.13−1.37(m,32H),1.67(m,4H),1.82(m,8H),2.05(m,8H),2.65(m,4H),3.27(m,6H),4.21(m,4H),5.61(m,2H)
【0182】
(実施例15)(3R,4R)−3,4−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル))−1,6−ヘキサン二酸二(ジシクロヘキシルアミン)塩の製造
実施例9に記載の方法で製造した(3R,4R)−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル)−1,6−ヘキサン二酸157mg(純度75.5wt%、0.25mmol、ジアステレオマー純度82.7%de)をエタノール1mlに溶解した。ジシクロヘキシルアミン90mg(2.0当量)を添加すると固体が析出したので、25℃で30分撹拌した。固体を減圧濾別し、エタノール0.3mlで洗浄、真空乾燥することにより、標題化合物を白色固体117mgとして得た(収率44%、純度88.1wt%、ジアステレオマー純度97.1%de)。
【0183】
(実施例16)(3R,4R)−3,4−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル)シクロペンタノンの製造
実施例12で製造した(3R,4R)−3,4−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル)−1,6−ヘキサン二酸二リチウム塩1.05g(純度80.6wt%、2.0mmol、ジアステレオマー純度99.5%de)に酢酸ナトリウム131mg(0.8当量)、酢酸120mg(2.0当量)、無水酢酸5.30g(26当量)を加えて、120℃で1時間撹拌した。25℃まで冷却して、反応液を減圧濃縮した。濃縮物に酢酸エチル15mlを加えて目的物を抽出し、蒸留水10mlで2回洗浄した。得られた有機層を減圧濃縮、真空乾燥することにより、標題化合物を黒褐色油状物質1.04gとして得た。この粗製物はそのまま実施例17に用いた。
【0184】
(実施例17)(3R,4R)−3,4−ビス(メチルオキシカルボニル)シクロペンタノンの製造
実施例16で製造した(3R,4R)−3,4−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル)シクロペンタノン1.04gをメタノール5.6mlに溶解し、メタノール5.6mlと塩化アルミニウム800mg(3.0当量)からなる溶液に滴下した。この溶液を還流下14時間撹拌した。反応液を25℃まで冷却し、減圧濃縮した。濃縮物に酢酸エチル10mlを加えて目的物を抽出し、蒸留水5mlで2回洗浄、減圧濃縮した。濃縮物にエタノール10mlを加えて減圧濃縮し、真空乾燥することにより、標題化合物を黒褐色油状物質1.06gとして得た(実施例16からの通算収率44%)。
【0185】
取得した粗製物をカラムクロマトグラフィー(充填剤シリカゲル、展開溶媒:ヘキサン→酢酸エチル)で精製し、目的物を含むフラクションを減圧濃縮、真空乾燥することにより、標題化合物を淡黄色油状物質92mgとして得た(実施例16からの通算収率15%)。
標題化合物:
1H−NMR(CDCl3):δ(ppm)2.52(m,2H),2.68(m,2H),3.40(m,2H),3.76(s,6H)
【0186】
(実施例18)(3R,4R)−3,4−ビス(メチルオキシカルボニル)シクロペンタノールの製造
実施例17で製造した(3R,4R)−3,4−ビス(メチルオキシカルボニル)シクロペンタノン58mg(0.2mmol)をメタノール2.5mlに溶解し、5℃に冷却した。この溶液に水素化ホウ素ナトリウム11mg(1.5当量)を加えて、5℃で2時間撹拌した。反応液を25℃まで昇温した後、1規定塩酸1mlとエタノール2mlを加えて減圧濃縮した。濃縮物に酢酸エチル2mlを加えて不溶物を濾別し、得られた濾液を減圧濃縮した。濃縮物を真空乾燥することにより、標題化合物を橙色油状物質52mgとして得た(純度32.0wt%、収率41%、光学純度99.1%ee)。
標題化合物:
1H−NMR(CDCl3):δ(ppm)2.10(m,4H),3.25(m,2H),3.44(m,1H),3.72(s,6H),4.41(m,1H)
【0187】
(実施例19)(3R,4R)−3,4−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル)シクロペンタノンの製造
実施例9に記載の方法で製造した(3R,4R)−3,4−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル)−1,6−ヘキサン二酸303mg(純度75.5wt%、0.5mmol)にリン酸水素二カリウム70mg(0.8当量)、無水酢酸1.33g(26当量)を加えて、50℃で14時間撹拌した。反応液を25℃まで冷却し、減圧濃縮した。濃縮物に酢酸エチル5mlを加えて目的物を抽出し、蒸留水2mlで2回洗浄した。得られた有機層を減圧濃縮、真空乾燥することにより、標題化合物を黒褐色油状物質260mgとして得た(純度53.4wt%、収率70%)。
【0188】
(実施例20)(3R,4R)−3,4−ビス((D)−メンチルオキシカルボニル)シクロヘキセンの製造
1,2−ビス((D)−メンチルオキシカルボニル)エチレン134mg(0.3mmol)をトルエン0.5mlに溶解した。塩化チタン(IV)72mg(1.0当量)とトルエン0.3mlからなる溶液を滴下して、25℃で30分撹拌した。20wt%トルエン性1,3−ブタジエン溶液0.51g(5.0当量)を滴下して、60℃で4.5時間撹拌した。反応液を冷却後、1規定塩酸1mlを加えて目的物を有機層に抽出した(収率82%、目的物のジアステレオマー純度65.8%de)。得られた有機層を蒸留水2mlで2回洗浄して、減圧濃縮した。濃縮物にエタノール0.5mlを加えると固体が析出したので、25℃で14時間撹拌した。固体を減圧濾別し、エタノール0.2mlで洗浄、真空乾燥することにより、標題化合物を白色固体87mgとして得た(収率60%、ジアステレオマー純度75.2%de)。
標題化合物:
1H−NMR(CDCl3):δ(ppm)0.73(d,6H),0.90(t,18H),0.98−2.00(m,12H),2.16−2.42(m,4H),2.86(m,2H),4.66(m,2H),5.68(m,2H)
【0189】
(実施例21)(3R,4R)−3,4−ビス((D)−メンチルオキシカルボニル)−1,6−ヘキサン二酸の製造
実施例20に記載の方法で製造した(3R,4R)−3,4−ビス((D)−メンチルオキシカルボニル)シクロヘキセン942mg(純度47.4wt%、1.0mmol、ジアステレオマー純度69.3%de)に蒸留水3.5mlと酢酸エチル1.0ml、硫酸水素テトラn−ブチルアンモニウム34mg(0.1当量)を加えて5℃に冷却した。この溶液に過マンガン酸カリウム474mg(3.0当量)を加えて5℃で16時間撹拌した。40wt%グリオキサナール水溶液0.49g(3.4当量)、酢酸エチル4mlを添加した後、濃塩酸で水層をpH1に調整して目的物を有機層に抽出した。得られた有機層に蒸留水4ml、炭酸水素ナトリウム252mg(3.0当量)を加えて目的物を水層に抽出して有機層を廃棄した。水層に酢酸エチル4ml、濃塩酸312mg(3.0当量)を加えて目的物を有機層に抽出して、得られた有機層を蒸留水2mlで2回洗浄した。有機層を減圧濃縮すると不溶物が析出したので、酢酸エチル0.5mlとヘキサン0.5mlならなる溶液を加えて濾別した。濾液を減圧濃縮することにより、標題化合物55mgを得た(収率11%)。この粗製物はそのまま実施例22に用いた。
【0190】
(実施例22)(3R,4R)−3,4−ビス((D)−メンチルオキシカルボニル)−1,6−ヘキサン二酸二リチウム塩の製造
実施例21で製造した(3R,4R)−3,4−ビス((D)−メンチルオキシカルボニル)−1,6−ヘキサン二酸55mgにエタノール0.5mlと水酸化リチウム一水和物を加えて25℃で30分撹拌した。この溶液を減圧濃縮して、イソプロパノール0.5mlを加えると固体が析出したので25℃で30分撹拌した。固体を減圧濾別し、イソプロパノール0.5mlで洗浄、真空乾燥することにより、標題化合物を淡黄色固体22mgとして得た(収率38%、ジアステレオマー純度99.0%de)。
標題化合物:
1H−NMR(D2O):δ(ppm)0.70(d,6H),0.89(m,12H),1.06(m,4H),1.40−2.60(m,16H),3.01(m,2H),3.15(m,2H),4.63(m,2H)
【0191】
(実施例23)
実施例2に記載の製造法で製造した(3R,4R)−3,4−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル)シクロヘキセンのX線解析スペクトルを図1に示す。
【0192】
2θが約6.7゜、9.9゜、12.2゜、13.3゜、13.5゜、14.9゜、16.7゜、17.7゜、17.9゜、18.6゜、20.0゜、20.4゜、24.9゜、27.4゜、27.7゜、及び29.6゜において、XRD中に特有なピークが見られ、特に2θが約6.7゜、9.9゜、12.2゜、13.5゜、14.9゜、16.7゜、17.9゜、18.6゜、20.0゜、20.4゜、24.9゜、27.4゜、及び27.7゜におけるピークが顕著に見られ、とりわけ2θが約9.9゜、12.2゜、13.5゜、14.9゜、16.7゜、17.9゜、及び27.4゜におけるピークが最も顕著に見られた。この結果から、結晶構造を有する固体である事が示唆された。
【0193】
X線粉末解析装置:株式会社リガク製 MiniFlex−ll
測定条件: CuKα1
管電圧30kV
間電流15mA
【0194】
(実施例24)
実施例13に記載の製造法で製造した(3R,4R)−3,4−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル)−1,6−ヘキサン二酸のX線解析スペクトルを図2に示す。
【0195】
2θが約6.4゜、10.7゜、10.9゜、13.0゜、14.1゜、14.9゜、16.6゜、17.9゜、18.8゜、19.3゜、21.2゜、22.2゜、22.6゜、23.3゜、24.4゜、24.7゜、26.3゜、28.4゜、及び29.8゜において、XRD中に特有なピークが見られ、特に2θが約6.4゜、10.9゜、14.1゜、14.9゜、16.6゜、18.8゜、19.3゜、21.2゜、22.2゜、及び28.4゜におけるピークが顕著に見られ、とりわけ2θが約6.4゜、14.1゜、14.9゜、16.6゜、18.8゜、19.3゜、21.2゜、及び28.4゜におけるピークが最も顕著に見られた。この結果から、結晶構造を有する固体である事が示唆された。
【0196】
X線粉末解析装置:株式会社リガク製 MiniFlex−ll
測定条件: CuKα1
管電圧30kV
間電流15mA
【0197】
(実施例25)
実施例15に記載の製造法で製造した(3R,4R)−3,4−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル))−1,6−ヘキサン二酸二(ジシクロヘキシルアミン)塩のX線解析スペクトルを図3に示す。
【0198】
2θが約8.1゜、12.3゜、12.4゜、14.1゜、15.0゜、16.4゜、16.8゜、17.1゜、17.4゜、18.1゜、19.9゜、20.5゜、21.4゜、25.0゜、及び25.1゜において、XRD中に特有なピークが見られ、特に2θが約8.1゜、12.4゜、14.1゜、16.8゜、17.1゜、17.4゜、18.1゜、20.5゜、21.4゜、25.0゜、及び25.1゜におけるピークが顕著に見られ、とりわけ2θが約8.1゜、14.1゜、18.1゜、20.5゜、21.4゜、及び25.1゜におけるピークが最も顕著に見られた。この結果から、結晶構造を有する固体である事が示唆された。
【0199】
X線粉末解析装置:株式会社リガク製 MiniFlex−ll
測定条件: CuKα1
管電圧30kV
間電流15mA
【0200】
(実施例26)(3R,4R)−3,4−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル)シクロペンタノンの製造
実施例9に記載の製造法で製造した(3R,4R)−3,4−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル)−1,6−ヘキサン二酸3.60g(純度86.1wt%、6.8mmol、ジアステレオマー純度60.0%de)にリン酸水素二カリウム11.76g(10当量)、無水酢酸17.92g(26当量)を加えて、50℃で3時間撹拌した。25℃まで冷却して、蒸留水56.25gを添加すると固体が析出したので、50℃で30分間、更に25℃で1時間撹拌した。固体を減圧濾別し、蒸留水11mlで洗浄、真空乾燥することにより、標題化合物を淡茶色固体1.42gとして得た(収率48%、純度32.4area%、ジアステレオマー純度65.5%de)。
標題化合物:
1H−NMR(CDCl3):δ(ppm)1.11(s,6H),1.23(s,6H),2.68(m,4H),3.73(m,2H),4.06(m,4H),5.39(s,2H)
【0201】
(実施例27)(3R,4R)−3,4−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル)シクロペンタノンの製造
実施例26で製造した(3R,4R)−3,4−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル)シクロペンタノン1.32g(純度32.4area%、3.0mmol、ジアステレオマー純度65.5%de)に、アセトン2.63gを加えて25℃で1時間撹拌した。固体を減圧濾別し、アセトン1.32gで洗浄、真空乾燥することにより、標題化合物を白色固体0.73gとして得た(収率58%、純度94.7area%、ジアステレオマー純度99.8%de)。
【0202】
(実施例28)
実施例27に記載の製造法で製造した(3R,4R)−3,4−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル)シクロペンタノンのX線解析スペクトルを図4に示す。
【0203】
2θが約15.1゜、15.8゜、16.3゜、17.6゜、17.9゜、19.3゜、19.6゜、20.3゜、20.6゜、22.1゜、23.3゜、26.5゜、26.7゜、27.7゜、及び32.0゜において、XRD中に特有なピークが見られ、特に2θが約15.1゜、15.8゜、16.3゜、17.6゜、17.9゜、19.3゜、19.6゜、20.6゜、22.1゜、26.5゜、26.7゜、及び32.0゜におけるピークが顕著に見られ、とりわけ2θが約15.8゜、16.3゜、19.3゜、19.6゜、及び20.6゜におけるピークが最も顕著に見られた。この結果から、結晶構造を有する固体である事が示唆された。
X線粉末解析装置:株式会社リガク製 MiniFlex−ll
測定条件: CuKα1
管電圧30kV
間電流15mA

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(7):
【化1】

(式中、R1はC1〜C20の光学活性残基を表す。)で表される(3R,4R)−3,4−ビス(オキシカルボニル)−1,6−ヘキサン二酸、又は下記式(1):
【化2】

(式中、R1は前記に同じである。Xはアルカリ金属、又はアンモニウムを表す。)で表される(3R,4R)−3,4−ビス(オキシカルボニル)−1,6−ヘキサン二酸誘導体を、溶媒から固体として析出させる工程を含むことを特徴とする、下記式(2):
【化3】

(式中、R1は前記に同じ。)で表される(3R,4R)−3,4−ビス(オキシカルボニル)シクロペンタノンの製造法。
【請求項2】
Xがリチウム、又はジシクロヘキシルアンモニウムである、請求項1に記載の製造法。
【請求項3】
前記化合物(7)が、下記式(6):
【化4】

(式中、R1は前記に同じ。)で表される(3R,4R)−3,4−ビス(オキシカルボニル)シクロヘキセンに酸化剤を作用させて製造したものである、請求項1又は2に記載の製造法。
【請求項4】
更に、前記化合物(1)又は前記化合物(7)に酸無水物を作用させて、前記化合物(2)とする工程を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の製造法。
【請求項5】
更に、前記化合物(2)で表される(3R,4R)−3,4−ビス(オキシカルボニル)シクロペンタノンを、溶媒から固体として析出させる工程を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の製造法。
【請求項6】
更に、活性化剤の存在下、前記化合物(2)にアルコールを作用させることにより、下記式(3):
【化5】

(式中、R2はC1〜C5のアルキル基、C3〜C7のシクロアルキル基、又は水素原子を表す。)で表される(3R,4R)−3,4−ビス(オキシカルボニル)シクロペンタノンとする工程を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の製造法。
【請求項7】
更に、還元剤を作用させて、下記式(4):
【化6】

(式中、R2は前記に同じ。)で表される(3R,4R)−3,4−ビス(オキシカルボニル)シクロペンタノールとする工程を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の製造法。
【請求項8】
下記式(7):
【化7】

(式中、R1はC1〜C20の光学活性残基を表す。)で表される(3R,4R)−3,4−ビス(オキシカルボニル)−1,6−ヘキサン二酸。
【請求項9】
1が(D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イル基であり、2θ=6.4゜、14.1゜、14.9゜、16.6゜、18.8゜、19.3゜、21.2゜、及び28.4゜において特異的ピークを示すX線粉末解析パターンを有する、請求項8に記載の(3R,4R)−3,4−ビス(アルキルオキシカルボニル)−1,6−ヘキサン二酸。
【請求項10】
下記式(1):
【化8】

(式中、R1はC1〜C20の光学活性残基を表す。Xはアルカリ金属、又はアンモニウムを表す。)で表される(3R,4R)−3,4−ビス(オキシカルボニル)−1,6−ヘキサン二酸誘導体。
【請求項11】
1が(D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イル基であり、Xがリチウムである、請求項10に記載の(3R,4R)−3,4−ビス(オキシカルボニル)−1,6−ヘキサン二酸誘導体。
【請求項12】
1が(D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イル基であり、Xがジシクロヘキシルアンモニウムであり、2θ=約8.1゜、14.1゜、18.1゜、20.5゜、21.4゜、及び25.1゜において特異的ピークを示すX線粉末解析パターンを有する、請求項10に記載の(3R,4R)−3,4−ビス(オキシカルボニル)−1,6−ヘキサン二酸誘導体。
【請求項13】
下記式(2):
【化9】

(式中、R1はC1〜C20の光学活性残基を表す。)で表される(3R,4R)−3,4−ビス(オキシカルボニル)シクロペンタノン。
【請求項14】
1が(D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イル基であり、2θ=約15.8゜、16.3゜、19.3゜、19.6゜、及び20.6゜において特異的ピークを示すX線粉末解析パターンを有する、請求項13に記載の(3R,4R)−3,4−ビス(オキシカルボニル)シクロペンタノン。
【請求項15】
下記式(8):
【化10】

で表され、2θ=9.9゜、12.2゜、13.5゜、14.9゜、16.7゜、17.9゜、及び27.4゜において特異的ピークを示すX線粉末解析パターンを有する、(3R,4R)−3,4−ビス((D)−2−オキソ−4,4−ジメチルテトラヒドロフラン−3α−イルオキシカルボニル)シクロヘキセン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−103912(P2013−103912A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249144(P2011−249144)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】