説明

2−(2,6−ジハロゲノピリジン−4−イルメチル)ベンゾイソチアゾリン誘導体及び農園芸用植物病害防除剤

【課題】本発明は、農園芸用植物病害に対し顕著な防除効果を示す、2−(2,6−ジハロゲノピリジン−4−イルメチル)ベンゾイソチアゾリン誘導体又はその塩、及び、該誘導体又はその塩を有効成分として含有する農園芸用植物病害防除剤を提供する。
【解決手段】一般式[I]
【化1】


[式中、Yは酸素原子又は硫黄原子を示し、R及びRはそれぞれ独立に塩素原子又は臭素原子を示す。]
で表されることを特徴とする2−(2,6−ジハロゲノピリジン−4−イルメチル)ベンゾイソチアゾリン誘導体又はその塩、及び、これらを有効成分として含有する農園芸用植物病害防除剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2−(2,6−ジハロゲノピリジン−4−イルメチル)ベンゾイソチアゾリン誘導体又はその塩、及び、該誘導体又はその塩を有効成分とする農園芸用植物病害防除剤に関する。
【背景技術】
【0002】
農園芸作物の栽培にあたり、作物の病害に対して多数の防除薬剤が使用されているが、従来の防除薬剤は、その防除効力が不十分であったり、薬剤耐性を有する病原菌の出現によりその使用が制限されたりすることがあり、又、植物体に薬害や汚染を生じさせたり、或いは人畜魚類に対する毒性や環境への影響という観点からは、必ずしも満足すべき防除薬剤とは言い難いものが少なくない。従って、かかる欠点が少なく安全に使用できる防除薬剤の出現が強く要請されている。
【0003】
非特許文献1には、本発明化合物である2−(2,6−ジハロゲノピリジン−4−イルメチル)ベンゾイソチアゾリン誘導体と類似した2−(ピリジルメチル)−ベンゾイソチアゾリン等が記載されているが、ベンゾイソチアゾリン環の2位が、2,6−ジハロゲノピリジン−4−イルメチル基で置換された化合物は記載されておらず、又、農園芸用植物病害防除剤に関する記載もない。
【0004】
特許文献1には、具体例としてベンゾイソチアゾリン環の2位が、2−ピリジルエチル又は4−ピリジルエチル基で置換された化合物が記載されているが、2,6−ジハロゲノピリジン−4−イルメチル基で置換された化合物は記載されていない。更にこの特許文献には、当該ベンゾイソチアゾリン誘導体が植物病害防除剤として記載されているが、十分な病害防除効果を得るためには、高い薬量を必要とするので、必ずしも満足がいく防除薬剤とはいえない。
【0005】
【非特許文献1】Journal of the Korean Chemical Society、第41巻、666頁(1997年)
【特許文献1】特開昭48−10228号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、従来の植物病害防除剤が有していた前記の如き問題点を解決し、更に、防除効果、残効性等に優れた植物病害防除剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の目的を達成するために、これまで植物病害防除活性の知られていないベンゾイソチアゾリン誘導体を多数合成し、その植物病害防除活性と有用性について鋭意検討した。その結果、本発明の2−(2,6−ジハロゲノピリジン−4−イルメチル)ベンゾイソチアゾリン誘導体(以下、本発明化合物という)又はその塩を植物に対して施用しておくことにより、長期間にわたって植物病害を防除し、植物に薬害を与えることなく顕著な植物病害防除効果を示すことを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、下記の(1)又は(2)に関するものである。
【0009】
(1)一般式[I]
【0010】
【化1】

【0011】
[式中、Yは酸素原子又は硫黄原子を示し、R及びRはそれぞれ独立に塩素原子又は臭素原子を示す。]
で表されることを特徴とする2−(2,6−ジハロゲノピリジン−4−イルメチル)ベンゾイソチアゾリン誘導体又はその塩。
【0012】
(2)前記(1)に記載の2−(2,6−ジハロゲノピリジン−4−イルメチル)ベンゾイソチアゾリン誘導体又はその塩を有効成分として含有することを特徴とする農園芸用植物病害防除剤。
【0013】
次に、一般式[I]で示される本発明化合物の具体例を表1に記載する。しかしながら、本発明化合物はこれらの化合物に限定されるものではない。尚、化合物番号は以後の記載において参照される。
【0014】
【表1】

【0015】
本発明化合物の代表的な製造方法を以下に例示するが、本発明化合物の製造方法はこれらの方法に限定されるものではない。
<製造方法>
【0016】
【化2】

【0017】
(式中、Mは水素原子又はナトリウム原子などのアルカリ金属を示す。R及びRは前記と同じ意味を示し、Xは塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、又は、メタンスルホニルオキシ基、パラトルエンスルホニルオキシ基などのスルホン酸エステルを示す。)
【0018】
(工程1)
一般式[Ia]で表される本発明化合物は、一般式[II]で表されるサッカリン又はサッカリン塩と一般式[III]で表される化合物とを、塩基存在下又は非存在下、溶媒中又は溶媒非存在下で反応させることにより製造することができる。以下、例えば「一般式[III]で表される化合物」と「化合物[III]」は同意とする。
【0019】
本工程で使用する化合物[III]は、2,6−ジハロゲノイソニコチン酸から常法に従い、酸クロライド、ヒドロキシメチル体を経て製造することができる。化合物[III]の使用量は、化合物 [II]1モルに対して0.5〜10モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0.8〜1.2モルである。
【0020】
本工程で使用できる塩基としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の金属炭酸塩類、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の金属炭酸水素塩類、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等のカルボン酸塩類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等の金属アルコキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム等の金属水素化物、トリエチルアミン,N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0.]−7−ウンデセン(DBU)等の有機塩基等があげられる。
【0021】
塩基の使用量は、化合物[II]1モルに対して0〜10モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0〜1.2モルである。
【0022】
本反応で使用できる溶媒としては、本反応の進行を阻害しないものであればよく、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、モノグライム、ジグライム等のエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のウレア類、ジメチルスルホキシド等の硫黄化合物類、アセトニトリル等のニトリル類等を使用することができ、更にこれらの混合溶媒も使用することができる。
【0023】
反応温度は、−20℃から使用する不活性溶媒の沸点域の範囲から選択すればよく、好ましくは0℃〜100℃の範囲で行うのがよい。
【0024】
反応時間は、反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常30分〜48時間である。
【0025】
反応の目的物である一般式[Ia]で表される本発明化合物は、反応終了後、常法により反応系から採取される。得られた目的物は、必要に応じてカラムクロマトグラフィー、再結晶等の操作によって精製することもできる。
【0026】
(工程2)
一般式[Ib]で表される本発明化合物は、一般的に知られている方法〔例えば、 ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(Journal of Organic Chemistry),第16巻、第1582頁(1951年);インディアン・ジャーナル・オブ・ケミストリー・セクションB(Indian Journal of Chemistry Section B)第27巻、第109頁(1988年)記載の方法〕に準じて、化合物[Ia]とチオカルボニル化剤とを、溶媒中若しくは非溶媒下で反応させることにより製造することができる。
【0027】
本工程で使用するチオカルボニル化剤の使用量は、化合物[Ia]1モルに対して0.5〜10モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜2.0モルである。
【0028】
本工程で使用できるチオカルボニル化剤としては、例えば五硫化りん、ローソン試薬(2,4−ビス(4−メトキシフェニル)−1,3−ジチア−2,4−ジフォスフェタン−2,4−ジスルフィド)等があげられる。
【0029】
本反応で使用できる溶媒としては、本反応の進行を阻害しないものであればよく、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、モノグライム、ジグライム等のエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のウレア類、ジメチルスルホキシド等硫黄化合物類、アセトニトリル等のニトリル類、ピリジン等を使用することができ、更にこれらの混合溶媒も使用することができる。
【0030】
反応温度は、−20℃から使用する不活性溶媒の沸点域の範囲から選択すればよく、好ましくは0℃〜150℃の範囲で行うのがよい。
【0031】
反応時間は、反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、一般的には30分〜48時間である。
【0032】
本発明の農園芸用植物病害防除剤は、一般式[I]で示される2−(2,6−ジハロゲノピリジン−4−イルメチル)ベンゾイソチアゾリン誘導体又はその塩を有効成分として含有してなる。
【0033】
本発明化合物を農園芸用植物病害防除剤として使用する場合には、単独で用いてもよいが、その目的に応じて有効成分を適当な剤型で用いることができる。
【0034】
通常は有効成分を不活性な液体又は固体の担体で希釈し、必要に応じて界面活性剤、その他をこれに加え、粉剤、水和剤、乳剤、粒剤等の製剤形態で使用できる。有効成分の配合割合は必要に応じ適宜選ばれるが、粉剤及び粒剤とする場合は0.1〜50%(重量)、又、乳剤及び水和剤とする場合は5〜80%(重量)が適当である。
【0035】
製剤化に際して用いられる担体としては、例えばタルク、ベントナイト、クレー、カオリン、珪藻土、ホワイトカーボン、バーミキュライト、炭酸カルシウム、消石灰、珪砂、硫安、尿素等の固体担体、イソプロピルアルコール、キシレン、シクロヘキサン、メチルナフタレン等の液体担体等があげられる。
【0036】
界面活性剤及び分散剤としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸金属塩、ジナフチルメタンジスルホン酸金属塩、アルコール硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、ポリオキシエチレングリコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノアルキレート等があげられる。
【0037】
補助剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、アラビアゴム等があげられる。
【0038】
更に、本発明の農園芸用植物病害防除剤には、上記様々な製剤形態において有効成分である本発明化合物以外に必要に応じて他の公知の活性化合物、例えば、殺虫剤、殺ダニ剤、昆虫生育調整剤、殺線虫剤、殺菌剤、植物病害防除剤、除草剤、植物生長調節剤、肥料及び土壌改良剤等と混合してもよい。
【0039】
本発明の農園芸用植物病害防除剤は、これらの製剤をそのまま、或いは希釈して茎葉散布、種子処理、土壌施用、水面施用又は育苗箱施用等により使用することができる。これらの施用量は、使用される化合物の種類、対象病害、発生傾向、被害の程度、環境条件、使用する剤型などによって変動する。
【0040】
例えば粉剤及び粒剤のようにそのまま使用する場合には、有効成分で10アール当り0.1g〜5kg、好ましくは1g〜1kgの範囲から適宜選ぶのがよい。
【0041】
又、乳剤及び水和剤のように液状で使用する場合には、0.1ppm〜10,000ppm、好ましくは10〜3,000ppmの範囲から適宜選ぶのがよい。
【0042】
更に、育苗箱施用によって用いる場合、化合物の溶出性を制御した製剤化を行うことにより、長期にわたる効果を付与することが可能である。
【0043】
本発明の農園芸用植物病害防除剤は上記の施用形態により、糸状菌、細菌及びウィルスに起因する植物の病害を防除できる。
【0044】
次に、具体的な病害を非限定例としてあげる。
キュウリべと病(Pseudoperonospora cubensis)、リンゴ黒星病(Venturia inaequalis)、キュウリうどんこ病(Sphaerotheca cucurbitae)、コムギうどんこ病(Erysiphe graminis)、コムギふ枯病菌(Septoria nodorum)、イネいもち病(Pyricularia oryzae)、キュウリ灰色かび病(Botrytis cinerea)、イネ紋枯病(Rhizoctonia solani)、コムギ赤さび病(Puccinia recondita)、キュウリ斑点細菌病(Pseudomonas syringe)、イネ白葉枯病(Xanthomonas oryzae)、イネもみ枯細菌病(Burkholderia glumae)、イネ苗立枯細菌病(Burkholderia plantarii)、イネ褐状病(Acidovorax avenae)、内穎褐変病(Erwinia ananas)
【発明の効果】
【0045】
本発明の農園芸用植物病害防除剤は、作物に薬害を生ずることなく、イネいもち病等に対して高い防除効果を有しているという特徴をも併せ持っているため、農園芸用植物病害防除剤として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明の農園芸用植物病害防除剤で用いる一般式[I]の誘導体の製造法、製剤法並びに用途を下記の実施例で詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。尚、以下の説明において「%」は重量百分率を示す。
【実施例1】
【0047】
2−(2,6−ジクロロピリジン−4−イルメチル)−1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン 1,1−ジオキシドの製造(化合物番号1)
サッカリン1.49g(8.2mmol)と4−ブロモメチル−2,6−ジクロロピリジン1.64g(6.8mmol)とをテトラヒドロフラン20mlに溶解し、N,N−ジイソプロピルエチルアミン1.14g(8.6mmol)を加えて室温下15時間撹拌した。反応終了後、酢酸エチルを加えて水洗し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥し、濃縮した。得られた結晶を酢酸エチルで洗浄し、無色結晶(融点176−178℃)の2−(2,6−ジクロロピリジン−4−イルメチル)−1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン−1,1−ジオキシド1.62g(収率69%)を得た。
1H-NMR(CDCl3) δ : 4.85(2H, s), 7.36(2H, s), 7.87−8.00(3H, m), 8.11(1H, d, 6.8Hz)ppm
【実施例2】
【0048】
2−(2,6−ジクロロピリジン−4−イルメチル)−1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−チオン 1,1−ジオキシドの製造(化合物番号2)
2−(2,6−ジクロロピリジン−4−イルメチル)−1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン 1,1−ジオキシド0.40g(1.17mmol)、五硫化りん0.78g(3.5mmol)とクロロベンゼン10mlの混合物を110℃で3時間加熱撹拌した。反応終了後、酢酸エチルを加えてから不溶物をろ過し、減圧下溶媒を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、黄色結晶(融点187−188℃)の2−(2,6−ジクロロピリジン−4−イルメチル)−1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−チオン−1,1−ジオキシド0.25g(収率60%)を得た。
1H-NMR(CDCl3) δ : 5.18(2H, s), 7.34(2H, s), 7.83−7.93(3H, m), 8.29(1H, d, 7.8Hz)ppm
【実施例3】
【0049】
2−(2,6−ジブロモピリジン−4−イルメチル)−1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン 1,1−ジオキシドの製造(化合物番号3)
実施例1と同様の操作で、無色結晶(融点172−174℃)の2−(2,6−ジブロモピリジン−4−イルメチル)−1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン 1,1−ジオキシド(収率51%)を得た。
1H-NMR(CDCl3) δ : 4.81(2H, s), 7.55(2H, s), 7.83−8.00(3H, m), 8.11(1H, d, 7.6Hz)ppm
【0050】
参考例1
(2,6−ジクロロピリジン−4−イル)メタノールの製造
水素化ホウ素ナトリウム18.0g(475mmol)を水250mlに懸濁させ、2,6−ジクロロイソニコチン酸クロライド50.0g(238mmol)のテトラヒドロフラン50ml溶液を5〜10℃で滴下した。滴下終了後10℃で10分撹拌し、酢酸エチル500mlを加えた。20%塩酸で酸性にし、有機層を水洗、乾燥、濃縮した。析出した固体をイソプロピルエーテルで洗浄し、無色粉末(融点130−131℃)の(2,6−ジクロロピリジン−4−イル)メタノール40.2g(収率95%)を得た。
1H-NMRデータ(CDCl3/TMS δ(ppm)): 4.65(2H,d,J=5.8Hz)、4.96(1H,t,J=5.8Hz)、7.29(2H,s)
【0051】
参考例2
4−ブロモメチル−2,6−ジクロロピリジンの製造
(2,6−ジクロロピリジン−4−イル)メタノール30.0g(169mmol)をエーテル1Lに溶解し、三臭化リン50.2g(185mmol)を加え、室温で15時間撹拌した。反応終了後、水を加えて1時間撹拌し、有機層を水洗、乾燥、濃縮乾固し、無色結晶(融点38−40℃)の4−ブロモメチル−2,6−ジクロロピリジン28.4g(収率70%)を得た。
1H-NMRデータ(CDCl3/TMS δ(ppm)): 4.33(2H,s)、7.29(2H,s)
【0052】
尚、この化合物は、上記本発明化合物の製造方法において使用される、一般式[III]で表される化合物の内、R及びRが塩素原子、Xが臭素原子の化合物である。
【実施例4】
【0053】
粉剤
化合物番号1の化合物2%、珪藻土5%及びクレー93%を均一に混合粉砕して粉剤とした。又、化合物番号1に代えて、表1に記載の化合物各々を用いて同様に粉剤を得ることができる。
【実施例5】
【0054】
水和剤
化合物番号2の化合物50%、珪藻土45%、ジナフチルメタンジスルホン酸ナトリウム2%及びリグニンスルホン酸ナトリウム3%を均一に混合粉砕して水和剤とした。又、化合物番号2に代えて、表1に記載の化合物各々を用いて同様に水和剤を得ることができる。
【実施例6】
【0055】
乳剤
化合物番号3の化合物30%、シクロヘキサノン20%、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル11%、アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム4%及びメチルナフタリン35%を均一に溶解して乳剤とした。又、化合物番号3に代えて、表1に記載の化合物各々を用いて同様に乳剤を得ることができる。
【実施例7】
【0056】
粒剤
化合物番号1の化合物24%、ラウリルアルコール硫酸エステルのナトリウム塩2%、リグニンスルホン酸ナトリウム5%、カルボキシメチルセルロース2%及びクレー67%を均一に混合粉砕する。この混合物に水20%相当量を加えて練合し、押出式造粒機を用いて14〜32メッシュの粒状に加工したのち、乾燥して粒剤とした。又、化合物番号1に代えて、表1に記載の化合物各々を用いて同様に粒剤を得ることができる。
【0057】
次に、本発明の農園芸用植物病害防除剤の奏する効果について試験例をあげて具体的に説明する。
【0058】
試験例1 イネいもち病水面施用試験
直径9cmの白磁鉢に1.5葉期の水稲(品種:愛知旭)稚苗を3茎ずつ4カ所に移植し、温室内で育成した。2.5葉期に、実施例5に準じて調製した水和剤を有効成分濃度が10アールあたり100gになるように鉢に水面施用処理をした。処理10日後に、イネいもち病菌(Pyricularia oryzae)の分生胞子懸濁液を噴霧接種し、直ちに25℃の湿室内に24時間入れた。その後、温室内に移し、接種5日後に接種時の最高位葉の病斑数を調査した。以下の式により防除価を求め、結果を表2に示した。
【0059】
【数1】

【0060】
又、以下に示す比較化合物各々を用いて、実施例5に準じて水和剤を調製し、この試験例と同様にして防除価を求め、結果を表2に示した。
【0061】
【化3】

【0062】
【表2】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式[I]
【化1】


[式中、Yは酸素原子又は硫黄原子を示し、R及びRはそれぞれ独立に塩素原子又は臭素原子を示す。]
で表されることを特徴とする2−(2,6−ジハロゲノピリジン−4−イルメチル)ベンゾイソチアゾリン誘導体又はその塩。
【請求項2】
請求項1に記載の2−(2,6−ジハロゲノピリジン−4−イルメチル)ベンゾイソチアゾリン誘導体又はその塩を有効成分として含有することを特徴とする農園芸用植物病害防除剤。

【公開番号】特開2006−225357(P2006−225357A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−44085(P2005−44085)
【出願日】平成17年2月21日(2005.2.21)
【出願人】(000000169)クミアイ化学工業株式会社 (86)
【出願人】(000102049)イハラケミカル工業株式会社 (48)
【Fターム(参考)】