説明

2つの繊維製品部品の突合せ接合方法

本発明は、一方及び他方の縁(14、16)を連結する接着リボン(28)によって、繊維製品部品の2部分(10、12)を平坦に突合せ接合する方法に関する。本発明によれば、接着リボン(28)を貼付する前に、縁(14、16)を一緒に保持するために前記縁(14、16)に隣接する2つの端部を一緒に接着し、接着された端部を一緒に保持されている前記縁(14、16)に近接して切断し、前記接着リボン(28)は、一緒に保持されている2つの縁(14、16)と切断され接着された前記端部(24、26)とを覆うように貼付され、接着リボン(28)を接着する際に、切断され接着された前記端部(24、26)は平担化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は繊維製品部品の2部分の切縁組み立て方法に関する。
【0002】
考えられる様々な用途の一つは特に下着用であるが、これに限定されない。下着はいくつかの部品を組み立て、それらを通常凹凸部となる縫い目によって取り付けることによって作製される。これらの凹凸部は、前記下着を着用する人にとって着心地が悪く、及び/又は下着を覆う衣類に目に見える浮き彫りを形成することがある。
【背景技術】
【0003】
繊維製品部品を組み立てる方法は公知である。例えば、繊維製品の熱抵抗に適した融点を有するポリアミド系ホットメルトプラスチックを使用して、前記部品の切縁を接着する工程がある。
【0004】
しかし、一方の縁を他方の縁と熱接着することにより、繊維製品部分に比べて非常に固い接着片が形成されるだけでなく、それらは同一面に組み立てられないので、2部品間に不連続面をも形成する。
【0005】
これを克服するために、2つの繊維製品部品が面する2つの縁に接着リボンを貼付し、前記2部品を同一面に保つ方法が行われた。しかし、2つの縁を互いが面する固定位置に保ち、互いに重ね合わせながら接着リボンを2つの縁に同時に貼付することは容易ではない。
【特許文献1】米国特許第3675247号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の一目的は、表面の凹凸又は2部品間の不連続性を残さずに、2つの繊維製品部品の切縁組み立てを容易に行う方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これを達成するために、本発明は、前記接着リボンを配置する前に、前記縁が互いに近接して保持されるように前記縁に隣接する2つの境界を互いに接着し、前記2つの縁に近接して2つの境界を剪断し、合わせられた2つの縁と剪断し接着された境界とを覆う前記接着リボンを貼付し、接着リボンを貼付するときは、前記剪断し接着された境界を平坦にする方法を提案する。
【0008】
従って、本発明の一特徴は、2つの繊維製品部品を予め切縁組み立てする方法において、延設され、一方が他方に貼り合わされた境界を用いることである。このようにして、境界は一緒に保持される前記縁に可能な限り近接して少なくとも部分的に剪断され、この位置にそれらを適切に保持するために他のいかなる手段も必要とせず、前記繊維製品部品の縁は互いに向き合って保持される。従って、容易に、剪断され接着された境界及び一緒に保持される縁にリボンを重ねて貼付し、組み立て体を平坦にして凹凸を全て消失させる。
【0009】
本発明の特に有利な一実施形態によれば、リボンを熱接着するとき、剪断され接着された前記境界が剥がれて平坦になるように、2つの隣接する境界は熱接着され、2つの縁を接着するために熱反応性リボンが使用される。
【0010】
ホットメルト接着剤を使用することによって、第1に境界は迅速に組み立てられ、第2に境界を固定する前に調節可能である。ホットメルト接着剤は、周囲温度では粘着性がないので、前記縁が互いに向き合うように境界を互いに配置することができる。
【0011】
次いで、隣接する2つの境界を一緒に保持し、短い時間加熱プレスして接着剤を溶融させる。接着剤の温度が下がると固体状態に戻り、このようにして2つの境界は互いに機械的に固定される。
【0012】
更に、熱反応性リボンが剪断され接着された境界に貼付され、2つの縁にも接触して加熱プレスされると、前記縁は前記熱反応性リボンによって同一面に一緒に保持されながら、2つの剪断され接着された境界を結合するホットメルト接着剤は再び溶融しやすくなるので前記境界は互いから離れる。境界はこのようにして前記リボンによって平坦化され、2つの繊維製品部品間の連結部に凹凸の外観を与えない。
【0013】
本発明の特に有利な一実施形態によれば、繊維製品部品の2部分は編物から作られる。従って、通常は組み立て体の美観を損ね着心地を悪くする縫い目で構成される編物部品の組み立て体を、上述の方法を用いて作ることができる。その結果、編物部品はいかなる表面の不均一さもなく互いに接合することができ、作られた組み立て体はより快適性を有する。
【0014】
有利なことに、2つの繊維製品部品は、非常に軽量な繊維製品を作るのに適した管状編物から作られ、上述した本発明に係る組み立て体は、いかなる凹凸も形成されないので、申し分なく適している。
【0015】
好ましい一実施形態によれば、2つの繊維製品部品が特に接着片に沿って互いに接着され、第1に、2つの繊維製品部品は接着片の長手方向に切断されて前記片の切断部からなる境界で接着された繊維製品部品の2対の部分を得て、上述した本発明に係る方法が、繊維製品部品のこれらの対の部分のうち少なくとも1対に適用される。以下の詳細な説明で更に詳細を説明するように、本発明の好ましい実施形態では、繊維製品部品を、それらの間にいかなる凹凸も形成することなく、限られた工程数で組み立てることを可能にする。
【0016】
他の目的によれば、本発明は、本発明に係る組み立て方法によって取り付けられた2つの管状編物から作られたタイツなどのレッグウェアを提案する。
【0017】
本発明の他の特徴及び利点は、添付図面を参照して、ガイダンスとして提供するがこれに限定されるものではない本発明の特定の実施形態の下記の記載を読むと明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、ホットメルト接着剤22を用いて対応する隣接境界18、20を接合することによって、対応する縁14、16は互いに近接して保持される繊維製品部品の2部分10、12を示す。
【0019】
最初に5〜20mm幅、例えば10mm幅の片状のホットメルト接着剤22を、縁14、16に沿って2つの隣接した境界18、20の間で調整する。接着剤は周囲温度では全く粘着性がなく、繊維製品部品の2部分10、12は、2つの隣接した境界18、20が加熱プレスされて互いに接触し、ホットメルト接着剤22が冷えるまで互いに固定されない。図1に示すように、接着剤22が溶融すると、当然接着剤は隣接した境界18、20の中に流れて繊維製品に浸透する。
【0020】
ホットメルト接着剤は、弾性的に変形可能なポリウレタン系プラスチック材料であることが有利である。しかし、ポリアミド又はポリエステルなど他のタイプの材料も使用可能である。
【0021】
2つの隣接した境界18、20が互いに接着された後、これら2つの接着された境界は、図1に示す面P上で、2つの隣接した境界18、20との交線23によって図1に不連続線で示されるように、部分10、12の上面に近接してかつ平行に剪断される。
【0022】
その結果、図2に示すように、剪断され接着された境界24、26によって縁14が縁16と一緒に保持された繊維製品部品の2部分10、12が得られる。2部分10、12間に連結部を形成する剪断され接着された境界24、26はごく僅かに凹凸を有するが、この凹凸は次の工程で取り除くことができる。
【0023】
この次のステップでは、平坦な接着リボン28、好ましくは熱反応性リボンを、合わせられた2つの縁14、16及び剪断され接着された境界24、26を長手方向に覆って貼付する。
【0024】
熱反応性リボン28が、剪断され接着された境界24、26に接して加熱プレスされると、リボン28の縁は夫々2部分10、12の縁14、16に結合され、剪断され接着された境界24、26を部分的に接合するホットメルト接着剤22は溶融し、境界24、26を互いから離す。
【0025】
従って、プレスによって、熱反応性リボン28は縁14、16が互いに向き合って接触した状態で同一面上に保持し、熱反応性リボン28は各部分10、12に浸透する。
【0026】
図3は、このように2つの縁14、16を覆ってそれらを連結し、ホットメルト接着剤22と混ざることのできる熱反応性リボン28を用いて互いに固定された2部分10、12を示す。
【0027】
このように、本発明に係る組み立て方法によって、2部品間の連結部に全く凹凸がないように、少なくとも部分的に繊維製品に浸透する熱反応性リボンによって互いに略同一面に沿って接合された繊維製品部品の2部分10、12が得られる。
【0028】
幅5〜25mm、例えば10mm幅の熱反応性リボン28は、例えばビームプレスを用いて220℃の温度によって20秒間で接着することのできる熱溶融可能なポリウレタンから作ることが有利である。ポリウレタンは弾性的に変形可能で、繊維製品部品の2部分10、12間の機械的特性の不連続性が非常に少ないという利点を有する。
【0029】
これに対して、繊維製品がやはり弾性的に変形可能な編物である場合、組み立てた2部分間の機械的不連続性は更に少ない。
【0030】
本発明に係る組み立て方法を、2つの管状編物から脚用のパンティストッキングへの形成に適用し、図4及び図5を参照して説明する。2つの対面を有し、温度180〜220℃、例えば200℃で活性化できる熱反応性接着片を使用する。これらの面のうち一面は厚紙片で覆われ、他面は覆われていない。熱接着用の接着片の面に、温度200℃以上、例えば220℃で架橋可能な第2接着剤を含浸させる。続いて第1ステップで、結合させる第1編物に覆われていない面を接触させて、温度200℃で熱接着用接着片を貼付し、第2ステップで、厚紙片を取り除いた後に、組み立て体を220℃の温度で一緒にプレスすることによって、第1編物と結合された熱接着用接着片に第2編物を接触させて貼付できる。従って、接着片の他面が第2編物に結合するだけではなく、第1ステップで活性化されなかった第2の熱架橋可能な接着剤が第2ステップで活性化され、2つの編物間の結合を強化する。
【0031】
図4は、開口を有する管状編物から構成される第2の繊維製品部品32上に同一の第1繊維製品部品30が配置された状態を示す。
【0032】
最初に、厚紙片で支持された熱接着用接着片34は、チムニーと呼ばれる部分に、開口から出発して第2管状編物32の外側の面と接触させて長手方向に貼付される。この長手方向の部分は基準マークを設置し、通常強化される。
【0033】
この熱接着用接着片34の長さは前記チムニーと略同じ長さであり、パンティストッキングのパンツ部品を形成する部分を形成すべく選択される。
【0034】
熱接着用接着片34が第2管状編物32に接して貼付された後、熱接着用接着片34の一方の面が前記第2管状編物32に固定するように組み立て体は加熱プレスされ、前記厚紙片は熱接着用接着片34の他面がプレス手段への粘着を防止する。
【0035】
次いで、前記厚紙片は取り外され、やはり管状編物からなる第1繊維製品部品30は第2管状編物32に接して対称的に貼付され、2つのチムニーは互いに接触し、熱接着用接着片34は2つの管状編物30、32の間に配置される。
【0036】
このようにして、チムニーを構成する管状編物の2部分を共に加熱プレスすることによって熱接着用接着片34は溶融し、プレスを停止すると冷却して固化する。次いで、2つの管状編物30、32は、前記熱接着用接着片34を用いて、互いにそれらの外部壁を接触させ2つのチムニーを互いに接触させて、長手方向に接合される。管状編物の2つの縁部分は、互いに隣り合わせにされて前記接着されたチムニーの2つの向かい合った縁に沿って延び、前記2つの縁は図1に示す2つの縁14、16に相当する。
【0037】
次いで、互いに接着された2つのチムニーは、熱接着用接着片34を半分に分割され、接着された2対の半チムニーが得られる。
【0038】
従って、図5に示すように、2対の半チムニーは、2つの管状編物30、32の対応する開口の縁に、2つの分離した第1端部36、38及び2つの管状編物30、32の接合部40で連結された2つの端部を有する。第1の2つの分離した端部36、38はパンティストッキングの前部及び後部又はその逆にそれぞれ配置される。
【0039】
共に接着された2対の半チムニーは、図1に示す、ホットメルト接着剤22で共に接着された隣接する境界18、20に相当する。
【0040】
同様に、2対の接着された半チムニーは、合わせられた管状編物部分の前記2つの縁に近接して剪断され、剪断され接着された半チムニーの対に熱反応性リボン42が貼付され、共に加熱プレスされる。従って、合わせられた前記管状編物部分の2つの縁は、部分間に表面の不均一性を呈することなく共に結合される。このようにして、縫い目のないタイツが得られ、2つの管状編物間の接合部には凹凸がない。
【0041】
本発明に係る組み立て方法は、ジャカード丸編機又は有ひ織機で得られる他の種類の繊維製品、又は不織布製品にも適用可能である。
【0042】
例えば、本発明に係る方法を用いて、ガーターをパンティストッキングに当てて接合することができる。また本発明の方法は、レギンスのリブエンド用又は短いソックス、ブラジャーすなわちブラの製造用に用いることができる。
【0043】
本発明に係る方法は、胴体部分を覆うことのできる裁ち目に面する第1部品を形成するために裁断される対称的な管状編物と、2部材(脚又は腕)を覆うのに使用される編物の裁断されていない管状部分に相当する2つの第2部品との取り付けに申し分なく適用可能である。
【0044】
例えば、ズボン下、スモックトップ又はシャツに適応する場合である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】第1ステップでの2つの繊維製品部品が接合される本発明の一実施形態の部分斜視図である。
【図2】図1に示され、本発明に係る組み立て方法の第2ステップを示す部分斜視図である。
【図3】図2に示され、本発明に係る組み立て方法の最終ステップを示す部分斜視図である。
【図4】第1ステップ後、本発明に係る2つの管状編物を組み立てる方法を示す部分斜視図である。
【図5】図4に示され、本発明によって取り付けられた2つの管状編物を示す部分斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維製品部品の2部分の、該2部分の2つの縁を覆う接着リボンによる平坦な切縁組み立て方法において、
前記接着リボン(28)を配置する前に、前記縁(14、16)を互いに近接して保持するように前記縁(14、16)に隣接する2つの境界(18、20)を互いに接着して、前記2つの縁(14、16)に近接して2つの境界を剪断し、合わせられた前記2つの縁(14、16)と剪断され接着された前記境界(24、26)とを覆って前記接着リボン(28)を貼付し、剪断され接着された前記境界(24、26)は、前記接着リボン(28)を貼付する時に平坦化されることを特徴とする方法。
【請求項2】
2つの隣接した前記境界(18、20)が熱接着され、熱反応性リボン(28)が前記2つの縁(14、16)を接着するために使用され、前記熱反応性リボン(28)を熱接着するとき、剪断され接着された前記境界(24、26)が剥れて平坦化されることを特徴とする請求項1に記載の組み立て方法。
【請求項3】
前記繊維製品部品の2部分が編物から作られることを特徴とする請求項1又は2に記載の組み立て方法。
【請求項4】
前記2つの繊維製品部品が管状編物(30、32)から作られることを特徴とする請求項3に記載の組み立て方法。
【請求項5】
2つの繊維製品部品が特に接着片に沿って互いに接着され、前記2つの繊維製品部品が接着片の長手方向に切断されて、前記片の切断部品からなる境界によって接着した繊維製品部品の2対の部分が得られ、及び請求項1に記載の方法を繊維製品部品のこれらの対の部分の少なくともひとつに適用することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかひとつに記載の組み立て方法。
【請求項6】
2つの管状編物が接着片に沿って互いに接着され、前記管状編物が前記接着片の長手方向に切断されて、前記片の切断部品からなる境界によって接着した管状編物の2対の部分が得られ、及び請求項1に記載の方法を管状編物の2対の部分に適用することを特徴とする請求項4又は5に記載の組み立て方法。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかひとつに記載の組み立て方法によって取り付けられた2つの管状編物から作られたタイツなどのレッグウェア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−516687(P2006−516687A)
【公表日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−502093(P2006−502093)
【出願日】平成16年1月12日(2004.1.12)
【国際出願番号】PCT/FR2004/000043
【国際公開番号】WO2004/075673
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(504208658)サラ リー コーポレーション (8)
【氏名又は名称原語表記】SARA LEE CORPORATION
【Fターム(参考)】