説明

2本引4枚建サッシ

【課題】障子閉塞操作上不都合のない2本引4枚建サッシを提供する。
【解決手段】召合せ框4,4aに設けた煙返し7,7a、8,8aが互いにかみ合う内外一対の障子Ba,Ba´、Bb,Bb´の、障子全閉塞時に縦枠1,1a側に偏する一方の障子Bb,Bb´の戸先框9,9aと前記縦枠1,1aとの間に前記一方の障子Bb,Bb´の移動を規制する係留手段10を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内外一対二組の障子を窓枠に納めた2本引4枚建サッシに関するものである。
【背景技術】
【0002】
所謂、2本引4枚建サッシは、具体例を挙げるまでもなく、一対の内側障子を窓枠(上枠と下枠)の屋内外に平行に配置した案内部の一方の移動自在に組付け、一対の外側障子を他の一方の案内部に移動自在に組付けて、障子閉塞時には屋内外の案内部の、縦枠側である外側に、前記内、外側障子の一方を配し、他方を内側に配するようにした内外一対の障子(内障子と外障子)を窓枠内に納めた構成を採るものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この2本引4枚建サッシの一組となる内外一対の障子は、障子全閉塞時に、召合せ框同士が屋内外方向に重なり合い、その重なり合った状態で両召合せ間に関係づけて配したクレセント装置によって施錠状態を得るものであるが、該クレセント装置を前記両召合せ框の隙間を通じての屋外側からの開閉操作をさせないため、召合せ框同士の対向面(内障子側の場合は屋外側面、外障子側の場合は屋内側面)に所謂煙返しを設け、障子全閉塞時にこの煙返しを内外障子間でかみ合わせ、前記の隙間が生じないようにしている。
【0004】
然しながら、従来の2本引4枚建サッシは、例えば、窓枠の一方の縦枠側に一方の一対の内外障子が、他の一方の縦枠側に他の一方の一対の内外障子がそれぞれ屋内外方向に重なり合わせて、窓枠の見付け方向中央部を開口(放)状態とした障子全開放状態から障子全閉塞状態を得る際、前記煙返しのかみ合いにより内外一対の障子の一方の障子である窓枠中央部側に位置することになる内側障子を窓枠中央部方向に移動させたとき、該内側障子の煙返しが、前記全閉塞状態と位置を変えないで他の一方の障子である縦枠側に位置させておくべき外側障子の煙返しを引っ掛けて、外側障子を窓枠の前記見付け方向中央部側に移動させ、該外側障子縦枠位置から離開させて開いた状態(外側障子が縦枠から離開した状態)となり、外側障子を前記位置させておくべき位置に戻さねばならないことがあり、従って、前記全開放状態から全閉塞状態にするに際した前記内側障子の移動操作を慎重に行わねばならない、という不便さがある。
【0005】
本発明は、斯様な従来例の2本引4枚建サッシの欠点に着目して創案したものである。
【0006】
なお、ここで内障子と外障子(内外障子)とは窓枠の屋内側案内部に移動自在に組付けた屋内側に位置する障子と屋外側案内部に移動自在に組付けた屋外側に位置する障子をいい、内側障子とは障子閉塞時に窓枠縦枠間の中央部側に存する障子を、また、外側障子とは障子閉塞時に前記内側障子と見付け方向に隣接して縦枠側に存するようにした障子をいう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
召合せ框に設けた煙返しで互いにかみ合う内外一対の障子の、障子全閉塞時に縦枠側に偏する一方の障子側の戸先框と前記縦枠との間に前記一方の障子の移動を規制する係留手段を設けた構成とするのである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、障子全開放時に縦枠側に偏する一方の障子(外側障子)を係留手段により縦枠側に係留させておくことにより、該一方の障子と召合せ框において召合う他の一方の障子(内側障子)を閉塞方向に(窓枠の見付け方向の中央部方向に)移動させても、前記係留手段によって縦枠側に偏して移動を規制されている前記一方の障子(外側障子)の召合せ框の煙返しに、当該障子の(召合せ框)煙返しに移動を規制され、従来のように前記一方の障子(外側障子)を動かすことなく、障子閉塞時における正位置に自動的に配することができる。
【0009】
また、一方の障子(外障子)側を係留装置で動かなくすることができるので簡易的な嵌め殺し部を備えた引戸サッシを得られ、他の一方の障子(内側障子)のみを常態時に可動状態におくことができるとする使用勝手の良好な2本引4枚建サッシを提供することができる。
【実施例】
【0010】
図面は本発明に係る2本引4枚建サッシの一実施例を示し、図1は横断面図、図2は図1の一部拡大図、図3は一部の拡大縦断面図である。
【0011】
実施例の2本引4枚建サッシは、窓枠Aに内外一対二組の障子Ba,Bb、Ba´,Bb´を組付け、各組障子の内障子Ba,Ba´を障子全閉塞時に前記窓枠Aの見付け方向中央部に位置する内側障子として、また、外障子Bb,Bb´を窓枠Aの縦枠1,1a側に位置する外側障子として用いるようにしてあるが、内障子Ba,Ba´を外側障子として、外障子Bb,Bb´を内側障子として適用した2本引4枚建サッシにも本発明を適用できることは勿論である。
【0012】
前記窓枠Aは、上枠(図示省略)、下枠2および前記左右の縦枠1,1aを互いに組付けて構成し、上枠に吊設したひれ部片で構成した屋内側の案内溝(図示省略)に前記内障子Ba,Ba´の上框を、屋外側の案内溝(図示省略)に前記外障子Bb,Bb´の上框をそれぞれ係合する一方、下枠2に設けた屋内側の案内レール(図示省略)に前記内障子Ba,Ba´の下框(図示省略)に軸支した戸車(図示省略)を、屋外側の案内レール(図示省略)に前記外障子Bb,Bb´の下框(図示省略)に軸支した戸車(図示省略)をそれぞれ転動自在に載置して、前記内外一対二組の障子Ba,Bb、Ba´,Bb´を前記の通り組付けたものである。
【0013】
そして、障子閉塞時には、内障子Ba,Ba´が内側障子となって前記窓枠Aの見付け方向の中央側に存して、外障子Bb,Bb´が外側障子となって前記窓枠Aの見付け方向両側に存する前記縦枠1,1a側に存して障子全閉塞状態となり、この障子全閉塞状態時には、前記内障子Ba,Ba´の戸先框4,4a同士が互いに突き当たり、戸尻框である召合せ框5,5aが対応する外障子Bb,Bb´の召合せ框6,6aと屋内側において重なり合い、内障子Ba,Ba´の屋外側面側に設けた煙返し7,7aと外障子Bb,Bb´の屋内側面側に設けた煙返し8,8aとが互いにかみ合い、外障子Bb,Bb´の戸先框9,9aが前記縦枠1,1a側に偏して存して係留手段10を機能させて該戸先框9,9aを縦枠1,1aに係留(接続)させるようにしてある。
【0014】
なお、内外障子Ba,Bb、Ba´,Bb´間においては図示省略したクレセント装置で互いに接続して所謂施錠状態を得るようにしてあることは勿論である。
【0015】
実施例の係留手段10は、前記外障子Bb,Bb´の戸先框9,9aに設けた係止片11と、前記縦枠1,1a側に設けた受止片12とを互いに係離自在に係止するようにして構成したものである。
【0016】
係止片11は、前記戸先框9,9aの中空主体13に組付けた支持枠14に支軸15によって組付け、中空主体13の前壁部片13´を通じて中空主体13に前記前壁部片13´を介して相対設した戸先端部片16,16間に出入させ、戸先端部片16,16間に存するように配した前記受止片12に係止させるようにしたものである。
【0017】
前記支持枠14は取付部片14´の縦方向の中間部に一対の支持部片14´´,14´´を相対設して構成し、前記前壁部片13´に取付部片14´をねじ19で止着する一方、前壁部片13´に設けた窓口17を通じて前記中空主体13内に嵌挿した支持部片14´´,14´´間に前記係止片11を介在させ、中空主体13の側部片すなわち屋内外の部片13´,13´´´間に、該部片13´´,13´´´に嵌挿した前記支軸15を該係止片11の基部と前記支持部片14´´,14´´を通じてわたすようにして係止片11を取付けたもので、この支持枠14乃至中空主体13(の部片13´´,13´´´)に回動自在に支持された前記支軸15の前記屋内側部片13´´より突出する一端には摘み18を取付け、該摘み18を操作する(廻す)ことにより、前記係止片11は回動して支持枠14の支持部片14´´,14´´間すなわち前記中空主体13内より前記窓口17および支持枠取付部片14´の中間部に設けた窓孔17aを通じて前壁部片13´の前方である屋内外部片13´´,13´´´に突出して、前記の通り、縦枠1側の受止片12に係止して引き留められ、外障子Bb,Bb´の障子開放方向、すなわち、縦枠1,1aから離開する方向の移動は規制される。
【0018】
受止片12は、前記縦枠1,1aの、外障子Bb,Bb´の戸当り面に設けたもので、取付部片12´に前記係止片11の鉤状と逆鉤状の受止部片12´´とで成り、取付部片12´をねじ19aで縦枠1,1aの戸当り面に止着して受止部片12´´が前記戸先框9,9aの戸先端部片16,16、16a,16a間に存するように配置したものである。
【0019】
なお、係留手段10に係る符号を図面上省略してあるが、省略した側の係留手段10は他の一方の外障子Bb側等と向きが異なるだけで同様に構成される。
【0020】
しかして、各外障子Bb,Bb´の戸先框9,9aを縦枠1,1aに偏して配置すると係留手段10が機能して摘み18の操作(屋内側からの)によって係止片11は受止片12に係止し、外障子Bb,Bb´の移動が規制されることになり、この状態のときに、内障子Ba,Ba´を窓枠見付け方向中央に移動させて障子閉塞状態を得ようとしたとき、内障子Ba,Ba´側の煙返し7,7aが外障子Bb,Bb´側の煙返し8,8aを引っ掛けてこれを引き連れて移動することがなく、かつ、引っ掛ることにより内障子Ba,Ba´の移動が規制されるから、内障子Ba,Ba´は障子全閉塞状態位置に自動的に配することができ、また、係止片11を受止片12から離脱させることにより、縦枠1,1aに偏した障子開放状態も得ることができるのである。
【0021】
なお、係留手段10は、実施例のように、障子の戸先框9,9aに、屋内外方向に相対設した戸先端部片6,6、6a,6a間すなわち障子Bb,Bb´の見込み幅員に収めるようにして設けることにより、内外障子Ba,Bb、Ba´,Bb´(戸先框9,9aと召合せ框4,4a)の引違い操作を不都合なく行うことができ、また、係留手段10は障子Bb,Bb´の一方側にのみ設けるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】横断面図。
【図2】図1の一部拡大図。
【図3】一部の拡大縦断面図。
【符号の説明】
【0023】
1,1a 縦枠
4,4a 召合せ框
7,7a 煙返し
8,aa 煙返し
9,9a 戸先框
10 係留手段
Ba,Ba´ 内障子
Bb,Bb´ 外障子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
召合せ框に設けた煙返しで互いにかみ合う内外一対の障子の、障子全閉塞時に縦枠側に偏する一方の障子側の戸先框と前記縦枠との間に前記一方の障子の移動を規制する係留手段を設けた、2本引4枚建サッシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−118294(P2006−118294A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−309224(P2004−309224)
【出願日】平成16年10月25日(2004.10.25)
【出願人】(000005005)不二サッシ株式会社 (118)