説明

2流体混合装置

【課題】セラミックの孔径が数ミクロン以下の場合でも、気体圧力を数気圧以下に留めることができ、液体に気体を大量に溶け込ませる装置を簡便安価に実現できること。
【解決手段】表面張力を打ち破って気泡を液中に浮遊せしめる手段を、液体側の渦の力に依存せしめる。即ち、気体側の圧力Pa が、液体側の静圧(=全圧−動圧)Ps よりも高く設定されていれば、セラミック円筒11の孔から出かかっている気泡は液体側に凸になるが、孔径が小さい場合は、液体の表面張力と気体圧力がバランスした状態以上には成長できないで留まる。セラミック円筒の外側には、臨界レイノルズ数を超えるように、狭い流路を速い速度で液体が流れるようにして、液体の流れが乱流となり、細かい渦が気泡の表面張力を打ち破り、気体は細かい泡となって液体に巻き込まれて連続的に吐出されるようにした。

【考案の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明は、オゾンや酸素等の気体を、水等の液体に高濃度で混合せしめる装置に係わるものであり、野菜等の殺菌・消毒、プールや浄化槽等の殺菌・消毒、熱帯魚や養殖魚の飼育、河川や湖沼の浄化等に利用される。
【従来の技術】 多孔質のセラミック円筒を利用したオゾン水製造装置や、水中への酸素供給装置は、古くから利用され広く普及している。これらの装置は何れもセラミック円筒内部にオゾン等の気体を高い圧力で送り込み、セラミックの孔から気泡として、外部の水等の液体に送り出して溶け込ませるものに限られていた。気泡の径が小さい程、気体が液体に溶け込み易いことは周知の通りであり、気泡の径を小さくするためにセラミックの孔径を小さくする努力が重ねられて性能の向上がはかられた。然るに、これも周知の如く、表面張力を打ち破って気泡を液中に浮遊せしめるための気体圧力は、セラミックの孔径を小さくすると、概ね孔径の2乗に反比例して大きくしなければならないという問題があった。
例えば、空気と水の場合を例にとると、セラミックの孔径を10ミクロン以下にすると、気体圧力は数十気圧以上を要して、非現実的となる。このために、実用上はセラミックの孔径が数十ミクロン以上のものが利用されるに留まり、気泡が大きいために液体に十分に溶け込まないという不都合が有った。また、気泡同士が結合して更に大きい気泡に成長して液体への溶解を妨げるという不都合も有った。この不都合を解決するために、大きい気泡を回転羽根車や超音波等で機械的に分断する等の技術が考案されているが十分な満足は得られていない。また、気体圧力を極限まで高くせざるを得ないために、装置が過大で高価であることも指摘されている。
【考案の実施例】 第3図は本考案の実施例である。オゾン製造装置13とポンプ14から成る気体供給装置がパイプ15でセラミック円筒16の端部17に連結され、濃度5ppmのオゾンを約5kg/平方cmの圧力で、円筒16の内部に供給する。外径8mmのセラミック円筒には、約1ミクロンの孔が開孔率約20%で無数に形成されている。セラミック円筒16の外側には、内径10mmの金属製の円筒18が、円筒16と同心円上に装着されている。円筒18の端部には液体入口19が設けられ、水槽20及びポンプ21から成る液体供給装置とパイプで連結されている。円筒18の反対側の端部は気液混合体の吐出孔22として開放されている。液体供給装置は円筒16と円筒19の隙間ロに、約5kg/平方cmの圧力で毎分約20リットルの水を供給する。隙間23を流れる水の平均流速は約12m/secであり、臨界レイノルズ数を遥かに超えている。また、水側の静圧は2kg/平方cm程度であり、気体側の圧力よりも十分に低い。吐出孔Xからの気液混合体は約50リットルの水槽20に吐出されて循環する。この実施例では、50リットルの水は約1分後に完全な不透明に白濁し、オゾン濃度は過飽和に達した。なお、水側のポンプを停止して、気体側のポンプだけを作動させても、気泡はまったく生じなかった。
第4図は別な実施例である。ポンプ24がパイプ25でセラミック円筒26の端部27に連結されて、円筒26の内部に室内空気を約5kg/平方cmの圧力で供給する。外径8mmのセラミック円筒には、約1ミクロンの孔28が開孔率約20%で無数に形成されている。セラミック円筒26の外側には、内径10mmの金属製の円筒28が、円筒26と同心円上に装着されている。円筒28の端部には液体入口29が設けられ、水道蛇口30とパイプで連結されている。 円筒28の反対側の端部は気液混合体の吐出孔31として開放されている。水道の圧力は約5kg/平方cm、水量は毎分約12リットルであった。隙間32を流れる水の流速は約7m/secであり、臨界レイノルズ数を超えている。吐出孔31からの気液混合体は空の水槽33に吐出された。吐出された気液混合体は白濁しており、酸素濃度は過飽和のレベルに達していた。
第5図は、気液混合能力をさらに高めるための実施例であり、セラミック円筒と外側円筒のセットが3組、並列に連結されている。
また、第6図は、液体の渦をさらに強くするための実施例であり、外側円筒の内面に螺旋状の細かい凹凸が形成されている。
【考案の効果】 気泡の径が小さいほど気体は液体に溶け込み易いが気体圧力を高くしなければならないという、従来技術のジレンマを、液体側の渦の力を利用することで解決して、例えば、セラミックの孔径が数ミクロン以下の場合でも、気体圧力を数気圧以下と、桁違いに低くすることができた。この考案により、高濃度オゾン水製造装置等、液体に気体を飛躍的に大量に溶け込ませる装置を簡便安価に実現できることになった。
【図面の簡単な説明】
【第1図】本考案の基本構造を示す図である。
1微細孔 6筒
2流体A入口 7流体A供給装置
3セラミック製の筒 8流体B供給装置
4流体B入口 9流体A
5AB混合流体出口 10流体B
【第2図】本考案の基本原理を示す図である。
11セラミック製の筒の片側断面の一部
12外側の筒の片側断面の一部
Pa 気体の圧力
Ps 液体の静圧
【第3図】本考案の実施例を示す図である。
13オゾン製造装置 19水入口
14ポンプ 20水槽
15パイプ 21水ポンプ
16セラミック製円筒 22オゾン水吐出孔
17オゾン入口 23隙間(水の流路)
18金属製円筒
【第4図】本考案の別な実施例を示す図である。
24空気ポンプ 29水入口
25パイプ 30水道
26セラミック製円筒 31吐出孔
27空気入口 32隙間(水の流路)
28金属製円筒 33水槽
【第5図】本考案の別な実施例を示す図である。
34セラミック製円筒 38セラミック製円筒連結管
35外側円筒 39外側円筒連結管
36気体供給装置
37供給装置
【第6図】本考案の別な実施例を示す図である。
40セラミック製円筒
41螺旋状突起を有する外側円筒

【実用新案登録請求の範囲】
第1図に示すように、
【請求項1】 複数の微細な孔1と流体A入口2とを有するセラミック製の筒3、該筒3と略同心円状に外側に配置され、流体B入口4とAB混合流体出口5とを有する筒6、流体A入口2にパイプ等で接続された流体A供給装置7、流体B入口4にパイプ等で接続された流体B供給装置8から成り、筒3内部の流体A9の圧力が、筒3と筒6の隙間を流れる流体B10の静圧よりも高く、且つ該流体B10のレイノルズ数が臨界レイノルズ数以上となるように調整されていることを特徴とする2流体混合装置。
【請求項2】 流体Aの主成分がオゾンまたは酸素または空気であり、流体Bの主成分が水であることを特徴とする、請求項1記載の2流体混合装置。
【請求項3】 筒3と筒6とが複数個並列に連結されたことを特徴とする、請求項1記載の2流体混合装置。
【請求項4】 筒6の内側表面に螺旋状突起等の細かい凹凸を付けたことを特徴とする、請求項1記載の2流体混合装置。
【請求項5】 筒3または筒6の断面形状が、円形、楕円形、四角形、星型の何れかであることを特徴とする、請求項1記載の2流体混合装置。
【請求項6】流体Aが水であり、流体Bが石油であることを特徴とする、請求項1記載の2流体混合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【登録番号】実用新案登録第3077417号(U3077417)
【登録日】平成13年2月21日(2001.2.21)
【発行日】平成13年5月18日(2001.5.18)
【考案の名称】2流体混合装置
【国際特許分類】
【評価書の請求】有
【出願番号】実願2000−7826(U2000−7826)
【出願日】平成12年11月1日(2000.11.1)
【出願人】(300072277)株式会社発明工房 (2)