説明

3−トリアゾリルフェニルスルフィド誘導体及びそれを有効成分として含有する農園芸用殺虫・殺ダニ・殺線虫剤

【課題】本発明は、農園芸用殺虫・殺ダニ・殺線虫剤として優れた土壌処理活性を有する新規な3−トリアゾリルフェニルスルフィド誘導体、及び、該誘導体を有効成分として含有する農園芸用殺虫・殺ダニ・殺線虫剤を提供する。
【解決手段】一般式[I]
【化1】



[式中、
Rは2,2,2−トリフルオロエチル基、 3,3,3−トリフルオロプロピル基又は2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基を示し、
nは0又は1を示し、
はハロゲン原子、C〜Cアルキル基(該基はハロゲン原子によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)を示し、
は水素原子、C〜Cアルキル基又はC〜Cアルコキシ基を示し、
はハロゲン原子又はメチル基を示し、
はC〜Cアルキル基を示す。]で表される3−トリアゾリルフェニルスルフィド誘導体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な3−トリアゾリルフェニルスルフィド誘導体及びそれを有効成分とする農園芸用殺虫・殺ダニ・殺線虫剤に関する。
【背景技術】
【0002】
公知の殺虫・殺ダニ・殺線虫剤として、特許文献1には3−トリアゾリルフェニルスルフィド誘導体が既に知られている。本文献に記載の化合物群は植物体に直接散布することによってハダニ類に高い効果を示すことが記載されている。しかし、本文献には土壌処理に関する記載はなく、本文献に記載の化合物群は、土壌処理では土壌中での移行性及び植物体内への浸透移行性が不十分であるため、ハダニ類に対して十分な効果を得ることができない。
【0003】
植物体に薬剤を直接散布する場合、不均一な薬剤散布、蒸散、光分解、降雨による薬剤の流出等により、十分な効果が得られない場合がある。一方、土壌処理が可能な薬剤は、薬剤が植物体全体にいきわたるため安定した効果を得ることができる。さらに就農者にとって散布による薬剤の被爆が少なくより安全であり、散布法も簡便であるためより省力化できる等のメリットがある。
【0004】
ところが、現在、実用性のある土壌処理活性を有する公知の殺ダニ剤は極めて少ない。そのため、土壌処理活性を有する殺ダニ剤の開発が求められている。
【特許文献1】特開2000−198768号公報(特許請求の範囲その他)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、このような事情の中、従来の殺虫・殺ダニ剤・殺線虫剤が有していた前記の如き問題点を解決し、さらに、安全性、防除効果、残効性等に優れた殺虫・殺ダニ剤・殺線虫剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記した好ましい特性を有する殺虫・殺ダニ剤・殺線虫剤を開発するために、種々の3−トリアゾリルフェニルスルフィド誘導体を合成し、その生理活性について検討を重ねた。その結果、下記の一般式[I]で示される3−トリアゾリルフェニルスルフィド誘導体(以下、本発明化合物ともいう)が種々の農園芸用の有害生物、特にナミハダニ、カンザワハダニ、ミカンハダニ等に代表されるハダニ類、コナガ、ニカメイガ、シロイチモジヨトウ等に代表される鱗翅目害虫、トビイロウンカ、ツマグロヨコバイ、ワタアブラムシ等に代表される半翅目害虫、アズキゾウムシ等に代表される鞘翅目害虫及びサツマイモネコブセンチュウ等の線虫類に卓効を示すこと、さらに、安全で省力的施用方法を可能とする土壌処理活性を有することを見いだし、本発明を完成したものである。
【0007】
即ち、本発明は、下記を特徴とする要旨を有するものである。
【0008】
(1)一般式[I]で表される3−トリアゾリルフェニルスルフィド誘導体
【0009】
【化1】

【0010】
[式中、Rは2,2,2-トリフルオロエチル基、 3,3,3−トリフルオロプロピル基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基又は2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基を示し、
nは0又は1を示し、
はハロゲン原子、C1〜アルキル基(該基はハロゲン原子、シアノ基によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)、C〜Cシクロアルキル基(該基はハロゲン原子、C1〜ハロアルキル基、シアノ基によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)、C1〜アルコキシ基(該基はハロゲン原子、シアノ基によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)、C1〜アルキルチオ基(該基はハロゲン原子、シアノ基によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)、C1〜アルキルスルフィニル基(該基はハロゲン原子、シアノ基によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)又はC1〜アルキルスルホニル基(該基はハロゲン原子、シアノ基によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)を示し、
は水素原子、C1〜アルキル基(該基はハロゲン原子、シアノ基、カルバモイル基によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)、C〜Cシクロアルキル基(該基はハロゲン原子、シアノ基によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)、C1〜アルコキシ基(該基はハロゲン原子、シアノ基によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)、C〜Cアルケニルオキシ基(該基はハロゲン原子、シアノ基によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)又はC〜Cアルキニルオキシ基(該基はハロゲン原子、シアノ基によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)を示し、
は水素原子、ハロゲン原子又はメチル基を示し、
はC1〜アルキル基(該基はハロゲン原子によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)を示す。]で表されることを特徴とする3−トリアゾリルフェニルスルフィド誘導体。
【0011】
(2)Rが2,2,2-トリフルオロエチル基又は3,3,3−トリフルオロプロピル基であり、
nが0又は1であり、
がC1〜アルキル基(該基はハロゲン原子、シアノ基によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)又はC1〜アルコキシ基(該基はハロゲン原子、シアノ基によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)であり、
がC1〜アルキル基(該基はハロゲン原子、シアノ基、カルバモイル基によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)又はC1〜アルコキシ基(該基はハロゲン原子、シアノ基によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)であり、
が水素原子、ハロゲン原子又はメチル基であり、
がC1〜アルキル基(該基はハロゲン原子によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)である前記(1)に記載の3−トリアゾリルフェニルスルフィド誘導体。
【0012】
(3)Rが2,2,2−トリフルオロエチル基又は3,3,3−トリフルオロプロピル基であり、
nが0又は1であり、
がtert−ブチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルチオ基、ジフルオロメトキシ基又は2,2,2-トリフルオロエトキシ基であり、
がメチル基、エチル基又はメトキシ基であり、
がフッ素原子、塩素原子又はメチル基であり、
がメチル基である前記(1)に記載の3−トリアゾリルフェニルスルフィド誘導体。
【0013】
(4)Rが2,2,2-トリフルオロエチル基であり、
nが0又は1であり、
がトリフルオロメチル基であり、
がメチル基又はメトキシ基であり、
がフッ素原子であり、
がメチル基である前記(1)に記載の3−トリアゾリルフェニルスルフィド誘導体。
【0014】
(5)前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の3−トリアゾリルフェニルスルフィド誘導体を有効成分として含有することを特徴とする農園芸用殺虫・殺ダニ剤・殺線虫剤。
【発明の効果】
【0015】
本発明化合物は、半翅目害虫、鱗翅目害虫、鞘翅目害虫、双翅目害虫、膜翅目害虫、直翅目害虫、シロアリ目害虫、アザミウマ目害虫、ハダニ類、植物寄生性線虫類等の広範囲の有害生物に対して優れた防除効果を示し、また、抵抗性を帯びた有害生物をも防除できる。
【0016】
特に本発明化合物は農園芸有害生物であるナミハダニ、カンザワハダニ、ミカンハダニ等に代表されるハダニ類、コナガ、ニカメイガ、シロイチモジヨトウ等に代表される鱗翅目害虫、トビイロウンカ、ツマグロヨコバイ、ワタアブラムシ等に代表される半翅目害虫、アズキゾウムシ等に代表される鞘翅目害虫及びサツマイモネコブセンチュウ等の線虫類に卓効を示し、浸透移行性に優れるため、土壌処理による安全で省力的施用方法が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本明細書に記載された記号及び用語について説明する。
ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を示す。
【0018】
〜C等の表記は、これに続く置換基の炭素数が、この場合では1〜6であることを示している。
【0019】
〜Cアルキル基とは、特に限定しない限り、炭素数が1〜6の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を示し、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1−エチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、ネオペンチル、n−へキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル等の基をあげることができる。
【0020】
〜Cシクロアルキル基とは特に限定しない限り、炭素数が3〜6のシクロアルキル基を示し、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシル等の基をあげることができる。
【0021】
〜Cハロアルキル基とは、特に限定しない限り、同一又は相異なるハロゲン原子1〜9で置換されているC−Cの直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、例えばフルオロメチル、クロロメチル、ブロモメチル、ジフルオロメチル、ジクロロメチル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、クロロジフルオロメチル、ブロモジフルオロメチル、2−フルオロエチル、1−クロロエチル、2−クロロエチル、1−ブロモエチル、2−ブロモエチル、2,2−ジフルオロエチル、1,2−ジクロロエチル、2,2−ジクロロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、1,1,2,2−テトラフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、2−ブロモ−2−クロロエチル、2−クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロエチル、1−クロロ−1,2,2,2−テトラフルオロエチル、1−クロロプロピル、2−クロロプロピル、3−クロロプロピル、2−ブロモプロピル、3−ブロモプロピル、2−ブロモ−1−メチルエチル、3−ヨードプロピル、2,3−ジクロロプロピル、2,3−ジブロモプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、3,3,3−トリクロロプロピル、3−ブロモ−3,3−ジフルオロプロピル、3,3−ジクロロ−3−フルオロプロピル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、1−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロピル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル、ヘプタフルオロプロピル、1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル、2,3−ジクロロ−1,1,2,3,3−ペンタフルオロプロピル、2−クロロブチル、3−クロロブチル、4−クロロブチル、2−クロロ−1,1−ジメチルエチル、4−ブロモブチル、3−ブロモ−2−メチルプロピル、2−ブロモ−1,1−ジメチルエチル、2,2−ジクロロ−1,1−ジメチルエチル、2−クロロ−1−クロロメチル−2−メチルエチル、4,4,4−トリフルオロブチル、3,3,3−トリフルオロ−1−メチルプロピル、3,3,3−トリフルオロ−2−メチルプロピル、2,3,4−トリクロロブチル、2,2,2−トリクロロ−1,1−ジメチルエチル、4−クロロ−4,4−ジフルオロブチル、4,4−ジクロロ−4−フルオロブチル、4−ブロモ−4,4−ジフルオロブチル、2,4−ジブロモ−4,4−ジフルオロブチル、3,4−ジクロロ−3,4,4−トリフルオロブチル、3,3−ジクロロ−4,4,4−トリフルオロブチル、4−ブロモ−3,3,4,4−テトラフルオロブチル、4−ブロモ−3−クロロ−3,4,4−トリフルオロブチル、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブチル、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチル、2,2,2−トリフルオロ−1−メチル−1−トリフルオロメチルエチル、3,3,3−トリフルオロ−2−トリフルオロメチルプロピル、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル、2,3,3,3−テトラフルオロ−2−トリフルオロメチルプロピル、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブチル、ノナフルオロブチル、4−クロロ−1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブチル等の基をあげることができる。
【0022】
〜Cアルコキシ基とは、アルキル部分が上記の意味である(アルキル)−O−基を示し、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ又はヘキシルオキシ等の基をあげることができる。
【0023】
〜Cアルキルチオ基とは、アルキル部分が上記の意味である炭素数が1〜6の(アルキル)−S−基を示し、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ等をあげることができる。
【0024】
〜Cハロアルキルチオ基とは、ハロアルキル部分が上記の意味である炭素数が1〜6の(ハロアルキル)−S−基を示し、例えば、ジフルオロメチルチオ、トリフルオロメチルチオ等の基をあげることができる。
【0025】
〜Cアルキルスルフィニル基とは、アルキル部分が上記の意味である炭素数が1〜6の(アルキル)−SO−基を示し、例えばメチルスルフィニル、エチルスルフィニル、n−プロピルスルフィニル又はイソプロピルスルフィニル等の基をあげることができる。
【0026】
〜Cハロアルキルスルフィニル基とは、ハロアルキル部分が上記の意味である炭素数が1〜6の(ハロアルキル)−SO−基を示し、例えばクロルメチルスルフィニル、ジフルオロメチルスルフィニル又はトリフルオロメチルスルフィニル等の基をあげることができる。
【0027】
〜Cアルキルスルホニル基とは、アルキル部分が上記の意味である炭素数が1〜6の(アルキル)−SO−基を示し、例えばメチルスルホニル、エチルスルホニル、n−プロピルスルホニル又はイソプロピルスルホニル等の基をあげることができる。
【0028】
〜Cアルケニルオキシ基とは、アルケニル部分が炭素数が2〜6の直鎖又は分岐鎖状の(アルケニル)−O−基を示し、例えばビニルオキシ、アリルオキシ、1−ブテニルオキシ、2−メチルプロペニルオキシ、4−ペンテニルオキシ、5−ヘキセニルオキシ等の基をあげることができる。
【0029】
〜Cアルキニルオキシ基とは、アルキニル部分が炭素数が2〜6の直鎖又は分岐鎖状の(アルケニル)−O−基を示し、例えばエチニルオキシ、2−プロピニルオキシ、1−ブチニルオキシ、1−メチル−2−プロピニルオキシ、4−ペンチニルオキシ、5−ヘキシニルオキシ等の基をあげることができる。
【0030】
前記一般式[I]において、好ましい化合物群としては、Rは2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基であり、Bがハロゲン原子であり、Bがアルキル基であり、AがC〜Cハロアルキル基、AがC1〜アルキル基又はC1〜アルコキシ基であり、nが0又は1で表される化合物群があげられる。
【0031】
さらに好ましい化合物群としては、Rが2,2,2−トリフルオロエチル基であり、Bがフッ素原子であり、Bがメチル基であり、Aがトリフルオロメチル基、Aがメチル基又はメトキシ基であり、nが0又は1で表される化合物群があげられる。
【0032】
次に、一般式[I]で表される本発明化合物の具体例を表1〜表4に記載するが、本発明化合物はこれらの化合物に限定されるものではない。また、これらの化合物には光学異性体を含む化合物が含まれる。尚、化合物番号は以後の記載において参照される。
【0033】
本明細書における表中の次の表記は下記の通りそれぞれ該当する基を表す。
【0034】
Me :メチル、 Et :エチル、
Pr :n−プロピル、 Pr−i :イソプロピル、
Pr−c :シクロプロピル、 Bu−t :tert−ブチル
【0035】
【表1】

【0036】
【表2】

【0037】
【表3】

【0038】
【表4】

【0039】
一般式[I]で表される本発明化合物は、以下に示す製造法に従って製造することができるが、これらの方法に限定されるものではない。
【0040】
<製造方法1>
一般式[I−1]で表される本発明化合物は下記に例示する反応式からなる方法により製造することができる。
【0041】
【化2】



【0042】
(式中、Lは、ハロゲン原子、メチルスルホニルオキシ基、トリフルオロメチルスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基を示し、A、A、B、B及びRは前記と同じ意味を示す。)
すなわち、本発明化合物[I−1]は、化合物[II]と化合物[III]とを、溶媒中、塩基の存在下又は非存在下、ラジカル開始剤の存在下又は非存在下で反応させることにより製造することができる。以下、例えば「一般式[II]で表される化合物」と「化合物[II]」は同意とする。
【0043】
ここで使用する化合物[III]の使用量は、化合物[II]1モルに対して1〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.2〜2.0モルである。
【0044】
本反応で使用できる溶媒は、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、酢酸エチル、プロピオン酸エチル等のエステル類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、ピリジン、ピコリン等のピリジン類、水又はこれらの混合溶媒等があげられる。
溶媒の使用量は、化合物[II]1モルに対して0.1〜100リットルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0.3〜10リットルである。
【0045】
本反応で使用できる塩基は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩類、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属の重炭酸塩類等の無機塩基類、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属水素化物類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム tert−ブトキシド等のアルコールの金属塩類又はトリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の有機塩基類等があげられる。
【0046】
塩基の使用量は、化合物[II]1モルに対して0〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0〜1.2モルである。
【0047】
本反応で使用できるラジカル開始剤は、例えば亜硫酸、亜硫酸塩、ロンガリット(商品名、ナトリウム・ホルムアルデヒド・スルホキシレ−ト)等の亜硫酸付加物等があげられる。また、塩基とラジカル開始剤を併用してもよい。
【0048】
ラジカル開始剤を使用する場合、その使用量は、化合物[II]1モルに対して0〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0.05〜1.2モルである。
【0049】
反応温度は−30℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは0℃〜150℃の範囲で行なうのがよい。
【0050】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常10分〜20時間である。
【0051】
<製造方法2>
本発明化合物[I−1]は、製造法1で使用した化合物[II]の酸化的二量体である化合物[IV]から製造することもできる。
【0052】
【化3】

【0053】
(式中、Lはハロゲン原子を示し、A、A、B、B及びRは前記と同じ意味を示す。)
すなわち、本発明化合物[I−1]は、化合物[IV]と化合物[V]とを、溶媒中、塩基の存在下又は非存在下、ラジカル開始剤の存在下又は非存在下で反応させることにより製造することができる。
【0054】
ここで使用する化合物[V]の使用量は、化合物[IV]1モルに対して1〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.2〜2.0モルである。
【0055】
本反応で使用できる溶媒は、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、酢酸エチル、プロピオン酸エチル等のエステル類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、ピリジン、ピコリン等のピリジン類、水、又はこれらの混合溶媒等があげられる。
溶媒の使用量は、化合物[IV]1モルに対して0.1〜100リットルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0.3〜10リットルである。
【0056】
本反応で使用できるラジカル開始剤は、例えば亜硫酸、亜硫酸塩、ロンガリット(商品名、ナトリウム・ホルムアルデヒド・スルホキシレ−ト)等の亜硫酸付加物等があげられる。
【0057】
ラジカル開始剤の使用量は、化合物[IV]1モルに対して0〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0.05〜1.2モルである。
【0058】
本反応で使用できる塩基は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩類、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属の重炭酸塩類等の無機塩基類、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属水素化物類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム tert−ブトキシド等のアルコールの金属塩類又はトリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の有機塩基類等があげられる。
【0059】
塩基の使用量は、化合物[IV]1モルに対して0〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0〜1.2モルである。
【0060】
反応温度は−30℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは0℃〜150℃の範囲で行なうのがよい。
【0061】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常10分〜20時間である。
【0062】
<製造方法3>
一般式[I]で表される本発明化合物は、下記に例示する反応式からなる方法によって製造することができる。
【0063】
【化4】

【0064】
(式中、A、A、n、B、B及びRは前記と同じ意味を示し、Lは、ハロゲン原子、メチルスルホニルオキシ基、メチルスルホニル基、トリフルオロメチルスルホニルオキシ基、トリフルオロメチルスルホニル基、p−トルエンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニル基を示す。)
すなわち、本発明化合物[I]は化合物[VI]と化合物[VII]とを、溶媒中、塩基の存在下で反応させることにより製造することができる。
【0065】
ここで化合物[VII]の使用量は、化合物[VI]1モルに対して1〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜1.2モルである。
【0066】
本反応で使用できる溶媒は、反応を阻害しない溶媒であればよく、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の非プロトン性極性溶媒、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、ピリジン、ピコリン等のピリジン類又はこれらの混合溶媒を等があげられる。
溶媒の使用量は、化合物[VI]1モルに対して0.1〜100リットルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0.3〜10リットルである。
【0067】
本反応で使用できる塩基は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩類、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属の重炭酸塩類等の無機塩基類、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属水素化物類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム tert−ブトキシド等のアルコールの金属塩類又はトリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の有機塩基類等があげられる。
【0068】
塩基の使用量は、化合物[VI]1モルに対して1〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.1〜1.2モルである。
【0069】
反応温度は−70℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは−20℃〜150℃の範囲で行なうのがよい。
【0070】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常10分〜20時間である。
【0071】
<製造方法4>
一般式[I−1]で表される本発明化合物は、下記に例示する反応式からなる方法によっても製造することができる。
【0072】
【化5】

【0073】
(式中、A、A、B、B4、及びRは前記と同じ意味を示す。)
すなわち、本発明化合物[I−1]は化合物[IX]と化合物[X]とを、溶媒中、塩基、銅もしくは酸化銅(I)のいずれかの存在下又は塩基と銅もしくは塩基と酸化銅(I)の存在下で反応させることにより製造することができる。
【0074】
ここで使用する化合物[X]の使用量は、化合物[IX]1モルに対して1〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜1.2モルである。
【0075】
本反応で使用できる溶媒は、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒、メタノール、エタノール、メチルセルソルブ等のアルコール類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、ピリジン、ピコリン等のピリジン類、水又はこれらの混合溶媒等があげられる。
溶媒の使用量は、化合物[IX]1モルに対して0.1〜100リットルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0.3〜10リットルである。
【0076】
本反応で使用できる塩基は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩類、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属の重炭酸塩類等の無機塩基類、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属水素化物類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム tert−ブトキシド等のアルコールの金属塩類又はトリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の有機塩基類等があげられる。
【0077】
塩基及び銅、酸化銅(I)のそれぞれの使用量は、化合物[IX]1モルに対して0〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜1.2モルである。
【0078】
反応温度は−70℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは0℃〜150℃の範囲で行なうのがよい。
【0079】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常10分〜20時間である。
【0080】
<製造方法5>
一般式[I]で表される本発明化合物は、下記に例示する反応式からなる方法によって製造することができる。
【0081】
【化6】

【0082】
(式中、A、A、B、B、R及びnは前記と同じ意味を示す。)
すなわち、本発明化合物[I]は、化合物[VI]と化合物[VIII]とを、無水銅塩及び有機塩基の存在下、溶媒中で反応させることにより製造することができる。
【0083】
ここで使用する化合物[VIII]の使用量は、化合物[VI]1モルに対して1〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜2.0モルである。
【0084】
本反応で使用できる溶媒は、反応を阻害しない溶媒であればよく、例えばクロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルカン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の非プロトン性極性溶媒、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、ピリジン、ピコリン等のピリジン類ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン等のハロゲン化物類又又はこれらの混合溶媒等があげられる。
溶媒の使用量は、化合物[VI]1モルに対して0.1〜100リットルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0.3〜10リットルである。
【0085】
本反応で使用できる無水銅塩は、例えば無水酢酸銅等があげられる。
【0086】
無水銅塩の使用量は、化合物[VI]1モルに対して1〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.2〜2.2モルである。
また、本反応ではモレキュラーシーブス等を反応系に添加することもできる。
モレキュラーシーブスの使用量は、化合物[VIII]1重量部に対して1から10重量部である。
【0087】
本反応で使用できる有機塩基は、例えば、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等があげられる。
【0088】
有機塩基の使用量は、化合物[VI]1モルに対して1〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.2〜4.4モルである。
【0089】
反応温度は0℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは10℃〜30℃の範囲で行なうのがよい。
【0090】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常8〜48時間である。
【0091】
<製造方法6>
一般式[I−1]で表される本発明化合物は、下記に例示する反応式からなる方法によっても製造することができる。
【0092】
【化7】

【0093】
(式中、A、A、B、B及びRは前記と同じ意味を示し、Mはリチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属を示す。)
すなわち、本発明化合物[I−1]は、化合物[XI]を、溶媒中、常法[鉱酸(塩酸及び硫酸等を例示できる。)と亜硝酸塩もしくは亜硝酸アルキルエステルを用いる方法]にてジアゾニウム塩とした後、化合物[XII]又は化合物[XIII]と反応させることにより製造することができる。
【0094】
ここで使用する化合物[XII]及び化合物[XIII]の使用量は、化合物[XI]1モルに対して1〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜2.0モルである。
【0095】
本反応で使用できる溶媒は、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、酢酸エチル、プロピオン酸エチル等のエステル類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、ピリジン、ピコリン等のピリジン類、水、酢酸、又はこれらの混合溶媒等があげられる。
溶媒の使用量は、化合物[XI]1モルに対して0.1〜100リットルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0.3〜10リットルである。
【0096】
反応温度は−30℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは−10℃〜100℃の範囲で行なうのがよい。
【0097】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常10分〜20時間である。
【0098】
<製造方法7>
一般式[I]で表される本発明化合物は下記に例示する反応式からなる方法によっても製造することができる。
【0099】
【化8】

【0100】
(式中、A、A、B、B、R、L及びnは前記と同じ意味を示し、YはC1〜C6アルコキシ基又はC1〜C6アルキルチオ基を示し、R’はC1〜C6アルキル基を示す。)
【0101】
[工程1]
すなわち、本発明化合物[I]は、化合物[XIV]と化合物[XV−1]又は化合物[XV−2]とを、溶媒中、塩基の存在下で反応させることにより製造することができる。
【0102】
ここで使用する化合物[XV−1]又は化合物[XV−2]の使用量は、化合物[XIV]1モルに対して1モルから大過剰の範囲であり、好ましくは1.2〜2.0モルである。
【0103】
本反応で使用できる溶媒は、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、酢酸エチル、プロピオン酸エチル等のエステル類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、ピリジン、ピコリン等のピリジン類、水、又はこれらの混合溶媒等があげられる。
溶媒の使用量は、化合物[XIV]1モルに対して0.1〜100リットルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0.3〜10リットルである。
【0104】
本反応で使用できる塩基は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩類、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属の重炭酸塩類等の無機塩基類、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属水素化物類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム tert−ブトキシド等のアルコールの金属塩類又はトリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の有機塩基類等があげられる。
【0105】
塩基の使用量は、化合物[XIV]1モルに対して2〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは2.2〜3.0モルである。
【0106】
反応温度は0℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは10℃〜150℃の範囲で行なうのがよい。
【0107】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常3〜12時間である。
【0108】
別法として、本発明化合物[I]は、化合物[XIV]とアンモニア水とを、溶媒中又は非溶媒中で反応させることによって化合物[XIV−1]を製造し([工程2−1])、この化合物[XIV−1]と化合物[XV−3]又は化合物[XV−4]とを、塩基の存在下もしくは非存在下又は酸触媒の存在下もしくは非存在下、溶媒中で反応させることにより製造することができる([工程2−2])。
【0109】
[工程2−1]
本工程で使用するアンモニア水の使用量は、化合物[XIV]1モルに対して1〜10モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは2.0〜5.0モルである。
【0110】
本工程で使用できる溶媒は、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、酢酸エチル、プロピオン酸エチル等のエステル類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、ピリジン、ピコリン等のピリジン類、水、又はこれらの混合溶媒等があげられる。
溶媒の使用量は、化合物[XIV]1モルに対して0.1〜100リットルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0.3〜10リットルである。
【0111】
反応温度は−30℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは−10℃〜100℃の範囲で行なうのがよい。
【0112】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常10分〜20時間である。
【0113】
[工程2−2]
また、本工程で使用する化合物[XV−3]及び化合物[XV−4]の使用量は、化合物[XIV−1]1モルに対して1モル〜大過剰の範囲であり、好ましくは1.0〜2.0モルである。
【0114】
本工程で使用できる酸触媒は、例えばメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸類、塩酸、硫酸等の無機酸類、酢酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸類等があげられる。
【0115】
酸触媒の使用量は、化合物[XIV−1]1モルに対して0モルから大過剰の範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0.05〜1.0モルである。
【0116】
本工程で使用できる溶媒は、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、酢酸エチル、プロピオン酸エチル等のエステル類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、ピリジン、ピコリン等のピリジン類、水、又はこれらの混合溶媒等があげられる。
溶媒の使用量は、化合物[XIV−1]1モルに対して0.1〜100リットルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0.3〜10リットルである。
【0117】
本工程で使用できる塩基は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩類、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属の重炭酸塩類等の無機塩基類、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属水素化物類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム tert−ブトキシド等のアルコールの金属塩類又はトリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の有機塩基類等があげられる。
【0118】
塩基の使用量は、化合物[XIV−1]1モルに対して0モル〜大過剰の範囲であり、好ましくは1.0〜1.5モルである。
【0119】
反応温度は−30℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは−10℃〜100℃の範囲で行なうのがよい。
【0120】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常10分〜20時間である。
【0121】
<製造方法8>
【0122】
【化9】

【0123】
(式中、Yはハロゲン原子、アルコキシ基又はハロゲン置換されてもよいアルキルチオ基を示し、R’、A、A、B、B、R及びnは前記と同じ意味を示す。)
【0124】
[工程3]
一般式[I]で表される本発明化合物は、化合物[XVI−1]と酸ハロゲン化物及び酸無水物等から誘導される化合物[XVII−1]と化合物[XVIII]とを溶媒中、酸又は塩基の存在下又は非存在下、反応させることにより製造することができる。
【0125】
化合物[XVII−1]の使用量は、化合物[XVIII]1モルに対して1.0〜5.0モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜1.5モルである。
【0126】
本工程で使用できる溶媒は、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、又は水等があげられる。
溶媒の使用量は、化合物[XVIII]1モルに対して0.1〜100リットルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0.3〜10リットルである。
【0127】
本工程で使用できる酸は、例えばメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸類、塩酸、硫酸等の無機酸類、酢酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸類等があげられる。
【0128】
酸の使用量は、化合物[XVIII]1モルに対して0から10モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0.05〜1.2モルである。
【0129】
本工程で使用できる塩基は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩類、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属の重炭酸塩類等の無機塩基類、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属水素化物類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム tert−ブトキシド等のアルコールの金属塩類又はトリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の有機塩基類等があげられる。
【0130】
塩基の使用量は、化合物[XVIII]1モルに対して0モル〜10モルの範囲であり、好ましくは0.05〜1.2モルである。
【0131】
反応温度は−30℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは−10℃〜100℃の範囲で行なうのがよい。
【0132】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常10分〜20時間である。
【0133】
(工程4)
また、目的とする化合物[I−3]は、化合物[XVI−2]と二硫化炭素とをハロゲン化アルキル等から誘導される化合物[XVII−2]と化合物[XVIII]を溶媒中、酸又は塩基の存在下又は非存在下反応させることにより製造することができる。
【0134】
化合物[XVII−2]の使用量は、化合物[XVIII]1モルに対して1.0〜10モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜1.5モルである。
【0135】
本工程で使用できる溶媒、酸、塩基は、前記工程3で説明したものと同様のものをあげることができる。
【0136】
反応温度は−30℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは−10℃〜100℃の範囲で行なうのがよい。
【0137】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常10分〜20時間である。
【0138】
<製造方法9>
【0139】
【化10】

【0140】
(式中、Yは水素原子又はハロゲン原子を示し、L、A、A、B、B及びRは前記と同じ意味を示す。)
一般式[I−1]で表される本発明化合物は、化合物[XIX]と金属又は有機金属化合物とを溶媒中で反応させた後、化合物[XX]又は化合物[XIII]とを溶媒中で反応させることにより製造することができる。
【0141】
ここで使用する化合物[XX]又は化合物[XIII]の使用量は、化合物[XIX]の化合物1モルに対して1〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜2.0モルである。
【0142】
本反応で使用できる溶媒は、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、ピリジン、ピコリン等のピリジン類又はこれらの混合溶媒を例示できる。
溶媒の使用量は、化合物[XIX]1モルに対して0.1〜100リットルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0.3〜10リットルである。
【0143】
本反応で使用できる金属はリチウム等のアルカリ金属、マグネシウム等のアルカリ土類金属等があげられる。
【0144】
金属の使用量は化合物[XIX]1モルに対して1〜3モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜1.1モルである。
【0145】
本反応で使用できる有機金属化合物はn−ブチルリチウム等のアルキルリチウム等があげられる。
【0146】
有機金属化合物の使用量は化合物[XIX]1モルに対して1〜3モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜1.1モルである。
【0147】
反応温度は−90℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは−78℃〜70℃の範囲で行なうのがよい。
【0148】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常10分〜20時間である。
<製造方法10>
【0149】
【化11】

【0150】
(式中、A、A、B、B及びRは前記と同じ意味を示す。)
一般式[I−4]で表される本発明化合物は、化合物[I−1]と酸化剤とを、溶媒中、触媒存在下又は非存在下で反応させることにより製造することができる。
【0151】
本反応で使用できる酸化剤は、例えば過酸化水素、m−クロロ過安息香酸、過ヨウ素酸ナトリウム、オキソン(OXONE、イー・アイ・デュポン社商品名;ペルオキソ硫酸水素カリウム含有物)、N−クロロコハク酸イミド、N−ブロモコハク酸イミド、次亜塩素酸tert−ブチル、次亜塩素酸ナトリウム等があげられる。
【0152】
酸化剤の使用量は、化合物[I−1]1モルに対して1〜6モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜1.2モルである。
【0153】
本反応で使用できる触媒は例えばタングステン酸ナトリウム又はフェニルホスホン酸、メチルトリオクチルアンモニウム硫酸水素塩をあげることができる。
【0154】
触媒の使用量は化合物[I−1]1モルに対して0〜1モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0.0001〜0.1モルである。
【0155】
本反応で使用できる溶媒は、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリフルオロメチルベンゼン等のハロゲン化物類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン及びヘプタン等の脂肪族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸、水、又はこれらの混合溶媒を例示できる。
溶媒の使用量は、化合物[I−1]1モルに対して0.1〜100リットルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0.3〜10リットルである。
【0156】
反応温度は−30℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは−10℃〜100℃の範囲で行なうのがよい。
【0157】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常10分〜20時間である。
<製造方法11>
一般式[I−1]で表される本発明化合物は、化合物[I−5]を公知の官能基変換の方法を用いることによって製造することができる。
【0158】
【化12】

【0159】
(式中、A、A、B、B及びRは前記と同じ意味を示し、Lはハロゲン原子、メチルチオ基、メチルスルフィニル基、メチルスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等を示す。)
一般式[I−1]で表される本発明化合物は、化合物[I−5]と化合物[I−a]とを溶媒の存在下又は非存在下、塩基の存在下で反応させることにより製造することができる。
【0160】
化合物[I−a]の使用量は化合物[I−5]1モルに対して1.0モル〜大過剰の範囲から適宜選択すればよく、好ましくは反応溶媒を兼ねて使用することもできる。
【0161】
本工程で使用できる塩基は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩類、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属の重炭酸塩類等の無機塩基類、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属水素化物類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム tert−ブトキシド等のアルコールの金属塩類又はトリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の有機塩基類等があげられる。
【0162】
塩基の使用量は、化合物[I−5]1モルに対して0.01〜3モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜1.2モルである。
【0163】
本工程で使用できる溶媒としては、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒、メタノール、エタノール、アリルアルコール、プロパルギルアルコール、イソプロピルアルコール、2,2,2-トリフルオロエタノール、2,2,2-トリクロロエタノール等のアルコール類、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン及びヘプタン等の脂肪族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、又はこれらの混合溶媒等があげられる。
溶媒の使用量は、化合物[I−5]1モルに対して0.1〜100リットルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0.3〜10リットルである。
【0164】
反応温度は−20℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは0℃〜80℃の範囲で行なうのがよい。
【0165】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常15分〜24時間である。
【0166】
次に本発明化合物の製造中間体の合成法について詳細に説明する。
【0167】
<中間体製造法1>
製造中間体[II]及び[IV]の合成
化合物[II]及び化合物[IV]は下記のように合成することができる。
【0168】
尚、化合物[II]及び化合物[IV]は、酸化還元反応により相互に変換が可能であり、化合物[II]は空気中の酸素によっても容易に酸化され、化合物[IV]になることもある。
【0169】
【化13】

【0170】
(式中、R’はメチル基又はトリフルオロメチル基を示し、Y、A、A、B及びBは前記と同じ意味を示す。)
[工程5]
すなわち、化合物[II]又は化合物[IV]は、化合物[XXI]を酸化剤で酸化し、メチルスルホキシドとした後、無水酢酸又は無水トリフルオロ酢酸と反応させることにより、化合物[XXII]を製造し、これを加水分解することにより製造することができる。
【0171】
本工程で使用できる酸化剤は、例えば過酸化水素、m−クロロ過安息香酸、過ヨウ素酸ナトリウム、オキソン(OXONE、イー・アイ・デュポン社商品名;ペルオキソ硫酸水素カリウム含有物)、N−クロロコハク酸イミド、N−ブロモコハク酸イミド、次亜塩素酸tert−ブチル、次亜塩素酸ナトリウム等があげられる。
【0172】
酸化剤の使用量は、化合物[XXI]1モルに対して1〜3モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜1.2モルである。
【0173】
無水酢酸又は無水トリフルオロ酢酸の使用量は化合物[XXI]1モルに対して1モルから反応溶媒を兼ねて使用でき、好ましくは1.0〜3.0モルである。
【0174】
いずれの反応も、反応温度は−10℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは0℃〜50℃の温度範囲で行なうのがよい。
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常5分〜12時間である。
【0175】
[工程6]
化合物[II]は化合物[XIX]を、溶媒中、金属又は有機金属化合物で処理した後、硫黄を反応させることにより製造することができる。
【0176】
本工程で使用できる溶媒としては、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、ピリジン、ピコリン等のピリジン類又はこれらの混合溶媒を例示できる。
溶媒の使用量は、化合物[XIX]1モルに対して0.1〜100リットルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0.3〜10リットルである。
【0177】
本工程で使用できる金属はリチウム又はマグネシウム等があげることができる。
【0178】
金属の使用量は化合物[XIX]1モルに対して1〜3モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜1.2モルである。
【0179】
本工程で使用できる有機金属化合物はn−ブチルリチウム等があげられる。
【0180】
有機金属化合物の使用量は化合物[XIX]1モルに対して1〜3モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜1.2モルである。
【0181】
硫黄の使用量は化合物[XIX]1モルに対して1〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜2.0モルである。
【0182】
いずれの反応も、反応温度は−60℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは−60℃〜室温の温度範囲で行なうのがよい。
【0183】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常30分〜12時間である。
【0184】
[工程7]
化合物[II]は、前記製造方法6と同様に、化合物[XI]をジアゾニウム塩とし、その後、キサントゲン酸塩又はチオシアン酸塩と反応させ、アルカリ加水分解することにより製造することができる。
【0185】
キサントゲン酸塩又はチオシアン酸塩の使用量は化合物[XI]1モルに対して1〜3モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜1.5モルである。
【0186】
いずれの反応も、反応温度は−70℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは−20℃〜100℃の温度範囲で行なうのがよい。
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常10分〜20時間である。
【0187】
[工程8]
化合物[II]は、化合物[XXIII]とクロロスルホン酸とを反応させることにより、化合物[XXIV]のスルホニルクロリドを製造し、これを水素化リチウムアルミニウム、亜鉛/酸、スズ/酸又は赤りん/ヨウ素を用いて還元することにより製造することができる。
【0188】
本工程で使用するクロロスルホン酸の使用量は化合物[XXIII]1モルに対して2〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは2.2〜3.0モルである。
【0189】
ここで使用できる酸としては塩酸、硫酸等があげられる。
【0190】
水素化リチウムアルミニウム、亜鉛と酸、スズ、酸、赤りん及びヨウ素の使用量は化合物[XXIII]1モルに対して1〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.5〜2.0モルである。
【0191】
[工程9]
化合物[IV]は化合物[XXIII]と二塩化二イオウとを、溶媒中、触媒存在下又は非存在下、反応させることによって製造することができる。
【0192】
二塩化イオウの使用量は化合物[XXIII]1モルに対して1〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.1〜1.5モルである。
【0193】
本工程で使用できる触媒は例えば塩化アルミニウム、塩化スズ(II)、塩化スズ(IV)等のルイス酸触媒を例示できる。
【0194】
触媒の使用量は化合物[XXIII]1モルに対して0〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.1〜2.0モルである。
【0195】
本工程で使用できる溶媒は、例えば塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類等をあげることできる。
溶媒の使用量は、化合物[XXIII]1モルに対して0.1〜100リットルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0.3〜10リットルである。
【0196】
反応温度は−30℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは−10℃〜100℃の範囲で行なうのがよい。
【0197】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常1〜20時間である。
【0198】
さらに、化合物[II]は化合物[IV]を常法により還元することで製造することができる。
【0199】
<中間体製造法2>
さらに、化合物[IX]を置換反応により一般式[II]の製造中間体を製造することができる。
【0200】
【化14】

【0201】
(式中、L、A、A、B及びBは前記と同じ意味を示す。)
すなわち、一般式[II]で表される3−トリアゾリルフェニルチオール誘導体は化合物[IX]と化合物[XXV]とを溶媒中、塩基の存在下で反応させた後、鉱酸等にて中和することにより製造することができる。
【0202】
ここで使用する化合物[XXV]の使用量は、化合物[IX]1モルに対して1〜3モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜1.5モルである。
【0203】
本工程で使用できる溶媒は、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、水等があげられる。
溶媒の使用量は、化合物[IX]1モルに対して0.1〜100リットルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0.3〜10リットルである。
【0204】
本工程で使用できる塩基は、前記製造法1で使用されるものと同様である。
【0205】
塩基の使用量は、化合物[IX]1モルに対して1〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜1.2モルである。
【0206】
鉱酸としては、塩酸、硫酸等があげられる。
【0207】
鉱酸の使用量は、化合物[IX]1モルに対して1〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜2.0モルである。
【0208】
反応温度は−30℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは−20℃〜100℃の温度範囲で行なうのがよい。
【0209】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常10分〜20時間である。
【0210】
<中間体製造法3>
製造中間体[VI]の合成
【0211】
【化15】

【0212】
(式中、A、A、R’、Y、Lは前記と同じ意味を示し、RはC1〜Cアルキル基を示す。)
【0213】
[工程10]
一般式[VI]で表される製造中間体は前記製造方法8と同様にして、化合物[XVI]から化合物[XVII]を製造し、化合物[XXVI]と反応させることにより製造することができる。
【0214】
ここで使用する一般式[XXVI]で表される抱水ヒドラジンの使用量は、化合物[XVII]1モルに対して1〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜2.0モルである。
【0215】
反応温度は0℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは10℃〜100℃の範囲で行なうのがよい。
【0216】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常30分〜24時間である。
【0217】
(工程11)
また、一般式[VI]で表される製造中間体は製造法7と同様にして、化合物[XXVII]と化合物[XV−1]又は化合物[XV−2]とを溶媒中、塩基の存在下で反応させることにより製造することができる。
【0218】
ここで使用する化合物[XV−1]又は化合物[XV−2]の使用量は、化合物[XXVII]1モルに対して1モルから大過剰であり、好ましくは1.0〜2.0モルである。
【0219】
本工程で使用できる溶媒は、前記製造法1で使用されるものと同様である。
【0220】
塩基の使用量は、化合物[XXVII]1モルに対して2〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは2.2〜3.0モルである。
【0221】
反応温度は−70℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは−20℃〜100℃の温度範囲で行なうのがよい。
【0222】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常10分〜20時間である。
【0223】
[工程12]
一般式[VI]で表される製造中間体は化合物[XXVII]とアンモニア水とを反応させることにより一般式[XXVII−2]で表されるアミドラゾンを製造する。
【0224】
さらに、化合物[XXVII−2]と化合物[XV−3]又は化合物[XV−4]とを、溶媒中、塩基の存在下非存在下又は酸触媒の存在下非存在下で反応させることにより製造することができる。
【0225】
アンモニア水の使用量は、化合物[XXVII]1モルに対して1〜10モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは2.0〜5.0モルである。
【0226】
化合物[XV−3]又は化合物[XV−4]使用量は、化合物[XXVII−2]1モルに対して1モルから大過剰であり、好ましくは1.0〜2.0モルである。
【0227】
本工程で使用できる溶媒及び塩基は、前記製造法1で使用されるものと同様である。

塩基の使用量は、化合物[XXVII−2]1モルに対して0〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0.01〜1.0モルである。
【0228】
本工程で使用できる酸触媒は、例えばメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸類、塩酸、硫酸等の無機酸類、酢酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸類等があげられる。
【0229】
酸触媒の使用量は、化合物[XXVII−2]1モルに対して0〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0.01〜1.0モルである。
【0230】
反応温度は−70℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは−20℃〜100℃の温度範囲で行なうのがよい。
【0231】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常10分〜20時間である。
【0232】
<中間体製造法4>
製造中間体[XIV]の合成
【0233】
【化16】

【0234】
(式中、L、A、B、B、R及びnは前記と同じ意味を示す。)
[工程13]
化合物[XIV]は、化合物[XVIII]と化合物[XXVIII]とを溶媒中、塩基の存在下で反応させることにより化合物[XXIX]を製造し、化合物[XXIX]とハロゲン化剤とを反応させることにより製造することができる。
【0235】
ここで使用する化合物[XXVIII]の使用量は、化合物[XVIII]1モルに対して1〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜1.1モルである。
【0236】
本工程で使用できる溶媒及び塩基は、前記製造法1で使用されるものと同様である。
【0237】
塩基の使用量は、化合物[XVIII]1モルに対して1モルから大過剰であり、好ましくは1.0〜1.2モルである。
【0238】
ハロゲン化剤としては例えば三塩化リン、三臭化リン、塩化チオニル、オキシ塩化リン、五塩化リン、トリフォニルホスフィン/四塩化炭素又はトリフェニルホスフィン/四臭化炭素等があげられる。
【0239】
ハロゲン化剤の使用量は、化合物[XXIX]1モルに対して1モルから大過剰であり、好ましくは1.0〜1.5モルである。
【0240】
反応温度は−70℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは−20℃〜150℃の温度範囲で行なうのがよい。
【0241】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常10分〜20時間である。
【0242】
[工程14]
また、化合物[XIV]は、化合物[XVIII]と化合物[XXX]とを溶媒中、酸触媒の存在下又は非存在下で反応させることにより、化合物[XXXI]を製造し、この化合物[XXXI]とハロゲン化剤とを反応することにより製造することができる。尚、化合物[XXX]の代わりに、化合物[XXX]のアセタール体、ヘミアセタール体を用いてもよい。
【0243】
ここで使用する化合物[XXX]の使用量は、化合物[XVIII]1モルに対して1〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜1.2モルである。
【0244】
本工程で使用できる溶媒は、反応を阻害しない溶媒であればよく、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、アセトニトリル又はプロピオニトリル等のニトリル類、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の非プロトン性極性溶媒、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、ピリジン、ピコリン等のピリジン類又はこれらの混合溶媒を等があげられる。
溶媒の使用量は、化合物[XVIII]1モルに対して0.1〜100リットルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0.3〜10リットルである。
【0245】
本工程で使用できる酸触媒は、例えばp−トルエンスルホン酸等のスルホン酸類、四塩化チタン等のルイス酸等があげられる。
【0246】
ここで、酸触媒の使用量は、化合物[XVIII]1モルに対して0〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜1.2モルである。
【0247】
本工程で使用できるハロゲン化剤は、例えば塩素、N−クロロコハク酸イミド、N−ブロモコハク酸イミド、次亜塩素酸tert−ブチル等があげられる。
【0248】
ハロゲン化剤の使用量は、化合物[XXXI]1モルに対して1〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜1.1モルである。
【0249】
反応温度は−70℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは−20℃〜150℃の温度範囲で行なうのがよい。
【0250】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常10分〜20時間である。
【0251】
尚、一般式[XVIII]で表されるフェニルヒドラジンは、以下に示すように、対応するアニリンから通常の方法、例えば、コンプリヘンシブ・オーガニック・ファンクショナル・グループ・トランスフォーメーション(Comprehensive Organic Functional Group Transformations)第2巻、第769頁記載の方法に準じて合成することができる。
【0252】
【化17】

【0253】
(式中、B、B及びRは前記と同じ意味を示し、Acとはアセチル基を示す。)
化合物[XXXVI]は、化合物[XXXII]を前記中間体製造法1の[工程9]記載の方法と同様に、二塩化二イオウと反応させることにより化合物[XXXIV]に変換し、さらに、前記製造方法2の記載の方法を用いることにより製造することができる。
【0254】
また、化合物[XXXVI]は、化合物[XXXII]を前記中間体製造法1の[工程8]記載の方法と同様にクロロスルホン酸と反応させることにより化合物[XXXIII]に変換し、さらに前記製造法1の記載の方法を用いることにより製造することができる。
【0255】
化合物[XVIII−1]は化合物[XXXVI]を鉱酸の存在下、亜硝酸塩を反応させてジアゾニウム塩とし、これを亜鉛末、亜硫酸ナトリウム、塩化スズ等で還元して製造することができる。
【0256】
鉱酸としては、塩酸、硫酸等があげられる。
【0257】
鉱酸の使用量は、化合物[XXXVI]1モルに対して2〜10モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは3〜5モルである。
【0258】
亜硝酸塩の使用量は、化合物[XXXVI]1モルに対して1.0〜5.0モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜1.2モルである。

いずれの反応も、反応温度は−20℃から50℃の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは−5℃〜20℃の温度範囲で行なうのがよい。
【0259】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常30分〜5時間である。
【0260】
<中間体製造法5>
化合物[I−5a]、[I−5b]、[I−5c]、[I−5d]及び[I−5e]は、次の方法によって製造することができる。
【0261】
【化18】

【0262】
(式中、A、A、B、B、L2、n及びRは前記と同じ意味を示し、Wはメチル基又はp−トリル基を示す。)
化合物[I−5a]は、化合物[I−3]を、溶媒中、常法によりジアゾ化し、さらに、塩化銅(I)又は臭化銅(I)と反応させることによって、製造することができる。
【0263】
ここで使用する塩化銅(I)又は臭化銅(I)の使用量は、化合物[I−3]1モルに対して、1〜5モルであり、好ましくは1〜2モルである。
【0264】
使用できる溶媒は、酢酸等のカルボン酸類、塩酸、臭化水素酸、硫酸等の鉱酸類、水、あるいはこれらの混合溶媒をあげることができる。
溶媒の使用量は、化合物[I−3]1モルに対して0.1〜100リットルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0.3〜10リットルである。
【0265】
反応温度は−70℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは−20℃〜100℃の温度範囲で行なうのがよい。
【0266】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常10分〜20時間である。
【0267】
化合物[I−5a]は、化合物[I−3]と亜硝酸tert−ブチル又は亜硝酸イソアミル等の亜硝酸エステル類とを塩化銅(II)又は臭化銅(II)の共存下、溶媒中で反応させることにより製造することもできる。
【0268】
亜硝酸エステル類の使用量は化合物[I−3]1モルに対して、1〜5モルであり、好ましくは1〜2モルである。
【0269】
ここで使用する塩化銅(II)又は臭化銅(II)の使用量は、化合物[I−3]1モルに対して、1〜5モルであり、好ましくは1〜2モルである。
【0270】
使用できる溶媒は、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アセトニトリル等のニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒、又はこれらの混合溶媒等があげられる。
溶媒の使用量は、化合物[I−3]1モルに対して0.1〜100リットルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0.3〜10リットルである。
【0271】
反応温度は−70℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは−20℃〜100℃の温度範囲で行なうのがよい。
【0272】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常10分〜20時間である。
【0273】
化合物[I−5b]は、化合物[I−5a]と、化合物[I−b]とを、塩基の存在下、溶媒中で反応させることにより製造することができる。
【0274】
化合物[I−b]の使用量は化合物[I−5a]1モルに対して、1.0〜 2.0モルであり、好ましくは1.0〜1.2モルである。
本工程で使用できる塩基は、前記製造法1で使用されるものと同様である。
【0275】
塩基の使用量は、化合物[I−5a]1モルに対して、1.0〜2.0モルであり、好ましくは1.1〜1.2モルである。
【0276】
本工程で使用できる溶媒は、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、水等があげられる。
溶媒の使用量は、化合物[I−5a]1モルに対して0.1〜100リットルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0.3〜10リットルである。
【0277】
反応温度は−20℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは10℃〜30℃の温度範囲で行なうのがよい。
【0278】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常15分〜1時間である。
【0279】
化合物[I−5c]又は化合物[I−5d]は、化合物[I−5b]と、溶媒中、酸化剤とを反応させることにより製造することができる。
【0280】
ここで使用できる酸化剤は過酸化水素、m−クロロ過安息香酸、過ヨウ素酸ナトリウム、オキソン(OXONE、イー・アイ・デュポン社商品名;ペルオキソ硫酸水素カリウム含有物)、N−クロロコハク酸イミド、N−ブロモコハク酸イミド、次亜塩素酸tert−ブチル、次亜塩素酸ナトリウム等をあげることができる。
【0281】
酸化剤の使用量は、化合物[I−5c]を製造する場合は、化合物[I−5b]1モルに対して、0.5〜1.5モル、好ましくは、0.5から0.55モルである。化合物[I−5d]を製造する場合は、化合物[I−5b]1モルに対して、2〜10モル、好ましくは、2モルから4モルである。
【0282】
本反応で使用できる溶媒、反応温度、反応時間は前記製造方法10と同様である。
【0283】
また、化合物[I−5d]は、化合物[I−5a]と、メタンスルフィン酸塩又はp−トルエンスルフィン酸塩とを、溶媒中、反応させることによっても製造することもできる。
【0284】
ここで使用するメタンスルフィン酸塩又はp−トルエンスルフィン酸塩の使用量は、化合物[I−5a]1モルに対して、1〜10モル、好ましくは1〜5モル、さらに好ましくは1〜1.2モルである。
【0285】
使用できる溶媒は、アセトニトリル等のニトリル類、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の非プロトン性極性溶媒等があげられる。
溶媒の使用量は、化合物[I−5a]1モルに対して0.1〜100リットルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0.3〜10リットルである。
【0286】
反応温度は−0℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは10℃〜100℃の温度範囲で行なうのがよい。
【0287】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常1〜24時間である。
【0288】
化合物[I−5e]は、化合物[I−3]と亜硝酸tert−ブチル、亜硝酸イソアミル等の亜硝酸エステル類とを、溶媒中、反応させることによって製造することができる。
【0289】
亜硝酸エステル類の使用量は化合物[I−3]1モルに対して、1〜5モルであり、好ましくは1〜2モルである。
【0290】
使用できる溶媒は、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アセトニトリル等のニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒、又はこれらの混合溶媒等があげられる。
【0291】
反応温度は−70℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは−20℃〜100℃の温度範囲で行なうのがよい。
【0292】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常10分〜20時間である。
【0293】
本発明化合物を有害生物防除剤の有効成分として使用するに際しては、本発明化合物それ自体で用いてもよいが、農薬補助剤として製剤化に一般的に用いられる担体、界面活性剤、及びその他補助剤を配合して、乳剤、懸濁剤、粉剤、粒剤、錠剤、水和剤、水溶剤、液剤、フロアブル剤、顆粒水和剤、エアゾール剤、ペースト剤、油剤、乳濁剤、くん煙剤等の種々の形態に製剤することができる。これらの配合割合は通常、有効成分0.1〜90重量%で農薬補助剤10〜99.9重量%である。
【0294】
ここにいう製剤化に際して用いられる担体としては、固体担体と液体担体に分けられる。固体担体としては、例えば澱粉、活性炭、大豆粉、小麦粉、木粉、魚粉、粉乳等の動植物性粉末、タルク、カオリン、ベントナイト、炭酸カルシウム、ゼオライト、珪藻土、ホワイトカーボン、クレー、アルミナ、硫安、尿素等の無機物粉末があげられる。液体担体としては、例えば水;イソプロピルアルコール、エチレングリコール等のアルコール類;シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、イソホロン等のケトン類;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ケロシン、軽油等の脂肪族炭化水素類;キシレン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、メチルナフタリン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素類;クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;ジメチルアセトアミド等の酸アミド類;脂肪酸のグリセリンエステル等のエステル類;アセトニトリル等のニトリル類;ジメチルスルホキシド等の含硫化合物類等があげられる。
【0295】
界面活性剤としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸金属塩、ジナフチルメタンジスルホン酸金属塩、アルコール硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、ポリオキシエチレングリコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノアルキレート、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物の塩等があげられる。
【0296】
その他の補助剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、グアーガム、トラガントガム、ポリビニルアルコール等の固着剤あるいは増粘剤、金属石鹸等の消泡剤、脂肪酸、アルキルリン酸塩、シリコーン、パラフィン等の物性向上剤、着色剤等を用いることができる。
【0297】
これらの製剤の実際の使用に際しては、そのまま使用するか、又は水等の希釈剤で所定濃度に希釈して使用することができる。本発明化合物を含有する種々の製剤、又はその希釈物の施用は、通常一般に行なわれている施用方法、即ち、散布(例えば噴霧、ミスティング、アトマイジング、散粉、散粒、水面施用、箱施用等)、土壌施用(例えば混入、潅注等)、表面施用(例えば塗布、粉衣、被覆等)、浸漬、毒餌、くん煙施用等により行なうことができる。また、家畜に対して前記有効成分を飼料に混合して与え、その排泄物での有害虫、特に有害昆虫の発生、成育を防除することも可能である。また、いわゆる超高濃度少量散布法により施用することもできる。この方法においては、活性成分を100%含有することが可能である。有効成分の配合割合は必要に応じ適宜選ばれるが、粉剤及び粒剤とする場合は0.1〜20%(重量)、また、乳剤及び水和剤とする場合は1〜80%(重量)が適当である。
【0298】
本発明の有害生物防除剤の施用は、希釈剤で希釈して使用する場合には一般に0.1〜5000ppmの有効成分濃度で行なう。製剤をそのまま使用する場合の単位面積あたりの施用量は、有効成分化合物として1ha当り0.1〜5000gで使用されるが、これらに限定されるものではない。
【0299】
尚、本発明化合物は単独でも十分有効であることはいうまでもないが、必要に応じて他の肥料、農薬、例えば殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺菌剤、抗ウイルス剤、誘引剤、除草剤、植物生長調整剤などと混用、併用することができ、この場合に一層優れた効果を示すこともある。
【0300】
本発明化合物と混合して使用できる殺虫剤、殺菌剤、殺ダニ剤等の代表例を以下に示す。
【0301】
例えば有機リン及びカーバメート系殺虫剤:フェンチオン(fenthion)、フェニトロチオン(fenitrothion )、ダイアジノン(diazinon)、クロルピリホス(chlorpyrifos)、オキシデプロホス(oxydeprofos)、バミドチオン(vamidothion)、フェントエート(phenthoate)、ジメトエート(dimethoate)、ホルモチオン(formothion)、マラチオン(malathion)、トリクロルホン(trichlorfon)、チオメトン(thiometon)、ホスメット(phosmet)、ジクロルボス(dichlorvos)、アセフェート(acephate)、EPBP(EPBP)、メチルパラチオン(parathion-methyl)、オキシジメトンメチル(oxydemeton-methyl)、エチオン(ethion)、ジオキサベンゾホス(dioxabenzofos)、シアノホス(cyanophos)、イソキサチオン(isoxathion)、ピリダフェンチオン(pyridaphenthion)、ホサロン(phosalone)、メチダチオン(methidathion)、スルプロホス(sulprofos)、クロルフェンビンホス(chlorfenvinphos)、テトラクロルビンホス(tetrachlorvinphos)、ジメチルビンホス(dimethylvinphos)、プロパホス(propaphos)、イソフェンホス(isofenphos)、ジスルホトン(disulfoton)、プロフェノホス(profenofos)、ピラクロホス(pyraclofos)、モノクロトホス(monocrotophos)、アジンホスメチル(azinphos-methyl)、アルジカルブ(aldicarb)、メソミル(methomyl)、チオジカルブ(thiodicarb )、カルボフラン(carbofuran)、カルボスルファン(carbosulfan)、ベンフラカルブ(benfuracarb)、フラチオカルブ(furathiocarb)、プロポキスル(propoxur)、フェノブカルブ(fenobucarb)、メトルカルブ(metolcarb)、イソプロカルブ(isoprocarb)、カルバリル(carbaryl)、ピリミカーブ(pirimicarb)、エチオフェンカルブ(ethiofencarb)、ジクロフェンチオン(dichlofenthion)、ピリミホスメチル(pirimiphos-methyl)、キナルホス(quinalphos)、クロルピリホスメチル(chlorpyrifos-methyl)、プロチオホス(prothiofos)、ナレッド(naled)、EPN(EPN)、XMC(XMC)、ベンダイオカルブ(bendiocarb)、オキサミル(oxamyl)、アラニカルブ(alanycarb)、クロルエトキシホス(chlorethoxyfos)等
ピレスロイド系殺虫剤:ペルメトリン(permethrin)、シペルメトリン(cypermethrin)、デルタメトリン(deltamethrin)、フェンバレレート(fenvalerate)、フェンプロパトリン(fenpropathrin)、ピレトリン(pyrethrin)、アレスリン(allethrin)、テトラメトリン(tetramethrin)、レスメトリン(resmethrin)、ジメスリン(dimethrin)、プロパスリン(proparthrin)、フェノトリン(phenothrin)、プロトリン(prothrin)、フルバリネート(fluvalinate)、シフルトリン(cyfluthrin)、シハロトリン(cyhalothrin)、フルシトリネート(flucythrinate)、エトフェンプロックス(etofenprox)、シクロプロトリン(cycloprothrin)、トラロメトリン(tralomethrin)、シラフルオフェン(silafluofen)、テフルトリン(tefluthrin)、ビフェントリン(bifenthrin)、アクリナトリン(acrinathrin)等。
【0302】
アシルウレア系、その他の殺虫剤:ジフルベンズロン(diflubenzuron )、クロルフルアズロン(chlorfluazuron)、ヘキサフルムロン(hexaflumuron)、トリフルムロン(triflumuron)、テフルベンズロン(teflubenzuron)、フルフェノクスロン(flufenoxuron)、フルシクロクスロン(flucycloxuron)、ブプロフェジン(buprofezin)、ピリプロキシフェン(pyriproxyfen)、ルフェヌロン(lufenuron)、シロマジン(cyromazine)、メトプレン(methoprene)、エンドスルファン(endosulfan)、ジアフェンチウロン(diafenthiuron)、イミダクロプリド(imidacloprid)、アセタミプリド(acetamiprid)、ニテンピラム(nitenpyram)、クロチアニジン(clothianidin)、ジノテフラン(dinotefuran)、チアメトキサム(thiamethoxam)、チアクロプリド(thiacloprid)、ピメトロジン(pymetrozine)、フィプロニル(fipronil)、ピリダリル(pyridalyl)、硫酸ニコチン(nicotine-sulfate)、ロテノン(rotenone)、メタアルデヒド(metaldehyde)、マシン油(machine oils)、BTや昆虫病原ウイルス等の微生物農薬、フェノキシカルブ(fenoxycarb)、カルタップ(cartap)、チオシクラム(thiocyclam)、ベンスルタップ(bensultap)、テブフェノジド(tebufenozide)、クロルフェナピル(chlorfenapyr)、エマメクチンベンゾエート(emamectin-benzoate)、アセタミプリド(acetamiprid)、ニテンピラム(nitenpyram)、オレイン酸ナトリウム(oleic acid sodium salt)、なたね油(rape seed oil)等。
殺線虫剤:フェナミホス(fenamiphos)、ホスチアゼート(fosthiazate)、エトプロホス(ethoprophos)、メチルイソチオシアネート(methyl isocyanate)、1,3ジクロロプロペン(1,3-dichloropropene)、DCIP(DCIP)等。
殺ダニ剤:クロルベンジレート(chlorobenzilate)、フェニソブロモレート(phenisobromolate)、ジコホル(dicofol)、アミトラズ(amitraz)、プロパルギット(propargite)、ベンゾメート(benzomate)、ヘキシチアゾクス(hexythiazox)、フェンブタチンオキシド(fenbutatin oxide)、ポリナクチン(polynactins)、キノメチオネート(quinomethionate)、クロルフェンソン(chlorfenson)、テトラジホン(tetradifon)、アバメクチン(abamectin)、ミルベメクチン(milbemycin)、クロフェンテジン(clofentezine)、ピリダベン(pyridaben)、フェンピロキシメート(fenpyroximate)、テブフェンピラド(tebufenpyrad)、ピリミジフェン(pyrimidifen)、フェノチオカルブ(phenothiocarb)、ジエノクロル(dienochlor)、エトキサゾール(etoxazole)、ビフェナゼート(bifenazate)、アセキノシル(acequinocyl)、ハルフェンプロックス(halfenprox)、スピロディクロフェン(spirodiclofen)等。
【0303】
殺菌剤:チオファネートメチル(thiophanate-methyl)、ベノミル(benomyl)、カルベンダゾール(carbendazol)、チアベンダゾール(thiabendazole)、フォルペット(folpet)、チウラム(thiuram)、ジラム(ziram)、ジネブ(zineb)、マンネブ(maneb)、ポリカーバメート(polycarbamate)、イプロベンホス(iprobenfos)、エジフェンホス(edifenphos)、フサライド(fthalide)、プロベナゾール(probenazole)、イソプロチオラン(isoprothiolane)、クロロタロニル(chlorothalonil)、キャプタン(captan)、ポリオキシン(polyoxin)、ブラストサイジンS(blasticidin-S)、カスガマイシン(kasugamycin)、ストレプトマイシン(Streptomycin)、バリダマイシン(validamycin)、トリシクラゾール(tricyclazole)、ピロキロン(pyroquilon)、フェナジンオキシド(phenazine oxide)、メプロニル(mepronil)、フルトラニル(flutolanil)、ペンシクロン(pencycuron)、イプロジオン(iprodione)、ヒメキサゾール(hymexazol)、メタラキシル(metalaxyl)、トリフルミゾール(triflumizole)、トリホリン(triforine)、トリアジメホン(triadimefon)、ビテルタノール(bitertanol)、フェナリモル(fenarimol)、プロピコナゾール(propiconazole)、シモキサニル(cymoxanil)、プロクロラズ(prochloraz)、ペフラゾエート(pefurazoate)、ヘキサコナゾール(hexaconazole)、ミクロブタニル(myclobutanyl)、ジクロメジン(diclomezine)、テクロフタラム(tecloftalam)、プロピネブ(propineb)、ジチアノン(dithianon)、ホセチル(fosetyl)、ビンクロゾリン(vinchlozoline)、プロシミドン(procymidone)、オキサジキシル(oxadixyl)、グアザチン(guazatine)、プロパモカルブ塩酸塩(propamocarb)、フルアジナム(fluazinam)、オキソリニック酸(oxolinic acid)、ヒドロキシイソキサゾール(hydroxyisoxazole)、メパニピリム(mepanipyrim)等。
【0304】
本発明化合物は、半翅目害虫、鱗翅目害虫、鞘翅目害虫、双翅目害虫、膜翅目害虫、直翅目害虫、シロアリ目害虫、アザミウマ目害虫、ハダニ類、植物寄生性線虫類等の害虫に対して、優れた防除効果を示す。そのような害虫の例としては、以下の如き害虫類を例示することができる。
【0305】
半翅目害虫、例えばホソヘリカメムシ(Riptortus clavatus)、ミナミアオカメムシ(Nezara viridula)、メクラカメムシ類(Lygus sp.)、アメリカコバネナガカメムシ(Blissus leucopterus)、ナシグンバイ(Stephanitis nashi)等のカメムシ類(異翅類;heteroptera)、ツマグロヨコバイ(Nephotettix cincticeps)、ヒメヨコバイ類(Empoasca sp., Erythroneura sp.,Circulifer sp.)等のヨコバイ類、トビイロウンカ(Nilaparvata lugens)、セジロウンカ(Sogatella furcifera)、ヒメトビウンカ(Laodelphax striatellus)等のウンカ類、Psylla sp.等のキジラミ類、シルバーリーフコナジラミ(Bemisia tabaci)、オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum)等のコナジラミ類、ブドウネアブラムシ(Viteus vitifolii)、モモアカアブラムシ(Myzus persicae)、リンゴアブラムシ(Aphis pomi)、ワタアブラムシ(Aphis gossypii)、Aphis fabae、ニセダイコンアブラムシ(Rhopalosiphum psedobrassicas)、ジャガイモヒゲナガアブラムシ(Aulacorthum solani)、ムギミドリアブラムシ(Schizaphis graminum)等のアブラムシ類、クワコナカイガラムシ(Pseudococcus comstocki)、ルビーロウムシ(Ceroplastes rubens)、サンホーゼカイガラムシ(Comstockaspis perniciosa)、ヤノネカイガラムシ(Unaspis yanonensis)等のカイガラムシ類、サシガメ(Rhodnius sp.)等。
【0306】
鱗翅目害虫、例えばチャハマキ(Homona magnanima)、コカクモンハマキ(Adoxophyes orana)、テングハマキ(Sparganothis pilleriana)、ナシヒメシンクイ(Grapholitha molesta)、マメシンクイガ(Leguminivora glycinivorella)、コドリンガ(Laspeyresia pomonella)、Eucosma sp.、Lobesia botrana等のハマキガ類、ブドウホソハマキ(Eupoecillia ambiguella)等のホソハマキガ類、Bambalina sp.等のミノガ類、コクガ(Nemapogon granellus)、イガ(Tinea translucens)等のヒロズコガ類、ギンモンハモグリガ(Lyonetia prunifoliella)等のハモグリガ類、キンモンホソガ(Phyllonorycter rigoniella)等のホソガ類、ミカンハモグリガ(Phyllocnistis citrella)等のコハモグリガ類、コナガ(Plutella xylostella)、Prays citriなどのスガ類、ブドウスカシバ(Paranthrene regalis)、Synanthedon sp.等のスカシバガ類、ワタアカミムシ(Pectinophora gossypiella)、ジャガイモガ(Phthorimaea operculella)、Stomopteryx sp.等のキバガ類、モモシンクイ(Carposina niponensis)等のシンクイガ類、イラガ(Monema flavescens)等のイラガ類、ニカメイガ(Chilo suppressalis)、コブノメイガ(Cnaphalocrocis medinalis)、Ostrinia nubilalis、アワノメイガ(Ostrinia furnacalis)、ハイマダラノメイガ(Hellula undalis)、ハチミツガ(Galleria mellonella)、Elasmopalpus lignosellus、Loxostege sticticalisなどのメイガ類、モンシロチョウ(Pieris rapae)等のシロチョウ類、ヨモギエダシャク(Ascotis selenaria)等のシャクガ類、オビカレハ(Malacosoma neustria)等のカレハガ類、Manduca sextaなどのスズメガ類、チャドクガ(Euproctis pseudoconspersa)、マイマイガ(Lymantria dispar)等のドクガ類、アメリカシロヒトリ(Hyphantria cunea)等のヒトリガ類、タバコバッドワーム(Heliothis virescens)、ボールワーム(Helicoverpa zea)、シロイチモジヨトウ(Spodoptera exigua)、オオタバコガ(Helicoverpa armigera)、ハスモンヨトウ(Spodoptera litura)、ヨトウガ(Mamestra brassicae)、タマナヤガ(Agrotis ipsiron)、アワヨトウ(Pseudaletia separata)、イラクサキンウワバ(Trichoplusia ni)等のヤガ類等。
【0307】
鞘翅目害虫、例えばドウガネブイブイ(Anomala cuprea)、マメコガネ(Popillia japonica)、ヒメコガネ(Anomala rufocuprea)、Eutheola rugicepsなどのコガネムシ類、ワイヤーワーム(Agriotes sp.)、Conodeus sp.等のコメツキムシ類、ニジュウヤホシテントウ(Epilachna vigintioctopunctata)、インゲンテントウムシ(Epilachna varivestis)等のテントウムシ類、コクヌストモドキ(Tribolium castaneum)等のゴミムシダマシ類、ゴマダラカミキリ(Anoplophora malasiaca)、マツノマダラカミキリ(Monochamus alternatus)等のカミキリムシ類、インゲンマメゾウムシ(Acanthoscelides obtectus)、アズキゾウムシ(Callosobruchus chinensis)等のマメゾウムシ類、コロラドハムシ(Leptinotarsa decemlineata)、コーンルートワーム(Diabrotica sp.)、イネドロオイムシ(Oulema oryzae)、テンサイトビハムシ(Chaetocnema concinna)、Phaedon cochlearias、Oulema melanopus、Dicladispa armigeraなどのハムシ類、Apion godmaniなどのホソクチゾウムシ類、イネミズゾウムシ(Lissorhoptrus oryzophilus)、ワタミゾウムシ(Anthonomus grandis)等のゾウムシ類、コクゾウムシ(Sitophilus zeamais)等のオサゾウムシ類、キクイムシ類、カツオブシムシ類、シバンムシ類等。
【0308】
双翅目害虫、例えばキリウジガガンボ(Tipra ano)、イネユスリカ(Tanytarsus oryzae)、イネシントメタマバエ(Orseolia oryzae)、チチュウカイミバエ(Ceratitis capitata)、イネミギワバエ(Hydrellia griseola)、オウトウショウジョウバエ(Drosophila suzukii)、フリッツフライ(Oscinella frit)、イネカラバエ(chlorops oryzae)、インゲンモグリバエ(Ophiomyia phaseoli)、マメハモグリバエ(Liriomyza trifolii)、アカザモグリハナバエ(Pegomya hyoscyami)、タネバエ(Hylemia platura)、ソルガムフライ(Atherigona soccata)、イエバエ(Musca domestica)、ウマバエ(Gastrophilus sp.)、サシバエ(Stomoxys sp.)、ネツタイシマカ(Aedes aegypti)、アカイエカ(Culex pipiens)、シナハマダラカ(Anopheles slnensis)、コガタアカイエカ(Culex tritaeniorhynchus)等。
【0309】
膜翅目害虫、例えばクキバチ類(Cephus sp.)、カタビロコバチ類(Harmolita sp.)、カブラハバチ類(Athalia sp.)、スズメバチ類(Vespa sp.)、ファイアーアント類等。
【0310】
直翅目害虫、例えばチャバネゴキブリ(Blatella germanica)、ワモンゴキブリ(Periplaneta americana )、ケラ(Gryllotalpa africana)、バッタ(Locusta migratoria migratoriodes)、Melanoplus sanguinipes等。
【0311】
シロアリ目害虫、例えば、ヤマトシロアリ(Reticulitermes speratus)、イエシロアリ(Coptotermes formosanus)等。
【0312】
アザミウマ目害虫、例えば、チャノキイロアザミウマ(Scirtothrips dorsalis)、ミナミキイロアザミウマ(Thrips palmi)、クロトンアザミウマ(Heliothrips haemorrhoidalis)、ミカンキイロアザミウマ(Frankliniella occidentalis)、イネクダアザミウマ(Haplothrips aculeatus)等。
【0313】
ハダニ類、例えばナミハダニ(Tetranychus urticae)、カンザワハダニ(Tetranychus kanzawai)、ミカンハダニ(Panonychus citri)、リンゴハダニ(Panonychus ulmi)、イエローマイト(Eotetranychus carpini)、テキサスシトラスマイト(Eotetranychus banksi)、ミカンサビダニ(Phyllocoptruta oleivora)、チャノホコリダニ(Polyphagotarsonemus latus)、ヒメハダニ(Brevipalpus sp.)、ロビンネダニ(Rhizoglyphus robini)、ケナガコナダニ(Tyrophagus putrescentiae)、等。
【0314】
植物寄生性線虫類、例えばネコブセンチュウ類(Meloidogyne sp.)、ネグサレセンチュウ類(Pratylenchus sp.)、ダイズシストセンチュウ(Heterodera glycines)、ジャガイモシストセンチュウ(Globodera rostochiensis)、バナナネモグリセンチュウ(Radopholus similis)、イチゴセンチュウ(Aphelenchoides fragariae)、イネシンガレセンチュウ(Aphelenchoides besseyi)、マツノザイセンチュウ(Bursaphelenchus xylophilus)等。
【0315】
その他有害動物、不快動物、衛生害虫、寄生虫、例えばスクミリンゴガイ(Pomacea canaliculata)、ナメクジ(Incilaria sp.)、アフリカマイマイ(Achatina fulica)等の腹足綱類(Gastropoda)、ダンゴムシ(Armadillidium sp.)、ワラジムシ、ムカデ等の等脚目類(Isopoda)、Liposcelis sp.等のチャタテムシ類、Ctenolepisma sp.等のシミ類、Pulex sp.、Ctenocephalides sp.等のノミ類、Trichodectes sp.等のハジラミ類、Cimex sp.等のトコジラミ類、オウシマダニ(Boophilus microplus)、フタトゲチマダニ(Haemaphysalis longicornis)等の動物寄生性ダニ類、ヒョウヒダニ類等をあげることができる。
【0316】
さらに、有機リン系化合物、カーバメート系化合物、合成ピレスロイド系化合物、アシルウレア系化合物あるいは既存の殺虫剤に抵抗性を示す害虫に対しても有効である。

次に、実施例により、本発明化合物の製造法、製剤法及び用途を具体的に説明する。
【実施例】
【0317】
[実施例1]
{5−(5−メチル−3−トリフルオロメチル−1,2,4トリアゾリル)−4−フルオロ−2−メチルフェニル}−2,2,2トリフルオロエチルスルフィドの製造(本発明化合物番号5)
2−フルオロ−4−メチルアセトアニリド240gをクロロスルホン酸500gに70℃以下で加え、さらに70℃で3時間撹拌した。反応混合物を氷に注加し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去し、固体の残渣を得た。得られた固体の残渣を酢酸1lに溶解し、この溶液に、赤リン51g、ヨウ素5gを加え、3時間加熱還流した。不溶物を濾別後、減圧下で酢酸を留去し、水を加え、残渣を酢酸エチルで抽出し、水洗後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、個体の残渣を得た。得られた個体の残渣を5%水酸化カリウム水溶液に加え、5時間加熱還流した。室温冷却後、希塩酸でpH7に調整し、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去して2−フルオロ−4−メチル−5−メルカプトアニリン112gを得た。
【0318】
2−フルオロ−4−メチル−5−メルカプトアニリン112g及びN,N−ジメチルホルムアミド500mlの混合溶液に、炭酸カリウム147g、ロンガリット76gを加え、さらにヨウ化2,2,2−トリフルオロエチル223gを滴下し、2時間室温で撹拌した。反応混合物を水に注加し、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去することで、2−フルオロ−4−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)アニリン165gを得た。
【0319】
濃硫酸400gに、亜硝酸ナトリウム52gを60℃以下で加え、さらに酢酸200mlを加えた。反応混合物に、酢酸200mlに2−フルオロ−4−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)アニリン165gを溶解した溶液を−5℃〜0℃で滴下し、−5℃で1時間攪拌してジアゾニウム塩を調製した。第二塩化スズ261gを20%塩酸水溶液900mlに溶解し、この混合溶液に前記のジアゾニウム塩溶液を、−5℃以下で加えた。トルエンを加え、水酸化ナトリウム水溶液で中和し、不溶物を濾別後、有機層を水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去して、2−フルオロ−4−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニルヒドラジン151gを得た。
【0320】
2−フルオロ−4−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニルヒドラジン15g、トリフルオロアセトアルデヒドエチルヘミアセタール12.8g、p−トルエンスルホン酸一水和物0.56g、エタノール100mlの混合物を、3時間加熱還流した。得られた反応混合物をを減圧下留去することで液体残渣を得た。得られた液体残渣を、N,N−ジメチルホルムアミド100mlに溶解し、室温下、N−ブロモコハク酸イミド10.5gを加え、室温で1時間攪拌した。反応混合物を水に注加し、酢酸エチル:ヘキサン=1:4で抽出し、有機層を水洗後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去して、N−{2−フルオロ−4−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル}トリフルオロアセトヒドラゾノイルブロミド24.7gを得た。
【0321】
N−{2−フルオロ−4−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル}トリフルオロアセトヒドラゾノイルブロミド15gをクロロホルム100mlに溶解し、室温でアンモニア水50mlを加え、1時間攪拌した。反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:4)で精製し、2,2,2−トリフルオロ−N−{2−フルオロ−4−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニルアミノ}アセトアミジン9.6gを得た。
【0322】
2,2,2−トリフルオロ−N−{2−フルオロ−4−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニルアミノ}アセトアミジン5gをN,N−ジメチルアセトアミド20mlに溶解し、アセチルクロリド1.67gを加え、140℃で2時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却し、水に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:8)で精製し、{5−(5−メチル−3−トリフルオロメチル−1,2,4−トリアゾリル)−4−フルオロ−2−メチルフェニル}−2,2,2トリフルオロエチルスルフィド3.62g(本発明化合物番号5)を得た。
【0323】
[実施例2]
{5−(5−メチル−3−トリフルオロメチル−1,2,4−トリアゾリル)−4−フルオロ−2−メチルフェニル}−2,2,2−トリフルオロエチルスルホキシドの製造(本発明化合物番号6)
{5−(5−メチル−3−トリフルオロメチル−1,2,4−トリアゾリル)−4−フルオロ−2−メチルフェニル}−2,2,2トリフルオロエチルスルフィド3.62gをクロロホルム50mlに溶解し、氷冷下、m−クロロ過安息香酸2.62g(純度75%)を加えた。氷冷下、1時間攪拌後、有機層をチオ硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、次いで炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:4)で精製し、{5−(5−メチル−3−トリフルオロメチル−1,2,4トリアゾリル)−4−フルオロ−2−メチルフェニル}−2,2,2トリフルオロエチルスルホキシド2.64g(本発明化合物番号6)を得た。
【0324】
[実施例3]
{5−(5−メトキシ−3−トリフルオロメチル−1,2,4−トリアゾリル)−4−フルオロ−2−メチルフェニル}−2,2,2−トリフルオロエチルスルフィド(本発明化合物番号23)の製造
テトラヒドロフラン100mlにS−メチルイソチオ尿素ヨウ化水素塩24g、実施例1で合成したN−{2−フルオロ−4−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル}トリフルオロアセトヒドラゾノイルブロミド23.1g、トリエチルアミン16.6gを加え、2時間加熱還流した。反応混合物を室温冷却後、水に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=4:1)で精製し、{5−(5−アミノ−3−トリフルオロメチル−1,2,4−トリアゾリル)−4−フルオロ−2−メチルフェニル}−2,2,2−トリフルオロエチルスルフィド13.08gを得た。
【0325】
{5−(5−アミノ−3−トリフルオロメチル−1,2,4−トリアゾリル)−4−フルオロ−2−メチルフェニル}−2,2,2−トリフルオロエチルスルフィド5gをアセトニトリル40mlに溶解し、塩化銅(II)3.5gを加えた後、亜硝酸tert−ブチル2.8gを滴下し、室温で1時間攪拌した。反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=6:1)で精製し、{5−(5−クロロ−3−トリフルオロメチル−1,2,4−トリアゾリル)−4−フルオロ−2−メチルフェニル}−2,2,2−トリフルオロエチルスルフィド3.25gを得た。
【0326】
{5−(5−クロロ−3−トリフルオロメチル−1,2,4−トリアゾリル)−4−フルオロ−2−メチルフェニル}−2,2,2−トリフルオロエチルスルフィド0.7gをジメチルスルホキシド10mlに溶解し、フッ化カリウム0.31gを加え、100℃で10時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却後、水に注加し、酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=6:1)で精製し、{5−(5−フルオロ−3−トリフルオロメチル−1,2,4−トリアゾリル)−4−フルオロ−2−メチルフェニル}−2,2,2−トリフルオロエチルスルフィド0.28gを得た。
【0327】
{5−(5−フルオロ−3−トリフルオロメチル−1,2,4−トリアゾリル)−4−フルオロ−2−メチルフェニル}−2,2,2−トリフルオロエチルスルフィド0.6gをメタノール5mlに溶解し、炭酸カリウム0.33gを加え、室温で1時間攪拌した。反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、{5−(5−メトキシ−3−トリフルオロメチル−1,2,4−トリアゾリル)−4−フルオロ−2−メチルフェニル}−2,2,2−トリフルオロエチルスルフィド0.62g(本発明化合物番号23)を得た。
【0328】
[実施例4]
{5−(5−メトキシ−3−トリフルオロメチル−1,2,4−トリアゾリル)−4−フルオロ−2−メチルフェニル}−2,2,2−トリフルオロエチルスルホキシド(本発明化合物番号24)の製造
{5−(5−メトキシ−3−トリフルオロメチル−1,2,4−トリアゾリル)−4−フルオロ−2−メチルフェニル}−2,2,2−トリフルオロエチルスルフィド0.62gをクロロホルム20mlに溶解し、氷冷下、m−クロロ過安息香酸0.43g(純度75%)を加えた。氷冷下、1時間攪拌後、有機層をチオ硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、次いで炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、残渣をヘキサン:ジイソプロピルエーテル=1:1溶液で洗浄することで、{5−(5−メトキシ−3−トリフルオロメチル−1,2,4−トリアゾリル)−4−フルオロ−2−メチルフェニル}−2,2,2−トリフルオロエチルスルホキシド0.55g(本発明化合物番号24)を得た。
【0329】
前記実施例に準じて合成した本発明化合物[I]の構造式と物性値を、前記実施例を含め表5〜表6に示す。ただし、表中の記号は前記と同様の意味を表す。
尚、化合物番号は以後の記載において参照される。
【0330】
【表5】

【0331】
【表6】

【0332】
化合物番号4,7,8,9,10,11,12,13,15,20,23,28,29,31,33,35,39,41,43,51,52,57,63,67,71,77,79については、H−NMRデータ(CDCl/TMS δ(ppm)値)を以下に示す。
【0333】
化合物番号4:2.40(3H,d), 2.49(3H,s), 3.50(2H,m), 7.24(1H,d), 8.12(1H,d)
化合物番号7:2.60(3H,s), 3.37(2H,q), 7.24(1H,d), 7.63(1H,d)
化合物番号8:2.52(3H,s), 3.50(2H,q), 7.30(1H,d), 8.16(1H,d)
化合物番号9:2.55(3H,s), 3.37(2H,q), 4.89(2H,q), 7.18(1H,d), 7.63(1H,d)
化合物番号10:2.49(3H,s), 3.49(2H,m), 4.90(2H,m), 2.24(1H,d), 8.15(1H,d)
化合物番号11:2.55(3H,s), 3.79(2H,q), 5.11(2H,s), 7.19(1H,s), 7.67(1H,s)
化合物番号12:2.49(3H,s), 3.49(2H,s), 5.12(2H,q), 7.24(1H,s), 8.20(1H,s)
化合物番号13:2.54(3H,s), 2.55(3H,s), 2.46(2H,q), 7.30(1H,d), 7.40(1H,d), 7.54(1H,d)
化合物番号15:1.32(3H,t), 2.57(3H,s), 2.71(2H,q), 3.38(2H,q), 7.20(1H,d), 7.60(2H,d)
化合物番号20:2.42(3H,s), 2.49(3H,s), 3.51(2H,q), 7.55(1H,s), 8.07(1H,s)
化合物番号23:2.54(3H,s), 3.37(2H,s), 4.18(3H,s), 7.15(1H,d), 7.62(1H,d)
化合物番号28:2.52(3H,s), 3.51(2H,s), 4.02(2H,d), 7.32(1H,d), 8.21(1H,d)
化合物番号29:1.42(3H,t), 2.54(3H,s), 3.37(2H,q), 4.58(2H,q), 7.15(1H,d), 7.62(1H,d)
化合物番号31:1.40(6H,d), 2.54(3H,s), 3.37(2H,q), 5.24(1H,sec), 7.14(1H,d), 7.61(1H,d)
化合物番号33:2.54(3H,s), 2.61(1H,s), 3.38(2H,q), 5.12(2H,d), 7.16(1H,d), 7.63(1H,d)
化合物番号35:2.54(3H,s), 3.37(2H,q), 4.99(2H,dd), 5.38(2H,m), 6.00(1H,m), 7.15(1H,d), 7.63(1H,d)
化合物番号39:2.35(3H,d), 2.55(3H,s), 3.38(2H,q), 7.09(1H,t), 7.17(1H,d), 7.60(1H,d)
化合物番号41:2.52(3H,s), 3.41(2H,q), 7.17(1H,t), 7.18(1H,d), 7.99(1H,d), 8.40(1H,d)
化合物番号43:2.32(3H,d), 2.54(3H,s), 3.38(2H,d), 4.67(2H,q), 7.16(1H,d), 7.59(1H,d)
化合物番号51:2.33(3H,d), 2.54(3H,s), 3.38(2H,q), 4.78(2H.t), 7.17(1H,d), 7.60(1H,d)
化合物番号52:2.34(3H,d), 2.48(3H,s), 3.50(2H,m), 4.79(2H,t), 7.22(1H,d), 8.11(1H,d)
化合物番号57:1.36(9H,s), 2.50(3H,s), 3.36(2H,q), 4.09(3H,s), 7.08(1H,d), 7.61(1H,d)
化合物番号63:2.46(3H,d), 2.57(3H,s), 3.07(3H,s), 3.40(2H,q), 7.20(1H,d), 7.63(1H,d)
化合物番号67:1.38(3H,t), 2.44(3H,s), 3.14(2H,q), 3.37(2H,q), 7.07(1H,d), 7.98(1H,d), 8.49(1H,d)
化合物番号71:2.44(3H,d), 2.57(3H,s), 3.39(2H,q), 7.20(1H,s), 7.62(1H,s)
化合物番号77:2.54(3H,s), 3.43(2H,q), 7.20(1H,d), 8.04(1H,d), 8.69(1H,d)
化合物番号79:2.54(3H,s), 2.55(3H,s), 3.45(2H,q), 7.30(1H,dd), 7.40(1H,d), 7.54(1H,d)
【0334】
次に代表的な製剤例をあげて製剤方法を具体的に説明する。化合物、添加剤の種類及び配合比率は、これのみに限定されることなく広い範囲で変更可能である。以下の説明において「部」は重量部を意味する。
【0335】
[製剤例1] 乳剤
化合物番号2の化合物 30部
シクロヘキサノン 20部
ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル 11部
アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム 4部
メチルナフタリン 35部
以上を均一に溶解して乳剤とした。又、化合物番号2に代えて、表1〜表4に記載の化合物各々を用いて同様に乳剤を得ることができる。
【0336】
[製剤例2] 水和剤
化合物番号2の化合物 10部
ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩 0.5部
ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル 0.5部
珪藻土 24部
クレー 65部
以上を均一に混合粉砕して水和剤とした。又、化合物番号2に代えて、表1〜表4に記載の化合物各々を用いて同様に水和剤を得ることができる。
【0337】
[製剤例3] 粉剤
化合物番号2の化合物 2部
珪藻土 5部
クレー 93部
以上を均一に混合粉砕して粉剤とした。又、化合物番号2に代えて、表1〜表4に記載の化合物各々を用いて同様に粉剤を得ることができる。
【0338】
[実施例4] 粒剤
化合物番号2の化合物 5部
ラウリルアルコール硫酸エステルのナトリウム塩 2部
リグニンスルホン酸ナトリウム 5部
カルボキシメチルセルロース 2部
クレー 86部
以上を均一に混合粉砕した。この混合物に水20部相当量を加えて練合し、押出式造粒機を用いて14〜32メッシュの粒状に加工したのち、乾燥して粒剤とした。又、化合物番号2に代えて、表1〜表4に記載の化合物各々を用いて同様に粒剤を得ることができる。
【0339】
次に本発明化合物を有効成分とする有害生物防除剤の奏する効果について試験例をもって説明する。尚、使用した比較化合物a、b及びcは、特開2000−198768号公報明細書に例示された[VI−208]、 [VI−226]及び[VI−6]の化合物である。
【0340】
【化19】

【0341】
[試験例1] ナミハダニ防除試験(浸漬処理)
製剤例2に準じて調製した水和剤を有効成分として500ppmの濃度に水で希釈した。その薬液に、予めナミハダニ成虫を接種しておいたダイズ苗を浸漬し、風乾した。処理後のダイズ苗は25℃の恒温室に置き、13日後に生存虫数を調査し、数1の計算式により防除価を求めた。試験は1連制にて行なった。
【0342】
この試験における結果を表7に示す。
【0343】
【表7】

【0344】
[試験例2] ナミハダニ防除試験(土壌処理)
製剤例2に準じて調製した水和剤を有効成分として100ppmの濃度に水で希釈した。その薬液を、予めナミハダニ成虫を接種しておいたダイズ苗カップの土壌(100g)に5ml潅注した。処理後のダイズ苗は25℃の恒温室に置き、13日後に生存虫数を調査し、数1の計算式により防除価を求めた。試験は1連制にて行なった。
この試験における結果を表8に示す。
【0345】
【表8】

【0346】
[試験例3] トビイロウンカ殺虫試験
製剤例2に準じて調製した水和剤を有効成分として500ppmの濃度に水で希釈した。その薬液に、イネ芽だし籾を浸漬し、容量60mlのプラスティックカップに入れた。これにトビイロウンカ3齢幼虫を10頭放ち、蓋をして25℃の恒温室に置いた。6日後に生存虫数を数え、数2の計算式により死虫率を求めた。試験は1連制にて行なった。この試験における結果を表9に示す。
【0347】
【表9】

【0348】
[試験例4] ネコブセンチュウ制線虫試験
tween20を1%含有するN,N−ジメチルホルムアミド溶液に供試化合物を溶解し、この溶液を有効成分として20ppmの濃度に蒸留水で希釈した。その薬液0.5mlと、サツマイモネコブセンチュウ第二期幼虫約30頭を含む懸濁液0.5mlとを混合し25℃の恒温室に置いた。5日後に顕微鏡下で不動及び生存線虫数を数え、数3の計算式により制線虫率を求めた。試験は2連制にて行なった。
この試験における結果を表10に示す。
【0349】
【表10】

【0350】
【数1】

【0351】
【数2】

【0352】
【数3】





【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式[I]
【化1】


[式中、
Rは2,2,2−トリフルオロエチル基、 3,3,3−トリフルオロプロピル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基又は2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基を示し、
nは0又は1を示し、
はハロゲン原子、C〜Cアルキル基(該基はハロゲン原子、シアノ基によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)、C〜Cシクロアルキル基(該基はハロゲン原子、C〜Cハロアルキル基、シアノ基によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)、C〜Cアルコキシ基(該基はハロゲン原子、シアノ基によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)、C〜Cアルキルチオ基(該基はハロゲン原子、シアノ基によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)、C〜Cアルキルスルフィニル基(該基はハロゲン原子、シアノ基によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)又はC〜Cアルキルスルホニル基(該基はハロゲン原子、シアノ基によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)を示し、
は水素原子、C〜Cアルキル基(該基はハロゲン原子、シアノ基、カルバモイル基によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)、C〜Cシクロアルキル基(該基はハロゲン原子、シアノ基によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)、C〜Cアルコキシ基(該基はハロゲン原子、シアノ基によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)、C〜Cアルケニルオキシ基(該基はハロゲン原子、シアノ基によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)又はC〜Cアルキニルオキシ基(該基はハロゲン原子、シアノ基によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)を示し、
は水素原子、ハロゲン原子又はメチル基を示し、
はC〜Cアルキル基(該基はハロゲン原子によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)を示す。]で表されることを特徴とする3−トリアゾリルフェニルスルフィド誘導体。
【請求項2】
Rは2,2,2−トリフルオロエチル基又は3,3,3−トリフルオロプロピル基であり、
nは0又は1であり、
がC〜Cアルキル基(該基はハロゲン原子、シアノ基によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)又はC〜Cアルコキシ基(該基はハロゲン原子、シアノ基によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)であり、
がC〜Cアルキル基(該基はハロゲン原子、シアノ基、カルバモイル基によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)又はC〜Cアルコキシ基(該基はハロゲン原子、シアノ基によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)であり、
が水素原子、ハロゲン原子又はメチル基であり、
がC〜Cアルキル基(該基はハロゲン原子によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)である請求項1に記載の3−トリアゾリルフェニルスルフィド誘導体。
【請求項3】
Rが2,2,2-トリフルオロエチル基又は3,3,3−トリフルオロプロピル基であり、
nは0又は1であり、
はtert−ブチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルチオ基、ジフルオロメトキシ基又は2,2,2−トリフルオロエトキシ基であり、
がメチル基、エチル基又はメトキシ基であり、
がフッ素原子、塩素原子又はメチル基であり、
がメチル基である請求項1に記載の3−トリアゾリルフェニルスルフィド誘導体。
【請求項4】
Rが2,2,2−トリフルオロエチル基であり、
nが0又は1であり、
がトリフルオロメチル基であり、
がメチル基又はメトキシ基であり、
がフッ素原子であり、
がメチル基である請求項1に記載の3−トリアゾリルフェニルスルフィド誘導体。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の3−トリアゾリルフェニルスルフィド誘導体を有効成分として含有することを特徴とする農園芸用殺虫・殺ダニ剤・殺線虫剤。

【公開番号】特開2007−284356(P2007−284356A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−109989(P2006−109989)
【出願日】平成18年4月12日(2006.4.12)
【出願人】(000000169)クミアイ化学工業株式会社 (86)
【出願人】(000102049)イハラケミカル工業株式会社 (48)
【Fターム(参考)】