説明

3−ピラゾリルフェニルスルフィド誘導体及びそれを有効成分として含有する殺虫・殺ダニ・殺線虫剤

【課題】本発明は、農園芸用殺虫・殺ダニ・殺線虫剤として優れた土壌処理活性を有する新規な3−ピラゾリルフェニルスルフィド誘導体又はその塩、及び、該誘導体又はその塩を有効成分として含有する農園芸用殺虫・殺ダニ・殺線虫剤を提供するを提供する。
【解決手段】一般式[I]
【化1】


(式中、Rは、置換されてもよいC〜Cアルキル基を示し、Rは、置換されてもよいC〜Cアルキル基を示し、nは0〜2の整数を示し、mは0又は1を示し、Aは水素原子、ハロゲン原子、C〜Cアルキル基、シアノ基、アミノ基を示し、Aは水素原子、ハロゲン原子、C〜Cアルキル基、アミノ基、シアノ基示し、B1は水素原子、ハロゲン原子又はメチル基を示し、Bはハロゲン原子又はC〜Cアルキル基を示す。)で表される3−ピラゾリルフェニルスルフィド誘導体又はその塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な3−ピラゾリルフェニルスルフィド誘導体及びそれを有効成分とする農園芸用殺虫・殺ダニ・殺線虫剤に関する。
【背景技術】
【0002】
公知の殺虫・殺ダニ・殺線虫剤として、特許文献1には1−フェニルピラゾール誘導体が知られている。本文献に記載の化合物群は植物体に直接散布することによってハダニ類に高い効果を示すことが記載されている。一方、本文献には土壌処理に関する記載はない。本文献に記載の化合物群は、土壌処理では土壌中での移行性及び植物体内への浸透移行性が不十分である。そのため、不均一な薬剤散布や蒸散、光分解、降雨による薬剤の流出等により、十分な効果が得られない場合がある。
【0003】
現在、実用性のある土壌処理活性を有する公知の殺ダニ剤は極めて少ない。土壌処理が可能な薬剤は就農者にとって、より安全であり、より省力化できる等のメリットがある。そのため、土壌処理活性を有する殺ダニ剤の開発が求められている。
【特許文献1】特開2000−198768号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、このような事情の中、従来の殺虫・殺ダニ剤・殺線虫剤が有していた前記の如き問題点を解決し、さらに、安全性、防除効果、残効性等に優れた殺虫・殺ダニ・殺線虫剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前記した好ましい特性を有する殺虫・殺ダニ・殺線虫剤を開発するために、種々の3−ピラゾリルフェニルスルフィド誘導体を合成し、その生理活性について検討を重ねた。その結果、下記の一般式[I]に示される新規な3−ピラゾリルフェニルスルフィド誘導体(以下、本発明化合物ともいう)が種々の農園芸用の有害生物、特にナミハダニ、カンザワハダニ、ミカンハダニ等に代表されるハダニ類、コナガ、ニカメイガ、シロイチモジヨトウ等に代表される鱗翅目害虫、トビイロウンカ、ツマグロヨコバイ、ワタアブラムシ等に代表される半翅目害虫、アズキゾウムシ等に代表される鞘翅目害虫及びサツマイモネコブセンチュウ等の線虫類に卓効を示すこと、さらに、安全で省力的施用方法を可能とする土壌処理活性を有することを見いだし、本発明を完成したものである。
【0006】
即ち、本発明は、下記を特徴とする要旨を有するものである。
【0007】
(1)一般式[I]
【0008】
【化1】

【0009】
[式中、
は、C〜Cアルキル基(該基はハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、C〜Cアルコキシカルボニル基、C〜Cアルコキシ基又はC〜Cシクロアルキル基によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)、C〜Cシクロアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cアルキニル基、C〜Cアルコキシ基、アミノ基、C〜Cモノアルキルアミノ基又はジ(C〜Cアルキル)アミノ基を示し、
は、C〜Cアルキル基(該基はハロゲン原子又はC〜Cシクロアルキル基によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)、C〜Cアルケニル基、C〜Cアルキニル基、C〜Cシクロアルキル基を示し、
nは0〜2の整数を示し、
mは0〜1の整数を示し、
は水素原子、ハロゲン原子、C〜Cアルキル基(該基はハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、C〜Cアルコキシカルボニル基又はC〜Cアルコキシ基によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)、C〜Cシクロアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cアルキニル基、C〜Cアルコキシ基(該基はハロゲン原子によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)、シアノ基、アミノ基、C〜Cモノアルキルアミノ基、ジ(C〜Cアルキル)アミノ基、C〜Cアシル基又はC〜Cハロアルキルカルボニル基を示し、
は水素原子、ハロゲン原子、C〜Cアルキル基(該基はハロゲン原子、シアノ基、C〜Cアルコキシカルボニル基又はC〜Cアルコキシ基によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)、C〜Cアルケニル基、C〜Cアルキニル基、C〜Cシクロアルキル基、C〜Cアルコキシ基(該基はハロゲン原子によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)、アミノ基、C〜Cモノアルキルアミノ基、ジ(C〜Cアルキル)アミノ基、シアノ基、ニトロ基、C〜Cアシル基、NR(COR)、NR(COOR)基を示し、
、Rはそれぞれ独立して水素原子、C〜Cアルキル基(該基はハロゲン原子によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)を示し、
は水素原子、ハロゲン原子又はメチル基を示し、
はハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基又はC〜Cアルキル基(該基はハロゲン原子によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)を示す。]で表される3−ピラゾリルフェニルスルフィド誘導体又はその塩。
【0010】
(2)前記(1)に記載の3−ピラゾリルフェニルスルフィド誘導体を有効成分として含有することを特徴とする農園芸用殺虫・殺ダニ・殺線虫剤。
【発明の効果】
【0011】
本発明化合物は、半翅目害虫、鱗翅目害虫、鞘翅目害虫、双翅目害虫、膜翅目害虫、直翅目害虫、シロアリ目害虫、アザミウマ目害虫、ハダニ類、植物寄生性線虫類等の広範囲の有害生物に対して優れた防除効果を示し、また、抵抗性を帯びた有害生物をも防除できる。
【0012】
特に本発明化合物は農園芸有害生物であるナミハダニ、カンザワハダニ、ミカンハダニ等に代表されるハダニ類、コナガ、ニカメイガ、シロイチモジヨトウ等に代表される鱗翅目害虫、トビイロウンカ、ツマグロヨコバイ、ワタアブラムシ等に代表される半翅目害虫、アズキゾウムシ等に代表される鞘翅目害虫及びサツマイモネコブセンチュウ等の線虫類に卓効を示し、浸透移行性に優れるため、土壌処理による安全で省力的施用方法が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本明細書に記載された記号及び用語について説明する。
【0014】
ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を示す。
【0015】
〜C等の表記は、これに続く置換基の炭素数が、この場合では1〜6であることを示している。
【0016】
〜Cアルキル基とは、特に限定しない限り、炭素数が1〜6の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を示し、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1−エチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、ネオペンチル、n−へキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル等の基をあげることができる。
【0017】
〜Cシクロアルキル基とは特に限定しない限り、炭素数が3〜6のシクロアルキル基を示し、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシル等の基をあげることができる。
【0018】
〜Cアルケニル基とは、特に限定しない限り、炭素数が2〜6の直鎖又は分岐鎖状のアルケニル基を示し、例えばビニル、1−プロペニル、イソプロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、1−メチル−1−プロペニル、2−ブテニル、1−メチル−2−プロペニル、3−ブテニル、2−メチル−1−プロペニル、2−メチル−2−プロペニル、1,3−ブタジエニル、1−ペンテニル、1−エチル−2−プロペニル、2−ペンテニル、1−メチル−1−ブテニル、3−ペンテニル、1−メチル−2−ブテニル、4−ペンテニル、1−メチル−3−ブテニル、3−メチル−1−ブテニル、1,2−ジメチル−2−プロペニル、1,1−ジメチル−2−プロペニル、2−メチル−2−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1,2−ジメチル−1−プロペニル、2−メチル−3−ブテニル、3−メチル−3−ブテニル、1,3−ペンタジエニル、1−ビニル−2−プロペニル、1−ヘキセニル、1−プロピル−2−プロペニル、2−へキセニル、1−メチル−1−ペンテニル、1−エチル−2−ブテニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニル、1−メチル−4−ペンテニル、1−エチル−3−ブテニル、1−(イソブチル)ビニル、1−エチル−1−メチル−2−プロペニル、1−エチル−2−メチル−2−プロペニル、1−(イソプロピル)−2−プロペニル、2−メチル−2−ペンテニル、3−メチル−3−ペンテニル、4−メチル−3−ペンテニル、1,3−ジメチル−2−ブテニル、1,1−ジメチル−3−ブテニル、3−メチル−4−ペンテニル、4−メチル−4−ペンテニル、1,2−ジメチル−3−ブテニル、1,3−ジメチル−3−ブテニル、1,1,2−トリメチル−2−プロペニル、1,5−ヘキサジエニル、1−ビニル−3−ブテニル又は2,4−ヘキサジエニル等の基をあげることができる。
【0019】
〜Cアルキニル基とは、特に限定しない限り、炭素数が2〜6の直鎖又は分岐鎖状のアルキニル基を示し、例えばエチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、1−メチル−2−プロピニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、1−エチル−2−プロピニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、1−メチル−2−ブチニル、4−ペンチニル、1−メチル−3−ブチニル、2−メチル−3−ブチニル、1−ヘキシニル、1−(n−プロピル)−2−プロピニル、2−ヘキシニル、1−エチル−2−ブチニル、3−ヘキシニル、1−メチル−2−ペンチニル、1−メチル−3−ペンチニル、4−メチル−1−ペンチニル、3−メチル−1−ペンチニル、5−ヘキシニル、1−エチル−3−ブチニル、1−エチル−1−メチル−2−プロピニル、1−(イソプロピル)−2−プロピニル、1,1−ジメチル−2−ブチニル又は2,2−ジメチル−3−ブチニル等の基をあげることができる。
【0020】
〜Cアルコキシ基とは、アルキル部分が上記の意味である(アルキル)−O−基を示し、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ又はヘキシルオキシ等の基をあげることができる。
【0021】
〜Cアシル基とは、ホルミル基又はアルキル部分が上記の意味である炭素数が1〜6の(アルキル)−C(=O)−基を示し、例えばアセチル、プロピオニル等の基をあげることができる。
【0022】
〜Cアルコキシカルボニル基とは、アルキル部分が上記の意味である炭素数が1〜6の(アルキル)−O−C(=O)−基を示し、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル又はイソプロポキシカルボニル等の基をあげることができる。
【0023】
〜Cハロアルキルカルボニル基とは、同一又は相異なるハロゲン原子1〜9で置換されている炭素数が1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である(ハロアルキル)−C(=O)−基を示し、例えばクロルアセチル、トリフルオロアセチル、ペンタフルオロプロピオニル、ジフルオロアセチル等の基をあげることができる。
【0024】
〜Cモノアルキルアミノ基とはアルキル部分が上記の意味であるアルキル基がモノ置換したアミノ基を示し、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ等の基をあげることができる。
【0025】
ジ(C〜Cアルキル)アミノ基とはアルキル部分が上記の意味であるアルキル基がジ置換したアミノ基を示し、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N−エチル−N−メチルアミノ等の基をあげることができる。
【0026】
次に、一般式[I]で表される本発明化合物の具体例を表1〜表6に記載するが、本発明化合物はこれらの化合物に限定されるものではない。また、これらの化合物には光学異性体を含む化合物が含まれる。尚、化合物番号は以後の記載において参照される。
【0027】
本明細書における表中の次の表記は下記の通りそれぞれ該当する基を表す。
【0028】
Me :メチル、 Et :エチル、
Pr :n−プロピル、 Pr−i :イソプロピル、
Pr−c :シクロプロピル、 Bu :n−ブチル、
Bu−t :tert−ブチル、 Pen :n−ペンチル、
Pen−i:イソペンチル、 Hex :n−ヘキシル、
【0029】
【表1】

【0030】
【表2】

【0031】
【表3】

【0032】
【表4】

【0033】
【表5】

【0034】
【表6】

【0035】
【表7】

【0036】
【表8】

【0037】
一般式[I]の本発明化合物は、以下に示す製造法に従って製造することができるが、これらの方法に限定されるものではない。
【0038】
<製造方法1>
一般式[I−1]の本発明化合物は下記に例示する反応式からなる方法により製造することができる。
【0039】
【化2】

【0040】
(式中、Lは、ハロゲン原子、C〜Cアルキルスルホニルオキシ基、フェニルスルホニルオキシ基又はSOMを示し、Mはアルカリ金属又はアルカリ土類金属を示し、好ましいアルカリ金属としてはナトリウム又はカリウムがあげられ、A、A、B、B、R、R及びnは前記と同じ意味を示す。)
すなわち、一般式[I−1]で表される本発明化合物は、一般式[II]で表される化合物と一般式[III]で表される化合物とを、溶媒中、塩基の存在下又は非存在下、ラジカル開始剤の存在下又は非存在下で反応させることにより製造することができる。以下、例えば「一般式[I−I]で表される化合物」と「化合物[I−I]」は同意とする。
【0041】
ここで使用する化合物[III]の使用量は、化合物[II]1モルに対して1〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.2〜2.0モルである。
【0042】
本反応で使用できる溶媒は、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、酢酸エチル、プロピオン酸エチル等のエステル類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、ピリジン、ピコリン等のピリジン類、水又はこれらの混合溶媒等があげられる。
【0043】
溶媒の使用量は、化合物[II]1モルに対し0.1〜100リットルであり、好ましくは0.3〜10リットルである。
【0044】
本反応で使用できる塩基は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩類、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属の重炭酸塩類等の無機塩基類、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属水素化物類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド等のアルコールの金属塩類又はトリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の有機塩基類等があげられる。
【0045】
塩基の使用量は、化合物[II]1モルに対して0〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0〜1.2モルである。
【0046】
本反応で使用できるラジカル開始剤は、例えば亜硫酸、亜硫酸塩、ロンガリット(商品名、ナトリウム・ホルムアルデヒド・スルホキシレ−ト)等の亜硫酸付加物等があげられる。また、塩基とラジカル開始剤を併用してもよい。
【0047】
ラジカル開始剤の使用量は、化合物[II]1モルに対して0〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0.05〜1.2モルである。
【0048】
反応温度は−30℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは0℃〜150℃の範囲で行なうのがよい。
【0049】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常10分〜20時間である。
【0050】
<製造方法2>
本発明化合物[I−1]の原料として、製造方法1で使用した化合物[II]の酸化的二量体である化合物[IV]を使用することもできる。
【0051】
【化3】

【0052】
(式中、Lはハロゲン原子又はSOMを示し、A、A、B、B、R、R、M及びnは前記と同じ意味を示す。)
すなわち、本発明化合物[I−1]は、化合物[IV]と化合物[V]とを、溶媒中、ラジカル開始剤の存在下で反応させることにより製造することができる。
【0053】
ここで使用する化合物[V]の使用量は、化合物[IV]1モルに対して1〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.2〜2.0モルである。
【0054】
本反応で使用できる溶媒は、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、酢酸エチル、プロピオン酸エチル等のエステル類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、ピリジン、ピコリン等のピリジン類、水、又はこれらの混合溶媒等があげられる。
【0055】
溶媒の使用量は、化合物[IV]1モルに対し0.1〜100リットルであり、好ましくは0.3〜10リットルである。
【0056】
本反応で使用できるラジカル開始剤は、例えば亜硫酸、亜硫酸塩、ロンガリット(商品名、ナトリウム・ホルムアルデヒド・スルホキシレ−ト)等の亜硫酸付加物等があげられる。
【0057】
ラジカル開始剤の使用量は、化合物[IV]1モルに対して0.01〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0.05〜1.2モルである。
【0058】
反応温度は−30℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは0℃〜150℃の範囲で行なうのがよい。
【0059】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常10分〜20時間である。
【0060】
<製造方法3>
本発明化合物[I−1]は、下記に例示する反応からなる方法によっても製造することができる。
【0061】
【化4】

【0062】
(式中、A、A、B、B、R、R及びnは前記と同じ意味を示し、Lはハロゲン原子、C〜Cアルキルスルホニルオキシ基、フェニルスルホニルオキシ基、C〜Cアルキルスルホニル基又はフェニルスルホニル基を示す。)
すなわち、本発明化合物[I−1]は、化合物[VI]と化合物[VII]とを、溶媒中、塩基、銅もしくは酸化銅(I)のいずれかの存在下又は塩基と銅もしくは塩基と酸化銅(I)の存在下で反応させることにより製造することができる。
【0063】
ここで使用する化合物[VII]の使用量は、化合物[VI]1モルに対して1〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜1.2モルである。
【0064】
本反応で使用できる溶媒は、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒類、メタノール、エタノール、メチルセルソルブ等のアルコール類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、ピリジン、ピコリン等のピリジン類、水又はこれらの混合溶媒等があげられる。
【0065】
溶媒の使用量は、化合物[VI]1モルに対し0.1〜100リットルであり、好ましくは0.3〜10リットルである。
【0066】
本反応で使用できる塩基は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩類、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属の重炭酸塩類等の無機塩基類、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属水素化物類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド等のアルコールの金属塩類又はトリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の有機塩基類等があげられる。
【0067】
塩基、銅及び酸化銅(I)のそれぞれの使用量は、化合物[VI]1モルに対して1〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜1.2モルである。
【0068】
反応温度は−70℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは0℃〜150℃の範囲で行なうのがよい。
【0069】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常10分〜20時間である。
【0070】
<製造方法4>
本発明化合物[I−1]は下記に例示する反応式からなる方法によっても製造することができる。
【0071】
【化5】

【0072】
(式中、A、A、B、B、R、R、M及びnは前記と同じ意味を示す。)
すなわち、化合物[I−1]は化合物[VIII]を、溶媒中、常法[鉱酸(塩酸及び硫酸等を例示できる。)と亜硝酸塩もしくは亜硝酸アルキルエステルを用いる方法]にてジアゾニウム塩とした後、一般式[IX]で表されるメルカプタンの塩又は一般式[X]で表されるジスルフィド類と反応させることにより製造することができる。
【0073】
ここで使用する化合物[IX]又は化合物[X]の使用量は、化合物[VIII]1モルに対して1〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜2.0モルである。
【0074】
本反応で使用できる溶媒は、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、アセト二トリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、酢酸エチル、プロピオン酸エチル等のエステル類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、ピリジン、ピコリン等のピリジン類、水、又はこれらの混合溶媒等があげられる。
【0075】
溶媒の使用量は、化合物[VIII]1モルに対し0.1〜100リットルであり、好ましくは0.3〜10リットルである。
【0076】
反応温度は−30℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは−10℃〜100℃の範囲で行なうのがよい。
【0077】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常10分〜20時間である。
【0078】
<製造方法5>
本発明化合物[I−1]は下記に例示する反応式からなる方法によっても製造することができる。
【0079】
【化6】

【0080】
(式中、Yは水素原子又はハロゲン原子を示し、L、A、A、B、B、R、R、及びnは前記と同じ意味を示す。)
すなわち、本発明化合物[I-1]は、化合物[XI]と金属又は有機金属化合物とを、溶媒中、反応させた後、化合物[XII]又は化合物[X]とを反応させることにより製造することができる。
【0081】
ここで使用する化合物[XII]又は化合物[X]の使用量は、化合物[XI]1モルに対して1〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜2.0モルである。
【0082】
本反応で使用できる溶媒は、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、ピリジン、ピコリン等のピリジン類又はこれらの混合溶媒を例示できる。
【0083】
溶媒の使用量は、化合物[XI]1モルに対し0.1〜100リットルであり、好ましくは0.3〜10リットルである。
【0084】
本反応で使用できる金属はリチウム等のアルカリ金属、マグネシウム等のアルカリ土類金属等があげられる。
【0085】
金属の使用量は一般式[XI]の化合物1モルに対して1〜3モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜1.1モルである。
【0086】
本反応で使用できる有機金属化合物はn−ブチルリチウム等のアルキルリチウム等があげられる。
【0087】
有機金属化合物の使用量は一般式[XI]の化合物1モルに対して1〜3モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜1.1モルである。
【0088】
反応温度は−90℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは−78℃〜70℃の範囲で行なうのがよく、反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常10分〜20時間である。
【0089】
<製造方法6>
本発明化合物[I−2]は、下記に例示する反応式からなる方法によっても製造することができる。
【0090】
【化7】

【0091】
(式中、A、A、B、B、R、R及びnは前記と同じ意味を示す。)
本発明化合物[I−2]は、化合物[I−1]と酸化剤とを、溶媒中、触媒存在下又は非存在下で反応させることにより製造することができる。
【0092】
本反応で使用できる酸化剤は、例えば過酸化水素、m−クロロ過安息香酸、過ヨウ素酸ナトリウム、オキソン(OXONE、イー・アイ・デュポン社商品名;ペルオキソ硫酸水素カリウム含有物)、N−クロロコハク酸イミド、N−ブロモコハク酸イミド、次亜塩素酸tert−ブチル、次亜塩素酸ナトリウム等があげられる。
【0093】
酸化剤の使用量は、化合物[I−1]1モルに対して1〜6モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜1.2モルである。
【0094】
本反応で使用できる触媒は例えばタングステン酸ナトリウムをあげることができる。
【0095】
触媒の使用量は化合物[I−1]1モルに対して0〜1モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0.01〜0.1モルである。
【0096】
本反応で使用できる溶媒は、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン及びヘプタン等の脂肪族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸、水、又はこれらの混合溶媒を例示できる。
【0097】
溶媒の使用量は、化合物[I−1]1モルに対し0.1〜100リットルであり、好ましくは0.3リットル〜10リットルである。
【0098】
反応温度は−30℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは−10℃〜100℃の範囲で行なうのがよい。
【0099】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常10分〜20時間である。
【0100】
<製造方法7>
本発明化合物[I]は、下記に例示する反応式からなる方法によっても製造することができる。
【0101】
【化8】

【0102】
(式中、A、A、B、B、R、R、n及びmは前記と同じ意味を示す。)
すなわち、本発明化合物[I]は、化合物[XIII]と化合物[XIV]及び無水銅塩とを、溶媒中、有機塩基の存在下で反応させることにより製造することができる。
【0103】
ここで使用する化合物[XIV]の使用量は、化合物[XIII]1モルに対して1〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜2.0モルである。
【0104】
本反応で使用できる溶媒は、反応を阻害しない溶媒であればよく、例えばクロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルカン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の非プロトン性極性溶媒類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、ピリジン、ピコリン等のピリジン類又はこれらの混合溶媒等があげられる。
【0105】
溶媒の使用量は、化合物[XIII]1モルに対し0.1〜100リットルであり、好ましくは0.3〜10リットルである。
【0106】
本反応で使用できる無水銅塩としては、例えば無水酢酸銅等があげられる。
【0107】
無水銅塩の使用量は、化合物[XIII]1モルに対して1〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.2〜2.2モルである。
【0108】
本反応で使用できる有機塩基は、例えば、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等があげられる。
【0109】
有機塩基の使用量は、化合物[XIII]1モルに対して1〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.2〜4.4モルである。
【0110】
反応温度は0℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは10℃〜30℃の範囲で行なうのがよい。
【0111】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常8〜48時間である。
【0112】
<製造方法8>
本発明化合物[I]は、Bがシアノ基又はニトロ基等の電子吸引性基である場合、下記に例示する反応式からなる方法によって製造することができる。
【0113】
【化9】

【0114】
(式中、Lはハロゲン原子、C〜Cアルキルスルホニルオキシ基又はフェニルスルホニルオキシ基等の脱離基を示し、A、A、B、B、R、R、n及びmは前記と同じ意味を示す。)
すなわち、本発明化合物[I]は、化合物[XIII]と化合物[XV]とを、溶媒中、塩基の存在下で反応させることにより製造することができる。
【0115】
ここで化合物[XV]の使用量は、化合物[XIII]1モルに対して1〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜1.2モルである。
【0116】
本反応で使用できる溶媒は、反応を阻害しない溶媒であればよく、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の非プロトン性極性溶媒類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、ピリジン、ピコリン等のピリジン類又はこれらの混合溶媒を等があげられる。
【0117】
溶媒の使用量は、化合物[XIII]1モルに対し0.1〜100リットルであり、好ましくは0.3〜10リットルである。
【0118】
本反応で使用できる塩基は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩類、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属の重炭酸塩類等の無機塩基類、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属水素化物類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド等のアルコールの金属塩類又はトリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の有機塩基類等があげられる。
【0119】
塩基の使用量は、化合物[XIII]1モルに対して1〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.1〜1.2モルである。
【0120】
反応温度は−70℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは−20℃〜150℃の範囲で行なうのがよい。
【0121】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常10分〜20時間である。
【0122】
<製造方法9>
本発明化合物[I−3]は、下記に例示する反応式からなる方法によっても製造することができる。
【0123】
【化10】

【0124】
(式中、A、A、B、B、R、R、L、及びmは前記と同じ意味を示す。)
すなわち、本発明化合物である化合物[I−3]は、化合物[XVI]と化合物[III−b]とを、溶媒中、塩基の存在下又は非存在下、ラジカル開始剤の存在下又は非存在下、で反応させることにより製造することができる。
【0125】
ここで使用する化合物[III−b]の使用量は、化合物[XVI]1モルに対して1〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.2〜2.0モルである。
【0126】
本反応で使用できる溶媒は、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、酢酸エチル、プロピオン酸エチル等のエステル類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、ピリジン、ピコリン等のピリジン類、水又はこれらの混合溶媒等があげられる。
【0127】
溶媒の使用量は、化合物[XVI]1モルに対し0.1〜100リットルであり、好ましくは0.3〜10リットルである。
【0128】
本反応で使用できる塩基は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩類、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属の重炭酸塩類等の無機塩基類、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属水素化物類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド等のアルコールの金属塩類又はトリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の有機塩基類等があげられる。
【0129】
塩基の使用量は、化合物[XVI]1モルに対して0〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0〜1.2モルである。
【0130】
本反応で使用できるラジカル開始剤は、例えば亜硫酸、亜硫酸塩、ロンガリット(ナトリウム・ホルムアルデヒド・スルホキシレ−ト)等の亜硫酸付加物等があげられる。また、塩基とラジカル開始剤を併用してもよい。
【0131】
ラジカル開始剤の使用量は、化合物[XVI]1モルに対して0〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0.05〜1.2モルである。
【0132】
反応温度は−30℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは0℃〜150℃の範囲で行なうのがよい。
【0133】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常10分〜20時間である。
【0134】
<製造方法10>
本発明化合物[I]は、下記に例示する反応式からなる方法によっても製造することができる。
【0135】
【化11】

【0136】
(式中、A、A、B、B、R、R、n及びmは前記と同じ意味を示す。)
本発明化合物[I]は化合物[I−3]と酸化剤とを、溶媒中、触媒存在下又は非存在下で反応させることにより製造することができる。
【0137】
本反応で使用できる酸化剤は、例えば過酸化水素、m−クロロ過安息香酸、過ヨウ素酸ナトリウム、オキソン(OXONE、イー・アイ・デュポン社商品名;ペルオキソ硫酸水素カリウム含有物)、N−クロロコハク酸イミド、N−ブロモコハク酸イミド、次亜塩素酸tert−ブチル、次亜塩素酸ナトリウム等があげられる。
【0138】
酸化剤の使用量は、化合物[I−3]1モルに対して1〜6モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜1.2モルである。
【0139】
本反応で使用できる触媒は例えばタングステン酸ナトリウムをあげることができる。
【0140】
触媒の使用量は化合物[I−3]1モルに対して0〜1モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0.01〜0.1モルである。
【0141】
本反応で使用できる溶媒は、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン及びヘプタン等の脂肪族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸、水、又はこれらの混合溶媒を例示できる。
【0142】
溶媒の使用量は、化合物[I−3]1モルに対し0.1〜100リットルであり、好ましくは0.3〜10リットルである。
【0143】
反応温度は−30℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは−10℃〜100℃の範囲で行なうのがよい。
【0144】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常10分〜20時間である。
【0145】
<製造方法11>
本発明化合物[I−5]は、下記に例示する反応式からなる方法によっても製造することができる。
【0146】
【化12】

【0147】
(式中、Xはハロゲン原子を示し、A、B、B、R、R、n及びmは前記と同じ意味を示す。)
すなわち、本発明化合物[I−5]は化合物[I−4]を、溶媒中、常法[鉱酸(塩酸及び硫酸等を例示できる。)と亜硝酸塩もしくは亜硝酸アルキルエステルを用いる方法]にてジアゾニウム塩とした後、ハロゲン化銅と反応させることにより製造することができる。
【0148】
本反応で使用できるハロゲン化銅は、例えば塩化銅(I)、臭化銅(I)、ヨウ化銅(I)、塩化銅(II)、臭化銅(II)等をあげることができる。
ここで使用するハロゲン化銅の使用量は、化合物[I−4]1モルに対して1〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜2.0モルである。
【0149】
本反応で使用できる溶媒は、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、アセト二トリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、酢酸エチル、プロピオン酸エチル等のエステル類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、ピリジン、ピコリン等のピリジン類、水、又はこれらの混合溶媒等があげられる。
【0150】
溶媒の使用量は、化合物[I−4]1モルに対し0.1〜100リットルであり、好ましくは0.3〜10リットルである。
【0151】
反応温度は−30℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは−10℃〜100℃の範囲で行なうのがよい。
【0152】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常10分〜20時間である。
【0153】
<製造方法12>
本発明化合物[I−6]は、下記に例示する反応式からなる方法によっても製造することができる。
【0154】
【化13】

【0155】
(式中、A、B、B、R、R、n及びmは前記と同じ意味を示す。)
すなわち、本発明化合物[I−6]は化合物[I−4]を、溶媒中、常法[鉱酸(塩酸及び硫酸等を例示できる。)と亜硝酸塩又は亜硝酸エステルを用いる方法]によってジアゾ化後、脱窒素させることによって製造することができる。
鉱酸の使用量は化合物[I−4]1モルに対して、0モル〜大過剰であり、好ましくは0〜5モルである。
【0156】
亜硝酸塩又は亜硝酸エステル類の使用量は化合物[I−4]1モルに対して、1〜5モルであり、好ましくは1〜2モルである。
【0157】
本反応で使用できる溶媒は、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、アセト二トリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、酢酸エチル、プロピオン酸エチル等のエステル類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、ピリジン、ピコリン等のピリジン類、水、又はこれらの混合溶媒等があげられる。
【0158】
溶媒の使用量は、化合物[I−4]1モルに対し0.1〜100リットルであり、好ましくは0.3〜10リットルである。
【0159】
反応温度は−30℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは−10℃〜100℃の範囲で行なうのがよい。
【0160】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常10分〜20時間である。
【0161】
<製造方法13>
本発明化合物[I]は、下記に例示する反応式からなる方法によっても製造することができる。
【0162】
【化14】

【0163】
(式中、A、A、B、B、R、R、X、n及びmは前記と同じ意味を示す。)
(工程A)
本発明化合物[I]は、化合物[I−4]と親電子試薬とを、溶媒の存在下又は非存在下、塩基の存在下又は非存在下、酸の存在下又は非存在下、脱水縮合剤の存在下又は非存在下で、反応させることにより製造することができる。
【0164】
本工程で使用できる親電子試薬は、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル等のハロゲン化アルカン類、無水酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水クロロジフルオロ酢酸等の酸無水物類、アセチルクロリド、プロピオニルクロリド、ジフルオロアセチルクロリド、トリフルオロアセチルクロリド、メチルクロロフォルマート、エチルクロロフォルマート等のハロゲン化アシル類、メタノール、エタノール、ベンジルアルコール等のアルコール類等があげられる。
【0165】
親電子試薬の使用量は、化合物[I−4]1モルに対して、1〜100モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1〜10モルであり、さらに好ましくは1〜3モルである。
【0166】
本工程で使用できる溶媒としては、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン及びヘプタン等の脂肪族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、又はこれらの混合溶媒等があげられる。
【0167】
溶媒の使用量は、化合物[I−4]1モルに対し0〜100リットルであり、好ましくは0〜10リットルである。
【0168】
本工程で塩基を使用する場合、使用できる塩基は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩類、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属の重炭酸塩類等の無機塩基類、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属水素化物類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド等のアルコールの金属塩類又はトリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の有機塩基類等があげられる。
【0169】
塩基の使用量は、化合物[I−4]1モルに対して0〜3モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0.1〜2モルであり、さらに好ましくは0.1〜1.2モルである。
【0170】
本工程で酸を使用する場合、使用できる酸は例えばメタンスルホン酸又はp−トルエンスルホン酸等のスルホン酸類、塩酸、臭化水素酸又は硫酸等の無機酸類、酢酸又はトリフルオロ酢酸等のカルボン酸類等があげられる。
【0171】
酸の使用量は、化合物[I−4]1モルに対して0〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0.01〜2モルであり、さらに好ましくは0.03〜1.0モルである。
【0172】
使用できる脱水縮合剤としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド等のカルボジイミド類をあげることができる。
【0173】
脱水縮合剤を使用する場合、脱水縮合剤の使用量は化合物[I−4]1モルに対して0〜3モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜1.2モルである。
【0174】
反応温度は−20℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは0℃〜80℃の範囲で行なうのがよい。
【0175】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常15分〜24時間である。
【0176】
(工程B)
本発明化合物[I]は、化合物[I−5]と化合物[XVII]とを、溶媒中、塩基存在下又は非存在下、反応させることにより製造することができる。
【0177】
本工程で塩基を使用する場合、使用できる塩基は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩類、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属の重炭酸塩類等の無機塩基類、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属水素化物類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド等のアルコールの金属塩類又はトリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の有機塩基類等があげられる。
【0178】
塩基の使用量は、化合物[I−5]1モルに対して0〜10モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0〜3モルであり、さらに好ましくは0〜1.2モルである。
【0179】
本工程で使用できる溶媒としては、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン及びヘプタン等の脂肪族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類又は水をあげることができ、これらの混合溶媒も使用できる。
【0180】
溶媒の使用量は、化合物[I−5]1モルに対し0.1〜100リットルであり、好ましくは0.1〜10リットルである。
【0181】
反応温度は−20℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは−10℃〜150℃の範囲で行なうのがよい。
【0182】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常15分〜12時間である。
【0183】
<製造方法14>
本発明化合物[I−7]は、下記に例示する反応式からなる方法によっても製造することができる。
【化15】

【0184】
(式中、Aは電子吸引性基を示し、Meはメチル基を示し、B、B、R及びmは前記と同じ意味を示す。電子吸引性基とはシアノ基、アルコキシカルボニル基等を示す。)
すなわち、本発明化合物[I−7]は化合物[XVIII]と化合物[XIX]とを、溶媒中、塩基の存在下又は非存在下で反応させることにより製造することができる。
【0185】
化合物[XIX]の使用量は、化合物[XVIII]1モルに対して1〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜1.2モルである。
【0186】
本反応で使用できる溶媒は、反応を阻害しない溶媒であればよく、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の非プロトン性極性溶媒、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、ピリジン、ピコリン等のピリジン類又はこれらの混合溶媒を等があげられる。
【0187】
溶媒の使用量は、化合物[XVIII]1モルに対し0.1〜100リットルであり、好ましくは0.3〜10リットルである。
【0188】
本反応で使用できる塩基は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩類、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属の重炭酸塩類等の無機塩基類、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属水素化物類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド等のアルコールの金属塩類又はトリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の有機塩基類等があげられる。
【0189】
塩基の使用量は、化合物[XVIII]1モルに対して0〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0〜1.2モルである。
【0190】
反応温度は−70℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは−20℃〜150℃の範囲で行なうのがよい。
【0191】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常10分〜20時間である。
【0192】
<製造方法16>
本発明化合物[I−9]は、下記に例示する反応式からなる方法によっても製造することができる。
【化16】

【0193】
(式中、A、B、B、R、R、n及びmは前記と同じ意味を示す。)
すなわち、本発明化合物[I−9]は化合物[I−8]を溶媒の存在下又は非存在下、鉱酸の存在下で加水分解した後、脱炭酸させることにより製造することができる。
【0194】
本反応で使用できる鉱酸としては、例えば塩酸、硫酸等を例示できる。
【0195】
鉱酸の使用量は、化合物[I−8]1モルに対して1〜大過剰の範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜10モルである。
【0196】
本反応で使用できる溶媒は、反応を阻害しない溶媒であればよく、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の非プロトン性極性溶媒、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、水又はこれらの混合溶媒を等があげられる。
【0197】
溶媒の使用量は、化合物[I−8]1モルに対し0〜100リットルであり、好ましくは0〜10リットルである。
【0198】
反応温度は0℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは0℃〜150℃の範囲で行なうのがよい。
【0199】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常10分〜20時間である。
【0200】
<中間体製造法1>
製造中間体[XVI]の合成
【0201】
【化17】

【0202】
(式中、R’はメチル基又はトリフルオロメチル基を示し、A、A、B、B、R及びmは前記と同じ意味を示す。)
化合物[XVI]は化合物[I−7b]を酸化剤で酸化し、メチルスルホキシドとした後、無水酢酸又は無水トリフルオロ酢酸と反応させることにより、化合物[XX]を製造し、その後、これを加水分解することにより製造することができる。
【0203】
本工程で使用できる酸化剤は、例えば過酸化水素、m−クロロ過安息香酸、過ヨウ素酸ナトリウム、オキソン(OXONE、イー・アイ・デュポン社商品名;ペルオキソ硫酸水素カリウム含有物)、N−クロロコハク酸イミド、N−ブロモコハク酸イミド、次亜塩素酸tert−ブチル、次亜塩素酸ナトリウム等があげられる。
【0204】
酸化剤の使用量は、化合物[I−7b]1モルに対して1〜3モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜1.2モルである。
【0205】
無水酢酸又は無水トリフルオロ酢酸の使用量は化合物[I−7b]1モルに対して1モルから反応溶媒として利用でき、好ましくは1.0〜3.0モルである。
【0206】
いずれの反応も、反応温度は−10度から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは0℃〜50℃の温度範囲で行なうのがよい。
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常5分〜12時間である。
【0207】
<中間体製造法2>
製造中間体[II]及び[IV]の製造
化合物[II]は下記工程C、D,E,Fによって製造することができ、化合物[IV]は下記工程Gによって製造することができる。尚、化合物[II]及び化合物[IV]は、酸化還元反応により相互に変換が可能であり、化合物[II]は空気中の酸素によっても容易に酸化され、化合物[IV]になることもある。
【0208】
【化18】

【0209】
(式中、A、A、B、B、R、L、R’及びnは前記と同じ意味を示す。)
(工程C)
すなわち、目的とする化合物[II]は化合物[XXI]を酸化剤で酸化し、メチルスルホキシドとした後、無水酢酸又は無水トリフルオロ酢酸と反応させることにより、化合物[XXII]を製造し、その後、加水分解することにより製造することができる。
【0210】
本工程で使用できる酸化剤は、例えば過酸化水素、m−クロロ過安息香酸、過ヨウ素酸ナトリウム、オキソン(OXONE、イー・アイ・デュポン社商品名;ペルオキソ硫酸水素カリウム含有物)、N−クロロコハク酸イミド、N−ブロモコハク酸イミド、次亜塩素酸tert−ブチル、次亜塩素酸ナトリウム等があげられる。
【0211】
酸化剤の使用量は、化合物[XXI]1モルに対して1〜3モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜1.2モルである。
【0212】
無水酢酸又は無水トリフルオロ酢酸の使用量は化合物[XXI]1モルに対して1モルから反応溶媒を兼ねて使用でき、好ましくは1.0〜3.0モルである。
【0213】
いずれの反応も、反応温度は−10℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは0℃〜50℃の温度範囲で行なうのがよい。
【0214】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常5分〜12時間である。
【0215】
(工程D)
化合物[II]は化合物[VI]を、溶媒中、金属又は有機金属化合物で処理した後、硫黄を反応させることにより製造することができる。
【0216】
本工程で使用できる溶媒としては、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、ピリジン、ピコリン等のピリジン類又はこれらの混合溶媒を例示できる。
【0217】
溶媒の使用量は、化合物[VI]1モルに対し0.1〜100リットルであり、好ましくは0.3〜10リットルである。
【0218】
本工程で使用できる金属はリチウム又はマグネシウム等があげることができる。
【0219】
金属の使用量は化合物[VI]1モルに対して1〜3モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜1.2モルである。
【0220】
本工程で使用できる有機金属化合物はn−ブチルリチウム等のアルキルリチウム類があげられる。
【0221】
有機金属化合物の使用量は化合物[VI]1モルに対して1〜3モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜1.2モルである。
【0222】
硫黄の使用量は化合物[VI]1モルに対して1〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜2.0モルである。
【0223】
いずれの反応も、反応温度は−60℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは−60℃〜室温の温度範囲で行なうのがよい。
【0224】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常30分〜12時間である。
【0225】
(工程E)
化合物[II]は化合物[VIII]を常法[鉱酸(塩酸及び硫酸等を例示できる。)と亜硝酸塩又は亜硝酸アルキルエステルを用いる方法]によってジアゾニウム塩とし、その後、キサントゲン酸塩又はチオシアン酸塩と反応させ、アルカリ加水分解することにより製造することができる。
【0226】
キサントゲン酸塩又はチオシアン酸塩の使用量は化合物[VIII]1モルに対して1〜3モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜1.5モルである。
【0227】
反応温度は−70℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは−20℃〜100℃の温度範囲で行なうのがよい。
【0228】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常10分〜20時間である。
【0229】
(工程F)
化合物[II]は化合物[XXIII]とクロロスルホン酸を反応させ、一般式[XXIV]で表されるスルホニルクロリドとし、これを水素化リチウムアルミニウム、亜鉛/酸、スズ/酸、又は赤りん/ヨウ素を用いて還元することにより製造することができる。
【0230】
本工程で使用するクロロスルホン酸の使用量は化合物[XXIII]1モルに対して2〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは2.2〜3.0モルである。
【0231】
酸としては塩酸、硫酸等があげられる。
【0232】
水素化リチウムアルミニウム、亜鉛/酸、スズ/酸、又は赤りん/ヨウ素の使用量は化合物[XXIV]1モルに対して1〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.5〜2.0モルである。
【0233】
いずれの反応も、反応温度は0℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは0℃〜100℃の温度範囲で行なうのがよい。
【0234】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常10分〜20時間である。
【0235】
(工程G)
化合物[IV]は化合物[XXIII]と二塩化二イオウとを、溶媒中、触媒存在下又は非存在下、反応させることで製造することができる。
【0236】
二塩化イオウの使用量は化合物[XXIII]1モルに対して1〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.1〜1.5モルである。
【0237】
本工程で使用できる触媒は例えば塩化アルミニウム、塩化スズ(II)、塩化スズ(IV)等の金属ハロゲン化物を例示できる。
【0238】
触媒の使用量は化合物[XXIII]1モルに対して1〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.1〜2.0モルである。
【0239】
本工程で使用できる溶媒は、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類等をあげることできる。
【0240】
溶媒の使用量は、化合物[XXIII]1モルに対し0.1〜100リットルであり、好ましくは0.3〜10リットルである。
【0241】
反応温度は−30℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは−10℃〜100℃の範囲で行なうのがよい。
【0242】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常1〜20時間である。
さらに、化合物[II]は化合物[IV]を常法により還元することで製造することができる。
【0243】
<中間体製造法3>
化合物[II]において、Bがニトロ基又はシアノ基等の電子吸引性基であるときは、次の反応により一般式[II]の合成中間体を製造することができる。
【0244】
【化19】

【0245】
(式中、A、A、B、B、R、L及びnは前記と同じ意味を示す。)
すなわち、目的とする化合物[II]は、化合物[VI]と硫化ナトリウムとを溶媒中、塩基の存在下で反応させた後、鉱酸等にて中和することにより製造することができる。
【0246】
ここで使用する硫化ナトリウムの使用量は、化合物[VI]1モルに対して1〜3モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜1.5モルである。
【0247】
本工程で使用できる溶媒は、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、水等があげられる。
【0248】
溶媒の使用量は、化合物[VI]1モルに対し0.1〜100リットルであり、好ましくは0.3〜10リットルである。
【0249】
本工程で使用できる塩基は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩類、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属の重炭酸塩類等の無機塩基類、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属水素化物類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド等のアルコールの金属塩類又はトリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の有機塩基類等があげられる。
【0250】
塩基の使用量は、化合物[VI]1モルに対して1〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜1.2モルである。
【0251】
鉱酸としては、塩酸、硫酸等があげられる。
【0252】
鉱酸の使用量は、化合物[VI]1モルに対して1〜5モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜2.0モルである。
【0253】
反応温度は−30℃から反応系における還流温度までの任意の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは−20℃〜100℃の温度範囲で行なうのがよい。反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常10分〜20時間である。
【0254】
<中間体製造法4>
一般式[XVIII−b]のフェニルヒドラジンは、対応するアニリンから通常の方法、例えば、コンプリヘンシブ・オーガニック・ファンクショナル・グループ・トランスフォーメーション(Comprehensive Organic Functional Group Transformations)第2巻、第769頁記載の方法に準じて合成することができる。
【0255】
【化20】

【0256】
(式中、B、B及びRは前記と同じ意味をし、Acとはアセチル基を示す。)
化合物[XXIX]は化合物[XXV]で表されるアセトアニリドを、中間体製造方法1及び2の記載と同様にして、一般式[XXVII]で表されるジスルフィド又は 一般式[XXVIII]で表されるチオールとし、さらに、前記製造方法1又は製造方法2の記載の方法を用いることにより製造することができる。
【0257】
本工程で使用できる溶媒、塩基、ラジカル開始剤は前記製造方法1又は製造方法2とで使用したものと同様のものが使用できる。
【0258】
一般式[XVIII−b]で表されるフェニルヒドラジンは化合物[XXIX]を、常法[鉱酸(塩酸及び硫酸等を例示できる。)と亜硝酸塩又は亜硝酸エステルを用いる方法]にてジアゾニウム塩とし、これを亜鉛末、亜硫酸類、塩化スズ等で還元して製造することができる。
【0259】
鉱酸としては、塩酸、硫酸等があげられる。
【0260】
鉱酸の使用量は、化合物[XXIX]1モルに対して2〜10モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは3〜5モルである。
【0261】
亜硝酸塩又は亜硝酸エステルの使用量は、化合物[XXIX]1モルに対して1.0〜5.0モルの範囲から適宜選択すればよく、好ましくは1.0〜1.2モルである。
【0262】
いずれの反応も、反応温度は−20℃から50℃の温度の範囲から選択すればよく、好ましくは−5℃〜20℃の温度範囲で行なうのがよい。
【0263】
反応時間は反応温度、反応基質、反応量等により異なるが、通常30分〜5時間である。
【0264】
本発明化合物を有害生物防除剤の有効成分として使用するに際しては、本発明化合物それ自体で用いてもよいが、農薬補助剤として製剤化に一般的に用いられる担体、界面活性剤、及びその他補助剤を配合して、乳剤、懸濁剤、粉剤、粒剤、錠剤、水和剤、水溶剤、液剤、フロアブル剤、顆粒水和剤、エアゾール剤、ペースト剤、油剤、乳濁剤、くん煙剤等の種々の形態に製剤することができる。これらの配合割合は通常、有効成分0.1〜90重量%で農薬補助剤10〜99.9重量%である。
【0265】
ここにいう製剤化に際して用いられる担体としては、固体担体と液体担体に分けられる。固体担体としては、例えば澱粉、活性炭、大豆粉、小麦粉、木粉、魚粉、粉乳等の動植物性粉末、タルク、カオリン、ベントナイト、炭酸カルシウム、ゼオライト、珪藻土、ホワイトカーボン、クレー、アルミナ、硫安、尿素等の無機物粉末があげられる。液体担体としては、例えば水;イソプロピルアルコール、エチレングリコール等のアルコール類;シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、イソホロン等のケトン類;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ケロシン、軽油等の脂肪族炭化水素類;キシレン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、メチルナフタリン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素類;クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;ジメチルアセトアミド等の酸アミド類;脂肪酸のグリセリンエステル等のエステル類;アセトニトリル等のニトリル類;ジメチルスルホキシド等の含硫化合物類等があげられる。
【0266】
界面活性剤としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸金属塩、ジナフチルメタンジスルホン酸金属塩、アルコール硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、ポリオキシエチレングリコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノアルキレート、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物の塩等があげられる。
【0267】
その他の補助剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、グアーガム、トラガントガム、ポリビニルアルコール等の固着剤あるいは増粘剤、金属石鹸等の消泡剤、脂肪酸、アルキルリン酸塩、シリコーン、パラフィン等の物性向上剤、着色剤等を用いることができる。
【0268】
これらの製剤の実際の使用に際しては、そのまま使用するか、又は水等の希釈剤で所定濃度に希釈して使用することができる。本発明化合物を含有する種々の製剤、又はその希釈物の施用は、通常一般に行なわれている施用方法、即ち、散布(例えば噴霧、ミスティング、アトマイジング、散粉、散粒、水面施用、箱施用等)、土壌施用(例えば混入、潅注等)、表面施用(例えば塗布、粉衣、被覆等)、浸漬、毒餌、くん煙施用等により行なうことができる。また、家畜に対して前記有効成分を飼料に混合して与え、その排泄物での有害虫、特に有害昆虫の発生、成育を防除することも可能である。また、いわゆる超高濃度少量散布法により施用することもできる。この方法においては、活性成分を100%含有することが可能である。有効成分の配合割合は必要に応じ適宜選ばれるが、粉剤及び粒剤とする場合は0.1〜20%(重量)、また、乳剤及び水和剤とする場合は1〜80%(重量)が適当である。
【0269】
本発明の有害生物防除剤の施用は、希釈剤で希釈して使用する場合には一般に0.1〜5000ppmの有効成分濃度で行なう。製剤をそのまま使用する場合の単位面積あたりの施用量は、有効成分化合物として1ha当り0.1〜5000gで使用されるが、これらに限定されるものではない。
【0270】
尚、本発明化合物は単独でも十分有効であることはいうまでもないが、必要に応じて他の肥料、農薬、例えば殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺菌剤、抗ウイルス剤、誘引剤、除草剤、植物生長調整剤などと混用、併用することができ、この場合に一層優れた効果を示すこともある。
【0271】
本発明化合物と混合して使用できる殺虫剤、殺菌剤、殺ダニ剤等の代表例を以下に示す。
【0272】
例えば有機リン及びカーバメート系殺虫剤:フェンチオン(fenthion)、フェニトロチオン(fenitrothion )、ダイアジノン(diazinon)、クロルピリホス(chlorpyrifos)、オキシデプロホス(oxydeprofos)、バミドチオン(vamidothion)、フェントエート(phenthoate)、ジメトエート(dimethoate)、ホルモチオン(formothion)、マラチオン(malathion)、トリクロルホン(trichlorfon)、チオメトン(thiometon)、ホスメット(phosmet)、ジクロルボス(dichlorvos)、アセフェート(acephate)、EPBP(EPBP)、メチルパラチオン(parathion-methyl)、オキシジメトンメチル(oxydemeton-methyl)、エチオン(ethion)、ジオキサベンゾホス(dioxabenzofos)、シアノホス(cyanophos)、イソキサチオン(isoxathion)、ピリダフェンチオン(pyridaphenthion)、ホサロン(phosalone)、メチダチオン(methidathion)、スルプロホス(sulprofos)、クロルフェンビンホス(chlorfenvinphos)、テトラクロルビンホス(tetrachlorvinphos)、ジメチルビンホス(dimethylvinphos)、プロパホス(propaphos)、イソフェンホス(isofenphos)、ジスルホトン(disulfoton)、プロフェノホス(profenofos)、ピラクロホス(pyraclofos)、モノクロトホス(monocrotophos)、アジンホスメチル(azinphos-methyl)、アルジカルブ(aldicarb)、メソミル(methomyl)、チオジカルブ(thiodicarb )、カルボフラン(carbofuran)、カルボスルファン(carbosulfan)、ベンフラカルブ(benfuracarb)、フラチオカルブ(furathiocarb)、プロポキスル(propoxur)、フェノブカルブ(fenobucarb)、メトルカルブ(metolcarb)、イソプロカルブ(isoprocarb)、カルバリル(carbaryl)、ピリミカーブ(pirimicarb)、エチオフェンカルブ(ethiofencarb)、ジクロフェンチオン(dichlofenthion)、ピリミホスメチル(pirimiphos-methyl)、キナルホス(quinalphos)、クロルピリホスメチル(chlorpyrifos-methyl)、プロチオホス(prothiofos)、ナレッド(naled)、EPN(EPN)、XMC(XMC)、ベンダイオカルブ(bendiocarb)、オキサミル(oxamyl)、アラニカルブ(alanycarb)、クロルエトキシホス(chlorethoxyfos)等
ピレスロイド系殺虫剤:ペルメトリン(permethrin)、シペルメトリン(cypermethrin)、デルタメトリン(deltamethrin)、フェンバレレート(fenvalerate)、フェンプロパトリン(fenpropathrin)、ピレトリン(pyrethrin)、アレスリン(allethrin)、テトラメトリン(tetramethrin)、レスメトリン(resmethrin)、ジメスリン(dimethrin)、プロパスリン(proparthrin)、フェノトリン(phenothrin)、プロトリン(prothrin)、フルバリネート(fluvalinate)、シフルトリン(cyfluthrin)、シハロトリン(cyhalothrin)、フルシトリネート(flucythrinate)、エトフェンプロックス(etofenprox)、シクロプロトリン(cycloprothrin)、トラロメトリン(tralomethrin)、シラフルオフェン(silafluofen)、テフルトリン(tefluthrin)、ビフェントリン(bifenthrin)、アクリナトリン(acrinathrin)等。
【0273】
アシルウレア系、その他の殺虫剤:ジフルベンズロン(diflubenzuron )、クロルフルアズロン(chlorfluazuron)、ヘキサフルムロン(hexaflumuron)、トリフルムロン(triflumuron)、テフルベンズロン(teflubenzuron)、フルフェノクスロン(flufenoxuron)、フルシクロクスロン(flucycloxuron)、ブプロフェジン(buprofezin)、ピリプロキシフェン(pyriproxyfen)、ルフェヌロン(lufenuron)、シロマジン(cyromazine)、メトプレン(methoprene)、エンドスルファン(endosulfan)、ジアフェンチウロン(diafenthiuron)、イミダクロプリド(imidacloprid)、アセタミプリド(acetamiprid)、ニテンピラム(nitenpyram)、クロチアニジン(clothianidin)、ジノテフラン(dinotefuran)、チアメトキサム(thiamethoxam)、チアクロプリド(thiacloprid)、ピメトロジン(pymetrozine)、フィプロニル(fipronil)、ピリダリル(pyridalyl)、硫酸ニコチン(nicotine-sulfate)、ロテノン(rotenone)、メタアルデヒド(metaldehyde)、マシン油(machine oils)、BTや昆虫病原ウイルス等の微生物農薬、フェノキシカルブ(fenoxycarb)、カルタップ(cartap)、チオシクラム(thiocyclam)、ベンスルタップ(bensultap)、テブフェノジド(tebufenozide)、クロルフェナピル(chlorfenapyr)、エマメクチンベンゾエート(emamectin-benzoate)、アセタミプリド(acetamiprid)、ニテンピラム(nitenpyram)、オレイン酸ナトリウム(oleic acid sodium salt)、なたね油(rape seed oil)等。
【0274】
殺線虫剤:フェナミホス(fenamiphos)、ホスチアゼート(fosthiazate)、エトプロホス(ethoprophos)、メチルイソチオシアネート(methyl isocyanate)、1,3ジクロロプロペン(1,3-dichloropropene)、DCIP(DCIP)等。
【0275】
殺ダニ剤:クロルベンジレート(chlorobenzilate)、フェニソブロモレート(phenisobromolate)、ジコホル(dicofol)、アミトラズ(amitraz)、プロパルギット(propargite)、ベンゾメート(benzomate)、ヘキシチアゾクス(hexythiazox)、フェンブタチンオキシド(fenbutatin oxide)、ポリナクチン(polynactins)、キノメチオネート(quinomethionate)、クロルフェンソン(chlorfenson)、テトラジホン(tetradifon)、アバメクチン(abamectin)、ミルベメクチン(milbemycin)、クロフェンテジン(clofentezine)、ピリダベン(pyridaben)、フェンピロキシメート(fenpyroximate)、テブフェンピラド(tebufenpyrad)、ピリミジフェン(pyrimidifen)、フェノチオカルブ(phenothiocarb)、ジエノクロル(dienochlor)、エトキサゾール(etoxazole)、ビフェナゼート(bifenazate)、アセキノシル(acequinocyl)、ハルフェンプロックス(halfenprox)、スピロディクロフェン(spirodiclofen)等。
【0276】
殺菌剤:チオファネートメチル(thiophanate-methyl)、ベノミル(benomyl)、カルベンダゾール(carbendazol)、チアベンダゾール(thiabendazole)、フォルペット(folpet)、チウラム(thiuram)、ジラム(ziram)、ジネブ(zineb)、マンネブ(maneb)、ポリカーバメート(polycarbamate)、イプロベンホス(iprobenfos)、エジフェンホス(edifenphos)、フサライド(fthalide)、プロベナゾール(probenazole)、イソプロチオラン(isoprothiolane)、クロロタロニル(chlorothalonil)、キャプタン(captan)、ポリオキシン(polyoxin)、ブラストサイジンS(blasticidin-S)、カスガマイシン(kasugamycin)、ストレプトマイシン(Streptomycin)、バリダマイシン(validamycin)、トリシクラゾール(tricyclazole)、ピロキロン(pyroquilon)、フェナジンオキシド(phenazine oxide)、メプロニル(mepronil)、フルトラニル(flutolanil)、ペンシクロン(pencycuron)、イプロジオン(iprodione)、ヒメキサゾール(hymexazol)、メタラキシル(metalaxyl)、トリフルミゾール(triflumizole)、トリホリン(triforine)、トリアジメホン(triadimefon)、ビテルタノール(bitertanol)、フェナリモル(fenarimol)、プロピコナゾール(propiconazole)、シモキサニル(cymoxanil)、プロクロラズ(prochloraz)、ペフラゾエート(pefurazoate)、ヘキサコナゾール(hexaconazole)、ミクロブタニル(myclobutanyl)、ジクロメジン(diclomezine)、テクロフタラム(tecloftalam)、プロピネブ(propineb)、ジチアノン(dithianon)、ホセチル(fosetyl)、ビンクロゾリン(vinchlozoline)、プロシミドン(procymidone)、オキサジキシル(oxadixyl)、グアザチン(guazatine)、プロパモカルブ塩酸塩(propamocarb)、フルアジナム(fluazinam)、オキソリニック酸(oxolinic acid)、ヒドロキシイソキサゾール(hydroxyisoxazole)、メパニピリム(mepanipyrim)等。
【0277】
本発明化合物は、半翅目害虫、鱗翅目害虫、鞘翅目害虫、双翅目害虫、膜翅目害虫、直翅目害虫、シロアリ目害虫、アザミウマ目害虫、ハダニ類、植物寄生性線虫類等の害虫に対して、優れた防除効果を示す。そのような害虫の例としては、以下の如き害虫類を例示することができる。
【0278】
半翅目害虫、例えばホソヘリカメムシ(Riptortus clavatus)、ミナミアオカメムシ(Nezara viridula)、メクラカメムシ類(Lygus sp.)、アメリカコバネナガカメムシ(Blissus leucopterus)、ナシグンバイ(Stephanitis nashi)等のカメムシ類(異翅類;heteroptera)、ツマグロヨコバイ(Nephotettix cincticeps)、ヒメヨコバイ類(Empoasca sp., Erythroneura sp.,Circulifer sp.)等のヨコバイ類、トビイロウンカ(Nilaparvata lugens)、セジロウンカ(Sogatella furcifera)、ヒメトビウンカ(Laodelphax striatellus)等のウンカ類、Psylla sp.等のキジラミ類、シルバーリーフコナジラミ(Bemisia tabaci)、オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum)等のコナジラミ類、ブドウネアブラムシ(Viteus vitifolii)、モモアカアブラムシ(Myzus persicae)、リンゴアブラムシ(Aphis pomi)、ワタアブラムシ(Aphis gossypii)、Aphis fabae、ニセダイコンアブラムシ(Rhopalosiphum psedobrassicas)、ジャガイモヒゲナガアブラムシ(Aulacorthum solani)、ムギミドリアブラムシ(Schizaphis graminum)等のアブラムシ類、クワコナカイガラムシ(Pseudococcus comstocki)、ルビーロウムシ(Ceroplastes rubens)、サンホーゼカイガラムシ(Comstockaspis perniciosa)、ヤノネカイガラムシ(Unaspis yanonensis)等のカイガラムシ類、サシガメ(Rhodnius sp.)等。
【0279】
鱗翅目害虫、例えばチャハマキ(Homona magnanima)、コカクモンハマキ(Adoxophyes orana)、テングハマキ(Sparganothis pilleriana)、ナシヒメシンクイ(Grapholitha molesta)、マメシンクイガ(Leguminivora glycinivorella)、コドリンガ(Laspeyresia pomonella)、Eucosma sp.、Lobesia botrana等のハマキガ類、ブドウホソハマキ(Eupoecillia ambiguella)等のホソハマキガ類、Bambalina sp.等のミノガ類、コクガ(Nemapogon granellus)、イガ(Tinea translucens)等のヒロズコガ類、ギンモンハモグリガ(Lyonetia prunifoliella)等のハモグリガ類、キンモンホソガ(Phyllonorycter rigoniella)等のホソガ類、ミカンハモグリガ(Phyllocnistis citrella)等のコハモグリガ類、コナガ(Plutella xylostella)、Prays citriなどのスガ類、ブドウスカシバ(Paranthrene regalis)、Synanthedon sp.等のスカシバガ類、ワタアカミムシ(Pectinophora gossypiella)、ジャガイモガ(Phthorimaea operculella)、Stomopteryx sp.等のキバガ類、モモシンクイ(Carposina niponensis)等のシンクイガ類、イラガ(Monema flavescens)等のイラガ類、ニカメイガ(Chilo suppressalis)、コブノメイガ(Cnaphalocrocis medinalis)、Ostrinia nubilalis、アワノメイガ(Ostrinia furnacalis)、ハイマダラノメイガ(Hellula undalis)、ハチミツガ(Galleria mellonella)、Elasmopalpus lignosellus、Loxostege sticticalisなどのメイガ類、モンシロチョウ(Pieris rapae)等のシロチョウ類、ヨモギエダシャク(Ascotis selenaria)等のシャクガ類、オビカレハ(Malacosoma neustria)等のカレハガ類、Manduca sextaなどのスズメガ類、チャドクガ(Euproctis pseudoconspersa)、マイマイガ(Lymantria dispar)等のドクガ類、アメリカシロヒトリ(Hyphantria cunea)等のヒトリガ類、タバコバッドワーム(Heliothis virescens)、ボールワーム(Helicoverpa zea)、シロイチモジヨトウ(Spodoptera exigua)、オオタバコガ(Helicoverpa armigera)、ハスモンヨトウ(Spodoptera litura)、ヨトウガ(Mamestra brassicae)、タマナヤガ(Agrotis ipsiron)、アワヨトウ(Pseudaletia separata)、イラクサキンウワバ(Trichoplusia ni)等のヤガ類等。
【0280】
鞘翅目害虫、例えばドウガネブイブイ(Anomala cuprea)、マメコガネ(Popillia japonica)、ヒメコガネ(Anomala rufocuprea)、Eutheola rugicepsなどのコガネムシ類、ワイヤーワーム(Agriotes sp.)、Conodeus sp.等のコメツキムシ類、ニジュウヤホシテントウ(Epilachna vigintioctopunctata)、インゲンテントウムシ(Epilachna varivestis)等のテントウムシ類、コクヌストモドキ(Tribolium castaneum)等のゴミムシダマシ類、ゴマダラカミキリ(Anoplophora malasiaca)、マツノマダラカミキリ(Monochamus alternatus)等のカミキリムシ類、インゲンマメゾウムシ(Acanthoscelides obtectus)、アズキゾウムシ(Callosobruchus chinensis)等のマメゾウムシ類、コロラドハムシ(Leptinotarsa decemlineata)、コーンルートワーム(Diabrotica sp.)、イネドロオイムシ(Oulema oryzae)、テンサイトビハムシ(Chaetocnema concinna)、Phaedon cochlearias、Oulema melanopus、Dicladispa armigeraなどのハムシ類、Apion godmaniなどのホソクチゾウムシ類、イネミズゾウムシ(Lissorhoptrus oryzophilus)、ワタミゾウムシ(Anthonomus grandis)等のゾウムシ類、コクゾウムシ(Sitophilus zeamais)等のオサゾウムシ類、キクイムシ類、カツオブシムシ類、シバンムシ類等。
【0281】
双翅目害虫、例えばキリウジガガンボ(Tipra ano)、イネユスリカ(Tanytarsus oryzae)、イネシントメタマバエ(Orseolia oryzae)、チチュウカイミバエ(Ceratitis capitata)、イネミギワバエ(Hydrellia griseola)、オウトウショウジョウバエ(Drosophila suzukii)、フリッツフライ(Oscinella frit)、イネカラバエ(chlorops oryzae)、インゲンモグリバエ(Ophiomyia phaseoli)、マメハモグリバエ(Liriomyza trifolii)、アカザモグリハナバエ(Pegomya hyoscyami)、タネバエ(Hylemia platura)、ソルガムフライ(Atherigona soccata)、イエバエ(Musca domestica)、ウマバエ(Gastrophilus sp.)、サシバエ(Stomoxys sp.)、ネツタイシマカ(Aedes aegypti)、アカイエカ(Culex pipiens)、シナハマダラカ(Anopheles slnensis)、コガタアカイエカ(Culex tritaeniorhynchus)等。
【0282】
膜翅目害虫、例えばクキバチ類(Cephus sp.)、カタビロコバチ類(Harmolita sp.)、カブラハバチ類(Athalia sp.)、スズメバチ類(Vespa sp.)、ファイアーアント類等。
【0283】
直翅目害虫、例えばチャバネゴキブリ(Blatella germanica)、ワモンゴキブリ(Periplaneta americana )、ケラ(Gryllotalpa africana)、バッタ(Locusta migratoria migratoriodes)、Melanoplus sanguinipes等。
【0284】
シロアリ目害虫、例えば、ヤマトシロアリ(Reticulitermes speratus)、イエシロアリ(Coptotermes formosanus)等。
【0285】
アザミウマ目害虫、例えば、チャノキイロアザミウマ(Scirtothrips dorsalis)、ミナミキイロアザミウマ(Thrips palmi)、クロトンアザミウマ(Heliothrips haemorrhoidalis)、ミカンキイロアザミウマ(Frankliniella occidentalis)、イネクダアザミウマ(Haplothrips aculeatus)等。
【0286】
ハダニ類、例えばナミハダニ(Tetranychus urticae)、カンザワハダニ(Tetranychus kanzawai)、ミカンハダニ(Panonychus citri)、リンゴハダニ(Panonychus ulmi)、イエローマイト(Eotetranychus carpini)、テキサスシトラスマイト(Eotetranychus banksi)、ミカンサビダニ(Phyllocoptruta oleivora)、チャノホコリダニ(Polyphagotarsonemus latus)、ヒメハダニ(Brevipalpus sp.)、ロビンネダニ(Rhizoglyphus robini)、ケナガコナダニ(Tyrophagus putrescentiae)、等。
【0287】
植物寄生性線虫類、例えばネコブセンチュウ類(Meloidogyne sp.)、ネグサレセンチュウ類(Pratylenchus sp.)、ダイズシストセンチュウ(Heterodera glycines)、ジャガイモシストセンチュウ(Globodera rostochiensis)、バナナネモグリセンチュウ(Radopholus similis)、イチゴセンチュウ(Aphelenchoides fragariae)、イネシンガレセンチュウ(Aphelenchoides besseyi)、マツノザイセンチュウ(Bursaphelenchus xylophilus)等。
【0288】
その他有害動物、不快動物、衛生害虫、寄生虫、例えばスクミリンゴガイ(Pomacea canaliculata)、ナメクジ(Incilaria sp.)、アフリカマイマイ(Achatina fulica)等の腹足綱類(Gastropoda)、ダンゴムシ(Armadillidium sp.)、ワラジムシ、ムカデ等の等脚目類(Isopoda)、Liposcelis sp.等のチャタテムシ類、Ctenolepisma sp.等のシミ類、Pulex sp.、Ctenocephalides sp.等のノミ類、Trichodectes sp.等のハジラミ類、Cimex sp.等のトコジラミ類、オウシマダニ(Boophilus microplus)、フタトゲチマダニ(Haemaphysalis longicornis)等の動物寄生性ダニ類、ヒョウヒダニ類等をあげることができる。
【0289】
さらに、有機リン系化合物、カーバメート系化合物、合成ピレスロイド系化合物、アシルウレア系化合物あるいは既存の殺虫剤に抵抗性を示す害虫に対しても有効である。
次に、実施例により、本発明化合物の製造法、製剤法及び用途を具体的に説明する。
【実施例】
【0290】
次に、実施例により、本発明化合物の製造法、製剤法及び用途を具体的に説明する。尚、本発明化合物の合成中間体の製造法も併せて記載する。
【0291】
[実施例1]
1−[2−フルオロ−4−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルスルフィニル)フェニル]−3−トリフルオロメチルチオ−1H−ピラゾール(本発明化合物番号44)の製造
1−[2−フルオロ−4−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル]−3−トリフルオロメチルチオ−1H−ピラゾール0.4gをクロロホルム10mlに溶解し、氷冷下、m−クロロ過安息香酸0.3g(純度65%)を加えた。氷冷下、1時間攪拌後、有機層をチオ硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、次いで炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去することで、1−[2−フルオロ−4−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルスルフィニル)フェニル]−3−トリフルオロメチルチオ−1H−ピラゾール0.39gを得た。
【0292】
[実施例2]
1−[2−フルオロ−4−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル]−3−トリフルオロメチルチオ−1H−ピラゾール(本発明化合物番号43)の製造
1−[2−フルオロ−4−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル]−3−メルカプト−1H−ピラゾール0.6gのN,N−ジメチルホルムアミド20ml溶液に、ヨウ化トリフルオロメチル0.57g、ロンガリット0.45gを加え、室温で1時間撹拌した。反応液を水に注加し、酢酸エチルで抽出した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去し、残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、1−[2−フルオロ−4−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル]−3−トリフルオロメチルチオ−1H−ピラゾール0.51gを得た。
【0293】
(1)1−[2−フルオロ−4−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル]−3−メルカプト−1H−ピラゾールの合成
1−[2−フルオロ−4−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル]−3−メチルスルフィニル−1H−ピラゾール0.7gを無水トリフルオロ酢酸5mlに溶解し、1時間攪拌した。無水トリフルオロ酢酸を減圧下留去し、残査をエタノール10ml、水5mlに溶解し炭酸カリウム0.83g加え、2時間還流した。反応混合物を水に注ぎ、塩酸でpHを4以下とし、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去し、1−[2−フルオロ−4−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル]−3−メルカプト−1H−ピラゾール0.6gを得た。
【0294】
[実施例3]
1−[2−フルオロ−4−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル]−3−メチルスルフィニル−1H−ピラゾール(本発明化合物番号2)の製造
5−アミノ−1−[2−フルオロ−4−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル]−3−メチルスルフィニル−1H−ピラゾール0.25gをテトラヒドロフラン20mlに溶解し、亜硝酸tert−ブチル0.36gを室温にて加え、70℃で1時間攪拌した。反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去し、残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、1−[2−フルオロ−4−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル]−3−メチルスルフィニル−1H−ピラゾール0.15gを得た。
【0295】
[実施例4]
5−アミノ−1−[2−フルオロ−4−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル]−3−メチルスルフィニル−1H−ピラゾール(本発明化合物番号135)の製造
5−アミノ−1−[2−フルオロ−4−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル]−3−メチルチオ−1H−ピラゾール0.5gをクロロホルム10mlに溶解し、氷冷下、m−クロロ過安息香酸0.4g(純度65%)を加えた。氷冷下、1時間攪拌後、有機層をチオ硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、次いで炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去することで、5−アミノ−1−[2−フルオロ−4−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル]−3−メチルスルフィニル−1H−ピラゾールを定量的に得た。
【0296】
[実施例5]
5−アミノ−1−[2−フルオロ−4−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル]−3−メチルチオ−1H−ピラゾール(本発明化合物番号134)の製造
5−アミノ−4−シアノ−1−[2−フルオロ−4−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル]−3−メチルチオ−1H−ピラゾール15.1gをエタノール200ml、塩酸100mlに溶解し1週間還流した。反応混合物を水に注ぎ、炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去し、5−アミノ−1−[2−フルオロ−4−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル]−3−メチルチオ−1H−ピラゾール11.4gを得た。
【0297】
[実施例6]
5−アミノ−4−シアノ−1−[2−フルオロ−4−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル]−3−メチルチオ−1H−ピラゾール(本発明化合物番号265)の製造
2−フルオロ−4−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニルヒドラジン7.1gをエタノール100mlに溶解し、2−[ビス(メチルチオ)メチレン]マロノニトリル7.12gを加え、2時間還流した。反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去し、5−アミノ−4−シアノ−1−[2−フルオロ−4−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル]−3−メチルチオ−1H−ピラゾール15.1gを得た。
【0298】
前記実施例に準じて製造した本発明化合物[I]の構造式と物性値を、前記実施例を含め表 11に示す。ただし、表中の記号は前記と同様の意味を表す。
尚、化合物番号は以後の記載において参照される。
【0299】
【表9】

【0300】
化合物番号174についてはH−NMRデータ(CDCl/TMS δ(ppm)値)を以下に示す。
化合物番号174:2.54(3H,s),2.55(3H,s),3.39(2H,q),7.17(1H,d),7.60(1H,d)
【0301】
次に、代表的な製剤例をあげて製剤方法を具体的に説明する。化合物、補助剤の種類及び配合比率は、これのみに限定されることなく広い範囲で変更可能である。以下の説明において、「部」は「重量部」を示す。
次に代表的な製剤例をあげて製剤方法を具体的に説明する。化合物、添加剤の種類及び配合比率は、これのみに限定されることなく広い範囲で変更可能である。以下の説明において「部」は重量部を意味する。
【0302】
[製剤例1] 乳剤
化合物番号10の化合物 30部
シクロヘキサノン 20部
ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル 11部
アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム 4部
メチルナフタリン 35部
以上を均一に溶解して乳剤とした。又、化合物番号10に代えて、表1〜表8に記載の化合物各々を用いて同様に乳剤を得ることができる。
【0303】
[製剤例2] 水和剤
化合物番号10の化合物 10部
ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩 0.5部
ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル 0.5部
珪藻土 24部
クレー 65部
以上を均一に混合粉砕して水和剤とした。又、化合物番号10に代えて、表1〜表8に記載の化合物各々を用いて同様に水和剤を得ることができる。
【0304】
[製剤例3] 粉剤
化合物番号10の化合物 2部
珪藻土 5部
クレー 93部
以上を均一に混合粉砕して粉剤とした。又、化合物番号10に代えて、表1〜表8に記載の化合物各々を用いて同様に粉剤を得ることができる。
【0305】
[製剤例4] 粒剤
化合物番号10の化合物 5部
ラウリルアルコール硫酸エステルのナトリウム塩 2部
リグニンスルホン酸ナトリウム 5部
カルボキシメチルセルロース 2部
クレー 86部
以上を均一に混合粉砕した。この混合物に水20部相当量を加えて練合し、押出式造粒機を用いて14〜32メッシュの粒状に加工したのち、乾燥して粒剤とした。又、化合物番号10に代えて、表1〜表8に記載の化合物各々を用いて同様に粒剤を得ることができる。
【0306】
次に本発明化合物を有効成分とする有害生物防除剤の奏する効果について試験例をもって説明する。
【0307】
[試験例1] ナミハダニ防除試験(浸漬処理)
製剤例2に準じて調製した水和剤を有効成分として500ppmの濃度に水で希釈した。その薬液に、予めナミハダニ成虫を接種しておいたダイズ苗を浸漬し、風乾した。処理後のダイズ苗は25℃の恒温室に置き、13日後に生存虫数を調査し、数1の計算式により防除価を求めた。試験は1連制にて行なった。この試験における結果を表10に示す。
【0308】
【表10】

【0309】
[試験例2] ナミハダニ防除試験(土壌処理)
製剤例2に準じて調製した水和剤を有効成分として100ppmの濃度に水で希釈した。その薬液を、予めナミハダニ成虫を接種しておいたダイズ苗カップの土壌(100g)に5ml潅注した。処理後のダイズ苗は25℃の恒温室に置き、13日後に生存虫数を調査し、数1の計算式により防除価を求めた。試験は1連制にて行なった。この試験における結果を表11に示す。
【0310】
【表11】

【0311】
[試験例3] トビイロウンカ殺虫試験
製剤例2に準じて調製した水和剤を有効成分として500ppmの濃度に水で希釈した。その薬液に、イネ芽だし籾を浸漬し、容量60mlのプラスティックカップに入れた。これにトビイロウンカ3齢幼虫を10頭放ち、蓋をして25℃の恒温室に置いた。6日後に生存虫数を数え、数2の計算式により死虫率を求めた。試験は1連制にて行なった。
【0312】
この試験において死虫率が100%を示す化合物は、化合物番号10、44、82、86等である。
【0313】
[試験例4] ネコブセンチュウ制線虫試験
tween20を1%含有するN,N−ジメチルホルムアミド溶液に供試化合物を溶解し、この溶液を有効成分として20ppmの濃度に蒸留水で希釈した。その薬液0.5mlと、サツマイモネコブセンチュウ第二期幼虫約30頭を含む懸濁液0.5mlとを混合し25℃の恒温室に置いた。5日後に顕微鏡下で不動および生存線虫数を数え、数3の計算式により制線虫率を求めた。試験は2連制にて行なった。
この試験において制線虫率が100%を示す化合物は、化合物番号44、82等である。
【0314】
【数1】

【0315】
【数2】

【0316】
【数3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式[I]
【化1】


[式中、
は、C〜Cアルキル基(該基はハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、C〜Cアルコキシカルボニル基、C〜Cアルコキシ基又はC〜Cシクロアルキル基によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)、C〜Cシクロアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cアルキニル基、C〜Cアルコキシ基、アミノ基、C〜Cモノアルキルアミノ基又はジ(C〜Cアルキル)アミノ基を示し、
は、C〜Cアルキル基(該基はハロゲン原子又はC〜Cシクロアルキル基によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)、C〜Cアルケニル基、C〜Cアルキニル基、C〜Cシクロアルキル基を示し、
nは0〜2の整数を示し、
mは0又は1を示し、
は水素原子、ハロゲン原子、C〜Cアルキル基(該基はハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、C〜Cアルコキシカルボニル基又はC〜Cアルコキシ基によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)、C〜Cシクロアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cアルキニル基、C〜Cアルコキシ基(該基はハロゲン原子によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)、シアノ基、アミノ基、C〜Cモノアルキルアミノ基、ジ(C〜Cアルキル)アミノ基、C〜Cアシル基又はC〜Cハロアルキルカルボニル基を示し、
は水素原子、ハロゲン原子、C〜Cアルキル基(該基はハロゲン原子、シアノ基、C〜Cアルコキシカルボニル基又はC〜Cアルコキシ基によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)、C〜Cアルケニル基、C〜Cアルキニル基、C〜Cシクロアルキル基、C〜Cアルコキシ基(該基はハロゲン原子によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)、アミノ基、C〜Cモノアルキルアミノ基、ジ(C〜Cアルキル)アミノ基、シアノ基、ニトロ基、C〜Cアシル基、NR(COR)、NR(COOR)基を示し、
、Rはそれぞれ独立して水素原子、C〜Cアルキル基(該基はハロゲン原子によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)を示し、
は水素原子、ハロゲン原子又はメチル基を示し、
はハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基又はC〜Cアルキル基(該基はハロゲン原子によりモノ置換又はポリ置換されてもよい)を示す。]で表される3−ピラゾリルフェニルスルフィド誘導体又はその塩。
【請求項2】
請求項1に記載の3−ピラゾリルフェニルスルフィド誘導体を有効成分として含有することを特徴とする農園芸用殺虫・殺ダニ・殺線虫剤。

【公開番号】特開2007−284387(P2007−284387A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−114217(P2006−114217)
【出願日】平成18年4月18日(2006.4.18)
【出願人】(000000169)クミアイ化学工業株式会社 (86)
【出願人】(000102049)イハラケミカル工業株式会社 (48)
【Fターム(参考)】