説明

3次元画像撮影装置及び3次元画像撮影方法

【課題】従来、3次元画像データを取得するために、多くのカメラを必要とし装置の規模が大きい。
【解決手段】3次元画像撮影装置は、直線の上の複数の撮影位置から被写体を撮影する装置であって、光軸が上記直線と実質的に直交すると共に互いに平行となるように複数の撮影位置から被写体を撮影し、画像データを生成するカメラ11と、上記直線上における複数の撮影位置における両端の撮影位置から所定の距離離れた位置に上記直線と実質的に直交するように配置され、複数の撮影位置における撮影領域の一部を反射するミラー2と、複数の撮影位置で生成された被写体の画像データのうち、ミラー2で反射されず被写体から直接カメラ11で撮影された第1の画像データと、ミラー2の反射により得られた第2の画像データとを区別して、第1の画像データと第2の画像データとから3次元画像データを生成する3次元画像データ生成部4とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元画像撮影技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、観察者に眼鏡を使用させることなく3次元画像を鑑賞することができる装置として裸眼3次元画像表示装置が知られている。裸眼3次元画像表示装置に用いられる画像表示方法として、レンチキュラ方法やパララックスバリア方法等が知られている。
【0003】
また、3次元画像として撮影する撮影方法として、多数のレンズと一台のカメラを組み合わせて複数の撮影位置から撮影を行う方法(例えば、特許文献1参照)が知られている。また、複数のカメラが直線状又は円弧状に配列されたカメラアレイを用いて複数の撮影位置から撮影を行う方法(例えば、非特許文献1及び非特許文献2参照)も知られている。
【0004】
いずれの方法でも、3次元画像撮影装置により複数の撮影位置から撮影することにより、それぞれの画像データが生成される。生成されたそれぞれの画像データを裸眼3次元画像表示装置を用いて表示することにより、3次元画像を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3836550号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】吉川、羽沼、高木、「指向性3次元表示に用いる平行カメラアレイによる3次元動画像の取得」、3次元画像コンファレンス2005
【非特許文献2】吉川、高木、「イメージセンサのシフトを用いた高密度指向性画像生成用3次元カメラの改善」、Optics East 2003
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来の撮影方法では、撮影対象となる領域に対応する領域の外側からも撮影を行う。つまり、従来の撮影方法では、一台のカメラを用いて撮影対象となる領域を撮影するため、撮影対象となる領域に対応する領域の内側及び外側から撮影を行って複数の画像データを生成する。又は、撮影対象となる領域より広い幅のカメラアレイを用いて複数の画像データを生成する。そのため、従来の撮影方法では、撮影回数が多くなる、又は、多くのカメラを必要とし装置の規模が大きくなるという問題があった。
【0008】
本発明は、より少ない撮影回数により又はより少ないカメラにより、撮影対象の3次元画像を撮影し複数の画像データを生成することができる3次元画像撮影装置及び3次元画像撮影方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決し上記目的を達成するために、本発明の3次元画像撮影装置は、直線の上の複数の撮影位置から被写体を撮影する3次元画像撮影装置において、光軸が前記直線と実質的に直交すると共に互いに平行となるように前記複数の撮影位置から前記被写体を撮影し、画像データを生成するカメラと、前記直線上における前記複数の撮影位置における両端の撮影位置から所定の距離離れた位置に前記直線と実質的に直交するように配置され、前記複数の撮影位置における撮影領域の一部を反射するミラーと、前記複数の撮影位置で生成された前記被写体の画像データのうち、前記ミラーで反射されず前記被写体から直接前記カメラで撮影された第1の画像データと、前記ミラーの反射により得られた第2の画像データとを区別して、前記第1の画像データと前記第2の画像データとから3次元画像データを生成する3次元画像データ生成部とを備える。
【0010】
また、本発明の3次元画像撮影装置は、直線上に配置され、光軸が前記直線と実質的に直交すると共に互いに平行であって、所定の位置に配置された被写体を撮影し、画像データを生成する複数のカメラと、前記直線上における前記複数のカメラにおける両端のカメラから所定の距離離れた位置に前記直線と実質的に直交するように配置され、前記複数のカメラの撮影領域の一部を反射するミラーと、前記複数のカメラで生成された前記被写体の画像データのうち、前記ミラーで反射されず前記被写体から直接前記カメラで撮影された第1の画像データと、前記ミラーの反射により得られた第2の画像データとを区別して、前記第1の画像データと前記第2の画像データとから3次元画像データを生成する3次元画像データ生成部と、を備える。
【0011】
また、本発明の3次元画像撮影装置は、直線上に配置された撮像レンズと、前記撮像レンズと一対の撮像素子をそれぞれ有し、所定の位置に配置された被写体を撮影し、画像データを生成する複数のカメラと、前記複数のカメラにおける両端のカメラの前記撮像レンズから所定の距離離れた位置に前記直線と実質的に直交するように配置され、前記複数のカメラの撮影領域の一部を反射するミラーと、前記複数のカメラで生成された前記被写体の画像データのうち、前記ミラーで反射されず前記被写体から直接前記カメラで撮影された第1の画像データと、前記ミラーの反射により得られた第2の画像データとを区別して、前記第1の画像データと前記第2の画像データとから3次元画像データを生成する3次元画像データ生成部と、を備え、前記撮像素子は、前記撮像素子と対である前記撮像レンズの前記直線上の位置における法線から所定の距離離れている。
【0012】
本発明の3次元画像撮影装置は、前記カメラで生成された前記被写体の画像データの幾何補正及び色情報の補正を行う画像補正部を備えてもよい。
【0013】
更に、本発明の3次元画像撮影方法は、カメラを用いて直線の上の複数の撮影位置から前記直線と実質的に直交する向きに被写体の撮影を実行する際に、前記複数の撮影位置における一部の撮影位置において、前記カメラの撮影領域を前記直線と実質的に直交する位置に配置したミラーで反射することにより撮影を実行し、前記複数の撮影位置において前記カメラによって得られた各画像データの幾何補正及び色情報の補正を実行し、補正した前記各画像データから、前記撮影領域が前記ミラーで反射されることにより撮影された画像データと、前記撮影領域が前記ミラーで反射されずに撮影された画像データとを区別して、3次元画像データを生成する。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、より少ない撮影回数により又はより少ないカメラにより、撮影対象の3次元画像を撮影し、複数の画像データとして生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施の形態1の3次元画像撮影装置の構成図である。
【図2】図1のカメラアレイ及びミラーの構成図である。
【図3】図1の画像補正部の構成図である。
【図4】図1の3次元画像データ生成部の構成図である。
【図5】光線情報を説明するための図である。
【図6】図4の3次元画像生成部の動作の各ステップを示すフローチャートである。
【図7】カメラと画像補正部との変形例の構成図である。
【図8】カメラの画角と参照面との関係の変形例を説明するための図である。
【図9】カメラの撮像素子が水平方向にシフトしている状況を示す図である。
【図10】図9におけるカメラの撮像素子が受け取る光を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
【0017】
(実施の形態1)
先ず、実施の形態1の3次元画像撮影装置を図1を用いて説明する。図1は、実施の形態1の3次元画像撮影装置の構成図である。より具体的には、図1は、実施の形態1の3次元画像撮影装置を上から見た図である。実施の形態1の3次元画像撮影装置は、図1に示すように、カメラアレイ1と、ミラー2A及びミラー2Bと、画像補正部3と、3次元画像データ生成部4とを有する。図1には、撮影対象となる被写体である参照面100も示されている。カメラアレイ1を構成する複数のカメラ11A,11B,11Cは、撮像レンズと撮像素子を有する。参照面100は、カメラアレイ1を構成する複数のカメラ11A,11B,11Cの撮像レンズのそれぞれのレンズ面がなす面と実質的に平行な面である。つまり、参照面100とカメラアレイ1とは、実質的に平行な関係にある。「実質的に平行」とは、参照面100とカメラアレイ1の複数のカメラ11それぞれのレンズ面とがなす角度が−5度から+5度の間であることを意味する。
【0018】
カメラアレイ1は、架台10と、架台10上に所定の間隔で配置された複数のカメラ11A,11B,11Cを有する。各カメラ11A,11B,11Cは、レンズと撮像素子とを有し、レンズの撮像方向(光軸)は複数のカメラ11の配列方向と直交する向きであって互いに平行である。更に言うと、全てのレンズが参照面100に向いている。カメラ11Bは、架台10の中央に固定されており、カメラ11A及びカメラ11Cはカメラ11Bを挟むように配置されている。
【0019】
ミラー2A及びミラー2Bは、カメラアレイ1の両端にあるカメラ11(カメラ11A及びカメラ11C)のそれぞれの外側に、それぞれの反射面が対向するとともに一端が架台10に密着するように配置される。すなわち、ミラー2A及びミラー2Bは、カメラアレイ1のレンズ面がなす面と実質的に直交するように配置される。また、ミラー2Aとミラー2Bは、ミラー距離W離れて配置されている。
【0020】
また、カメラ11Aは、架台10の一方の端寄りであって架台10上のカメラ11Bからミラー距離Wの1/4より長く1/2より短い距離xの位置に固定されている。カメラ11Cは、架台10の他方の端寄りであって架台10上のカメラ11Bからミラー距離Wの1/4より長く1/2より短い距離xの位置に固定されている。
【0021】
各カメラ11A,11B,11Cのレンズは、帯状の架台10と実質的に直交するように、参照面100の向きに向いている。各カメラ11A,11B,11Cは撮影を行うことによって画像データを生成する。3個のカメラ11A,11B,11Cの性能は等しく、画角は“α”であり、撮影距離は“zs”である。ミラー距離Wと、画角αと、撮影距離zsとの関係は、
W/(2zs)=tan(α/2)である。上述したように、カメラ11Bが架台10の中央に固定されているので、参照面100は、カメラ11Bの撮影領域の内のカメラ11Bから撮影距離zsの位置の範囲を意味する(図2参照)。なお、「実質的に直交」とは85度から95度を意味する。
【0022】
画像補正部3は、カメラ11A,11B,11Cに対応して設けられており、対応するカメラ11A,11B,11Cによって生成された画像データの幾何補正及び、色相・彩度・明度からなる色情報の補正をそれぞれ行う。幾何補正は、レンズの歪等の幾何歪を公知の補正式に基づいて補正するものである。3次元画像データ生成部4は、各画像補正部3によって補正された画像データから3次元画像を表示するための3次元画像データを生成する。
【0023】
次に、カメラアレイ1、ミラー2A、及びミラー2Bの構成を図2を用いて更に説明する。図2は、カメラアレイ1、ミラー2A、及びミラー2Bの構成図である。より具体的には、図2は、カメラアレイ1、ミラー2A、及びミラー2Bを上から見た図である。図2には、参照面100も示されている。
【0024】
図2に示すように、カメラ11Bは、帯状の架台10の中央に配置されており、カメラ11Aは、架台10の中央に配置されているカメラ11Bから一方の端寄りに距離xだけ離れた位置に配置されており、カメラ11Cは、架台10の中央に配置されているカメラ11Bから他方の端寄りに距離xだけ離れた位置に配置されている。上述したように、距離xは、ミラー距離Wの1/4より長く1/2より短い。ミラー2Aは、カメラ11A側の外側に架台10に密着するように配置されており、ミラー2Bは、カメラ11C側の外側に架台10に密着するように配置されている。
【0025】
上述したように、W/(2zs)=tan(α/2)が成り立つので、架台10の中央に配置されているカメラ11Bは、架台10と対向する長さWの参照面100全体を撮影することができる。“W”は、ミラー2Aとミラー2Bとの間の距離(ミラー距離)であり、“zs”は撮影距離であり、“α”はカメラ11A,11B,11Cの画角である。
【0026】
カメラ11Bから距離x離れて配置されているカメラ11Aは、直接入射する光だけを考えると、参照面100の長さWより短い部分Wしか撮影することができない。しかしながら、カメラ11Aの外側にミラー2Aが配置されているため、参照面100における部分Wの領域からの光はミラー2Aによって反射されてカメラ11Aに向かう。そのため、カメラ11Aは、架台10の延長上におけるカメラ11Aからカメラ11Bとは逆の向きに距離(W/2−x)離れた位置にカメラ11Dが設置された場合の、カメラ11Dがミラー2Aが存在しないときに撮影する参照面100の一部分Wをも撮影することができる。部分Wは、参照面100の長さWより短い撮影領域である。
【0027】
すなわち、ミラー2Aがカメラ11Aの外側に配置されたことにより、カメラ11Aは、カメラ11Dが存在しなくても、カメラ11Dが撮影する参照面100の一部分Wを撮影することができる。更に言うと、カメラ11Aは、カメラ11Aが本来撮影する参照面100の一部分Wと、カメラ11Dが撮影する参照面100の一部分Wとを同時に撮影することができる。図2は、カメラ11Aの撮像素子12の一部が部分Wからの光を受け取り、撮像素子12の残部が部分Wからの光を受け取る状況を受け取る状況をも示している。
【0028】
同様に、架台10の延長線上のカメラ11Cからカメラ11Bとは逆の向きに距離(W/2−x)離れた位置にカメラ11Eが設置された場合を考える。ミラー2Bがカメラ11Cの外側に配置されたことにより、カメラ11Cは、カメラ11Cが本来撮影する参照面100の一部分Wを撮影するとともに、カメラ11Eにより撮影される参照面100の一部分Wを撮影することができる。
【0029】
このように、ミラー2A及びミラー2Bをカメラアレイ1の両端のカメラ11A,11Cの外側に配置することにより、従来カメラ11A及びカメラ11Cの外側に配置された場合のカメラ11D及びカメラ11Eで撮影される画像をカメラ11A及びカメラ11Cで撮影することができる。そのため、カメラ11D及びカメラ11Eが不要となり、従来より少ないカメラで3次元画像を表示するための複数の画像データを生成することができる。
【0030】
次に、画像補正部3の構成を図3を用いて説明する。図3は、画像補正部3の構成図である。画像補正部3は、対応するカメラ11A,11B,11Cによって得られた画像データの幾何学的情報及び色情報を補正する。画像補正部3は、図3に示すように、取得部31と、幾何補正部32と、色補正部33と、出力部34とを有する。
【0031】
取得部31は、対応するカメラ11A,11B,11Cから撮影によって生成された画像データとカメラ情報とを取得する。カメラ情報は、カメラアレイ1におけるカメラの位置Pの情報と、カメラから参照面100までの距離zsの情報とである。幾何補正部32は、取得部31によって取得された画像データに対し歪補正など幾何学的な補正を実行する。色補正部33は、幾何補正部32によって幾何学的な補正が実行された画像データに対し色の補正を実行する。幾何学的な補正及び色の補正は、一般的にはカメラキャリブレーションと呼ばれる補正であって、カメラ11A,11B,11Cを構成する撮像素子又はレンズの特性等に応じて行われる。出力部34は、幾何補正部32及び色補正部33によって補正された画像データとカメラ情報とを3次元画像データ生成部4に出力する。
【0032】
次に、3次元画像データ生成部4の構成を図4を用いて説明する。図4は、3次元画像データ生成部4の構成図である。3次元画像データ生成部4は、各画像補正部3によって補正された画像データから3次元画像を表示するための3次元画像データを生成する。3次元画像データ生成部4は、図4に示すように、取得部41と、3次元画像生成部42と、出力部43とを有する。
【0033】
取得部41は、各画像補正部3から補正された画像データとカメラ情報とを取得する。3次元画像生成部42は、後述するようにして光線情報を生成し(図5参照)、取得部41によって取得された画像データの各画素のデータに、生成した光線情報とカメラ情報とを付加する。光線情報は、画像データにおける所定の画素に対応する参照面100における位置をpとした場合、位置pの位置情報と位置pにおける参照面100の法線と位置pからカメラアレイ1のそれぞれのカメラ11A,11B,11Cへの光路とがなす角度θの角度情報とのことである。カメラ情報は、上述したように、カメラアレイ1におけるそれぞれのカメラの位置Pの情報と、カメラから参照面100までの距離zsの情報とである。3次元画像生成部42の動作は、図5及び図6を用いて後述する。出力部43は、3次元画像生成部42によって生成された、3次元画像を表示するための3次元画像データを3次元画像表示装置50に出力する。
【0034】
次に、3次元画像生成部42の動作を説明する。先ず、参照面100の位置pにおける法線と位置pからカメラアレイ1への光路とがなす角度θによって構成される光線情報の算出方法について図5を用いて説明する。図5は、光線情報を説明するための図である。より具体的には、図5は、参照面100の位置pにおける法線と位置pからカメラアレイ1への光路とがなす角度θとの関係を説明するための図である。
【0035】
図5において、位置Pはカメラにおけるレンズ13の位置であり、Piはカメラにおける撮像素子12の位置であり、長さzsはカメラにおけるレンズ13から参照面100までの距離(撮影距離)である。このとき、tanθ=(P−p)/zsの関係が成り立つ。角度θについての相似の関係より、tanθ=(Pi−P)/fの関係が成り立つ。“f”はカメラが有するレンズ13と撮像素子12との距離である。
【0036】
また、撮像素子12の反射された光が入射する部分においては、左右が反転するので、tanθ=(W/2−P)/zsの関係が成り立つ。
【0037】
P、zs、及びfは既知であるので、3次元画像生成部42は、Piは後述するようにして算出した後、取得された画像データに基づいて、光線情報を構成する参照面100における位置pと、角度θとを算出する。光線情報を用いると、非特許文献1に記載されている高密度指向性表示用の画像だけではなく、二眼式又は多眼式の立体ディスプレイに必要な画像を生成することが可能となる。
【0038】
次に、3次元画像生成部42の動作の流れを図6を用いて説明する。図6は、3次元画像生成部42の動作の各ステップを示すフローチャートである。図6において、“n”は、各カメラによって生成された画像データの識別番号を示し、“px”,“py”は画像データに対応する画素の水平方向及び垂直方向の座標位置を示す。
【0039】
3次元画像生成部42は、先ず、最初に処理する画像データに対し、その画像データの識別番号nに“0”を付与する(ステップS1)。次に、3次元画像生成部42は、各画素のデータを処理するために、画像データの垂直方向の座標を示すpyに“0”を代入し(ステップS2)、その後、画像データの水平方向の座標を示すpxに“0”を代入する(ステップS3)。
【0040】
次に、3次元画像生成部42は、画像データnの画素(px,py)に対し、図5を用いて説明したようにして光線情報(位置p及び角度θ)を算出する(ステップS4)。なお、3次元画像生成部42は、撮像素子の大きさと画像データの水平解像度とから、次の式を用いてPiを算出する。
【0041】
Pi=P+(s_width/i_width)×(i_width/2−px)
“P”は撮影したカメラの位置であり、“s_width”は撮像素子の水平方向の長さであり、“i_width”は画像データの水平解像度である。カメラは、撮像素子によって得られたデータを画像エンジンにより左右及び上下を反転させるので、3次元画像生成部42は、左右及び上下の反転を考慮し、ミラーにより反射された参照面100からの光と、参照面100から直進してカメラ11A,11B,11Cに入射した光とを区別して光線情報を算出する。
【0042】
3次元画像生成部42は、Piを算出した後、Piを用いて光線情報を算出し(ステップS4)、自らが保持するバッファに算出した光線情報を格納する。
【0043】
次に、3次元画像生成部42は、pxに1を足し(ステップS5)、pxが画像データの水平解像度に達したか否かを判断し(ステップS6)、pxが水平解像度に達していなければ(ステップS6でNo)、ステップS4に戻って対応する画素の光線情報を算出する。pxが水平解像度に達していれば(ステップS6でYes)、3次元画像生成部42は、pyに1を足し(ステップS7)、pyが画像データの垂直解像度に達したか否かを判断する(ステップS8)。
【0044】
3次元画像生成部42は、pyが垂直解像度に達していなければ(ステップS8でNo)、ステップS3に戻ってステップS7までの処理を実行する。3次元画像生成部42は、pyが垂直解像度に達していれば(ステップS8でYes)、n=0の画像データの全画素の光線情報を算出したことになるので、nに1を足し(ステップS9)、nが画像データの数に達したか否かを判断する(ステップS10)。
【0045】
3次元画像生成部42は、nが画像データの数に達していなければ(ステップS10でNo)、ステップS2に戻ってpy及びpxを0に初期化してn=1の画像データに対してステップS9までの処理を実行する。3次元画像生成部42は、nが画像データの数に達していれば(ステップS10でYes)、全ての画像データの全ての画素の光線情報を算出したことになるので、処理を終了する。
【0046】
3次元画像生成部42が全ての画像データの光線情報の算出を終了すると、出力部43は、各画素データに対応する光線情報を関連付けた3次元画像データを3次元画像表示装置50に出力する。3次元画像表示装置50は、3次元画像データ生成部4からの3次元画像データを表示し、それにより3次元画像を観察者に提供する。
【0047】
実施の形態1の3次元画像撮影装置では、図2を用いて説明したように、ミラー2A及びミラー2Bがカメラアレイ1の両端の外側にそれぞれ配置されることにより、参照面100からの光のうちミラー2A又はミラー2Bで反射される光はミラー2Aとミラー2Bとの内側に集められる。これにより、従来、ミラー2A及びミラー2Bの外側に配置していたカメラ11D及びカメラ11Eが不要となる。すなわち、実施の形態1の3次元画像撮影装置は、従来より少ないカメラで3次元画像を表示するための複数の画像データを生成することができる。また、実施の形態1の3次元画像撮影装置は、従来の規模より小さくなる。
【0048】
また、実施の形態1の3次元画像撮影装置は、図5及び図6を用いて説明したように、ミラー2により反射された光が撮像素子12に入射する部分においては、左右が反転することを考慮して、ミラーにより反射された参照面100からの光と、参照面100から直進してカメラ11A,11B,11Cに入射した光とを区別して、光線情報及び3次元画像データを生成するので、ミラー2を用いない従来の方法と同様に3次元画像データを生成することができる。
【0049】
なお、上述した実施の形態1では、図1に示すように、画像補正部3は、対応するカメラ11A,11B,11C毎に設けられる。しかしながら、図7に示すように、画像補正部3は、1個のみ設けられ、1個の画像補正部3が全てのカメラ11A,11B,11Cからの画像データを補正してもよい。
【0050】
また、上述した実施の形態1の3次元画像撮影装置は、ミラー2A及びミラー2Bを有するが、ミラー2A及びミラー2Bの一方を有しなくてもよい。この場合も、従来必要であったカメラ11D及びカメラ11Eの一方が不要となり、従来より少ないカメラで3次元画像を表示するための複数の画像データを生成することができる。また、3次元画像撮影装置の規模も、従来の規模より小さくなる。
【0051】
また、参照面100の長さWは、図8に示すように、対向するカメラアレイ1の中央に配置されるカメラBの撮影距離zsにおける撮影領域より長くてもよい。逆に、参照面の長さWは、カメラBの撮影距離zsにおける撮影領域Wより短くてもよい。
【0052】
また、上述した実施の形態1では、カメラアレイ1には3個のカメラが設けられる場合を説明した。しかしながら、カメラアレイ1に設けられるカメラの数は3に限定されない。
【0053】
また、上述した実施の形態1では、カメラアレイ1の互いに異なる位置に設けられる3個のカメラ11A,11B,11Cによって参照面100を撮影する場合を説明した。しかしながら、1個のカメラを移動装置により直線上を移動させ、複数の撮影位置から参照面100を撮影してもよい。
【0054】
更に、図9に示すように、各カメラ11A,11B,11Cの撮像素子は水平方向にシフトしてもよい。ここで、水平にシフトとは、撮像レンズのそれぞれのレンズ面がなす面の法線方向に対して左右いずれかにシフトしている状態を表している。図9は、カメラ11Aの撮像素子12がミラー2A寄りに水平にシフトしている状況を示している。また、図9は、カメラ11Dの撮像素子12もカメラ11A,11B,11Cの撮像素子12と同じ向きにシフトしている状況を示している。この場合、図10に示すように、カメラ11Aの撮像素子12は、ミラー2A寄りにシフトした状態で、カメラ11Dの撮像素子12は、ミラー2Aが存在しない場合に受け取る光を受け取る。このように、カメラ11A,11B,11Cの撮像素子12が水平方向にシフトすると、図2に示すように撮像素子12がシフトしない場合より多くの画像データを取得することができる。ただし、カメラ11A,11B,11Cは、撮像素子12がシフトしていないときと、シフトしたときとの画像データを同時に生成することができないので、撮影回数及び撮影枚数は、上述した実施の形態1の場合に比べて増加する。
【符号の説明】
【0055】
1 カメラアレイ1、2A ミラー、 2B ミラー、 3 画像補正部、 4 3次元画像データ生成部、 10 架台、 11A カメラ、 11B カメラ、 11C カメラ、 11D カメラ、 11E カメラ、 12 撮像素子、 100 参照面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線の上の複数の撮影位置から被写体を撮影する3次元画像撮影装置において、
光軸が前記直線と実質的に直交すると共に互いに平行となるように前記複数の撮影位置から前記被写体を撮影し、画像データを生成するカメラと、
前記直線上における前記複数の撮影位置における両端の撮影位置から所定の距離離れた位置に前記直線と実質的に直交するように配置され、前記複数の撮影位置における撮影領域の一部を反射するミラーと、
前記複数の撮影位置で生成された前記被写体の画像データのうち、前記ミラーで反射されず前記被写体から直接前記カメラで撮影された第1の画像データと、前記ミラーの反射により得られた第2の画像データとを区別して、前記第1の画像データと前記第2の画像データとから3次元画像データを生成する3次元画像データ生成部と
を備えることを特徴とする3次元画像撮影装置。
【請求項2】
直線上に配置され、光軸が前記直線と実質的に直交すると共に互いに平行であって、所定の位置に配置された被写体を撮影し、画像データを生成する複数のカメラと、
前記直線上における前記複数のカメラにおける両端のカメラから所定の距離離れた位置に前記直線と実質的に直交するように配置され、前記複数のカメラの撮影領域の一部を反射するミラーと、
前記複数のカメラで生成された前記被写体の画像データのうち、前記ミラーで反射されず前記被写体から直接前記カメラで撮影された第1の画像データと、前記ミラーの反射により得られた第2の画像データとを区別して、前記第1の画像データと前記第2の画像データとから3次元画像データを生成する3次元画像データ生成部と、
を備えることを特徴とする3次元画像撮影装置。
【請求項3】
直線上に配置された撮像レンズと、前記撮像レンズと一対の撮像素子をそれぞれ有し、所定の位置に配置された被写体を撮影し、画像データを生成する複数のカメラと、
前記複数のカメラにおける両端のカメラの前記撮像レンズから所定の距離離れた位置に前記直線と実質的に直交するように配置され、前記複数のカメラの撮影領域の一部を反射するミラーと、
前記複数のカメラで生成された前記被写体の画像データのうち、前記ミラーで反射されず前記被写体から直接前記カメラで撮影された第1の画像データと、前記ミラーの反射により得られた第2の画像データとを区別して、前記第1の画像データと前記第2の画像データとから3次元画像データを生成する3次元画像データ生成部と、
を備え、
前記撮像素子は、前記撮像素子と対である前記撮像レンズの前記直線上の位置における法線から所定の距離離れていることを特徴とする3次元画像撮影装置。
【請求項4】
前記カメラで生成された前記被写体の画像データの幾何補正及び色情報の補正を行う画像補正部を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の3次元画像撮影装置。
【請求項5】
カメラを用いて直線の上の複数の撮影位置から前記直線と実質的に直交する向きに被写体の撮影を実行する際に、
前記複数の撮影位置における一部の撮影位置において、前記カメラの撮影領域を前記直線と実質的に直交する位置に配置したミラーで反射することにより撮影を実行し、
前記複数の撮影位置において前記カメラによって得られた各画像データの幾何補正及び色情報の補正を実行し、
補正した前記各画像データから、前記撮影領域が前記ミラーで反射されることにより撮影された画像データと、前記撮影領域が前記ミラーで反射されずに撮影された画像データとを区別して、3次元画像データを生成する
ことを特徴とする3次元画像撮影方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−135414(P2011−135414A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−294074(P2009−294074)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】