説明

4−置換又は非置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸化合物又はそのエステル化合物の製法

本発明は、酸又は塩基の存在下、式(2):


式中、Rは、水素原子又は炭化水素基を表し、Rは、水素原子又は置換基を有していても良い炭化水素基を表す、
で示される4−置換又は非置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物と、式(3):
OH (3)
式中、Rは、水素原子又は炭化水素基を表す、
で示される水又はアルコールを反応させることを特徴とする、式(1):


式中、R、R及びRは、前記と同義である、
で示される4−置換又は非置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸化合物又はそのエステル化合物の製法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4−置換又は非置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物から4−置換又は非置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸化合物又はそのエステル化合物を製造する方法並びにその原料化合物である4−置換又は非置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物を製造する方法に関する。4−置換又は非置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸化合物又はそのエステル化合物は、医薬・農薬等の原料や合成中間体として有用な化合物である。
【背景技術】
【0002】
従来、4−置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸化合物を製造する方法としては、例えば、ジイソプロピルアミンとn−ブチルリチウムから合成したリチウムジイソプロピルアミドの存在下、テトラヒドロピラン−4−カルボン酸とヨウ化メチルを、ヘキサンとテトラヒドロフランの混合溶媒中で3.5日間反応させて、4−メチルテトラヒドロピラン−4−カルボン酸を製造する方法が記載されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この方法では、反応時間が極めて長い上に、強塩基であるリチウムジイソプロピルアミドを用いるため反応系が複雑となり、4−置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸化合物の工業的な製法としては不利であった。
【0003】
また、4−非置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸を製造する方法としては、例えば、テトラヒドロピラン−4,4−ジカルボン酸を185℃に加熱して、単離収率64%でテトラヒドロピラン−4−カルボン酸を得る方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、上記の方法では、高い反応温度が必要である上に、収率が低く、4−非置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸化合物の工業的な製法としては満足するものではなかった。
【0004】
更に、4−非置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸エステルを製造する方法としては、テトラヒドロピラン−4,4−ジカルボン酸エステルを脱炭酸させる方法が知られている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、この方法では、多量の臭化テトラn−ブチルホスホニウムが必要であり、反応温度が高い上に、目的物の収率が低い等の問題を有しており、4−非置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸エステルの工業的な製法としては不利であった。
【0005】
一方、4−シアノテトラヒドロピラン化合物から4−置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物を製造する方法としては、例えば、ジイソプロピルアミンとn−ブチルリチウムから合成したリチウムジイソプロピルアミドの存在下、2,3,5,6−テトラヒドロ−4H−ピラン−4−カルボニトリル(4−シアノテトラヒドロピラン)、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン及び1−(ブロムメチル)−4−[2−(トリメチルシリロキシル)エチル]ベンゼンを、ヘキサンとテトラヒドロフランの混合溶媒中で反応させて、4−[[4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル]メチル]テトラヒドロピラン−4−カルボニトリルを製造する方法が開示されている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、この方法では、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オンを基質に対して過剰に用いなければならない上に、反応系が複雑であり、4−置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物の工業的な製法としては不利であった。
【0006】
また、本発明において原料化合物としても使用される4−非置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物を製造する方法としては、例えば、ビス(2−クロロエチル)エーテルとシアノ酢酸エチルとを反応させて4−シアノテトラヒドロピラン−4−カルボン酸エチルとした後、これを加水分解して4−シアノテトラヒドロピラン−4−カルボン酸を得、次いで、これを180〜200℃に加熱して4−シアノテトラヒドロピランを総合取得収率2.3%で製造する方法が知られている(例えば、非特許文献1参照)。しかしながら、この方法では、反応工程が多い上に、収率が極めて低く、4−非置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物の工業的な製法としては満足出来るものではなかった。
【0007】
【特許文献1】特表2002−501066号公報
【特許文献2】国際公開WO03 106418号公報
【特許文献3】特開2000−281672号公報
【特許文献4】特開平5−279319号公報
【非特許文献1】J.Chem.Soc.,1930,2525
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の第1の課題は、即ち、上記問題点を解決し、繁雑な操作を必要とすることなく、温和な条件にて、4−置換又は非置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物から高収率で4−置換又は非置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸化合物又はそのエステル化合物を製造することが出来る、工業的に好適な4−置換又は非置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸化合物又はそのエステル化合物の製法を提供することである。
本発明の第2の課題は、上記問題点を解決し、繁雑な操作を必要とすることなく、4−シアノテトラヒドロピラン化合物から高収率で4−置換又は非置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物を製造することが出来る、工業的に好適な4−置換又は非置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物の製法を提供することである。
本発明の第3の課題は、上記問題点を解決し、簡便な方法によって、4−置換テトラヒドロピラン化合物から、4−シアノテトラヒドロピラン化合物を高収率で製造出来る、工業的に好適な4−シアノテトラヒドロピラン化合物の製法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の発明は、酸又は塩基の存在下、式(2):
【0010】

【0011】
式中、Rは、水素原子又は炭化水素基を表し、Rは、水素原子又は置換基を有していても良い炭化水素基を表す、
で示される4−置換又は非置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物と、式(3):
OH (3)
式中、Rは、水素原子又は炭化水素基を表す、
で示される水又はアルコールを反応させることを特徴とする、式(1):
【0012】

【0013】
式中、R、R及びRは、前記と同義である、
で示される4−置換又は非置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸化合物又はそのエステル化合物の製法に関する。
【0014】
本発明の第2の発明は、塩基の存在下、式(4):

式中、Rは、前記と同義である、
で示される4−非置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物と、式(5):
X (5)
【0015】
式中、Rは、前記と同義であり、Xは、脱離基を表す、
で示される反応試剤を反応させることを特徴とする、前記式(2)で示される4−置換又は非置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物の製法に関する。
【0016】
本発明の第3の発明は、(6):

【0017】
式中、X及びRは、前記と同義である、
で示される4−置換テトラヒドロピラン化合物とシアノ化剤とを反応させることを特徴とする、前記式(4)で示される4−シアノテトラヒドロピラン化合物の製法に関する。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、繁雑な操作を必要とすることなく、温和な条件にて、4−置換又は非置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物から高収率で4−置換又は非置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸化合物又はそのエステル化合物を製造することが出来る、工業的に好適な4−置換又は非置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸化合物又はそのエステル化合物の製法を提供することが出来る。
本発明により、繁雑な操作を必要とすることなく、4−非置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物から高収率で4−置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物を製造することが出来る、工業的に好適な4−置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物の製法を提供することが出来る。
本発明により、簡便な方法によって、4−置換テトラヒドロピラン化合物から、4−シアノテトラヒドロピラン化合物を高収率で製造出来る、工業的に好適な4−シアノテトラヒドロピラン化合物の製法を提供することを提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の第1の発明において使用する4−置換又は非置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物は、前記の式(2)で示される。その式(2)において、Rは、水素原子又は炭化水素基であるが、炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の炭素原子数1〜6の直鎖又は分岐アルキル基;ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等の炭素原子数7〜12のアラルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基等の炭素原子数1〜6の直鎖又は分岐アルキル基が0〜6個フェニル基、ナフチル基、アントリル基等に置換したアリール基が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
【0020】
又、Rは、水素原子又は置換基を有していても良い炭化水素基であるが、炭化水素基としては、Rで挙げたものと同義である。これらの基は、各種異性体を含む。前記のRの炭化水素基は、置換基を有していても良い。その置換基としては、炭素原子を介して出来る置換基、酸素原子を介して出来る置換基、窒素原子を介して出来る置換基、硫黄原子を介して出来る置換基、ハロゲン原子が挙げられる。
【0021】
前記炭素原子を介して出来る置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロブチル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基等のアルケニル基;キノリル基、ピリジル基、ピロリジル基、ピロリル基、フリル基、チエニル基等の複素環基;フェニル基、トリル基、フルオロフェニル基、キシリル基、ビフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等のアリール基;アセチル基、プロピオニル基、アクリロイル基、ピバロイル基、シクロヘキシルカルボニル基、ベンゾイル基、ナフトイル基、トルオイル基等のアシル基(アセタール化されていても良い);カルボキシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;フェノキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基;シアノ基が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
【0022】
前記酸素原子を介して出来る置換基としては、例えば、ヒドロキシル基;メトキシル基、エトキシル基、プロポキシル基、ブトキシル基、ペンチルオキシル基、ヘキシルオキシル基、ヘプチルオキシル基、ベンジルオキシル基等のアルコキシル基;フェノキシル基、トルイルオキシル基、ナフチルオキシル基等のアリールオキシル基が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
【0023】
前記窒素原子を介して出来る置換基としては、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基等の第一アミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、メチルブチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、N−メチル−N−メタンスルホニルアミノ基等の第二アミノ基;モルホリノ基、ピペリジノ基、ピペラジニル基、ピラゾリジニル基、ピロリジノ基、インドリル基等の複素環式アミノ基;イミノ基が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
【0024】
前記硫黄原子を介して出来る置換基としては、例えば、メルカプト基;チオメトキシル基、チオエトキシル基、チオプロポキシル基等のチオアルコキシル基;チオフェノキシル基、チオトルイルオキシル基、チオナフチルオキシル基等のチオアリールオキシル基等が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
【0025】
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0026】
第1の発明の反応において使用する酸としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、ギ酸、酢酸、クロロ酢酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられるが、好ましくは硫酸、塩酸、リン酸が使用される。なお、これらの酸は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
【0027】
第1の発明の反応において使用する塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等のアルカリ金属アルコキシド;トリエチルアミン、トリブチルアミン等のアミン類;ピリジン、ピコリン等のピリジン類が挙げられるが、好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが使用される。なお、これらの塩基は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
【0028】
前記酸及び塩基の使用量は、4−置換又は非置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物1モルに対して、好ましくは0.1〜50モル、更に好ましくは1.0〜20モルである。
【0029】
第1の発明の反応は溶媒の存在下で行うのが望ましい。使用される溶媒としては、反応を阻害しないものならば特に限定されず、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類;,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;N,N’−ジメチルイミダゾリジノン等の尿素類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;塩化メチレン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類が挙げられるが、好ましくは水、アルコール類が使用される。なお、これらの溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
【0030】
前記溶媒の使用量は、反応の均一性や攪拌性により適宜調節するが、4−置換又は非置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物1gに対して、好ましくは0.1〜100ml、更に好ましくは0.1〜20mlである。
【0031】
第1の発明の反応において使用する水又はアルコールは、前記の式(3)で示される。その式(3)において、Rは、水素原子又は炭化水素基であるが、炭化水素基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素原子数1〜6の直鎖又は分岐アルキル基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基が挙げられるが、好ましくはアルキル基、更に好ましくはメチル基、エチル基である。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
【0032】
前記水又はアルコールの使用量は、4−置換又は非置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物1モルに対して、好ましくは1〜100モル、更に好ましくは2〜20モルである。
【0033】
前記酸の使用量は、4−置換又は非置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物1モルに対して、好ましくは0.1〜10モル、更に好ましくは0.5〜5.0モルである。
【0034】
第1の発明の反応は、例えば、4−置換又は非置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物、酸又は塩基、水又はアルコール、及び溶媒を混合して、攪拌しながら反応させる等の方法によって行われる。その際の反応温度は、好ましくは0〜200℃、更に好ましくは10〜130℃であり、反応圧力は特に制限されない。
【0035】
第1の発明の反応によって4−置換又は非置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸化合物又はそのエステル化合物が得られるが、これは、反応終了後、中和、抽出、濾過、濃縮、蒸留、再結晶、晶析、カラムクロマトグラフィー等の一般的な方法によって単離・精製される。
【0036】
第1の発明において使用される前記式(2)で示される4−置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物は、塩基の存在下、式(4):
【0037】

【0038】
式中、Rは、前記と同義である、
で示される4−非置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物と式(5):
【0039】
X (5)
【0040】
式中、Rは、前記と同義であり、Xは、脱離基を表す、
で示される反応試剤を反応させることによる、本発明の第2の発明により容易に製造することができる。
【0041】
第2の発明の上記反応において使用する4−非置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物は、前記の式(4)で示される。その式(4)において、Rは、前記と同義である。
【0042】
第2の発明の反応において使用する反応試剤は、前記の式(5)で示される。その式(5)において、Rは、前記と同義である。
【0043】
式(5)におけるXは、脱離基であるが、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メタンスルホニルオキシ基、エタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基等のアルキルスルホニルオキシ基;メトキシスルホニルオキシ基等のアルコキシスルホニルオキシ基;ベンゼンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基、p−フルオロベンゼンスルホニルオキシ基、p−ブロモベンゼンスルホニルオキシ基、p−メトキシベンゼンスルホニルオキシ基等のアリールスルホニルオキシ基が挙げられる。
【0044】
前記反応試剤の使用量は、4−非置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物1モルに対して、好ましくは1.0〜10モル、更に好ましくは1.0〜5モルである。
【0045】
第2の発明の反応において使用する塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等のアルカリ金属アルコキシド;水素化ナトリウム、水素化カリウム等のアルカリ金属水素化物;水素化カルシウム等のアルカリ土類金属水素化物;メチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム等のアルカリ金属アルキル;リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、ナトリウムアミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド等のアルカリ金属アミが使用される。なお、これらの塩基は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
【0046】
前記塩基の使用量は、4−非置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物1モルに対して、好ましくは1.0〜10モル、更に好ましくは1.0〜5モルである。
【0047】
第2の発明の反応は溶媒の存在下で行うことが望ましい。使用する溶媒としては、反応を阻害しないものならば特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;N,N’−ジメチルイミダゾリジノン等の尿素類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類が挙げられるが、好ましくはアミド類、エーテル類、芳香族炭化水素類が使用される。なお、これらの溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
【0048】
前記溶媒の使用量は、反応の均一性や攪拌性により適宜調節するが、4−非置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物1gに対して、好ましくは1〜50ml、更に好ましくは2〜10mlである。
【0049】
第2の発明の反応は、例えば、4−非置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物、塩基及び溶媒を混合して攪拌させた後、次いで、反応試剤を加えて、攪拌しながら反応させる等の方法によって行われる。その際の反応温度は、好ましくは−20〜180℃、更に好ましくは−5〜120℃であり、反応圧力は特に制限されない。
【0050】
第2の発明の反応によって4−置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物が得られるが、これは、反応終了後、中和、抽出、濾過、濃縮、蒸留、再結晶、晶析、カラムクロマトグラフィー等の一般的な方法によって単離・精製される。
【0051】
本発明において、前記第2の発明に使用される前記式(4)で示される4−非置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物は、式(6):
【0052】

【0053】
式中、Xは、脱離基を示し、Rは、前記と同義である、
で示される4−置換テトラヒドロピラン化合物とシアノ化剤とを反応させることによる、本発明の第3の発明により容易に製造することができる。
【0054】
第3の発明の反応において使用する4−置換テトラヒドロピラン化合物は、前記の式(6)で示される。その式(6)において、Xは脱離基であり、具体的には、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メタンスルホニルオキシ基、エタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基等のアルキルスルホニルオキシ基;ベンゼンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基、p−ブロモベンゼンスルホニルオキシ基、p−メトキシベンゼンスルホニルオキシ基等のアリールスルホニルオキシ基が挙げられる。又、Rは、前記と同義である。
【0055】
第3の発明の反応において使用するシアノ化剤としては、例えば、シアン化リチウム、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、シアン化銅、シアン化鉄、シアン化テトラエチルアンモニウム等が挙げられる。なお、これらのシアノ化剤は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
【0056】
前記シアノ化剤の使用量は、4−置換テトラヒドロピラン化合物1モルに対して、好ましくは1.0〜10モル、更に好ましくは1.1〜5.0モルである。
【0057】
第3の発明の反応は、溶媒中で行うことが望ましい。使用する溶媒は、反応を阻害しないものならば特に限定されないが、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール、エチレングリコール、トリエチレングリコール等のアルコール類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;N,N’−ジメチルイミダゾリジノン等の尿素類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類が挙げられるが、好ましくはアルコール類;アミド類、スルホキシド類が使用される。なお、これらの溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
【0058】
前記溶媒の使用量は、反応液の均一性や攪拌性により適宜調節するが、4−置換テトラヒドロピラン化合物1gに対して、好ましくは1〜100g、更に好ましくは1〜20gである。
【0059】
第3の発明の反応は、例えば、4−置換テトラヒドロピラン化合物、シアノ化剤及び溶媒を混合して、攪拌しながら反応させる等の方法によって行われる。その際の反応温度は、好ましくは20〜200℃、更に好ましくは40〜120℃であり、反応圧力は特に制限されない。なお、本発明の反応中に、毒性のあるシアン化水素が発生する場合があるので、予め系内に塩基(例えば、有機アミン類やアルカリ金属塩等)を存在させておくのが望ましい。
【0060】
又、反応性を調節するために、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド等の四級アンモニウム塩;ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム等のハロゲン化アルカリ金属を添加しても良い。
【0061】
第3の発明の反応によって得られた4−非置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物は、例えば、中和、抽出、濾過、濃縮、蒸留、再結晶、晶析、カラムクロマトグラフィー等の一般的な方法によって単離・精製される。
【実施例】
【0062】
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0063】
実施例1(4−シアノテトラヒドロピランの合成)
攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた内容積20mlのガラス製フラスコに、テトラヒドロピラニル−4−メタンスルホネート1.85g(10.2mmol)、シアン化カリウム1.0g(15.4mmol)及びジメチルスルホキシド10mlを加え、攪拌しながら80℃で7時間反応させた。反応終了後、反応液をガスクロマトグラフィーで分析(内部標準法)で分析したところ、4−シアノテトラヒドロピランが0.50g生成していた(反応収率:44%)。
【0064】
実施例2(4−シアノテトラヒドロピランの合成)
攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた内容積20mlのガラス製フラスコに、テトラヒドロピラニル−4−メタンスルホネート1.85g(10.2mmol)、シアン化カリウム1.0g(15.4mmol)、トリエチルアミン2.07g(20.4mmol)及びジメチルスルホキシド10mlを加え、攪拌しながら80℃で7時間反応させた。反応終了後、反応液をガスクロマトグラフィーで分析(内部標準法)で分析したところ、4−シアノテトラヒドロピランが0.47g生成していた(反応収率:41%)。
【0065】
実施例3(4−シアノテトラヒドロピランの合成)
攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた内容積20mlのガラス製フラスコに、テトラヒドロピラニル−4−p−トルエンスルホネート2.62g(10.2mmol)、シアン化カリウム1.0g(15.4mmol)及びジメチルスルホキシド10mlを加え、攪拌しながら80℃で7時間反応させた。反応終了後、反応液をガスクロマトグラフィーで分析(内部標準法)で分析したところ、4−シアノテトラヒドロピランが0.46g生成していた(反応収率:41%)。
【0066】
実施例4(4−シアノテトラヒドロピランの合成)
攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた内容積20mlのガラス製フラスコに、4−ブロモテトラヒドロピラン1.69g(10.2mmol)、シアン化カリウム1.0g(15.4mmol)及びジメチルスルホキシド10mlを加え、攪拌しながら80℃で7時間反応させた。反応終了後、反応液をガスクロマトグラフィーで分析(内部標準法)で分析したところ、4−シアノテトラヒドロピランが0.10g生成していた(反応収率:9%)。
【0067】
参考例(4−シアノテトラヒドロピランの合成)
攪拌装置、温度計、滴下漏斗及び還流冷却器を備えた内容積2Lのガラス製フラスコに、窒素雰囲気下、酸化銅(I)4.6g(31.9mmol)及びピリジン200gを加え、攪拌しながら100℃まで昇温させた。次いで、純度99%の4−シアノテトラヒドロピラン−4−カルボン酸200g(1.28mol)をピリジン400gに溶解させた液を、反応液の温度を100〜110℃に保ちながらゆるやかに滴下して、100〜110℃で1時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、攪拌しながら、水500ml、濃塩酸650ml(7.80mol)及びトルエン500mlを順次加えた。水層と有機層(トルエン層)を分離し、水層をトルエン500mlで3回抽出した後、該有機層とトルエン抽出液を合わせて減圧下で濃縮した。得られた濃縮液を減圧蒸留(100〜120℃、2.0〜2.7kPa)して、無色液体として、純度99%(ガスクロマトグラフィーによる面積百分率)の4−シアノテトラヒドロピラン133.5gを得た(単離収率:93%)。
【0068】
4−シアノテトラヒドロピランの物性値は以下の通りであった。
CI−MS(m/e);112(M+1)
H−NMR(CDCl,δ(ppm));1.63〜1.74(2H,m)、1.80〜1.89(2H,m)、3.04〜3.11(1H,m)、3.43〜3.50(2H,m)、3.67〜3.75(2H,m)
【0069】
実施例6(4−メチル−4−シアノテトラヒドロピランの合成)
攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた内容積30mlのガラス製フラスコに、4−シアノテトラヒドロピラン1.0g(9.0mmol)及び乾燥テトラヒドロフラン5mlを加えた後、液温を0〜5℃に保ちながら、1.0mol/lリチウムビス(トリメチルシリル)アミドのテトラヒドロフラン溶液10.8ml(10.8mmol)をゆるやかに滴下し、同温度で1.5時間攪拌させた。次いで、ヨウ化メタン3.8g(27mmol)をゆるやかに滴下した後、室温にて2時間反応させた。反応終了後、得られた反応液に、氷冷下、1.0mmol/l塩酸15ml(15mmol)を加えた後、反応液を濃縮した。濃縮液に、飽和塩化ナトリウム水溶液10mlを加えた後、酢酸エチル30mlで2回抽出し、抽出液を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過後、減圧下で濃縮し、薄黄色液体として、4−メチル−4−シアノテトラヒドロピラン0.98gを得た(単離収率:87%)。
4−メチル−4−シアノテトラヒドロピランの物性値は以下の通りであった。
【0070】
CI−MS(m/e);126(M+1)
H−NMR(CDCl,δ(ppm));1.42(3H,s)、1.56〜1.66(2H,m)、1.82〜1.89(2H,m)、3.65〜3.74(2H,m)、3.92〜3.98(2H,m)
【0071】
実施例7(4−メチルテトラヒドロピラン−4−カルボン酸の合成)
攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた内容積30mlのガラス製フラスコに、4−メチル−4−シアノテトラヒドロピラン0.8g(6.4mmol)及び8mol/l水酸化ナトリウム水溶液3.5ml(2.8mmol)を加え、100℃で8時間攪拌させた。反応終了後、氷冷下、得られた反応液に、12mmol/l塩酸3.0ml(36mmol)を加えた後、水40ml及びクロロホルム50mlを加え、有機層を分液した。水層をジエチルエーテル50mlで抽出した後、先の有機層と合わせて無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過後、減圧下で濃縮し、薄黄色固体として、4−メチルテトラヒドロピラン−4−カルボン酸0.72gを得た(単離収率:78%)。
4−メチルテトラヒドロピラン−4−カルボン酸の物性値は以下の通りであった。
【0072】
CI−MS(m/e);145(M+1)
H−NMR(CDCl,δ(ppm));1.30(3H,s)、1.49〜1.58(2H,m)、2.06〜2.12(2H,m)、3.52〜3.61(2H,m)、3.80〜3.87(2H,m)、11.5(1H,brs)
【0073】
実施例8(テトラヒドロピラン−4−カルボン酸の合成)
攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた内容積300mlのガラス製フラスコに、実施例5で合成した純度99%の4−シアノテトラヒドロピラン33.8g(0.3mol)、4mol/l水酸化ナトリウム水溶液150ml(0.6mol)及びメタノール34mlを加え、攪拌しながら90℃で10時間反応させた。反応終了後、反応液を減圧下で濃縮し、氷冷下、得られた濃縮液に、12mol/l塩酸50ml(0.6mol)を加えた後、酢酸エチル170mlを加え、有機層を分液した。水層を酢酸エチル102mlで抽出した後、先の有機層と合わせて無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過後、減圧下で濃縮し、白色固体として、テトラヒドロピラン−4−カルボン酸34.6gを得た(単離収率:74%)。
テトラヒドロピラン−4−カルボン酸の物性値は以下の通りであった。
【0074】
融点;83〜84℃
CI−MS(m/e);131(M+1)
H−NMR(CDCl,δ(ppm));1.74〜1.92(4H,m)、2.54〜2.64(1H,m)、3.41〜3.50(2H,m)、3.96〜4.02(2H,m)、10.80(1H,brs)
【0075】
実施例9(テトラヒドロピラン−4−カルボン酸の合成)
攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた内容積50mlのガラス製フラスコに、実施例5で合成した純度99%の4−シアノテトラヒドロピラン1.07g(9.5mmol)及び6mol/l塩酸10ml(60mmol)を加え、攪拌しながら80〜90℃で7時間反応させた。反応終了後、反応液をガスクロマトグラフィーで分析(内部標準法)したところ、テトラヒドロピラン−4−カルボン酸が1.06g生成していた(反応収率:86%)。
【0076】
実施例10(テトラヒドロピラン−4−カルボン酸メチルの合成)
攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた内容積300mlのガラス製フラスコに、窒素雰囲気下、実施例5で合成した純度99%の4−シアノテトラヒドロピラン22.8g(197.4mmol)、98%硫酸60g(600mmol)及びメタノール130ml(3.21mol)を加え、攪拌しながら70〜75℃で10時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、水100mlを加えた後、有機層と水層を分離した。次いで、水層を酢酸エチル200mlで3回抽出した後、該有機層と酢酸エチル抽出液を混合し、減圧下で濃縮した。得られた濃縮液を減圧蒸留(75〜76℃、1.2〜1.3kPa)し、無色液体として、純度98.7%(ガスクロマトグラフィーによる面積百分率)のテトラヒドロピラン−4−カルボン酸メチル18.3gを得た(単離収率:63.5%)。
テトラヒドロピラン−4−カルボン酸メチルの物性値は以下の通りであった。
【0077】
CI−MS(m/e);145(M+1)
H−NMR(CDCl,δ(ppm));1.71〜1.81(2H,m)、1.82〜1.86(2H,m)、2.50〜2.60(1H,m)、3.42〜3.47(2H,m)、3.67(3H,s)、3.93〜3.98(2H,m)
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明により、繁雑な操作を必要とすることなく、温和な条件にて、4−置換又は非置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物から高収率で4−置換又は非置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸化合物又はそのエステル化合物を製造することが出来る、工業的に好適な4−置換又は非置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸化合物又はそのエステル化合物の製法を提供することが出来る。
4−置換又は非置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸化合物又はそのエステル化合物は、医薬・農薬等の原料や合成中間体として有用な化合物である。
本発明は、また、4−非置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物から4−置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物を製造する方法に関する。4−置換又は非置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物は、医薬・農薬等の原料や合成中間体として有用な化合物である。
本発明は、更に、4−置換テトラヒドロピラン化合物から、4−非置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物を製造する方法に関する。4−非置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物は、医薬・農薬等の原料や合成中間体として有用な化合物である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸又は塩基の存在下、式(2):

式中、Rは、水素原子又は炭化水素基を表し、Rは、水素原子又は置換基を有していても良い炭化水素基を表す、
で示される4−置換又は非置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物と、式(3):
OH (3)
式中、Rは、水素原子又は炭化水素基を表す、
で示される水又はアルコールを反応させることを特徴とする、式(1):

式中、R、R及びRは、前記と同義である、
で示される4−置換又は非置換テトラヒドロピラン−4−カルボン酸化合物又はそのエステル化合物の製法。
【請求項2】
反応を溶媒中で行う請求の範囲第1項記載の製法。
【請求項3】
が、水素原子又は炭素原子数1〜6の直鎖又は分岐アルキル基であり、Rが、水素原子又は炭素原子数1〜6の直鎖又は分岐アルキル基であり、Rが、水素原子又は炭素原子数1〜6の直鎖又は分岐アルキル基である請求の範囲第1項記載の製法。
【請求項4】
反応が、式(2)の4−置換又は非置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物1モルに対し0.1〜50モルの酸又は塩基の存在下、0〜200℃で行われる請求の範囲第1項記載の製法。
【請求項5】
式(2)で示される4−置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物が、塩基の存在下、式(4):

式中、Rは、前記と同義である、
で示される4−非置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物と式(5):
X (5)
式中、Rは、前記と同義であり、Xは、脱離基を表す、
で示される反応試剤を反応させることにより得られるものである請求の範囲第1項記載の製法。
【請求項6】
反応を溶媒中で行う請求の範囲第5項記載の製法。
【請求項7】
反応温度が−20〜180℃である請求の範囲第5項記載の製法。
【請求項8】
式(4)で示される化合物が、酸又は塩基の存在下、式(6):

式中、Rは、前記と同義であり、Xは脱離基を表す、
で示される4−置換テトラヒドロピラン化合物とシアノ化剤とを反応させることにより得られるものである請求の範囲第5項記載の製法。
【請求項9】
シアノ化反応を溶媒中で行う請求の範囲第8項記載の製法。
【請求項10】
反応温度が20〜200℃である請求の範囲第8項記載の製法。
【請求項11】
塩基の存在下、式(4):

式中、Rは、水素原子又は炭化水素基を表し、
で示される4−非置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物と式(5):
X (5)
式中、Rは、水素原子又は置換基を有していても良い炭化水素基を表し、Xは、脱離基を表す、
で示される反応試剤を反応させることを特徴とする、式(2):

式中、Rは、水素原子又は炭化水素基を表し、Rは、水素原子又は置換基を有していても良い炭化水素基を表す、
で示される4−置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物の製法。
【請求項12】
反応を溶媒中で行う請求の範囲第11項記載の製法。
【請求項13】
反応温度が−20〜180℃である請求の範囲第11項記載の製法。
【請求項14】
酸又は塩基の存在下、式(6):

式中、Rは、水素原子又は炭化水素基を表し、Xは脱離基を表す、
で示される4−置換テトラヒドロピラン化合物とシアノ化剤とを反応させることを特徴とする、式(4):

式中、Rは、前記と同義である、
で示される4−非置換−4−シアノテトラヒドロピラン化合物の製法。
【請求項15】
反応を溶媒中で行う請求の範囲第14項記載の製法。
【請求項16】
反応温度が20〜200℃である請求の範囲第14項記載の製法。
【請求項17】
シアノ化剤が、シアン化リチウム、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、シアン化銅、シアン化鉄及びシアン化テトラエチルアンモニウムからなる群より選ばれた少なくとも1種である請求の範囲第14項記載の製法。
【請求項18】
シアノ化剤が、4−置換テトラヒドロピラン化合物1モルに対して、1.0〜10モルの量で使用される請求の範囲第14項記載の製法。

【国際公開番号】WO2005/058860
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【発行日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−516372(P2005−516372)
【国際出願番号】PCT/JP2004/018942
【国際出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】