説明

AVシステム、給電装置及び受電装置

【課題】給電装置にデイジーチェーン接続された受電装置の消費電力を抑制しつつ、制御対象となる受電装置に電源を供給できるAVシステムを提供する。
【解決手段】
オプションユニットOPFn内のスライドスイッチ24は、AV装置10内の接続検出線L300を、コンテンツ信号生成部30とつながる導通線L302、又は、後ろ隣のオプションユニットOPFn+1とつながる導通線L303と接続する。AV装置10内の接続検出線L300はプルアップ回路14により所定電圧が印加される。接続検出線L300の電圧レベルがLレベルである場合、接続検出線L300はオプションユニットOPFn内の接地端子GNDと接続されている。そのため、AV装置10は電源を供給する。一方、接続検出線L300の電圧レベルがハイレベルである場合、AV装置10は遮断回路12を用いて電源の供給を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、AV(Audio Visual)システムに関し、さらに詳しくは、電源を供給する給電装置と、給電装置に接続して給電装置から電源の供給を受けてコンテンツ信号を出力する受電装置とを備えたAVシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、AVアンプやAVレシーバといったAV装置の機能を増強するオプションユニットが登場している。オプションユニットはコネクタを介してAV装置に外付けされるモジュールである。オプションユニットはたとえば、デジタルオーディオプレーヤ(DAP)を着脱可能なドック装置やTVチューナ装置、ラジオチューナ装置、DVDプレーヤ装置、CDプレーヤ装置、HDDプレーヤ等である。
【0003】
これらの複数のオプションユニットをAV装置に接続する方法として、デイジーチェーン接続が考えられる。デイジーチェーン接続では、図1に示すように、AV装置100と複数のオプションユニットOPC1〜OPCn(nは自然数)が、AV装置100を先頭に直列に接続される。オプションユニットOPCnは前後の装置(AV装置100又は他のオプションユニットOPCn)とコネクタを介して互いに接続される。オプションユニットOPC1〜OPCnは、AV装置100から電源の供給を受けて動作することができる。つまり、AV装置100は給電装置として機能し、オプションユニットOPC1〜OPCnは受電装置として機能する。
【0004】
図1のようなデイジーチェーン接続を行う場合、AV装置100は複数のオプションユニットOPC1〜OPCnのうち、制御対象となるオプションユニットOPCnと通信して制御する。たとえば、オプションユニットとしてDAPが装着されたドック装置が接続された場合、AV装置100は、ドック装置を介して、DAP内のコンテンツの選択、再生、停止等の制御を行う。
【0005】
このようなデイジーチェーン接続をAVシステムに採用する場合、オプションユニットに電源を常時供給すれば、消費電力が増大する。消費電力を抑えるためには、オプションユニットが動作を停止している間は電源の供給を抑える方が好ましい。ただし、電源の供給がされていない状態であっても、制御対象となるオプションユニットが選択又は新たに接続された場合、AV装置は制御対象となるオプションユニットを検知して電源を供給する必要がある。
【0006】
デイジーチェーン接続方式を採用した回路において、消費電力を抑えつつ新たなオプションユニットの接続を検知する技術が特開平5−46543号公報に開示されている。しかしながらこの文献に開示された技術は、図1に示すようにオプションユニット同士がコネクタで直列に接続されたものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−46543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、給電装置にデイジーチェーン接続された受電装置の消費電力を抑制しつつ、制御対象となる受電装置に電源を供給できるAVシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0009】
本発明によるAVシステムは、給電装置と複数の受電装置とが給電装置を先頭にデイジーチェーン接続される。給電装置は、接続検出線と、印加手段と、電源供給手段とを備える。印加手段は、接続検出線に電圧を印加する。電源供給手段は、接続検出線の電圧レベルに応じて、受電装置に電源を供給又は電源の供給を停止する。受電装置は、コンテンツ信号出力手段と、接地端子と、導通線と、第1のスイッチ手段とを備える。コンテンツ信号出力手段は、電源の供給を受けてコンテンツ信号を出力する。接地端子は接地電位を有する。導通線は、後ろ隣の他の受電装置内の接地端子と接続可能である。第1のスイッチ手段は、接続検出線を接地端子又は導通線のいずれかに接続可能であり、電源の供給がなくても接続状態を保持できる。
【0010】
本発明によるAVシステムでは、制御対象となる受電装置が接続されていない場合、第1のスイッチ手段により、接続検出線に接地端子が接続されない。また、制御対象となる受電装置が接続されている場合、第1のスイッチ手段により、受電装置内の接地端子と接続検出線とが接続される。そのため、制御対象となる受電装置が接続されている場合とされていない場合とで、接続検出線の電圧レベルは変化する。したがって、給電装置は、接続検出線の電圧レベルに応じて電源の供給を制御できる。つまり、制御対象となる受電装置が接続されていないときに電源の供給を停止し、制御対象となる受電装置の接続を検知して、電源を供給できる。
【0011】
好ましくは、受電装置はさらに、第2のスイッチ手段を備える。第2のスイッチ手段は、第1のスイッチ手段による接続検出線の接続先に応じて、電源の供給先をコンテンツ信号出力手段又は後ろ隣の他の受電装置のいずれかに切り替える。
【0012】
この場合、消費電力をより低減できる。
【0013】
好ましくは、受電装置はさらに、スイッチ検出手段を備える。スイッチ検出手段は、第1のスイッチ手段と接続され、接続検出線の接続先に応じて、電圧レベルが変動する。第2のスイッチ手段は、スイッチ検出手段の電圧レベルに応じて、電源の供給先を切り替える。
【0014】
この場合、第1のスイッチ手段の接続状態を容易に検知できる。
【0015】
好ましくは、受電装置はさらに、遮断手段を備える。遮断手段は、第1のスイッチ手段が接続検出線の接続先を切り替えたとき、接続検出線と第1のスイッチ手段との接続を遮断し、第2のスイッチ手段が電源の供給先を切り替えた後、接続検出線と第1のスイッチ手段との接続遮断を解除する。コンテンツ信号出力手段はさらに、電源が供給されたとき、給電装置からの要求に応じてコンテンツ信号出力手段の種類に関するタイプ情報を出力する。給電装置はさらに、要求手段と、制御手段とを備える。要求手段は、接続検出線の電圧レベルの変化に応じて、電源を供給されたコンテンツ信号出力手段にタイプ情報を要求する。制御手段は、タイプ情報に基づいて、コンテンツ信号出力手段を制御する。
【0016】
デイジーチェーン接続された複数の給電装置に電源が供給されている場合、制御対象の切り替えをAV装置が検知できない。そこで、遮断回路が、制御対象が切り替わったときに一時的に接続検出線を遮断し、擬似的に未接続状態を作り出す。これにより、給電装置は接続検出線の電圧レベルの変動を検出でき、そのタイミングで制御対象となる受電装置内のコンテンツ信号出力手段のタイプ情報を取得できる。そのため、給電装置は、切り替わった制御対象に対応した制御を実行できる。
【0017】
好ましくは、電源供給手段は、接続検出線の電圧レベルがHレベルからLレベルへと変化した場合であって、遮断手段が接続検出線と第1のスイッチ手段との接続を遮断してから遮断を解除するまでに掛る時間よりも長い所定期間が経過しても電圧レベルがLレベルを維持しているとき、電源の供給を停止する。
【0018】
この場合、上述のように擬似的に未接続状態を作り出したときに制御対象となる給電装置への電源供給も遮断されてしまうのを抑制できる。
【0019】
好ましくは、第1のスイッチ手段は、受電装置に電源が供給されたとき、給電装置から出力される指定通知に応じて接続検出線の接続先を切り替える。受電装置はさらに、第2のスイッチ手段を備える。第2のスイッチ手段は、指定通知に応じて電源の供給先をコンテンツ信号出力手段又は後ろ隣の他の受電装置のいずれかに切り替える。給電装置は、指定受付手段と、指定通知手段とを備える。指定受付手段は、複数の受電装置のうち、制御対象とする受電装置の指定を受け付ける。指定通知手段は、指定された受電装置の識別番号を含む指定通知を受電装置に出力する。
【0020】
この場合、給電装置が制御対象となる給電装置を指定でき、かつ、制御対象となる給電装置に電源を供給できる。
【0021】
好ましくは、給電装置はさらに、第1の識別番号通知手段を備える。第1の識別番号通知手段は、電源を供給するとき、後ろ隣の受電装置用の識別番号を通知する。受電装置はさらに、登録手段と、第2の識別番号通知手段とを備える。登録手段は、前隣りの給電装置又は受電装置から通知される識別番号を自己識別番号として登録する。第2の識別番号通知手段は、自己識別番号に基づいて、後ろ隣の受電装置用の識別番号を作成し、作成された識別番号を通知する。
【0022】
この場合、受電装置の識別番号を動的に設定できる。
好ましくは、受電装置はさらに、判断手段を備える。判断手段は、自己識別番号と指定通知に含まれる識別番号とに基づいて、指定された受電装置が自身であるか、自身よりも後段に接続された他の受電装置であるかを判断する。指定された受電装置が自身である場合、第1のスイッチ手段は接続検出線を接地端子に接続し、第2のスイッチ手段は電源の供給先をコンテンツ信号出力手段とする。指定された受電装置が自身よりも後段に接続された他の受電装置である場合、第1のスイッチ手段は接続検出線を導通線に接続し、第2のスイッチ手段は電源の供給先を後ろ隣の他の受電装置とし、第2の識別番号通知手段は、識別番号を通知する。
【0023】
この場合、識別番号に基づいて、指定された受電装置と自身との接続関係に応じた処理を実行できる。
好ましくは、受電装置はさらに、起動完了通知手段と、タイプ情報送信手段とを備える。起動完了通知手段は、指定された受電装置が自身である場合、第1及び第2のスイッチ手段の動作が完了した後、起動完了通知を送信する。タイプ情報送信手段は、給電装置からのタイプ情報の要求に応じてコンテンツ信号出力手段の種類に関するタイプ情報を給電装置に送信する。給電装置はさらに、要求手段と、制御手段とを備える。要求手段は、起動完了通知に応じて、指定された受電装置にタイプ情報を要求する。制御手段は、送信されたタイプ情報に応じて指定された受電装置のコンテンツ信号出力手段を制御する。
【0024】
この場合、給電装置は、起動完了通知により、新たな制御対象となる受電装置が起動を完了したことを確認できる。
【0025】
好ましくは、受電装置において、コンテンツ信号出力手段と接地端子とは、着脱可能な1つの筺体に収納される。
【0026】
本発明による給電装置及び受電装置は上述のAVシステムに利用される。
【0027】
本発明による受電装置は、電圧が印加されている接続検出線と、接続検出線の電圧レベルに応じて電源を供給又は電源の供給を停止する電源供給手段とを備えた給電装置とデイジーチェーン接続可能である。受電装置は、コネクタと、導通線と、第1のスイッチ手段とを備える。コネクタは、接地電位を有する接地端子と電源の供給を受けてコンテンツ信号を出力するコンテンツ信号出力手段とを備えたコンテンツ装置を着脱可能である。導通線は、後ろ隣に接続される他の受電装置内の接地端子と接続可能である。第1のスイッチ手段は、接続検出線を導通線又はコネクタを介してコンテンツ装置内の接地端子のいずれかに接続可能であり、電源の供給がなくても接続状態を保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】AV装置及びオプションユニットがデイジーチェーン接続されたAVシステムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態によるAVシステムの全体構成を示す図である。
【図3】図2中のAV装置及びオプションユニットの構成を示す機能ブロック図である。
【図4】図3中の遮断回路の回路図である。
【図5】図3のAVシステムの動作概要を説明するための模式図である。
【図6】図3のAVシステムの動作概要を説明するための、図5と異なる他の模式図である。
【図7】図3中のAV装置の電源供給又は電源供給の停止のいずれかを決定するための動作の詳細を説明するためのフロー図である。
【図8】図3中のオプションユニットの動作の詳細を説明するためのフロー図である。
【図9】図3中のAV装置のオプションユニットの種類に応じた制御を行うための処理動作を示すフロー図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態によるAVシステムの全体構成を示す機能ブロック図である。
【図11】図10中のAV装置及びオプションユニットの構成を示す機能ブロック図である。
【図12】図11中のAV装置の動作の詳細を示すフロー図である。
【図13】図11中のオプションユニットの動作の詳細を示すフロー図である。
【図14】第3の実施の形態におけるAVシステムを構成するAV装置及びオプションユニットの構成を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0030】
[第1の実施の形態]
[全体構成]
図2を参照して、本発明の実施の形態によるAVシステム1は、AV装置10と、オプションユニットOPF1〜OPFn(nは自然数)とを備える。以下、「オプションユニット」を単に「ユニット」と記載する。AV装置10と複数のユニットOPFnは、AV装置10を先頭にデイジーチェーン接続される。AV装置10及びユニットOPFnは隣り合う装置とコネクタを介して直列に接続される。
【0031】
AV装置10は、デイジーチェーン接続においてマスタ装置に相当し、スレーブ装置であるユニットOPFnに電源を供給する給電装置として機能する。本実施の形態ではAV装置10はAVアンプである。ただし、AV装置10はAVアンプ以外の他のAV装置(たとえば、AVレシーバやDVDプレーヤ、CDプレーヤ、HDDプレーヤ、チューナ装置)等であってもよい。ユニットOPFnはAV装置10から電源の供給を受けて動作する。つまり、ユニットOPFnは受電装置として機能する。
【0032】
[AV装置の構成]
図3を参照して、AV装置10は、電源供給回路11と、遮断回路12と、マイコンM0と、プルアップ回路14と、アンプ回路15と、コネクタ17とを備える。
【0033】
[電源供給回路]
電源供給回路11は、ユニットOPFnに電源を供給する。電源供給回路11は、電源供給線L100に接続されている。そして、ユニットOPFnがデイジーチェーン接続されたとき、電源供給線L100を介してユニットOPFnに電源を供給する。
【0034】
[遮断回路]
遮断回路12は、電源供給回路11と電源供給線L100との間に接続される遮断回路12は、電気的スイッチであり、たとえばリレースイッチである。本例では遮断回路12はリレースイッチであるとして説明する。リレースイッチは、通常はマイコンM0からLレベルの遮断信号を受信しておりオフ状態であり、電源供給回路11と電源供給線L100とを開放している。マイコンM0からHレベルの遮断信号を受けたとき、リレースイッチはオン状態となり、電源供給回路11と電源供給線L100とを接続する。
【0035】
[マイコン]
図3に戻って、マイコンM0は、AV装置10全体を制御する。マイコンM0は、リセット信号線L200、接続検出線L300及び通信線L400と接続される。
【0036】
(A)マイコンとリセット信号線との関係
マイコンM0はリセット信号線L200を介して後ろ隣のユニットOPF1(図2参照)にリセット信号を出力する。マイコンM0は、後ろ隣のユニットOPF1を起動する場合、電源を供給すると共に、リセット信号をHレベルに活性化する。
【0037】
(B)マイコンと接続検出線との関係
マイコンM0は、接続検出線L300の電圧レベルに応じて、制御対象となるユニットOPFnが接続されているか否かを検知する。
【0038】
(C)マイコンと通信線L400との関係
マイコンM0はさらに、制御対象となるユニットOPFnを通信線L400を用いて制御する。マイコンM0はユニットOPFnの種類に応じた通信制御を実行する。通信線L400での通信はたとえばUART通信である。
【0039】
マイコンM0は図示しないメモリを内蔵しており、そのメモリにユニットOPFnの種類(たとえば、ドック装置に装着されるDAP、チューナ装置等の種類)に応じた制御通信コマンドを格納している。制御対象となるユニットOPFnが変更された場合、マイコンM0は、通信線L400を介して制御対象となるユニットOPFnに、ユニットの種類を示す情報(以下、タイプ情報という)を要求する。制御対象のユニットOPFnは要求を受け、タイプ情報を通信線L400に出力する。マイコンM0はタイプ情報に応じた通信制御を実行する。
【0040】
[プルアップ回路]
プルアップ回路14は、接続検出線L300に接続される。プルアップ回路14は、電源電位ノードVC0と、電源電位ノードVC0と接続検出線L300との間に接続される抵抗素子R14とを備える。プルアップ回路14は接続検出線L300に電圧を印加し、所定電圧(電源電位VC0)にプルアップする。制御対象となるユニットOPFnがAV装置10に接続されていない場合、接続検出線の一端(コネクタ17側)が開放端となる。そのため、接続検出線L300の電圧レベルはHレベル(ハイインピーダンス状態)となる。一方、接続対象となるユニットOPFnがAV装置10に接続されている場合、後述するように、接続検出線L300の電圧レベルはLレベルになる。マイコンM0は接続検出線L300の電圧レベルに基づいて、制御対象となるユニットOPFnの接続の有無を確認できる。
【0041】
[他の構成]
AV装置10はさらに、映像信号線L500と、音声信号線L600と、アンプ回路15とを備える。映像信号線L500は、映像信号を出力するユニットOPFn(たとえば、DVDプレーヤやHDDプレーヤ等)から送信された映像信号をコネクタ17を介して受信し、映像出力端子P501から外部に出力する。映像出力端子P501にはたとえばディスプレイ装置等が接続される。
【0042】
アンプ回路15は、音声信号を出力するユニット(たとえばDAPを装着したドック装置やDVDプレーヤ、HDDプレーヤ等)から送信された音声信号を音声信号線L600を介して受け、増幅する。そして、増幅された音声信号を音声出力端子P601から外部に出力する。音声出力端子P601にはたとえばスピーカが接続される。
【0043】
AV装置10はさらに、ユニットOPnと接続するためのコネクタ17を備える。コネクタ17は、各線L100、L200、L300、L400、L500及びL600の入出力端子P100、P200、P300、P400、P500及びP600を含む。
【0044】
[ユニットの構成]
ユニットOPFnは2つのタイプがある。1つは、映像信号や音声信号といったコンテンツ信号を出力する部分(以下、コンテンツ出力部ともいう)が収納された1つの筺体であるコンテンツ装置が着脱可能な「着脱可能型」である。もう1つは、コンテンツ出力部が着脱できない「固定型」である。着脱可能型のユニットOPFnはたとえば、DAPを着脱可能なドック装置である。固定型のユニットOPFnはたとえば、チューナ装置やDVDプレーヤ、HDDプレーヤである。以下、「着脱型」と「固定型」の構成をそれぞれ説明する。以降の説明において、特に区別する場合、着脱型ユニットを「OPFnA」と記載し、固定型ユニットを「OPFnB」と記載する。ただし、着脱型及び固定型を区別する必要がない場合、単にユニットOPFnと記載する。つまり、「ユニットOPFn」と記載している場合、着脱型及び固定型のいずれにも相当する。
【0045】
[着脱型ユニットの構成]
図3を参照して、着脱型ユニットOPFnAは、電源回路21と、マイコンMFnと、遮断回路23と、スライドスイッチ24と、ファンクションスイッチ25と、コネクタ26〜28と、プルアップ回路29と、電源受信線L101〜L103と、導通線L301〜L303とを備える。
【0046】
ユニットOPFn(1)は、デジタルオーディオプレーヤ装置(DAP)に代表されるコンテンツ装置30をコネクタ28を介して着脱できる。
【0047】
[コンテンツ装置]
コンテンツ装置30は、コンテンツ信号出力部31と、接地電位を有する接地端子GNDとを収納する1つの筺体である。コンテンツ信号出力部31は、映像信号及び/又は音声信号等のコンテンツを出力する。たとえば、コンテンツ装置30がDAPである場合、図示しないハードディスクドライブに格納されたオーディオファイルをデコードして音声信号を出力する。また、コンテンツ装置30がチューナ回路である場合、放送電波を復調して映像信号及び/音声信号を出力する。
【0048】
[前方コネクタ]
コネクタ26は、各信号線L101、L201、L301、L401、L501及びL601の一端と接続される入出力端子P101、P201、P301、P401、P501及びP601を含む。ユニットOPFnAの前隣りに接続される装置がAV装置10である場合、端子P101はコネクタ17内の端子P100と接続される。これにより、電源受信線L101は電源供給線L100と接続される。同様に、端子P201は端子P200と接続される。その結果、リセット信号線L200及びL201が接続される。端子P301は端子P300と接続される。これにより、導通線L301は接続検出線L300と接続される。端子P401は端子P400と接続され、通信線L400及びL401は接続される。端子P501は端子P500と接続され、端子P601は端子P600と接続される。
【0049】
[電源回路]
電源回路21は、電源受信線L101に接続される。電源回路21は、電源供給回路11から供給された電源を、電源受信線L101を介して受ける。そして、ユニットOPFnA用の電圧を生成し、ユニットOPFnA内の各要部に供給する。
【0050】
[プルアップ回路]
プルアップ回路29は、スイッチ検出線L700に接続される。プルアップ回路29は、スイッチ検出線L700に所定の電圧VC1を印可する。プルアップ回路29の構成は、プルアップ回路14と同様であり、電源電位端子VC1と、抵抗素子R28とを備える。プルアップ回路29でスイッチ検出線L700を印加することで、マイコンMFnは、ユニットOPFnAが「制御対象モード」であるか「スルーモード」であるかを認識できる。
【0051】
[スライドスイッチ及びファンクションスイッチ]
動作中のユニットOPFnの状態には、「制御対象モード」と「スルーモード」とが存在する。「制御対象モード」とは、ユニットOPFnが制御対象として動作可能な状態をいう。また、「スルーモード」とは、自身よりも後段のオプションOPFnが制御対象となっており、その後段のユニットOPFnに電源を供給する(つまり、AV装置10からの電源を後段にスルーする)状態をいう。スライドスイッチ24及びファンクションスイッチ25は、ユーザ操作に応じてユニットOPFnを制御対象モード又はスルーモードに設定する。
【0052】
[スライドスイッチ]
スライドスイッチ24は、いわゆる機械的スイッチである。スライドスイッチ24は、接点P241〜P246を機械的に開閉する。スライドスイッチ24は、稼働切片SWと、複数の接点P241〜P246とを備える。接点P241〜P243は一列に配列される。接点P242は遮断回路23に接続される。接点P241は導通線L303と接続される。接点P243は導通線L302と接続される。
【0053】
接点P244〜P246も一列に配列される。このとき、接点P244とP241、P245とP242、P246とP243とは互いに並設される。接点P244は接地電位を有する接地端子GNDに接続される。接点P245はスイッチ検出線L700に接続される。接点P246には信号線が接続されていない。
【0054】
稼働切片SWは手動により図中上下方向に移動する。稼働切片SWは、各接点P241〜P243、及びP244〜P246を選択的に接続する。
【0055】
ユーザは手動により稼働切片SWを移動させることで、電源と、通信線L400、L500及びL600上の信号との供給先を切り替える。換言すれば、稼働切片SWを移動させて、上述の「制御対象モード」と「スルーモード」とを切り替える。稼働切片SWを図中の下方に移動した場合、スライドスイッチ24は「スルーモード」に設定する。このとき、接点P241及びP242が接続される。また、接点P244及びP245が接続される。その結果、接続検出線L300は、導通線L303と接続される。この場合、ユニットOPFnAよりも後段のユニットOPFnが制御対象となる。
【0056】
されに「スルーモード」に設定された場合、スライドスイッチ24内の接点P244及びP245が接続される。この場合、スイッチ検出線L700が接地端子GNDに接続される。そのため、スイッチ検出線L700の電圧レベルはLレベルになる。
【0057】
一方、稼働切片SWを図中の上方に移動した場合、スライドスイッチ24は「制御対象モード」に設定する。このとき、接点P242及びP243が接続される。このとき、接続検出線L300は導通線L302と接続される。導通線L302はコネクタ28を介してコンテンツ信号生成部30の接地端子GNDと接続可能である。さらに、稼働切片SWを上方に移動することで、接点P245及びP246が接続される。このとき、スイッチ検出線L700は一端が開放されるため、電圧レベルがHレベル(ハイインピーダンス状態)となる。
【0058】
[ファンクションスイッチ]
ファンクションスイッチ25は、マイコンMFnから指示に応答してオン/オフされる電気的スイッチである。ファンクションユニット25は複数のスイッチ素子251〜254を備える。各スイッチ素子は接点方式であってもよいし、トランジスタ等を利用した無接点方式であってもよい。スイッチ素子251は、マイコンMFnからの指示に応答して、電源受信線L101の接続先を電源受信線L102及びL103のいずれかに切り替える。スイッチ素子252は通信線L401の接続先を通信線L402及びL403のいずれかに切り替える。スイッチ素子253は映像信号線L501の接続先を映像信号線L502及びL503のいずれかに切り替える。スイッチ素子254は音声信号線L601の接続先を音声信号線L602及びL603のいずれかに切り替える。以降、導通線L302、L102、L402、L502及びL602をまとめて「自己側信号線群1000」と呼び、信号線L202、L303、L103、L403、L503及びL603をまとめて「スルー側信号線群2000」と呼ぶ。
【0059】
[後方コネクタ]
コネクタ27は、入出力端子P202、P103、P303、P403、P503及びP603を備える。端子P202はリセット信号線L202と接続される。端子P103は電源受信線L103と接続される。端子P303は導通線L303と接続される。端子P403は通信線L400と接続される。端子P503は映像信号線L503に、端子603は音声信号線L603にそれぞれ接続される。
【0060】
コネクタ27は、後ろ隣のユニットOPFnのコネクタ26と接続される。このとき、端子P202は端子P201と接続されるため、リセット信号線L202が後ろ隣のユニットOPFnのリセット信号線L201と接続される。端子P103は端子P101と接続されるため、電源受信線L103は、後ろ隣のユニットOPFnの電源受信線L101と接続される。同様に、端子P303は端子P301と、端子P403は端子P401と、端子P503は端子P501と、端子P603は端子P601とそれぞれ接続される。
【0061】
[遮断回路]
遮断回路23は、導通線L301とスライドスイッチ24との間に接続される。図4に遮断回路の回路図を示す。遮断回路12は、PNP型トランジスタTRと、抵抗素子R1〜R3とを備える。PNP型トランジスタTRのエミッタ端子NEは導通線L301に接続される。コレクタ端子NCはスライドスイッチ24の接点P242に接続される。ベース端子NBはマイコンMFnに接続される。抵抗素子R1はエミッタ端子NEと接地端子GNDとの間に接続され、抵抗素子R2はコレクタ端子NCと接地端子GNDとの間に接続される。抵抗素子R3はベース端子NBと接地端子GNDとの間に接続される。
【0062】
ユニットOPFnがAV装置10と接続されている場合、導通線L301は接続検出線L300と接続される。そのため、エミッタ端子NEは、接続検出線L300から常時Hレベルの信号を受ける。そのため、ユニットOPFnAが電源の供給を受けておらず、動作が停止している場合であっても、PNP型トランジスタTRはオン状態となっている。
【0063】
一方、ユニットOPFnが動作中である場合、マイコンMFnから出力されるHレベルの遮断信号を受けると、PNP型トランジスタTRはオフ状態となる。そのため、接続検出線L300とスライドスイッチ24(及び導通線L302又はL303)との接続が遮断される。この場合、接続検出線L300の電圧レベルはHレベルとなるため、AV装置10のマイコンM0は制御対象となるユニットOPFnが接続されていないと判断する。
【0064】
つまり、遮断回路23を利用すれば、制御対象モードのユニットOPFnがAV装置10に接続されていても、擬似的な未接続状態を作り出すことができる。
【0065】
[マイコン]
マイコンMFnは、ユニットOPFnA全体を制御する。マイコンMFnは、リセット信号線L201と接続される。マイコンMFnは、電源の供給を受け、かつ、マイコンM0からHレベルのリセット信号を受けたとき、起動する。
【0066】
マイコンMFnは、主として、(A)遮断回路23の制御、(B)スライドスイッチのスイッチ状況の確認、(C)ファンクションスイッチ25の切り替え、(D)後ろ隣のユニットOPFn内のマイコンMFn+1の起動、を行う。
【0067】
(A)遮断回路23の制御
マイコンMFnは、遮断信号を活性化(Hレベル)にすることで、遮断回路23内のPNP型トランジスタTRをオフ状態とする。また、遮断信号を非活性化(Lレベル)にすることで、トランジスタTRをオン状態とする。
【0068】
(B)スライドスイッチのスイッチ状況の確認
マイコンMFnはスイッチ検出線L700の電圧レベルに基づいて、スライドスイッチ24の設定状況が「制御対象モード」であるか「スルーモード」であるかを確認する。
【0069】
(C)ファンクションスイッチの切り替え
マイコンMFnは、スライドスイッチの設定状況に応じて、ファンクションスイッチ25を切り替える。
【0070】
(D)後ろ隣のユニットOPFn+1内のマイコンMFn+1の起動
マイコンMFnは、制御対象となっているユニットが後方に接続されている場合、後ろ隣のユニットOPFn+1にHレベルのリセット信号を出力する。これにより、後ろ隣のユニットOPFn+1のマイコンMFn+1が起動する。
【0071】
[固定型ユニットの構成]
図3を参照して、固定型ユニットOPFnBは、着脱型ユニットOPFnAと比較して、コンテンツ装置30に相当するコンテンツ生成部30が内蔵されている。そのため、コネクタ28が存在しない。自己側信号線群1000はコンテンツ生成部30に接続されている。そして、コンテンツ生成部30内の接地端子GNDは導通線L302と接続されている。コンテンツ信号出力部31には、導通線L302以外の他の自己側信号線群1000が接続されている。コンテンツ生成部30はたとえば、チューナ回路やDVDプレーヤ、HDDプレーヤ等である。
【0072】
その他の構成は着脱型ユニットOPFnAと同じである。本明細書中で単にユニットOPFnと記載する場合、着脱型でも固定型でも適用可能であることを示す。
【0073】
[動作概要]
上述の構成を有するAVシステムの動作について説明する。
【0074】
[消費電力の低減]
AV装置10は、遮断回路12を用いて、接続検出線L300の電圧レベルがHレベルであれば、電源供給を遮断する。そして、電圧レベルがLレベルであれば、電源を供給する。図5を参照して、ユニットOPF1及びOPF2を制御対象としない場合、ユーザは手動でユニットOPF1及びOPF2のスライドスイッチ24を切り替え、「スルーモード」に設定する。この場合、AV装置10の接続検出線L300は、ユニットOPF1及びOPF2内のいずれの接地端子GNDとも接続されない。代わりに、各ユニットOPF1及びOPF2内の導通線L303と接続される。ユニットOPF2の導通線L303のコネクタ27側は開放されている(開放端)である。そのため、接続検出線L300はHレベル(ハイインピーダンス状態)となり、電源の供給が遮断される。つまり、制御対象となるユニットOPFnがAVシステム1に存在しない場合、電源は供給されないため消費電力が抑制される。スライドスイッチ24は、機械的スイッチであるため、電源の供給が遮断されても「スルーモード」を維持する。
【0075】
[制御対象ユニットの接続検出]
さらに、図5に示すように、ユーザが新たなユニットOPF3をデイジーチェーン接続し、制御対象として動作させようとしたと仮定する(ケース1)。この場合、ユーザはユニットOPF3のスライドスイッチ24を操作して「制御対象モード」に設定する。このとき、ユニットOPF3内の導通線L301は接地端子GNDと接続される。ただし、ユニットOPF3が着脱型ユニットOPF3Aである場合、コンテンツ装置30が装着されていると仮定する。
【0076】
ユニットOPF3をOPF2に接続したとき、ユニットOPF3の接地端子GNDがAV装置10内の接続検出線L300と接続される。そのため、接続検出線L300はLレベルになり、AV装置10は電源を供給する。
【0077】
スライドスイッチ24は、電源の供給がなくても「スルーモード」を維持できる。そのため、制御対象となるユニットOPFnよりも前段のユニットOPF1〜OPFn−1に電源が供給されていない場合であっても、AV装置10は制御対象となるユニットOPFnの接続を検出でき、電源を供給できる。
【0078】
ユニットOPF3が着脱型ユニットOPF3Aである場合(ケース2)。ユニットOPF3Aからコンテンツ装置30が取り外されれば、AV装置10は電源の供給を停止する。しかしながら、AV装置10の接続検出線L300は、ユニットOPF1、OPF2及びOPF3A内のスライドスイッチ24により、ユニットOPF3Aの導通線L302と接続されている。したがって、コンテンツ装置30がユニットOPF3Aに再び装着された場合、AV装置10内の接続検出線L300はLレベルになり、AV装置10は電源を供給する。つまり、AV装置10は、ユニットOPF1〜OPF3Aが動作を停止していても、コンテンツ装置30の装着を検出できる。
【0079】
[制御対象の切り替え検出]
図6を参照して、AVシステム1において、ユニットOPF3が制御対象モードとして動作中であり、前段のユニットOPF1及びOPF2がスルーモードである場合を想定する。この場合、ユニットOPF1及びOPF2にも電源が供給される。
【0080】
ユーザが制御対象をユニットOPF3からOPF2に変更したい場合、ユニットOPF2のスライドスイッチ24を操作して「制御対象モード」に設定する(ケース3)。この場合、接続検出線L300の接続先は、ユニットOPF3内の接地端子GNDからユニットOPF2内の接地端子GNDに変更されるだけである。したがって、遮断回路23がなければ、制御対象が切り替わったにもかかわらず、接続検出線L300の電圧レベルはLレベルのまま変化しないことになる。そのため、AV装置10は制御対象が切り替わったことを認識できない。
【0081】
AV装置10のマイコンM0は、ユニットOPFn内のコンテンツ信号生成部(又はコンテンツ装置、以下、これらをまとめてコンテンツ信号生成部という)30の種類に応じて、コンテンツ信号生成部30を制御する。そのため、制御対象が切り替わったにもかかわらず、AV装置10は以前の制御対象のユニットOPF3に対応した制御方法で、新たな制御対象のユニットOPF2を制御しようと試みる。そのため、新たな制御対象であるユニットOPF2を制御できない場合が生じる。
【0082】
ユニットOPFn内の遮断回路23はこの様な問題を解消する。スライドスイッチ24のモードが変更されたとき、遮断回路23は接続検出線L300との接続を遮断する。このとき、接続検出線L300はHレベルとなる。そのため、制御対象となるユニットOPF2は接続されたままであるが、AV装置10は制御対象となるユニットOPFnは接続されていないと誤認する。遮断回路23は所定の動作後に遮断を解除する。このときAV装置10は制御対象となるユニットOPF2が接続されたと誤認し、ユニットOPF2内のコンテンツ信号生成部30のタイプを問い合わせる。そして、ユニットOPF2のタイプに応じた制御方法で制御する。
【0083】
要するに、遮断回路23は、制御対象となるユニットOPFnの未接続状態を擬似的に作成する。そのため、図6のような場合でも、AV装置10は制御対象となるユニットに、そのタイプを問い合わせることができる。
【0084】
[動作詳細]
上述の動作の詳細を説明する。図7はAV装置10の動作を示すフロー図であり、図8はユニットOPFnの動作を示すフロー図である。上述のケース1〜ケース3を例に挙げ、各ケースでのAV装置10及びユニットOPFnの動作を図7及び図8を参照しながら説明する。
【0085】
[ケース1]
図5を参照して、AV装置10にユニットOPF1及びOPF2が接続されている場合を想定する。ユニットOPF1及びOPF2はいずれも「スルーモード」に設定されている。各ユニットOPF1及びOPF2内のスライドスイッチ24は図3において下方に移動されている。この場合、スライドスイッチ24内の接点P241及びP242が接続される。そのため、接続検出線L300はユニットOPF1及びOPF2の導通線L303と接続されている。ユニットOPF2の導通線L303のコネクタ27側の端子は開放されている。この場合、接続検出線L300はHレベル(ハイインピーダンス状態)であり、電源の供給は遮断されている。電源の供給が遮断されているため、ユニットOPF1及びOPF2内のマイコンMF1及びMF2は起動していない。ここで、図5に示すとおり、ユニットOPF3をデイジーチェーン接続したと仮定する。ユニットOPF3が着脱型である場合は、コンテンツ装置30がコネクタ28に装着されていると仮定して、説明を続ける。
【0086】
ユニットOPF3をユニットOPF2に接続したとき、ユニットOPF3のコンテンツ信号生成部30内の接地端子GNDが接続検出線L300に接続される。図7を参照して、AV装置10は、接続検出線L300の電圧レベルの変化を監視している(S1)。ユニットOPF3が接続されたとき、マイコンM0は、接続検出線L300の電圧レベルがLレベルになったと判断する(S1でYES、S2でNO)。このとき、タイマは起動していないため(S7でNO)、マイコンM0は、遮断回路12を制御して電源供給の遮断を解除する(S8)。具体的には、マイコンM0はHレベルの遮断信号を出力する。遮断回路12のリレースイッチは、Hレベルの遮断信号を受けオン状態となる。そのため、電源供給回路11から電源供給線L100を介して電源が出力される。続いて、マイコンM0は、Hレベルのリセット信号をリセット信号線L200に出力する。ユニットOPF1を起動するためである。
【0087】
[ユニットOPF1の起動]
図8を参照して、ユニットOPF1は、電源受信線L101に電源の供給を受ける。このとき、電源回路21は電源受信線L101から電源の供給を受け、ユニットOPF1の各要部に所定の電圧VC1を供給する。
【0088】
ユニットOPF1内のマイコンMF1は、電源回路21から電力の供給を受ける。そして、リセット信号線L201を介してHレベルのリセット信号を受け、起動する(S21)。マイコンMF1は起動後、リセット信号線L202に出力するリセット信号をLレベルに設定する(S22)。ファンクションスイッチ25の設定が完了する前に、後ろ隣のユニットOPF2が起動しないようにするためである。
【0089】
続いて、マイコンMF1は、ファンクションスイッチ設定処理(S40)を実行する。ファンクションスイッチ25は、電源の供給が遮断されると接続状態を保持できない。そのため、マイコンMF1は、起動するごとにファンクションスイッチ25を所定の状態(制御対象モード又はスルーモード)に設定する。
【0090】
ファンクションスイッチ設定処理(S40)では、処理の最初に遮断回路23が接続検出線L300との接続を遮断し(S23)、処理の最後に接続検出線L300との接続遮断を解除する(S28)。要するに、マイコンMF1は、ファンクションスイッチ25を設定する際、擬似的な未接続状態を一定期間(ステップS23〜S28までの期間)作成する。以下、この期間をファンクション処理設定期間という)。この処理は上述のケース3を想定している。つまり、AV装置10のマイコンM0が制御対象の切り替えに対応できるようにするための処理である。
【0091】
ファンクションスイッチ設定処理(S40)では、マイコンMF1はまず、遮断回路23を制御して、接続検出線L300との接続を遮断する(S23)。具体的には、マイコンMF1は遮断回路23にHレベルの遮断信号を出力する。遮断回路23は、Hレベルの遮断信号をPNP型トランジスタTRのベース端子NBで受けるため、PNPトランジスタTRがオフ(不通)状態となる。その結果、接続検出線L300と導通線L302とは、切り離される。
【0092】
ステップS23の動作により、接続検出線L300の電圧レベルはHレベル(ハイインピーダンス状態)になる。そのため、AV装置10内のマイコンM0は接続検出線L300がHレベルになったと判断する(S1でYES、S2でYES)。この場合、マイコンM0は、内蔵するタイマをリセットした後(S3)、タイマカウントを開始する(S4)。マイコンM0は、タイマカウントを開始してからも接続検出線L300の電圧レベル変化を監視する(S1)。そして、接続検出線L300の電圧レベルがLレベルのまま(S1でNO)、タイマ起動中に(S11でYES)、猶予期間ΔT1経過したか否かを監視する(S5)。接続検出線L300の電圧レベルがLレベルを維持したまま猶予期間ΔT1経過したとき(S1でNO、S11でYES、及びS5でYES)、マイコンM0はリセット信号線L200上のリセット信号をLレベルとし(S6)、さらに、遮断回路12を用いて電源供給を遮断する(S12)。
【0093】
要するに、マイコンM0は接続検出線L300の電圧レベルがHレベルに変化してから直ぐに電源供給を停止するのではなく、一定の猶予期間(ΔT1)を設ける。ユニット擬似的な未接続状態とする場合、マイコンM0が直ぐに電源供給を停止すれば、実際には接続されている制御対象ユニットOPFnが動作できない。そこで、ファンクション処理設定期間よりも長く猶予期間ΔT1を設ける。これにより、擬似的未接続状態を作成した場合に、電源の供給が遮断されるのを防止する。
【0094】
ユニットOPF1内でのファンクション処理(図8のS40)に戻って、マイコンMF1はスライドスイッチ24の接続状態(設定モード)を確認する(S24)。マイコンMF1はスイッチ検出線L700上の信号レベルを検知する。ケース1では、ユニットOPF1は「スルーモード」であるため、稼働切片SWにより接点P244とP245とが接続されている。そのため、スイッチ検出線L700上の信号はLレベルとなっている。
【0095】
スイッチ検出線L700上の信号がLレベルのとき、マイコンMF1は、自身が「スルーモード」であると判断する(S24でYES)。そのため、マイコンMF1は、ファンクションスイッチ25の各スイッチ素子251〜254の接続先をスルー側信号線群2000に設定する(S25)。具体的には、スイッチ素子251は電源受信線L101とL103とを接続する。同様に、スイッチ素子252は通信線L401とL403とを接続し、スイッチ素子253は映像信号線L501とL503とを接続する。スイッチ素子254は音声信号線L601とL603とを接続する。これにより、AV装置10は、ユニットOPF1よりも後段のユニットOPFnと通信可能な状態となる。
【0096】
続いて、マイコンMF1は、後ろ隣のユニットOPF2を稼働させるため、リセット信号線L202上のリセット信号をLレベルからHレベルに活性化する(S27)。そして、上述のとおりステップS28で接続検出線L300との接続の遮断を解除する(S28)。具体的には、マイコンMF1は、Lレベルの遮断信号を出力する。これにより、遮断回路23内のPNP型トランジスタがオン状態となり、接続検出線L300とスライドスイッチ24とが接続される。
【0097】
上述のとおり、ファンクション設定処理S40に掛かる時間(ファンクション設定処理期間)は猶予期間ΔT1よりも短い。そのため、AV装置10内のマイコンM0は、猶予期間ΔT1が経過するよりも早く、接続検出線L300の電圧レベルがLレベルに変化したと判断する(S1でNO)。このとき、タイマは稼働中であるため(S7でYES)、電源供給を遮断せずに維持する。そして、タイマをリセットする(S13)。また、リセット信号線L200上のリセット信号は既にHレベルであるため、(S9でYES)、リセット信号をHレベルのまま維持する。
【0098】
以上の動作により、ユニットOPF1はファンクション設定処理S40を完了し、スルーモード状態を完成する。
【0099】
[ユニットOPF2の起動]
ユニットOPF1のファンクション設定処理(S40)中のステップS25の動作により、ユニットOPF2に電源が供給される。また、ステップS27の動作により、ユニットOPF2内のマイコンMF2にHレベルのリセット信号が出力される。その結果、マイコンMF2はリセットを解除し(S21)、起動する。マイコンMF2は上述のユニットOPF1と同様に、ファンクション設定処理(S40)を実行し、スルーモード状態を完成する。
【0100】
[ユニットOPF3の動作]
ユニットOPF2によるステップS25の動作により、ユニットOPF3に電源が供給される。また、ステップS27の動作により、ユニットOPF3内のマイコンMF3にHレベルのリセット信号が出力される。そのため、マイコンMF3はリセットを解除し(S21)、起動する。そして、マイコンMF3は、ファンクション処理を実行する(S40)。
【0101】
ユニットOPF3内のスライドスイッチ24は制御対象モードに設定されている。つまり、稼働切片SWにより、接点P245とP246とが接続されている。そのため、スイッチ検出線L700上の電圧レベルはHレベル(ハイインピーダンス状態)である。したがって、マイコンMF3は、スライドスイッチ24が「制御対象モード」であると判断する(S24でNO)。このとき、マイコンMF3は、リセット信号線L202上のリセット信号をLレベルにする(S30)。ユニットOPF3よりも後段のユニットを起動する必要がないからである。続いて、マイコンMP3は、ファンクションスイッチ25の接続先を自己側信号線群1000に切り替える(S26)。具体的には、スイッチ素子251は電源受信線L101とL102とを接続する。同様に、スイッチ素子252は通信線L401とL402とを接続し、スイッチ素子253は映像信号線L501とL502とを接続する。スイッチ素子254は音声信号線L601とL602とを接続する。これにより、AV装置10は、ユニットOPF3内のコンテンツ信号生成部30と通信可能となる。
【0102】
[AV装置10によるユニットOPF3の制御方法決定処理]
AV装置10は、ユニットOPFnの種類に応じた制御を行う。たとえば、ユニットOPFnがDVDプレーヤやHDDプレーヤ等である場合、コンテンツの再生指示や停止指示を出力する。ユニットOPFnがチューナ装置である場合、選局指示等を出力する。
【0103】
図9を参照して、接続検出線L300の電圧レベルがHレベルからLレベルに変化したとき(S51)、AV装置10内のマイコンM0は、所定期間ΔT3が経過するまで接続検出線L300のレベルを監視する(S52)。所定期間ΔT3が経過するまでに接続検出線L300がHレベルになったとき(S52でNO)、動作を終了する。この場合、制御対象モードのユニットOPFnが存在しないことを意味する。
【0104】
一方、ステップS52で判断の結果、所定期間ΔT3が経過するまで接続検出線L300がLレベルを維持した場合(S52でNO)、制御対象モードのユニットOPF3の起動が完了しており、AV装置10からの制御を受付可能な状態であることを示す。そのため、AV装置10内のマイコンM0は、タイプ情報の要求コマンドを出力する(S53)。ユニットOPF3は通信線L401及びL402を介して要求コマンドを受け、自身の種類を示すタイプ情報を出力する。
【0105】
マイコンM0は通信線L400を介してタイプ情報を受ける(S54でYES)。そして、タイプ情報に応じた制御コマンド群をメモリから読み出し、ユーザ操作に応じて選択された制御コマンドをユニットOPF3に出力する。以上の動作により、AV装置10は制御対象モードのユニットOPFnの種類に応じた制御を実行できる。
【0106】
[ケース2]
ユニットOPF3が着脱型ユニットOPF3Aである場合を想定する。コンテンツ装置30がコネクタ28から取り外されたとき、AV装置10はユニットOPF1〜OPF3への電源の供給を停止し、消費電力を低減できる。以下、図5中のユニットOPF3が着脱型ユニットOPF3Aであるとして、コンテンツ信号生成部30が取り外された場合のAVシステムの動作を説明する。
【0107】
ユーザがコンテンツ装置30(たとえばDAP等)をユニットOPF3Aのコネクタ28から取り外したとき、導通線L302はコンテンツ装置30の接地端子GNDから切り離される。このとき、接続検出線L300の電圧レベルはハイインピーダンス状態となる。
【0108】
AV装置10内のマイコンM0は、接続検出線L300がLレベルからHレベルに変化したと判断する(S1でYES、S2でYES)。そのため、タイマカウントを開始する(S3及びS4)。そして、猶予期間ΔT1が経過した後(S5でYES)、マイコンM0はリセット信号をLレベルとし(S6)、さらに、遮断回路12を用いて、電源の供給を遮断する(S12)。電源の供給を遮断した後、タイマはリセットされる。
【0109】
以上の工程により、ユニットOPF1、OPF2及びOPF3Aは電源の供給を遮断され、動作を停止する。そのため、消費電力を低減できる。
【0110】
電源の供給が遮断されていても、各ユニットOPF1及びOPF2のスライドスイッチ24は「スルーモード」の接続状態を維持しており、ユニットOPF3Aのスライドスイッチ24は「制御対象モード」の接続状態を維持する。そのため、コンテンツ装置30がコネクタ28に再び接続されたとき、AVシステム1はケース1と同様の動作を再び実行し、ユニットOPF3Aを制御可能となる。
【0111】
[ケース3]
図6に示すように、ユーザが利用するユニットをユニットOPF3からOPF2に変更する場合のAVシステム1の動作を説明する。
【0112】
この場合、ユーザは、ユニットOPF2のスライドスイッチ24の稼働切片SWを手動操作して、「制御対象モード」に設定する。このとき、スライドスイッチ24内では、接点P242とP243とが接続され、設定P245とP246とが接続される。そのため、スイッチ検出線L700の電圧がHレベルに変化する。スイッチ検出線L700の電圧変化により、ユニットOPF2のマイコンMF2は、図8中のステップS29でスライドスイッチ24のモードが変化したと判断する(S29でYES)。そして、ステップS23に戻って、マイコンF2は接続検出線L300を遮断する(S23)。つまり、擬似的未接続状態を作り出す。
【0113】
続いて、マイコンMF2は、Hレベルのスイッチ検出線L700に基づいて、スライドスイッチ24が「制御対象モード」に設定されたと判断する(S24でNO)、そのため、マイコンMF2は、リセット信号線L202上のリセット信号をLレベルにする(S30)。続いて、マイコンMF2は、ファンクションスイッチ25の接続先を自己側信号線群1000に設定する(S26)。ファンクションスイッチ25を切り替えた後、マイコンMF2は接続検出線L300の遮断を解除する。ファンクションスイッチ25の切り替えにより、ユニットOPF3への電源の供給は遮断される。以上の動作により、ユニットOPF3は動作を停止する。
【0114】
マイコンMF2のステップS28の動作により、AV装置10のマイコンM0は、図9に示すステップS51で接続検出線L300がLレベルに変化したと判断する(S51)。そして、所定期間ΔT3経過後に、タイプ情報を問い合わせる(S53)。マイコンMF2は、問い合わせを受け、タイプ情報をマイコンM0に出力する。マイコンM0はタイプ情報を受け(S54でYES)、タイプ情報に応じてユニットOPF2を制御する。
【0115】
ケース3では、AV装置10は電源供給を遮断しないが、ユニットOPFn内の遮断回路23により、接続検出線L300の電圧レベルを強制的に変化させる。つまり、擬似的未接続状態を作り出す。これにより、AV装置10のマイコンM0は、制御対象となるユニットOPFnの切り替えを検出でき、制御対象のユニットOPFnの種類に応じた制御を行うことができる。
【0116】
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態では、ユーザが各ユニットOPF1〜OPFnのスライドスイッチ24を手動で切り替えることで、制御対象となるユニットOPFnを指定した。しかしながら、制御対象となるオプションユニットの指定をAV装置で設定できるようにしてもよい。
【0117】
図10を参照して、第2の実施の形態によるAVシステム2も、第1の実施の形態と同様に、AV装置20に対してオプションユニットOPS1〜OPSnがデイジーチェーン接続される。
【0118】
[AV装置]
図11を参照して、AV装置20は、AV装置10と比較して、新たにモードセレクタ16と、I2CバスL800とを備える。
【0119】
[モードセレクタ]
モードセレクタ16は、ユーザ操作に応じて複数のユニットOPS1〜OPSnの中から制御対象となるユニットOPSnを選択する。I2CバスL800は、デイジーチェーン接続されたユニットOPS1〜OPSnを識別するのに利用される。AV装置20は、デイジーチェーンされた各ユニットOPS1〜OPSnの識別番号をマイコンM0内のメモリに格納している。ユニットOPS1〜OPSnの識別番号は、AV装置20に接続した順に番号がインクリメントされて付与される。つまり、本例では、ユニットOPS1には識別番号「1」が付与され、ユニットOPS2には「2」が、ユニットOPSnは「n」がそれぞれ付与される。本例ではAV装置20が接続した順に番号を「1」インクリメントしたが、接続した順に1よりも大きい所定数だけ番号をインクリメントしてもよい。接続した順に所定数から順次デクリメントした番号を付与してもよい。
【0120】
[I2Cバス]
I2CバスL800は、制御対象とするユニットOPSnを指定するのに利用される。I2CバスL800の一端はマイコンM0と接続され、他端は、コネクタ17内の図示しない入出力端子に接続される。
【0121】
マイコンM0は、モードセレクタ16により指定されたユニットOPSnの識別番号IDを用いて、指定ユニットOPSnに指示する。マイコンM0はさらに、図示しないメモリに動作フラグを格納する。動作フラグがオンのとき、モードセレクタ16により指定された指定ユニットOPSnが制御対象モードであり、かつ、電源が供給されて動作可能な状態であることを示す。一方、動作フラグがオフのとき、AVシステム2は、動作中のユニットOPSnが存在しない状態であることを示す。たとえば、AV装置20に接続されたユニットOPSnが存在しない状態や、ユニットOPSnが接続されているものの、動作が停止している状態である。その他の構成はAV装置10と同じである。
【0122】
[オプションユニット]
[着脱型ユニット]
図11を参照して、着脱型ユニットOPSnAは、ユニットOPFnAと比較して、遮断回路23及びスライドスイッチ24に代えてラッチングリレー26を備える。ラッチングリレー26は接点P261〜P263を含み、さらに、図示しないコイルと永久磁石とを備える。ラッチングリレー26では、マイコンMSnからの信号に応じてコイルが動作して接点切り替えが行われる。さらに、切り替え後は、永久磁石の磁力により切り替えた接点状態を保持できる。そのため、接点状態を保持するために電源を常時供給する必要がない。
【0123】
接点P261は遮断回路23に接続される。接点P262は導通線L302に接続され、設定P263は導通線L303に接続される。
【0124】
ユニットOPSnAはさらに、I2CバスL801を備える。I2CバスL801はマイコンMSnと接続される。また、I2CバスL801は、コネクタ26及び17を介してI2CバスL800と接続される。また、コネクタ27及び26を介して後ろ隣のユニットOPSn+1のI2CバスL801と接続される。ユニットOPSnAは、遮断回路23がなくても、I2CバスL800及びL801を用いた処理により、AV装置20は制御対象となるユニットOPSnの切り替えを検出できる。
【0125】
その他の構成はオプションユニットOPFnAと同じである。
【0126】
[固定型ユニット]
図11を参照して、固定型ユニットOPSnBも、固定型ユニットOPFnBと比較して、遮断回路23及びスライドスイッチ24に代えて、ラッチングリレー26と、I2CバスL801とを備える。その他の構成は固定型ユニットOPFnBと同じである。
【0127】
[動作概要]
AVシステム2では、各ユニットOPS1〜OPSnがラッチングリレー26とI2CバスL801とを備える。I2CバスL800及びL801を介して送信されるAV装置20のマイコンM0からの指示に応答して、各ユニットOPSnのラッチングリレー26が制御される。換言すれば、AV装置20が各ユニットOPSnのラッチングリレー26を制御でき、制御対象となるユニットOPSnを指定できる。そのため、AVシステム1のように、各ユニットOPFnごとにユーザが手動でスライドスイッチ25を切り替えなくてよい。
【0128】
図12は、AV装置20の動作の詳細を示すフロー図であり、図13は、ユニットOPSnの動作の詳細を示すフロー図である。以下、第1の実施の形態と同様に、ケース1〜ケース3におけるAVシステム2の動作について詳述する。
【0129】
[ケース1]
図5に示すように、AV装置20にユニットOPS1及びOPS2がデイジーチェーン接続されているときに、ユーザがユニットOPS3をユニットOPS2に接続する場合を想定する。ユニットOPS3が着脱型OPS3Aである場合、コンテンツ装置30が装着されていると仮定する。
【0130】
ユーザがユニットOPS3を制御対象として動作させたい場合を想定する。たとえば、ユニットOPS3はDAP30を装着したドック装置であり、ユーザがAV装置10から制御してDAP30内のコンテンツを再生したい場合である。
【0131】
このとき、ユーザはAV装置20内のモードセレクタ16を用いてユニットOPS3を指定する。ユニットOPS3はAV装置20から数えて3番目に接続されているため、ユーザはたとえば、モードセレクタにより識別番号「3」を指定する。以下、指定された識別番号を指定IDと称する。
【0132】
AV装置20内のマイコンM0は、モードセレクタ16が識別番号を切り替え、識別番号「3」を指定したと判断する(S101でYES)。このとき、マイコンM0は、制御準備処理S500を実行する。制御準備処理S500では、制御対象となるユニットOPS3への電源を供給する処理(S104)と、制御対象となるユニットOPS3に対して、制御対象であることを通知する処理(S103又はS108)と、制御対象となるユニットOPS3の起動を確認した後(S109)、ユニットOPS3の種類に応じた制御を開始する処理(S112)とを実行する。
【0133】
制御準備処理S500において、マイコンM0は初めに、動作フラグがオンであるかオフであるかを確認する(S102)。動作フラグがオンである場合、デイジーチェーン接続された1又は複数のユニットOPSnのうち、少なくとも1つのユニットOPSnは電源の供給を受け動作中であることを示す。一方、動作フラグがオフである場合、デイジーチェーン接続されたいずれのユニットOPSnも電源の供給を受けずに動作を停止中であることを示す。
【0134】
図5に示すとおり、本例ではユニットOPS1及びOPS22の動作が停止中であるため、新たに接続されたユニットOPS3にも電源は供給されない。そのため、いずでのユニットOPS1〜OPS3にも電源は供給されていないため、動作フラグは「オフ」になっている(S102でYES)。
【0135】
いずれのユニットOPS1〜OPS3にも電源が供給されていない場合、AV装置10は、制御対象となるユニットOPS3と、ユニットOPS3よりも前段に接続されたユニットOPS1及びOPS2とに対して電源を供給しなければならない。なぜなら、ユニットOPS3より前端のユニットOPS1及びOPS2に電源を供給しなければ、ファンクションスイッチ25の接続先をスルー側信号線群2000に設定できないからである。
【0136】
このように各ユニットOPS1〜OPS3が電源の供給を受けるためには、自身が制御対象であるか、又は制御対象となるユニットOPSnよりも前段に接続されているかを各ユニットOPSnが判断出来なければならない。判断するためには、各ユニットOPSnが自分の識別番号を認識でき、かつ、制御対象となるユニットOPSnの識別番号を認識できる必要がある。
【0137】
各ユニットOPSnの識別番号を装置固有の番号に設定する場合、つまり、識別番号を、各ユニット固有の静的な番号とする場合、AV装置20での識別番号を管理が煩雑になる。この場合、ユーザは新たなユニットOPSnを購入するごとに、そのユニット固有の識別番号をAV装置20に予め入力しなければ、AV装置20はそのユニットを認識できない。
【0138】
そこで本実施の形態では、各ユニットOPSnの識別番号を動的にする。具体的には、AV装置20にデイジーチェーン接続された順番で、識別番号を付与する。このような識別番号の付与方法により、各ユニットOPSnは、自分が制御対象とされているか否かを判断でき、かつ、自分が制御対象のユニットOPSnよりも前段に接続されているか否かも判断できる。
【0139】
図12に戻って、動作フラグがオフである場合(S102でYES)。遮断回路12によって電源の供給は遮断されている。そこで、マイコンM0は遮断回路12をオン状態にして、電源供給遮断を解除する(S104)。この動作により、電源供給線L100を介して電源がユニットOPS1に供給される。続いて、マイコンM0はリセット信号線L200上のリセット信号をHレベルに活性化する(S105)。
【0140】
図13を参照して、ユニットOPS1内のマイコンMS1は、電源の供給及びHレベルのリセット信号を受け、リセットを解除して起動する(S201)。そして、自己の起動が完了する前に後ろ隣のユニットOPS2が起動しないように、リセット信号線L202上のリセット信号をLレベルに維持する(S202)。続いて、マイコンMS1はI2Cバスを用いた通信を有効化する(S204)。このとき、マイコンMS1は、自身の識別番号(スレーブアドレス)を、デフォルト値(たとえば「0」)に設定する。デフォルト値は図示しないメモリ(たとえばROM)内に予め格納されている。
【0141】
さらに、マイコンMS1は、自分のユニットOPS1の状態を示す現状モードフラグをメモリに登録する(S230)。ユニットOPSnの状態には、「制御対象モード」と「スルーモード」と「デフォルトモード」とが存在する。「制御対象モード」とは、自身が制御対象となっている状態である。「スルーモード」とは、自身より後段のユニットOPSnが制御対象となっている状態である。「デフォルトモード」とは、ユニットOPSnが起動したばかりであり、制御対象モード及びスルーモードのいずれにも設定されていない初期状態である。現状モードは、制御対象モードのとき「1」とし、スルーモードのとき「2」とし、デフォルトモードのとき「0」とする。ステップS230では、初期状態であるため、現状モードフラグ=0がメモリに登録される。
【0142】
続いて、マイコンMS1は、割当ID通知の受信を監視する。割当ID通知には、オプションOPS1の識別番号(つまり、AV装置20に何番目に接続されているかを示す番号)が含まれている。AV装置20内のマイコンM0は、ステップS105を実行してから所定期間経過後(マイコンMS1がステップS201〜S204を実行するのに掛かる時間よりも長い時間が経過した後)、デフォルト値の識別番号宛に、割当ID(ここでは、ID=「1」)通知を出力する(S106)。割当ID通知は、I2CバスL800に出力される。マイコンMS1はI2CバスL801から割当ID通知を受け(S205でYES)、通知されたID=1を自己の識別番号(以降、自己IDという)として図示しないメモリに格納する(S206)。
【0143】
続いて、マイコンMS1は、制御対象のユニットOPS3の識別番号である指定IDを問い合わせる(S207)。具体的には、マイコンMS1は、I2CバスL800を介して、AV装置10に対して、指定ID要求を出力する。
【0144】
マイコンM0は、割当ID通知を出力した後(S106)、指定ID要求の受信を監視する(S107)。指定ID要求を受けたとき(S107でYES)、マイコンM0は、指定ID通知をI2Cバスが有効化されている全てのユニットOPSnに対して出力する(S108)。指定ID通知は、モードセレクタ16により指定された指定ID=3を含む。指定ID通知を出力した後、マイコンM0は起動完了通知の受信を監視する(S109)。起動完了通知は、制御対象となるユニットOPSnが起動して制御対象モードへの設定を完了したときに、制御対象となるユニットOPSnから出力される。要するに、AV装置20は、制御対象となるユニットOPSnが起動するまで、待機する。
【0145】
ユニットOPS1のマイコンMS1は、指定ID要求を出力した後(S207)、指定ID通知の受信を監視する(S208)。そして、図示しないメモリに、指定IDが登録されていないか、登録されていれば、メモリ内に登録された指定IDがステップS208で受けた指定ID通知内の指定IDと異なるか否かを判断する(S209)。本例では、指定IDはメモリに未登録であるため(S209でYES)、マイコンMS1は、指定IDをメモリに格納する(S210)。
【0146】
以上の動作により、マイコンMS1は、自己IDと指定IDとをメモリ内に格納し、認識できる状態となる。そこで、マイコンMS1は、自己IDと指定IDとを比較判断する(S211及びS218)。判断結果に応じて、マイコンMS1は以下の処理を実行する。
【0147】
[自己ID=指定IDの場合]
自己IDと指定IDが同じである場合、マイコンMS1は、自身が制御対象になっていると判断し、そのため、指定モードを制御対象を示す「1」に設定する(S231)。続いて、マイコンMS1は、現状モードフラグが指定モードと同じか否かを判断する(S232)。現状モードフラグが指定モードと同じ場合(S232でYES)、ユニットOPS1は既に制御対象モードになっている。そのため、制御対象モードに設定する処理(制御対象モード設定処理:S600)を実行せずにステップS208に戻る。
【0148】
一方、現状モードフラグが指定モードと異なる場合(S232でNO)、制御対象モード設定処理を実行する(S600)。
【0149】
[自己ID<指定IDの場合]
指定IDが自己IDよりも大きい場合(S211でNO、S218でYES)、マイコンMS1は、制御対象となるユニットOPSn(つまり、S101で指定されたユニット)は自分よりも後段のユニットであると判断する。この場合、マイコンMS1は指定モードをスルーモードを示す「2」に設定する(S235)。続いて、マイコンMS1は、現状モードフラグが指定モードと同じであるか否かを判断する(S236)。現状モードが指定モードと同じ場合(S236でYES)、ユニットOPS1は既にスルーモードになっている。そのため、マイコンMS1は自身をスルーモードに設定する処理(スルーモード設定処理:S700)を実行することなくステップS208に戻る。
【0150】
一方、現状モードフラグが指定モードと異なる場合(S236でNO)、スルーモード処理を実行する(S700)。
【0151】
[自己ID>指定IDの場合]
指定IDが自己IDよりも小さい場合(S211でNO、S218でNO)、自身より前段のユニットが制御対象に指定されている。この場合、マイコンMS1はステップS208に戻る。AVシステム2では、制御対象となるユニットOPSn及び制御対象となるユニットOPSnより前段のユニットには電源が供給されるが、制御対象となるユニットOPSnよりも後段のユニットへの電源供給は遮断される。そのため、指定IDが自己IDよりも大きい場合、マイコンMS1は、自身のモード(制御対象モード又はスルーモード)を設定する必要がない。いずれ動作が停止するからである。
【0152】
本例では、指定IDが自己IDよりも大きいと判断される(S211でNO、S218でYES)。そのため、マイコンMS1は指定モードを「2」に設定する(S235)。さらに、ステップS232で現状モードフラグが指定モードと異なると判断する(S236でNO)。
そこで、マイコンMS1は、スルーモード設定処理を実行する(S700)。
【0153】
スルーモード設定処理では、マイコンMS1はまず、ラッチングリレー26をスルー側に設定する(S220)。具体的には、接点P261とP263とを接続する。これにより、接続検出線L300がL302と接続される。続いて、ファンクションユニット25の接続先をスルー側信号線群2000に設定する(S221)。以上の動作により、ユニットOPS1はスルーモード状態となる。そのため、ユニットOPS1の後ろ隣のユニットOPS2に電源が供給される。続いて、マイコンMS1はリセット信号をHレベルに活性化する(S223)。
【0154】
以上の動作により、電源及びHレベルのリセット信号がユニットOPS2に供給される。そのため、ユニットOPS2内のマイコンMS2がリセットを解除して起動し(S201)、I2Cバスを用いた通信を有効化する(S204)。このとき、マイコンMS2は、自己IDをデフォルト値「0」とする。また、マイコンMS2は、現状モードフラグを初期値の「0」に設定する(S230)。
【0155】
マイコンMS1は、ステップS223でリセット信号をHレベルにした後、所定期間経過後に(S224でYES)、I2Cバスを介して、デフォルトID=「0」宛に、割当ID通知を送信する(S225)。このとき、マイコンMS1は、自己IDをインクリメントした値、つまりID=2(=1+1)を含む割当ID通知を出力する(S225)。要するに、ユニットOPSnは、後ろ隣のユニットOPSn+1が起動していない場合、自己IDをインクリメントした識別番号IDを後ろ隣のユニットOPSn+1に与える。このような動作により、AVシステム2のユニットOPSnは、AV装置20との接続順に番号が付与される。なお、ステップS224にいう所定期間は、マイコンMS2がステップS201〜S204までの動作を完了するまでに掛かる時間以上とする。
【0156】
割当IDを通知後(S225)、マイコンMS1は、メモリに格納された現状モードフラグを「2」に更新する。これにより、マイコンMS1は、現在、自身がスルーモードであることを認識できる。
【0157】
マイコンMS2は、ステップS204でID割当通知を受信し(S204でYES)、自己ID=2をメモリに登録する(S206)。そして、I2CバスL800及びL801を介して指定ID要求を出力する(S207)。このとき、AV装置20のマイコンM0は、ステップS107〜S109の動作を繰り返し実行している。そのため、ステップS107で指定ID要求を受け、I2Cバス通信が有効なユニットOPS1及びOPS2に、指定ID=3を含む指定ID通知を出力する。
【0158】
マイコンMS2は、指定IDを受け(S209)、指定IDを登録する(S209でYES、S210)。そして自己IDと指定IDを比較する(S211及びS218)。指定ID(=3)は自己ID(=2)よりも大きいため(S211でNO、S218でYES)、マイコンMS2は指定モードを「2」に設定し(S235)、現状モードフラグと比較する(S236)。比較の結果、現状モードフラグは指定モードと異なるため(S236でNO)、マイコンMS2はスルーモード設定処理を実行する(S700)。一方、マイコンMS1も指定IDを受信する(S208でYES)。しかしながら、ステップS209でマイコンMS1は、ステップS208で受けた指定IDは、メモリ内に格納された指定IDと同じと判断する(S209でNO)。そのため、ステップS208に戻る。つまり、設定に変更がないため、スルーモード設定処理等の動作をすることなく、再び指定IDの受信を監視する(S208)。
【0159】
マイコンMS2におけるスルーモード設定処理(S700)により、ユニットOPS3内のマイコンMS3はリセットを解除して起動する(S201)。そして、自己IDをデフォルト値に設定し(S204)、現状モードを「0」に設定する(S230)。そして、マイコンMS2から割当IDを取得する(S205でYES)。マイコンMS2はスルーモード設定処理(S700)において、自己ID+1=3の割当IDをマイコンMS3に出力する。そのため、マイコンMS3は自己ID=3をメモリに登録する(S206)。
【0160】
マイコンMS3は、マイコンMS1及びMS2と同様に、指定IDを取得する(S207及びS208)。そして、指定IDをメモリに登録する(S210)。そして、マイコンMS1及びMS2と同様に、自己IDと指定IDとを比較する。
【0161】
本例では、指定ID=3であるため、マイコンMS3は自己IDが指定IDと同じであると判断する(S211でYES)。そこで、指定モード=1に設定し(S231)、現状モードフラグを比較する(S232)。本例では、現状モードフラグは指定モードと異なるため(S232でNO)、マイコンMS3は、制御対象モード設定処理を実行する(S600)。
【0162】
制御対象モード設定処理では、マイコンMS3はまず、リセット信号線L202上のリセット信号をLレベルにする(S213)。本例ではステップS202により既にリセット信号はLレベルとなっているため、ステップS213でリセット信号をLレベルに維持する。これにより、仮に、ユニットOPS3の後ろ隣にユニットOPS4が接続されている場合、ユニットOPS4は電源の遮断とともに動作を停止する。
【0163】
続いて、マイコンMS3は、ラッチングリレー26の接続状態を自己側に設定する(S214)。具体的には、マイコンMS3は信号を出力して、接点P261とP262とを接続する。これにより、接続検出線L300とL302とが接続される。マイコンMS3はさらに、ファンクションスイッチ25の接続先を自己側信号線群1000に設定する(S215)。これにより、電源がコンテンツ信号生成部30に供給され、制御対象モードが完了する。
【0164】
以上の動作を実行した後、マイコンMS3は起動完了通知をI2CバスL801上に出力する(S217)。以上の動作を完了した後、マイコンMS3は、現状モードフラグを「1」に更新する。これによりマイコンMS3は、自身が現在、制御対象モードであることを認識できる。
【0165】
AV装置10のマイコンM0は、ステップS107〜S109の動作を繰り返しているが、マイコンMS3からの起動完了通知をステップS109で受信したとき、ユニットOPS3の制御方法決定処理を行う(S110〜S116)。
【0166】
制御方法決定処理では、マイコンMS3はまず、接続検出線L300の電圧レベルを確認する。仮に、ユニットOPS3が着脱型ユニットOPS3Aであっても、コンテンツ信号生成部30が装着されていれば、電圧レベルはLレベルである。そのため、マイコンM0は動作フラグをオンにして(S111)、メモリに格納する。以降、動作フラグを参照すれば、デイジーチェーン接続されたユニットOPS1〜OPS3のいずれか1つが動作中であることが分かる。
【0167】
続いて、マイコンM0はID=3宛にタイプ情報要求をI2CバスL800を介して出力する。各ユニットOPS1〜OPS3は、タイプ情報要求の送信先アドレスを確認し、自己IDと異なる場合無視する。ユニットOPS3のマイコンMS3は、タイプ情報要求の送信先アドレスが自己IDと同じであると判断し、自身のタイプ情報をマイコンM0に送信する。ここで、自身のタイプ情報はスレーブアドレスのデフォルト値とともに、ユニットOPS3のメモリ(ROM等)に格納されている。
【0168】
マイコンM0はタイプ情報を受信し(S113でYES)、タイプ情報に応じた制御コマンドをメモリから読み出す。そしてユーザ操作に応じて選択された制御コマンドをユニットOPS3に送信する。要するに、マイコンM0はタイプ情報に応じた制御を実行する(S114)。
【0169】
一方、ユニットOPS3が着脱型ユニットOPS3Aであって、コンテンツ信号生成部30がコネクタ28に装着されていない場合、接続検出線L300はHレベルになっている(s110でNO)、この場合、動作可能な制御対象のユニットOPSnは存在しないため、マイコンM0は、動作フラグはオフ状態で維持して(S115)、電源の供給を遮断する(S116)。
【0170】
[ケース2]
図5中のユニットOPS3が着脱型ユニットOPS3Aであり、制御対象として動作中である場合を想定する。コンテンツ装置30がコネクタ28から取り外されたとき、AV装置10はユニットOPS1〜OPS3への電源の供給を停止し、消費電力を低減できる。
【0171】
ユーザがコンテンツ装置30(たとえばDAP等)をユニットOPS3Aのコネクタ28から取り外したとき、導通線L302はコンテンツ信号生成部30の接地端子GNDから切り離される。このとき、接続検出線L300の電圧レベルはHレベルになる。
【0172】
AV装置10のマイコンM0は、接続検出線L300がLレベルからHレベルに変化したと判断する(S101でNO、S117でYES、S118でNO)。そのため、マイコンM0は遮断回路12を用いて電源の供給を遮断する(S119)。そして、動作フラグをオフにする(S120)。以上の工程により、ユニットOPS1、OPS2及びOPS3Aは電源の供給を遮断され、動作を停止する。そのため、消費電力を低減できる。
【0173】
電源の供給が遮断されていても、各ユニットOPS1及びOPS2のラッチングリレー26は「スルーモード」の接続状態を維持しており、ユニットOPS3Aのラッチングリレー26は「制御対象モード」の接続状態を維持している。
【0174】
コンテンツ装置30がコネクタ28に再び接続されたとき、マイコンM0は接続検出線L300がHレベルからLレベルに変化したと判断する(S101でNO、S117でYES、S118でYES)。そのため、ステップS104に進み、ケース1と同様の動作を実行する。つまり、ユニットOPS1〜OPS3を順次起動させ、ユニットOPS3を制御する。
【0175】
以上の動作により、ユニットOPS1〜OPS3のいずれにも電源が供給されていない場合であっても、各ユニットOPS1〜OPS3のラッチングリレー26は接続状態を維持する。そのため、コンテンツ信号生成部30の装着を接続検出線L300で検出でき、制御対象となるユニットOPS3を再び制御できる。
【0176】
[ケース3]
図6に示すように、ユーザが利用するユニットをユニットOPS3からOPS2に変更する場合のAVシステム2の動作を説明する。
【0177】
この場合、ユーザは、モードセレクタ16を用いて指定IDを「3」から「2」に切り替える。このとき、マイコンM0は指定IDの切り替えを検知し(S101でYES)、メモリに格納された動作フラグを確認する(S102)。ここでは、図6の場合、動作フラグはオンされているため(S102でNO)、電源供給は遮断されていない。そこで、マイコンM0はI2CバスL800を介して、指定ID=2を含む指定ID通知を送信する(S103)。
【0178】
図13を参照して、各ユニットOPS1〜OPS3は、動作中において、指定ID通知の受信を監視している(S208)。各ユニットOPS1〜OPS3は、ステップS103に基づく指定ID通知を受け、以下の動作を実行する。
【0179】
[ユニットOPS1]
ユニットOPS1のマイコンMS1は、ステップS208で指定ID(=2)を受信する(S208でYES)。図6において、ユニットOPS1内のメモリに格納されている指定ID=3であるため(S209でNO)、マイコンMS1は、メモリ内の指定IDを「3」から「2」に更新する(S210)。
【0180】
続いて、マイコンMS1は、自己IDと更新された指定IDとを比較する。その結果、指定IDは自己IDよりも大きいと判断する(S211でNO、S218でYES)。このとき、マイコンMS1は、指定モードを「2」として(S235)、現状モードフラグが指定モードと同じか否かを判断する(S236)。本例では、ユニットOPS1はスルーモードであったため、現状モードは「2」となっている。そこで、現状モードは指定モードと同じであるため(S236でYES)、マイコンMS1はスルーモード処理を実行することなくステップS208に戻る。
【0181】
[ユニットOPS2]
ユニットOPS2のマイコンMS2は、ステップS208で指定ID(=2)を受信し(S208でYES)、メモリ内の指定IDを「2」に更新する(S209でYES、S210)。続いて、マイコンMS2は、自己IDと指定IDとが同じであると判断する(S211でYES)。そこで、マイコンMS2は、指定モードを「1」に設定し(S231)、現状モードフラグが指定モードと同じか否かを判断する(S232)。本例では、ユニットOPS2はスルーモードであったため、現状モードフラグは「2」となっている。そこで、マイコンMS2は、現状モードフラグが指定モードフラグと異なると判断し(S232でYES)、制御対象モード設定処理を実行する(S600)。制御対象モード設定処理の実行により、ユニットOPS3への電源供給が遮断され、かつ、ユニットOPS3に出力されるリセット信号もLレベルとなる。そのため、ユニットOPS3は動作を停止する。
【0182】
以上の動作により、指定IDの切り替えが完了する。AV装置20内のマイコンM0は、ユニットOPS2から出力された起動完了通知を受け(S109でYES)、制御方法決定処理を行う(S110〜S116)。そのため、ユニットOPS2の種類に応じた制御を実行できる。
【0183】
[第3の実施の形態]
オプションユニットがスライドスイッチ及びラッチングリレーの両方を備えていてもよい。図14を参照して、第3の実施の形態におけるAVシステム3は、AV装置20と、複数のユニットOPT1〜OPTnを備える。これらは、図10と同様に、デイジーチェーン接続される。
【0184】
AV装置20の構成は第2の実施の形態で説明した通りである。以下、ユニットOPTnの構成について説明する。
【0185】
[オプションユニット]
ユニットOPTnは、図11に示すユニットOPSnと比較して、新たに遮断回路23と、スライドスイッチ240と、プルアップ回路29とを備える。遮断回路23は、図3に示すユニットOPFn内の遮断回路23と同じ構成を有し、スライドスイッチ240と接続検出線L300と接続されるコネクタ26内の入出力端子との間に接続される。
【0186】
スライドスイッチ240は、図3中のスライドスイッチ24と同じく、機械的スイッチである。スライドスイッチ240は、接点P241〜P246と、接点P240及びP247とを備える。接点P241〜P246の接続関係は、図3中のスライドスイッチ24と同じである。接点P240は、ラッチングリレー26に接続されている。接点247は開放端である。
【0187】
ラッチングリレー26中の接点P261は、接点P240に接続される。そして、接点P262は導通線L302と接続され、接点P263は導通線L303と接続される。
【0188】
スライドスイッチ240は、3つのモードが選択可能となっている。3つのモードは、スルーモード、制御対象モード、及びリモートモードである。
【0189】
稼働切片SWを図14中上段に移動したとき、スライドスイッチ240は、動作対象モードに設定される。この場合、接点P242及びP243が接続される。このとき、接続検出線L300は導通線L302と接続される。さらに、接点P245及びP246が接続される。このとき、スイッチ検出線L700は一端(接点P246)が開放されるため、電圧レベルがHレベル(ハイインピーダンス状態)となる。
【0190】
稼働切片SWを図14中の中段に移動したとき、スライドスイッチ240は、スルーモードに設定される。この場合、接点P241及びP242が接続される。その結果、接続検出線L300は、導通線L303と接続される。さらに、接点P244及びP245が接続される。この場合、スイッチ検出線L700が接地端子GNDに接続される。そのため、スイッチ検出線L700の電圧レベルはLレベルになる。
【0191】
稼働切片SW3が下段に移動したとき、スライドスイッチ240は、リモートモードに設定される。この場合、接続検出線L300は、ラッチングリレー26と接続される。したがって、スライドスイッチ240がリモートモードに設定された場合、スライドスイッチ240ではなくラッチングリレー26が、「制御対象モード」か「スルーモード」かを設定する。その他の構成は、図11に示すユニットOPSnと同じである。なお、図14に示すとおり、オプションユニットOPTnは、上述のユニットOPFn及びOPSnと同様に、着脱型ユニットOPTnAと、固着型ユニットOPTnBの2種類が存在する。
【0192】
ユーザはユニットOPTnの稼働切片SWSWを手動操作することで、スライドスイッチ240を「スルーモード」及び「制御対象モード」に設定できる。この場合、AV装置20は、AV装置10と同様の動作(図7及び図9)を実行する。また、ユニットOPTnは、図8に示す動作を実行する。
【0193】
一方、ユーザによる稼働切片SWの移動により、スライドスイッチ240が「リモートモード」に設定されたとき、AV装置20は、図12に示す動作を実行する。そして、ユニットOPTnは、図13に示す動作を実行する。
【0194】
上述の実施の形態では、機械的スイッチとしてスライドスイッチ24及び240を使用した。しかしながら、スライドスイッチ24及び240を、トグルスイッチやプッシュスイッチ、ロッカースイッチ、ロータリースイッチ、ディップスイッチ、ジャンパースイッチ等に置換してもよい。
【0195】
また、本実施の形態では、リセット信号線L200及びL201、L202を設け、リセット信号線を活性化させることで、後ろ隣のユニットを起動した。しかしながら、各ユニット内の電源回路21がパワーオンリセット信号回路を備え、電源を受けたときに、活性化されたパワーオンリセット信号を自身のマイコンに出力してもよい。この場合、リセット信号線L200〜L202は不要となる。
【0196】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0197】
1〜3 AVシステム
GND 接地端子
L100 電源供給線
L101〜L103 電源受信線
L200〜L202 リセット信号線
L300 接続検出線
L301〜L303 導通線
L400〜L402 通信線
L500〜L503 映像信号線
L600〜L603 音声信号線
L700 スイッチ検出線
L800,L801 I2Cバス
M0,MF1〜MFn,MS1〜MSn マイコン
OPFn,OPSn,OPTn,OPCn オプションユニット
10,20 AV装置
11 電源供給回路
12,23 遮断回路
14,29 プルアップ回路
16 モードセレクタ
17 コネクタ
21 電源回路
24,240 スライドスイッチ
25 ファンクションスイッチ
26 ラッチングリレー
30 コンテンツ信号生成部
31 コンテンツ信号出力部
100 装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電装置と複数の受電装置とが前記給電装置を先頭にデイジーチェーン接続されたAVシステムであって、
前記給電装置は、
接続検出線と、
前記接続検出線に電圧を印加する印加手段と、
前記接続検出線の電圧レベルに応じて、前記受電装置に電源を供給又は電源の供給を停止する電源供給手段とを備え、
前記受電装置は、
前記電源の供給を受けてコンテンツ信号を出力するコンテンツ信号出力手段と、
接地電位を有する接地端子と、
後ろ隣の他の受電装置内の前記接地端子と接続可能な導通線と、
前記接続検出線を前記接地端子又は前記導通線のいずれかに接続可能であり、前記電源の供給がなくても接続状態を保持できる第1のスイッチ手段とを備えることを特徴とするAVシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のAVシステムであって、
前記受電装置はさらに、
前記第1のスイッチ手段による接続検出線の接続先に応じて、前記電源の供給先を前記コンテンツ信号出力手段又は後ろ隣の他の受電装置のいずれかに切り替える第2のスイッチ手段を備えることを特徴とするAVシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のAVシステムであって、
前記受電装置はさらに、
前記第1のスイッチ手段と接続され、前記接続検出線の接続先に応じて、電圧レベルが変動するスイッチ検出手段を備え、
前記第2のスイッチ手段は、前記スイッチ検出手段の電圧レベルに応じて、前記電源の供給先を切り替えることを特徴とするAVシステム。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載のAVシステムであって、
前記受電装置はさらに、
前記第1のスイッチ手段が前記接続検出線の接続先を切り替えたとき、前記接続検出線と前記第1のスイッチ手段との接続を遮断し、前記第2のスイッチ手段が前記電源の供給先を切り替えた後、前記接続検出線と前記第1のスイッチ手段との接続遮断を解除する遮断手段を備え、
前記コンテンツ信号出力手段はさらに、前記電源が供給されたとき、前記給電装置からの要求に応じて前記コンテンツ信号出力手段の種類に関するタイプ情報を出力し、
前記給電装置はさらに、
前記接続検出線の電圧レベルの変化に応じて、前記電源を供給されたコンテンツ信号出力手段に前記タイプ情報を要求する要求手段と、
前記タイプ情報に基づいて、前記コンテンツ信号出力手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とするAVシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のAVシステムであって、
前記電源供給手段は、前記接続検出線の電圧レベルがHレベルからLレベルへと変化した場合であって、前記遮断手段が前記接続検出線と前記第1のスイッチ手段との接続を遮断してから遮断を解除するまでに掛る時間よりも長い所定期間が経過しても前記電圧レベルがLレベルを維持しているとき、前記電源の供給を停止することを特徴とするAVシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のAVシステムであって、
前記第1のスイッチ手段は、前記受電装置に電源が供給されたとき、前記給電装置から出力される指定通知に応じて前記接続検出線の接続先を切り替え、
前記受電装置はさらに、
前記指定通知に応じて前記電源の供給先を前記コンテンツ信号出力手段又は後ろ隣の他の受電装置のいずれかに切り替える第2のスイッチ手段を備え、
前記給電装置は、
前記複数の受電装置のうち、制御対象とする受電装置の指定を受け付ける指定受付手段と、
前記指定された受電装置の識別番号を含む前記指定通知を前記受電装置に出力する指定通知手段とを備えることを特徴とするAVシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のAVシステムであって、
前記給電装置はさらに、
前記電源を供給するとき、後ろ隣の前記受電装置用の識別番号を通知する第1の識別番号通知手段を備え、
前記受電装置はさらに、
前記前隣りの給電装置又は受電装置から通知される識別番号を自己識別番号として登録する登録手段と、
前記自己識別番号に基づいて、後ろ隣の前記受電装置用の識別番号を作成し、作成された識別番号を通知する第2の識別番号通知手段とを備えることを特徴とするAVシステム。
【請求項8】
請求項7に記載のAVシステムであって、
前記受電装置はさらに、
前記自己識別番号と前記指定通知に含まれる識別番号とに基づいて、前記指定された受電装置が自身であるか、自身よりも後段に接続された他の受電装置であるかを判断する判断手段を備え、
前記指定された受電装置が自身である場合、第1のスイッチ手段は前記接続検出線を前記接地端子に接続し、前記第2のスイッチ手段は前記電源の供給先を前記コンテンツ信号出力手段とし、
前記指定された受電装置が自身よりも後段に接続された他の受電装置である場合、前記第1のスイッチ手段は前記接続検出線を前記導通線に接続し、前記第2のスイッチ手段は前記電源の供給先を前記後ろ隣の他の受電装置とし、前記第2の識別番号通知手段は、前記識別番号を通知することを特徴とするAVシステム。
【請求項9】
請求項8に記載のAVシステムであって、
前記受電装置はさらに、
前記指定された受電装置が自身である場合、第1及び第2のスイッチ手段の動作が完了した後、起動完了通知を送信する起動完了通知手段と、
前記給電装置からのタイプ情報の要求に応じて前記コンテンツ信号出力手段の種類に関するタイプ情報を前記給電装置に送信するタイプ情報送信手段とを備え、
前記給電装置はさらに、
前記起動完了通知に応じて、前記指定された受電装置に前記タイプ情報を要求するタイプ情報要求手段と、
前記送信されたタイプ情報に応じて前記指定された受電装置のコンテンツ信号出力手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とするAVシステム。
【請求項10】
複数の受電装置がデイジーチェーン接続可能な給電装置であって、前記受電装置は、電源の供給を受けてコンテンツ信号を出力するコンテンツ信号出力手段と、接地電位を有する接地端子と、後ろ隣の他の受電装置内の前記接地端子と接続可能な導通線と、電源の供給がなくても接続状態を保持できる第1のスイッチ手段とを備え、
前記給電装置は、
前記第1のスイッチ手段により、接続先が後ろ隣の前記受電装置内の前記接地端子又は前記導通線に切り替えられる接続検出線と、
前記接続検出線に電圧を印加する印加手段と、
前記接続検出線の電圧レベルに応じて、前記受電装置に電源を供給又は電源の供給を停止する電源供給手段とを備えることを特徴とする給電装置。
【請求項11】
電圧が印加されている接続検出線と、前記接続検出線の電圧レベルに応じて電源を供給又は電源の供給を停止する電源供給手段とを備えた給電装置とデイジーチェーン接続可能な受電装置であって、
前記電源の供給を受けてコンテンツ信号を出力するコンテンツ信号出力手段と、
接地電位を有する接地端子と、
後ろ隣の他の受電装置内の前記接地端子と接続可能な導通線と、
前記接続検出線を前記接地端子又は前記導通線のいずれかに接続可能であり、前記電源の供給がなくても接続状態を保持できる第1のスイッチ手段とを備えることを特徴とする受電装置。
【請求項12】
電圧が印加されている接続検出線と、前記接続検出線の電圧レベルに応じて電源を供給又は電源の供給を停止する電源供給手段とを備えた給電装置とデイジーチェーン接続可能な受電装置であって、
接地電位を有する接地端子と前記電源の供給を受けてコンテンツ信号を出力するコンテンツ信号出力手段とを備えたコンテンツ装置を着脱可能なコネクタと、
後ろ隣に接続される他の受電装置内の前記接地端子と接続可能な導通線と、
前記接続検出線を前記導通線又は前記コネクタを介して前記コンテンツ装置内の接地端子のいずれかに接続可能であり、前記電源の供給がなくても接続状態を保持できる第1のスイッチ手段とを備えることを特徴とする受電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−8303(P2011−8303A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−145792(P2009−145792)
【出願日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(000000273)オンキヨー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】