説明

DCモータシーリングファン

【課題】DCモータによる電気ノイズ及び周囲の照明装置の熱による制御基板への影響を低減するシーリングファンを提供することを目的とする。
【解決手段】制御基板13は、ファン12を挟んでDCモータ11の下方に設置されることにより、DCモータ11の電気ノイズの影響を受けない。また、ファン12の固定部分17に設けられた板状の突起18により、空気の対流を生じさせることができ、制御基板13の周囲の温度の上昇を防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井に取り付けられて室内の空気を循環させるシーリングファンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、室内の空気を循環させることにより、冷房及び暖房の効率を高めるためにシーリングファンが用いられている。シーリングファンは、そのファンを回転させることにより室内に空気の対流を生じさせ、室内の温度を均一化させることにより冷暖房の効率を上げることができる。
【0003】
ここで、シーリングファンにはDCモータがその駆動モータとして使われているが、DCモータを制御する際には制御基板が必要となる。また、シーリングファンは、室内の天井に設けられるため、デザイン性が求められるとともに、その外観形状をスリムに保つためにシーリングファン本体の小型化が図られている。そのため、DCモータと、それを制御する回路部品を搭載したプリント基板が近接して搭載されることとなっていた(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−219998号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、DCモータに近接した形でプリント基板を配置することにより、DCモータの電気ノイズが制御基板上の部品に影響を与えることがあり、この電気ノイズを考慮した回路設計が必要とされていた。
【0005】
また、DCモータに近い位置に制御基板がある場合には、その制御基板に沿うようにカバーを設置することとなる。シーリングファンは照明装置とともに用いられることが多いため、周囲に設置される照明装置の熱は、制御基板に沿うように設置されたカバーを介して制御基板に容易に伝わる。これにより、制御基板の周囲温度が上昇し、制御基板の寿命に影響を与えていた。さらに、DCモータに近接した形で制御基板を設置しつつ外形寸法をスリムに保つためには、小型のモータが必要とされていた。
【0006】
本発明は、DCモータによる電気ノイズ及び周囲の照明装置等の熱による制御基板への影響を低減するシーリングファンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明におけるDCモータシーリングファンは、DCモータと、前記DCモータに固定されて回転するファンと、前記DCモータを制御する制御基板とを備えたDCモータシーリングファンにおいて、前記制御基板は、前記DCモータとの連結部を介した位置に配置されたことを特徴とする。
【0008】
本発明におけるDCモータシーリングファンによれば、DCモータから離れた位置に制御基板が配置されることとなり、DCモータによる電気ノイズの影響を低減することができる。
【0009】
本発明におけるDCモータシーリングファンの制御基板は、前記DCモータと前記制御基板の間に前記ファンの固定部分がある位置に配置されていても良い。また、本発明におけるDCモータシーリングファンの制御基板は複数枚により構成され、当該複数枚の制御基板は、上下に配置されていても良い。これにより、DCモータシーリングファンの外形寸法を小さくすることができる。
【0010】
本発明におけるDCモータシーリングファンの制御基板は、制御基板の周囲を覆う第1のカバーと、空気の通路を確保する第2のカバーで覆われていても良く、ファンの固定部分には、下方に突出した突起が設けられていてもよい。この突起により、第1のカバーと第2のカバーの隙間に空気の対流を生じさせ、制御基板の周囲を放熱することができ、シーリングファンとともに設けられることの多い照明装置の熱による影響を低減することができる。そして、第1のカバーと第2のカバーのうち少なくとも一方は金属製であっても良い。これにより、衝撃に強くなり、また、DCモータからの電気ノイズの影響をさらに低減することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、DCモータによる電気ノイズ及び周囲の照明装置等の熱による制御基板への影響を低減するシーリングファンを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明に係るDCモータシーリングファンの実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は、本実施の形態に係るDCモータシーリングファンを示す斜視図である。
【0014】
本実施の形態において、天井1に取り付け部2を介してアーム3が取り付けられており、このアーム3の先端にDCモータシーリングファン本体10が取り付けられている。DCモータシーリングファン本体10の内部には、図1には図示しないDCモータが格納されており、このDCモータに固定されて回転するファン12が取り付けられている。
【0015】
図2は、本実施の形態に係るDCモータシーリングファンを示す断面図である。本実施の形態において、DCモータシーリングファン本体10は、DCモータ11と、ファン12と、制御基板13を有している。本実施の形態においては、制御基板13は制御基板13Aと制御基板13Bの2枚に分けられ、上下に位置するように重ねられて設けられている。また、制御基板13の周囲には第1の制御基板カバー14が設置されており、その外側に第1のカバー14との間に空気の通路を確保するような隙間をあけて第2の制御基板カバー15が設置されている。また、第2の制御基板カバー15は、空気の流出口となる開口部16を有している。本実施の形態においては、第2の制御基板カバー15は金属製である。そして、ファンの固定部分17には、下方に突出した板状の突起18が設けられている。
【0016】
図2に示すように、制御基板13は、DCモータ11との間に連結部19が介在し、ファン12の固定部分17を挟んでDCモータ11よりも下方の位置に設置されている。このように設置することにより、DCモータ11と制御基板13が離れて位置することとなり、DCモータ11の電気ノイズの影響を低減することができる。電気ノイズの影響を考慮に入れた回路設計をする必要がなくなるため、制御基板の設計の自由度が向上する。
【0017】
また、制御基板13を制御基板13A及び制御基板13Bの2枚に分けて上下方向に重ねて設置することにより、制御基板13の設置面積が少なくてすみ、そのため、その周囲を第1の制御基板カバー14と金属製である第2の制御基板カバー15の2つによって、二重に覆うことができる。素材に金属を用いたカバーを設けることでシールド効果が高められ、DCモータ11からの電気ノイズをさらに低減することができる。また、金属カバーであるため、制御基板13が外部からの衝撃により損傷することを防ぐことができる。
【0018】
DCモータシーリングファン本体10は、図示しない照明装置とともに用いられることがあり、係る照明装置の発する熱により制御基板13の周囲の温度が上昇する。制御基板13上に載置された部品は、この熱により影響を受けることがある。本実施の形態において、制御基板13を覆うカバーは2枚であり、その間に隙間が生じるように構成されている。この隙間により、照明装置との間に幅ができ、その熱による影響を低減することができる。
【0019】
図3は、本実施の形態に係るファン及びファンの固定部分に設けられた突起を示す斜視図である。
【0020】
ここで、ファン12の固定部分17に設けられ下方に突出した板状の突起18は、ファンの回転に伴い回転する。突起18は板状に形成されており、この回転によって下部に向けて空気の対流を生じさせる。この空気の対流により、図2の矢印に示すように、ファン12と第2の制御基板カバー15の隙間から空気が流入し、第1の制御基板カバー14と第2の制御基板カバー15の間の隙間を通り、第2の制御基板カバー15に設けられた開口部16から流出する空気の流れを作ることができる。このような空気の対流を生じさせることにより、第1の制御基板カバー14と第2の制御基板カバー15の隙間の熱が放熱され、制御基板13の周囲の温度が上昇することを防ぐことができる。制御基板13は、周囲に設置される照明装置のみならず、制御基板に載置される部品自体の発する熱によっても、周囲の温度が上昇するが、この空気の対流により、効率的に放熱することができ、制御基板上の部品が熱による影響を受けることがない。
【0021】
このように、本実施の形態におけるDCモータシーリングファンによれば、制御基板がDCモータによる電気ノイズ及び照明装置等による熱の影響を受けることのないシーリングファンを提供することができる。また、制御基板がモータと離れた位置に設置されており、モータの外形に近いスリムなシーリングファンが提供できる。シーリングファンの本体がスリムになることにより、ファンの発生させる空気の対流を阻害することがなく、シーリングファンの効果が適切に発揮される。
【0022】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、追加等が可能である。
【0023】
上記の実施の形態においては、金属製のカバーは1枚であったが、第1の制御基板カバーも金属とすることによって、シールド効果を高め、DCモータの電気ノイズの影響をより低減することができる。
【0024】
また、上記の実施の形態において、ファンに設けられた突起はファンの固定部分に設けられていたが、これはファンの固定部分に限定されるものではなく、DCモータの回転に伴って回転し、空気の対流を生じさせるものであれば良い。また、突起の形状は板状に限らず、下方に向かって空気の対流を生じさせることができれば三角の形状でも良いし、角度を持たせて形成されていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態に係るDCモータシーリングファンの斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るDCモータシーリングファンの断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るファン及びファンの固定部分に設けられた突起を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0026】
1・・・天井、 2・・・取り付け部、 3・・・アーム、 10・・・DCモータシーリングファン本体、 11・・・DCモータ、 12・・・ファン、 13・・・制御基板、 14・・・第1の制御基板カバー、 15・・・第2の制御基板カバー、 16・・・開口部、 17・・・取り付け部、 18・・・突起、 19・・・連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DCモータと、前記DCモータに固定されて回転するファンと、前記DCモータを制御する制御基板とを備えたDCモータシーリングファンにおいて、
前記制御基板は、前記DCモータとの連結部を介した位置に配置された
ことを特徴とするDCモータシーリングファン。
【請求項2】
前記制御基板は、前記DCモータと前記制御基板の間に前記ファンの固定部分がある位置に配置されたことを特徴とする請求項1記載のDCモータシーリングファン。
【請求項3】
前記制御基板は複数枚により構成され、当該複数枚の制御基板は、上下に配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載のDCモータシーリングファン。
【請求項4】
前記ファンの固定部分には、下方に突出した突起が設けられており、前記制御基板は、前記制御基板の周囲を覆う第1のカバーと、空気の通路を確保する第2のカバーで覆われていることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載のDCモータシーリングファン。
【請求項5】
前記第1のカバーと前記第2のカバーのうち少なくとも一方は金属製であることを特徴とする請求項4記載のDCモータシーリングファン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−297939(P2008−297939A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−143188(P2007−143188)
【出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【出願人】(000103633)オーデリック株式会社 (10)
【Fターム(参考)】