説明

FRP管用のパワーレンチユニット

【課題】
従来の鋼管用パイプレンチは、軟質のFRP管に使用すると、接触部が破損し、少ないトルクを必要とするFRP管の締め込みパワーコントロールが困難であり、FRP管用のパワーレンチの開発が課題であった。
【解決手段】
本発明は、軟質FRP管表面に傷がつかないエンドレスの摩擦ゴムベルトを用いて、3つのローラからなる挟み込み構造で凹凸があるタイミングベルトの凹凸面を凹凸ローラによる駆動で、必要締め付け力を得る構造を採用することでFRP管パワーレンチを可能にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明は、石油生産用の地中に押入するガラスファイバー強化プラスチック高圧管(以下、FRP高圧管と呼ぶ)の配管接続に必要な油井用パワーレンチに関する。
【背景技術】
【0002】
FRP高圧管の接続は、鋼管に比べて締め込みトルクが約1/10と小さく、表面材料の硬さは1/20以上やわらかく、管重量が約1/5と軽い特徴から、従来の油圧駆動の鋼製刃接触のレンチは使用できない。特に油井管は径が2インチから3インチと小さく、必要トルクは締め込み時が20キログラムから30キログラム、解体時は50キログラムから200キログラムで、必要ネジ込み回転数は約100回転である。この必要条件を満足するFRP管表面に傷をつけずに、必要トルクを伝達する高速、簡単な構造のパワーレンチの開発が待ち望まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、石油・ガス井戸用のFRP高圧管の配管施工に必要なパワーレンチに関するレンチの構造、管固定装置および動力に関するパワーレンチユニットに関わる。
【0004】
図1は、発明の目的である石油井戸用のFRP高圧管のパワーレンチの構成内容である。油井用のFRP高圧管は、地中1500mから5000mに達する地底に石油・ガスなどを回収するために用いる管で、パワーレンチはその配管接続作業を行う設備である。このユニット設備は縦型配管のネジを締めこむ機能を基本とする点、約数百本と多量の管を接続する必要から高速を必要とする点、何よりFRP管は表面が軟質であり、傷をつけずに締めこむ必要がある点、ネジがプラスチックであり、管の締め込み力が正確な必要トルクを必要とする点が開発条件である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
課題を解決する手段は、図1に示す、目的地中接続管を中心にパワーユニットを取り付けるFRP製床板と床板に取り付けるスタンド、スタンドを共通軸にする回転固定フレーム、このフレームに設置するインバータ制御ギヤー減速モータによるパワーレンチ、回転固定装置により目的地中接続管パワーレンチの基本を構成する。
【0006】
基本となるパワーレンチの構造は、図2のB−B断面に示す凹凸タイミングベルトの外側摩擦面により管と接触、3点のロールと1点のロールの空圧シリンダー駆動とカムによる開閉作用で管を片方からエンドレスベルトによる締め付ける。ベルトのテンション調整は自由ローラのテンションボルトにとり必要テンションを設定する。
【0007】
エンドレスベルトの摩擦面を構成する材料は、FRP管の表面にやさしい柔らかくて摩擦係数の大きな材料として、ゴム材が選択される。ゴム材は強度がなく、水分を含むと摩擦機能を損ねるため、ゴム材には強度の高いウレタンゴム材などが採用され、ナイロンやガラス繊維の補強繊維を入れ強度向上を図り、表面には微小な排水溝を作り排水を用意にして、ゴム材にはガラス粉などの摩擦増加材料を混合する。
【0008】
このベルトをエンドレスにして、内側を駆動用に凹凸を持つタイミングベルトの形状を採用、凹凸ロールにより管と非接触の動力を有する駆動ローラにより駆動することで、目的のレンチ機能を得る。
【0009】
管の固定にはC−C断面に示す3点の摩擦ロックゴムブロックを用いる。管の固定には2点を圧力シリンダーなどで、管の導入に必要な開閉を行う機能を併用した運転動作を行う構造を採用する。固定力はパワーレンチに必要な回転トルクの約1.5倍以上が得られる締め付けを行う。
【0010】
管はA−A断面に示す、パイプフックによりクレーンワイヤーで上下移動する。パイプフックは、一方を開放してセット完了に一部180度回転により管を取り囲む構造にしたFRP高圧管のソケット下部に設置する。ワイヤー作業時に脱落を防止を図る構造としている。
【0011】
パワーユニットは、図2に示すように、水平を保つ作業台、同軸で旋回可能なC−C断面の回転固定、B−B断面のパワーレンチ、必要な照明などを設置、動力には電源とコンプレッサーを有するユニットの目的機能構成を形成する。
【発明の効果】
【0012】
図2に示す本発明による機能構成により、目的の油井FRP高圧管のパワーレンチを提供できる。
【0013】
従来、鋼管用のパワーレンチを利用していたFRP管の表面傷、オーバトルクであったための継ぎ手ネジの破損、重量機械であったことから、遅い作業性が改善できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
発明実施の最良の形態は、全体的には図2に示す構成を持つパワーレンチユニット。さらに、パイプフックの材料も軟質材であるFRP材による製作、クレーンの上下運転の衝撃が生じない運転制御があげられる。
詳細には、構造材料は軽量のアルミ材のフレーム、摩擦部材にはウレタン、床材がFRP材が最適である。動力にはトルク制御付きインバータ電動機、動力シリンダーには空圧が取扱が簡単なことから適する。
【実施例1】
【0015】
2−7/8インチ、API規格、8ラウンド・インチネジ山の油井管において、最適締め付けトルクが20キログラム・メートル、開放トルクは200キログラム・メートル、20秒の作動時間の条件の実施例を示す。 モータ動力は0.75キロワット、ギヤー比1/20ブレーキ付きを使用、空圧シリンダーは10メガパスカルで直径100ミリメートル。摩擦ベルトは120ミリメートル幅、テンションが1000キログラム、3点ロールの直径は80ミリメートルで目的の性能を達成した。
【実施例2】
【0016】
回転固定の実施例は、同様の目的条件において、3点ゴムブロックを用いた。使用ゴムはゴムコード80度のウレタン、幅120ミリメートル、1000キログラムの圧縮荷重を与えた結果、目的の回転固定が出来た。そのときのシリンダーは直径120ミリメートルを採用した。
【実施例3】
【0017】
作業台は、FRPグレーチング(レンコン状の穴あき板)45ミリメートル高さの45ミリメートル穴、リブ厚6ミリメートル、1.5メートルの正方形を採用した。各種機器を作業台に固定、2キロワット発電機と0.4キロワットコンプレッサーを設置して、システムユニット機能を得た。
このシステムによる接続のスピードは、目的の20秒/本の処理が可能であった。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の石油生産に用いられる地中に差し込む高圧FRP管の接続を行う設備の基本構成図
【図2】本発明の設備の詳細構造と各構造物の構成と機能説明図
【符号の説明】
【0019】
(1)高圧FRP油井管
(2)回転固定フレーム
(3)スタンド
(4)固定治具(配管クランプ)
(5)水平調整ボルト
(6)FRP製床板表面凹凸板
(7)地中接続管
(8)高圧FRP油井管
(9)回転固定フレーム
(10)空圧シリンダー摩擦ベルトテンション用
(11)摩擦ベルト駆動ローラ ギヤ原則モータ連結
(12)凹凸タイミングベルト
(13)テンションボルト付き自由ローラ
(14)ハロゲンライト
(15)吊りピース
(16)発電機・エアコンプレッサー収納ユニット
(17)摩擦ロックゴムブロック
(18)圧力シリンダー
(19)開閉テンションロール
(20)FRP高圧管
(21)ワイヤーロープ
(22)管ソケット
(23)パイプフック
(24)作業台
(25)ロックゴムブロック
(26)水平調整ボルト
(27)油田の外管
(28)摩擦ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油田用井戸管(略して油井管)に使用する強化繊維プラスチック(略してFRP)管のネジ接続の締め込み装置(略してパワーレンチ)において、少なくとも3点以上のロールを管と平行軸に配列して、エンドレスの外側摩擦面管を管外表面にロール路を介して一方向から巻き込み接触させて、エンドレスベルトをロールの駆動により回転させる構造のパワーレンチ。
【請求項2】
エンドレス摩擦ベルトを用いるパワーレンチにおいて、少なくても3点のローラの1つを管の軸と平行に管が出入りできる開閉構造にして、閉時にはベルトテンションを生み出す構造とした構造のレンチ。
【請求項3】
パワーレンチの駆動時の管固定(回転止め)装置において、パワーレンチと共通の軸に配置する一体の管固定装置で、少なくても3点以上のゴムなど摩擦面を有する固定ロックブロックを用いて、2点の固定ブロックを管の軸方向と平行に開閉可能な構造とし、管の導入を可能にして、閉時に管を固定する機構。
【請求項4】
パワーレンチに用いられるエンドレス摩擦ベルトにおいて、十分なトルクを得るために、ベルト幅は少なくとも管径以上の幅のベルトを採用し、表面は十分な摩擦を得るためのゴムなどの摩擦面を持ち、ベルトには片面に駆動時のすべりをなくすための凹凸を有する特徴の摩擦ベルト。
【請求項5】
パワーレンチの構成において、油井管の周囲に水平調整ボルトを4点以上取り付け、表面滑り止めを施した一体構造の床を配置し、その床に同一軸にパワーレンチと管回転固定装置を取り付け、動力ユニットを一体化したパワーレンチユニット。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−279708(P2009−279708A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−135064(P2008−135064)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【出願人】(000102924)エヌビイエル株式会社 (22)
【Fターム(参考)】