説明

IPボタン電話装置

【課題】IP系LANの誤接続などによりIP系に通話障害が発生した場合でもTDM系での通話を保証できるIPボタン電話装置を提供すること。
【解決手段】CCU1は、IP系外線/内線とTDM系外線/内線とそれらの間の呼処理制御を行う。TCCU2は、CCU1と制御情報を送受信してTDM系主制御を行うとともに、IP系とTDM系の間での通話を仲介する。TDM系内線/外線に対する各種TDM系インターフェースを制御するTDM系制御ユニットは、TDM系主制御ユニットとTDM系信号を送受信する。CCU1およびTCCU2にそれぞれ、制御情報送受信専用のポート19,29を設け、これらのポート19,29間をLANケーブル9で接続することにより、音声情報とは独立に制御情報を伝送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IPボタン電話装置に関し、特に、IP系外線・内線とTDM系外線・内線を収容し、IP系に通話障害が発生した場合でもTDM系での通話を保証できるIPボタン電話装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電話システムにはTDM系とIP系が存在する。TDM系電話システムの電話装置は、TDM系外線・内線を収容し、それらの間さらに内線同士および外線同士での呼処理制御を行い、IP系電話システムの電話装置(IPボタン電話装置)は、IP系外線・内線を収容し、それらの間さらに内線同士および外線同士での呼処理制御を行う。
【0003】
最近ではIP系電話システムが特に注目されているが、TDM系電話システムは、従来から十分な信頼性のもとに利用されおり、IPボタン電話装置をIP系とTDM系の間での通話も相互に可能に構成することで、TDM系電話システムの資源の有効利用し、さらに次世代ネットワーク(NGN)による種々のサービスを受けることを可能にすることができる。
【0004】
特許文献1には、PSTNなどからのパケット網への呼制御情報を従来回線部で受信後、交換制御部によってIP呼制御部へ伝達し、パケット網に準じた呼制御データに変換し、PSTNなどからのパケット網への音声データを従来回線部で受信後、交換制御部によって音声変換部へ伝達し、パケット網に準じた音声データに変換することにより、インターネットなどのパケット網を用い、音声データをIPパケットデータ化し、低コストで従来回線交換サービスと同等の通話サービスを提供する交換装置が記載されている。
【0005】
特許文献2には、 次世代ネットワークにおけるネットワーク破壊に対して保護をする通信方法及び通信システムに関し、接続制御およびレート制御をともに強化するために、様々なネットワークルーティング要素をダイナミックにプログラムすることと結合したより高いレベルの呼処理プロトコル基本命令の意味制限を用いて、ネットワーク安全性を実現することが記載されている。
【特許文献1】特開2007−6524号公報
【特許文献2】特開2001−245056号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
IP系とTDM系の間での通話が相互に可能になるようにIPボタン電話装置を構成する場合、その主制御ユニット(CCU)を1枚の基板とし、CCUにIP系とTDM系を含む制御ソフトウエアを搭載することが考えられる。
【0007】
IPボタン電話装置では、音声に加えて映像を用いた通話機能、3者での会議通話機能、ブラウザ機能が追加されたIPボタン電話機、ソフトフォン(カメラとマイクとスピーカを接続したPCにアプリケーションとしてIPボタン電話機能を搭載した電話機)など、多種多様の装置を内線電話機として数多く収容することが可能である。
【0008】
このため、CCUを1枚の基板で実現した場合、そのCPU負荷が高くなって、処理速度が低下したり、動作不良が生じたりするという課題が生じる。この課題を解決するため、TDM系主制御ソフトウエアを別の基板(TCCU:TDM系主制御ユニット)に移し、これらの基板のポート間を1本のLANケーブルで接続するとともに、CCUのポートにIP系外線・内線を接続することが考えられるが、このようにした場合、以下のような課題が新たに生じる。
【0009】
CCUのポートにはLANケーブルやスイッチングハブ(HUB)などを介して各種IP系内線電話機が接続されてIP系LANが構成される。CCUのポートとTCCUのポート間を1本のLANケーブルで接続し、これで制御情報と音声情報を伝送するものとすると、例えば、CCU配下のIP系LAN上のスイッチングHUBにおいてLANケーブルが誤接続されるなどした場合、ブロードキャストストームが発生してLAN側からCCUのポートに多量のブロードキャストパケットが押し寄せる。これにより、CCUとTCCU間での制御情報の伝送が不可能になり、CCUがTCCUを制御できなくなってTDM系の通話も不可能になるという事態が起こる。
【0010】
図4は、CCUとTCCUの制御情報の伝送が不可能になる状態の1例を示す説明図である。図4は、CCU配下のIP系LAN上のスイッチングHUBの2つのポート間が直に接続された状態を示している。この状態で、IPボタン電話機(IP-KT)から、CCUのMACアドレスを入手するために、ARPリクエスト・パケットがブロードキャストされた場合、HUBの2つのポート間が直に接続されていることにより、ここで多量のARPリクエスト・パケットが発生し、CCUのポートに押し寄せる。CCUのポートは、TCCUのポートと1本のLANケーブルにより音声情報と制御情報の両者を送受信するポートでもあるので、多量のARPリクエスト・パケットが押し寄せることにより、CCUは、TCCUを制御できなくなる。
【0011】
特許文献1、2のいずれにも、上記課題および該課題を解決するための手段について記載されていない。
【0012】
本発明の目的は、IP系LANの誤接続などによりIP系に通話障害が発生した場合でもTDM系での通話を保証できるIPボタン電話装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明は、IP系外線と内線およびTDM系外線と内線とそれらの間での呼処理制御を行う主制御ユニットと、前記主制御ユニットと制御情報を送受信してTDM系主制御を行うとともに、IP系とTDM系の間での通話を仲介するTDM系主制御ユニットと、前記TDM系主制御ユニットとTDM系信号を送受信し、TDM系外線と内線に対する各種TDM系インターフェースを制御するTDM系制御ユニットを備え、前記主制御ユニットおよび前記TDM系主制御ユニットにそれぞれ、制御情報送受信専用のポートを設け、これらのポート間を制御情報伝送用伝送線で接続することにより、音声情報とは独立に制御情報を伝送することを特徴としている。
【0014】
また、本発明は、前記TDM系主制御ユニットが、IP系音声情報とTDM系音声情報を相互に変換する変換手段を有することを特徴としている。
【0015】
また、本発明は、さらに、ボイスオーバIPユニットを備え、これによりIP系音声情報とTDM系音声情報の相互変換のチャネル数が拡張されていることを特徴としている。
【0016】
また、本発明は、前記主制御ユニットのIP系の専用チップのドライバが、受信パケットレート(PPS(Packet Per Second)、単位当たりの受信パケット数)およびCPU使用率を監視し、両方の値が所定の閾値を超過すると、受信負荷を一定限度に抑えるため受信割り込みを一定期間マスクし、受信パケットレートが閾値を超過すると受信パケットを廃棄することを特徴としている。
【0017】
さらに、本発明は、前記主制御ユニットに接続され、音声パケットを高音質と標準音質との間で音質変換する音声変換ユニットを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、CCUとTCCUの間の制御情報と音声情報のポートおよび伝送線を分離し、音声情報とは独立させて制御情報を伝送する構成とする。これにより、CCU配下のIP系LANでブロードキャストストームが発生して、CCUで制御されるIP系外線や内線の動作が不安定になっても、CCUとTCCUの間の制御情報の伝送は可能になっているので、TCCU配下のTDM系の通話を保障することができる。
【0019】
また、TDM系主制御ユニットにIP系音声情報とTDM系音声情報を相互に変換する変換手段を持たせて、IP系とTDM系の間での相互の通話を行わせることができ、さらに、ボイスオーバIPユニットを追加搭載して、IP系音声情報とTDM系音声情報の相互変換の性能(チャネル数)を拡張することができる。
【0020】
また、主制御ユニットのIP系の専用チップのドライバで、受信パケットレート(PPS(Packet Per Second)、単位当たりの受信パケット数)およびCPU使用率を監視し、その結果に応じて受信割り込みを一定期間マスクしたり受信パケットを廃棄したりすることにより、過剰パケットの影響を抑制することができる。
【0021】
さらに、音声パケットを高音質と標準音質との間で音質変換する音声変換ユニットを備えることにより、音声についてのメディア能力が異なる内線電話機に転送されるなどした場合でも、通話に選択されたメディア能力および内線電話機のメディア能力に合わせて音声パケットを高音質から標準音質に、あるいはその逆に変換できる。また、高音質と標準音質の保留音を保持して保留時に保留音を持たない内線電話機に通話時のメディア能力に合わせて高音質または標準音質の音声パケットを送出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明を説明する。図1は、本発明の一実施形態を示す機能ブロック図であり、ここでは、本発明の説明に不要な構成は図示省略している。
【0023】
本実施形態のIPボタン電話装置100は、外線としてアナログ回線、ナンバーディスプレイ契約回線、網番号ダイヤルイン回線、アナログ専用線、デジタル専用線およびISDN回線などのレガシー(従来型・旧型)外線(TDM系外線)のみならず、VoIP回線、NGN(Next Generation Network:次世代ネットワーク)回線(IP系外線)を収容する。また、内線電話機として一般アナログ端末、デジタルボタン電話機、ISDN端末、ホテルフォンおよびFAXなどのレガシー端末(TDM系内線電話機)のみならず、IPボタン電話機などのIP端末(IP系内線電話機)を収容し、各外線と各内線との間の通信を制御する。
【0024】
IPボタン電話装置100において、主制御ユニット(CCU:Central Control Unit)1は、1枚の基板に搭載され、主制御ソフトウエアに従ってIPボタン電話装置全体の基本的動作である主制御を行う。また、CCU1は、IP系外線、IP系内線、TDM系外線およびTDM系内線とそれらの間(IP系内線同士、TDM系内線同士を含む。)での呼処理制御を行い、多様な通話を可能にする。主制御ソフトウエアは、IP系外線のプロトコルであるSIPを解釈することができ、これによって、IP系外線を収容してIP系外線の発着信ができるようになっている。
【0025】
TDM主制御ユニット(TCCU:TDM Central Control Unit)2も、1枚の基板に搭載され、CCU1と制御情報を送受信し、TDM系主制御を行う。この制御は、例えば、TDM系外線と内線の各種専用インターフェース(TDM制御ユニット)の制御を含む。
【0026】
カスタマエッジユニット(CEU:Customer Edge Unit)3は、音声情報と制御情報が多重化されたIP通信を行う高速ブロードバンドルータとしての機能を備える。音声変換ユニット(VCU:Voice Conversion Unit)4は、音声についてのメディア能力が異なる内線電話機に転送されるなどした場合に、通話に選択されたメディア能力および内線電話機のメディア能力に合わせて音声パケットを高音質から標準音質に、あるいはその逆に変換する。また、高音質と標準音質の保留音を保持して保留時に保留音を持たない内線電話機に通話時のメディア能力に合わせて高音質または標準音質の音声パケットを送出する。
【0027】
TCCU2には、ファックス端末81、ホテルフォン端末82、デジタルボタン電話機83、単体電話機84などのレガシー端末(TDM系内線電話機)、および一般外線、ISDNネット回線、デジタル専用線、アナログ専用線などのレガシー外線(TDM系外線)が、各種専用インターフェース(TDM制御ユニット)およびTDM通信用のTDMバス5を介して接続可能である。TDMバス5は、制御情報を送受信するDチャネルおよび音声情報を送受信するBチャネルを備える。
【0028】
CCU1とTCCU2とは音声情報伝送用LANケーブル8および制御情報伝送用LANケーブル9の2本のLANケーブルで接続される。このために、CCU1とTCCU2には音声情報伝送用とは別に制御情報伝送用の専用のポートが設けられる。CCU1とCEU3およびVCU4もLANケーブルで接続される。CCU1にはさらに、LANケーブル10を介して保守用コンピュータ95が接続されるとともに、LANケーブル6を介してスイッチングハブ(HUB)7が接続される。HUB7には、専用インターフェースを介してIPボタン電話機91や音声会議装置92が接続され、無線アクセスポイント(AP)にはIPコードレスフォン93が収容され、さらにソフトフォンのアプリケーションが実装されたコンピュータ94が接続される。
【0029】
CCU1は、CPU11、DDRメモリ(RAM)12、フラッシュメモリ13、パケット転送の制御に特化した専用チップ14、挿抜自在のコンパクトフラッシュ(登録商標)(CF)メモリ15およびレイヤ2スイッチ(L2SW)16を主な構成要素としている。専用チップ14は、パケット転送回路として機能するカスタムLSIである。
【0030】
CCU1がパワーオンあるいはリセット(POWERON/RESET)されると、まず、フラッシュメモリ13にあるブートローダ(ソフトウエア)が動作し、CFメモリ15のファイルシステムに格納されているOSをDDRメモリ12にロードし起動する。次にOSがCFメモリ15のアプリケーション(主制御ソフトウエア)をDDRメモリ12にロードし起動する。これにより主制御ソフトウエアが動作するようになる。
【0031】
また、CFメモリ15には、IPボタン電話装置のシステムデータ(設定データ)のデータベース(DB)があり、これは必要に応じて取り出され、DDRメモリ12上の変数に設定される。これにより、IPボタン電話装置は、システムデータに従って動作する。なお、システムデータは、保守用コンピュータ95により設定できる。
【0032】
TCCU2は、CPU21、DDRメモリ22、フラッシュメモリ23、ファイ(PHY)24、TDMバス5のBチャネルを制御するハイウエイスイッチ25、Dチャネルを制御するDch制御信号通信チップ26およびDSP(Digital Signal Processor)27を主な構成要素としている。
【0033】
CEU3は、CPU31、DDRメモリ32、フラッシュメモリ33、パケット転送の制御に特化した専用チップ34およびL2SW35を主な構成要素としている。専用チップ34は、専用チップ14と同様のものである。VCU4は、CPU41、DDRメモリ42、フラッシュメモリ43、L2SW44およびDSP45を主な構成要素としている。DSP45は、音声パケットを高音質から標準音質に変換する。その逆も行う。
【0034】
上記実施形態のIPボタン電話装置100では、CCU1、TCCU2、CEU3およびVCU4のそれぞれにCPU11,21,31,41を分散配置し、それらのCPUを連動させて全体の制御を行うマルチCPUシステムとして構成しているので、負荷分散を実現できる。なお、各種専用インターフェース(TDM制御ユニット)もCPUを含んでいる。また、CCU1およびCEU3に搭載された専用チップ14,34のハードウエアによりパケット転送を制御するので、CPUの処理負荷が軽減される。
【0035】
IPボタン電話装置100において、例えば、単体電話機84がTDM系外線経由で発着信した場合、TCCU2は、CCU1とLANケーブル9を介して制御情報を送受信してTDM系主制御を行い、TDM系内線とTDM系外線間で音声情報の送受信を可能にする。単体電話機84とTCCU2は、PCM変換された音声情報をTDMバス5を介して時分割多重化通信により送受信する。
【0036】
また、例えば、単体電話機84がIP系外線経由で発着信した場合、単体電話機84とTCCU2との間ではPCM変換された音声情報がTDMバス5上で時分割多重化通信により送受信される。TCCU2とCCU1との間ではLANケーブル8を介して音声パケットが交換される。音声情報のTDMとパケットの相互変換にはTCCU2のDSP27が使用される。CCU1とTCCU2間の制御情報は、LANケーブル9を介して送受信される。CEU3ではL2SW35経由でIP系外線に接続されており、CCU1およびCEU3は、それぞれの専用チップ14,34を利用して音声パケットを交換する。
【0037】
また、IP系内線電話機、例えば、IPボタン電話機91がTDM系外線経由で発着信した場合は、TDMバス5、TCCU2、CCU1およびHUB7の経路が確立される。さらに、IPボタン電話機91がIP系外線経由で発着信した場合は、CEU3、CCU1およびHUB7の経路が確立される。
【0038】
図2、図3は、CCU1とTCCU2間のLAN接続の第1、第2構成例を詳細に示すブロック図である。図2、図3において、図1と同一あるいは同等部分には同じ符号を付してある。なお、TCCU2、CEU3およびVCU4の主な構成要素、TDMバス5に接続されるTDM系外線および内線、HUB7に接続されるIP系内線、CCU1にLANケーブル10を介して保守用コンピュータ95が接続される点は、図1と同様であるが、図示省略している。
【0039】
ファイ(PHY)17(図1には図示せず)およびPHY24(24a,24b)は、Ethernet(登録商標)の物理層を制御するLSIであり、本実施形態では、TCCU2とCCU1との間の制御信号がPHY17,24のLANポートを介して送受信される。L2SW16は、例えば1Gビット対応、5ポートのレイヤ2スイッチである。
【0040】
図2において、CCU1は、音声情報伝送用LANポート18とは別に制御情報専用の制御情報伝送用LANポート19を備え、TCCU2は、音声情報伝送用LANポート28とは別に制御情報専用の制御情報伝送用LANポート29を備える。LANポート18と28は、音声情報伝送用LANケーブル8で接続され、LANポート19と29は制御情報伝送用LANケーブル9で接続される。また、音声情報伝送用LANポート18にはCEU3が接続され、また、LANケーブル6を介してHUB7が接続される。
【0041】
図3では、図2の構成にさらに、ボイスオーバIPユニット(VOIPU:Voice Over IP Unit)50を追加搭載している。VOIPU50は、CPU51、DDRメモリ52、フラッシュメモリ53、L2SW54およびDSP55を主な構成要素とし、TDMバス5に接続されてCCU1から制御情報を受ける。また、VOIPU50は、音声情報伝送用LANポート58を備える。VOIPU50には音声情報のTDMとパケットの相互変換機能が具備されており、VOIPU50を搭載することにより、TCCU2が行う音声情報のIP/TDM変換の性能(チャネル数)を拡張することができる。音声情報のTDMとパケットの相互変換にはVOIPU50のDSP55が使用される。VOIPU50を搭載する場合、音声情報伝送用LANは、図示のように、LANポート18−LANポート58−LANポート28の経路のLAN接続で構成される。
【0042】
IPボタン電話装置100において、TDM系内線電話機とTDM系外線間の発着信は、CCU1と制御情報を送受信するTCCU2および各種専用インターフェース(TDM制御ユニット)により制御され、音声情報は、TDM系内線電話機−TDMバス5−TCCU2−TDMバス5−TDM制御ユニット(I/F)−TDM系外線の経路で送受信される。このとき、制御情報は、CCU1(CPU11−PHY17−LANポート19)−LANケーブル9−TCCU2(LANポート29)およびTDMバス5−TDM制御ユニット(I/F)の経路で送受信される。
【0043】
IP系内線電話機とIP系外線間の発着信は、CCU1により制御され、データパケットは、IP系内線−HUB7−CCU1(LANポート18−L2SW16−専用チップ14−L2SW16−LANポート18)−CEU3の経路で送受信される。
【0044】
また、TDM系内線電話機とIP系外線間の発着信は、CCU1とTCCU2および各種専用インターフェース(TDM制御ユニット)により制御される。この場合の音声情報の送受信は、TDMバス5−TCCU2(LANポート28)−LANケーブル8−CCU1(LANポート18−L2SW16−専用チップ14−L2SW16−LANポート18)−CEU3を介して行われる。なお、VOIP50が具備され、拡張されたIP/TDM変換のチャネルを使用する場合には、TDMバス5−VOIP50(LANポート58)−LANケーブル8−CCU1(LANポート18−L2SW16−専用チップ14−L2SW16−LANポート18)−CEU3を介して音声情報が送受信される。
【0045】
また、IP系内線電話機とTDM系外線間の発着信は、CCU1とTCCU2および各種専用インターフェース(TDM制御ユニット)により制御される。この場合、TDM系からの音声情報は、一旦CCU1のL2SW16に入るが、専用チップ14を通らずにIP系LAN側に送出される。すなわち、この場合の音声情報の送受信は、IP系内線電話機−HUB7−CCU1(LANポート18−L2SW16−LANポート18)−LANケーブル8−TCCU2−TDMバス5−TDM制御ユニット(I/F)−TDM系外線を介して行われる。なお、VOIP50が具備され、拡張されたIP/TDM変換のチャネルを使用する場合には、IP系内線電話機−HUB7−CCU1(LANポート18−L2SW16−LANポート18)−LANケーブル8−VOIP50(LANポート58)−TDMバス5−TDM制御ユニット(I/F)−TDM系外線を介して音声情報が送受信される。
【0046】
上記したように、CCU1の音声情報伝送用LANポート18とTCCU2の音声情報伝送用LANポート28を1本のLANケーブル8で接続し、CCU1の制御情報伝送用LANポート19とTCCU2の制御情報伝送用LANポート29を別の1本のLANケーブル9で接続して、音声情報と制御情報をそれぞれ独立に伝送する。
【0047】
上記構成において、IP系のデータパケットの送受信は、IP系内線−ポート18−L2SW16−専用チップ14−L2SW16−ポート18−CEU3−IP系外線の経路で行われる。ここで、IP系LAN上でブロードキャストストームが発生し、これがCCU1のLANポート18に押し寄せた場合、CCU1内のIP系の専用チップのドライバ(Ethernet(登録商標)ドライバ)がこれを受信する。このドライバは、受信パケットレート(PPS(Packet Per Second)、単位当たりの受信パケット数)およびCPU使用率を監視し、両方の値が所定の閾値を超過すると、受信負荷を一定限度に抑えるため受信割り込みを一定期間マスクし、受信パケットレートが閾値を超過すると受信パケットを廃棄する。これにより過剰パケットの影響を抑制することができる。この場合、CCU1配下のIP系LANを利用する通話は正常に行うことはできなくなる。しかし、CCU1とTCCU2の間の制御情報の送受信は、これと関係なく別のLANポート19,29およびLANケーブル9を介して可能である。したがって、TCCU2は、CCU1と制御情報を送受信して配下のTDM系外線と内線の各種TDM制御ユニットを制御して通話を正常に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施形態を示す機能ブロック図である。
【図2】CCUとTCCU間のLAN接続の第1構成例を詳細に示すブロック図である。
【図3】CCUとTCCU間のLAN接続の第2構成例を詳細に示すブロック図である。
【図4】CCUとTCCUの制御情報の伝送が不可能になる状態の1例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0049】
1・・・主制御ユニット(CCU)、2・・・TDM系主制御ユニット(TCCU)、3・・・カスタマエッジユニット(CEU)、4・・・音声変換ユニット(VCU)、5・・・TDMバス、6,8,9,10・・・LANケーブル、7・・・スイッチングハブ(HUB)、11,21,31,41,51・・・CPU、12,22,32,42,52・・・DDRメモリ(RAM)、13,23,33,43,53・・・フラッシュメモリ、14,34・・・専用チップ、15・・・コンパクトフラッシュ(登録商標)(CF)メモリ、16,35,44,54・・・レイヤ2スイッチ(L2SW)、17,24・・・ファイ(PHY)、18,28,58・・・音声情報伝送用LANポート、19,29・・・制御情報伝送用LANポート、25・・・ハイウエイスイッチ、26・・・Dch制御信号通信チップ、27,45,55・・・DSP、50・・・ボイスオーバIPユニット(VOIPU)、81・・・ファックス端末、82・・・ホテルフォン端末、83・・・デジタルボタン電話機、84・・・単体電話機、91・・・IPボタン電話機、92・・・音声会議装置、93・・・IPコードレスフォン、94・・・コンピュータ、95・・・保守用コンピュータ、100・・・IPボタン電話装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IP系外線と内線およびTDM系外線と内線とそれらの間での呼処理制御を行う主制御ユニットと、
前記主制御ユニットと制御情報を送受信してTDM系主制御を行うとともに、IP系とTDM系の間での通話を仲介するTDM系主制御ユニットと、
前記TDM系主制御ユニットとTDM系信号を送受信し、TDM系外線と内線に対する各種TDM系インターフェースを制御するTDM系制御ユニットを備え、
前記主制御ユニットおよび前記TDM系主制御ユニットにそれぞれ、制御情報送受信専用のポートを設け、これらのポート間を制御情報伝送用伝送線で接続することにより、音声情報とは独立に制御情報を伝送することを特徴とするIPボタン電話装置。
【請求項2】
前記TDM系主制御ユニットは、IP系音声情報とTDM系音声情報を相互に変換する変換手段を有することを特徴とする請求項1に記載のIPボタン電話装置。
【請求項3】
さらに、ボイスオーバIPユニットを備え、これによりIP系音声情報とTDM系音声情報の相互変換のチャネル数が拡張されていることを特徴とする請求項2に記載のIPボタン電話装置。
【請求項4】
前記主制御ユニットのIP系の専用チップのドライバは、受信パケットレート(PPS(Packet Per Second)、単位当たりの受信パケット数)およびCPU使用率を監視し、両方の値が所定の閾値を超過すると、受信負荷を一定限度に抑えるため受信割り込みを一定期間マスクし、受信パケットレートが閾値を超過すると受信パケットを廃棄することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のIPボタン電話装置。
【請求項5】
前記主制御ユニットに接続され、音声パケットを高音質と標準音質との間で音質変換する音声変換ユニットを備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のIPボタン電話装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−109740(P2010−109740A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−280130(P2008−280130)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(000000181)岩崎通信機株式会社 (133)
【出願人】(399040405)東日本電信電話株式会社 (286)
【出願人】(399041158)西日本電信電話株式会社 (215)
【Fターム(参考)】