説明

LED光源装置

【課題】白色光のホワイトバランスを保持することができる小型かつ低コストのLED光源装置を提供する。
【解決手段】本LED光源装置1は、LED21〜23を有するLED光源部2とLED21〜23を駆動制御する駆動制御部とを備え、さらにLED21〜23の出力光に関する情報等の各LED固有の情報を格納した記憶装置30を具備する。駆動制御部3は記憶装置30に格納された各LEDに関する固有の情報に基づいて決定した駆動条件で各LEDの駆動制御を行う。記憶装置30は例えばLED光源部2に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はLED光源装置に係り、特に出射する白色光のホワイトバランスを保持することができるLED光源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、白色光を出射するLED光源装置が、例えば液晶表示装置のバックライトなどの光源として提案されている。このLED光源装置に用いられる、例えば赤色、緑色および青色の各発光ダイオード(LED)は、温度変化に対する輝度変化の仕方が各色LED毎に異なる。そのため、LED光源装置の出荷時に設定した白色光のホワイトバランスあるいはユーザーが任意に設定したホワイトバランスが、使用する環境の温度変化、装置自体の自己温度上昇に伴って、設定したときの状態から変化してしまい、LED光源装置より出射される白色光のホワイトバランスが崩れる現象が発生する。
【0003】
例えば、特開2004−29141号公報には、この種の白色光の明るさ調整を行うLCD用背面光源が記載されている。この光源は、3原色のLEDより成り、各フォトダイオード(光センサー)が対応するLEDの光量を検出する。一方、マイコンチップが設けられており、これは、色温度の規格値、及び白色光の輝度の設定値を、テーブル値として保有する。このマイコンチップは、光量信号から3個のLEDにより生成される白色光の色温度を算出し、算出値がテーブル値に等しくなる様に、制御信号の値を決定する。即ち、このマイコンチップは、各LEDに流れる電流を個別に調整し、光量信号から白色光の輝度を算出し、算出値がテーブル値に等しくなる様に、共通の電流増減率を与える制御信号の値を決定する。即ち、マイコンチップが、色温度を維持しつつ、共通の割合で各電流の増減を行って白色光の明るさ調整を行うというものである。
【特許文献1】特開2004−29141号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、白色光の明るさ調整を行うために、輝度変化を監視する必要があり、フォトダイオード(光センサー)を用いている。各LEDには温度特性差による輝度変化のバラツキやLED自体の光学的特性差があるため、輝度を直接監視する光センサーで対応している。しかし光センサーを使用する場合、取付位置が制限され取付空間を確保する必要があり、液晶表示装置としての小型化を阻害する要因となる。さらに、光センサーの価格は電子部品としては非常に高価であり、発光ダイオードを光源とするLED光源装置のコスト低減のための大きな阻害要因となっている。
【0005】
したがって本発明の目的は、上述した課題を解決し、白色光のホワイトバランスを保持することができる小型かつ低コストのLED光源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、発光色が少なくとも一種類以上の発光ダイオードを有するLED光源部と前記発光ダイオードを駆動制御する駆動制御部とを備えたLED光源装置において、前記発光ダイオードに関する固有の情報を格納した記憶装置を具備し、前記駆動制御部は前記記憶装置に格納された前記発光ダイオードに関する固有の情報に基づいて決定した駆動条件で前記発光ダイオードの駆動制御を行うLED光源装置により達成される。
【0007】
ここで、前記LED光源部と前記駆動制御部とは分離できる構造を有し、前記記憶装置は前記LED光源部に配置することができる。また、前記発光ダイオードに関する固有の情報は、前記発光ダイオードからの出力光に関する情報、前記発光ダイオードからの出力光の経時変化に関する情報、前記発光ダイオードに流す電流に関する情報、前記発光ダイオードの順方向電圧の情報、前記発光ダイオードの点灯時間情報、前記発光ダイオードの温度特性情報、前記発光ダイオードの使用開始からの使用累積時間に関する情報、及び前記発光ダイオード点灯用の電源のON/OFF回数に関する情報の少なくとも1つを含むことができる。さらに、前記発光ダイオードに関する固有の情報の更新を可能とすることができる。また、前記発光ダイオードに関する固有の情報は、前記LED光源部の製造履歴に関わる情報を含むことができる。さらに、上記のLED光源装置は液晶表示装置の光源に用いることができる。
【0008】
このように本発明では、光センサーを使わずに、個々のLED光源装置のLEDに関する固有の情報として例えば光出力特性をROM等の記憶装置に記憶させ、それをLED光源装置に実装しておく。このLEDに関する光出力特性を例えばマイクロコンピューター等で構成された制御装置が読み取り、それを基にLEDに流す電流を調整する。これにより、個々のLEDの異なる光出力特性に対応して個々のLEDに流す電流を制御することができるのでホワイトバランスを取ることができ、光センサーレスとすることができる。
【0009】
また、ホワイトバランスが崩れる大きな要因の一つは、発光色の異なるLED毎に温度特性が異なるため、電源投入直後のLEDの温度が低い時点と、電源投入後十分時間が経過しLEDの温度が自己発熱等で上昇した時点とで、発光色の異なるLEDから発生する光の量が変化し、これらを混合した白色光の色度が変化してしまうことである。ここで、LEDの温度とLEDの順方向電圧には極めて強い線形の相関がある。そこで、予め発光色の異なるLEDの点灯開始からLED温度安定までの時間あるいは順方向電圧と輝度の関係、あるいは温度と輝度の関係を記憶装置に記録し、その関係を基に時間あるいは順方向電圧あるいはLED周辺温度によって、各色のLEDに流す電流を変化させて、色度が一定になるように制御することで、ホワイトバランス制御を行うことができる。
【0010】
また、記憶装置(例えばROM)の取付位置を発光ダイオードが搭載される基板上に表面実装することで、液晶表示装置内の省スペース化が可能となる。表面実装化するため、製造工程上の製造時間短縮の効果も得られる。
【0011】
本発明のLED光源装置は、記憶装置に格納された使用LEDの固有情報に応じて所定の目標輝度が得られるように、そのLEDに流れる電流を制御する制御装置を備えることで、LED光源装置の輝度変化に対して、LED光源装置のホワイトバランスが一定になるように動作させる。これにより、例えばLED光源装置をバックライトに用いた液晶表示装置が表示する画像の高画質を保つことができるようになる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、白色LEDや発光色の異なる複数のLEDからの発生光を混合して白色として使用するLED光源装置において、周囲温度変化や自己発熱によって発光ダイオードの温度が変化しても、ホワイトバランスを一定に保つホワイトバランス制御装置を光センサーレスで実現することができる。
また、本発明によれば、LED光源装置の個々の温度特性を把握するため、最適な制御パターンを選定することができ、LED光源装置の異なる温度特性に対応したホワイトバランス制御装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係るLED光源装置を液晶表示装置に適用したときの実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明に係るLED光源装置の実施例1を示す図である。図1において、液晶パネル10は、前面に配置された図示しないカラーフィルターにより、背面に設置されたLED光源装置1からの光を透過することでカラー画像を表示するものである。また、液晶パネル画像部分において、明暗の差が生じるような場合は、明るい部分のエリアのシャッター開閉度を調整して全体の明るさを均一に保つものである。
【0015】
LED光源装置1は、発光色が少なくとも一種類以上のLEDを有するLED光源部2とLEDを駆動制御する駆動制御部3とを備え、さらにLED光源部2のLEDに関する固有の情報を格納した例えばROM等で構成される記憶装置30を具備する。駆動制御部3は、この記憶装置30に格納されたLEDに関する固有の情報を基に決定した駆動条件でLED光源部2のLEDの駆動制御を行う。LED光源部2と駆動制御部3とは分離できる構造とすることができる。また、記憶装置30は好適にはLED光源部2に配置される。
【0016】
LED光源部2は、赤色LED21、緑色LED22および青色LED23を実装したLED搭載基板24を備えたLED光源モジュール20を有し、前記3種類のLEDの発光色を混色手段12により混色することで白色再現(白色光を出力)する。LED光源モジュール20に備えられる赤色LED21、緑色LED22および青色LED23は各々複数個使用して構成しても良い。また、LED光源モジュール20は白色LEDを用いても良い。LED光源モジュール20から出射する白色光は、導光板11を通じて液晶パネル10に出射される。
【0017】
記憶装置30は、LED光源部2を構成するLEDの固有の情報を格納するものであり、本例では図示のようにLED搭載基板24に搭載されている。このLEDに関する固有の情報は、LEDからの出力光(輝度)に関する情報、LEDからの出力光(輝度)の経時変化(輝度・時間特性)に関する情報、LEDに流す電流(LEDを駆動するPWM制御信号のDUTY比)に関する情報、LEDの順方向電圧の情報、LEDの点灯時間(電源ONによるLED点灯からの時間)情報、LEDの温度特性情報、LEDの使用開始からの使用累積時間(点灯累積時間)に関する情報、及びLED点灯用の電源のON/OFF回数に関する情報の少なくとも1つを含むことができる。また、このLEDに関する固有の情報は更新可能とすることができる。さらに、LEDに関する固有の情報には、LED光源部2の製造履歴に関わる情報を含めることができる。
【0018】
駆動制御部3は、例えばマイクロコンピューター等で構成される制御装置31、駆動回路40〜42、順方向電圧検知回路40A〜42A、および調光回路43を含む。駆動回路(赤)40は、赤色LED21を定電流駆動させる。同様に、駆動回路(緑)41および駆動回路(青)42は、緑色LED22および青色LED23をそれぞれ定電流駆動する。これらの駆動回路40〜42は、制御装置31から出力されるPWM制御信号45及び調光回路43から出力されるPWM制御信号46に応じて動作するPWM駆動機能を有する。
【0019】
制御装置31から出力されるPWM制御信号45は赤色LED40,緑色LED41および青色LED42のそれぞれを別々にデューティ(DUTY)制御し、各色LEDから発生する光量の割合を調整し、ホワイトバランスを決めるものである。ここで、DUTY制御とは、各LEDを駆動するPWM(パルス幅変調)信号のパルス幅を制御することをいう。このパルス幅を変えることにより、各LEDから発生する光量の割合を調整することができる。
【0020】
一方、調光回路43は、制御装置31から出力される調光信号に基づいてPWM制御信号46を駆動回路(赤)40,駆動回路(緑)41および駆動回路(青)42に対して同一の信号を出力し、赤色LED21、緑色LED22および青色LED23を混合した全体の白色発光量を調整するものである。すなわち、PWM制御信号45によってホワイトバランスをとり、PWM信号46によって全体の明るさの制御を行う。調光回路43は機能的に同等であるならば制御装置31に取り込んでも良いが、ここでは別々の回路として説明を行う。
【0021】
順方向電圧検知回路(赤)40Aは、赤色LED21の順方向電圧を検出する。同様に順方向電圧検知回路(緑)41Aおよび順方向電圧検知回路(青)42Aは、緑色LED22および青色LED23の順方向電圧をそれぞれ検出する。これらの検出により得られた順方向電圧信号は、それぞれ制御装置31に送られる。
【0022】
図2(a)〜(c)は、本実施例において記憶装置30に格納する赤色LED21、緑色LED22および青色LED23の点灯時間と輝度の関係を示した特性情報を示すグラフである。横軸は時間、縦軸は輝度である。例えば、50の特性線は、赤色LED21の明るさ最大時のものであり、51は明るさ半分の時の特性線、52は明るさが最小であるときの特性線である。同様に緑色LED22の明るさ最大時の特性線53、明るさ半分の時の特性線54、明るさ最時の特性線55であり、青色LED23の明るさ最大時の特性線56、明るさ半分の時の特性線57、明るさ最小時の特性線58である。
【0023】
図4(a)〜(c)は、本実施例において記憶装置30に格納する赤色LED21、緑色LED22および青色LED23の順方向電圧と輝度の関係を示した特性情報である。横軸は順方向電圧、縦軸は輝度である。例えば、70の特性線は、赤色LED21の明るさ最大時のものであり、71は明るさ半分の時の特性線、72は明るさが最小であるときの特性線である。同様に緑色LED22の明るさ最大時の特性線73、明るさ半分の時の特性線74、明るさ最小時の特性線75であり、青色LED23の明るさ最大時の特性線76、明るさ半分の時の特性線77、明るさ最小時の特性線78である。
【0024】
なお、LED光源モジュール20の明るさが最大、半分、最小となる場合は、図1に示す調光回路43による設定に依存し、前記赤色LED21を駆動する駆動回路(赤)40、前記緑色LED22を駆動する駆動回路(緑)41、前記青色LED23を駆動する駆動回路(青)42がホワイトバランスを保持した状態で、調光回路43設定の明るさとなるように動作する。調光回路43の明るさ設定値はユーザーが任意に変えることができる。
【0025】
図2(a)〜(c)に記載の各特性線は、図3(a)〜(c)に示す時間とDUTY比の関係と相関性を持っている。図3の横軸は時間、縦軸はDUTY比である。ここで、DUTY比とは、各LEDを駆動するPWM(パルス幅変調)信号のパルス繰返し周期とパルス幅の比である。DUTY比を上げるとLEDを駆動する電流が増加し、LEDの出力光(輝度)が増し、逆にDUTY比を下げるとLEDを駆動する電流が減少し、LEDの出力光(輝度)が減ることになる。60は前記赤色LED21の明るさ最大時の特性を示し、図2の50の特性線と相関性がある。61、62はそれぞれLED光源モジュール20の明るさ半分の時、最小時の特性を示し、図2の51、52の特性線と相関性がある。同様に前記緑色LED22の明るさ最大時、半分の時、最小時の特性は63、64、65であり、図2の53、54、55の特性線と相関性がある。同じく前記青色LED23の明るさ最大時、半分の時、最小時の特性は66、67、68であり、図2の56、57、58の特性線と相関性がある。
【0026】
図4(a)〜(c)に記載の各特性線は、図5(a)〜(c)に示す順方向電圧とDUTY比の関係と相関性を持っている。図5の横軸は順方向電圧、縦軸はDUTY比である。このDUTY比がLED駆動電流と出力光(輝度)に関係することは上述のとおりである。80は前記赤色LED21の明るさ最大時の特性を示し、図4の70の特性線と相関性がある。81、82はそれぞれLED光源モジュール20の明るさ半分の時、最小時の特性を示し、図4の71、72の特性線と相関性がある。同様に前記緑色LED22の明るさ最大時、半分の時、最小時の特性は83、84、85であり、図4の73、74、75の特性線と相関性がある。同じく前記青色LED23の明るさ最大時、半分の時、最小時の特性は86、87、88であり、図4の76、77、78の特性線と相関性がある。
【0027】
制御装置31には、図3および図5に示すような特性線と等価なデータが、輝度制御テーブルとして具備されている。制御装置31は、赤色LED21、緑色LED22および青色LED23の点灯開始からの時間に対応するDUTY比または順方向電圧に対応するDUTY比を設定するものである。
【0028】
制御装置31は、ユーザーの行った調光設定47に応じて調光回路43へ調光度の情報を送信し、同時にその調光度に応じて図3に示す特性線と等価なデータが記憶された輝度制御テーブルを選定し、赤色LED21、緑色LED22および青色LED23の順方向電圧に対応するDUTY比を設定する。
【0029】
駆動回路(赤)40は、赤色LED21を駆動するためのものである。前記赤色LED21の明るさは、制御装置31で点灯開始からの時間あるいは順方向電圧に応じて決定された目標DUTY値の出力に従属する。駆動回路(緑)41、駆動回路(青)42も同様に緑色LED22、青色LED23を駆動させるためのものであり、制御装置31で点灯開始からの時間あるいは順方向電圧に応じて決定された目標DUTY値の出力に従属する。
【0030】
上述の駆動回路は、消費電力を小さくできることから、LEDに与える駆動波形をON/OFFさせるPWM(パルス幅変調)を適用する。よって構成としては、制御装置31よりD/Aコンバータを通じて、赤色LED21、緑色LED22および青色LED23に各々対応して出力される直流電圧を、電圧に比例したパルス幅を持つパルスへと変換する回路を構成する。
【0031】
図1を用いて本発明の動作を説明する。制御装置31にはLED搭載基板24に搭載されている記憶装置30の特性情報が与えられ、個々のLED光源モジュール20の温度特性を把握し、時間または順方向電圧とDUTY比の関係からデータ化された最適な輝度制御テーブルを読み取り、目標DUTY比を出力する。また、制御装置31に記憶された輝度制御テーブルの読み取りは、ユーザーが調光設定47により所望した明るさを設定(調光回路43が明るさ制御する)した時は、その時点での明るさに対応した輝度制御テーブルを読み取る。
【0032】
LEDは動作開始後徐々に自己発熱によって温度が上昇していくが、そのため図2に示すように、徐々にその輝度が低下していく。その低下割合は図2(a)〜(c)に示すように各色LEDによって異なるため、動作開始直後のホワイトバランスは温度上昇とともに徐々に変化していくことになる。そこで、図3に示す特性と等価な輝度制御テーブルから記憶装置30の特性情報に対応する各LEDの最適なDUTY比を出力し、時間に従って各LEDを駆動するDUTYを逐次変化させることにより、ホワイトバランスを一定に保つことができる。
【0033】
LEDの温度と相関のある順方向電圧と輝度の関係も図4に示すように、動作開始後は順方向電圧がグラフ右側から左側に徐々に低下し、輝度が低下していく。低下割合も各色LEDによって異なり、図5に示す特性と等価な輝度制御テーブルから記憶装置30の特性情報に対応する各LEDの最適なDUTY比を出力させることで、ホワイトバランスを一定に保つことができる。
【0034】
記憶装置30へ格納する特性情報は、工場出荷時において点灯試験を行うと同時に出力光(輝度)、電流、順方向電圧、点灯時間をデータとして記憶装置30へ記録することで、個々のLED光源モジュール20の特性情報を登録することができる。
記憶装置30へ記録される特性情報は、制御装置31により特性情報を更新することも可能である。
【0035】
このように本発明によれば、記憶装置30に格納されている特性情報(使用LEDの各固有情報)から目標DUTY比を各LEDに出力して動作させることで、LED光源装置1における各LEDの輝度変化によるホワイトバランスの変化を無効化し、安定した色度の白色光を保持することができる。
また特性情報を更新することで、LED光源装置の使用環境に最適化された特性情報を把握することができるので、ホワイトバランス制御も最適化された動作を実施できる。
【0036】
図6は、本発明に係るLED光源装置に用いられるLED搭載基板の一例を示す構造概略図である。本例のLED搭載基板24は、図示のように、基板上に1つの赤色LED21と2つの緑色LED22と1つの青色LED23を四角形状に配置したLEDユニット70を複数個一次元に配置したものであるが、これを二次元に配置してもよい。また、本例では、基板上の中程に、1つの記憶装置30が配置しているが、これを複数配置してもよい。各LEDユニット70のLEDは、アノードがコネクタ71に配線73を介して接続され、カソードがコネクタ72に配線74を介して接続される。そして、コネクタ71は駆動回路40〜42のアノード側に、コネクタ72は駆動回路40〜42のカソード側に接続される。記憶装置30からの各LED固有情報の読み取り信号は、本例では配線75およびコネクタ71を介して制御装置31に伝達される。
【0037】
記憶装置30を、赤色LED21、緑色LED22および青色LED23と同基板であるLED搭載基板24に搭載することで、当該LED光源モジュール20としての特性情報を記録することが可能となる。従って、LED個々の輝度バラツキや熱抵抗値バラツキにより生じる、LED光源モジュール20の光学的特性差をデジタルデータとして記録できる。即ち、LED搭載基板24に搭載された記憶装置30の格納情報は同基板に搭載された各LEDに関する情報を示すものであり、両者一体の関係にある。
【実施例2】
【0038】
図7は、本発明に係るLED光源装置の実施例2の要部を示す図である。以下、本図を用いて、本発明に係るLED光源装置における記憶装置の格納情報を説明する。記憶装置30としては例えばROMが用いられるが、これに限定されるものではない。
【0039】
上記実施例1では、記憶装置30にLED毎の特性情報(固有情報)を記憶させることで、LED個々の輝度バラツキや熱抵抗値バラツキにより生じる、各LEDの光学的特性差に対応したホワイトバランス制御を可能としている。本実施例では前述の特性情報に加えて、記憶装置30にLED光源モジュール20の温度に関する特性情報、LED光源部2(LED光源モジュール20)の使用開始からの使用累積時間情報および電源ON/OFF回数情報、製造履歴に関わる情報を記憶する。
【0040】
図7において、記憶装置30には各LEDの温度特性(LED温度上昇に従って発光量が低下する特性)の特性情報が具備されている。制御装置31には、前記の温度特性情報が与えられ、この情報に応じて制御装置31は、赤色LED21、緑色LED22および青色LED23の温度に対応するDUTY比を設定する。なお、制御装置31はユーザーの行った調光設定47に応じて白色の色度は一定としつつ、明るさを可変するDUTY比を設定する。また、記憶装置30に格納する温度特性情報等の各LEDの固有情報は制御装置31により更新することも可能である。即ち、制御装置31は、記憶装置30から各LEDの固有情報を読込み、また記憶装置30に各LEDの固有情報を書込むことができる。この場合、記憶装置30としては、データ消去、再書き込みが可能な例えばEPROMを用いることができる。
【0041】
したがってLED光源モジュール20が使用環境などの影響による温度変化で輝度が低下した場合でも、ホワイトバランスを一定に保つことが可能である。
【0042】
図7において、記憶装置30には、LED光源モジュール20のLEDの使用開始からの使用累積時間に関する情報が格納される。制御装置31内部には垂直同期カウンター32を備え、LED光源モジュール20の使用累積時間をカウントする。使用累積時間のカウントは、水平同期カウンターなどの別の手段を用いても良い。なお、記憶装置30に格納するLEDの使用時間累積情報は制御装置31により更新することも可能である。
【0043】
記憶装置30に記憶されたLEDの使用累積時間情報は、制御装置31に与えられ、LED光源モジュール20の長期的な輝度劣化に対するホワイトバランス補償の駆動制御に適用する。例えば使用累積時間40000時間後、青色LED23の輝度が低下する特性であった場合、青色LED23の輝度値を基準として赤色LED21および緑色LED22の輝度値を抑える制御を実行し、ホワイトバランスを一定に保つ動作を行う。
【0044】
したがってLED光源モジュール20が長期使用により輝度劣化が生じて明るさが低下した場合でも、ホワイトバランスを一定に保つことが可能であり、液晶表示装置として、より長期の高画質を維持できる。
【0045】
図7において、記憶装置30にはLED光源モジュール20の電源(LED点灯用の電源)のON/OFF回数に関する情報が格納される。制御装置31内部には電源ON/OFFカウンタ33を備え、LED光源モジュール20の電源ON/OFF回数をカウントする。なお、記憶装置30に格納する電源ON/OFF回数に関する情報は制御装置31により更新することも可能である。
【0046】
記憶装置30に記憶されたLED光源モジュール20の電源ON/OFF回数情報は、制御装置31に与えられ、LED光源モジュール20の電源スイッチングによる輝度劣化に対するホワイトバランス補償の駆動制御に適用する。例えば、ある電源スイッチング(ON/OFF)回数時、緑色LED22の輝度が低下する特性であった場合、緑色LED22の輝度値を基準として赤色LED21および青色LED23の輝度値を抑える制御を実行し、ホワイトバランスを一定に保つ動作を行う。
【0047】
したがってLED光源モジュール20が電源スイッチングにより輝度劣化が生じて明るさが低下した場合でも、ホワイトバランスを一定に保つことが可能であり、液晶表示装置として、より長期の高画質を維持でき、製品信頼性を向上させることができる。
【0048】
図7において、記憶装置30にはLED光源部2(LED光源モジュール20)の製造履歴に関する情報が格納される。製造履歴としては、例えば構成部品のロット情報、LED光源モジュールの生産日時などが挙げられる。LED光源モジュール20の製造履歴に関する情報を格納することで、製造工程内での製品管理の容易化、故障時の原因特定までの時間短縮を図ることができる。
【0049】
本発明に係るLED光源装置を用いた液晶表示装置によれば、液晶パネルを背面から照明するための白色発光ダイオードまたは発光色が異なる複数の発光ダイオードにより構成されるLED光源装置と、LED光源装置の特性情報を格納する記憶装置を搭載することにより、高価な光センサーを不使用としてホワイトバランスを一定に保つことができるため、製品として廉価な液晶表示装置を提供できる。
【0050】
本発明によるホワイトバランス制御によれば、LEDの温度変化による輝度変化やLEDの光学的特性差を検知する必要が無いためセンサーレスとすることができる。従って、センサーを設置するための空間を確保する必要がなくなるため、小型な液晶表示装置を提供できる。
【0051】
本発明のLED光源装置を用いた液晶表示装置によれば、LED光源装置に記憶装置(ROM)を搭載することで、LED個々の特性情報、使用累積時間情報、電源ON/OFF情報を記憶できるので、これらの情報を読み取り可能な駆動回路であれば、如何なる駆動回路も適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明はLED光源装置に係り、特に出射する白色光のホワイトバランスを保持することができるLED光源装置に関するものであり、産業上の利用可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係るLED光源装置の実施例1を示す図である。
【図2】(a)〜(c)は本発明に係る実施例1における時間と輝度の関係を示すグラフである。
【図3】(a)〜(c)は本発明に係る実施例1における時間と目標DUTY比の関係を示すグラフである。
【図4】(a)〜(c)は本発明に係る実施例1における順方向電圧と輝度の関係を示すグラフである。
【図5】(a)〜(c)は本発明に係る実施例1における順方向電圧と目標DUTY比の関係を示すグラフである。
【図6】本発明に係るLED光源装置に用いられるLED搭載基板の一例を示す構造概略図である。
【図7】本発明に係るLED光源装置の実施例2の要部を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1 LED光源装置
2 LED光源部
3 駆動制御部
10 液晶パネル
11 導光板
12 混色手段
20 LED光源モジュール
21 赤色LED
22 緑色LED
23 青色LED
24 LED搭載基板
30 記憶装置
31 制御装置
32 垂直同期カウンター
33 電源ON/OFFカウンター
40,41,42 駆動回路
40A,41A,42A 順方向電圧検知回路
43 調光回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光色が少なくとも一種類以上の発光ダイオードを有するLED光源部と前記発光ダイオードを駆動制御する駆動制御部とを備えたLED光源装置において、前記発光ダイオードに関する固有の情報を格納した記憶装置を具備し、前記駆動制御部は前記記憶装置に格納された前記発光ダイオードに関する固有の情報に基づいて決定した駆動条件で前記発光ダイオードの駆動制御を行うことを特徴とするLED光源装置。
【請求項2】
前記LED光源部と前記駆動制御部とは分離できる構造を有し、前記記憶装置は前記LED光源部に配置されていることを特徴とする請求項1記載のLED光源装置。
【請求項3】
前記発光ダイオードに関する固有の情報は、前記発光ダイオードからの出力光に関する情報、前記発光ダイオードからの出力光の経時変化に関する情報、前記発光ダイオードに流す電流に関する情報、前記発光ダイオードの順方向電圧の情報、前記発光ダイオードの点灯時間情報、前記発光ダイオードの温度特性情報、前記発光ダイオードの使用開始からの使用累積時間に関する情報、及び前記発光ダイオード点灯用の電源のON/OFF回数に関する情報の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1または2記載のLED光源装置。
【請求項4】
前記発光ダイオードに関する固有の情報の更新が可能であることを特徴とする請求項3記載のLED光源装置。
【請求項5】
前記発光ダイオードに関する固有の情報は、前記LED光源部の製造履歴に関わる情報を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のLED光源装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のLED光源装置を光源に用いたことを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−96113(P2007−96113A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−285391(P2005−285391)
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(000005474)日立ライティング株式会社 (130)
【Fターム(参考)】