説明

LED光源装置

【課題】 配線の処置を安全・確実に行い、かつ外観のデザイン性を損なわないLED光源装置を提供する。
【解決手段】 LED光源装置は、LED2と、LED2からの光を端面25より導入し側面26から出射させるための導光板5と、LED2および導光板5を収容するための筐体6と、LED2に給電するための配線8とを備える。導光板5は、側面26の長さが端面25の幅よりも長く、かつ端面25のサイズがLEDの発光部27のサイズよりも大きく構成され、側面26に対向する面に端面25から離れるに従って乱反射性を上げる乱反射機構を具備する。筐体6は、長手方向に沿って配線8を通す溝7等の配線通路を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(以下、LEDと記す)からの光を端面より導入し側面から出射させるための導光板を備えたLED光源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光源装置としては従来から蛍光ランプ等を用いたものが多用されているが、このところ蛍光ランプ等の既存のランプをLEDに置き換える提案が種々の分野でなされている。LEDは蛍光ランプと異なり水銀を使用しておらず、しかも小型で低電力駆動が可能であり、近年ではその発光効率の向上が目覚しい。従来のLEDデバイスの形状は砲弾型が主流であったが徐々に面実装タイプが増え、LEDデバイスが小型化することで、その利用が幅広く期待されている。LEDは、これまでインジケータなどの表示に用いられることが多かったが、その効率向上に伴い照明用途としても展開され、徐々に普及し始めている。
【0003】
従来、例えば、蛍光ランプが使用されていたものに小型のLEDを使用し、線状あるいは面状の光源を実現するためには、多数のLEDを等間隔に配置する方法が一般的である。しかしながら、この方法では光源が粒状に発光しているのが視認され、滑らかな線状あるいは面状の光源にはならない。そこでLED光源の前面に拡散効果をもつシートあるいは板を配置し、LEDの直進光を拡散することで滑らかな線状あるいは面状光源とすることが可能であるが、この場合は拡散シートあるいは板の透過率が60%程度であることから、光の利用効率が極端におちてしまう。
【0004】
また、LEDを並べることで線状あるいは面状の光源を実現させた場合、LEDの数量を削減することが困難である。密に並べればそれだけ光源が近接するため、線状あるいは面状とした際の発光の均一さが良好となるが、それだけ多くのLEDを使用する必要が生じる。一方、LEDの数量を減らすためにはLED同士の間隔を粗にして配列する必要が生じ、この場合は発光面での均一さが損なわれてしまう。
【0005】
これに対して、導光技術を用いた線状光源が、例えばファクシミリ等の画像入力装置用の光源として提案されている。例えば、特許文献1のものは、ランプの光を凹面反射鏡で反射させ、その光を透明材料からなる円柱状のロッド端面から導入し、ロッド内で散乱させてロッド長手方向の表面において線状の光を得るものである。また、特許文献2のものは、円柱状の導光部の一端に複数の発光ダイオード素子を配置し、導光部の表面に軸方向に沿って直線状に拡散反射部を有し、前記導光部の周囲に円筒状の反射部材を備え、この反射部材の軸方向に沿った直線状の間隙から線状の光を得るものである。
【特許文献1】特開平1−237534号公報
【特許文献2】特開平9−9006号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の光源装置では、駆動回路との配線方法および光源装置同士の接続方法について開示されていない。大きな光量を得ようとした場合、あるいは広範囲に渡って照明を必要とした場合においては、光源装置を複数個並べて使用する必要がある。複数の光源装置に対して個別に駆動回路から接続用配線を渡す場合は、最低でも正負の配線が必要となり、光源装置数量の2倍以上の本数が接続用配線として必要になる。
【0007】
またLEDを導光板の両端側に配置する構成の光源装置では、LED同士を接続するために両端に渡る配線が必要となる。安易に電線を筐体外部に沿わせて配置すると、デザイン性が損なわれてしまう問題があるだけでなく、電線にチューブ等の保護材を被せる方法を取っても電線が筐体外部に露出しているために取り扱い時に電線を破損させてしまう恐れがある。
筐体内に電線を通すための隙間空間を別途設けて、電線を配置させることも可能だが、この場合は筐体の断面面積が大きくなってしまい、省スペースに取り付ける線状光源として成立させるためには、相反してしまう対応策となる。
また、LEDを使用光源とした場合は、LEDを直流電流で駆動させるため、高周波交流を用いて点灯させる蛍光ランプのような光源と異なり、配線の引き回せる距離を長くすることができる。さらに数百ボルトの電圧で点灯する蛍光ランプと比べ、LEDは直流の数ボルトで駆動が可能なために使用する配線の線径も細いものが適用できる。したがってより細い線状光源を実現しようとした場合は、配線の引き回し方法が極めて重要な要素となってくる。
本発明の目的は、配線の処置を安全・確実に行い、かつ外観のデザイン性を損なわないLED光源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、光源としてのLEDと、前記LEDからの光を端面より導入し側面から出射させるための導光板と、前記LEDおよび前記導光板を収容するための筐体と、前記LEDに給電するための配線とを備え、前記導光板は、前記側面の長さが前記端面の幅よりも長く、かつ前記端面のサイズが前記LEDの発光部のサイズよりも大きく構成され、前記側面に対向する面に前記端面から離れるに従って乱反射性を上げる乱反射機構を具備したものであり、前記筐体は、長手方向に沿って前記配線を通す配線通路を具備するLED光源装置により達成される。
【0009】
ここで、前記配線通路は、前記筐体の外面または内面に形成された溝、または前記筐体を構成する部材の内部に形成された孔とすることができる。前記配線通路は、前記筐体の長手方向に沿って複数本形成することができる。前記LEDは、前記導光板の両端側にそれぞれ配置することができる。前記LEDを保持する保持部材を備え、前記保持部材が前記光源で発生する熱を放熱する機能を有することが好ましい。
前記LEDは、1W以上の入力電力をもつ白色LEDを用いて構成することができる。前記LEDは1つまたは複数を用いて構成することができ、前記複数のLEDは複数の異なる発光波長のLEDを用いることができる。前記導光板の厚みは、4mm以上が好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、筐体に設けた溝や孔等の配線通路に配線を行うので、電線を固定するのが容易になる。また、筐体から電線がはみ出すことがないので、取り扱いや施工時あるいは使用時に対しての断線の心配がなくなる。更には、配線材によって外観を損ねることがないので、デザイン性に富んだ光源装置を提供することができる。
筐体に設ける溝や孔等の配線通路は、使用する電源配線に合わせて自由に設計できるため、配線の太さ、長さや本数の制約がない。配線の本数が増えても対応できるので、光源装置の台数を増やしての取り付けや施工時に発生する配線処理を容易にすることができる。太い電線を使えるので損失の少ない長距離配線ができ、光源装置の設置の自由度が広がる。また導光板の両端に配置したLED同士の配線が容易である。
【0011】
さらに、本発明により線状あるいは細形の面状の光源装置を得ることができるので、省スペースな光源として利用することが可能となる。例えば、従来蛍光ランプが使用されているところへの代替光源としての利用をはじめとし、これまで蛍光ランプ等の取り付けが出来ないような環境や場所での使用が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明に係る光源装置の一実施例を示す図である。図2は、図1の光源装置のLED搭載部を示す図である。
本実施例では、図1に示すように、LED搭載部1のLEDからの光を端面25より導入し側面26から出射させるための導光板5と、導光板5の両端側にそれぞれ配置されたLED搭載部1と、導光板5およびLED搭載部1を収容するための筐体6とを備える。2つのLED搭載部1にはそれぞれ配線8が接続される。筐体6は、長手方向に沿って配線通路としての溝7を具備する。LED搭載部1に接続された配線8は、筐体6に設けられた開口または切り欠きを通して筐体6外部へ引き出された後、筐体6に設けられた溝7に配置される。LED2に接続された配線8の他端はLEDを駆動する駆動回路9に接続され、駆動回路9は電源10に接続される。
LED搭載部1は、図2に示すように、光源であるLED2(発光部27)と、LED2が実装される基板3と、LED2および基板3を保持するための保持部材4とを有する。LED2は基板3を介して配線8と電気的に接続される。
【0013】
光源装置の作動時には、電源10より駆動回路9に給電され、駆動回路9により配線8および基板3を介してLED2に電圧が印加され、LED2は発光する。このときLED2の発光量を安定させるためには、駆動回路9は定電流制御あるいは定電圧制御で動作することが望ましい。LED2の発光により放出された光は導光板5の端面25より導入され導光板5内を伝搬する。導光板5内を伝搬する光は、導光板5の光を出射する側面26に対向する面に設けられた乱反射機構(図示しない)により乱反射され、導光板5の側面26から外部に光を放出する。乱反射機構は、例えば平面的パターンまたは凹凸部を側面26に対向する面に形成し、その配置密度を導光板端面から離れるに従って粗から密にすることにより乱反射性を上げることができる。
【0014】
本例の導光板5は、図示のように断面が矩形の四角柱であるが、これ以外の断面を有する多角柱とすることもできる。導光板5の側面の長さLは、幅Wよりも長く構成される。また、端面25のサイズは、LED2の発光部27のサイズよりも大きく構成される。このように、導光板の幅を狭くし長さを長尺とし、端面のサイズを光源発光部のサイズよりも大きく構成することで、輝度の高い照明に適した光を得ることができる。
【0015】
ここで、サイズとは、導光板の端面25における厚みと幅の両方の寸法をいい、またLED2(光源)の発光部27における厚みと幅の両方の寸法をいう。図1に示すように、導光板の端面25の幅をW、厚みをTとし、図6に示すようにLED2の発光部27の幅をw、厚みをtとした場合に、端面25のサイズがLED2の発光部27のサイズよりも大きく構成されるとは、W>w、かつT>tであることをいう。
【0016】
図6(a)〜(c)は、LED1の発光部27のサイズについて説明するための図である。LED2は、LED素子91とそれを封止する樹脂部を備える。LED素子91からの光はこの樹脂部を通して発光するので、ここではこの樹脂部を発光部27とする。図6(a)はLEDが1つの場合の発光部27のサイズ(幅w、厚みt)を示す。図6(b)はLEDが横に2つ配置された場合の発光部27のサイズを示す。この場合、左側の発光部の左端から右側の発光部の右端の間の幅を発光部27の幅wとする。図6(c)はLEDが縦横2つずつ合計4つ配置された場合をそれぞれ示す。この場合、上側の発光部の上端から下側の発光部の下端の間の厚みを発光部27の厚みtとする。LED2の数が増加した場合もこの要領で幅と厚みが決められる。例えば、ハイパワーLEDの場合、発光部27はφ4〜5mm程度で構成されていることが多い。これは、使用するLED素子に1mm角前後のものを使用し、このLED素子に通電するためのワイヤーを張るための領域として、LED素子周囲1mm程度の距離が必要となり、さらにそのワイヤーにストレスを与えない距離として1mm程度の距離を設けて透明樹脂で封止される界面または透明樹脂を封止するための壁面が構成されている。このため、LED1の発光部27の径がφ4〜5mmとなる。従って、発光部27に合わせて導光板の厚みも4mm以上にする必要がある。
【0017】
図3は筐体6に設ける配線通路としての溝7の形状の一例を示す図である。溝7を設ける位置は本例では筐体6の外面であるが、どの面にあっても良い。例えば、図4に示すように、筐体6の内面に設けても良い。更に、溝7は1本だけでなく、複数本設けても良く、また1つの面だけでなく複数の面に設けても良い。溝7の形状は、配線を通すことができるものであればその形状は問わない。
【0018】
図7は筐体6に設ける配線通路としての孔13の形状および位置の一例を示す図である。本例では、孔13は、筐体6を構成する部材の内部に形成される。孔13を設ける位置は、筐体6のどの部位でも良い。孔13は1本だけでなく、図8に示すように、筐体6を構成する部材の内部に複数本設けても良く、また1つの面だけでなく複数の面に設けても良い。孔13の形状は、配線を通すことができるものであればその形状は問わない。
【0019】
またLED2の発熱を放熱することが重要である。この点については、保持部材4および筐体6にはアルミニウム等の熱伝導性の良い金属部材を用いることで、筐体6の全体に放熱機構を担わせることが可能となる。
LED2に白色LEDデバイスを使用すれば、図1の実施例は白色の光源装置として成立する。近年製品化または発表されている大電力供給が可能な1W以上の入力電力をもつ白色発光LEDを使用すれば、より明るい光源装置を実現することができる。
一方、赤・青・緑のLED素子を一つのパッケージにしたLEDデバイスをLED2として使用すれば、前記赤・青・緑の各々のLEDに流す電流を制御することで、可変色を実現する光源装置を提供することが可能となる。
【0020】
図5は、本発明に係る光源装置の他の実施例を示す図である。本実施例は、光源装置を2本連結して使用するものである。光源装置11,12はそれぞれ、図示のように、導光板5の一方の端部側にLED搭載部1を備え、LED搭載部1および導光板5が筐体6に収容されている。本例では、第一の光源装置11と第二の光源装置12を電気的に接続する配線8を、筐体6に設けられた溝7aおよび7bに配置する。本構成によれば、配線処理のために特別な施工を不要とした連結された複数の光源装置を実現することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、LEDからの光を端面より導入し側面から出射させるための導光板を備えた光源装置に関するものであり、産業上の利用可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る光源装置の一実施例を示す図である。
【図2】図1のLED搭載部の構成を示す図である。
【図3】本発明に係る光源装置の一実施例の断面図を示す図である。
【図4】本発明に係る光源装置の一実施例の断面図を示す図である。
【図5】本発明に係る光源装置の他の実施例を示す図である。
【図6】(a)〜(c)は、LEDの発光部のサイズについて説明するための図である。
【図7】本発明に係る光源装置の一実施例の断面図を示す図である。
【図8】本発明に係る光源装置の一実施例の断面図を示す図である。
【符号の説明】
【0023】
1…LED搭載部、2…LED、3…基板、4…保持部材、5…導光板、6…筐体、7…溝、
7a…溝、7b…溝、8…配線、9…駆動回路、10…電源、11,12…光源装置、13…孔、25…端面、27…発光部、91…LED素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源としてのLEDと、前記LEDからの光を端面より導入し側面から出射させるための導光板と、前記LEDおよび前記導光板を収容するための筐体と、前記LEDに給電するための配線とを備え、前記導光板は、前記側面の長さが前記端面の幅よりも長く、かつ前記端面のサイズが前記LEDの発光部のサイズよりも大きく構成され、前記側面に対向する面に前記端面から離れるに従って乱反射性を上げる乱反射機構を具備したものであり、前記筐体は、長手方向に沿って前記配線を通す配線通路を具備することを特徴とするLED光源装置。
【請求項2】
前記配線通路が、前記筐体の外面または内面に形成された溝であることを特徴とする請求項1記載のLED光源装置。
【請求項3】
前記配線通路が、前記筐体を構成する部材の内部に形成された孔であることを特徴とする請求項1記載のLED光源装置。
【請求項4】
前記配線通路が、前記筐体の長手方向に沿って複数本形成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のLED光源装置。
【請求項5】
前記LEDが、前記導光板の両端側にそれぞれ配置されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のLED光源装置。
【請求項6】
前記LEDを保持する保持部材を備え、前記保持部材が前記光源で発生する熱を放熱する機能を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のLED光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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