説明

RF−MEMSスイッチ、RF−MEMSスイッチの製造方法、アンテナ切り替え装置、携帯電話機、携帯用情報端末機器、ICテスト用機器

【課題】構造が簡易で製造がしやすく、コンパクトな構成にでき、かつ情報信号や電流のオン、オフがノイズに影響されにくく、確実にオン、オフ切り替えを行えるRF−MEMSスイッチとする。
【解決手段】カンチレバー部2を取り付ける下部基板3と固定側RF入、出力信号伝送路4、5があるカバー側の上部基板を組み立ててなるスイッチである。下部基板3が備えるカンチレバー部2は圧電アクチュエータを構成し、一端を下部基板3に固定し、コンタクト部6を上面に備えた他端が上下方向に揺動可能である。カンチレバー部2が上方へ曲がるとコンタクト部6も上方へ移動し、上部基板にあるRF入力信号伝送路4と出力信号伝送路5の双方へ当接し、両伝送路4、5を導通させる。またカンチレバー部2の揺動部分の下側には下部基板3が存在せず、空間となる構造とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明はRF−MEMSスイッチ(MEMS:Micro Electro Mechanical System)及びその製造方法、該RF−MEMSスイッチを用いたアンテナ切り替え装置、携帯電話機、携帯用情報端末機器、ICテスト用機器に関し、より詳細には、圧電体を用いてスイッチ駆動する圧電型MEMSスイッチ及びその製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、圧電アクチュエータを用いた圧電型MEMSスイッチは、MEMS技術を利用したRF素子を利用したRFスイッチとして、マイクロ波やミリメートル波帯域の無線通信端末機や通信システムにおいてよく利用されている。これは、低電力で駆動でき、極めて微小なサイズで形成できることに起因しており、具体的には携帯電話や、マイクロマシンに搭載されるスイッチ等がその用途として挙げ得る。
【0003】
特にMEMS技術を用いたRFスイッチに使われる駆動メカニズムとしては、圧電アクチュエータのカンチレバー(スイッチ部材として作動する片持ち状の要素)を積層して薄膜化したもの(例えば特許文献1参照)がある。
【0004】
この特許文献1のRFスイッチの駆動メカニズムは、カンチレバーの駆動域が大きく、オン、オフ動作が良好に行え、固定端子(RF入、出力信号端子)に対するカンチレバー側の接触子であるコンタクト部の接触圧も良好なものにできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−273451号公報
【特許文献2】特開2007−188866号公報
【特許文献3】特開2007−141835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら特許文献1の圧電アクチュエータを用いた圧電型MEMSスイッチは、同一の基板上に二つの固定信号伝送路部とカンチレバー部とを一直線上に並べて形成し、カンチレバーとともに固定信号伝送路部のいずれか一方も作動し、他方の固定信号伝送路部と接離する構成となっているため、製造工程が非常に複雑になり、構造物としての均一性が落ち、歩留まりが低下するという問題がある。
【0007】
また特許文献2、3の圧電型MEMSスイッチは、カンチレバーも信号導通路の一部をなす構成となっているため、微小な空間内に様々な機器、デバイスを装備する携帯電話やマイクロマシン等では、カンチレバーに流れる信号にノイズが載りやすく、伝達される情報信号に影響が出やすいという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は上記従来の問題点にかんがみ、構造が簡易で製造がしやすく、コンパクトな構成とすることができ、かつ情報信号や電流のオン、オフがノイズに影響されにくく、かつ確実にオン、オフ切り替えを行い得るRF−MEMSスイッチ、RF−MEMSスイッチの製造方法、アンテナ切り替え装置と、これを用いてなる携帯電話機、携帯用情報端末機器、ICテスト用機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のRF−MEMSスイッチのうち請求項1に係るものは、上記目的を達成するために、圧電アクチュエータを備える第1の基板と、固定側RF入、出力信号の伝送路を備える第2の基板とからなるRF−MEMSスイッチであって、上記圧電アクチュエータが、所望の一方向で揺動可能なカンチレバー部と、該カンチレバー部を動作させるための電極部を備え、上記第2の基板が、RF入力信号伝送路及びRF出力信号伝送路を適宜間隔だけ離して備え、上記カンチレバー部の揺動端に、該カンチレバー部の揺動時の当接によって上記第2の基板が備える上記RF入力信号伝送路と上記RF出力信号伝送路間を導通させ得るコンタクト部を配してなり、上記圧電アクチュエータは、支持部かつ一の電極層となるメンブレン層、該メンブレン層上に設けて圧電層とする上記コンタクト部、上記カンチレバー部の駆動部となる圧電駆動層を順に複数積層してなることを特徴とする。
【0010】
同請求項2に係るものは、上記目的を達成するために、請求項1のRF−MEMSスイッチにおいて、上記カンチレバー部の一端を上記第1の基板に固定し、他端を揺動可能とするように、上記第1の基板との間に空間を設けてなることを特徴とする。
【0011】
同請求項3に係るものは、上記目的を達成するために、請求項1または2のRF−MEMSスイッチにおいて、上記カンチレバー部が、上記コンタクト部よりも固定端側に、上記コンタクト部を設けた揺動端側の揺動量を増加させるための凹部または溝部を設けてなることを特徴とする。
【0012】
同請求項4に係るものは、上記目的を達成するために、請求項1ないし3のいずれかのRF−MEMSスイッチにおいて、上記第2の基板は、上記RF入力信号伝送路と、上記RF出力信号伝送路ヘ導通させるビアホールと、上記第1の基板のカンチレバー部の駆動部の電極と接続するビアホールを備えることを特徴とする。
【0013】
同請求項5に係るものは、上記目的を達成するために、請求項1ないし4のいずれかのRF−MEMSスイッチにおいて、上記カンチレバー部を、単一のビームから構成することを特徴とする。
【0014】
同請求項6に係るものは、上記目的を達成するために、請求項1ないし4のいずれかのRF−MEMSスイッチにおいて、上記カンチレバー部を、一対のビームから構成することを特徴とする。
【0015】
同請求項7に係るものは、上記目的を達成するために、請求項1ないし6のいずれかのRF−MEMSスイッチにおいて、上記圧電駆動層と近接させては上記RF入、出力信号伝送路を配置しない構成とすることを特徴とする。
【0016】
同請求項8に係るものは、上記目的を達成するために、請求項1ないし7のいずれかのRF−MEMSスイッチにおいて、上記圧電駆動層の積層構造間に空間を設けて柔構造としてなることを特徴とする。
【0017】
同請求項9に係るものは、上記目的を達成するために、請求項1ないし8のいずれかのRF−MEMSスイッチにおいて、上記メンブレン層と上記圧電駆動層とを同構造としてなることを特徴とする。
【0018】
本発明のRF−MEMSスイッチの製造方法のうち請求項10に係るものは、上記目的を達成するために、請求項1ないし9のいずれかのRF−MEMSスイッチを製造する方法であって、上記第2の基板は、上記RF入、出力信号伝送路を成膜する前に、信号伝送路部の基板をエッチングすることにより、上記第1の基板のカンチレバー部にある上記コンタクト部とのギャップを大きく形成することを特徴とする。
【0019】
同請求項11に係るものは、上記目的を達成するために、請求項1ないし9のいずれかのRF−MEMSスイッチを製造する方法であって、上記RF入、出力信号伝送路を成膜する前に、信号伝送路部分以外の基板の部分をエッチングすることにより、上記カンチレバー部の動作に影響を与えない空間を形成してなることを特徴とする。
【0020】
本発明の請求項12に係るアンテナ切り替え装置は、上記目的を達成するために、請求項1ないし9のいずれかのRF−MEMSスイッチを用いたことを特徴とする。
【0021】
本発明の請求項13に係る携帯電話機は、請求項12のアンテナ切り替え装置を用いたことを特徴とする。
【0022】
本発明の請求項14に係る携帯用情報端末機器は、請求項12のアンテナ切り替え装置を用いたことを特徴とする。
【0023】
同請求項15に係るICテスト用機器は、請求項12のアンテナ切り替え装置を用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、構造が従来のRF−MEMSスイッチに比べて簡易になり、したがって製造がしやすく、コンパクトな構成でありながらカンチレバー部の動作空間を大きく形成することが可能になる。
【0025】
また本発明によれば、カンチレバー部がノイズを拾っても固定側の信号伝送路に伝わりにくく、確実に情報信号や電流のオン、オフが行い得るため携帯電話やマイクロマシン等々で使用するのに適したものになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係るRF−MEMSスイッチの実施形態の特徴を示す斜視図(A)と、圧電アクチュエータ及びその基板部分の拡大断面図(B)
【図2】上部基板の上面(A)、下部基板の上面図(B)、上部基板と下部基板を組み立てた状態でのF−F’断面図(C)
【図3】同じく上部基板のD−D’断面図(A)とE−E’断面図(B)
【図4】下部基板完成状態での平面図(A)とそのB−B’断面図(B)
【図5】下部基板120の製造ステップを示す図
【図6】上部基板の製造ステップを示す図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下本発明を実施するための最良の形態を、図に示す実施例を参照して説明する。なお以下に説明する実施例では特にそれを使用する機器を説明し、あるいは図示しないが、本発明は上述したような種々の機器、装置に適用可能であることは勿論である。また以下の説明では上下方向にカンチレバーが揺動し、上側に揺動するように変形した際にコンタクト部が固定側信号伝送路間を接続する例のみ説明するが、本発明はこれに限定されず、カンチレバーの揺動方向、固定側信号伝送路の配置などは請求項として記載した本願発明の範囲内で種々の変形例が考えられる。
【0028】
図1は本発明に係るRF−MEMSスイッチの実施形態の特徴を示す斜視図(A)と、圧電アクチュエータ及びその基板部分の拡大断面図(B)である。図示のように本実施形態のRF−MEMSスイッチ1は、カンチレバー部2を取り付ける下部基板3と固定側RF入、出力信号伝送路4、5があるカバー側の上部基板(図示を省略してあるが、図1(A)で固定側RF入力信号伝送路4、固定側RF出力信号伝送路5の上側に配置する)の組み立てによるスイッチである。
【0029】
下部基板3が備えるカンチレバー部2は圧電アクチュエータの主要な要素であり、上下方向に揺動可能とするために、一端を下部基板3に固定し、コンタクト部6を上面に備えた他端が図の上下方向に揺動できるようにしてあり、カンチレバー部2が上方へ曲がると(図1(B)参照)、コンタクト部6も上方へ移動し、上部基板にあるRF入力信号伝送路4と出力信号伝送路5の双方へ当接し、両伝送路4、5を導通させる。またカンチレバー部2の揺動部分の下側には下部基板3が存在せず、空間となる構造としてある(これも図1(B)参照)。
【0030】
またカンチレバー部2の下部基板3への固定部分上には圧電駆動部7が配してあり、下部基板3は、圧電駆動部7へ給電してカンチレバー部2を動作させるための駆動用電極8、8を備えている。
【0031】
上部基板は、後述する実施例で詳細に説明するように、RF入力信号伝送路4、RF出力信号伝送路5ヘ導通させるビアホールと、カンチレバー部2の駆動用電極8と接続するビアホールを備える。
【0032】
カンチレバー2は、図1では一枚の板状あるいはビーム状の部材であるが、一対の板状あるいはビーム状の部材から構成することもできる。
【0033】
圧電アクチュエータを構成するカンチレバー部2は、支持部となるメンブレン層2aの上に、既述のコンタクト部6と、カンチレバー部2の駆動部となる圧電駆動層2b(下部電極層2b1、圧電層2b2、上部電極層2b3の積層構造)を配置して構成する。カンチレバーのメンブレン層2aも、図1(B)に示すように、圧電駆動層2bと同様な構造とすることも可能である。また、圧電駆動層2bの積層構造間に空間を設けることにより、柔構造とすることが可能である。
【0034】
すなわち圧電駆動層2bを薄膜化することで、低電圧駆動が可能とし、圧電駆動層2bを積層構造とすることで、単層時における低電圧駆動時のコンタクト部6の接触庄力より大きくすることを可能としている。
【0035】
またカンチレバー部2の圧電駆動層2bの上方にRF入、出力信号伝送路4、5を配置しない(図1(A)参照)ことにより、カンチレバー部2がRF入、出力信号伝送路4、5を伝送されるRF信号に影響を及ぼさないようにしている。
【0036】
RF入、出力信号伝送路4、5を設ける上部側基板は、RF入、出力信号伝送路4、5を成膜等により形成する前に、信号伝送路を形成する基板をエッチングしておくことにより、下部基板3のカンチレバー部2にあるRF入、出力信号伝送路4、5短絡用のコンタクト部6とのギャップを大きくすることが可能である。この空間は、カンチレバー部2の動作に影響を与えないことはもちろんである。
【実施例1】
【0037】
次にRF−MEMSスイッチの製造方法について図2以下を参照して説明する。
図2(A)上部基板の上面図、同(B)は下部基板の上面図、そして同(C)は、同(A)、(B)中の、すなわち上部基板と下部基板を組み立てた状態でのF−F’断面図である。また図3は、同じくD−D’断面図(A)とE−E’断面図(B)、図4は下部基板完成状態での平面図(A)とそのB−B’断面図(B)である。この例では、RF−MEMSスイッチ100は、RF入力信号ラインおよび出力信号ラインを備えた上部基板110と、圧電アクチュエータ122の一端が固定され、他端が揺動可能なように空間131を設けた下部基板120を組み合わせて製作する。圧電アクチュエータ122の揺動可能端先端部には、RF入力信号ライン113aと、RF出力信号ライン113bとを電気的に接続する接続パッド(図1の実施形態でいうコンタクト部)130を備える。接続パッド130は、圧電アクチュエータ122が上方に揺動する、即ち一端が固定され、先端側が湾曲することによって、RF入力信号ライン113aと、RF出力信号ライン113bとを電気的に接続する。
【0038】
RF−MEMSスイッチ100は、上述した上部基板110と下部基板120をそれぞれ製作した後、互いに組み立てを行って製作する。すなわち、RF−MEMSスイッチを一つのパッケージとして製作する。
【0039】
その製造方法について詳述する。以下では、成膜〜エッチングをパターニングという。
【0040】
下部基板120の製造ステップは図5に示す通りである。なお図5は図4(A)のA−A’断面図である。
ステップ01:下部基板120aに絶縁層121を成膜し、エッチングによりパターニングする。なお、下部基板120aはSiからなり、絶縁層121はSiO2からなる。
ステップS02:摺動部となる圧電アクチュエータ122としてPt層122aとPZT層122bをパターニングすることにより、メンブレン層を形成する。以上図5(A)に記載。
【0041】
ステップ03:上述のメンブレン層の上に、下部電極123a、圧電層124a、上部電極125aをパターニングにより形成する。下部電極123aはPt層、圧電層124aはPZT層、上部電極125aはPt層とする。以上図5(B)に記載。
ステップ04:圧電層124aの積層を行う場合は、上述したステップ03で形成した圧電層124aの上にさらに圧電駆動層を積層する。
ステップ05:すなわち、上部電極125aの上にさらに圧電層124b、上部電極125bをパターニングにより形成する。これを所要積層分だけ行う。以上図5(C)に記載。
【0042】
ステップ06:なお圧電駆動層の剛性が大きい場合、圧電駆動層を積層するごとに圧電アクチュエータ122の変位が小さくなる可能性がある。このため、圧電駆動層間に空間を設けて柔構造とした方がよい場合がある。空間を設けて圧電駆動層を柔構造とする場合、上部電極125aの上に犠牲層をパターニングし、その上に下部電極123b、圧電層124a、上部電極125aをパターニングにより形成する。犠牲層はAl層とするとよい。これを所要積層分行う。なおこのステップは図示を省略してある。
ステップ07:圧電アクチュエータ122の摺動側端部に絶縁層127をパターニングにより形成する。絶縁層127はSiO2で形成するが、この絶縁層127は必要が無い場合もある。
ステップ08:圧電アクチュエータ122の外形をエッチングを行って形成する。
ステップ09:積層した圧電駆動層を動作させるため、上部電極125bと上部電極125a、下部電極124b、下部電極123bを電気的に接続させるためのビアホール128をエッチングにより形成する。以上図5(D)に記載。
ステップ10:形成したビアホール128に上部電極125a、125b、下部電極124a、123bを電気的に導通させるための金属材料129を形成する。金属材料129にはAu+Cr合金を用い得る。以上図5(E)に記載。
ステップ11:圧電アクチュエータ122の揺動側端部にRF入力信号ライン113aと、RF出力信号ライン113bを電気的に接続する接続パッド130をパターニングにより形成する。絶縁層127がある場合はその上に接続パッド130を形成する。接続パッド130にもAu+Cr合金を用い得る。
ステップ12:ステップ06で説明した柔構造を採用した場合、犠牲層126をエッチングにより除去して空間131を設ける。
ステップ13:圧電アクチュエータ122の下部に空間131を設ける。空間131は、下部基板120a及び絶縁層121をエッチングして設ける。
ステップ14:下部基板120aの下側にガラス製の下部基板120bを接合することにより下部基板120を完成させる。以上図5(F)に記載。
【0043】
上部基板110の製造ステップは図6に示す通りである。なお図6は図2(A)のC−C’断面図である。
ステップ01:上部基板110aに、エッチングにより空間111aを設ける。以上図6(A)、(B)に記載。
ステップ02:空間111aのうち、圧電アクチュエータ122の揺動する空間111bをエッチングにより設ける。以上図6(C)に記載。
ステップ03:ビアホール112a、112bをエッチングにより形成する。以上図6(D)に記載。
ステップ04:RF入力信号ライン113a、RF出力信号ライン113bをパターニングにより形成する。以上図6(E)、(F)に記載。なお図6(G)はこの状態での平面図である。
【0044】
次に図3を参照して上部基板110aと下部基板120aを接合してRF−MEMSスイッチ100を完成させる工程を説明する。
ステップ01:上部基板110aと下部基板120aを接合する。図3(A)記載。
ステップ02:上部基板110aと下部基板120aとの接合後、ビアホール112aに金属材料114aを埋め込み、上部基板110aの表側とRF−入出力信号ライン113a、113bを電気的に接続させ、ビアホール112bに金属材料114bを埋め込み、下部基板の上部電極125bと上部基板110aの表側を電気的に接続させる。金属材料114a、114bは導電性接着剤を用い得る。
ステップ07:上部基板110aの表側にパッド115をパターニングすることにより、金属材料114a、114bと電気的に接続させる。以上図3(B)に記載。
ステップ08:以上のステップにより図3(C)に示す本発明のRF−MEMSスイッチが完成する。
【0045】
なおカンチレバー部2の動作量は、たとえばカンチレバー長500μmにおいて、印加電圧5Vで約10μm、10Vで約20μmの変位とし得るが、使用する機器の構造に応じて設計すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に係るRF−MEMSスイッチの用途としては、例えば
携帯電話機のアンテナ切り替え、携帯用情報端末機器のアンテナ切り替え、ICのテスト用機器等を挙げ得るが、本発明はこれらの装着、機器以外にも、この種のマイクロスイッチを必要とする種々の装置、機器において採用され得る。
【符号の説明】
【0047】
1:RF−MEMSスイッチ
2:カンチレバー部
2a:メンブレン層
2b:圧電駆動層
2b1:下部電極層
2b2:圧電層
2b3:上部電極層
3:下部基板
4:固定側RF入力信号伝送路
5:固定側RF出力信号伝送路
6:コンタクト部
7:圧電駆動部
8:駆動用電極
100:RF−MEMSスイッチ
110:上部基板
110a:上部基板
111a、111b:空間
112a、112b:ビアホール
113a:RF入力信号ライン
113b:RF出力信号ライン
114a、114b:金属材料
115:パッド
120、120a、120b:下部基板
121:絶縁層
122:圧電アクチュエータ
122a:Pt層
122b:PZT層
123a、123b:下部電極
124a、124b:圧電層
125a、125b:上部電極
127:絶縁層
128:ビアホール
129:金属材料
130:接続パッド
131:空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電アクチュエータを備える第1の基板と、固定側RF入、出力信号の伝送路を備える第2の基板とからなるRF−MEMSスイッチであって、
上記圧電アクチュエータが、所望の一方向で揺動可能なカンチレバー部と、該カンチレバー部を動作させるための電極部を備え、
上記第2の基板が、RF入力信号伝送路及びRF出力信号伝送路を適宜間隔だけ離して備え、
上記カンチレバー部の揺動端に、該カンチレバー部の揺動時の当接によって上記第2の基板が備える上記RF入力信号伝送路と上記RF出力信号伝送路間を導通させ得るコンタクト部を配してなり、
上記圧電アクチュエータは、支持部かつ一の電極層となるメンブレン層、該メンブレン層上に設けて圧電層とする上記コンタクト部、上記カンチレバー部の駆動部となる圧電駆動層を順に複数積層してなる
ことを特徴とするRF−MEMSスイッチ。
【請求項2】
請求項1のRF−MEMSスイッチにおいて、上記カンチレバー部の一端を上記第1の基板に固定し、他端を揺動可能とするように、上記第1の基板との間に空間を設けてなることを特徴とするRF−MEMSスイッチ。
【請求項3】
請求項1または2のRF−MEMSスイッチにおいて、上記カンチレバー部が、上記コンタクト部よりも固定端側に、上記コンタクト部を設けた揺動端側の揺動量を増加させるための凹部または溝部を設けてなることを特徴とするRF−MEMSスイッチ。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかのRF−MEMSスイッチにおいて、上記第2の基板は、上記RF入力信号伝送路と、上記RF出力信号伝送路ヘ導通させるビアホールと、上記第1の基板のカンチレバー部の駆動部の電極と接続するビアホールを備えることを特徴とするRF−MEMSスイッチ。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかのRF−MEMSスイッチにおいて、上記カンチレバー部を、単一のビームから構成することを特徴とするRF−MEMSスイッチ。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれかのRF−MEMSスイッチにおいて、上記カンチレバー部を、一対のビームから構成することを特徴とするRF−MEMSスイッチ。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかのRF−MEMSスイッチにおいて、上記圧電駆動層と近接させては上記RF入、出力信号伝送路を配置しない構成とすることを特徴とするRF−MEMSスイッチ。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかのRF−MEMSスイッチにおいて、上記圧電駆動層の積層構造間に空間を設けて柔構造としてなることを特徴とするRF−MEMSスイッチ。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかのRF−MEMSスイッチにおいて、上記メンブレン層と上記圧電駆動層とを同構造としてなることを特徴とするRF−MEMSスイッチ。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかのRF−MEMSスイッチを製造する方法であって、上記第2の基板は、上記RF入、出力信号伝送路を成膜する前に、信号伝送路部の基板をエッチングすることにより、上記第1の基板のカンチレバー部にある上記コンタクト部とのギャップを大きく形成することを特徴とするRF−MEMSスイッチの製造方法。
【請求項11】
請求項1ないし9のいずれかのRF−MEMSスイッチを製造する方法であって、上記RF入、出力信号伝送路を成膜する前に、信号伝送路部分以外の基板の部分をエッチングすることにより、上記カンチレバー部の動作に影響を与えない空間を形成してなることを特徴とするRF−MEMSスイッチの製造方法。
【請求項12】
請求項1ないし9のいずれかのRF−MEMSスイッチを用いたことを特徴とするアンテナ切り替え装置。
【請求項13】
請求項12のアンテナ切り替え装置を用いたことを特徴とする携帯電話機。
【請求項14】
請求項12のアンテナ切り替え装置を用いたことを特徴とする携帯用情報端末機器。
【請求項15】
請求項12のアンテナ切り替え装置を用いたことを特徴とするICテスト用機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−232113(P2010−232113A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−80783(P2009−80783)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000103493)オータックス株式会社 (14)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【Fターム(参考)】