説明

SiC/Si複合材料体の接合方法及びSiC/Si複合材料接合体

【課題】接合強度の向上を図った中空構造のSiC/Si複合材料接合体を得ることが可能なSiC/Si複合材料体の接合方法を提供する。
【解決手段】複数のSiC/Si複合材料体を互いの接合面で当接させて、不活性ガス雰囲気下で接合面に対して0.05MPa〜10.0MPaの圧力を加えた状態で、1000℃〜1414℃に加熱して保持することにより接合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SiC/Si複合材料体の接合方法、及びSiC/Si複合材料体が接合されてなるSiC/Si複合材料接合体に関する。
【背景技術】
【0002】
SiC/Si(炭化ケイ素/シリコン)複合材料からなるSiC/Si複合材料体は、軽量で剛性が高く熱膨張が小さいという優れた特性を有し、半導体製造装置や液晶製造装置など精密機器の構成品に使用されている。
【0003】
中空構造のSiC/Si複合材料体を作製する場合には、接合工程を経る必要がある。従来、有機バインダを使用してSiC多孔質体を接着し、これに金属Siを含浸させて一体化させる方法(例えば、特許文献1参照)、金属箔等のろう材を使用して複数のSiC/Si複合材料体を接合する方法などによって、中空構造のSiC/Si複合材料体を得ていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−50181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、有機バインダで接着したSiC多孔質体に金属Siを含浸させる方法では、有機バインダの接合面への塗布量を調整することが困難である。そして、塗布量が過多になると接合体の内部空間を閉塞するおそれがあり、過少になると接合体の接合強度及び気密性が低下するおそれがあった。また、金属Siは凝固すると膨張するため、降温時にSiC多孔質体から金属Siが染み出し、接合体の内部空間を閉塞することがあった。このように、この方法は、中空構造のSiC/Si複合材料体を作製することには適していない。
【0006】
一方、ろう材を使用して接合する方法では、空隙無く接合することは困難であり、接合強度が著しく低下するおそれがあった。
【0007】
本発明は、これらの問題に鑑みてなされたものであり、接合強度の向上を図った中空構造のSiC/Si複合材料接合体を得ることが可能なSiC/Si複合材料体の接合方法、及びSiC/Si複合材料接合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のSiC/Si複合材料体の接合方法は、複数のSiC/Si複合材料体を互いの接合面で当接させて、不活性ガス雰囲気下で前記接合面に対して0.05MPa〜10.0MPaの圧力を加えた状態で、1000℃〜1414℃に加熱して保持することにより接合することを特徴とする。
【0009】
本発明のSiC/Si複合材料体の接合方法によれば、SiC/Si複合材料体の接合面を直接接合することができ、有機バインダを使用した場合のようにSiC/Si複合材料接合体の内部空間を閉塞するおそれを解消することが可能となる。そして、後述する実施例から分かるように、接合部の接合強度は、元のSiC/Si複合材料体(母材)の強度と同等であり、ろう材を使用した場合と比較して優れている。
【0010】
なお、加熱温度が1000℃未満では、Siの拡散が起こらないため、SiC/Si複合材料同士は接合しない。一方、加熱温度が1414℃を超えると、SiC/Si複合材料体からSiが溶け出すため、接合体全体の強度の低下、溶出したSiによって内部空間が閉塞するなどの不具合が発生するおそれがある。
【0011】
また、加圧力が0.05MPa未満では、接合面内において非接触の割合が大きくなるため、接合が困難になる。一方、加圧力が10.0MPaを超えると、変形量が大きくなる、又は母材が損傷する。
【0012】
本発明のSiC/Si複合材料体の接合方法において、前記SiC/Si複合材料体のSiC充填率が20体積%〜95体積%であることが好ましい。なお、SiC充填率は、SiC/Si複合材料中のSiCの占有率を意味する。
【0013】
SiC充填率が20体積%未満では、SiC/Si複合材料体が低剛性となり、SiC/Si複合材料接合体を構造部材に適用可能な範囲が非常に限定される。一方、SiC充填率が95%体積を超えると、金属Siの割合が少なくSi同士が接触する部分が少なくなるため、接合強度が劣る。
【0014】
ただし、SiC/Si複合材料体のSiC充填率は20体積%〜80体積%であることがより好ましい。この場合、接合部に欠陥は発生せず、接合部の強度は母材であるSiC/Si複合材料体の強度と同等になる。
【0015】
そして、本発明のSiC/Si複合材料体の接合方法において、前記接合面の表面粗さが中心線平均粗さRaで0.1μmを超えないことが好ましい。
【0016】
接合面の表面粗さRaが0.1μmを超えると、良好に接合することができない。
【0017】
また、本発明のSiC/Si複合材料体の接合方法において、前記加熱して保持する時間は1時間〜12時間であることが好ましい。
【0018】
保持時間が1時間未満では、Siの拡散が不十分なため、接合が不十分となる。一方、保持時間が12時間を超えると、Siの蒸発により接合面の表面粗さが増加するので、接合が困難になる。
【0019】
本発明のSiC/Si複合材料接合体は、不活性ガス雰囲気下で当接された接合面に対して0.05MPa〜10.0MPaの圧力を加えた状態で、1000℃〜1414℃に加熱して保持されることにより、複数のSiC/Si複合材料体が接合されてなることを特徴とする。
【0020】
本発明のSiC/Si複合材料接合体によれば、有機バインダを使用することなく、SiC/Si複合材料体の接合面が直接接合されている。よって、有機バインダを使用した場合のようにSiC/Si複合材料接合体の内部空間が閉塞されているおそれを解消することが可能となる。従って、SiC/Si複合材料接合体は中空構造であればより好ましい。
【0021】
そして、後述する実施例から分かるように、接合部の強度は、元のSiC/Si複合材料体の強度と同等であり、ろう材を使用して接合されたものと比較して優れている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】(a)は試験片の上面図を、(b)は試験片の正面図を、(c)は接合体の正面図をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、SiC/Si複合材料体を接合面で当接させた状態で加圧加熱(ホットプレス)して保持することにより、有機バインダやろう材などを使用することなく、SiC/Si複合材料体の接合面を直接接合してSiC/Si複合材料接合体(以下、単に接合体ともいう。)を得る方法、及びこれにより得られたSiC/Si複合材料接合体に関する。
【0024】
まず、接合に使用される複数のSiC/Si複合材料体を準備する。SiC/Si複合材料体のSiC充填率は、20体積%〜95体積%であることが好ましい。なお、SiC充填率とは、SiC/Si複合材料中のSiCの占有率を意味する。
【0025】
SiC充填率が20体積%未満では、SiC/Si複合材料体が低剛性となり、SiC/Si複合材料接合体を構造部材に適用可能な範囲が非常に限定される。一方、SiC充填率が95%体積を超えると、金属Siの割合が少なくSi同士が接触する部分が少なくなるため、接合強度が劣る。
【0026】
ただし、SiC/Si複合材料体のSiC充填率は20体積%〜80体積%であることがより好ましい。この場合、接合部に欠陥は発生せず、接合部の強度は母材であるSiC/Si複合材料体の強度と同等になる。
【0027】
SiC/Si複合材料体は、その製造方法は限定されず、例えば、鋳造法、加圧鋳造法、加圧浸透法、非加圧浸透法、粉末冶金法などによって製造することができる。非加圧浸透法によりSiC/Si複合材料体を製造する場合、SiC粉末と有機バインダからなる混合物をプレス等で成形した成形体を所定形状に加工した後、これに金属Siを含浸させることにより行われる。
【0028】
なお、複数のSiC/Si複合材料体は、それぞれ適宜な形状に研削、切断加工を施す。このとき、SiC/Si複合材料体の接合面側に溝等を加工しておくことにより、完成後に接合体を中空構造とすることが可能となる。
【0029】
そして、複数のSiC/Si複合材料体のそれぞれの接合面に鏡面研磨を施す。このとき、接合面の表面粗さは中心線平均粗さRaで少なくとも0.1μm以下とすることが好ましい。接合面の表面粗さRaが0.1μmを超えると、良好に接合することができず、接合強度が劣る。
【0030】
次に、これら複数のSiC/Si複合材料体を接合面で当接させて加圧加熱した状態を保持する。加圧加熱状態を保持する構成は限定されず、例えば、炉内に油圧シリンダを設置してものであってもよい。
【0031】
このとき、1000℃〜1414℃に加熱する。加熱温度が1000℃未満では、Siの拡散が起きないため、SiC/Si複合材料同士は接合しない。一方、加熱温度が1414℃を超えると、SiC/Si複合材料体からSiが溶け出すため、接合体全体の強度の低下、溶出したSiによって溝部が閉塞するなどの不具合が発生する。
【0032】
また、0.05MPa〜10.0MPaに加圧する。加圧力が0.05MPa未満では、接合面内において接触していない部分の割合が大きくなるため、接合が困難になる。一方、加圧力が10.0MPaを超えると、変形量が大きくなる、又は母材が損傷する。
【0033】
接合面の面積、形状などによって適切な保持時間は変化するが、加圧加熱状態を1時間〜12時間保持することが好ましい。保持時間が1時間未満では、Siの拡散が不十分なため、接合が不十分となる。一方、保持時間が12時間を超えると、Siの蒸発により接合面の表面粗さが増加するので、接合が困難になる。
【0034】
また、アルゴン、窒素等の不活性ガス雰囲気下で加圧加熱を行うことが望ましい。大気雰囲気で加圧加熱を行うと、Si上に酸化膜が生成し、Siが拡散する際の障壁となる。また、真空状態で加圧加熱を行うと、上記温度範囲ではSiが活発に蒸発するので、接合面の表面荒さが増加し、接合が困難になる。
【0035】
複数のSiC/Si複合材料体を接合面で当接させて加圧加熱した状態を保持することにより、Siが固相拡散して、SiC/Si複合材料体の接合面が直接接合され、SiC/Si複合材料接合体を得ることができる。そして、有機バインダを使用する必要がないので、上述した問題は発生しない。
【0036】
以下、本発明の実施例及び比較例を具体的に挙げ、本発明を詳細に説明する。
【0037】
〔実施例1〕
原料粉末としてSiC粉末(信濃電気製錬株式会社製のGP#500、 平均粒径30μm)を準備し、これに有機バインダとしてのフェノール樹脂粉末(DIC株式会社製のOI−305A)を15質量%添加した。そして、これを成形型に充填して熱プレス成形を行った。これにより、一辺100mm、厚さ10mmの正方形板形状の多孔質成形体を作製した。
【0038】
そして、この多孔質成形体を金属Si(日本電工株式会社製)とともに炉内に設置し、真空雰囲気で1200℃に加熱した状態を12時間保持することにより、フェノール樹脂を脱脂して炭化させた。その後、炉内を1645℃に加熱した状態を22時間保持することにより、溶融SiをSiC多孔質焼結体に含浸させた。これにより、SiC充填率が55体積%のSiC/Si複合材料体を得た。
【0039】
そして、このSiC/Si複合材料体から一辺50mm、厚さ10mmの正方形板形状の試験片を2枚切り出した。さらに、それぞれの試験片に、図1(a)及び図1(b)に示すように、幅2.0mm、深さ1.5mmの溝を3本加工した。その後、溝を加工した面(接合面)に鏡面加工を施し、その表面粗さRaを0.05μmとした。そして、図1(c)に示すように、これら試験片を1.0MPaで加圧して互いの接合面を当接させた状態で炉内に設置し、不活性ガス雰囲気下で1300℃に加熱した状態を6時間保持した。これにより、試験片が接合され、SiC/Si複合材料接合体が得られた。
【0040】
得られたSiC/Si複合材料接合体の接合部の断面を光学顕微鏡で観察した結果、接合部に空隙は認められなかった。また、接合部の四点曲げ強度は300MPaであり、SiC/Si複合材料体(母材)と同じ強度であった。結果を表1にまとめた。
【0041】
〔実施例2〕
実施例2として、接合時の加熱温度を1020℃としたこと以外は、実施例1と同様にして試験片の接合を試みた。得られたSiC/Si複合材料接合体の接合部の断面を光学顕微鏡で観察した結果、接合部に空隙は認められなかった。また、接合部の四点曲げ強度は260MPaであり、十分な接合強度を有していた。
【0042】
〔実施例3〕
実施例3として、接合時の加熱加圧保持時間を11時間としたこと以外は、実施例1と同様にして試験片の接合を試みた。得られたSiC/Si複合材料接合体の接合部の断面を光学顕微鏡で観察した結果、接合部に空隙は認められなかった。また、接合部の四点曲げ強度は290MPaであった。
【0043】
〔実施例4,5〕
実施例4,5として、接合時の加圧力をそれぞれ0.05MPa、9.5MPaとしたこと以外は、実施例1と同様にして試験片の接合を試みた。得られたSiC/Si複合材料接合体の接合部の断面を光学顕微鏡で観察した結果、接合部に空隙は認められなかった。また、接合部の四点曲げ強度は300MPaであった。
【0044】
〔実施例6〕
原料粉末としてSiC粉末100質量%(大平洋ランダム株式会社製のNG90を60質量%、信濃電気製錬株式会社製のGP#800を40質量%配合)及びコークス粉末12質量%(オリエンタル産業株式会社製のAT.No.40−C)を準備し、これに有機バインダとしてのフェノール樹脂粉末(DIC株式会社製のOI−305A)を12質量%添加した。そして、これを成形型に充填して熱プレス成形を行った。これにより、一辺100mm、厚さ10mmの正方形板形状の多孔質成形体を作製した。
【0045】
そして、この多孔質成形体を金属Si(日本電工株式会社製)とともに炉内に設置し、真空雰囲気で1200℃に加熱した状態を12時間保持することにより、フェノール樹脂を脱脂して炭化させた。その後、炉内を1645℃に加熱した状態を22時間保持することにより、溶融SiをSiC多孔質焼結体に含浸させた。これにより、SiC充填率が90体積%のSiC/Si複合材料体を得た。
【0046】
そして、実施例1と同様に、このSiC/Si複合材料体から試験片を作製し、これら試験片を加圧加熱した状態で保持して、試験片の接合を試みた。
【0047】
得られたSiC/Si複合材料接合体の接合部の断面を光学顕微鏡で観察した結果、接合部に空隙は認められなかった。また、接合部の四点曲げ強度は180MPaであり、SiC/Si複合材料体(母材)の四点曲げ強度260MPaより低下していたが、十分な接合が確認された。
【0048】
〔実施例7〕
原料粉末として、SiC粉末100質量%(信濃電気製錬株式会社製のGP#800、平均粒径17μm)と金属Si粉末120質量%(福田金属箔粉工業株式会社製のSi−S−10μm、平均粒径10μm)を準備した。また、有機バインダとして、フェノール樹脂(大日本インキ社製のOI−305A)を準備した。フェノール樹脂の添加量をSiC粉末に対し10重量%として、これを成形型に充填して熱プレス成形を行った。これにより、一辺100mm、厚さ10mmの正方形板形状の多孔質成形体を作製した。
【0049】
そして、この多孔質成形体を金属Si(日本電工株式会社製)とともに炉内に設置し、真空雰囲気で1200℃に加熱した状態を12時間保持することにより、フェノール樹脂を脱脂して炭化させた。その後、炉内を1645℃に加熱した状態を22時間保持することにより、溶融SiをSiC多孔質焼結体に含浸させた。これにより、SiC充填率が22体積%のSiC/Si複合材料体を得た。
【0050】
そして、実施例1と同様に、このSiC/Si複合材料体から試験片を作製し、これら試験片を加圧加熱した状態で保持して、試験片の接合を試みた。
【0051】
得られたSiC/Si複合材料接合体の接合部の断面を光学顕微鏡で観察した結果、接合部に空隙は認められなかった。また、接合部の四点曲げ強度は130MPaであり、SiC/Si複合材料体(母材)と同じ強度であった。
【0052】
〔実施例8〕
実施例8として、2枚の試験片の接合面の表面粗さRaをともにそれぞれ0.09μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして試験片の接合を試みた。その結果、四点曲げ強度は260MPaであり、十分な接合強度を有していた。
【0053】
〔比較例1〕
原料粉末としてSiC粉末100質量%(大平洋ランダム株式会社製のNG90を60質量%、信濃電気製錬株式会社製のGP#800を40質量%配合)及びコークス粉末15質量%(オリエンタル産業株式会社製のAT.No.40−C)を準備し、これに有機バインダとしてのフェノール樹脂粉末(DIC株式会社製のOI−305A)を12質量%添加した。そして、これを成形型に充填して熱プレス成形を行った。SiC充填率が96体積%のSiC/Si複合材料体を得た。これにより、一辺100mm、厚さ10mmの正方形板形状の多孔質成形体を作製した。
【0054】
そして、この多孔質成形体を金属Si(日本電工株式会社製)とともに炉内に設置し、真空雰囲気で1200℃に加熱した状態を12時間保持することにより、フェノール樹脂を脱脂して炭化させた。その後、炉内を1645℃に加熱した状態を22時間保持することにより、溶融SiをSiC多孔質焼結体に含浸させた。これにより、SiC充填率が96体積%のSiC/Si複合材料体を得た。
【0055】
そして、実施例1と同様に、このSiC/Si複合材料体から試験片を作製し、試験片の接合を試みた。しかし、全く接合していなかった。なお、SiC/Si複合材料体(母材)の四点曲げ強度は250MPaであった。
【0056】
〔比較例2,3〕
比較例2,3として、2枚の試験片の接合面の表面粗さRaをともにそれぞれ0.12μm、0.18μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして試験片の接合を試みた。しかし、接合部の四点曲げ強度はそれぞれ90MPa、40MPaであり、接合は不十分であった。
【0057】
〔比較例4,5〕
比較例4,5として、接合時の加熱温度をそれぞれ900℃、980℃としたこと以外は、実施例1と同様にして試験片の接合を試みた。しかし、比較例4,5では全く接合していなかった。
【0058】
〔比較例6〕
比較例6として、接合時の加熱温度を1450℃としたこと以外は、実施例1と同様にして試験片の接合を試みた。しかし、試験片から金属Siが溶出した。また、接合部の四点曲げ強度は80MPaであり、接合は不十分であった。
【0059】
〔比較例7,8〕
比較例7,8として、接合時の加熱加圧保持時間をそれぞれ0.5時間、15時間としたこと以外は、実施例1と同様にして試験片の接合を試みた。しかし、接合部の四点曲げ強度はそれぞれ90MPa、180MPaであり、接合は不十分であった。また、比較例8では、接合部に欠陥が発生した。これは、長時間加熱したことにより、Siが蒸発したためであると考えられる。
【0060】
〔比較例9,10〕
比較例9,10として、接合時の加圧力をそれぞれ0.01MPa、10.5MPaとしたこと以外は、実施例1と同様にして試験片の接合を試みた。しかし、比較例9では全く接合していなかった。また、比較例10では、接合部の四点曲げ強度は300MPaであったが、基材にクラックが発生した。
【0061】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のSiC/Si複合材料体を互いの接合面で当接させて、不活性ガス雰囲気下で前記接合面に対して0.05MPa〜10.0MPaの圧力を加えた状態で、1000℃〜1414℃に加熱して保持することにより接合することを特徴とするSiC/Si複合材料体の接合方法。
【請求項2】
前記SiC/Si複合材料体のSiC充填率が20体積%〜95体積%であることを特徴とする請求項1に記載のSiC/Si複合材料体の接合方法。
【請求項3】
前記接合面の表面粗さが中心線平均粗さRaで0.1μmを超えないことを特徴とする請求項1又は2に記載のSiC/Si複合材料体の接合方法。
【請求項4】
前記加熱して保持する時間は1時間〜12時間であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のSiC/Si複合材料体の接合方法。
【請求項5】
不活性ガス雰囲気下で当接された接合面に対して0.05MPa〜10.0MPaの圧力を加えた状態で、1000℃〜1414℃に加熱して保持されることにより、複数のSiC/Si複合材料体が接合されてなることを特徴とするSiC/Si複合材料接合体。
【請求項6】
当該SiC/Si複合材料接合体は中空構造であることを特徴とする請求項5に記載のSiC/Si複合材料接合体。

【図1】
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【公開番号】特開2013−75799(P2013−75799A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217704(P2011−217704)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000000240)太平洋セメント株式会社 (1,449)
【出願人】(391005824)株式会社日本セラテック (200)
【Fターム(参考)】