説明

TVラック

【課題】場所をとらず、結線が容易で、美観に優れ、かつ、音質に優れた大型テレビ用TVラックを提供すること。
【解決手段】TVラックは、左ツイーターを含む複数の左スピーカーユニットを有する左スピーカーと、中央ツイーターを含む複数の中央スピーカーユニットを有する中央スピーカーと、右ツイーターを含む複数の右スピーカーユニットを有する右スピーカーと、左スピーカー、右スピーカー、中央スピーカーのエンクロージャーとして機能し、かつ、上部にTVが設置されるための水平台部と、水平台部を水平に保持する脚部とを備え、複数の左スピーカーユニット、複数の中央スピーカーユニット、複数の右スピーカーユニットの軸が水平方向の一直線上に位置し、水平台部に仕切壁が設けられることにより、左スピーカー、右スピーカー、中央スピーカーの容積空間がそれぞれ独立して規定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカーシステムに関する。より詳細には、本発明は、場所をとらず、結線が容易で、かつ、音質に優れた大型テレビ用スピーカーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プラズマテレビや液晶テレビのような大型薄型テレビが急速に普及してきている。その結果、このような大型薄型テレビを利用した家庭内オーディオ・ビジュアル(AV)システム(いわゆる、ホームシアターシステム)の潜在需要も急速に高まっていると考えられる。
【0003】
しかし、実際には、このようなホームシアターシステムは、潜在需要ほど普及していない。その理由としては、(1)日本の住宅事情を考えた場合に、ホームシアター用のスピーカーシステムの設置場所がない、(2)システム用の各機器の接続が煩雑で、かつ、接続後の配線が部屋内で露出して見苦しい、および(3)大型テレビとのセットで販売されているトールスピーカー(縦長スピーカー)は倒れやすいので、設置を嫌がる人が多い、等が考えられる。
【0004】
一方、大型テレビに内蔵のスピーカーだけでは、その音質が大画面の映像に比べて不十分であるので、映画やスポーツを十分に楽しむことができない。
【0005】
上記のような問題を解決するために、スピーカーを内蔵したテレビ収納ラックが提案されている(特許文献1および2参照)。しかし、特許文献1のラックは、アンプやスピーカーを収納したそれぞれのユニットを組み立てて完成させる必要があるため、各ユニット(各機器)の接続の煩雑さは全く解消しない。さらに、このラックは、音質向上のための工夫が全くなされていない。また、特許文献2のラックは、ラックの支持部材にスピーカーを取り付け、支持部材を音響管として用いているが、ホームシアター用のサラウンド効果については不十分である。さらに、このラックは、スピーカーを支持部材に取り付けているので、スピーカーが外部に露出しており、美感には優れていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3040883号
【特許文献2】特開2004−48168号公報
【0007】
以上のように、場所をとらず、結線が容易で、美観に優れ、かつ、音質に優れた大型テレビ用スピーカーシステムが強く望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、場所をとらず、結線が容易で、美観に優れ、かつ、音質ならびにサラウンド効果に優れた大型テレビ用スピーカーシステム(TVラック)を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の好ましい実施形態によるTVラックは、少なくとも左ツイーターを含む複数の左スピーカーユニットを有する左スピーカーと、少なくとも中央ツイーターを含む複数の中央スピーカーユニットを有する中央スピーカーと、少なくとも右ツイーターを含む複数の右スピーカーユニットを有する右スピーカーと、前記左スピーカー、前記右スピーカーおよび前記中央スピーカーのエンクロージャーとして機能し、かつ、上部にTVが設置されるための水平台部と、前記水平台部を水平に保持する脚部とを備え、前記複数の左スピーカーユニット、前記複数の中央スピーカーユニット、および、前記複数の右スピーカーユニットの軸が水平方向の一直線上に位置し、前記水平台部に仕切壁が設けられることにより、前記左スピーカー、前記右スピーカーおよび前記中央スピーカーの容積空間がそれぞれ独立して規定されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、それぞれのスピーカーユニットの軸が水平方向の一直線上に位置するようにして、左スピーカーと右スピーカーと中央スピーカーとを配置することにより、きわめて優れた音の移動感を実現できる。さらに、これらのスピーカーを組み込んだ水平台部が、これらのスピーカーのエンクロージャーとして機能するのみならず、大型テレビの載置台となるので、従来のホームシアターシステムに比べてテレビとスピーカーの設置スペースを格段に小さくすることができる。さらに、スピーカー側の配線は水平台部内で接続が完了しているので、ユーザーは、テレビのスピーカー端子にスピーカーのリード線を接続するだけでよい。したがって、結線の煩雑さも解消される。しかも、スピーカー側の配線の大部分は水平台部に収容されているので、接続後の配線の見苦しさもない。以上のように、本発明によれば、場所をとらず、結線が容易で、美観に優れ、かつ、音質に優れた大型テレビ用スピーカーシステムが提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の好ましい実施形態によるスピーカーシステムを説明する概略斜視図である。
【図2】図1のスピーカーシステムの正面図である。
【図3】図1のスピーカーシステムを上方向から見たときの断面図である。
【図4】さらに好ましい実施形態によるスピーカーシステムを上方向から見たときの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【0013】
図1は、本発明の好ましい実施形態によるスピーカーシステムを説明する概略斜視図である。図2は、図1のスピーカーシステムの正面図である。図3は、図1のスピーカーシステムを上方向から見たときの断面図である。図4は、さらに好ましい実施形態によるスピーカーシステムを上方向から見たときの断面図である。このスピーカーシステム100は、水平台部10と、水平台部10を水平に保持する脚部20とを備える。水平台部10は、左スピーカー11Lと右スピーカー11Rと中央スピーカー11Cとを有する。好ましくは、左スピーカー11L、右スピーカー11Rおよび中央スピーカー11Cは、それぞれ、少なくとも1つのツイーターと少なくとも1つのウーハーとを有する。図示例においては、左スピーカー11Lおよび右スピーカー11Rは、それぞれ、ツイーターとウーハーとを1つずつ備える。中央スピーカーは、ツイーターと2つのウーハーとを備える。それぞれのスピーカーが備えるユニットの種類、構成および数は、目的に応じて適宜選択され得る。必要に応じて、少なくとも1つのダクトが、左スピーカー11L、右スピーカー11Rおよび中央スピーカー11Cの少なくとも1つに設けられる。ダクトを設けることにより、低域の音質がさらに改善され得る。図示例においては、左スピーカー11L、右スピーカー11Rおよび中央スピーカー11Cのそれぞれに、ダクトが1つずつ設けられている。ダクトの形状、数、配置位置等は、目的に応じて適宜選択され得る。
【0014】
水平台部10の左スピーカー11L、右スピーカー11Rおよび中央スピーカー11Cは、それぞれのスピーカーユニットの軸(すなわち、ツイーターおよびウーハーの振動板の中心)が水平方向の一直線上(図1の一点鎖線H上)に位置するようにして配置されている。このような構成を採用することにより、きわめて優れた音の移動感を実現できる。その結果、簡易な構成で優れたサラウンドシステムを実現することができる。
【0015】
水平台部10は、左スピーカー11L、右スピーカー11Rおよび中央スピーカー11Cのエンクロージャーとして機能する。同時に、水平台部10は、大型テレビの載置台となるに十分な特性(例えば、強度、広さ、および安定性(ぐらつかないこと))を有している。水平台部10が大型テレビを載置するに十分な広さを有することの結果として、左スピーカー11L、右スピーカー11Rおよび中央スピーカー11Cの容積空間が大きくなるので、これらのスピーカーの音質(特に、低域)が顕著に改善され得る。
【0016】
上記水平台部10は、左スピーカー11L、右スピーカー11Rおよび中央スピーカー11Cのそれぞれの容積空間を規定する仕切壁12を備える。仕切壁12は、水平台部10の補強部材としても機能し、大型テレビの載置台となるに十分な強度が付与される。好ましくは、図3に示すように、仕切壁12は、スピーカーの軸方向に対して斜め方向に設けられている。このような構成を採用することにより、定在波の発生が軽減され得る。仕切壁12とスピーカーの軸方向とが規定する角度(斜め方向へのズレ具合:図3の角度α)は、目的に応じて適切に設定され得るが、代表的には5〜45度である。
【0017】
好ましくは、図4に示すように、上記左スピーカー11Lと上記中央スピーカー11Cとの間、ならびに、該中央スピーカー11Cと上記右スピーカー11Rとの間に、緩衝空間15が規定されている。緩衝空間15は、例えば、左スピーカー11Lと中央スピーカー11Cとの間、ならびに、中央スピーカー11Cと右スピーカー11Rとの間の仕切壁12をそれぞれ2枚にして、その間に空間を設けることにより形成され得る。このような緩衝空間15を規定することにより、スピーカー同士の相互作用による悪影響を防止して、さらに優れた音質を有するスピーカーシステムを得ることができる。必要に応じて、緩衝空間15の少なくとも一部に任意の適切な吸音材が配置され得る。より具体的には、吸音材を緩衝空間15の全体に充填してもよく、吸音材を緩衝空間15側の仕切壁12に貼り付けてもよい。吸音材を配することにより、スピーカー同士の相互作用がさらに良好に防止され得る。
【0018】
好ましくは、図3に示すように、上記水平台部10は、配線収容部13をさらに有する。すなわち、スピーカー(左スピーカー11L、右スピーカー11Rおよび中央スピーカー11C)側のリード線はすべて結線され、水平台部10の内部に収容される。その結果、配線が室内に露出するという見苦しさが解消される。配線収容部13は、例えば、巻き取り構造(さらに好ましくは、リール構造)14を有する。巻き取り構造を採用することにより、スピーカーのリード線のテレビ側端部がスピーカーシステム外部に露出する長さを調整することができるので、室内(スピーカーシステム外部)に露出する配線を極力少なくすることができる。加えて、配線収容部13においては、スピーカー(および、必要に応じて増幅器等の各機器)の結線が完了しているので、ユーザーは、テレビのスピーカー端子に上記スピーカーのリード線のテレビ側端部を接続するだけでよい。したがって、結線の煩雑さが解消されたユーザーフレンドリーな大型テレビ用スピーカーシステムが得られる。
【0019】
上記脚部20は、大型テレビを載置した水平台部10を水平に保持するに十分な特性(例えば、強度および安定性(ぐらつかないこと))を有している。脚部20の構造は、水平台部10を安定して水平保持できる限りにおいて特に限定されないが、好ましくは、図1に示すように、水平台部10の両側部全体を支持する。このような構造は保持安定性に優れる。さらに、内部を空洞にすることにより、脚部20がスピーカーシステムの容積空間としても機能し得、あるいは、さらなるスピーカーおよび/または各種機器を組み込むことができる(後述)。
【0020】
好ましくは、上記脚部20には、さらなるスピーカーが装備され得る。脚部20に装備されるスピーカーの種類および構成は、目的に応じて適宜選択され得る。スピーカーは脚部20の一方に装備されてもよく、両方に装備されてもよい。両方に装備する場合、両方に同一種類のスピーカーを装備してもよく、異なる種類のスピーカーを装備してもよい。代表的には、脚部20の一方にサブウーハーが装備される。その場合、脚部20のもう一方には、増幅器が装備され得る。このような構成を採用することにより、より臨場感あふれる音場を再現することができる。なお、脚部20に装備された機器類の配線もまた、水平台部10の配線収容部13に収容され得る。
【0021】
ここまで本発明の好ましい実施形態について説明してきたが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。例えば、水平台部10の側面部および/または背面部にスピーカーを設置してもよい。また例えば、水平台部10と脚部20との間に制振材や吸音材(例えば、コルク、発泡ポリエチレン)を配置してもよい。また例えば、脚部20には何の機器も装備せず、物品収納部として利用してもよい。なお、上記実施形態では、仕切壁を斜めに設けているが、仕切壁をスピーカーの軸方向と平行に設けてもかまわない。したがって、緩衝空間もスピーカーの軸方向に平行に規定されていてもかまわない。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明のスピーカーシステムは、大型テレビ用スピーカーとして、および/または、大型テレビ用ラックとして好適に用いられ得る。
【符号の説明】
【0023】
10 水平台部
11L 左スピーカー
11R 右スピーカー
11C 中央スピーカー
12 仕切壁
13 配線収容部
15 緩衝空間
20 脚部
100 スピーカーシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも左ツイーターを含む複数の左スピーカーユニットを有する左スピーカーと、
少なくとも中央ツイーターを含む複数の中央スピーカーユニットを有する中央スピーカーと、
少なくとも右ツイーターを含む複数の右スピーカーユニットを有する右スピーカーと、
前記左スピーカー、前記右スピーカーおよび前記中央スピーカーのエンクロージャーとして機能し、かつ、上部にTVが設置されるための水平台部と、
前記水平台部を水平に保持する脚部とを備え、
前記複数の左スピーカーユニット、前記複数の中央スピーカーユニット、および、前記複数の右スピーカーユニットの軸が水平方向の一直線上に位置し、
前記水平台部に仕切壁が設けられることにより、前記左スピーカー、前記右スピーカーおよび前記中央スピーカーの容積空間がそれぞれ独立して規定されている、TVラック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−178378(P2010−178378A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−89923(P2010−89923)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【分割の表示】特願2006−117356(P2006−117356)の分割
【原出願日】平成16年4月26日(2004.4.26)
【出願人】(000000273)オンキヨー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】