説明

うどん及びその製造方法

【課題】粳米粉を混入した独自の食感・風味を備えた新規なうどんを提供する。
【解決手段】90〜80%重量部の小麦粉と、10〜20%重量部の粳米粉(マセレイティング酵素処理した微細米粉等)を混合し、適量の塩及びゼリー状の布海苔を加えて混練した麺生地を、常法とおり麺線として製出してなるもので、通常とおり茹でると、小麦粉と澱粉を混合して麺とした冷麺に近い、ツルツルで、且つしっかりとしたコシが感じられる独自の食感・風味を備えた麺となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小麦粉に粳米粉を混入させたうどん及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
小麦粉に米粉を混入してうどんを製造する手段として、特許文献1(特開平7−184574号公報)に、80〜95%重量部の小麦粉に20〜5%重量部の餅米粉または餅米澱粉を混合し、混合粉体に加水し、加水後ミキシングして麺生地とする手法が開示されている。この餅米粉の混入は、半茹で状態で市場に流通させて、家庭での再ボイル時に通常の茹でたてと同様の食感をえることを目的としたものである。
【0003】
また特許文献2(特開平9−56348号公報)には、小麦粉に対して0.2〜0.8%の粉末青海苔と粉末あま海苔を混入して製麺することが開示されており、海苔風味及びミネラル成分を備えたうどんの提供を目的としているものである。
【0004】
また新潟県魚沼地方の蕎麦は、布海苔をつなぎとして使用していることが広く知られている。
【0005】
【特許文献1】特開平7−184574号公報。
【特許文献2】特開平9−56348号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
新規な風味のうどんを開発するため、機械粉砕の粳米粉や、特公平7−100002号公報に開示されているマセレイティング酵素処理した微細粒米粉や、特開平6−217719号公報に開示されている乳酸発酵処理米粉のような粳米粉を、粳米粉の混入による独自の風味・食感を得るための分量で混入したところ、加水して混練しても充分な粘性を備えることなく纏まり難く、麺生地とすることは困難であった。
【0007】
そこで本発明は、布海苔をつなぎに採用すると、粳米粉を利用できることを見出し、新規な風味のうどんを提案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るうどん及びその製造方法は、90〜80%重量部の小麦粉と、10〜20%重量部の粳米粉を混合し、適量の塩及びゼリー状の布海苔を加えて混練した麺生地を、常法とおり麺線として製出してなることを特徴とするものである。
【0009】
前記のうどん(生めん)を通常通り茹でると、小麦粉と澱粉を混合して麺とした冷麺に近い、ツルツルで、且つしっかりとしたコシが感じられる独自の食感・風味を備えた麺となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は上記の通り、小麦粉に粳米粉を混入して麺に製出したことで、独特のコシを備えたツルツルの食感と、米の風味を備えたうどんを得ることができたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に本発明の実施の形態について説明する。うどんの製造手法は基本的に従前の製造手段と同様に、粉に加塩加水してミキシング(混練)し、圧延して麺線状に切断するもので、特に本発明は、粉として小麦粉と粳米粉を使用するものである。
【0012】
小麦粉は一般の中力粉で、90〜80%重量部(85%が最適であった)で、粳米粉はマセレイティング酵素処理した微細粒米粉を使用し、10〜20%重量部とする。
【0013】
粳米粉を10%重量部以下とすると、粳米の風味食感が生きなかったし、また20%重量部以上にすると、米の味が勝ちすぎてしまい、ポソポソ感(コシが無い感じ)が生じてしまう。
【0014】
前記の混合粉に、ゼリー状の布海苔を適宜量(混合した全体の水分量が40〜50%となる程度)を加えて混練して麺生地とするもので、ゼリー状の布海苔に塩分が加わっていれば、足りない分の塩を加えて、全体の塩分が適宜量(粉全体の4%程度)となるように調整する。そしてこれらを混合し、練り上げで麺生地とする。
【0015】
前記麺生地は、圧延し麺線に切断してうどん(生めん)とするもので、麺線とするに際して、麺線の太さは、所謂モチモチ感を有する太い麺ではなく、幅5mm厚さ1〜2mm程度の蕎麦のような太さとするものである。
【0016】
而して前記うどん(生うどん)は、通常とおり茹でて食するもので、細麺であるので、湯で時間は2分前後で充分で、茹でられたうどんは、冷麺に近いツルツルで且つしっかりとしたコシが感じられる独自の食感・風味を有していた。
【0017】
尚前記の実施形態にマセレイティング酵素処理した微細粒米粉を使用したが、その他の粳米粉であっても、ゼリー状の布海苔を加えて練り上げることで、充分に麺線として仕上げることができ、相応食感を有するものである。
【0018】
また前記の生うどんは、所定の乾燥を施し、乾麺としても良い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
90〜80%重量部の小麦粉と、10〜20%重量部の粳米粉を混合し、適量の塩及びゼリー状の布海苔を加えて混練した麺生地を、常法とおり麺線としてなることを特徴とするうどんの製造方法。
【請求項2】
粳米粉を、マセレイティング酵素処理した微細米粉を使用してなる請求項1記載のうどんの製造方法。
【請求項3】
90〜80%重量部の小麦粉と、10〜20%重量部の粳米粉と、適量の塩と、及びゼリー状の布海苔を原材料として製出したことを特徴とするうどん。

【公開番号】特開2008−237044(P2008−237044A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−78864(P2007−78864)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(301009302)有限会社麺匠高野 (1)
【Fターム(参考)】