説明

アキレス腱保護具

【課題】人のアキレス腱を保護するためのアキレス腱保護具において、人の脚に装着した後この人が歩行しても、装着位置がずれにくいアキレス腱保護具を提供する。
【解決手段】アキレス腱の部分を覆う本体部5と、本体部5の一方の側部から斜め上方向に延伸し中間部が人の脚の前側の部位をまわって先端部側の部位が本体部5に固定される第1のベルト7と、本体部5の他方の側部から斜め上方向に延伸し中間部が人の脚の前側の部位をまわって先端部側の部位が本体部5に固定される第2のベルト9とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アキレス腱保護具に係り、特に、台車等が人のアキレス腱に接触するおそれがある場合に人のアキレス腱を保護するものに関する。
【背景技術】
【0002】
運送会社や工場内において様々な台車が使用されている。台車を使用する際、荷物等が高く積載されていると良好な前方視界を確保することが困難になる場合ある。また、作業中に台車が他の作業者の脚に接触するおそれがある。
【0003】
ここで、台車の高さは、作業者のアキレス腱の高さとほぼ一致しているので、前記接触によって作業車のアキレス腱が傷つかないようにすることが重要である。
【0004】
前述した作業においてアキレス腱を保護する従来の保護具として、たとえば、特許文献1に記載のものが知られている。
【0005】
前記従来の保護具では、板状の本体部でアキレス腱を覆うべく前記本体部を脚の後側に装着する場合、本体部の下側で前記本体部から横方向に延びている下部のベルトと、本体部の上側で前記本体部から横方向に延びている上部のベルトとを用いて、前記装着を行なっている。
【特許文献1】意匠登録第1285191号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記従来の保護具では、本体部(保護具)を人の脚に装着した場合、前記各ベルトが横方向に延び人の脚の前側をまわって、前記各ベルトの先端部が前記本体部に固定されるようになっている。ここで、前記下部ベルトが人の足の甲の上側の近くをまわっているので、人の歩行によって前記下部ベルトに足の甲から力(伸縮力等)が加わり、保護具を装着した人が作業をしていると、装着位置がたとえば上側にずれてくるという問題がある。
【0007】
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、人のアキレス腱を保護するためのアキレス腱保護具において、人の脚に装着した後この人が歩行しても、装着位置がずれにくいアキレス腱保護具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、アキレス腱の部分を覆う本体部と、前記本体部の一方の側部から斜め上方向に延伸し、中間部が前記人の脚の前側の部位をまわって先端部側の部位が前記本体部に固定される第1のベルトと、前記本体部の他方の側部から斜め上方向に延伸し、中間部が前記人の脚の前側の部位をまわって先端部側の部位が前記本体部に固定される第2のベルトとを有するアキレス腱保護具である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のアキレス腱保護具において、一方の端部が前記本体部の一方の側部側の部位に設けられ、他方の端部が前記本体部の他方の側部側の部位に設けられ、中間部が前記人の足の底部をまわる下側ベルトを有するアキレス腱保護具である。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のアキレス腱保護具において、前記本体部は、板状の芯材と、通気性を具備し前記芯材を覆っているカバー部材とを備えて構成されており、人の脚から外されている状態では、前記本体部は平板状になっており、前記本体部の芯材には、通気性を良好にするための多数の貫通孔が設けられており、これらの貫通孔は、前記本体部が人の脚に装着されたときに、前記本体部の横方向で長く前記本体部の上下方向で幅の短い細長い形状に形成されているアキレス腱保護具である。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のアキレス腱保護具において、前記芯材と前記カバー部材との間の部位であって前記本体部が人の脚に装着されたときに前記芯材と人の足のくるぶしとの間に位置する部位と、前記芯材と前記カバー部材との間の部位であって前記本体部が人の脚に装着されたときに前記芯材と人の脚のアキレス腱の上部との間に位置する部位とには、緩衝部材が設けられているアキレス腱保護具である。
【0012】
請求項5に記載の発明は、板状に形成され厚さ方向から見ると、長方形状に形成されている下側部位と、この下側部位の1つの長辺と同じ長さの下底とこの下底よりも短い長さの上底とを備えて当脚台形状に形成され前記下底が前記下側部位の1つの長辺に接続されて前記下側部位と一体に形成されている中間部位と、この中間部位の上底と同じ長さの長辺を備えて長方形状に形成され1つの長辺が前記上底に接続されて前記中間部位と一体に形成されている上側部位とを備えている芯材と、通気性を具備した板状部材で構成され前記芯材の総てが内側に入るように前記芯材を覆っていると共に前記芯材の厚さ方向から見ると前記芯材とほぼ同形で前記芯材よりも僅かに大きく形成されているカバー部材とを備えて構成された本体部と、前記芯材の上側部位の一方の短辺のところに位置している前記カバー部材側部から、この側部に対してほぼ直交する方向に延伸していると共に、先端部側の部位が前記芯材の上側部位のところに位置している前記カバー部材の部位に着脱自在になっている上側ベルトと、前記芯材の中間部位の一方の斜辺のところに位置している前記カバー部材の側部から、この側部に対してほぼ直交する方向に延伸していると共に、先端部側の部位が前記芯材の上側部位のところに位置している前記カバー部材の部位に着脱自在になっている第1のベルトと、前記芯材の中間部位の他方の斜辺のところに位置している前記カバー部材の側部から、この側部に対してほぼ直交する方向に延伸していると共に、先端部側の部位が前記芯材の上側部位のところに位置している前記カバー部材の部位に着脱自在になっている第2のベルトと、前記芯材の下側部位の一方の角部の近傍のところに位置しているカバー部材の部位に、一方の端部が着脱自在かつ回動自在に設けられ、前記芯材の下側部位の他方角部の近傍のところに位置しているカバー部材の部位に、他方の端部が着脱自在かつ回動自在に設けられた下側ベルトとを有するアキレス腱保護具である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、人のアキレス腱を保護するためのアキレス腱保護具において、人の脚に装着した後、この人が歩行しても、装着位置がずれにくいという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係るアキレス腱保護具1の概略構成を示す正面図であり、図2は、アキレス腱保護具1の概略構成を示す背面図である。
【0015】
図3は、アキレス腱保護具1の側面図であり図1におけるIII矢視図であり、図4は、アキレス腱保護具1の芯材3の概略構成を示す正面図である。
【0016】
図5は、図1におけるV−V断面を示す図であり、図6は、アキレス腱保護具1を人の脚に装着した状態を示す図である。
【0017】
アキレス腱保護具1は、引越し作業等の作業を行なう作業者のアキレス腱を台車等の接触から保護するために人(作業者)の脚に装着されて使用されるものであり、本体部5と各ベルト(バンド)7、9、11、13を備えて構成されている。
【0018】
本体部5は、板状に形成されており、人の脚に装着されたときに、脚の延びている方向(上下方向)から見ると「U」字状になって脚の後側に位置し、アキレス腱の部分を覆うようになっている。
【0019】
ベルト(第1のベルト)7は、本体部5を人の脚に装着するために設けられているものであり、たとえば、平たい紐状に形成されている。また、本体部5(アキレス腱保護具1)が人の脚に装着されたときに、本体部5の一方の側部の下側の部位から斜め上方向に延伸するようになっている。さらに、ベルト7の延伸方向である長手方向の中間部が人の脚の前側の部位(アキレス腱の反対側に位置している向う脛)をまわって、先端部側の部位が本体部5の上側の部位であって本体部5の他方の側部側の部位に固定されるようになっている。
【0020】
なお、作業者は、通常ズボンや靴を履いており、アキレス腱保護具は、ズボンや靴の上から装着されるものであるので、ベルト7の中間部は、ズボン等を間に挟むようにして人の脚の前側の部位をまっている。
【0021】
ベルト(第2のベルト)9も、ベルト7と同様に、本体部5を人の脚に装着するために設けられているものであり、平たい紐状に形成されている。そして、本体部5が人の脚に装着されたときに、本体部5の他方の側部の下側の部位から斜め上方向に延伸するようになっている。さらに、ベルト9の長手方向の中間部が人の脚の前側の部位をまわって、先端部側の部位が本体部5の上側の部位であって本体部5の一方の側部側の部位に固定されるようになっている。
【0022】
なお、人の脚の前側の部位をまわっているベルト9の中間部は、ベルト7の中間部と交差しており、ベルト7と共に「X」字状を呈している。
【0023】
上側ベルト11は、本体部5を人の脚に装着するために、たとえば補助的に設けられているものであり、平たい紐状に形成されている。そして、本体部5が人の脚に装着されたときに、本体部5の一方の側部の上側の部位から横方向に延伸し、長手方向の中間部が人の脚の前側の部位(向う脛の上側)をまわって先端部側の部位が本体部5の上側の部位であって本体部5の他方の側部側の部位に固定されるようになっている。
【0024】
なお、本体部5を人の脚に装着する場合、本体部5に固定された上側ベルト11の先端部側の部位の上に重ねて、ベルト7の先端部側の部位、ベルト9の先端部側の部位の少なくともいずれかを固定可能なように構成されている。
【0025】
また、第1のベルト7、第2のベルト9、上側ベルト11のたとえば基端部側の部位は、人の脚への装着を容易にし装着後におけるフィット感を高めて作業者が違和感をもよおすことを防止するために、各ベルト7、9、11の長手方向で弾性を備えている。
【0026】
下側ベルト13も、本体部5を人の脚に装着するために、たとえば補助的に設けられているものであり、平たい紐状に形成されている。そして、長手方向の一方の端部が本体部5の一方の側部側の部位であって下部側の部位に設けられ、他方の端部が本体部5の他方の側部側の部位であって下部側の部位に設けられている。また、本体部5が人の脚に装着されたときに、中間部が人の足の底部(かかと近傍の底部;履物の底部)をまわるようになっている。
【0027】
下側ベルト13の各端部は、本体部5を人の脚に装着する際下側ベルト13を装着しやすくするために、たとえば、金属ホックやプラスチックホック15A、15Bによって、本体部5の厚さ方向の一方の面(たとえば、本体部5を人の脚に装着した場合外側になる面)に、着脱自在かつ回動自在(本体部5の厚さ方向とは直交する方向に延びている軸を中心に回動自在;図1の紙面に直交する方向に延びている軸を中心に回動自在)になっている。
【0028】
下側ベルト13のうちで、前記各端部の近くに位置する部位(本体部5が人の脚に装着されたときに足の下側に位置する部位以外の部位)は、下側ベルト13の長手方向で弾性を備えており、下側ベルト13の中間部を足の底部に設置しやすくなっていると共に、歩行時の違和感を無くすことができるようになっている。また、下側ベルト13の部位のうちで靴の底に位置する部位は、弾性を備えておらず、耐摩耗性を備えた合成繊維等の部材で構成されている。
【0029】
本体部5は、圧縮ポリエチレン等からなる硬質部材で板状に形成された芯材(台車等が本体部5に衝突した場合の衝撃に耐え得る芯材)3と、通気性と好ましくは耐摩耗性とを具備し剛性が芯材3よりも低い布状の素材(たとえばトラスネット等で構成されたメッシュ素材)で構成されたカバー部材17とを備えて形成されている。カバー部材17は、芯材3を覆っている。
【0030】
人の脚から外されている状態では、本体部5は、図4の紙面の直角な方向が厚さ方向である平板状になっている。また、本体部5の芯材3には、通気性を良好にするための多数の貫通孔19が設けられており、これらの貫通孔19は、本体部5が人の脚に装着されたときに、本体部5の横方向(本体部5の各側部をお互いに結ぶ方向;図4の左右方向)で長く、本体部5の上下方向(図4の上下方向)で幅の短い細長い形状に形成されている。
【0031】
芯材3とカバー部材17との間の部位であって本体部5が人の脚に装着されたときに芯材3と人の足のくるぶしとの間に位置する部位には、緩衝部材21A、21Bが突出して(図4の紙面の紙面の手前側に突出して)一体的に設けられている。さらに、芯材3と人の脚のアキレス腱の上部との間に位置する部位にも、緩衝部材23が同様に突出して設けられている。
【0032】
本体部5の芯材3をこの厚さ方向から見ると、図4に示すように、長方形状に形成されている下側部位25と、等脚台形状に形成されている中間部位27と、長方形状に形成されている上側部位29とで構成されている。中間部位27の下底は、下側部位25の1つの長辺(図4における下側部位25左右方向の寸法)と同じ長さになっており、前記下底が、下側部位25の1つの長辺に接続されて中間部位27は下側部位25と一体に形成されている。中間部位27の上底は下底よりも短い長さになっている。
【0033】
上側部位29は、中間部位27の上底と同じ長さの長辺を備えて長方形状に形成されている。1つの長辺が前記上底に接続されて中間部位27と一体に形成されている。
【0034】
カバー部材17は、板状に形成されており、この厚さ方向が芯材3の厚さ方向とほぼ一致するようにして、芯材3の総てが内側に入るように芯材3を覆っている。この状態で芯材3の厚さ方向から見ると芯材3とほぼ同形で芯材3よりも僅かに大きく形成されている(図2や図4を参照)。
【0035】
なお、本体部5の厚さ方向から見た場合、応力集中を回避しまた人に接触した場合における人の安全を考慮して、芯材3やカバー部材17の角部は、適宜の円弧状に形成されている。
【0036】
上側ベルト11の基端部は、芯材3の上側部位29の一方の短辺のところに位置しているカバー部材17の側部に一体的に設けられている。そして、上側ベルト11は、芯材3の上側部位29の一方の短辺のところに位置しているカバー部材17の側部から、この側部に対してほぼ直交する方向(芯材3の上側部位29の長手方向;横方向)に延伸している。上側ベルト11の先端部側の部位は、芯材3の上側部位29のところに位置しているカバー部材17の部位31に着脱自在になっている。
【0037】
より詳しくは、上側ベルト11の先端部側の部位の一方の長方形状の面にはマジックテープ(登録商標)の係合部が設けられている。上側ベルト11の先端部側の部位が着脱されるカバー部材17の部位31には、所定の幅で細長い形状に形成されたマジックテープ(登録商標)の被係合部が設けられている。この被係合部は、芯材3の上側部位29の長手方向に延びて、本体部5の厚さ方向の一方の面(本体部5を人の脚に装着した場合に外側になる面)に設けられている。
【0038】
なお、上側ベルト11の先端部側の部位の長方形状の他方の面(部31の被係合部に係合する係合部が設けられている面とは反対側の面)にはマジックテープ(登録商標)の被係合部が設けられている。これにより、上側ベルト11の上に重ねて、第1のベルト7や第2のベルトを固定することができるようになっている。
【0039】
第1のベルト7の基端部は、芯材3の中間部位27の一方の斜辺のところに位置しているカバー部材17の側部に一体的に設けられている。そして、第1のベルト7が、芯材3の中間部位27の一方の斜辺のところに位置しているカバー部材17の側部から、この側部に対してほぼ直交する方向(斜め方向)に延伸している。第1のベルト7の先端部側の部位は、芯材3の上側部位29のところに位置しているカバー部材17の部位33に着脱自在になっている。
【0040】
より詳しくは、上側ベルト11の先端部側の部位の一方の長方形状の面にはマジックテープ(登録商標)の係合部が形成されている。第1のベルト7の先端部側の部位が着脱されるカバー部材17の部位33には、所定の幅で細長い形状に形成されたマジックテープ(登録商標)の被係合部が設けられている。この被係合部は、芯材3の上側部位29の角部(第1のベルト7の基端部側位置している側とは反対側に位置している角部)の近傍のところに位置しているカバー部材17の部位33に設けられている。第1のベルト7の先端部側の部位が着脱されるカバー部材17の部位33は、前記角部を面取りするようにして、本体部5の厚さ方向の一方の面(上側ベルト11の着脱部位が設けられている面と同じ側の面)で、斜めに延びて設けられている。
【0041】
第2のベルト9と第2のベルト9の先端部側の部位が係合する部位35は、図1から理解されるように、第1のベルト7の場合とほぼ同様にして、第1のベルト7とほぼ対称(本体部5の横方向の中心軸に対して線対称)に設けられている。
【0042】
下側ベルト13は、長手方向の一方の端部が、芯材3の下側部位25の一方の角部の近傍のところに位置しているカバー部材17の部位に着脱自在かつ回動自在に係合しており、長手方向の他方の端部が、芯材3の下側部位25の他方の角部の近傍のところに位置しているカバー部材17の部位に着脱自在かつ回動自在に係合している。
【0043】
また、下側ベルト13(下側ベルト13の長手方向の両端部)は、アキレス腱保護具1が人の脚に装着されたときに、たとえば外側になる本体部5の厚さ方向の一方の面に係合している。
【0044】
アキレス腱保護具1が人の脚に装着されたときに内側になる芯材3の厚さ方向の一方の面には、たとえば硬質のスポンジで構成された各緩衝部材21A、21B、23が一体的に設けられている。各緩衝部材21A、21Bは、芯材3の下側部位25の両端部の近くであって、下側部位25の下側に設けられている。緩衝部材23は、芯材3の上側部位29の上方で、横方向に長く延びて設けられている。
【0045】
なお、芯材3の下側部位25には、各切り欠き37A、37Bが設けられている。これらの切り欠き37A、37Bは、本体部5を「U」字状に変形させて人の脚に装着する場合、本体部5が弾性変形しやすくするために設けられているものである。また、細長い各貫通孔19は、芯材3の横方向の中央部であって芯材3の上側の部位には設けられていない。この部分は台車が接触しやすい部分だからである。
【0046】
また、図2に示すように、カバー部材17の下部には、耐摩耗性を備えた板状の部材(合成繊維等)で覆われており、アキレス腱保護具1を長い時間使用したときに、カバー部材17が磨耗することを防いでいる。
【0047】
次に、アキレス腱保護具1を脚に装着する場合について説明する。
【0048】
図1等で示すように平板状になっている本体部5を「U」字状に弾性変形させて、脚のほぼ半分を包み込むようにして脚の後側の部位に当接させる。
【0049】
続いて、上側ベルト11を脚の前側にまわして、脚のサイズに合った適宜に長さに調整し先端部を部位31に固定する。
【0050】
続いて、ベルト7を脚の前側にまわして、脚のサイズに合った適宜に長さに調整し先端部を部位33(部位31にすでに固定されている上側ベルト11の被係合部を含む)に固定する。同様にしてベルト9の先端部を部位35に固定する。
【0051】
さらに、下側ベルト13を回動させて、中間部が足の底を通るようにする。
【0052】
アキレス腱保護具1によれば、本体部5(アキレス腱保護具1)を人の脚に装着した場合、第1のベルト7、第2のベルト9の中間部と先端部とが斜め上方に延伸する(「X」字状に延伸する)ので、足の甲から離れたところに第1のベルト7、第2のベルト9が位置することになり、アキレス腱保護具1を装着した人が歩行して足の甲が動いても、足の甲が第1のベルト7、第2のベルト9に接触することはなく、足の甲からの外力が第1のベルト7、第2のベルト9に加わることはほとんど無い。したがって、アキレス腱保護具1を装着した人が歩行しても装着位置がずれにくくなっている。
【0053】
また、足の甲から離れたところに第1のベルト7、第2のベルト9が位置しているので、アキレス腱保護具1を装着した人は足首を違和感なく曲げることができ、脚への本体部5のフィット性が向上し作業がしやすくなっている。
【0054】
また、アキレス腱保護具1によれば、上側ベルト11が設けられているので、アキレス腱保護具1(本体部5)を人の脚に装着する場合、まず上側ベルト11で本体部5を人の脚に設置することができる。そしてこの設置後に、第1のベルト7と第2のベルト9とで、本体部5を人の脚にしっかり設置すれば、脚へのアキレス腱保護具1の装着がしやすくなる。
【0055】
すなわち、上側ベルト11を設けないで、斜めに延びている第1のベルト7や第2のベルト9のみで、アキレス腱保護具1を脚へ設置しようとすると、設置するときにアキレス腱保護具1に斜めの力が加わり、アキレス腱保護具1が斜めに設置されてしまうおそれがある。しかし、上側ベルト11を設け、まず上側ベルト11を用いて本体部5を脚に一旦設置すれば、第1のベルト7や第2のベルト9を用いて本体部5を人の脚に設置する場合、アキレス腱保護具1が斜めに傾くおそれを回避することができ、脚へのアキレス腱保護具1の装着がしやすくなる。
【0056】
また、アキレス腱保護具1によれば、本体部5を人の脚に装着する場合、本体部5に固定された上側ベルト11の先端部側の部位の上に重ねて、第1のベルト7の先端部側の部位を固定可能なように構成されているので、脚へのアキレス腱保護具1の設置がしやすくなっている。
【0057】
さらに、アキレス腱保護具1によれば、下側ベルト13を設けてあるので、アキレス腱保護具1を装着した人が歩行したときに本体部5に上向きの力が加わっても、アキレス腱保護具1が上方に移動してずれるおそれを確実に回避することができる。また、アキレス腱保護具1を脚に装着した際、下側ベルト13の部位のうちで靴の底に位置する部位は、弾性を備えておらず、耐摩耗性を備えた部材(合成繊維等)で構成されているので、アキレス腱保護具1を装着した人が歩行しても、下側ベルト13の部位が傷つきにくくなっており、アキレス腱保護具1の装着者に違和感を与えることなく長時間に使用に耐えることができる。
【0058】
また、アキレス腱保護具1によれば、本体部5の芯材3には、通気性を良好にするための多数の貫通孔19が設けられており、これらの貫通孔19が、横方向で長く上下方向で幅の短い細長い形状に形成されているので、アキレス腱保護具1を長時間脚に装着して作業をしたときにおける脚のむれを防止することができると共に、アキレス腱保護具1を「U」字状に変形させて脚に装着する際に、本体部5に適宜の弾力を持たせることができ、アキレス腱保護具1の脚への装着がしやすくなっている。
【0059】
また、アキレス腱保護具1によれば、緩衝部材21A、21B、23が設けられているので、アキレス腱保護具1を脚に装着した場合、緩衝部材21A、21B、23が硬質の芯材3と脚との間に入り、アキレス腱保護具1を装着した人の違和感を解消することができる。また、アキレス腱保護具1を脚に装着した場合、緩衝部材21A、21B、23の近傍においては、芯材3とカバー部材17との間に空間SPが形成されるので(図5参照)、アキレス腱保護具1を長時間脚に装着して作業をしたときにおける脚のむれを防止することができる。特に、芯材3の横方向の中央部であって芯材3の上側の部位には、貫通孔19が設けられていないが、空間SPが形成されるので、脚のむれを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施形態に係るアキレス腱保護具1の概略構成を示す正面図である。
【図2】アキレス腱保護具1の概略構成を示す背面図である。
【図3】アキレス腱保護具1の側面図であり図1におけるIII矢視図である。
【図4】アキレス腱保護具1の芯材3の概略構成を示す正面図である。
【図5】図1におけるV−V断面を示す図である。
【図6】アキレス腱保護具1を人の脚に装着した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
1 アキレス腱保護具
3 芯材
5 本体部
7 第1のベルト
9 第2のベルト
11 上側ベルト
13 下側ベルト
17 カバー部材
19 貫通孔
21A、21B、23 緩衝部材
25 下側部位
27 中間部位
29 上側部位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アキレス腱の部分を覆う本体部と;
前記本体部の一方の側部から斜め上方向に延伸し、中間部が前記人の脚の前側の部位をまわって先端部側の部位が前記本体部に固定される第1のベルトと;
前記本体部の他方の側部から斜め上方向に延伸し、中間部が前記人の脚の前側の部位をまわって先端部側の部位が前記本体部に固定される第2のベルトと;
を有することを特徴とするアキレス腱保護具。
【請求項2】
請求項1に記載のアキレス腱保護具において、
一方の端部が前記本体部の一方の側部側の部位に設けられ、他方の端部が前記本体部の他方の側部側の部位に設けられ、中間部が前記人の足の底部をまわる下側ベルトを有することを特徴とするアキレス腱保護具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のアキレス腱保護具において、
前記本体部は、板状の芯材と、通気性を具備し前記芯材を覆っているカバー部材とを備えて構成されており、
人の脚から外されている状態では、前記本体部は平板状になっており、前記本体部の芯材には、通気性を良好にするための多数の貫通孔が設けられており、これらの貫通孔は、前記本体部が人の脚に装着されたときに、前記本体部の横方向で長く前記本体部の上下方向で幅の短い細長い形状に形成されていることを特徴とするアキレス腱保護具。
【請求項4】
請求項3に記載のアキレス腱保護具において、
前記芯材と前記カバー部材との間の部位であって前記本体部が人の脚に装着されたときに前記芯材と人の足のくるぶしとの間に位置する部位と、前記芯材と前記カバー部材との間の部位であって前記本体部が人の脚に装着されたときに前記芯材と人の脚のアキレス腱の上部との間に位置する部位とには、緩衝部材が設けられていることを特徴とするアキレス腱保護具。
【請求項5】
板状に形成され厚さ方向から見ると、長方形状に形成されている下側部位と、この下側部位の1つの長辺と同じ長さの下底とこの下底よりも短い長さの上底とを備えて当脚台形状に形成され前記下底が前記下側部位の1つの長辺に接続されて前記下側部位と一体に形成されている中間部位と、この中間部位の上底と同じ長さの長辺を備えて長方形状に形成され1つの長辺が前記上底に接続されて前記中間部位と一体に形成されている上側部位とを備えている芯材と、通気性を具備した板状部材で構成され前記芯材の総てが内側に入るように前記芯材を覆っていると共に前記芯材の厚さ方向から見ると前記芯材とほぼ同形で前記芯材よりも僅かに大きく形成されているカバー部材とを備えて構成された本体部と;
前記芯材の上側部位の一方の短辺のところに位置している前記カバー部材側部から、この側部に対してほぼ直交する方向に延伸していると共に、先端部側の部位が前記芯材の上側部位のところに位置している前記カバー部材の部位に着脱自在になっている上側ベルトと;
前記芯材の中間部位の一方の斜辺のところに位置している前記カバー部材の側部から、この側部に対してほぼ直交する方向に延伸していると共に、先端部側の部位が前記芯材の上側部位のところに位置している前記カバー部材の部位に着脱自在になっている第1のベルトと;
前記芯材の中間部位の他方の斜辺のところに位置している前記カバー部材の側部から、この側部に対してほぼ直交する方向に延伸していると共に、先端部側の部位が前記芯材の上側部位のところに位置している前記カバー部材の部位に着脱自在になっている第2のベルトと;
前記芯材の下側部位の一方の角部の近傍のところに位置しているカバー部材の部位に、一方の端部が着脱自在かつ回動自在に設けられ、前記芯材の下側部位の他方角部の近傍のところに位置しているカバー部材の部位に、他方の端部が着脱自在かつ回動自在に設けられた下側ベルトと;
を有することを特徴とするアキレス腱保護具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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