説明

アゾール系抗−真菌性組成物

本発明は、一般的には、抗-真菌性組成物に係る。一態様において、該抗-真菌性組成物は、爪及びその周辺の皮膚に適用するのに効果的であり、また該組成物は、少なくとも1種の揮発性溶媒、少なくとも1種のフィルム形成物質、及び少なくとも1種の一般式Iで表されるピリミドン誘導体、例えばアルバコナゾールを含む。これら組成物は、真菌によって引起される感染症、例えば爪真菌症等を治療することを可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真菌により引起される感染を、局部的に治療し又は予防する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
爪(爪真菌症として知られている)及び爪周辺の皮膚の真菌感染は、見苦しく、また幾つかの場合には、該爪の喪失をもたらす恐れがある。これらの感染は、皮膚糸状菌、カンジダ及び非-皮膚糸状菌型の糸状菌によって引起される。爪及びその周辺部皮膚に感染する通常の皮膚糸状菌は、トリコフィトンルブルム(Trichophyton rubrum)及びトリコフィトンメンタグロフィテス(Trichophyton mentagrophytes)を含む。
爪真菌症の一般的な治療手段は、テルビナフィン、イトラコナゾール、グリセオフルビン又はフルコナゾールを用いた経口治療を含む。もう一つの手段は、アモロルフィン又はシクロピロックスによる局所療法を含む。このような局所的に適用される組成物の一つは、Bohn等に付与された米国特許第4,957,730号に記載されている。この米国特許は、フィルム形成物質及び1-ヒドロキシ-2-ピリドン誘導体(例えば、シクロピロックス)を含むネイルワニス(ネイルラッカー)を開示している。
【0003】
Laugier等に付与された米国特許第6,455,592号は、薬理的に有効な量のテルビナフィン塩酸塩、水及び少なくとも1種の直鎖又は分岐鎖C2-C8アルカノール、及び親水性浸透薬を含む溶媒媒体系を含有する組成物を開示している。
Bohn等による米国公開特許出願第2003/0190340号は、親水性ゲル形成剤、水及び1-ヒドロキシ-4-メチル-6-シクロヘキシル-2(1H)ピリドン等の化合物を含有する製剤を開示している。
Colombo等による米国公開特許出願第2004/0028721号は、少なくとも1種の活性成分、フィルム形成剤及び親水性接着性ポリマーを含む、活性薬物を皮膚又は経皮投与するための単層フィルムを開示している。
【0004】
Bartroli等に付与された米国特許第5,807,854号は、カンジダアルビカンス(Candida albicans)、カンジダクルセイ(Candida krusei)及びアスペルギルスフミガーツス(Aspergillus fumigatus)に対して活性を示す、アルバコナゾール(albaconazole)等の新規なピリミドン誘導体を開示している。
Paredes等によるWO 2008/021049は、新規なアルバコナゾールの結晶型、即ち結晶型I、II、III、IV、V及びVIを開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
当分野においては、爪真菌症及び他の真菌による皮膚の感染症を、局所的に治療し又は予防する方法に対する需要がある。本発明は、このような要求を扱うものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面は、ヒト患者における真菌感染状態を治療し、又は予防する方法を提供するものであり、該方法は、治療上有効な量の、ラセミ体、ジアステレオマー混合物又は純粋なエナンチオマーとしての、以下の一般式Iで表されるピリミドン誘導体、及び製薬的に許容される担体又はその希釈剤、及び場合により第二の薬理的に活性な薬剤を含む、製薬的に許容される組成物を、該患者に局所的に適用する工程を含む:
【0007】
【化1】

【0008】
ここで、Arは、フェニル基又は1種又はそれ以上のハロゲン原子及び/又はトリフルオロメチル基で置換されたフェニル基を表し;
R1は、C1-C4アルキル基であり;
R2は、水素原子又はC1-C4アルキル基であり;あるいはR1は、R2と共にC2-C4ポリメチレン鎖を形成し;
R3は、水素原子、C1-C4アルキル基、C1-C4ハロアルキル基、又はシクロプロピル基を表し;
Aは、ベンゼンリング又は5-又は6-員のヘテロ環式リングを表し、ここで1又はそれ以上の該ヘテロ環式リング構成原子は、N、O及びSからなる群から選択され、該ヘテロ環式リングは、場合により、ベンゼンリング、又はN、O及びSから選択される1種又はそれ以上のヘテロ原子を含む5-又は6-員のヘテロ環式リングと融合することができ、かつ該Aは無置換であり得、又は該リング上の任意の位置において、1、2、3又は4個の基Wを持つことができ;
該基Wは、C1-C4アルキル基、C3-C6シクロアルキル基、C1-C4ハロアルキル基、C1-C4アルコキシ基、C1-C4ハロアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、ベンジルオキシ基、ヒドロキシメチル基、基:-NR4R5、基:-CONR4R5、基:-CH2-OCO-R4、基:-CO-R4、基:-COO-R4、基:-SOzR6、基:-C(=NR4)NHR7、基:-C(=NR7)OR4、また更には該基Wの一つは、1-ピロリル基、1-イミダゾリル基、1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル基、5-テトラゾリル基(場合によりC1-C4アルキル基で置換されている)、1-ピロリジニル基、4-モルホリニル基、4-モルホリニル-N-オキサイド基、基:-X-R8、又は以下の一般式(i)〜(iv)で表される基:
【0009】
【化2】

【0010】
[ここで、R4は、水素原子、C1-C4アルキル基、C3-C6シクロアルキル基又はアリールC1-4アルキル基を表し、ここで該アリール基は、フェニル基、又は1種又はそれ以上のC1-C4アルキル基、ハロゲン原子、C1-C4ハロアルキル基、C1-C4アルコキシ基又はC1-C4ハロアルコキシ基で置換されているフェニル基を表し;
R5は、水素原子、C1-C4アルキル基、C3-C6シクロアルキル基、基:-COR4又は基:-COCF3を表し;
R6は、C1-C4アルキル基を表し;
R7は、水素原子、-CONH2、-COMe、-CN、-SO2NHR4、-SO2R4、-OR4、-OCOR4又は(C1-4アルキル)-NH2を表し;
Xは、単結合、-O-、-SOn、-NR4-、又はC(=O)-を表し;
nは、0、1又は2を表し;
R8はフェニル基又は1又はそれ以上の基:R9により置換されたフェニル基を表し;
R9は、C1-C4アルキル基、C3-C6シクロアルキル基、C1-C4ハロアルキル基、C1-C4アルコキシ基、C1-C4ハロアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、基:-NR4R5、基:-CONR4R5、基:-CH2-OCO-R4、基:-CO-R4、基:-COO-R4、基:-SOzR6、基:-C(=NR4)NHR7基:-C(=NR7)OR4、式(iv)で表される基を表し、又はR9は、フェニル基又は場合によりC1-C4アルキル基、C1-C4ハロアルキル基、C1-C4アルコキシ基、C1-C4ハロアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基で置換されたフェニル基を表し;
R10は、水素原子又はメチル基を表し;
R11は水素原子、イソプロピル基、シクロペンチル基、シクロプロピル基、2-ブチル基、3-ペンチル基、3-ヒドロキシ-2-ブチル基、又は2-ヒドロキシ-3-ペンチル基を表し;
mは、0又は1を表し;
R12は、ハロゲン原子、C1-C4ハロアルキル基、C1-C4ハロアルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基又は式(i)で表される基を表し;
Yは、-CH2-又はC(=O)-を表し;及び
Zは、NH又はOを表す]
及びこれらの塩及びその溶媒和物を表す。
【0011】
もう一つの局面によれば、本発明は、真菌感染状態を治療し又は予防するための、局所的に適用される医薬組成物を提供するものであり、該組成物は、治療上有効な量の上記一般式Iで表されるピリミドン誘導体、及び製薬上許容される担体又はその希釈剤、及び場合により第二の薬理的に活性な薬剤を含む。
更なる局面によれば、本発明は、ここに記載する該組成物の、真菌感染状態を治療し又は予防するのに使用する、医薬を製造するための利用に係る。
更に別の態様によれば、本発明は、ここに記載する該組成物の、真菌感染状態を治療し又は予防するための利用に係る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、(A) 爪の穿孔及び(B) レセプタパッド(爪支持体)におけるアルバコナゾールの分布を示す図である。
【図2】図2は、感染させた爪に関するアッセイの結果を示す図であり、該アッセイでは、真菌トリコフィトンルブルム(Trichophyton rubrum)の生存度を減じる上での、本発明による組成物の有効性と、市販の比較物[ペンラック(PENLACTM)ネイルラッカー]の有効性との比較を行う。
【発明を実施するための形態】
【0013】
一局面によれば、本発明は、患者における真菌感染状態を治療し、又は該感染を予防する方法を提供するものであり、該方法は、治療上有効な量の、ラセミ体、ジアステレオマー混合物又は純粋なエナンチオマーとしての、以下の一般式Iで表されるピリミドン誘導体、及び製薬的に許容される担体又はその希釈剤、及び場合により第二の薬理的に活性な薬剤を含む、製薬的に許容される組成物を、該患者に局所的に適用する工程を含む:
【0014】
【化3】

【0015】
ここで、Arは、フェニル基又は1種又はそれ以上のハロゲン原子及び/又はトリフルオロメチル基で置換されたフェニル基を表し;
R1は、C1-C4アルキル基であり;
R2は、水素原子又はC1-C4アルキル基であり;あるいはR1は、R2と共にC2-C4ポリメチレン鎖を形成し;
R3は、水素原子又はC1-C4アルキル基、C1-C4ハロアルキル基、又はシクロプロピル基を表し;
Aは、ベンゼンリング又は5-又は6-員のヘテロ環式リングを表し、ここで1又はそれ以上の該ヘテロ環式リング構成原子は、N、O及びSからなる群から選択され、該ヘテロ環式リングは、場合により、ベンゼンリング、又はN、O及びSから選択される1種又はそれ以上のヘテロ原子を含む5-又は6-員のヘテロ環式リングと融合することができ、かつ該基Aは無置換であり得、又は該リング上の任意の位置において、1、2、3又は4個の基Wを持つことができ;
該基Wは、C1-C4アルキル基、C3-C6シクロアルキル基、C1-C4ハロアルキル基、C1-C4アルコキシ基、C1-C4ハロアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、ベンジルオキシ基、ヒドロキシメチル基、基:-NR4R5、基:-CONR4R5、基:-CH2-OCO-R4、基:-CO-R4、基:-COO-R4、基:-SOzR6、基:-C(=NR4)NHR7、基:-C(=NR7)OR4、また更には該基Wの一つは、1-ピロリル基、1-イミダゾリル基、1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル基、5-テトラゾリル基(場合によりC1-C4アルキル基で置換されている)、1-ピロリジニル基、4-モルホリニル基、4-モルホリニル-N-オキサイド基、基:-X-R8、又は以下の一般式(i)〜(iv)で表される基:
【0016】
【化4】

【0017】
[ここで、R4は、水素原子、C1-C4アルキル基、C3-C6シクロアルキル基又はアリールC1-4アルキル基を表し、ここで該アリール基は、フェニル基、又は1種又はそれ以上のC1-C4アルキル基、ハロゲン原子、C1-C4ハロアルキル基、C1-C4アルコキシ基又はC1-C4ハロアルコキシ基で置換されているフェニル基を表し;
R5は、水素原子、C1-C4アルキル基、C3-C6シクロアルキル基、基:-COR4又は基:-COCF3を表し;
R6は、C1-C4アルキル基を表し;
nは、0、1又は2を表し;
R7は、水素原子、-CONH2、-COMe、-CN、-SO2NHR4、-SO2R4、-OR4、-OCOR4又は(C1-4アルキル)-NH2を表し;
Xは、単結合、-O-、-SOn、-NR4-、又はC(=O)-を表し;
R8は、場合により1又はそれ以上の基:R9により置換されたフェニル基を表し;
R9は、C1-C4アルキル基、C3-C6シクロアルキル基、C1-C4ハロアルキル基、C1-C4アルコキシ基又はC1-C4ハロアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、基:-NR4R5、基:-CONR4R5、基:-CH2-OCO-R4、基:-CO-R4、基:-COO-R4、基:-SOzR6、基:-C(=NR4)NHR7基:-C(=NR7)OR4、式(iv)で表される基を表し、又はR9は、フェニル基又はC4アルキル基、C1-C4ハロアルキル基、C1-C4アルコキシ基又はC1-C4ハロアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基で置換されたフェニル基を表し;
R10は、水素原子又はメチル基を表し;
R11は水素原子、イソプロピル基、シクロペンチル基、シクロプロピル基、2-ブチル基、3-ペンチル基、3-ヒドロキシ-2-ブチル基、又は2-ヒドロキシ-3-ペンチル基を表し;
mは、0又は1を表し;
R12は、ハロゲン原子、C1-C4ハロアルキル基、C1-C4ハロアルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基又は式(i)で表される基を表し;
Yは、-CH2-又はC(=O)-を表し;及び
Zは、NH又はOを表す]
及びこれらの塩及びその溶媒和物を表す。
【0018】
もう一つの局面によれば、本発明は、真菌感染状態を治療し若しくは予防するための、局所的に投与される薬理組成物を提供するものであり、該薬理組成物は、治療上有効な量の、上記一般式Iで表されるピリミドン誘導体、及び製薬上許容される担体又はその希釈剤、及び場合により第二の薬理的に活性な薬剤を含む。
更なる局面によれば、本発明は、真菌感染状態を治療し若しくは予防するための、医薬調製のための、本明細書に記載される該組成物の使用に係る。
更に別の局面によれば、本発明は、真菌感染状態を治療し若しくは予防するための、本明細書に記載される該組成物の使用に係る。
一態様によれば、上記一般式Iで表されるピリミドン誘導体は、以下に列挙する化合物からなる群から選択される:
【0019】
(a) (1R,2R)-7-クロロ-3-[2-(2,4-ジフルオロフェニル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロピル]キナゾリン-4(3H)-オン;
(b) (1R,2R)-3-[2-(2,4-ジフルオロフェニル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロピル]-7-トリフルオロメチルキナゾリン-4(3H)-オン;
(c) (1R,2R)-3-[2-(2,4-ジフルオロフェニル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロピル]-7-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)キナゾリン-4(3H)-オン;
(d) (1R,2R)-6-(4-クロロフェニル)-3-[2-(2,4-ジフルオロフェニル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-プロピル]-チエノ[3,2-d]ピリミジン-4(3H)-オン;
(e) (1R,2R)-4-[[2-(2,4-ジフルオロフェニル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-プロピル]-4-オキソ-3,4-ジヒドロチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-イル]ベンゾニトリル;
(f) (1R,2R)-7-(4-クロロフェノキシ)-3-[2-(2,4-ジフルオロフェニル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-プロピル]-キナゾリン-4(3H)-オン;
(g) (1R,2R)-3-[2-(2,4-ジフルオロフェニル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロピル]-6-[4-イミノ(メトキシアミノ)メチル]フェニル]チエノ[3,2-d]ピリミジン-4(3H)-オン;
(h) (1R,2R)-7-ブロモ-3-[2-(2,4-ジフルオロフェニル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロピル]-キナゾリン-4(3H)-オン;
(i) (1R,2R)-3-[2-(2,4-ジフルオロフェニル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロピル]-7-ヨードキナゾリン-4(3H)-オン;
(j) (1R,2R)-3-[2-(2,4-ジフルオロフェニル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロピル]-6-(4-フルオロフェニル)-チエノ[3,2-d]ピリミジン-4(3H)-オン;
(k) (1R,2R)-3-[2-(2,4-ジフルオロフェニル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロピル]-6-(4-メチルスルホニル)フェニル]-チエノ[3,2-d]ピリミジン-4(3H)-オン;
(l) (1R,2R)-6-(4-フルオロフェニル)-3-[2-(2-フルオロフェニル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロピル]-チエノ[3,2-d]ピリミジン-4(3H)-オン;及び
(m) (1R,2R)-7-クロロ-3-[2-(2-フルオロフェニル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロピル]-キナゾリン-4(3H)-オン
及びこれらの塩並びにこれらの溶媒和物。
【0020】
更なる態様によれば、上記一般式Iで表されるピリミドン誘導体は、アルバコナゾールとも呼ばれる、(1R,2R)-7-クロロ-3-[2-(2,4-ジフルオロフェニル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロピル]キナゾリン-4(3H)-オンである。
本発明において有用な上記一般式Iで表されるピリミドン誘導体は、更に米国特許第5,807,854号に記載されている。この米国特許の開示事項を、参考としてここに組入れる。
一態様によれば、該一般式Iで表される該ピリミドン誘導体は、約0.1質量%〜約20質量%なる範囲の量で存在する。一態様において、該ピリミドン誘導体は、約1質量%〜約10質量%なる範囲の量で存在する。もう一つの態様において、該誘導体は、約1質量%、2質量%、3質量%、4質量%、5質量%、6質量%、7質量%、8質量%、9質量%又は10質量%なる量で存在する。更なる態様において、上記一般式Iで表されるピリミドン誘導体は、約3質量%なる量で存在する。
【0021】
上記式Iのピリミドン誘導体を含む、該局所投与用の薬理組成物は、ネイルラッカー、エナメル、塗料、溶液、ローション、クリーム、ゲル、エーロゾルフォーム、エーロゾルスプレイとして、又は任意の他の適当な製薬的に許容される局所投与剤形として処方することができる。一態様によれば、該薬理組成物は、ネイルラッカーである。もう一つの態様において、該薬理組成物は、ネイルラッカーであり、かつ該ピリミドン誘導体はアルバコナゾールである。
もう一つの態様によれば、該薬理組成物は、水を含まず、又は水を実質的に含まないものである。
【0022】
ネイルラッカー
一態様によれば、該局所的に投与される薬理組成物は、更に少なくとも1種の揮発性溶媒及びフィルム-形成成分をも含む。この態様によれば、該組成物はネイルラッカーである。該ネイルラッカーの局所的適用は、影響を受けた領域、即ち、一旦該揮発性溶媒が蒸発した後の領域に、可撓性のフィルムを堆積させることを可能とする。この可撓性フィルムは、該感染された領域を、環境的なストレス及び/又は衣服から保護する。一態様において、該ネイルラッカーは、水を含まず又は水を実質的に含まないものである。
【0023】
揮発性溶媒
本発明のネイルラッカーは、1種又はそれ以上の揮発性溶媒を含む。従って、該ネイルラッカーを患者の爪及び皮膚周辺に投与した場合、該揮発性溶媒の蒸発は、該爪及び皮膚周辺の表面上に、該フィルム-形成成分内の該活性成分のマトリックスを残す。これは、順に該爪及び皮膚への該活性成分の容易な浸透を可能とする。
適切には、該揮発性溶媒は、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール、ブトキシエタノール、アセトン、エチルアセテート、ブチルアセテート、又はこれらの組合せ若しくは混合物から選択される。一態様によれば、該揮発性溶媒は、エタノールとエチルアセテートとの混合物である。もう一つの態様によれば、該揮発性溶媒は、イソプロピルアルコールとエタノールとの混合物である。一態様によれば、該揮発性溶媒は、約40質量%〜約99.85質量%なる範囲の量で存在する。もう一つの態様によれば、該揮発性溶媒は、約60質量%〜約90質量%なる範囲の量で存在する。更に別の態様によれば、該揮発性溶媒は、約75質量%〜約85質量%なる範囲の量で存在する。
【0024】
フィルム-形成成分
本発明の一態様によれば、上記フィルム-形成成分は、フィルム-形成ポリマーである。適当なフィルム-形成ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、カーボマー、PVM/MAデカジエンクロスポリマー、ヒドロキシプロピルグアー、オクチルアクリルアミドアクリレートコポリマー、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、アンモニオメタクリレートコポリマー、PVP/VAコポリマー、PVA、PVM/MAコポリマーのC2-C4アルキルエステル、セラック、又はこれらの組合せ若しくは混合物を含むが、これらに限定されない。
一態様によれば、該フィルム-形成ポリマーは、親水性ポリマーである。適切には、該親水性ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、カーボマー、PVM/MAデカジエンクロスポリマー、ヒドロキシプロピルグアー、又はこれらの組合せ若しくは混合物から選択される。
【0025】
他の態様によれば、該フィルム-形成ポリマーは、疎水性ポリマーである。適切には、該疎水性ポリマーは、オクチルアクリルアミドアクリレートコポリマー、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、アンモニオメタクリレートコポリマー、PVP/VAコポリマー、PVA、PVM/MAコポリマーのC2-C4アルキルエステル、又はセラック、若しくはこれらの組合せ若しくは混合物から選択される。
一態様によれば、該PVM/MAコポリマーのC2-C4アルキルエステルは、エチルエステル、イソプロピルエステル又はブチルエステルである。特別な一態様によれば、該フィルム-形成ポリマーは、PVM/MAコポリマーのブチルエステルである。
【0026】
一態様において、該フィルム-形成成分は、約0.05質量%〜約40質量%なる範囲の量で存在する。もう一つの態様において、該フィルム-形成成分は、約0.1質量%〜約25質量%なる範囲の量で存在する。更に別の態様において、該フィルム-形成成分は、約10質量%〜約20質量%なる範囲の量で存在する。
「1日1回の」処置(治療)に対しては、該フィルム-形成ポリマーとして、親水性ポリマーを使用することが好ましい。「1周に1回の」処置(治療)に対して、該フィルム-形成ポリマーとして、疎水性ポリマーを使用することが好ましい。このような疎水性ポリマーの使用は、長期間の治療(処置)(即ち、頻度の低い適用)にとって適した、耐水性かつ耐摩擦性のフィルムを生成する。
【0027】
追加の活性成分
本発明の一態様によれば、該局所的に投与される薬理組成物は、少なくとも1種の追加の(又は第二の)薬理的に活性な薬剤を含むことができる。
一態様において、該第二の薬理的に活性な薬剤は、抗菌薬、抗-真菌薬、コルチコステロイド及びビタミンD類似体からなる群から選択される。
更なる態様によれば、該第二の薬理的に活性な薬剤は、抗菌薬である。適切には、該抗菌薬は、ゲンタマイシン、ネオマイシン、ストレプトマイシン、セフポドキシムプロキセチル、クリンダマイシン、リンコマイシン、エリスロマイシン、バシトラシン、グラミシジン、バンコマイシン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、テトラサイクリン、ホスホマイシン、フシジン酸、ムピロシン、スルフアセタミド、メトロニダゾール、ダプソン、トリクロサン、四級アンモニウム塩、スルファジアジン銀、及びこれらの塩及びエステルからなる群から選択される。
【0028】
もう一つの態様によれば、該第二の薬理的に活性な薬剤は、他の抗-真菌薬である。適切には、該抗-真菌薬は、エキノカンジン類(echinocandins)、例えばアニデュラフニン(anidulafunin)、カスポフンギン(caspofungin)及びミカフンギン(micafungin);ポリエン類、例えばアンホテリシンB、カンジシジン、フィリピン、フンギクロミン、ハチマイシン、ハマイシン、ルセンソマイシン(ルシマイシン)、メパルトリシン、ナタマイシン、ナイスタチン、ペシロシン、ペリマイシン;アリルアミン類、例えばブテナフィン、ナフチフィン及びテルビナフィン;イミダゾール類、例えばビフォナゾール、ブトコナゾール、クロルミナゾール、クロコナゾール(cloconazole)、クロトリマゾール、エコナゾール、エニルコナゾール、フェンチコナゾール、フルトリマゾール、イソコナゾール、ケトコナゾール、ラノコナゾール、ミコナゾール、ネチコナゾール、オモコナゾール、オキシコナゾールニトレート、セルタコナゾール、スルコナゾール及びチオコナゾール;チオカルバメート類、例えばリラナフタート、トルシクラート、トリンダート及びトルナフェート(tolnafate);トリアゾール類、例えばプラミコナゾール(pramiconazole)、フルコナゾール、イトラコナゾール、ルリコナゾール、ポサコナゾール(posaconazole)、ラブコナゾール(ravuconazole)、サペルコナゾール、テルコナゾール及びボリコナゾール;及びその他の抗-真菌薬、例えばアクリソルシン、アモロルフィン、ビフェナミン、ブロモサリチルクロルアニリド、ブクロサミド、プロピオン酸カルシウム、クロルフェネシン、シクロピロクス、クロキシキン、コパラフィネート(coparaffinate)、エキサラミド、フルシトシン、ハロプロジン、ヘキセチジン、ロフルカルバン、ニフラテル、ヨウ化カリウム、プロピオン酸、ピリチオン(pyrithione)、サリチルアニリド、プロピオン酸ナトリウム、スルベンチン、テノニトロゾール、トリアセチン、ウンデシレン酸、プロピオン酸亜鉛、グリセオフルビン、オリゴマイシン、ピロールニトリン、シッカニン、ビリジアン(viridian)、及びこれらの塩及びエステルからなる群から選択される。
【0029】
更に別の態様によれば、該第二の薬理的に活性な薬剤は、コルチコステロイドである。適切な該コルチコステロイドは、アルクロメタゾン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、クロベタゾール、クロベタゾン、コルチゾン、デソニド、デスオキシメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、フルクロロロン、フルメタゾン、フルオシノロン、フルオシノニド、フルオコルチンブチル、フルオコルトロン、フルプレドニデン、フルランドレノリド、フルランドレノロン、フルチカゾン、ハルシノニド、ハロベタゾール(halobetasol)、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニソロン、モメタゾン、プレドニソン、トリアムシノロンアセトニド、プレドニカルバート、及びこれらの塩及びエステルからなる群から選択される。
もう一つの態様において、該第二の薬理的に活性な薬剤は、ビタミンD類似体である。適当な該ビタミンD類似体は、カルシジオール(calcidiol)、カルシトリオール、カルシポトリエン(calcipotriene)、パリカルシトール(paricalcitol)、22-オキサコルシトリオール(oxacolcitriol)、ジヒドロタキステロール、カルシフェロール、及びこれらの塩及びエステルからなる群から選択される。
該第二の薬理的に活性な薬剤は、治療上有効な量で存在する。一態様によれば、該第二の薬理的に活性な薬剤は、約0.005質量%〜約15質量%なる範囲の量で存在する。
【0030】
その他の成分
本発明の上記局所的に適用される薬理組成物は、当分野において公知の付随的な賦形剤を含むことができる。適切には、該賦形剤は、水、pH調節剤、湿潤剤、フィルムエキステンダー、キレート化剤、酸化防止剤、保存剤、可塑剤、浸透促進剤、香料、着色剤、界面活性剤、エモリエント、ゲル化剤、ラジカル掃去剤、又はこれらの組合せ若しくは混合物から選択される。
【0031】
pH調節剤
本発明の局所的に適用される薬理組成物は、更にpH調節剤を含むことができる。一態様において、該pH調節剤は、塩基である。適当なpH調節性塩基は、アミン、重炭酸塩、炭酸塩、及び水酸化物、例えばアルカリ又はアルカリ土類金属水酸化物、並びに遷移金属水酸化物を含む。もう一つの態様において、該pH調節剤は、酸、酸塩又はこれらの混合物である。更に別の態様によれば、該pH調節剤は、緩衝剤である。適切には、該緩衝剤は、クエン酸塩/クエン酸、酢酸塩/酢酸、リン酸塩/リン酸、蟻酸塩/蟻酸、プロピオン酸塩/プロピオン酸、乳酸塩/乳酸、炭酸塩/炭酸、アンモニウム/アンモニア、エデト酸塩/エデト酸、又はこれらの組合せ若しくは混合物から選択される。
一態様によれば、該pH調節剤は、約0.01質量%〜約10質量%なる範囲の量で存在する。もう一つの態様によれば、該pH調節剤は、前記組成物のpHを、約4〜約6.5なる範囲の値に調節するのに十分な量で存在する。
【0032】
湿潤剤
本発明の局所的に適用される薬理組成物は、更に湿潤剤を含むことができる。この点に関連して有用な湿潤剤の非-限定的な例は、グリセロール、ソルビトール、マルチトール、ポリデキストロース、トリアセチン、プロピレングリコール、PEG-20ステアレート、PEG-40ステアレート、PEG-150ステアレート、PEG-150ジステアレート及びPEG-100ステアレートを含むポリエチレングリコール(PEG)エステル、ラウレス-12、セテアレス-20、ラウレス-23、グリセレス-7、グリセレス-12、グリセレス-26、PEG-4、PEG-6、PEG-8、PEG-12、PEG-32、PEG-75、PEG-150を含むアルコキシル化アルコール、又はこれらの組合せ若しくは混合物を含む。一態様において、該湿潤剤は、グリセロールである。
一態様において、本発明の組成物は、約0.1質量%〜約10質量%なる範囲の量で湿潤剤を含む。更なる態様において、本発明の組成物は、約0.5質量%〜約5質量%なる範囲の量で湿潤剤を含む。
【0033】
フィルムエキステンダー
本発明の局所的に適用される薬理組成物は、更に少なくとも1種のフィルムエキステンダーをも含むことができる。この点に関連して有用なフィルムエキステンダーの非-限定的な例は、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、硫酸カルシウム、コロイド状二酸化ケイ素、カオリン、炭酸マグネシウム、珪酸マグネシウム、ナトリウムステアリルフマレート、タルク、二酸化チタン、酸化亜鉛、又はこれらの組合せ若しくは混合物を含む。一態様において、該フィルムエキステンダーは、約0.1質量%〜約2質量%なる範囲の量で存在する。
【0034】
キレート化剤
本発明の局所的に適用される薬理組成物は、更にキレート化剤をも含むことができる。この点に関連して有用なキレート化剤の非-限定的な例は、クエン酸、イソプロピル(モノ)シトレート、ステアリルシトレート、レシチンシトレート、グルコン酸、酒石酸、シュウ酸、リン酸、テトラピロリン酸ナトリウム、モノリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸カルシウム、ソルビトール、グリシン(アミノ酢酸)、メチルグルカミン、トリエタノールアミン(トロラミン)、EDTA、DEG(ジヒドロキシエチルグリシン)、DPTA(ジエチレントリアミン五酢酸)、NTA(ニトリロ三酢酸)、HEDTA(N-(ヒドロキシエチル)-エチレントリアミン三酢酸)、アミノカルボキシレート、ジメルカプロール(BAL)、ラリキシン酸(マルトール)、一座配位子(フッ化物及びシアナイドイオン)、ジフェニルチオカルバゾン、o-フェナントロリン、バリウムジフェニルアミンスルホネート、ナトリウムグルコヘプトネート、8-ヒドロキシキノリン、オレフィン錯体(例えば、ジシクロペンタジエニル鉄)、ポルフィリン、ホスホネート、又はこれらの組合せ若しくは混合物を含む。一態様において、該キレート化剤は、約0.1質量%〜約1質量%なる範囲の量で存在する。
【0035】
酸化防止剤
本発明の局所的に適用される薬理組成物は、更に酸化防止剤をも含むことができる。本発明において該酸化防止剤として機能し得る物質の非-限定的な例は、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、トコフェロール、プロピルガレート、ビタミンE TPGS、あるいはこれらの組合せ若しくは混合物を含む。一態様において、本発明の組成物は、約0.001質量%〜約1質量%なる範囲の量で、酸化防止剤を含む。
【0036】
保存剤
本発明の局所的に適用される薬理組成物は、更に保存剤をも含むことができる。本発明において該保存剤として機能し得る物質の非-限定的な例は、ベンジルアルコール、ジアゾリジニルウレア、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、フェノキシエタノール、ソルビン酸、安息香酸、これらの塩、又はこれらの組合せ若しくは混合物を含む。一態様において、本発明の組成物は、約0.01質量%〜約2質量%なる範囲の量で、保存剤を含む。
【0037】
治療法
本発明による局所的に適用される組成物は、特定の皮膚糸状菌:トリコフィトンルブルム(Trichophyton rubrum)による感染症を治療する上で、特に効果的である。一態様によれば、本発明は、トリコフィトンルブルムの感染により引起される、真菌感染状態の治療方法に係る。本発明の組成物は、またトリコフィトンメンタグロフィテス(Trichophyton mentagrophytes)及びエピデルモフィトンフロッコーサム(Epidermophyton floccosum)によって引起される真菌感染状態の治療においても効果的である。
一態様において、該真菌感染状態は、爪真菌症、足白癬(アスリートの足)、頑癬(股間)、須毛白癬(恥毛)、頭部白癬(頭皮)、体部白癬(身体)、手部白癬(手)及び皮膚糸状菌症(タムシ)からなる群から選択される。
一態様によれば、該真菌感染状態は、爪真菌症である。
【0038】
組合せ療法
もう一つの態様において、本発明の局所的に適用される組成物は、該真菌感染状態の治療を増強するための、追加の(別の)投与剤形と組合せて使用することができる。この追加の投与剤形は、本発明の組成物と同時に、即ち併用状態で、適用又は摂取することができる。あるいはまた、本発明の組成物及び該追加の投与剤形の一方を午前中に投与し、かつ他方を午後に投与する(あるいはその逆の順序で投与する)。
一態様において、本発明の局所的に投与される組成物は、抗-真菌薬を含有する別の経口投与される組成物との組合せとして、投与することができ、ここで該抗-真菌薬は、本明細書に記載した上記一般式Iで表されるピリミドン誘導体と同一であっても、異なっていてもよい。一態様において、該経口投与される組成物中の該抗-真菌薬は、テルビナフィン、プラミコナゾール(pramiconazole)、イトラコナゾール、グリセオフルビン又はフルコナゾールから選択される。もう一つの態様において、該経口投与される組成物中の該抗-真菌薬は、前記一般式Iで表されるピリミドン誘導体である。更なる態様によれば、該経口投与される組成物中の該一般式Iで表されるピリミドン誘導体は、アルバコナゾールである。
【0039】
もう一つの態様によれば、本発明の局所的に適用される薬理組成物は、メンテナンス療法薬として使用される。このメンテナンス療法は、主治療に伴う、該真菌感染状態の症状の実質的な又は完全な軽減の後に開始される。
一態様において、該メンテナンス療法用の組成物は、前記一般式Iで表されるピリミドン誘導体を含有するネイルラッカーである。更なる態様によれば、該一般式Iで表されるピリミドン誘導体は、アルバコナゾールである。
本発明の一態様は、局所的に投与するためのネイルラッカー組成物であり、該組成物は、治療上有効な量のアルバコナゾール及び少なくとも1種の揮発性溶媒及びフィルム形成成分、場合により少なくとも1種の追加の製薬上許容される活性薬剤を含む。
もう一つの態様において、該組成物は、少なくとも1種の揮発性溶媒を含み、この後者は、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール、ブトキシエタノール、アセトン、酢酸エチル及び酢酸ブチルからなる群から選択される。
【0040】
もう一つの態様において、該少なくとも1種の揮発性溶媒は、イソプロピルアルコールとエタノールとの混合物である。
もう一つの態様において、該少なくとも1種の揮発性溶媒は、酢酸エチルとエタノールとの混合物である。
他の態様において、該フィルム-形成成分は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、カーボマー、PVM/MAデカジエン架橋ポリマー、ヒドロキシプロピルグアー、オクチルアクリルアミドアクリレートコポリマー、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、アンモニオメタクリレートコポリマー、PVP/VAコポリマー、PVA、PVM/MAコポリマーのC2-C4アルキルエステル、セラック及びこれらの混合物からなる群から選択されるフィルム-形成ポリマーである。
もう一つの態様において、該フィルム-形成成分は、PVM/MAコポリマーのブチルエステルである。
【0041】
もう一つの態様において、上記局所的に適用される投与剤形に対する、上記1種又はそれ以上の追加の賦形剤は、水、pH調節剤、保湿剤、フィルムエキステンダー、キレート化剤、酸化防止剤、保存剤、可塑剤、浸透促進剤、香料、着色剤、界面活性剤、エモリエント剤、ゲル化剤、及びラジカル掃去剤からなる群から選択される。
もう一つの態様において、本発明の組成物は、抗菌薬、抗-真菌薬、コルチコステロイド及びビタミンD類似体からなる群から選択される、少なくとも1種の第二の製薬的に許容される活性薬剤を含むことができる。
【0042】
定義
本明細書において使用する「投与される」、「投与する」及び「投与」なる用語は、健全な医療実務において、治療効果をもたらすように、患者に該組成物を放出する、任意の方法に対して使用される。
本明細書の上記記載及び至る部分において使用される「一つの(a)」及び「一つの(an)」なる用語は、上記列挙された成分の「1種又はそれ以上」を意味するものとする。当業者にとっては、単数の使用が、特に述べられていない限り、複数をも含むものであることは、明白であろう。
本件特許出願全体を通じて、様々な態様の説明において、「含む」なる言葉を使用しているが、当業者は、幾つかの特定の例において、一態様が、別途「本質的に…からなる」あるいは「からなる」なる用語を用いて説明できることを理解するであろう。
【0043】
本明細書において使用する、活性薬剤又は成分、あるいは薬理的に活性な薬剤又は成分の「有効量」又は「治療上有効な量」なる句は、投与された際に所定の治療効果を果たすのに十分な、該薬理的に活性な薬剤の量を意味する。該薬理的に活性な薬剤の治療上有効な量により、上記真菌感染状態の治療が期待でき、期待されるものと思われ、又は期待される。該薬理的に活性な薬剤の有効量は、治療すべき特定の状態、該状態の重篤度、該治療の継続期間、及び使用される該組成物の特定の成分に応じて変動するであろう。
本明細書で使用する「マトリックス」なる用語は、上記架橋ポリマー構造内の空所を意味する。この空所は、また「貯槽」としても機能し、そこに投与前の該活性成分又は複数の活性成分が存在する。
【0044】
本明細書で使用する「これらの(その)塩」なる用語は、製薬上許容され、またその親化合物の所望の薬理的活性を持つ塩を意味する。このような塩は、以下に列挙するものを含む:(1) 酸、例えば酢酸、安息香酸、クエン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グルタル酸、グリコール酸、塩酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、リン酸、プロピオン酸、ソルビン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、天然産及び合成により誘導されたアミノ酸、及びこれらの混合物等と共に生成される酸付加塩類;あるいは(2) 上記親化合物中に存在する酸性プロトンが、(i) 金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、又はアルミニウムイオンによって置換された場合、又は(ii) 有機塩基としてのプロトネート、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン及びN-メチルグルカミン等によって置換された場合に形成される塩。
本明細書で使用する、特定の成分を「実質的に含まない」なる用語は、該特定の成分を約1%未満の量で含む組成物を意味する。
【0045】
本明細書で使用する、状態を「治療」又は「治療する」なる用語は、該状態の少なくとも一つの症状を軽減すること、該症状の重篤度における軽減、又は該症状の進行を遅延させ、予防し又は抑制することを包含する。治療とは、必ずしも該状態を完全に治癒することを意味するものではない。ここで必要とされる有用な組成物は、状態の重篤度を低下させ、これに関連する症状の重篤度を軽減し、患者の生活の質を改善し、あるいは状態の発症を遅延、予防若しくは抑制するに過ぎない。
本発明の教示をより十分に理解し、また本発明の範囲を何ら限定しないために、特に述べない限り、量、百分率又は割合を表すあらゆる数値、及び本明細書及び添付した特許請求の範囲において使用するその他の数値は、全ての例において、「約」なる用語によって修飾されているものとして理解すべきである。
本明細書において使用されているその他の用語は、該用語の、当分野における周知の意味によって規定される意味を持つ。特に述べない限り、本明細書において使用されている全ての技術用語及び科学的な用語は、本明細書において記載される発明が関与する分野における当業者が、普通に理解するものと同一の意味を持つ。
【実施例】
【0046】
以下の実施例は、本発明を例示するものであり、本発明を何ら限定することを意図するものではない。
生物学的実施例
微量希釈アッセイ
トリコフィトンルブルム(Trichophyton rubrum)、トリコフィトンメンタグロフィテス(Trichophyton mentagrophytes)及びエピデルモフィトンフロッコーサム(Epidermophyton floccosum)の多数の菌株を、センターフォーメディカルマイコロジー(ユニバーシティーホスピタルズオブクリーブランド/ケースウエスタンリザーブユニバーシティー、OH州、クリーブランド)[Center for Medical Mycology (University Hospitals of Cleveland/Case Western Reserve University, Cleveland, OH)]における培養物収集機関から入手した。各皮膚糸状菌の菌株に対する、活性薬剤としてのアルバコナゾール、シクロピロックス及びテルビナフィンの最小阻害濃度(MICs)を、皮膚糸状菌に対する感受性を測定するための標準的方法としての、CLSIアンチフンガルサブコミッティー(Antifungal Subcommittee)によって承認された方法に従って測定した(Ghannoum等, J. Clin. Microbiol., 2004, 42:2977-2979)。更に、各皮膚糸状菌の菌株に対する、該活性薬剤の最小殺真菌濃度(MFCs)を、Canton等, Diagn. Microbiol. Infect. Dis., 2003, 45:203-206により示唆された改良法に従って測定した。
【0047】
以下の表1及び2は、上記皮膚糸状菌の菌株に対する上記薬剤の、夫々最小阻害濃度(μg/mL単位で表示)及び最小殺真菌濃度(μg/mL単位で表示)を示すものである。全体的に、アルバコナゾールに関するMICs及びMFCsは、シクロピロックスに関するこれら濃度よりも低く、またテルビナフィンに関するこれら濃度と類似していた。しかし、アルバコナゾールは、テルビナフィン-耐性トリコフィトンルブルム菌株に対してより効果的であった。即ち、これらのデータは、アルバコナゾールが、テルビナフィンに対して耐性のある単離体を含む、爪真菌症と関連するある範囲に渡る皮膚糸状菌の菌株に対して顕著な効能を有していることを立証している。
【0048】
【表1】

【0049】
【表2】

【0050】
爪穿孔モデル
全厚みに渡る円形爪部分(径:3.9mm)を、水で湿らせた綿ウールパッド(32℃)上に配置し、アルバコナゾールラッカー処方物を、14日間に渡り1日1回の割で塗布した。インキュベーション期間の終了時点において、個々の爪部分をペトリ皿の底部に接着させ、ドレメル(Dremel) 3891プロフェッショナルシリーズのドリルを使用して穿孔(腹側を上にして開始)した。穿孔深さを制御し、腹側、中間部及び背側領域を画成するのに利用した。微細な爪の粉末を集め、またアルバコナゾールを抽出し、かつ(局所的な適用後の)該爪を介するアルバコナゾールの浸透程度を測定するために、HPLC法(LOQ=0.012をμg/mL)を利用して、アルバコナゾールの量を測定した。
図1は、処方物3及び4(表3参照)の毎日の局所的適用後の、(A) 爪の穿孔及び(B) レセプタパッドにおけるアルバコナゾールの分布を示す図である。かなりの量のアルバコナゾールが、該爪の腹側部分並びに該レセプタパッド中に見出された。従って、上記データは、本発明の組成物を局所的に適用した場合、その活性成分(アルバコナゾール)が、皮膚糸状菌の存在する該爪部分を、かなりの程度で透過することを示している。これらのデータは、平均値±標準偏差(SD)(n=6)として提示されている。
【0051】
【表3】

(注:ガントレッツ(Gantrez)ES-425は、50%エタノール溶液として供給される。即ち、29%ガントレッツES-425は、14.5%ポリマー樹脂と等価である。即ち、処方物4は、3%のアルバコナゾール、34%の酢酸エチル、48.5%のエタノール及び14.5%のフィルム形成物質を含む組成物を表示するものである)。
【0052】
感染爪モデル
完全な厚みを持つ死体の爪部分(3mm2)の腹側部分に、真菌トリコフィトンルブルムを接種し、該爪を、25℃にて14日間に渡りインキュベートして、該真菌で感染させた。その後、アルバコナゾールラッカー(表4参照)及びペンラック(PENLACTM)(シクロピロックス)ネイルラッカー溶液を、2週間に渡り1週当たり1回の割で、該爪の背側に適用した。投薬期間の終了時点において、過剰量の処方物を、該爪の表面から除去し、該トリコフィトンルブルムの生存能力をATPの存在に基いて評価した。
【0053】
図2は、2週間に渡る1週当たり1回の割で、抗-真菌性ラッカー処方物を局所的に適用した後の、真菌細胞の生存能力(ATPの放出量によって測定された)の比較を示す図である。感染されたコントロール(トリコフィトンルブルム-感染、治療なし)及び未感染のコントロール(バックグラウンド)が、並行して含まれていた。シクロピロックスは、軽度に有効であるに過ぎなかった。他方、アルバコナゾールラッカーは、高度に有効であり、真菌細胞の生存能力を、バックグラウンドレベル程度まで減じた。これらのデータは、局所的な適用後に、アルバコナゾールが、トリコフィトンルブルムに感染した全厚に及ぶ人の爪から該真菌を撲滅する上で、シクロピロックスに比して、著しい効能を持つことを示唆している。これらのデータは、平均値±SEM(n=6)として提示されている。
処方例
以下の例は、本発明のネイルラッカー組成物を例示するものであり、各成分の量は質量基準の百分率(w/w%)で与えられている。このネイルラッカーは、爪真菌症の主な治療において、あるいは維持療法として利用するのに適したものである。
【0054】
【表4】

(注:ガントレッツ(Gantrez)ES-425は、50%エタノール溶液として供給される。即ち、29%ガントレッツES-425は、14.5%ポリマー樹脂と等価である。即ち、この組成物は、3%のアルバコナゾール、31%の酢酸エチル、51.5%のエタノール及び14.5%のフィルム形成物質を含むものである)。
【0055】
該組成物は、混合しつつ、エタノールに該活性成分を添加することにより調製した。次いで、酢酸エチルを、連続的に混合しつつ添加した。次に、該ガントレッツ(Gantrez)ES-425を添加し、一方で得られる組成物が透明となるまで混合した。あるいはまた、該エタノール、酢酸エチル及びガントレッツES-425を、得られる組成物が透明となるまで混合した。次いで、該活性成分を、該組成物が透明となるまで混合しつつ、添加した。
以上、本発明の特別な態様を説明してきたが、当業者には、本発明がこれら特定の態様に限定されるものではなく、本発明の様々な変更が、本発明の範囲を逸脱することなしに行い得ることは明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の真菌感染状態を治療し又は予防する方法であって、治療上有効な量の、ラセミ体、ジアステレオマー混合物又は純粋なエナンチオマーとしての、以下の一般式Iで表されるピリミドン誘導体、及び製薬的に許容される担体又はその希釈剤、及び場合により第二の製薬的に活性な薬剤を含む、製薬的に許容される組成物を含有する、ネイルラッカー、エナメル、塗料、溶液、ローション、クリーム、ゲル、エーロゾルフォーム及びエーロゾルスプレイ形状からなる群から選択される調剤を、該患者に局所的に適用する工程を含む、前記方法:
【化1】

ここで、Arは、フェニル基又は1種又はそれ以上のハロゲン原子及び/又はトリフルオロメチル基で置換されたフェニル基を表し;
R1は、C1-C4アルキル基であり;
R2は、水素原子又はC1-C4アルキル基であり;あるいはR1は、R2と共にC2-C4ポリメチレン鎖を形成し;
R3は、水素原子、C1-C4アルキル基、C1-C4ハロアルキル基、又はシクロプロピル基を表し;
Aは、ベンゼンリング又は5-又は6-員のヘテロ環式リングを表し、ここで1種又はそれ以上の該ヘテロ環式リング構成原子は、N、O及びSからなる群から選択され、該ヘテロ環式リングは、場合により、ベンゼンリング、又はN、O及びSから選択される1種又はそれ以上のヘテロ原子を含む5-又は6-員のヘテロ環式リングと融合することができ、かつ該Aは無置換であり得、又は該リング上の任意の位置において、1、2、3又は4個の基Wを持つことができ;
該基Wは、C1-C4アルキル基、C3-C6シクロアルキル基、C1-C4ハロアルキル基、C1-C4アルコキシ基、C1-C4ハロアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、ベンジルオキシ基、ヒドロキシメチル基、基:-NR4R5、基:-CONR4R5、基:-CH2-OCO-R4、基:-CO-R4、基:-COO-R4、基:-SOzR6、基:-C(=NR4)NHR7、基:-C(=NR7)OR4、また更には該基Wの一つは、1-ピロリル基、1-イミダゾリル基、1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル基、5-テトラゾリル基(場合によりC1-C4アルキル基で置換されている)、1-ピロリジニル基、4-モルホリニル基、4-モルホリニル-N-オキサイド基、基:-X-R8、又は以下の一般式(i)〜(iv)で表される基:
【化2】

[ここで、R4は、水素原子、C1-C4アルキル基、C3-C6シクロアルキル基、又はアリールC1-4アルキル基を表し、ここで該アリール基は、フェニル基、又は1種又はそれ以上のC1-C4アルキル基、ハロゲン原子、C1-C4ハロアルキル基、C1-C4アルコキシ基又はC1-C4ハロアルコキシ基で置換されているフェニル基を表し;
R5は、水素原子、C1-C4アルキル基、C3-C6シクロアルキル基、基:-COR4又は基:-COCF3を表し;
R6は、C1-C4アルキル基を表し;
zは、0、1又は2を表し;
R7は、水素原子、-CONH2、-COMe、-CN、-SO2NHR4、-SO2R4、-OR4、-OCOR4又は(C1-4アルキル)-NH2を表し;
Xは、単結合、-O-、-SOz、-NR4-、又はC(=O)-を表し;
R8は、場合により1又はそれ以上の基:R9により置換されたフェニル基を表し;
R9は、C1-C4アルキル基、C3-C6シクロアルキル基、C1-C4ハロアルキル基、C1-C4アルコキシ基、C1-C4ハロアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、基:-NR4R5、基:-CONR4R5、基:-CH2-OCO-R4、基:-CO-R4、基:-COO-R4、基:-SOzR6、基:-C(=NR4)NHR7基:-C(=NR7)OR4、式(iv)で表される基を表し、又はR9は、フェニル基(場合によりC1-C4アルキル基、C1-C4ハロアルキル基、C1-C4アルコキシ基、C1-C4ハロアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基で置換されている)を表し;
R10は、水素原子又はメチル基を表し;
R11は水素原子、イソプロピル基、シクロペンチル基、シクロプロピル基、2-ブチル基、3-ペンチル基、3-ヒドロキシ-2-ブチル基、又は2-ヒドロキシ-3-ペンチル基を表し;
mは、0又は1を表し;
R12は、ハロゲン原子、C1-C4ハロアルキル基、C1-C4ハロアルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基又は式(i)で表される基を表し;
Yは、-CH2-又はC(=O)-を表し;及び
Zは、NH又はOを表す]
及びこれらの塩及びその溶媒和物を表す。
【請求項2】
前記一般式Iで表される前記ピリミドン誘導体が、以下の化合物からなる群から選択される請求項1記載の方法:
(a) (1R,2R)-7-クロロ-3-[2-(2,4-ジフルオロフェニル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロピル]キナゾリン-4(3H)-オン;
(b) (1R,2R)-3-[2-(2,4-ジフルオロフェニル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロピル]-7-トリフルオロメチルキナゾリン-4(3H)-オン;
(c) (1R,2R)-3-[2-(2,4-ジフルオロフェニル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロピル]-7-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)キナゾリン-4(3H)-オン;
(d) (1R,2R)-6-(4-クロロフェニル)-3-[2-(2,4-ジフルオロフェニル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-プロピル]-チエノ[3,2-d]ピリミジン-4(3H)-オン;
(e) (1R,2R)-4-[[2-(2,4-ジフルオロフェニル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-プロピル]-4-オキソ-3,4-ジヒドロチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-イル]ベンゾニトリル;
(f) (1R,2R)-7-(4-クロロフェノキシ)-3-[2-(2,4-ジフルオロフェニル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-プロピル]-キナゾリン-4(3H)-オン;
(g) (1R,2R)-3-[2-(2,4-ジフルオロフェニル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロピル]-6-[4-イミノ(メトキシアミノ)メチル]フェニル]チエノ[3,2-d]ピリミジン-4(3H)-オン;
(h) (1R,2R)-7-ブロモ-3-[2-(2,4-ジフルオロフェニル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロピル]-キナゾリン-4(3H)-オン;
(i) (1R,2R)-3-[2-(2,4-ジフルオロフェニル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロピル]-7-ヨードキナゾリン-4(3H)-オン;
(j) (1R,2R)-3-[2-(2,4-ジフルオロフェニル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロピル]-6-(4-フルオロフェニル)-チエノ[3,2-d]ピリミジン-4(3H)-オン;
(k) (1R,2R)-3-[2-(2,4-ジフルオロフェニル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロピル]-6-(4-メチルスルホニル)フェニル]-チエノ[3,2-d]ピリミジン-4(3H)-オン;
(l) (1R,2R)-6-(4-フルオロフェニル)-3-[2-(2-フルオロフェニル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロピル]-チエノ[3,2-d]ピリミジン-4(3H)-オン;及び
(m) (1R,2R)-7-クロロ-3-[2-(2-フルオロフェニル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロピル]-キナゾリン-4(3H)-オン
及びこれらの塩並びにこれらの溶媒和物。
【請求項3】
前記一般式Iで表される前記ピリミドン誘導体が、(1R,2R)-7-クロロ-3-[2-(2,4-ジフルオロフェニル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロピル]キナゾリン-4(3H)-オン、製薬的に許容されるその塩、又はその溶媒和物である、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記一般式Iで表される前記ピリミドン誘導体が、約0.1質量%〜約20質量%なる範囲の量で存在する、請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記一般式Iで表される前記ピリミドン誘導体が、約1質量%〜約10質量%なる範囲の量で存在する、請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記一般式Iで表される前記ピリミドン誘導体が、約3質量%なる量で存在する、請求項1〜5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記投与剤形がネイルラッカーである、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記ネイルラッカーが、少なくとも1種の揮発性溶媒及びフィルム形成成分を含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1種の揮発性溶媒が、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール、ブトキシエタノール、アセトン、エチルアセテート及びブチルアセテートからなる群から選択される、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1種の揮発性溶媒が、イソプロピルアルコールとエタノールとの混合物である、請求項8又は9記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1種の揮発性溶媒が、エチルアセテートとエタノールとの混合物である、請求項8又は9記載の方法。
【請求項12】
前記フィルム形成成分が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、カーボマー、PVM/MAデカジエンクロスポリマー、ヒドロキシプロピルグアー、オクチルアクリルアミドアクリレートコポリマー、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、アンモニオメタクリレートコポリマー、PVP/VAコポリマー、PVA、PVM/MAコポリマーのC2-C4アルキルエステル、セラック及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項8〜11の何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記フィルム形成成分が、PVM/MAコポリマーのブチルエステルである、請求項8〜12の何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記組成物が、更に、水、pH調節剤、保湿剤、フィルムエキステンダー、キレート化剤、酸化防止剤、保存剤、可塑剤、浸透促進剤、香料、着色剤、界面活性剤、エモリエント剤、ゲル化剤、及びラジカル掃去剤からなる群から選択される、1種又はそれ以上の賦形剤をも含む、請求項1〜13の何れか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記第二の製薬的に活性な薬剤が、抗菌剤、抗真菌薬、コルチコステロイド及びビタミンD類似体からなる群から選択される、請求項1〜14の何れか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記第二の製薬的に活性な薬剤が、抗真菌薬である、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記真菌感染状態が、トリコフィトンルブルム(Trichophyton rubrum)感染により引き起こされた真菌感染状態である、請求項1記載の方法。
【請求項18】
前記真菌感染状態が、爪真菌症、足白癬、頑癬、須毛白癬、頭部白癬、体部白癬、手部白癬及び皮膚糸状菌症からなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項19】
前記真菌感染状態が、爪真菌症である、請求項20記載の方法。
【請求項20】
前記式(I)の化合物が、アルバコナゾールである、請求項7記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−528189(P2012−528189A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513245(P2012−513245)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/036331
【国際公開番号】WO2010/138674
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(511289378)パラウ ファルマ ソシエテ アノニム (1)
【Fターム(参考)】