説明

アライメントシステム

【課題】レーザ光の集光位置を安定化する。
【解決手段】このアライメントシステムは、ガイドレーザ光を出力するガイドレーザ装置と、レーザ光及びガイドレーザ光の少なくとも一方の進行方向を調節する調節機構と、レーザ光及びガイドレーザ光の進行方向を実質的に一致させる光路結合部と、光路結合部の下流側に配置され、レーザ光及びガイドレーザ光を検出する第1の光検出部と、第1の光検出部による検出結果に基づいて、調節機構を制御する第1の制御部と、光路結合部の下流側に配置され、レーザ光及びガイドレーザ光の進行方向を調節するビームステアリング機構と、ビームステアリング機構の下流側に配置され、少なくともガイドレーザ光を検出する第2の光検出部と、第2の光検出部による検出結果に基づいて、ビームステアリング機構を制御する第2の制御部と、を備えてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザ装置のためのアライメントシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体プロセスの微細化に伴って、半導体プロセスの光リソグラフィにおける転写パターンの微細化が急速に進展している。次世代においては、70nm〜45nmの微細加工、さらには32nm以下の微細加工が要求されるようになる。このため、例えば32nm以下の微細加工の要求に応えるべく、波長13nm程度の極端紫外(EUV)光を生成するための装置と縮小投影反射光学系とを組み合わせた露光装置の開発が期待されている。
【0003】
EUV光生成装置としては、ターゲット物質にレーザ光を照射することによって生成されるプラズマが用いられるLPP(Laser Produced Plasma)式の装置と、放電によって生成されるプラズマが用いられるDPP(Discharge Produced Plasma)式の装置と、シンクロトロン放射光が用いられるSR(Synchrotron Radiation)式の装置との3種類の装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0127191号明細書
【概要】
【0005】
本開示の1つの観点に係るアライメントシステムは、ガイドレーザ光を出力するガイドレーザ装置と、レーザ光及びガイドレーザ光の少なくとも一方の進行方向を調節する調節機構と、レーザ光及びガイドレーザ光の進行方向を実質的に一致させる光路結合部と、光路結合部の下流側に配置され、レーザ光及びガイドレーザ光を検出する第1の光検出部と、第1の光検出部による検出結果に基づいて、調節機構を制御する第1の制御部と、光路結合部の下流側に配置され、レーザ光及びガイドレーザ光の進行方向を調節するビームステアリング機構と、ビームステアリング機構の下流側に配置され、少なくともガイドレーザ光を検出する第2の光検出部と、第2の光検出部による検出結果に基づいて、ビームステアリング機構を制御する第2の制御部と、を備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本開示のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の図面を参照して以下に説明する。
【図1】図1は、例示的なLPP式のEUV光生成システムの構成を概略的に示す。
【図2】図2は、第1の実施形態に係るEUV光生成システムの一部断面図である。
【図3】図3は、第1の実施形態における第1制御部の動作を示すフローチャートである。
【図4】図4は、第1の実施形態における第2制御部の動作を示すフローチャートである。
【図5】図5は、第2の実施形態に係るEUV光生成システムの一部断面図である。
【図6】図6は、第3の実施形態に係るEUV光生成システムの一部断面図である。
【図7】図7は、第4の実施形態に係るEUV光生成システムの一部断面図である。
【図8】図8は、第5の実施形態に係るEUV光生成システムの一部断面図である。
【図9】図9は、第6の実施形態に係るEUV光生成システムにおけるレーザ光進行方向制御部の一部を概略的に示す。
【図10A】図10Aは、上述の実施形態に係るEUV光生成システムにおける検出器の第1の例を概略的に示す。
【図10B】図10Bは、検出器の第1の例の変形例を概略的に示す。
【図10C】図10Cは、検出器の第1の例の他の変形例を概略的に示す。
【図11A】図11Aは、上述の実施形態に係るEUV光生成システムにおける検出器の第2の例を概略的に示す。
【図11B】図11Bは、検出器の第2の例の変形例を概略的に示す。
【図12A】図12Aは、上述の実施形態に係るEUV光生成システムにおける検出器の第3の例を概略的に示す。
【図12B】図12Bは、検出器の第3の例の変形例を概略的に示す。
【図13】図13は、上述の実施形態に係るEUV光生成システムにおける検出器の第4の例を概略的に示す。
【図14】図14は、上述の実施形態に係るEUV光生成システムにおける検出器の第5の例を概略的に示す。
【図15】図15は、レーザ光進行方向調節機構の動作を説明するための図である。
【図16】図16は、レーザ光進行方向調節機構におけるアクチュエータ部の具体例を示す。
【実施形態】
【0007】
<内容>
1.概要
2.用語の説明
3.極端紫外光生成システムの全体説明
3.1 構成
3.2 動作
4.アライメント機構を含むEUV光生成システム
4.1 構成
4.2 動作
5.プリパルスレーザ光が用いられるEUV光生成システム(1)
6.プリパルスレーザ光が用いられるEUV光生成システム(2)
7.高速のアライメント機構を含むEUV光生成システム
8.ガイドレーザ光の調節機構を含むEUV光生成システム
9.レーザ増幅器の配置
10.検出器
10.1 2つの異なる位置におけるビームプロファイルを検出する例
10.2 ビームプロファイルとポインティングを検出する例
10.3 シャックハルトマン波面センサを使用する例
10.4 光位置検出器を使用する例
10.5 第1〜第4の例の組合せ
11.補足説明
11.1 調節機構の説明
11.2 アクチュエータ部の説明
【0008】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。以下に説明される実施形態は、本開示のいくつかの例を示すものであって、本開示の内容を限定するものではない。また、各実施形態で説明される構成及び動作の全てが本開示の構成及び動作として必須であるとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
【0009】
1.概要
LPP式のEUV光生成装置では、レーザ装置から出力されるレーザ光を、チャンバ内のターゲット物質に集光して照射することにより、ターゲット物質をプラズマ化してもよい。プラズマからは、EUV光を含む光が放射されてもよい。放射された光のうちEUV光は、チャンバ内に配置されたEUV集光ミラーによって集光され、露光装置等の外部装置に出力されてもよい。レーザ装置からチャンバ内に至るレーザ光路を構成する要素は、レーザ装置の振動、レーザ装置とチャンバとの間におけるビームステアリング機構の振動、温度変化等により、その配置、姿勢、形状等に変化が生じる場合がある。その結果、レーザ光路が変動する場合がある。
【0010】
本開示の1つの観点によれば、レーザ装置から出力されるレーザ光とは別にガイドレーザ光を出力し、レーザ光及びガイドレーザ光の光路を一致させて、レーザ光及びガイドレーザ光をビームステアリング機構に入射させてもよい。そして、ビームステアリング機構の下流側においてガイドレーザ光を検出し、検出結果をビームステアリング機構にフィードバックすることにより、レーザ光の集光位置を安定化させてもよい。また、レーザ光が出力されていないときでも、ガイドレーザ光を検出してビームステアリング機構を制御することにより、レーザ光の出力再開時における集光位置を安定化させてもよい。
【0011】
2.用語の説明
本願において使用される幾つかの用語を以下に定義する。「チャンバ」は、LPP式のEUV光生成装置において、プラズマの生成が行われる空間を外部から隔絶するための容器である。「ターゲット供給装置」は、EUV光を生成するために用いられる溶融スズ等のターゲット物質をドロップレットの形状でチャンバ内に供給するための装置である。「EUV集光ミラー」は、プラズマから放射されるEUV光を反射してチャンバ外に出力するためのミラーである。
【0012】
3.極端紫外光生成システムの全体説明
3.1 構成
図1に、例示的なLPP式のEUV光生成システムの構成を概略的に示す。EUV光生成装置1は、少なくとも1つのレーザ装置3と共に用いられてもよい。本願においては、EUV光生成装置1及びレーザ装置3を含むシステムを、EUV光生成システム11と称する。図1に示し、かつ、以下に詳細に説明するように、EUV光生成装置1は、チャンバ2及びターゲット供給装置26を含んでもよい。チャンバ2は、密閉可能であってもよい。ターゲット供給装置26は、例えば、チャンバ2の壁を貫通するように取り付けられてもよい。ターゲット供給装置26から供給されるターゲット物質の材料は、スズ、テルビウム、ガドリニウム、リチウム、キセノン、又は、それらの内のいずれか2つ以上の組合せを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0013】
チャンバ2の壁には、少なくとも1つの貫通孔が設けられてもよい。その貫通孔には、ウインドウ21が設けられてもよく、ウインドウ21をパルスレーザ光32が透過してもよい。チャンバ2の内部には、例えば、回転楕円面形状の反射面を有するEUV集光ミラー23が配置されてもよい。EUV集光ミラー23は、第1及び第2の焦点を有し得る。EUV集光ミラー23の表面には、例えば、モリブデンとシリコンとが交互に積層された多層反射膜が形成されてもよい。EUV集光ミラー23は、例えば、その第1の焦点が、プラズマ生成領域25に位置し、その第2の焦点が、中間集光点(IF)292に位置するように配置されるのが好ましい。EUV集光ミラー23の中央部には、パルスレーザ光33を通過させるための貫通孔24が設けられてもよい。
【0014】
EUV光生成装置1は、EUV光生成制御部5及びターゲットセンサ4をさらに含んでもよい。ターゲットセンサ4は、撮像機能を有してもよく、ターゲットの存在、軌道、位置、速度等を検出してもよい。
【0015】
さらに、EUV光生成装置1は、チャンバ2の内部と露光装置6の内部とを連通させる接続部29を含んでもよい。接続部29内部には、アパーチャが形成された壁291が設けられてもよい。壁291は、そのアパーチャがEUV集光ミラー23の第2の焦点に位置するように配置されるのが好ましい。
【0016】
さらに、EUV光生成装置1は、レーザ光進行方向制御部34、レーザ光集光ミラー22、ターゲット27を回収するためのターゲット回収部28等を含んでもよい。レーザ光進行方向制御部34は、レーザ光の進行方向を規定するための光学系と、この光学系の配置、姿勢等を調節するためのアクチュエータとを備えてもよい。
【0017】
3.2 動作
図1を参照に、レーザ装置3から出力されたパルスレーザ光31は、レーザ光進行方向制御部34を経て、パルスレーザ光32としてウインドウ21を透過して、チャンバ2内に入射してもよい。パルスレーザ光32は、少なくとも1つのレーザ光路に沿ってチャンバ2内に進み、レーザ光集光ミラー22で反射されて、パルスレーザ光33として少なくとも1つのターゲット27に照射されてもよい。
【0018】
ターゲット供給装置26は、ターゲット27をチャンバ2内のプラズマ生成領域25に向けて出力するよう構成されてもよい。ターゲット27には、パルスレーザ光33に含まれる少なくとも1つのパルスが照射されてもよい。パルスレーザ光33が照射されたターゲット27はプラズマ化し、そのプラズマから放射光251が放射され得る。放射光251に含まれるEUV光252は、EUV集光ミラー23によって選択的に反射されてもよい。EUV集光ミラー23によって反射されたEUV光252は、中間集光点292を通って露光装置6に出力されてもよい。なお、1つのターゲット27に、パルスレーザ光33に含まれる複数のパルスが照射されてもよい。
【0019】
EUV光生成制御部5は、EUV光生成システム11全体の制御を統括するよう構成されてもよい。EUV光生成制御部5は、ターゲットセンサ4によって撮像されたターゲット27のイメージデータ等を処理してもよい。また、EUV光生成制御部5は、例えば、ターゲット27を出力するタイミング、ターゲット27の出力方向等を制御するよう構成されてもよい。さらに、EUV光生成制御部5は、例えば、レーザ装置3の発振タイミング、パルスレーザ光32の進行方向、パルスレーザ光33の集光位置等を制御するよう構成されてもよい。上述の様々な制御は単なる例示に過ぎず、必要に応じて他の制御が追加されてもよい。
【0020】
4.アライメント機構を含むEUV光生成システム
4.1 構成
図2は、第1の実施形態に係るEUV光生成システムの一部断面図である。第1の実施形態においては、チャンバ2がクリーンルームフロアに配置され、レーザ装置3がサブファブフロアに配置されてもよい。サブファブフロアはクリーンルームフロアの階下に位置してもよい。レーザ装置3からチャンバ2内に供給されるレーザ光の進行方向を制御するためのレーザ光進行方向制御部34は、クリーンルームフロアとサブファブフロアとにまたがって配置されてもよい。
【0021】
サブファブフロアにおいて、レーザ光進行方向制御部34は、ガイドレーザ装置40と、レーザ光進行方向調節機構41と、光路結合器44と、光検出部45と、第1制御部48とを含んでもよい。
【0022】
ガイドレーザ装置40は、レーザ装置3から出力されるレーザ光とは別に、ガイドレーザ光を出力するよう構成されてもよい。ガイドレーザ装置40は、連続発振(CW発振)するレーザ装置でも、所定の繰り返し周波数でパルス発振するレーザ装置でもよい。ガイドレーザ光の平均出力は、レーザ装置3から出力されるレーザ光の平均出力よりも低くてもよい。さらに、ガイドレーザ光は、レーザ装置3から出力されるレーザ光とは異なる波長成分を含んでもよい。
【0023】
レーザ光進行方向調節機構41は、高反射ミラー42及び43を含んでもよい。高反射ミラー42は、ミラーホルダ421に支持され、高反射ミラー42及びミラーホルダ421は、アクチュエータ部422によってその位置及び姿勢が調節されてもよい。同様に、高反射ミラー43は、ミラーホルダ431に支持され、高反射ミラー43及びミラーホルダ431は、アクチュエータ部432によってその位置及び姿勢が調節されてもよい。高反射ミラー42及び43の位置及び姿勢が調節されることにより、レーザ装置3から出力されるレーザ光の進行方向が調節されてもよい。
【0024】
光路結合器44は、ダイクロイックミラーを含んでもよい。光路結合器44の第1の面(図中右側の面)には、レーザ装置3から出力されたレーザ光が入射してもよい。光路結合器44の第2の面(図中左側の面)には、ガイドレーザ装置40から出力されたガイドレーザ光が入射してもよい。光路結合器44は、第1の面に入射したレーザ光を透過させ、第2の面に入射したガイドレーザ光を反射してもよい。これにより、光路結合器44は、レーザ装置3から出力されたレーザ光の進行方向とガイドレーザ装置40から出力されたガイドレーザ光の進行方向とを実質的に一致させてもよい。
【0025】
光検出部45は、ビームサンプラ46と、検出器47とを含んでもよい。ビームサンプラ46は、レーザ装置3から出力されたレーザ光の一部を透過させ、他の一部をサンプル光として反射し、ガイドレーザ装置40から出力されたガイドレーザ光の一部を透過させ、他の一部をサンプル光として反射してもよい。検出器47は、サンプル光が入射する受光面を有してもよい。検出器47は、受光面におけるサンプル光の受光位置を検出し、検出結果を出力するよう構成されてもよい。
【0026】
第1制御部48は、検出器47による検出結果に基づいて、光路結合器44を透過したレーザ光の進行方向と、光路結合器44で反射されたガイドレーザ光の進行方向とのずれを検出してもよい。第1制御部48は、レーザ光の進行方向とガイドレーザ光の進行方向とのずれを低減するために、レーザ光進行方向調節機構41を制御してもよい。レーザ光進行方向調節機構41においては、図示しないアクチュエータドライバが、第1制御部48の制御信号を受けてアクチュエータ部422及び432を駆動することにより、レーザ装置3から出力されたレーザ光の進行方向を調節してもよい。また、第1制御部48は、ガイドレーザ装置40に制御信号を送信し、所望のタイミングでガイドレーザ光を出力または停止させる機能を有してもよい。
【0027】
サブファブフロアとクリーンルームフロアとにまたがる領域において、レーザ光進行方向制御部34は、ビームステアリング機構51を含んでもよい。ビームステアリング機構51は、中空の光路管510を含み、光路管510内には乾燥空気や不活性ガス等が導入されてもよい。ビームステアリング機構51は、サブファブフロアにおいてビームサンプラ46を透過したレーザ光およびガイドレーザ光を、クリーンルームフロアに導いてもよい。
【0028】
ビームステアリング機構51は、高反射ミラー52及び53を含んでもよい。高反射ミラー52は、ミラーホルダ521に支持され、高反射ミラー52及びミラーホルダ521は、アクチュエータ部522によってその位置及び姿勢が調節されてもよい。同様に、高反射ミラー53は、ミラーホルダ531に支持され、高反射ミラー53及びミラーホルダ531は、アクチュエータ部532によってその位置及び姿勢が調節されてもよい。高反射ミラー52及び53の位置及び姿勢が調節されることにより、レーザ光及びガイドレーザ光の進行方向が調節されてもよい。
【0029】
クリーンルームフロアにおいて、チャンバ2は、チャンバ基準部材10上に固定されてもよい。チャンバ基準部材10は、設置機構9によってフロア上に固定されてもよい。チャンバ基準部材10は、レーザ光進行方向制御部34の一部を構成する光学素子群や、ミラー収納容器60などがその内部に配置される空間を有してもよい。ミラー収納容器60内には、レーザ光集光ミラー220が配置されてもよい。
【0030】
クリーンルームフロアにおいて、レーザ光進行方向制御部34は、光検出部55と、第2制御部58と、高反射ミラー59及び61とを含んでもよい。光検出部55と高反射ミラー59及び61とは、チャンバ基準部材10内に配置されてもよい。
【0031】
高反射ミラー59は、ビームステアリング機構51によってクリーンルームフロアに伝播されたレーザ光及びガイドレーザ光を、光検出部55に向けて反射してもよい。
【0032】
光検出部55は、ビームスプリッタ56と、検出器57とを含んでもよい。ビームスプリッタ56は、高反射ミラー59で反射されたレーザ光を高い透過率で高反射ミラー61に向けて透過させてもよい。ビームスプリッタ56は、高反射ミラー59で反射されたガイドレーザ光を高い反射率で検出器57に向けてサンプル光として反射してもよい。検出器57は、サンプル光が入射する受光面を有してもよい。検出器57は、受光面におけるサンプル光の受光位置を検出し、検出結果を出力するよう構成されてもよい。
【0033】
第2制御部58は、検出器57による検出結果に基づいて、レーザ光がプラズマ生成領域25に集光されるように、ビームステアリング機構51を制御してもよい。ビームステアリング機構51においては、図示しないアクチュエータドライバが、第2制御部58の制御信号を受けてアクチュエータ部522及び532を駆動することにより、レーザ光及びガイドレーザ光の進行方向を調節してもよい。
【0034】
高反射ミラー61は、ビームスプリッタ56を透過したレーザ光を、ミラー収納容器60内に向けて反射してもよい。ミラー収納容器60には、ウインドウ66が設けられてもよく、高反射ミラー61において反射されたレーザ光がウインドウ66を高い透過率で透過してもよい。ウインドウ66を透過したレーザ光は、平面ミラー62において高い反射率で反射され、レーザ光集光ミラー220において高い反射率で反射されて、プラズマ生成領域25に供給されるターゲットに集光されてもよい。ターゲットは、レーザ光に照射されることによってプラズマ化し、このプラズマからEUV光が放射され得る。
【0035】
4.2 動作
図3は、第1の実施形態における第1制御部の動作を示すフローチャートである。第1制御部48は、以下の処理により、レーザ装置3から出力されたレーザ光と、ガイドレーザ装置40から出力されたガイドレーザ光とを検出し、レーザ光の進行方向とガイドレーザ光の進行方向とのずれを低減するために、レーザ光進行方向調節機構41を制御してもよい。
【0036】
まず、第1制御部48は、ガイドレーザ装置40に制御信号を送信し、ガイドレーザ光の出力を開始させてもよい(S101)。
【0037】
次に、第1制御部48は、検出器47からの検出信号を受信してもよい(S102)。第1制御部48は、検出信号に含まれるガイドレーザ光の検出値Pg1を記憶してもよい(S103)。検出値Pg1には、検出器47の受光面において受光されたガイドレーザ光の受光位置を示す値が含まれてもよい。検出値Pg1は、たとえば、検出されたガイドレーザ光の強度分布から算出された、強度分布の重心位置を示す座標情報でもよい。
【0038】
次に、第1制御部48は、EUV光生成制御部5からの信号を受信し、レーザ装置3からのレーザ光の出力が開始されたか否かを判定してもよい(S104)。レーザ光の出力が開始されていない場合(S104:NO)、上述のS102に戻ってガイドレーザ光を検出してもよい。
【0039】
レーザ光の出力が開始された場合(S104:YES)、第1制御部48は、検出器47からの検出信号を受信してもよい(S105)。第1制御部48は、検出信号に含まれるレーザ光の検出値Pm1を記憶してもよい(S106)。検出値Pm1には、検出器47の受光面において受光されたレーザ光の受光位置を示す値が含まれてもよい。検出値Pm1は、たとえば、検出されたレーザ光の強度分布から算出された、強度分布の重心位置を示す座標情報でもよい。
【0040】
次に、第1制御部48は、検出値Pg1と検出値Pm1との差ΔP1を、以下の式により算出してもよい(S107)。
ΔP1=Pm1−Pg1
検出値Pg1及び検出値Pm1が共に座標情報である場合、ΔP1はそれぞれ対応する座標における値の差を含んでもよい。
【0041】
次に、第1制御部48は、検出値Pg1と検出値Pm1との差の絶対値|ΔP1|が、所定の閾値ΔPr1以下であるか否かを判定してもよい(S108)。検出値Pg1及び検出値Pm1が共に座標情報である場合、閾値ΔPr1はそれぞれ対応する座標における値の許容範囲を含んでもよい。
【0042】
S108において、絶対値|ΔP1|が、閾値ΔPr1以下である場合(S108:YES)、処理をS109に進めてもよい。S109において、第1制御部48は、ΔP1を0に近づけるために、レーザ光進行方向調節機構41に制御信号を送信してもよい。次に、第1制御部48は、EUV光生成制御部5から信号を受信することにより、本フローチャートによる制御を中止するか否かを判定してもよい(S110)。EUV光生成制御部5から制御中止を示す信号を受信した場合(S110:YES)、処理を中止してもよい。制御中止を示す信号を受信していない場合(S110:NO)、上述のS102に戻ってガイドレーザ光を検出してもよい。
【0043】
S108において、絶対値|ΔP1|が、閾値ΔPr1を超えている場合(S108:NO)、処理をS111に進めてもよい。S111において、第1制御部48は、EUV光生成制御部5にアライメント異常を示す信号を送信してもよい。次に、S109と同様に、第1制御部48は、ΔP1を0に近づけるために、レーザ光進行方向調節機構41に制御信号を送信してもよい(S112)。その後、上述のS102に戻ってガイドレーザ光を検出してもよい。
【0044】
図4は、第1の実施形態における第2制御部の動作を示すフローチャートである。第2制御部58は、以下の処理により、ガイドレーザ光を検出し、レーザ光がプラズマ生成領域25に集光されるようにビームステアリング機構51を制御してもよい。
【0045】
まず、第2制御部58は、検出器57からの検出信号を受信してもよい(S202)。第2制御部58は、検出信号に含まれるガイドレーザ光の検出値Pg2を記憶してもよい(S203)。検出値Pg2には、検出器57の受光面において受光されたガイドレーザ光の受光位置を示す値が含まれてもよい。検出値Pg2は、たとえば、検出されたガイドレーザ光の強度分布から算出された、強度分布の重心位置を示す座標情報であってもよい。
【0046】
次に、第2制御部58は、検出値Pg2と、レーザ光をプラズマ生成領域25に集光するための目標値Ptと、の差ΔP2を、以下の式により算出してもよい(S207)。
ΔP2=Pt−Pg2
検出値Pg2が座標情報である場合、目標値Ptは、対応する座標における値を含んでもよい。また、ΔP2はそれぞれ対応する座標における値の差を含んでもよい。
【0047】
次に、第2制御部58は、検出値Pg2と目標値Ptとの差の絶対値|ΔP2|が、所定の閾値ΔPr2以下であるか否かを判定してもよい(S208)。検出値Pg2及び目標値Ptが共に座標情報である場合、閾値ΔPr2はそれぞれ対応する座標における値の許容範囲を含んでもよい。
【0048】
S208において、絶対値|ΔP2|が、閾値ΔPr2以下である場合(S208:YES)、処理をS209に進めてもよい。S209において、第2制御部58は、ΔP2を0に近づけるために、ビームステアリング機構51に制御信号を送信してもよい。次に、第2制御部58は、EUV光生成制御部5から信号を受信することにより、本フローチャートによる制御を中止するか否かを判定してもよい(S210)。EUV光生成制御部5から制御中止を示す信号を受信した場合(S210:YES)、処理を中止してもよい。制御中止を示す信号を受信していない場合(S210:NO)、上述のS202に戻ってガイドレーザ光を検出してもよい。
【0049】
S208において、絶対値|ΔP2|が、閾値ΔPr2を超えている場合(S208:NO)、処理をS211に進めてもよい。S211において、第2制御部58は、EUV光生成制御部5にアライメント異常を示す信号を送信してもよい。次に、S209と同様に、第2制御部58は、ΔP2を0に近づけるために、ビームステアリング機構51に制御信号を送信してもよい(S212)。その後、上述のS202に戻ってガイドレーザ光を検出してもよい。
【0050】
第1の実施形態によれば、ビームステアリング機構の下流側においてガイドレーザ光を検出し、検出結果をビームステアリング機構にフィードバックすることにより、レーザ光の集光位置を安定化させ得る。また、第1の実施形態によれば、光路結合器の下流側においてレーザ光とガイドレーザ光とを検出し、検出結果をレーザ光進行方向調節機構にフィードバックすることにより、レーザ光の進行方向とガイドレーザ光の進行方向とのずれを低減し得る。また、レーザ光が出力されていないときでも、ガイドレーザ光を検出してビームステアリング機構を制御することにより、レーザ光の出力再開時におけるレーザ光の集光位置を安定化させ得る。
【0051】
なお、ビームスプリッタ56は、ガイドレーザ光を反射するだけでなく、レーザ光の一部をサンプル光として検出器57に向けて反射してもよい。そして、検出器57は、ガイドレーザ光を受光するだけでなく、ビームスプリッタ56によって反射されたレーザ光をさらに受光し、検出結果を出力してもよい。この場合、レーザ光の波面の曲率(後述)を第1及び第2の制御部において計測することにより、波面の歪みの発生場所(ビームステアリング機構51か、それより上流側か)を特定してもよい。
【0052】
5.プリパルスレーザ光が用いられるEUV光生成システム(1)
図5は、第2の実施形態に係るEUV光生成システムの一部断面図である。第2の実施形態においては、ターゲットにプリパルスレーザ光を照射してターゲットを拡散させ、この拡散したターゲットにメインパルスレーザ光を照射してターゲットをプラズマ化する方式が用いられてもよい。例えば、YAGレーザ装置から出力される波長1.06μmのレーザ光をプリパルスレーザ光として用い、炭酸ガス(CO)レーザ装置から出力される波長10.6μmのレーザ光をメインパルスレーザ光として用いてもよい。
【0053】
ドロップレット状のターゲットの径やプリパルスレーザ光の光強度等の条件にもよるが、ターゲットにプリパルスレーザ光を照射すると、プリパルスレーザ光が照射されたターゲットの表面からプリプラズマが生成され得る。プリプラズマとは、ターゲットの内で、プリパルスレーザ光が照射された表面付近の部分がイオン又は中性粒子を含む蒸気になったものをいう。このようなプリプラズマが生成される現象を、レーザアブレーションともいう。
【0054】
あるいは、ターゲットにプリパルスレーザ光を照射すると、ターゲットが破壊され得る。破壊されたターゲットは、プリプラズマの噴出による反力等によって拡散し得る。
【0055】
このように、ターゲットに対するプリパルスレーザ光の照射により生成されたプリプラズマ及び破壊されたターゲットの内の少なくとも一方を含むターゲットを、以下では拡散ターゲットと称する。
【0056】
プリパルスレーザ光の照射により生成された拡散ターゲットにメインパルスレーザ光を照射することにより、拡散ターゲットがプラズマ化し得る。この方式によれば、メインパルスレーザ光のみでターゲットをプラズマ化してEUV光を生成する方式よりも、高いエネルギーのEUV光の放出が期待される。
【0057】
図5に示すように、プリパルスレーザ光を出力するためのプリパルスレーザ装置3aと、メインパルスレーザ光を出力するためのメインパルスレーザ装置3bとが、サブファブフロアに配置されてもよい。
【0058】
サブファブフロアにおいて、レーザ光進行方向制御部34は、第1のガイドレーザ装置40aと、レーザ光進行方向調節機構41aと、光路結合器44aと、光検出部45aと、第1制御部48aとを含んでもよい。光検出部45aの構成及び動作は、第1の実施形態における光検出部45の構成及び動作と同様でよい。サブファブフロアとクリーンルームフロアとにまたがる領域において、レーザ光進行方向制御部34は、ビームステアリング機構51aを含んでもよい。ビームステアリング機構51aの構成及び動作は、第1の実施形態におけるビームステアリング機構51の構成及び動作と同様でよい。クリーンルームフロアにおいて、レーザ光進行方向制御部34は、第2制御部58aと、高反射ミラー59aとを含んでもよい。これらの構成要素は、プリパルスレーザ装置3aから出力されたプリパルスレーザ光の進行方向を制御するために設けられてもよく、これらの構成及び動作は、第1の実施形態において、レーザ装置3から出力されるレーザ光の進行方向を制御するために設けられる構成要素の構成及び動作と同様でよい。
【0059】
ビームステアリング機構51aは、高反射ミラー52a及び53aの他に、高反射ミラー50aを含んでもよい。高反射ミラー50aには、アクチュエータ部が取り付けられなくてもよい。
【0060】
サブファブフロアにおいて、レーザ光進行方向制御部34は、第2のガイドレーザ装置40bと、レーザ光進行方向調節機構41bと、光路結合器44bと、光検出部45bと、第1制御部48bとを含んでもよい。光検出部45bの構成及び動作は、第1の実施形態における光検出部45の構成及び動作と同様でよい。サブファブフロアとクリーンルームフロアとにまたがる領域において、レーザ光進行方向制御部34は、ビームステアリング機構51bを含んでもよい。ビームステアリング機構51bの構成及び動作は、第1の実施形態におけるビームステアリング機構51の構成及び動作と同様でよい。クリーンルームフロアにおいて、レーザ光進行方向制御部34は、第2制御部58bと、高反射ミラー59bとを含んでもよい。これらの構成要素は、メインパルスレーザ装置3bから出力されたメインパルスレーザ光の進行方向を制御するために設けられてもよく、これらの構成及び動作は、第1の実施形態において、レーザ装置3から出力されるレーザ光の進行方向を制御するために設けられる構成要素の構成及び動作と同様でよい。
【0061】
たとえば、第1のガイドレーザ装置40aから出力される第1のガイドレーザ光は波長635nmのレーザ光でもよく、第2のガイドレーザ装置40bから出力される第2のガイドレーザ光は波長532nmのレーザ光でもよい。
【0062】
高反射ミラー59aは、プリパルスレーザ光及び第1のガイドレーザ光を高い反射率で反射してもよい。高反射ミラー59bは、メインパルスレーザ光及び第2のガイドレーザ光を高い反射率で反射してもよい。高反射ミラー59aによって反射されたプリパルスレーザ光及び第1のガイドレーザ光は、ビームスプリッタ56の第1の面(図中右側の面)に入射してもよい。高反射ミラー59bによって反射されたメインパルスレーザ光及び第2のガイドレーザ光は、ビームスプリッタ56の第2の面(図中左側の面)に入射してもよい。
【0063】
ビームスプリッタ56は、第1の面に入射したプリパルスレーザ光を高い反射率で高反射ミラー61に向けて反射してもよい。また、ビームスプリッタ56は、第1の面に入射した第1のガイドレーザ光を高い透過率で検出器57に向けて透過させてもよい。
【0064】
また、ビームスプリッタ56は、第2の面に入射したメインパルスレーザ光を高い透過率で高反射ミラー61に向けて透過させてもよい。また、ビームスプリッタ56は、第2の面に入射した第2のガイドレーザ光を高い反射率で検出器57に向けて反射してもよい。
【0065】
検出器57は、ビームスプリッタ56を透過した第1のガイドレーザ光と、ビームスプリッタ56によって反射された第2のガイドレーザ光とに感度を持つ受光面を有してもよい。
【0066】
ビームスプリッタ56は、プリパルスレーザ光の進行方向とメインパルスレーザ光の進行方向とを一致させるビームコンバイナとして機能してもよい。このようなビームスプリッタ56の基板材料としては、ダイヤモンドが用いられてもよい。
【0067】
高反射ミラー61は、ビームスプリッタ56によって反射されたプリパルスレーザ光と、ビームスプリッタ56を透過したメインパルスレーザ光とを高い反射率で反射してもよい。
【0068】
高反射ミラー61によって反射されたプリパルスレーザ光及びメインパルスレーザ光は、ウインドウ66を高い透過率で透過してもよい。ウインドウ66を透過したプリパルスレーザ光及びメインパルスレーザ光は、平面ミラー62によって高い反射率で反射されてもよい。その後、平面ミラー62によって反射されたプリパルスレーザ光及びメインパルスレーザ光は、レーザ光集光ミラー220によって、それぞれプラズマ生成領域25に集光されてもよい。ターゲットにプリパルスレーザ光を照射することによって拡散ターゲットが生成され、この拡散ターゲットにメインパルスレーザ光を照射することによって拡散ターゲットがプラズマ化し、このプラズマからEUV光が放射され得る。
【0069】
第2の実施形態によれば、ターゲットにプリパルスレーザ光を照射してから拡散ターゲットにメインパルスレーザ光を照射する場合においても、プリパルスレーザ光及びメインパルスレーザ光の集光位置を安定化させ得る。また、プリパルスレーザ光及びメインパルスレーザ光が出力されていないときでも、ガイドレーザ光を検出してビームステアリング機構を制御することにより、レーザ光の出力再開時におけるレーザ光の集光位置を安定化させ得る。
【0070】
なお、ビームスプリッタ56は、第1の面に入射したプリパルスレーザ光の一部をサンプル光として検出器57に向けて透過させてもよい。また、ビームスプリッタ56は、第2の面に入射したメインパルスレーザ光の一部をサンプル光として検出器57に向けて反射してもよい。そして、検出器57は、第1及び第2のガイドレーザ光に加えて、これらのサンプル光を受光して、検出結果を出力してもよい。この場合、レーザ光の波面の曲率(後述)をそれぞれ第1及び第2の制御部において計測することにより、レーザ光の波面の歪みの発生場所がビームステアリング機構51a又は51bか、それより上流側かを特定してもよい。
【0071】
6.プリパルスレーザ光が用いられるEUV光生成システム(2)
図6は、第3の実施形態に係るEUV光生成システムの一部断面図である。第3の実施形態においては、レーザ光進行方向制御部34が、第2の実施形態における光検出部45a及び45bと、第1制御部48a及び48bとを含まなくてもよい。
【0072】
第3の実施形態において、ビームスプリッタ56は、第1の面(図中右側の面)に入射したプリパルスレーザ光を高い反射率で高反射ミラー61に向けて反射するとともに、入射したプリパルスレーザ光の一部をサンプル光として検出器57に向けて透過させてもよい。また、ビームスプリッタ56は、第1の面に入射した第1のガイドレーザ光を高い透過率で検出器57に向けて透過させてもよい。
【0073】
また、ビームスプリッタ56は、第2の面(図中左側の面)に入射したメインパルスレーザ光を高い透過率で高反射ミラー61に向けて透過させるとともに、入射したメインパルスレーザ光の一部をサンプル光として検出器57に向けて反射してもよい。また、ビームスプリッタ56は、第2の面に入射した第2のガイドレーザ光を高い反射率で検出器57に向けて反射してもよい。
【0074】
検出器57は、ビームスプリッタ56を透過したプリパルスレーザ光及び第1のガイドレーザ光と、ビームスプリッタ56によって反射されたメインパルスレーザ光及び第2のガイドレーザ光とに感度をもつ受光面を有してもよい。検出器57は、受光面におけるプリパルスレーザ光及び第1のガイドレーザ光の受光位置と、メインパルスレーザ光及び第2のガイドレーザ光の受光位置とを検出し、検出結果を出力してもよい。
【0075】
制御部58cは、検出器57による検出結果に基づいて、レーザ光進行方向調節機構41a及び41bと、ビームステアリング機構51a及び51bとを制御してもよい。
【0076】
すなわち、制御部58cは、検出器57によるプリパルスレーザ光及び第1のガイドレーザ光の検出結果に基づいて、プリパルスレーザ光の進行方向と、第1のガイドレーザ光の進行方向とのずれを低減するために、レーザ光進行方向調節機構41aを制御してもよい。
【0077】
また、制御部58cは、検出器57によるメインパルスレーザ光及び第2のガイドレーザ光の検出結果に基づいて、メインパルスレーザ光の進行方向と、第2のガイドレーザ光の進行方向とのずれを低減するために、レーザ光進行方向調節機構41bを制御してもよい。
【0078】
また、制御部58cは、検出器57による第1のガイドレーザ光及びプリパルスレーザ光の少なくともいずれかの検出結果に基づいて、プリパルスレーザ光がプラズマ生成領域25に集光されるように、ビームステアリング機構51aを制御してもよい。
【0079】
また、制御部58cは、検出器57による第2のガイドレーザ光及びメインパルスレーザ光の少なくともいずれかの検出結果に基づいて、メインパルスレーザ光がプラズマ生成領域25に集光されるように、ビームステアリング機構51bを制御してもよい。その他の点については、第2の実施形態と同様でよい。
【0080】
第3の実施形態においても、プリパルスレーザ光及びメインパルスレーザ光の集光位置を安定化させ得る。また、プリパルスレーザ光及びメインパルスレーザ光が出力されていないときでも、ガイドレーザ光を検出してビームステアリング機構を制御することにより、レーザ光の出力再開時におけるレーザ光の集光位置を安定化させ得る。
【0081】
7.高速のアライメント機構を含むEUV光生成システム
図7は、第4の実施形態に係るEUV光生成システムの一部断面図である。第4の実施形態においては、ミラー収納容器60のウインドウ661における反射光を検出してレーザ光の進行方向を制御するための機構をさらに含んでもよい。
【0082】
図7に示すように、ビームスプリッタ56は、レーザ光だけではなく、ガイドレーザ光の一部を透過させてもよい。ビームスプリッタ56を透過したレーザ光及びガイドレーザ光の光路上には、ステアリングミラー611が配置されてもよい。ステアリングミラー611は、レーザ光及びガイドレーザ光をウインドウ661に向けて反射してもよい。ウインドウ661は、レーザ光及びガイドレーザ光の進行方向に対して垂直以外の角度で配置されてもよい。ウインドウ661は、レーザ光を高い透過率で透過させ、ガイドレーザ光を高い反射率で反射してもよい。
【0083】
ウインドウ661によって反射されたガイドレーザ光の光路上には、検出器67が配置されてもよい。検出器67は、受光面における光の重心位置を高速で検出する光位置検出器(PSD)でもよい。検出器67において検出された光の重心位置は、第3制御部68に入力されてもよい。第3制御部68は、検出器67による検出結果に基づき、レーザ光がプラズマ生成領域25に集光されるように、ステアリングミラー611の姿勢を制御してもよい。ステアリングミラー611は、ピエゾ素子を用いてその姿勢を高速で調節可能なアクチュエータを備えてもよい。
【0084】
第4の実施形態によれば、ガイドレーザ光の進行方向の変動のうち、振幅が大きく又は周波数が低い変動分については、第2制御部58によるビームステアリング機構51の制御によって相殺され得る。一方、ガイドレーザ光の進行方向の変動のうち、振幅が小さく又は周波数が高い変動分については、第3制御部によるステアリングミラー611の姿勢の高速な制御によって相殺され得る。これにより、レーザ光の集光位置を安定化させ得る。
【0085】
8.ガイドレーザ光の調節機構を含むEUV光生成システム
図8は、第5の実施形態に係るEUV光生成システムの一部断面図である。第5の実施形態においては、ガイドレーザ装置40と光路結合器44との間に、ガイドレーザ光の進行方向を調節するための調節機構81が配置されてもよい。
【0086】
調節機構81は、高反射ミラー82及び83を含んでもよい。高反射ミラー82及び83は、上述の高反射ミラー42及び43と同様に、アクチュエータ部によってその位置及び姿勢が調節されてもよい。高反射ミラー82及び83の位置及び姿勢が調節されることにより、ガイドレーザ装置40から出力されるガイドレーザ光の進行方向が調節されてもよい。
【0087】
第1制御部48は、検出器47による検出結果に基づいて、レーザ装置3から出力されたレーザ光の進行方向と、ガイドレーザ装置40から出力されたガイドレーザ光の進行方向とのずれを低減するために、調節機構81を制御してもよい。この場合、レーザ装置3から出力されたレーザ光の進行方向を調節するためのレーザ光進行方向調節機構41の代わりに、進行方向の調節機能を有さない光学素子が用いられてもよい。
【0088】
9.レーザ増幅器の配置
図9は、第6の実施形態に係るEUV光生成システムにおけるレーザ光進行方向制御部の一部を概略的に示す。第6の実施形態においては、レーザ装置3が、マスターオシレータ300と増幅器301及び302とを含んでもよい。そして、レーザ光進行方向制御部34の一部を構成するガイドレーザ装置40、レーザ光進行方向調節機構41及び光路結合器44の下流側に、さらにレーザ光を増幅するための増幅器303及び304が配置されてもよい。増幅器303及び304は、サブファブフロアに配置されてもよい。
【0089】
マスターオシレータ300は、ターゲットをプラズマ化するためのレーザ光の種光を出力するよう構成されてもよい。増幅器301は、マスターオシレータ300から出力された種光を増幅し、増幅器302は、増幅器301において増幅されて増幅器301から出力されたレーザ光を、さらに増幅してもよい。
【0090】
レーザ光進行方向調節機構41は、増幅器302から出力されたレーザ光の進行方向を調節してもよい。ガイドレーザ装置40は、ガイドレーザ光を出力するよう構成されてもよい。光路結合器44は、増幅器302から出力され、レーザ光進行方向調節機構41を通過したレーザ光の進行方向と、ガイドレーザ装置40から出力されたガイドレーザ光の進行方向とを実質的に一致させてもよい。
【0091】
増幅器303は、光路結合器44において進行方向を一致させられたレーザ光及びガイドレーザ光のうち、少なくともレーザ光を増幅してもよい。増幅器304は、増幅器303から出力されたレーザ光及びガイドレーザ光のうち、少なくともレーザ光をさらに増幅してもよい。増幅器304から出力されたレーザ光及びガイドレーザ光は、第1及び第2の実施形態において説明したように光検出部45、45a又は45bに入射してもよい。あるいは、増幅器304から出力されたレーザ光及びガイドレーザ光は、第3の実施形態において説明したようにビームステアリング機構51、51a又は51bに入射してもよい。また、第5の実施形態において説明したように、ガイドレーザ装置40と光路結合器44との間に調節機構81が配置されてもよい。
【0092】
EUV光生成システムにおいては、所望のエネルギーを有するEUV光を出力するために、高いエネルギーを有するレーザ光をターゲットに照射する場合がある。レーザ光のエネルギーが高くなると、レーザ光の光路に配置される光学素子が熱負荷によって変形し、レーザ光の進行方向が変化し得る。特に、複数の増幅器が用いられる場合、レーザ光のエネルギーが下流側の増幅器の出力部では高くなる。このため、より下流側の増幅器の出力部においてほど、レーザ光の進行方向の変化が大きく、レーザ光の進行方向とガイドレーザ光の進行方向とを一致させる場合の制御量が大きくなり得る。
【0093】
第6の実施形態によれば、複数の増幅器の間にレーザ光進行方向調節機構41及び光路結合器44を配置することにより、熱負荷によるレーザ光の進行方向の変動が小さい段階で、レーザ光の進行方向とガイドレーザ光の進行方向とを一致させ得る。従って、レーザ光の進行方向とガイドレーザ光の進行方向とのずれを低減するための、レーザ光進行方向調節機構41による制御量を小さくすることができる。レーザ光進行方向調節機構41による制御量が小さくできれば、レーザ光進行方向調節機構41をより高速で、より高頻度で稼動させ得る。この結果、レーザ光の進行方向とガイドレーザ光の進行方向とのずれを小さい状態で安定化させることができる。
【0094】
10.検出器
10.1 2つの異なる位置におけるビームプロファイルを検出する例
図10Aは、上述の実施形態に係るEUV光生成システムにおける検出器の第1の例を概略的に示す。第1の例においては、サンプル光の2つの異なる位置におけるビーム断面のビームプロファイルを検出するために、ビームスプリッタ73によってサンプル光を分岐させ、これらの分岐光に異なる光路長を持たせて、それぞれのビームプロファイルを検出してもよい。なお、サンプル光とは、レーザ装置3からチャンバ2に至るレーザ光路から分岐されて検出器57(又は47)に入射するレーザ光又はガイドレーザ光でもよい。
【0095】
図10Aに示すように、検出器は、バンドパスフィルタ70と、ビームスプリッタ73と、高反射ミラー77と、転写光学系75及び79と、ビームプロファイラ570及び590と、を含んでもよい。
【0096】
バンドパスフィルタ70は、検出しようとする光(レーザ光又はガイドレーザ光)を高い透過率で透過させ、他の波長の光を減衰させる又は遮断する光学フィルタでもよい。ビームスプリッタ73は、バンドパスフィルタ70を透過した光の一部を転写光学系75に向けて透過させ、他の一部を高反射ミラー77に向けて反射してもよい。高反射ミラー77は、ビームスプリッタ73によって反射された光を高い反射率で転写光学系79に向けて反射してもよい。
【0097】
転写光学系75は、サンプル光の光路上の位置A1におけるビーム断面をビームプロファイラ570の受光面に転写してもよい。転写光学系79は、サンプル光の光路上の位置A2におけるビーム断面をビームプロファイラ590の受光面に転写してもよい。ビームプロファイラ570及び590は、受光面に転写された光の強度分布を出力してもよい。
【0098】
第2制御部58(又は第1制御部48)は、ビームプロファイラ570及び590からの出力に基づいて、レーザ光又はガイドレーザ光の位置、進行方向及びダイバージェンス(波面の曲率)を算出してもよい。例えば、ビームプロファイラ570及び590において検出された光の強度分布の重心位置が算出され、これがレーザ光又はガイドレーザ光の位置を示す値として用いられてもよい。また、ビームプロファイラ570及び590において検出された光の強度分布におけるそれぞれの重心位置の差と、位置A1とA2との間隔とから、レーザ光又はガイドレーザ光の進行方向が算出されてもよく、これがレーザ光又はガイドレーザ光の進行方向を示す値として用いられてもよい。さらに、ビームプロファイラ570及び590において検出されたそれぞれの光のビーム幅(例えば半値幅)の差から、レーザ光又はガイドレーザ光の波面の曲率が算出されてもよい。
【0099】
以上の算出結果に基づいて、第2制御部58は、レーザ光進行方向調節機構41及びビームステアリング機構51の少なくともいずれかを制御してもよい。あるいは、以上の算出結果に基づいて、第1制御部48が、レーザ光進行方向調節機構41を制御してもよい。
【0100】
図10B及び図10Cは、検出器の第1の例の変形例を概略的に示す。第1の例の変形例は、複数のバンドパスフィルタ71及び72を切り替えて使用できるように構成した点で、図10Aに示す第1の例とは異なってもよい。図10B及び図10Cに示すように、バンドパスフィルタ71及び72は、駆動部78によって移動可能に構成されてもよい。駆動部78は、第2制御部58(又は第1制御部48)によって制御されてもよい。バンドパスフィルタ71は、レーザ装置3から出力されたレーザ光を高い透過率で透過させ、他の波長の光を減衰させる又は遮断する光学フィルタでもよい。バンドパスフィルタ72は、ガイドレーザ光を高い透過率で透過させ、他の波長の光を減衰させる又は遮断する光学フィルタでもよい。
【0101】
図10Bに示すように、駆動部78がサンプル光の光路上にバンドパスフィルタ71を移動させた場合、ビームスプリッタ73には、レーザ光が到達し得る。従って、第2制御部58(又は第1制御部48)により、レーザ光の位置、進行方向及び波面の曲率が算出され得る。
【0102】
図10Cに示すように、駆動部78がサンプル光の光路上にバンドパスフィルタ72を移動させた場合、ビームスプリッタ73には、ガイドレーザ光が到達し得る。従って、第2制御部58(又は第1制御部48)により、ガイドレーザ光の位置、進行方向及び波面の曲率が算出され得る。
【0103】
なお、転写光学系75及び79は、レーザ光及びガイドレーザ光の波長に対して色収差を補正する機能を有するのが好ましい。たとえば、転写光学系75及び79は、色消しレンズやその組合せであるのが好ましい。更に、転写光学系75及び79は、原理的に色収差が少ない構成であることが好ましい。たとえば、転写光学系75及び79は、反射光学系であるのが好ましい。
【0104】
第1の例の変形例によれば、レーザ光とガイドレーザ光とを検出するために、同一のビームプロファイラ570及び590が用いられるので、高精度にレーザ光の進行方向とガイドレーザ光の進行方向とのずれが検出され得る。
【0105】
10.2 ビームプロファイルとポインティングを検出する例
図11Aは、上述の実施形態に係るEUV光生成システムにおける検出器の第2の例を概略的に示す。第2の例においては、サンプル光のビーム断面のビームプロファイルと、焦点位置でのビームプロファイルまたはポインティングとを検出するために、ビームスプリッタ73によってサンプル光を分岐させてもよい。
【0106】
図11Aに示すように、検出器は、バンドパスフィルタ70と、ビームスプリッタ73と、集光光学系74と、転写光学系75と、ビームプロファイラ540及び570と、を含んでもよい。
【0107】
バンドパスフィルタ70は、検出しようとする光(レーザ光又はガイドレーザ光)を高い透過率で透過させ、他の波長の光を減衰させる又は遮断する光学フィルタでもよい。ビームスプリッタ73は、バンドパスフィルタ70を透過した光の一部を転写光学系75に向けて透過させ、他の一部を集光光学系74に向けて反射してもよい。
【0108】
転写光学系75は、ビームスプリッタ73を透過した光のビーム断面をビームプロファイラ570の受光面に転写してもよい。集光光学系74は、ビームスプリッタ73によって反射された光を、集光光学系74から焦点距離F離れた位置に配置されたビームプロファイラ540の受光面に結像させてもよい。焦点距離Fは集光光学系74における焦点距離でよい。ビームプロファイラ540及び570は、受光面にそれぞれ結像及び転写された光の強度分布を出力してもよい。
【0109】
第2制御部58(又は第1制御部48)は、ビームプロファイラ540及び570からの出力に基づいて、レーザ光又はガイドレーザ光の位置、進行方向及びダイバージェンス(波面の曲率)を算出してもよい。例えば、ビームプロファイラ540及び570において検出された光の強度分布の重心位置が算出され、これがレーザ光又はガイドレーザ光の位置を示す値として用いられてもよい。また、ビームプロファイラ540及び570において検出された光の強度分布におけるそれぞれの重心位置の差から、レーザ光又はガイドレーザ光の進行方向が算出されてもよい。さらに、ビームプロファイラ570において検出された光のビーム幅(例えば半値幅)と、ビームプロファイラ540において検出された焦点の大きさとから、レーザ光又はガイドレーザ光の波面の曲率が算出されてもよい。
【0110】
以上の算出結果に基づいて、第2制御部58が、レーザ光進行方向調節機構41及びビームステアリング機構51の少なくともいずれかを制御してもよい。あるいは、以上の算出結果に基づいて、第1制御部48が、レーザ光進行方向調節機構41を制御してもよい。
【0111】
図11Bは、検出器の第2の例の変形例を概略的に示す。第2の例の変形例は、複数のバンドパスフィルタ71及び72を切り替えて使用できるようにした点で、図11Aに示す第2の例とは異なってもよい。図11Bに示すように、バンドパスフィルタ71及び72は、駆動部78によって移動可能に構成されてもよい。駆動部78は、第2制御部58(又は第1制御部48)によって制御されてもよい。バンドパスフィルタ71は、レーザ装置3から出力されたレーザ光を高い透過率で透過させ、他の波長の光を減衰させる又は遮断する光学フィルタでもよい。バンドパスフィルタ72は、ガイドレーザ光を高い透過率で透過させ、他の波長の光を減衰させる又は遮断する光学フィルタでもよい。
【0112】
図11Bに示すように、駆動部78がサンプル光の光路上にバンドパスフィルタ71を移動させた場合、ビームスプリッタ73には、レーザ光が到達し得る。従って、第2制御部58(又は第1制御部48)により、レーザ光の位置、進行方向及び波面の曲率が算出され得る。
【0113】
駆動部78がサンプル光の光路上にバンドパスフィルタ72を移動させた場合、ビームスプリッタ73には、ガイドレーザ光が到達し得る。従って、第2制御部58(又は第1制御部48)により、ガイドレーザ光の位置、進行方向及び波面の曲率が算出され得る。
【0114】
なお、集光光学系74及び転写光学系75は、レーザ光及びガイドレーザ光の波長に対して色収差を補正する機能を有するのが好ましい。たとえば、集光光学系74及び転写光学系75は、色消しレンズやその組合せであるのが好ましい。更に、集光光学系74及び転写光学系75は原理的に色収差が少ない構成であることが好ましい。たとえば、集光光学系74及び転写光学系75は、反射光学系であるのが好ましい。
【0115】
第2の例の変形例によれば、レーザ光とガイドレーザ光とを検出するために、同一のビームプロファイラ540及び570が用いられるので、高精度にレーザ光の進行方向とガイドレーザ光の進行方向とのずれが検出され得る。
【0116】
10.3 シャックハルトマン波面センサを使用する例
図12Aは、上述の実施形態に係るEUV光生成システムにおける検出器の第3の例を概略的に示す。第3の例においては、レーザ光又はガイドレーザ光の進行方向と波面の曲率とを計測するために、シャックハルトマン波面センサが用いられてもよい。
【0117】
図12Aに示すように、検出器は、バンドパスフィルタ70と、シャックハルトマン波面センサ90と、を含んでもよい。シャックハルトマン波面センサ90は、マイクロレンズアレイ91と、CCD(charge coupled device)カメラ93とを含んでもよい。
【0118】
バンドパスフィルタ70は、検出しようとする光(レーザ光又はガイドレーザ光)を高い透過率で透過させ、他の波長の光を減衰させる又は遮断する光学フィルタでもよい。マイクロレンズアレイ91は、複数の微小な凸レンズ又は凹レンズが二次元配置された光学素子でもよい。CCDカメラ93は、マイクロレンズアレイ91によって形成される投影像を撮像するための素子でもよい。
【0119】
第2制御部58(又は第1制御部48)は、CCDカメラ93からの出力に基づいて、レーザ光又はガイドレーザ光の位置、進行方向及びダイバージェンス(波面の曲率)を算出してもよい。そして、この算出結果に基づいて、第2制御部58が、レーザ光進行方向調節機構41及びビームステアリング機構51の少なくともいずれかを制御してもよい。あるいは、この算出結果に基づいて、第1制御部48が、レーザ光進行方向調節機構41を制御してもよい。
【0120】
図12Bは、検出器の第3の例の変形例を概略的に示す。第3の例の変形例は、複数のバンドパスフィルタ71及び72を切り替えて使用できるように構成した点で、図12Aに示す第3の例とは異なってもよい。図12Bに示すように、バンドパスフィルタ71及び72は、駆動部78によって移動可能に構成されてもよい。駆動部78は、第2制御部58(又は第1制御部48)によって制御されてもよい。シャックハルトマン波面センサ90において、マイクロレンズアレイ91の代わりに、多数のピンホールを有するスクリーン92が用いられてもよい。バンドパスフィルタ71は、レーザ装置3から出力されたレーザ光を高い透過率で透過させ、他の波長の光を減衰させる又は遮断する光学フィルタでもよい。バンドパスフィルタ72は、ガイドレーザ光を高い透過率で透過させ、他の波長の光を減衰させる又は遮断する光学フィルタでもよい。
【0121】
図12Bに示すように、駆動部78がサンプル光の光路上にバンドパスフィルタ71を移動させた場合、シャックハルトマン波面センサ90には、レーザ光が到達し得る。従って、第2制御部58(又は第1制御部48)により、レーザ光の位置、進行方向及び波面の曲率が算出され得る。
【0122】
駆動部78がサンプル光の光路上にバンドパスフィルタ72を移動させた場合、シャックハルトマン波面センサ90には、ガイドレーザ光が到達し得る。従って、第2制御部58(又は第1制御部48)により、ガイドレーザ光の位置、進行方向及び波面の曲率が算出され得る。
【0123】
第3の例の変形例によれば、レーザ光とガイドレーザ光とを検出するために、同一のシャックハルトマン波面センサ90が用いられるので、高精度にレーザ光の進行方向とガイドレーザ光の進行方向とのずれが検出され得る。
【0124】
10.4 光位置検出器を使用する例
図13は、上述の実施形態に係るEUV光生成システムにおける検出器の第4の例を概略的に示す。第4の例においては、ガイドレーザ光の位置を高速に検出するために、光位置検出器(PSD)が用いられてもよい。
【0125】
図13に示すように、検出器は、バンドパスフィルタ720と、集光光学系740と、光位置検出器571とを含んでもよい。バンドパスフィルタ720は、ガイドレーザ光を透過させ、他の波長の光を減衰させる又は遮断する光学フィルタでもよい。集光光学系740は、バンドパスフィルタ720を透過した光を、集光光学系740から焦点距離F0離れた位置に配置された光位置検出器571の受光面に集光してもよい。焦点距離F0は集光光学系740における焦点距離でもよい。光位置検出器571は、受光面において集光された光の重心位置を出力してもよい。
【0126】
光位置検出器571の出力結果に基づいて、第2制御部58は、ビームステアリング機構51を制御してもよい。光位置検出器571は、光の強度分布ではなく重心位置を出力するので、高速に処理を実行し得る。従って、ビームステアリング機構51などの振動にも対応でき、レーザ光及びガイドレーザ光の進行方向の変化が抑制され得る。なお、光位置検出器571の代わりに、4分割センサが用いられてもよい。
【0127】
10.5 第1〜第4の例の組合せ
図14は、上述の実施形態に係るEUV光生成システムにおける検出器の第5の例を概略的に示す。第5の例においては、上述の第1〜第4の例が組み合わされてもよい。
【0128】
第3の実施形態(図6参照)において説明したように、ビームスプリッタ56の第1の面にはプリパルスレーザ光及び第1のガイドレーザ光が入射し、ビームスプリッタ56の第2の面にはメインパルスレーザ光及び第2のガイドレーザ光が入射してもよい。ビームスプリッタ56の第1の面からは少なくともプリパルスレーザ光とメインパルスレーザ光が出力され、チャンバ2内に導入されてもよい。ビームスプリッタ56の第2の面からは、サンプル光として、プリパルスレーザ光の一部、第1のガイドレーザ光、メインパルスレーザ光の一部及び第2のガイドレーザ光が出力されてもよい。
【0129】
サンプル光の光路上には、ビームスプリッタ561、562及び56aと、高反射ミラー56bとが、この順で配置されてもよい。ビームスプリッタ561は、第1のガイドレーザ光の一部を反射し、残りのサンプル光を透過させてもよい。ビームスプリッタ562は、第2のガイドレーザ光の一部を反射し、残りのサンプル光を透過させてもよい。ビームスプリッタ56aは、プリパルスレーザ光及び第1のガイドレーザ光を高い反射率で反射し、メインパルスレーザ光及び第2のガイドレーザ光を高い透過率で透過させてもよい。高反射ミラー56bは、メインパルスレーザ光及び第2のガイドレーザ光を高い反射率で反射してもよい。
【0130】
ビームスプリッタ561において反射された第1のガイドレーザ光の光路上には、上述の検出器の第4の例と同様の検出器、すなわち、バンドパスフィルタ721と、集光光学系741と、光位置検出器571とが配置されてもよい。これにより、第2制御部58は、第1のガイドレーザ光の位置を検出し、ビームステアリング機構51aを高速で制御してもよい。
【0131】
ビームスプリッタ562において反射された第2のガイドレーザ光の光路上には、上述の検出器の第4の例と同様の検出器、すなわち、バンドパスフィルタ722と、集光光学系742と、光位置検出器572とが配置されてもよい。これにより、第2制御部58は、第2のガイドレーザ光の位置を検出し、ビームステアリング機構51bを高速で制御してもよい。
【0132】
ビームスプリッタ56aにおいて反射されたプリパルスレーザ光及び第1のガイドレーザ光の光路上には、上述の検出器の第2の例の変形例と同様の検出器が配置されてもよい。これにより、第2制御部58は、プリパルスレーザ光及び第1のガイドレーザ光の位置、進行方向及び波面の曲率を算出して、ビームステアリング機構51a(又はレーザ光進行方向調節機構41a)を制御してもよい。検出器の第2の例と同様の検出器の代わりに、検出器の第1又は第3の例と同様の検出器が用いられてもよい。
【0133】
高反射ミラー56bにおいて反射されたメインパルスレーザ光及び第2のガイドレーザ光の光路上には、上述の検出器の第2の例の変形例と同様の検出器が配置されてもよい。これにより、第2制御部58は、メインパルスレーザ光及び第2のガイドレーザ光の位置、進行方向及び波面の曲率を算出して、ビームステアリング機構51b(又はレーザ光進行方向調節機構41b)を制御してもよい。検出器の第2の例と同様の検出器の代わりに、検出器の第1又は第3の例と同様の検出器が用いられてもよい。
【0134】
11.補足説明
11.1 調節機構の説明
図15は、レーザ光進行方向調節機構の動作を説明するための図である。2つの高反射ミラー42及び43のそれぞれの姿勢角度(θx、θy)を制御することによって、入射するレーザ光の進行方向が所望の方向となるように調節されてもよい。ここで、角度θxの方向と角度θyの方向とは、互いに直交してもよい。例えば、高反射ミラー42及び43がそれぞれ装着されるミラーホルダ421及び431(図2)は、ジンバル機構による調節機能を有してもよい。ジンバル機構は、互いに直交する2軸を中心として物体を回転させる回転台の一種である。
【0135】
11.2 アクチュエータ部の説明
図16は、レーザ光進行方向調節機構におけるアクチュエータ部の具体例を示す。高反射ミラー42は、ミラーホルダ421に支持され、ミラーホルダ421は、接続部422を介してベース部423に対して変位可能に支持されてもよい。たとえば、接続部422はスプリング及びガイドによって構成されてもよい。スプリングは、ミラーホルダ421とベース部423とが互いに引き寄せられるように、それぞれに力を作用させ、ガイドは、ミラーホルダ421がベース部423に対して、所定の方向に変位可能なように、変位方向を規制してもよい。ピエゾ素子が用いられる3つの接続部422それぞれの一端は、ベース部423に固定されてもよい。3つの接続部422それぞれの他端は、ミラーホルダ421に接触していてもよい。3つの接続部422のそれぞれは、第1制御部48によって制御されるドライバからの駆動信号によって、ベース部423とミラーホルダ421との距離を、接続部422毎に独立に伸縮させる送り機構を含んでもよい。ベース部423は、レーザ光進行方向調節機構の筐体等に固定されてもよい。
【0136】
このように、ベース部423に対するミラーホルダ421の3点における距離をそれぞれ伸縮させることにより、高反射ミラー42の姿勢を角度θxの方向と角度θyの方向とにおいて調節してもよい。高反射ミラー43、52、53等の姿勢を調節するためのアクチュエータ部も同様に構成されてもよい。
【0137】
上記の説明は、制限ではなく単なる例示を意図したものである。従って、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本開示の実施形態に変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。
【0138】
本明細書及び添付の特許請求の範囲全体で使用される用語は、「限定的でない」用語と解釈されるべきである。例えば、「含む」又は「含まれる」という用語は、「含まれるものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「有する」という用語は、「有するものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。また、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される修飾句「1つの」は、「少なくとも1つ」又は「1又はそれ以上」を意味すると解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0139】
1…EUV光生成装置、2…チャンバ、3…レーザ装置、3a…プリパルスレーザ装置、3b…メインパルスレーザ装置、4…ターゲットセンサ、5…EUV光生成制御部、6…露光装置、9…設置機構、10…チャンバ基準部材、11…EUV光生成システム、21…ウインドウ、22…レーザ光集光ミラー、23…EUV集光ミラー、24…貫通孔、25…プラズマ生成領域、26…ターゲット供給装置、27…ターゲット、28…ターゲット回収部、29…接続部、31、32、33…パルスレーザ光、34…レーザ光進行方向制御部、40、40a、40b…ガイドレーザ装置、41、41a、41b…レーザ光進行方向調節機構、42、43…高反射ミラー、44、44a、44b…光路結合器、45、45a、45b…光検出部、46…ビームサンプラ、47…検出器、48、48a、48b…第1制御部、50a…高反射ミラー、51、51a、51b…ビームステアリング機構、52、52a、52b、53、53a、53b…高反射ミラー、55…光検出部、56、56a…ビームスプリッタ、56b…高反射ミラー、57…検出器、58、58a、58b…第2制御部、58c…制御部、59、59a、59b…高反射ミラー、60…ミラー収納容器、61…高反射ミラー、62…平面ミラー、66…ウインドウ、67…検出器、68…第3制御部、70、71、72…バンドパスフィルタ、73…ビームスプリッタ、74…集光光学系、75…転写光学系、77…高反射ミラー、78…駆動部、79…転写光学系、81…調節機構、82、83…高反射ミラー、90…シャックハルトマン波面センサ、91…マイクロレンズアレイ、92…スクリーン、93…カメラ、220…レーザ光集光ミラー、251…放射光、252…EUV光、291…壁、292…中間集光点、300…マスターオシレータ、301、302、303、304…増幅器、421…ミラーホルダ、422…接続部、423…ベース部、424…脚部、431…ミラーホルダ、432…アクチュエータ部、510…光路管、521…ミラーホルダ、522…アクチュエータ部、531…ミラーホルダ、532…アクチュエータ部、540…ビームプロファイラ、561、562…ビームスプリッタ、570…ビームプロファイラ、571、572…光位置検出器、590…ビームプロファイラ、611…ステアリングミラー、661…ウインドウ、720、721、722…バンドパスフィルタ、740、741、742…集光光学系、F、F0…焦点距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出力するレーザ装置のためのアライメントシステムであって、
ガイドレーザ光を出力するガイドレーザ装置と、
前記レーザ光及び前記ガイドレーザ光の少なくとも一方の進行方向を調節する調節機構と、
前記レーザ光及び前記ガイドレーザ光の進行方向を実質的に一致させる光路結合部と、
前記光路結合部の下流側に配置され、前記レーザ光及び前記ガイドレーザ光を検出する第1の光検出部と、
前記第1の光検出部による検出結果に基づいて、前記調節機構を制御する第1の制御部と、
前記光路結合部の下流側に配置され、前記レーザ光及び前記ガイドレーザ光の進行方向を調節するビームステアリング機構と、
前記ビームステアリング機構の下流側に配置され、少なくとも前記ガイドレーザ光を検出する第2の光検出部と、
前記第2の光検出部による検出結果に基づいて、前記ビームステアリング機構を制御する第2の制御部と、
を備えるアライメントシステム。
【請求項2】
前記ビームステアリング機構の下流側に配置され、前記レーザ光及び前記ガイドレーザ光の進行方向を調節する光路調節部と、
前記光路調節部の下流側に配置され、少なくとも前記ガイドレーザ光の位置を検出する第3の光検出部と、
前記第3の光検出部による検出結果に基づいて、前記光路調節部を制御する第3の制御部と、
をさらに備える請求項1記載のアライメントシステム。
【請求項3】
前記光路結合部の下流側に配置され前記レーザ光を増幅する増幅器をさらに備える請求項1記載のアライメントシステム。
【請求項4】
レーザ光を出力するレーザ装置のためのアライメントシステムであって、
ガイドレーザ光を出力するガイドレーザ装置と、
前記レーザ光及び前記ガイドレーザ光の少なくとも一方の進行方向を調節する調節機構と、
前記レーザ光及び前記ガイドレーザ光の進行方向を実質的に一致させる光路結合部と、
前記光路結合部の下流側に配置され、前記レーザ光及び前記ガイドレーザ光の進行方向を調節するビームステアリング機構と、
前記ビームステアリング機構の下流側に配置され、前記レーザ光及び前記ガイドレーザ光を検出する光検出部と、
前記光検出部による検出結果に基づいて、前記調節機構及び前記ビームステアリング機構を制御する制御部と、
を備えるアライメントシステム。
【請求項5】
前記光路結合部の下流側に配置され前記レーザ光を増幅する増幅器をさらに備える請求項4記載のアライメントシステム。
【請求項6】
レーザ光を出力するレーザ装置のためのアライメントシステムと、
前記レーザ装置から出力されるレーザ光を内部に導入するための入射口が設けられたチャンバと、
前記チャンバに設けられ、前記チャンバ内の所定の領域にターゲット物質を供給するターゲット供給部と、
前記レーザ光を前記所定の領域で集光させるレーザ集光光学系と、
を備える極端紫外光生成装置であって、
前記アライメントシステムは、
ガイドレーザ光を出力するガイドレーザ装置と、
前記レーザ光及び前記ガイドレーザ光の少なくとも一方の進行方向を調節する調節機構と、
前記レーザ光及び前記ガイドレーザ光の進行方向を実質的に一致させる光路結合部と、
前記光路結合部の下流側に配置され、前記レーザ光及び前記ガイドレーザ光を検出する第1の光検出部と、
前記第1の光検出部による検出結果に基づいて、前記調節機構を制御する第1の制御部と、
前記光路結合部の下流側に配置され、前記レーザ光及び前記ガイドレーザ光の進行方向を調節するビームステアリング機構と、
前記ビームステアリング機構の下流側に配置され、少なくとも前記ガイドレーザ光を検出する第2の光検出部と、
前記第2の光検出部による検出結果に基づいて、前記ビームステアリング機構を制御する第2の制御部と、
を備える極端紫外光生成装置。
【請求項7】
レーザ光を出力するレーザ装置のためのアライメントシステムと、
前記レーザ装置から出力されるレーザ光を内部に導入するための入射口が設けられたチャンバと、
前記チャンバに設けられ、前記チャンバ内の所定の領域にターゲット物質を供給するターゲット供給部と、
前記レーザ光を前記所定の領域で集光させるレーザ集光光学系と、
を備える極端紫外光生成装置であって、
前記アライメントシステムは、
ガイドレーザ光を出力するガイドレーザ装置と、
前記レーザ光及び前記ガイドレーザ光の少なくとも一方の進行方向を調節する調節機構と、
前記レーザ光及び前記ガイドレーザ光の進行方向を実質的に一致させる光路結合部と、
前記光路結合部の下流側に配置され、前記レーザ光及び前記ガイドレーザ光の進行方向を調節するビームステアリング機構と、
前記ビームステアリング機構の下流側に配置され、前記レーザ光及び前記ガイドレーザ光を検出する光検出部と、
前記光検出部による検出結果に基づいて、前記調節機構及び前記ビームステアリング機構を制御する制御部と、
を備える極端紫外光生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−84807(P2013−84807A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224213(P2011−224213)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(300073919)ギガフォトン株式会社 (227)
【Fターム(参考)】