説明

アラーム機能付報時時計

【課題】 報時とアラーム報知の判別を容易にし、スイッチの増設を最小限に抑え、操作も容易なアラーム機能付時計を提供することにある。
【解決手段】 メロディ選択手段8には報時用メロディ又はアラーム報知音が選択され、設定される。報時用メロディが選択された場合、判定手段22は報時制御手段18を有効にして報時を行う。アラーム報知音が選択された場合、判定手段22はアラーム制御手段20を有効にしてアラーム報知を行う。報時の場合には報時用メロディが流れ、アラーム報知の場合には電子音等からなるアラーム報知音が発生され、明確に報時とアラーム報知を判別することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、毎正時に報時を行う報時時計に関するものであり、特に、設定した時刻にアラーム報知を行うことができるアラーム機能を有するものに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、報時用メロディとして複数の曲を記憶し、その中から選択された曲を毎正時に流したり、報時毎に次の曲に切り換えながら報時を行う報時時計が商品化されている。
【0003】また、この種の報時時計にアラーム機能を設け、設定したアラーム時刻になると決められたメロディにより報知するものも商品化されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術におけるアラーム機能付の報時時計のように、毎正時に報時用メロディを発生させ、更にアラーム時刻に同様のメロディを発生させると、報時であるかアラーム報知であるか判別が難しいという課題が生じていた。
【0005】また、報時時計にアラーム機能を付加すると、報時時計におけるメロディ選択操作等に加えてアラーム設定モードに切り換えるためのモード切換操作等が必要になり、モードスイッチを増設することが必要になったり、操作が煩雑になるという課題も生じるものであった。
【0006】本発明は、上記従来技術の課題に鑑みなされたもので、報時とアラーム報知の判別を容易にし、スイッチの増設を最小限に抑え、操作も容易なアラーム機能付時計を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のアラーム機能付報時時計は、時刻を計時する計時手段と、メロディ選択入力手段と、報時用メロディとアラーム報知音を記憶し、前記メロディ選択入力手段により選択された前記報時用メロディ又はアラーム報知音を選択して設定するメロディ選択手段と、該メロディ選択手段により設定された報時用メロディ又はアラーム報知音に基づいて音を発生する音発生手段と、設定時刻入力手段と、該設定時刻入力手段の操作により正時又は任意時刻を設定する時刻設定手段と、前記計時手段が計時する時刻と前記時刻設定手段に設定された正時又は任意時刻との一致を検出する一致検出手段と、該一致検出手段が一致を検出すると前記音発生手段から報時用メロディを発生させる報時制御手段と、前記一致検出手段が一致を検出すると前記音発生手段からアラーム報知音を発生させるアラーム制御手段と、前記メロディ選択手段に報知用メロディが選択設定されると前記報時制御手段を有効にし、前記メロディ選択手段にアラーム報知音が選択設定されると前記アラーム制御手段を有効にする判定手段と、を備えるものである。
【0008】また、このアラーム機能付報時時計においては、からくり機構と、前記報知制御手段が前記音発生手段から報時用メロディを発生させるとき及び前記アラーム制御手段が前記音発生手段からアラーム報知音を発生させるときに前記からくり機構を作動させるからくり動作制御手段と、を備えている。更に、このアラーム機能付報時時計においては、からくり機構と、前記報知制御手段が前記音発生手段から報時用メロディを発生させるときにのみ前記からくり機構を作動させるからくり動作制御手段と、を備えている。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のアラーム機能付報時時計においては、メロディ選択手段により報時用メロディとアラーム報知音を選択して設定している。そして、報時用メロディが選択された場合には、判定手段が報時制御手段を有効にして報時を行い、また、アラーム報知音が選択された場合には、判定手段がアラーム制御手段を有効にしてアラーム報知を行う。このように、アラーム報知音を選択するだけでアラームモードにすることができる。
【0010】また、報時の場合には報時用メロディが流れ、アラーム報知の場合には「ピピピ…」という断続的な電子音や時間の経過と共に数段階に音が大きくなる電子音等からなるアラーム報知音が発生され、明確に報時とアラーム報知を判別することが可能となる。
【0011】
【実施例】以下、図面に基いて本発明の実施例を説明する。図1は本発明の一実施例に係るアラーム機能付報時時計の機能説明図である。2は計時手段であり、本実施例においては、発振器から得られる一定周期の信号をカウントして計時したり、時刻情報を含む電波を着信することで常に正確な時刻に修正するものとなっている。4は表示部であり、計時手段2から出力される駆動信号等により指針や表示装置を駆動して時刻を表示するものである。
【0012】6は予め設定されている複数のメロディから所望のメロディを選択するためのメロディ選択入力手段であり、外部操作スイッチからなるものである。8はメロディ選択手段であり、複数の報時用メロディとアラーム報知音を記憶し、メロディ選択入力手段6の操作によって選択された報時用メロディ又はアラーム報知音を設定するものである。10は音発生手段であり、スピーカとその駆動回路等で構成されており、メロディ選択手段8に設定された報時用メロディ又はアラーム報知音に基づいて音を発生するものである。
【0013】12は報時時刻又はアラーム時刻を設定するための設定時刻入力手段であり、外部操作スイッチからなるものである。14は設定時刻入力手段12の操作により報時又はアラーム報知を行う正時又は任意時刻を設定する時刻設定手段である。16は、一致検出手段であり、時刻設定手段14に設定された時刻と計時手段2が計時する時刻との一致を検出するものである。18は報時制御手段、20はアラーム制御手段であり、一致検出手段16が一致検出すると音発生手段10からそれぞれ報時用メロディ又はアラーム報知音を発生させるものとなっている。22は判定手段であり、メロディ選択手段8に報時用メロディが設定されると報時制御手段18を有効にし、メロディ選択手段8にアラーム報知音が設定されるとアラーム制御手段を有効にするものである。
【0014】一方、本実施例においては、動作する人形体等のからくり機構24と、その動作を制御するからくり制御手段26が設けられている。このからくり制御手段26は、報時制御手段18又はアラーム制御手段20が音発生手段10から報時用メロディ又はアラーム報知音を発生させるときにからくり機構24を動作させるものである。
【0015】尚、上記構成において、計時手段、メロディ選択手段8、時刻設定手段14、一致検出手段16、報時制御手段18、アラーム制御手段20、判定手段22及びからくり制御手段26は、マイコンあるいはそれにメモリ等を組み合わせることにより形成されている。
【0016】次に、本実施例におけるアラーム機能付報時時計の報時設定及びアラーム設定とその動作を図1及び図2を用いて説明する。はじめに、毎正時に報時を行うように設定する場合には、設定時刻入力手段12を操作して時刻設定モードをONにして時刻を入力し、時刻設定手段14に時刻を設定する。このときの時刻の設定は、毎正時あるいは任意時刻に設定することが可能である。
【0017】一方、報時又はアラーム報知の際に発生される報時用メロディとアラーム報知音は、メロディ選択入力手段6を操作することにより選択される。本実施例においては、メロディ選択手段8に6つのチャンネルが設けられており、その1番〜5番にそれぞれ異なる報時曲が報時用メロディとして記憶されており、6番にアラーム報知音が記憶されている。上記のように、本実施例においては、メロディ選択入力手段6を操作することにより、1番〜5番の報時曲と6番のアラーム報時音をそれぞれ選択することが可能である。ここで、1番〜5番の報時曲が選択されると、判定手段22は報時が選択されたことを判別し、報時制御手段18を有効にするように設定されている。また、6番のアラーム報知音が選択されると、判定手段22はアラーム報知が選択されたことを判別し、アラーム制御手段20を有効にするように設定されている。
【0018】上記のように設定を行い、時刻設定手段14に設定した時刻(正時又は任意に設定されたアラーム時刻)と計時手段2が計時する時刻が一致すると、一致検出手段16がその一致を検出する(ステップST1)。次に、判定手段22がメロディ選択手段8に設定されている曲がアラーム報知音であるか判別し(ステップST2)、アラーム報知音であると判定するとアラーム制御手段20を有効にして音発生手段10からアラーム報知音を発生させると共にからくり制御手段26によりからくり機構24を動作させる(ステップST3)。
【0019】一方、判定手段22がメロディ選択手段8に設定されている曲が報時用メロディであると判定すると(ステップST2)、報時制御手段18を有効にする。本実施例における報時制御手段18は、時刻設定手段14に毎正時に報時を行うように設定されているとそれを判断し(ステップST4)、更に電波受信により計時時刻が正確であるかを判断する(ステップST5)。その結果、計時手段2が電波受信により正確な時刻を計時していると判断すると、正時に合せて音発生手段10から「ピッ、ピッ、ポーン」という時報音を発生させて時報を行い(ステップST6)、それに続いて報時用メロディを発生させると共にからくり制御手段26によりからくり機構24を動作させる(ステップST7)。
【0020】また、報時制御手段18は、ステップST5にて、電波受信されておらず、計時時刻が正確であるか判断できない場合には、報時音を発生させることなくステップST3にて音発生手段10から報時用メロディを発生させると共にからくり制御手段26によりからくり機構24を動作させる。
【0021】更に、本実施例における報時制御手段18は、時刻設定手段14に任意時刻に報時を行うように設定されていると判断すると(ステップST4)、その任意時刻が正時である場合には前述した毎正時における報時動作と同様の判断及び動作を行い(ステップST8,ST5,ST6,ST7)、任意時刻が正時以外の時刻である場合には時報音を発することなく報時用メロディを発生させると共にからくり機構24を動作させる(ステップST8,ST3)。
【0022】上記のように、メロディ選択手段8にアラーム報知音が選択設定されている場合には、判定手段22によりアラーム制御手段20が有効となり、仮に時刻設定手段14に7時00分等の正時が設定されていたとしても、報時は行われず、アラーム報知音が発生され、アラーム報知が優先的に行われる。
【0023】尚、本実施例においては、報時用メロディとアラーム報知音により報時とアラーム報知を明確に判別するようにしているが、これに加えてからくり機構24の動作を行わせたり、動作を行わないようにすることで視覚的にも報時とアラーム報知を判別することができるようにすることも可能である。
【0024】即ち、図3に示すように、判定手段22がアラーム報知音が選択されていると判断し(ステップST2)、アラーム制御手段20を有効にすると、アラーム制御手段20はからくり制御手段26を作動せずに音発生手段10からアラーム報知音のみを発生させる(ステップST9)。一方、判定手段22が報時用メロディが選択されていると判断し(ステップST2)、報時制御手段18を有効にすると、報時制御手段18はからくり制御手段26を作動させてからくり機構24を動作させる(ステップST10)。これに続いて報時制御手段18は、前述したように、設定された時刻が毎正時であるか、特定の正時であるかを判断し(ステップST4,ST8)、計時時刻が電波修正されて正確であると時報音を発してから報時用メロディを発生すると共に更にからくり機構24を動作させ(ステップST5,ST6,ST7)、電波修正されていることが確認できない場合には報時用メロディを発生すると共にからくり機構24を動作させる(ステップST5,ST3)。
【0025】上記のように、アラーム報知を行うときには、アラーム報知音のみを発生させ、報時を行うときには、報時用メロディを発生させると共にからくり機構24を動作させているため、視覚的にもアラーム報知と報時を判別することが可能となる。
【0026】
【発明の効果】本発明によれば、報時とアラーム報知の際に、明確に異なる報時用メロディとアラーム報知音をそれぞれ発生するように設定しているので、報時とアラーム報知を容易に聞き分けて判別することができる。特に、本発明においては、報時用メロディ又はアラーム報知音を選択するだけで、報時機能とアラーム機能をそれぞれ有効にすることができ、モード切換スイッチを増設したり、煩雑な操作を要することがない。
【0027】また、からくり機構を設け、報時の際にからくり機構を動作させ、アラーム報知の際にはからくり機構を停止状態にしているので、視覚的にも報時とアラーム報知を容易に判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るアラーム機能付報時時計の機能説明図である。
【図2】図1に示すアラーム機能付報時時計の動作を示すフローチャートである。
【図3】図1に示すアラーム機能付報時時計の他の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
2 計時手段
4 表示部
6 メロディ選択入力手段
8 メロディ選択手段
10 音発生手段
12 設定時刻入力手段
14 時刻設定手段
16 一致検出手段
18 報時制御手段
20 アラーム制御手段
22 判定手段
24 からくり機構
26 からくり制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】 時刻を計時する計時手段と、メロディ選択入力手段と、報時用メロディとアラーム報知音を記憶し、前記メロディ選択入力手段により選択された前記報時用メロディ又はアラーム報知音を選択して設定するメロディ選択手段と、該メロディ選択手段により設定された報時用メロディ又はアラーム報知音に基づいて音を発生する音発生手段と、設定時刻入力手段と、該設定時刻入力手段の操作により正時又は任意時刻を設定する時刻設定手段と、前記計時手段が計時する時刻と前記時刻設定手段に設定された正時又は任意時刻との一致を検出する一致検出手段と、該一致検出手段が一致を検出すると前記音発生手段から報時用メロディを発生させる報時制御手段と、前記一致検出手段が一致を検出すると前記音発生手段からアラーム報知音を発生させるアラーム制御手段と、前記メロディ選択手段に報知用メロディが選択設定されると前記報時制御手段を有効にし、前記メロディ選択手段にアラーム報知音が選択設定されると前記アラーム制御手段を有効にする判定手段と、を備えることを特徴とするアラーム機能付報時時計。
【請求項2】 からくり機構と、前記報知制御手段が前記音発生手段から報時用メロディを発生させるとき及び前記アラーム制御手段が前記音発生手段からアラーム報知音を発生させるときに前記からくり機構を作動させるからくり動作制御手段と、を備えていることを特徴とする請求項1記載のアラーム機能付報時時計。
【請求項3】 からくり機構と、前記報知制御手段が前記音発生手段から報時用メロディを発生させるときにのみ前記からくり機構を作動させるからくり動作制御手段と、を備えていることを特徴とする請求項1記載のアラーム機能付報時時計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2001−337184(P2001−337184A)
【公開日】平成13年12月7日(2001.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−155532(P2000−155532)
【出願日】平成12年5月26日(2000.5.26)
【出願人】(000115773)リズム時計工業株式会社 (208)
【Fターム(参考)】