アンカーおよび雪下ろし作業方法
【課題】軽量であって設置が容易であり、しかも、雪下ろし作業を開始するまでにかかる手間を極力削減することができるアンカーを提供する。
【解決手段】剛性の高い材料で環状に形成された枠体7と、平板状に形成されこの平板の面内方向では引っ張り力に対して剛性が高い材料で構成され周辺部が枠体7に係合して枠体7の内側で枠体7に設けられた重量物支持体9とを有するアンカー1である。
【解決手段】剛性の高い材料で環状に形成された枠体7と、平板状に形成されこの平板の面内方向では引っ張り力に対して剛性が高い材料で構成され周辺部が枠体7に係合して枠体7の内側で枠体7に設けられた重量物支持体9とを有するアンカー1である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアンカーおよび雪下ろし作業方法に係り、特に、雪を錘として使用するものに関する。
【背景技術】
【0002】
産業用としては、労働安全衛生法・労働安全衛生規則に基づいて墜落防止システムの設置や安全保護具の使用が義務付けられており、上記法律や規則の規格を満たす商品が販売されている。しかし、一般家庭向けの墜落防止システム等には規格が存在しない。また、産業用の墜落防止システム等は、高額であるため商品としては一般向けに販売されていない。
【0003】
2004年の大豪雪では、一般住宅の屋根の雪下ろし作業のときの墜落事故で152人もの犠牲者(死傷者)が出ている。そして、雪下ろし作業に係る「災害の根絶に寄与」することを目的として、2005年に「雪おろし作業等安全対策研究会」が設立された。
【0004】
ところで、屋根の雪下ろしをするときの墜落防止対策として、図12で示すように、屋根に親綱200を設置し、この設置した親綱200にロープ202を介して作業者を接続する方式が採用される(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1に記載のものでは、親綱200のアンカーとして、雪を袋で包んだ雪袋204が採用されている。なお、雪袋204の代わりに、水を入れたポリタンク(灯油等を入れるための合成樹脂性のタンク)、図13に示す椀状の錘206、図14に示す平板状の錘208のいずれかが採用される場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭61−193676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、図12に示す雪袋204では、雪下ろし作業の前に袋の中に雪を詰め込む必要があり、雪下ろし作業を開始するまでに手間がかかるという問題がある。
【0008】
一方、図14に示す錘208では、質量が大きくなり、持ち運びや設置が困難になるという問題がある。また、図13に示す錘206も、質量が大きくなり、持ち運びや設置が困難になる。さらに、図13に示す錘206は、図14に示す錘208に比べて形状が煩雑であり、製作の工数がかかる。
【0009】
さらに、水を入れたポリタンクでは、この取っ手のところに親綱の端部を接続するのであるが、もともとアンカーとして製造されていないポリタンクでは取っ手の強度が不足しており、アンカーとして使用すると取っ手のところで破損してしまうおそれがあり危険である。
【0010】
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、軽量であって設置が容易であり、しかも、雪下ろし作業を開始するまでにかかる手間を極力削減することができるアンカーと、このアンカーを使用した雪下ろし作業方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、剛性の高い材料で環状に形成された枠体と、平板状に形成され、この平板の面内方向では引っ張り力に対して剛性が高い材料で構成され、周辺部が前記枠体に係合して前記枠体の内側で前記枠体に設けられた重量物支持体とを有するアンカーである。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のアンカーにおいて、前記枠体は、矩形な環状に形成されており、前記重量物支持体は、複数本のベルト材料を前記枠体の縦方向と横方向とに延伸させて配置することで構成されているアンカーである。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のアンカーにおいて、前記重量物支持体の中央部もしくはこの中央部の近傍から所定の長さ延出している連結綱を備え、前記連結綱の長手方向における所定の位置に目印が形成されているアンカーである。
【0014】
請求項4に記載の発明は、積雪前に、家屋の屋根に立て掛ける梯子が接地する地面の近傍と前記梯子が立て掛けられる側とは反対側の地面とに、請求項3に記載のアンカーを設置するアンカー設置段階と、積雪前に、前記家屋の棟を含む屋根の上を通るようにして、前記アンカー設置段階で設置されたアンカーの間に親綱を設置する親綱設置段階と、前記家屋の屋根に前記梯子を立て掛ける梯子設置段階と、前記親綱設置段階で親綱を設置し前記家屋の屋根の上に所定の積雪があった後、前記アンカーの上に所定の量の雪が存在している状態で、前記屋根の雪下ろし作業をする作業者と前記親綱とをお互いに接続し、前記作業者が、前記梯子設置段階で立て掛けた梯子を使って前記家屋の屋根に登り雪下ろしをする雪下ろし作業段階とを有する雪下ろし作業方法である。
【0015】
請求項5に記載の発明は、家屋の屋根に立て掛ける梯子が接地する地面の近傍に請求項3に記載のアンカーを、このアンカーの連結綱をほぼ垂直に保持した状態にして設置し、前記梯子が立て掛けられる側とは反対側の地面に請求項3に記載のアンカーを、このアンカーの連結綱をほぼ垂直に保持した状態にして設置するアンカー設置段階と、前記家屋の屋根の上に所定の積雪があった後、前記アンカーの上に所定の量の雪が存在している状態で、前記家屋の棟を含む屋根の上を通るようにして、前記アンカー設置段階で設置されたアンカーの間に親綱を設置する親綱設置段階と、前記家屋の屋根に前記梯子を立て掛ける梯子設置段階と、前記親綱設置段階で親綱を設置した後、前記アンカーの上に所定の量の雪が存在している状態で、前記屋根の雪下ろし作業をする作業者と前記親綱とをお互いに接続し、前記作業者が、前記梯子設置段階で立て掛けた梯子を使って前記家屋の屋根に登り雪下ろしをする雪下ろし作業段階とを有する雪下ろし作業方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、軽量であって設置が容易であり、しかも、雪下ろし作業を開始するまでにかかる手間を極力削減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係るアンカーを示す斜視図である。
【図2】アンカーを示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は(a)におけるIIB−IIB断面を示す図であり、(c)は(a)におけるIIC−IIC断面を示す図である。
【図3】アンカーを示す図であり、(a)は図2(a)におけるIIIA−IIIA断面を示す図であり、(b)は図2(a)におけるIIIB−IIIB断面を示す図であり、(c)は図2(a)におけるIIIC−IIIC断面を示す図である。
【図4】屋根の雪下ろし作業の手順を示す図である。
【図5】屋根の雪下ろし作業の手順を示す図である。
【図6】屋根の雪下ろし作業の手順を示す図である。
【図7】屋根の雪下ろし作業の手順を示す図である。
【図8】本願アンカーの他の実施形態例を示す図である。
【図9】本願アンカーの他の実施形態例を示す図である。
【図10】雪の種類と比重と積雪量とアンカーにかかる雪の重量とを示す図である。
【図11】「8」字環部材を用いた安全ブロックの設置方法を示す図である。
【図12】従来の雪下ろし作業とこの作業にアンカーとして使用される雪袋とを示す図である。
【図13】従来の雪下ろし作業に使用される雪袋の代替品を示す図である。
【図14】従来の雪下ろし作業に使用される雪袋の代替品を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態に係るアンカー1は、たとえば、図4や図6等で示すように、屋根3の雪下ろし作業をするときに屋根3の両側で親綱5を係止するための使用されるものであり、図1〜図3等で示すように、枠体7と重量物支持体(雪支持体)9とを備えて構成されている。
【0019】
枠体7は、剛性の高い材料(たとえば、ステンレス鋼等の金属材料)で環状に形成されている。すなわち、枠体7は、細長い円柱状の素材(枠体構成素材)を適宜曲げ、枠体構成素材の長手方向の一端部と他端部とをお互いに溶接等によって接合することで環状に形成されている。なお、枠体構成素材の直径は6mm程度であり、長さは、2m程度である。
【0020】
また、枠体7では、枠体構成素材が環状に曲げられたことによって枠体構成素材の中心軸が環状になっており、この環状になっている枠体構成素材の中心軸が1つの平面上に存在している。ここで、枠体構成素材の中心軸とは、直径が6mmで高さが2mの円柱状の枠体構成素材の長手方向(高さ)に延びている枠体構成素材の中心軸である。
【0021】
重量物支持体9は、平板状に形成されている。また、重量物支持体9は、金属に比べて比重が十分に小さい材料で構成されている。さらに、平板状の重量物支持体9は、この平板の面内方向(平板の厚さ方向に対して直交する任意の方向;図2(a)の紙面の展開方向)では、引っ張り力に対して剛性が高くなっている(引っ張り力に対して抵抗がある)。
【0022】
一方、平板状の重量物支持体9は、その他の力に対しては剛性がほとんど無い材料(平板の面内方向で圧縮力に対してほとんど抵抗が無く、捩りや曲げに対しても抵抗がほとんど無い材料;たとえば、詳しくは後述するベルト材料)で構成されている。
【0023】
また、重量物支持体9は、この周辺部が枠体7に係合し、枠体7の内側で枠体7に一体的に設けられている。
【0024】
さらに、重量物支持体9は、重量物支持体本体部11と係合部13とを備えて構成されている。重量物支持体本体部11の外形は、枠体7の内面の形状よりも僅かに小さくなっている(同形状であってもよい)。
【0025】
重量物支持体本体部11の外形とは、平板状の重量物支持体本体部11をこの厚さ方向から見たときの外形である。枠体7の内面とは、枠体構成素材の中心軸が存在している1つの平面に対して直交する方向から見たときに、環状の枠体7で囲まれている所定形状(たとえば矩形状)の平面である。なお、上述した枠体構成素材の中心軸は枠体7の内面上に存在している。
【0026】
重量物支持体9を枠体7に設置した状態では、重量物支持体9と枠体7とでほぼ平板状の形態になっている。また、重量物支持体9を枠体7に設置した状態では、枠体の中心軸(枠体構成素材の中心軸とは異なる軸であって、枠体7の内面の中心を通って枠体7の内面に対して直交する方向に延びている軸;図2(a)の紙面に直交する方向に延びている軸)C1の延伸方向と、重量物支持体本体部11(重量物支持体9)の厚さ方向とがお互いにほぼ一致して、枠体7の内面に重量物支持体本体部11が存在している。
【0027】
さらに、重量物支持体9を枠体7に設置した状態では、枠体7の中心軸C1の延伸方向では、枠体7の内面の位置と重量物支持体本体部11(重量物支持体9)の位置とがお互いにほぼ一致している(図2(b)等参照)。
【0028】
また、重量物支持体9を枠体7に設置した状態を枠体7の中心軸C1の延伸方向から見ると、重量物支持体本体部11の外周(外形)と枠体7の内面(内面の外周;枠体7の内周)との間には、所定の僅かな幅の間隙15が形成されており、重量物支持体本体部11は、この外周の複数箇所から外側に突出した係合部13によって枠体7に係合し、枠体7に支持されている(図2(a)参照)。
【0029】
なお、重量物支持体9を枠体7に設置した状態では、重量物支持体9に引っ張り力(重量物支持体本体部11の面内方向での引っ張り力)は発生しておらず、したがって、重量物支持体9は僅かに弛んでいるが、重量物支持体9が弛んでいないか、もしくは、重量物支持体9に引っ張り力が僅かに発生している構成であってもよい。
【0030】
また、アンカー1には、図1等で示すように、連結綱17が設けられている。連結綱17は、この長手方向の一端部(基端部)が重量物支持体9に係合して重量物支持体9に一体的に設けられており、重量物支持体9の中央部もしくはこの中央部の近傍から所定の長さ延出している。
【0031】
連結綱17の長手方向における所定の位置には目印(雪の深さを示す目印)29が形成されている。
【0032】
さらに説明すると、連結綱17は、重量物支持体本体部11の厚さ方向の一方の面の中央部から所定の長さ延出しており、連結綱17の他端部(先端部)に親綱5が接続される。
【0033】
連結綱17の長さは、1m〜3m程度(たとえば1.5m)であり、連結綱17の長手方向で基端部から1mのところに、目印29が付けられている。具体的には、連結綱17の長手方向で基端部と基端部から1mのところとの間の部位31における色がたとえば赤色に染色されており、連結綱17の長手方向で基端部から1mのところと先端部との間の部位における色(たとえば、連結綱17本来の色である黄色)と異なっている。
【0034】
なお、目印29として、基端部から1mのところ(目印29のところのみ)における連結綱17の色を、連結綱17の他の部位の色と変えた構成を採用してもよいし、基端部から1mのところにタグ等を一体的に設けた構成を採用してもよい。
【0035】
また、目印29として、連結綱17の長手方向で基端部と基端部から1mのところとの間の部位31を、筒状の熱収縮フィルム(たとえば、連結綱17と異なる色のフィルム)で覆い、熱収縮フィルムを連結綱17に一体的に設けた構成を採用してもよい。
【0036】
ここで、アンカー1についてさらに詳しく説明する。説明の便宜にために、枠体7(アンカー1)における1つの方向(アンカー1の厚さ方向と直交する1つの方向;枠体7の中心軸C1と直交する1つの方向)を横方向とし、枠体7(アンカー1)における1つの方向であって横方向に直交する方向(アンカー1の厚さ方向と直交する他の1つの方向)を縦方向とする(図2(a)等参照)。
【0037】
また、枠体7の中心軸C1の延伸方向をアンカー1(枠体7)の厚さ方向(表裏方向)とし、連結綱17が延伸している側をおもて側とし、おもて側の反対側を裏側とする(図2(b)参照)。なお、アンカー1は、縦方向および横方向で対称形状に構成されている。
【0038】
アンカー1の枠体7は、図2(a)等で示すように、矩形な環状(たとえば、1辺の長さが50cm程度の正方形状)に形成されている。すなわち、枠体7の中心軸C1の延伸方向から見たときに枠体7は「ロ」字状に形成されている。
【0039】
重量物支持体9は、複数本のベルト材料19,21,23,25を枠体7の縦方向と横方向とに延伸させて配置することで構成されている。
【0040】
ベルト材料19,21,23,25として、たとえば、ナイロン等の化学繊維等を織ることで帯状に形成されている安全帯用もの(荷を拘束するために使用される物等、市販されており他の用途に使用されるものであってもよい。)が使用される。
【0041】
ベルト材料19,21,23,25は、この長手方向の断面形状が矩形状になっている。この矩形の横方向の寸法がベルト材料19,21,23,25の幅寸法になり、矩形の高さ方向の寸法が、ベルト材料19,21,23,25の厚さ寸法になる。なお、矩形の高さ方向の寸法は、矩形の横方向の寸法に比べてかなり小さくなっている。
【0042】
重量物支持体本体部11は、所定の長さベルト材料19,21,23,25を、枠体7の縦方向と横方向とに延伸させ格子状に配置して、矩形状に形成されている。
【0043】
係合部13は、たとえば、重量物支持体本体部11の外周部で8箇所に形成されている。一対の係合部(2つの係合部)13Aは、枠体7の横方向の中央部で枠体7に係合しており、他の一対の係合部(2つの係合部)13Bは、枠体7の縦方向の中央部で枠体7に係合しており、残りの4つの係合部13Cは、枠体7の角部の近傍で枠体7に係合している。
【0044】
さらに説明すると、重量物支持体9は、図2(a)等で示すように、枠体7の縦方向に延伸している5本のベルト材料(縦方向延伸幅広ベルト材料)19と、枠体7の縦方向に延伸している2本のベルト材料(縦方向延伸幅狭ベルト材料)21と、枠体7の横方向に延伸している3本のベルト材料(横方向延伸幅狭ベルト材料)23と、枠体7の横方向に短く延伸している1本のベルト材料(横方向短延伸幅狭ベルト材料)25とを備えて構成されている。なお、幅広ベルト材料19の幅は、幅狭ベルト材料21,23,25の幅よりも広くなっており、幅広ベルト材料19の厚さは、幅狭ベルト材料21,23,25の厚さよりも僅かに厚くなっている。各幅狭ベルト材料21,23,25の幅は、お互いがほぼ等しくなっており、各幅狭ベルト材料21,23,25の厚さは、お互いがほぼ等しくなっている。
【0045】
5本の縦方向延伸幅広ベルト材料19は、枠体7(アンカー1)の横方向で、所定の僅かな間隔(たとえば間隙15と同程度の幅の間隔;縦方向延伸幅広ベルト材料19の幅寸法よりも小さい間隔)をあけて並んで配置されている。縦方向延伸幅広ベルト材料19の幅方向は、枠体7の横方向と一致している。また、5本の縦方向延伸幅広ベルト材料19の間の間隔や間隙15が形成されていても、ここから雪が漏れることはなく、したがって、アンカー1は、50cm×50cmの面積で雪の重量を受けることになる。
【0046】
ここで、枠体7の横方向の一端部から他端部に向かって並んでいる5本の縦方向延伸幅広ベルト材料19のそれぞれを、第1の縦方向延伸幅広ベルト材料19A〜第5の縦方向延伸幅広ベルト材料19Eとする。第3の縦方向延伸幅広ベルト材料19Cを除く4本の縦方向延伸幅広ベルト材料19A,19B,19D,19Eの長さは、枠体7の内面の縦方向の寸法よりも僅かに短かくなっている。
【0047】
第3の縦方向延伸幅広ベルト材料19Cは、枠体7横方向で枠体7の中央部に位置しており、枠体7の内面の縦方向の寸法よりも長くなっている。そして、第3の縦方向延伸幅広ベルト材料19Cの長手方向の一端部側の部位が、枠体7(枠体7の縦方向の一端部に位置している枠体構成素材)に巻き掛けられ約180°の角度で折り返されている。
【0048】
この折り返された部位(枠体7の縦方向の一端部からこの近傍にかけて延伸している部位)が、第3の縦方向延伸幅広ベルト材料19Cの折り返されていない部位に重なっているとともに、第3の縦方向延伸幅広ベルト材料19Cの折り返されていない部位に、たとえば、縫合糸(図示せず)により縫合されて接合されている(図3(c)参照)。第3の縦方向延伸幅広ベルト材料19Cの折り返されていない部位とは、枠体7の縦方向の一端部に位置している枠体構成素材と、枠体7の縦方向の他端部に位置している枠体構成素材との間を延伸している部位である。
【0049】
そして、第3の縦方向延伸幅広ベルト材料19Cの長手方向の一端部側に係合部(枠体7の横方向の中央部で枠体7に係合している一対の係合部13Aのうちの一方の係合部;図2(a)の下の係合部)13Aが形成されている。
【0050】
同様にして、第3の縦方向延伸幅広ベルト材料19Cの長手方向の他端部側にも係合部(枠体の横方向の中央部で枠体に係合している一対の係合部のうちの他方の係合部;図2(a)の上の係合部)13Aが形成されている。
【0051】
2本の縦方向延伸幅狭ベルト材料21のそれぞれは、枠体7(アンカー1)の横方向で所定の間隔をあけて並んで設けられている。なお、縦方向延伸幅狭ベルト材料21の幅方向は、枠体7の横方向と一致している。
【0052】
ここで、枠体7の横方向の一端部側に位置している縦方向延伸幅狭ベルト材料21を、第1の縦方向延伸幅狭ベルト材料21Aとし、枠体7の横方向の他端部側に位置している縦方向延伸幅狭ベルト材料21を、第2の縦方向延伸幅狭ベルト材料21Bとする。
【0053】
第1の縦方向延伸幅狭ベルト材料21Aと第2の縦方向延伸幅狭ベルト材料21Bは、第3の縦方向延伸幅広ベルト材料19Cと同じ長さになっている。また、第1の縦方向延伸幅狭ベルト材料21Aと第2の縦方向延伸幅狭ベルト材料21Bは、第3の縦方向延伸幅広ベルト材料19Cと同様にして、両端部が枠体7に巻き掛けられ180°の角度で折り返されて枠体7に係合し、係合部(枠体の角部の近傍で枠体に係合している4つの係合部)13Cを形成している(図3(a)参照)。
【0054】
枠体7の中心軸C1の延伸方向から見ると、図2(a)で示すように、第1の縦方向延伸幅狭ベルト材料21A(係合部13Cを形成している部位を除く)は、第1の縦方向延伸幅広ベルト材料19Aと重なっている。さらに説明すると、第1の縦方向延伸幅狭ベルト材料21Aの幅方向の一端部が、第1の縦方向延伸幅広ベルト材料19Aの幅方向の一端部と重なっている。
【0055】
同様にして、枠体7の中心軸C1の延伸方向から見ると、第2の縦方向延伸幅狭ベルト材料21B(係合部13Cを形成している部位を除く)は、第5の縦方向延伸幅広ベルト材料19Eと重なっている。さらに説明すると、第2の縦方向延伸幅狭ベルト材料21Bの幅方向の他端部が、第5の縦方向延伸幅広ベルト材料19Eの幅方向の他端部と重なっている。
【0056】
なお、第1の縦方向延伸幅狭ベルト材料21Aは、第1の縦方向延伸幅広ベルト材料19Aの裏側に位置し、第2の縦方向延伸幅狭ベルト材料21Bは、第5の縦方向延伸幅広ベルト材料19Eの裏側に位置している。
【0057】
3本の横方向延伸幅狭ベルト材料23のそれぞれは、枠体7(アンカー1)の縦方向で所定の間隔をあけて並んで設けられている。なお、横方向延伸幅狭ベルト材料23の幅方向は、枠体7の縦方向と一致している。
【0058】
ここで、枠体7の縦方向の一端部から他端部に向かって並んでいる3本の横方向延伸幅狭ベルト材料23のそれぞれを、第1の横方向延伸幅狭ベルト材料23A〜第3の横方向延伸幅狭ベルト材料23Cとする。
【0059】
第1の横方向延伸幅狭ベルト材料23Aと第3の横方向延伸幅狭ベルト材料23Cは、第1の縦方向延伸幅広ベルト材料19Aと同じ長さになっている。第2の横方向延伸幅狭ベルト材料23Bは、係合部13と詳しくは後述する連結綱係合部27の分だけ、第3の縦方向延伸幅広ベルト材料19Cよりも長くなっている。第2の横方向延伸幅狭ベルト材料23Bは、第3の縦方向延伸幅広ベルト材料19Cと同様にして、両端部が枠体7に巻き掛けられ180°の角度で折り返されて枠体7に係合し、係合部13B(他の一対の係合部)を形成している(図2(b)参照)。
【0060】
枠体7の中心軸C1の延伸方向から見ると、各横方向延伸ベルト材料23,25は、各縦方向延伸ベルト材料19,21と交差して格子状に配置されている(図2(a)参照)。
【0061】
枠体7の中心軸C1の延伸方向から見ると、第1の横方向延伸幅狭ベルト材料23Aは、各縦方向延伸幅広ベルト材料19の長手方向の一端部側(枠体7の縦方向における一端部側)に位置している。さらに詳しくは、第1の横方向延伸幅狭ベルト材料23Aの幅方向の一端部が、各縦方向延伸幅広ベルト材料19の長手方向の一端部と重なっているかもしくは各縦方向延伸幅広ベルト材料19の長手方向の一端部から僅かに離れている。
【0062】
枠体7の中心軸C1の延伸方向から見ると、第3の横方向延伸幅狭ベルト材料23Cは、各縦方向延伸幅広ベルト材料19の長手方向の他端部側(枠体7の縦方向における他端部側)に位置している。さらに詳しくは、第3の横方向延伸幅狭ベルト材料23Cの幅方向の他端部が、各縦方向延伸幅広ベルト材料19の長手方向の他端部と重なっているかもしくは各縦方向延伸幅広ベルト材料19の長手方向の他端部から僅かに離れている。
【0063】
また、枠体7の中心軸C1の延伸方向から見ると、第2の横方向延伸幅狭ベルト材料23Bは、各縦方向延伸幅広ベルト材料19の長手方向の中央に位置している。第2の横方向延伸幅狭ベルト材料23Bは、前述したように、第3の縦方向延伸幅広ベルト材料19Cよりも長くなっており、この長くなっている分で、長手方向の中央部に、「U」字状もしくは「V」字状の連結綱係合部27が形成されている(図2(b)参照)。
【0064】
横方向短延伸幅狭ベルト材料25は、第2の横方向延伸幅狭ベルト材料23Bよりも短くなっている。また、横方向短延伸幅狭ベルト材料25は、枠体7の横方向に長く延びており、枠体7の縦方向では、第2の横方向延伸幅狭ベルト材料23Bと同じところに位置している。横方向短延伸幅狭ベルト材料25は、枠体7の横方向では、枠体7の中央部に位置しており、第2の縦方向延伸幅広ベルト材料19Bから第4の縦方向延伸幅広ベルト材料19Dにわたって延びている(図2(a)、(b)参照)。
【0065】
なお、各ベルト材料19,21,23,25を格子状に配置することで、枠体7の中心軸C1の延伸方向からアンカー1を見ると、各ベルト材料19,21,23,25に矩形状の重なり部分(連結綱係合部27を除く)が形成されている。アンカー1では、この重なり部分で、ベルト材料19,21,23,25同士がたとえば縫合糸(図示せず)で縫合されて一体化されており、これによって、重量物支持体9の強度が高められている。
【0066】
また、係合部13を構成しているベルト材料19,21,23の長手方向における端部(係合部13を構成するために枠体7に巻き掛けられ折り返されたベルト材料の端部)は、係合部13を構成しているベルト材料19,21,23の本体部(「ロ」字状の枠体7でお互いが対向している一対の辺部の間を延伸しているベルト材料の部位)と、係合部13を構成していないベルト材料19,21,23とで挟み込まれており、重量物支持体9の外部には、露出していない。
【0067】
たとえば、図2(b)で示すように、係合部13Bを形成しているベルト材料23Bの端部14が、ベルト材料19A(19E)とベルト材料23Bとで挟まれて隠れている。
【0068】
上述した構成の重量物支持体9は、各ベルト材料19,21,23,25と縫合糸のみで構成されていることになる。なお、縫合糸に代えてもしくは加えて接着剤を用いてベルト材料を接合してもよい。
【0069】
次に、アンカー1を用いた屋根3の雪下ろし作業について、図4、図5を参照しつつ説明する。
【0070】
まず、雪が降る前に親綱5を設置する場合の雪下ろし作業について説明する。
【0071】
図4(a)で示すように、積雪前に、家屋33の屋根3に立て掛ける梯子35が接地する地面の近傍と前記梯子が立て掛けられる側とは反対側の地面とに、アンカー1を設置する(アンカー設置段階;梯子35は図5(a)を参照)。
【0072】
家屋33の屋根3に立て掛けられた梯子35は、下端が地面に接地し、上端側の部位が屋根3の庇の端部に接触している。アンカー1はたとえば2つ設置される。一方のアンカー1は、梯子35の下端が接地している地面の近傍に設置され、他方のアンカー1は、屋根3の棟37に対して一方のアンカー1とほぼ対称な位置で地面に設置される。地面に設置されたアンカー1は、裏側の面が地面に接しており、おもて側の面が上面になっており、おもて側の面から連結綱17が延出している。
【0073】
続いて、図4(a)で示すように、積雪前に、家屋33の棟37を含む屋根3の上を通るようにして、アンカー設置段階で設置されたアンカー1の間に親綱5を設置する(親綱設置段階)。
【0074】
設置された親綱5の長手方向の一端部は、一方のアンカー1の連結綱17に接続されており、親綱5の長手方向の他端部は、他方のアンカー1の連結綱17に接続されている。この状態では、親綱5の長手方向の一端部が梯子35が接地する(梯子35が設置される)地面の近傍に設置されたアンカー1の連結綱17の上端部に接続しており、親綱5の長手方向の他端部が梯子35が接地する地面とは反対側の地面に設置されたアンカー1の連結綱17の上端部に接続している。また、親綱5と各連結綱17とは、弛みがほとんど無い状態になっており、アンカー1は地面に接地している。
【0075】
なお、家屋33の棟37とは、屋根3の一番高いところで水平方向に延伸している稜線部分である。親綱5は、棟37を有する屋根3を備えた家屋33に設置される。親綱5が設置される屋根3の種類として、切妻、寄棟、入母屋、片流れ、鋸屋根、マンサード、かまぼこ屋根等を掲げることができる。
【0076】
親綱設置段階で親綱5を屋根3に設置した状態について、切妻屋根を例に掲げて詳しく説明すると、親綱5の長手方向の中央部が、棟37の上部で棟37に接している。親綱5の長手方向の中央部から一方の側に、親綱5の一部である第1の斜面延伸部位41と第1の垂直延伸部位43(図5(b)参照)とが延びている。
【0077】
第1の斜面延伸部位41は、棟37の一方の側に存在している屋根3の斜面の上で屋根3の斜面に接触し、棟37から屋根3の一方の下端部まで、斜め下方であって棟37と直交する方向に延びている。
【0078】
第1の垂直延伸部位43は、屋根3の一方の下端部から鉛直方向で下方に延びている。第1の垂直延伸部位43の先端(下端)は、家屋33の一方の側における地面の近傍に位置しており、一方のアンカー1の連結綱17に連結されている。
【0079】
親綱5の長手方向の中央部から他方の側に延びている第2の斜面延伸部位45と第2の垂直延伸部位47と他方のアンカー1とは、棟37を含み鉛直方向に展開している平面に対して、第1の斜面延伸部位41、第1の垂直延伸部位43と一方のアンカー1と対称になっている。
【0080】
雪下ろし作業では、家屋33の屋根3に梯子35を立て掛ける(梯子設置段階;図5(a)等参照)。
【0081】
また、雪下ろし作業では、親綱設置段階で親綱5を設置し家屋33の屋根3の上に所定の積雪があった後(たとえば、雪下ろしが必要な積雪量があった後)、アンカー1の上に所定の量の雪(100cm以上の高さの雪;図4(c)参照)が存在している状態で、屋根3の雪下ろし作業をする作業者と親綱5とをお互いに接続する。
【0082】
そして、作業者が、梯子設置段階で立て掛けた梯子35を使って家屋33の屋根3に登り雪下ろしをする(雪下ろし作業段階;図5(a)等参照)。
【0083】
ここで、雪下ろし作業段階について詳しく説明する。
【0084】
雪下ろし作業段階では、アンカー1の上に所定の量の雪が存在している状態で、たとえばハーネス51を着用している作業者(地面にいる作業者)を、安全昇降用スライド器具49(図5(a)、(b)等参照)を介して親綱5に接続する。
【0085】
続いて、作業者が梯子35を昇って、屋根3の端部に到達したら、この屋根3の端部の雪下ろしをする(図5(a)参照)。さらに、作業者は、屋根3に載り(登り)親綱5近傍の部位における屋根3の雪下ろしをしながら(図5(b)参照)屋根3の棟37のところもしくは棟37の近くまで屋根3を昇る(登る)。これにより、親綱5のまわりの雪が地面に落とされ、たとえば雪がほぼ存在しない細長い溝や切り欠きが屋根3の上に形成される。
【0086】
続いて、作業者は、安全昇降用スライド器具49を安全ブロック(図示せず)に付け替える。これにより、ハーネス51(安全帯でもよい)を着用している作業者が、安全ブロックを介して親綱5に接続される。安全ブロックではロープ(安全ブロックのロープであって親綱5と作業者の間で延伸し作業者を親綱5に接続しているロープ)の延出長さは変化するので、作業者の屋根3の上での行動範囲が広くなる。
【0087】
なお、安全昇降用スライド器具49を安全ブロックに付け替える場合、安全昇降用スライド器具49を介して、作業者が親綱5に接続されている状態で、安全ブロックを介して作業者を親綱5に接続し、この後、安全昇降用スライド器具49と作業者との連結を解除する。
【0088】
雪下ろし作業が終わった後、安全ブロックを安全昇降用スライド器具49に付け替え、作業者が梯子35を使って、地面に降り安全昇降用スライド器具49と作業者との連結を解除する。なお、安全ブロックを安全昇降用スライド器具49に付け替える場合、安全ブロックを介して、作業者が親綱5に接続されている状態で、安全昇降用スライド器具49を介して作業者を親綱5に接続し、この後、安全ブロックと作業者との連結を解除することでなされる。親綱5やアンカー1は、家屋33の屋根3の雪下ろしが必要な間は、そのまま、設置しておく(図5(c)参照)。
【0089】
安全昇降用スライド器具49と安全ブロックについて説明する。
【0090】
安全昇降用スライド器具49は、ロープと把持具と連結具とを備えて構成されている。把持具はロープの一端部でロープに一体的に接続されている。連結具はロープの他端部でロープに一体的に接続されている。
【0091】
把持具は、本体、第一爪、第二爪、握り桿、連結環及び弾性体としてのバネを備えている。バネの付勢力により、本体と第一爪及び第二爪とが親綱5を挟み込んでいる。挟み込むことで、把持具は、親綱5に固定される。本体、第一爪、第二爪、連結環及びバネは、親綱5に対しての滑りを阻止する滑り阻止機構(スライドロック機構)を構成している。連結環の孔を利用して、把持具がロープに取り付けられる。
【0092】
把持具では、一方向に連結環が引かれると、第一爪及び第二爪がバネの付勢力に抗して回動する。そして、本体と第一爪及び第二爪とが親綱5の挟み込みを解除する。この把持具のスライドロック機構が解除されると、把持具が親綱5に沿って移動可能(スライド可能)になる。なお、把持具では、連結環に代えて、握り桿を一方向に移動させることでも、第一爪及び第二爪がバネの付勢力に抗して回動するようになっている。
【0093】
さらに、把持具では、前記一方向とは反対の方向に連結環が引かれると、第一爪及び第二爪がごく僅かに回動して第一爪及び第二爪が親綱5に食い込み、把持具が親綱5に固定されるようになっている、
親綱5に安全昇降用スライド器具49の把持具が連結され、連結具がハーネス51に連結される。これにより、安全昇降用スライド器具49を介して作業者が親綱5に接続されるようになっている。そして、作業者が、梯子35を昇ると、把持具が作業者の移動に伴い、親綱5に連結されたまま、親綱5に沿って移動(スライド)するようになっている。
【0094】
作業者が、梯子35を昇っている途中で作業者が足を踏み外す等して落下しそうになると、前記一方向とは反対の方向に連結環が引かれ、把持具が親綱5に強く固定され、作業者の地面への落下が阻止されるようになっている。なお、握り桿を作業者が適宜操作することで、把持具が親綱5に着脱自在になっている。
【0095】
安全ブロックは、前述したように、ハーネス51の着用者(作業者)と親綱5とをお互いにつなぐためのものである。安全ブロックを介して親綱5につながっているハーネス51の着用者は、単にロープでつながっている場合に比べて、屋根3上での行動範囲が広がっている。
【0096】
詳しく説明すると、安全ブロックは、図示しない墜落防止器具本体部とフックとカラビナ53(図11参照)とを備えて構成されている。墜落防止器具本体部(巻取器)は、筐体部と、この筐体部から延出しているロープとを備えている。筐体部からのロープの延出長さは、最大6m程度である。ロープは筐体部の内部に設けられているロープ巻き取り保持機構で支持されている。
【0097】
安全ブロックのカラビナ53は、墜落防止器具本体部の筐体部に設けられており、安全ブロックのフックは、ロープの先端に設けられている。そして、安全ブロックのカラビナ53が、親綱5に係合して、墜落防止器具本体部が親綱5に接続されるようになっている。また、安全ブロックのフックがハーネス51に設置され、ロープとハーネス51とが接続されるようになっている。
【0098】
さらに、ロープに大きな加速度や大きな引っ張り力(人の体重程度の力)が加わっていない場合には、ロープは、この長さが短くなるように、僅かな力(たとえば1kgf程度の力)で、筐体部内に巻き取られるようになっている。そして、ハーネス51の着用者の移動に応じて筐体部からの延出長さが適宜変化するようになっている。
【0099】
すなわち、安全ブロックを介してハーネス51の着用者と親綱5とをつないだ場合、ハーネス51の着用者が墜落防止器具本体部(親綱5)の近傍にいれば、ロープの延出長さがロープ巻き取り保持機構で巻き取られて自動的に短くなり、ハーネス51の着用者が墜落防止器具本体部(親綱5)の遠くにいれば、ハーネス51の着用者に引っ張られてロープの延出長さが長くなるのである。
【0100】
また、ロープに大きな加速度が加わった場合には、ロープは、墜落防止器具本体部に係止され(ロックされ)、ロープと墜落防止器具本体部とが一体化し、ロープが墜落防止器具本体部から延出できなくなる。これにより、ハーネス51の着用者の地面への墜落が防止されるようになっている。
【0101】
ここで、安全ブロックの親綱5への設置(たとえば「8」字環部材55)について図11を参照しつつ説明する。
【0102】
まず、「8」字環部材55の一方の貫通孔に親綱5の第1の湾曲部位57を挿入し、「8」字環部材55の他方の貫通孔に親綱5の第2の湾曲部位59を挿入する(図11(a),(b)参照)。
【0103】
続いて、「8」字環部材55の一方の貫通孔に挿入された第1の湾曲部位57に、「8」字環部材55の他方の貫通孔に挿入された第2の湾曲部位59を挿入し(図11(c)参照)、この挿入された第2の湾曲部位59にカラビナ53を設置する(図11(d)参照)。
【0104】
続いて、各湾曲部位57,59から一方の側に延出している親綱5の部位を引っ張り、各湾曲部位57,59から他方の側に延出している親綱5の部位を引っ張ることにより、「8」字環部材55が親綱5に一体的に設置される。
【0105】
このようにして、「8」字環部材55を親綱5に設置すれば、親綱5と「8」字環部材55との間の摩擦力が大きくなり、親綱5の任意の位置に「8」字環部材55を確実に設置し固定することができる。
【0106】
次に、雪が降った後に親綱5を設置する場合の雪下ろし作業について、図6、図7を参照しつつ説明する。
【0107】
まず、積雪前に、家屋33の屋根3に立て掛ける梯子35が接地する地面の近傍にアンカー1を、アンカー1の連結綱17をほぼ垂直に保持した状態にして設置し、梯子35が立て掛けられる側とは反対側の地面にもアンカー1を、アンカー1の連結綱17をほぼ垂直に保持した状態にして設置する(アンカー設置段階;図6(a)参照)。
【0108】
アンカー設置段階では、たとえば、アンカー1の連結綱17の先端部を家屋33の壁に設けられているフック61に掛けることで、アンカー1の連結綱17をできるだけ垂直に保持した状態にしておく。
【0109】
なお、積雪があった後にアンカー1を設置する場合、雪の上にアンカー1を設置してもよいが、雪が積もっているところに穴を掘って(アンカー1を設置する場所の雪を排除して)アンカー1を設置してもよい、この場合、地面が露出するまで雪を排除してもよいし、地面が露出するまで雪を排除しなくてもよい。
【0110】
続いて、家屋33の屋根3の上に所定の積雪があった後(たとえば、雪下ろしが必要な積雪量があった後)、アンカー1の上に所定の量の雪(100cm以上の高さの雪;図6(c)参照)が存在しており、アンカー1の連結綱17の上端部が雪の上面から突出している状態で、アンカー設置段階で設置されたアンカー1の間に親綱5を設置する(親綱設置段階;図6(b)、図7(a)参照)。
【0111】
親綱設置段階で設置された親綱5は、棟37を含む家屋33の屋根3の上を通り、長手方向の一端部が梯子35の接地する地面の近傍に設置されたアンカー1の連結綱17の上端部(上端部)に接続されており、長手方向の他端部が反対側の地面に設置されたアンカー1の連結綱17の上端部(上端部)に接続されている。
【0112】
親綱設置段階で親綱5を設置する場合、たとえば、親綱5に人の体重程度の張力がかけられるものとする。これにより、屋根3の上に積もった雪に親綱5がめり込み、親綱5が屋根3の近傍に位置して親綱5の位置が安定する。
【0113】
続いて、家屋33の屋根3に梯子35を立て掛ける(梯子設置段階)。
【0114】
続いて、図4や図5で示す場合と同様にして、親綱設置段階で親綱5を設置した後、アンカー1の上に所定の量の雪が存在している状態で、屋根3の雪下ろし作業をする作業者と親綱5とをお互いに接続し、作業者が、梯子設置段階で立て掛けた梯子35を使って家屋33の屋根3に登り雪下ろしをする(雪下ろし作業段階)。
【0115】
アンカー1を用いた雪下ろし作業では、アンカー1が金属等の枠体7とベルト材料等の軽量な重量物支持体9とで平板状に構成され軽量化されており、設置が容易になっているとともに、アンカー1の設置後に雪が降って積もることを単に待って、雪が積もった後に雪下ろしをすればよいので、雪下ろしを開始するまでにかかる手間を極力削減する。
【0116】
また、雪袋をアンカーとして使用すると、雪袋が雪の中に隠れていないことがあり、これによって雪袋が破損するおそれがあるが、アンカー1は、雪の中に埋もれた状態で使用されるので、アンカー1が破損することはない。
【0117】
また、アンカーを用いた雪下ろし作業では、連結綱17の長手方向における所定の位置に目印29が形成されているので、アンカー1の上に積もった雪の高さ(雪の重量)を作業者が目視で簡単に知ることができ、雪下ろし作業を安全に行うことができる。
【0118】
また、重量物支持体9が複数本のベルト材料で構成されているので、重量や製作コストを増やすことなく重量物支持体9の強度を高めたアンカー1を容易に得ることができる。
【0119】
なお、アンカー1の上部に積もっている雪の量(深さ)が少ないにもかかわらず雪下ろし作業をする必要がある場合には、図6(d)で示すように、四角錐台状もしくは円錐台上に雪を盛ればよい。
【0120】
ここで、アンカー1の横方向の寸法を50cmとしアンカー1の縦方向の寸法を50cmとしたときにおけるアンカー1の支持力(アンカー1の連結綱17をほぼ鉛直方向で上方に引っ張ったときにアンカー1が上方に移動し始めるときの力)と、雪の積雪量(アンカー1の上に積もった雪の高さ)との関係を、図10に示す。ただし、図10で示してある「kg」の単位は重量を示している。
【0121】
親綱5で作業者(重量85kg)を支持して雪下ろし作業をしているときにする場合、作業者が屋根3から転落しそうになり、親綱5とアンカー1とで支持されるとすると、アンカー1の支持力は、85kgfよりも小さい50kgf(約500N)以上であればよい。この理由は、親綱5と屋根3との間に摩擦力等が発生しているからである。
【0122】
図10において、比重0.08g/cm3の新雪では、たとえアンカー1の上に100cm積もったとしても、20kgf(約200N)の支持力しか得ることができない。しかし、実際には新雪が100cm積もると、新雪の表面の比重は0.08g/cm3であるが、新雪の下のほうの比重は、重力で押しつぶされて大きくなる。そして新雪の場合であってもアンカー1の上に100cm積もれば、アンカー1で100kgf(約1kN)の支持力を得ることができる。
【0123】
ところで、上述したアンカー1では、重量物支持体9としてベルト材料を使用しているが、図8で示すように、重量物支持体本体部11を1枚の矩形状の布状体63で構成してよい。また、図9で示すように、枠体7aを円環状に形成し、重量物支持体本体部11を1枚の円形状の布状体63で構成してよい。
【符号の説明】
【0124】
1 アンカー
3 屋根
5 親綱
7、7a 枠体
9 重量物支持体
17 連結綱
19、21、23、25 ベルト材料
29 目印
33 家屋
35 梯子
37 棟
【技術分野】
【0001】
本発明はアンカーおよび雪下ろし作業方法に係り、特に、雪を錘として使用するものに関する。
【背景技術】
【0002】
産業用としては、労働安全衛生法・労働安全衛生規則に基づいて墜落防止システムの設置や安全保護具の使用が義務付けられており、上記法律や規則の規格を満たす商品が販売されている。しかし、一般家庭向けの墜落防止システム等には規格が存在しない。また、産業用の墜落防止システム等は、高額であるため商品としては一般向けに販売されていない。
【0003】
2004年の大豪雪では、一般住宅の屋根の雪下ろし作業のときの墜落事故で152人もの犠牲者(死傷者)が出ている。そして、雪下ろし作業に係る「災害の根絶に寄与」することを目的として、2005年に「雪おろし作業等安全対策研究会」が設立された。
【0004】
ところで、屋根の雪下ろしをするときの墜落防止対策として、図12で示すように、屋根に親綱200を設置し、この設置した親綱200にロープ202を介して作業者を接続する方式が採用される(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1に記載のものでは、親綱200のアンカーとして、雪を袋で包んだ雪袋204が採用されている。なお、雪袋204の代わりに、水を入れたポリタンク(灯油等を入れるための合成樹脂性のタンク)、図13に示す椀状の錘206、図14に示す平板状の錘208のいずれかが採用される場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭61−193676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、図12に示す雪袋204では、雪下ろし作業の前に袋の中に雪を詰め込む必要があり、雪下ろし作業を開始するまでに手間がかかるという問題がある。
【0008】
一方、図14に示す錘208では、質量が大きくなり、持ち運びや設置が困難になるという問題がある。また、図13に示す錘206も、質量が大きくなり、持ち運びや設置が困難になる。さらに、図13に示す錘206は、図14に示す錘208に比べて形状が煩雑であり、製作の工数がかかる。
【0009】
さらに、水を入れたポリタンクでは、この取っ手のところに親綱の端部を接続するのであるが、もともとアンカーとして製造されていないポリタンクでは取っ手の強度が不足しており、アンカーとして使用すると取っ手のところで破損してしまうおそれがあり危険である。
【0010】
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、軽量であって設置が容易であり、しかも、雪下ろし作業を開始するまでにかかる手間を極力削減することができるアンカーと、このアンカーを使用した雪下ろし作業方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、剛性の高い材料で環状に形成された枠体と、平板状に形成され、この平板の面内方向では引っ張り力に対して剛性が高い材料で構成され、周辺部が前記枠体に係合して前記枠体の内側で前記枠体に設けられた重量物支持体とを有するアンカーである。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のアンカーにおいて、前記枠体は、矩形な環状に形成されており、前記重量物支持体は、複数本のベルト材料を前記枠体の縦方向と横方向とに延伸させて配置することで構成されているアンカーである。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のアンカーにおいて、前記重量物支持体の中央部もしくはこの中央部の近傍から所定の長さ延出している連結綱を備え、前記連結綱の長手方向における所定の位置に目印が形成されているアンカーである。
【0014】
請求項4に記載の発明は、積雪前に、家屋の屋根に立て掛ける梯子が接地する地面の近傍と前記梯子が立て掛けられる側とは反対側の地面とに、請求項3に記載のアンカーを設置するアンカー設置段階と、積雪前に、前記家屋の棟を含む屋根の上を通るようにして、前記アンカー設置段階で設置されたアンカーの間に親綱を設置する親綱設置段階と、前記家屋の屋根に前記梯子を立て掛ける梯子設置段階と、前記親綱設置段階で親綱を設置し前記家屋の屋根の上に所定の積雪があった後、前記アンカーの上に所定の量の雪が存在している状態で、前記屋根の雪下ろし作業をする作業者と前記親綱とをお互いに接続し、前記作業者が、前記梯子設置段階で立て掛けた梯子を使って前記家屋の屋根に登り雪下ろしをする雪下ろし作業段階とを有する雪下ろし作業方法である。
【0015】
請求項5に記載の発明は、家屋の屋根に立て掛ける梯子が接地する地面の近傍に請求項3に記載のアンカーを、このアンカーの連結綱をほぼ垂直に保持した状態にして設置し、前記梯子が立て掛けられる側とは反対側の地面に請求項3に記載のアンカーを、このアンカーの連結綱をほぼ垂直に保持した状態にして設置するアンカー設置段階と、前記家屋の屋根の上に所定の積雪があった後、前記アンカーの上に所定の量の雪が存在している状態で、前記家屋の棟を含む屋根の上を通るようにして、前記アンカー設置段階で設置されたアンカーの間に親綱を設置する親綱設置段階と、前記家屋の屋根に前記梯子を立て掛ける梯子設置段階と、前記親綱設置段階で親綱を設置した後、前記アンカーの上に所定の量の雪が存在している状態で、前記屋根の雪下ろし作業をする作業者と前記親綱とをお互いに接続し、前記作業者が、前記梯子設置段階で立て掛けた梯子を使って前記家屋の屋根に登り雪下ろしをする雪下ろし作業段階とを有する雪下ろし作業方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、軽量であって設置が容易であり、しかも、雪下ろし作業を開始するまでにかかる手間を極力削減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係るアンカーを示す斜視図である。
【図2】アンカーを示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は(a)におけるIIB−IIB断面を示す図であり、(c)は(a)におけるIIC−IIC断面を示す図である。
【図3】アンカーを示す図であり、(a)は図2(a)におけるIIIA−IIIA断面を示す図であり、(b)は図2(a)におけるIIIB−IIIB断面を示す図であり、(c)は図2(a)におけるIIIC−IIIC断面を示す図である。
【図4】屋根の雪下ろし作業の手順を示す図である。
【図5】屋根の雪下ろし作業の手順を示す図である。
【図6】屋根の雪下ろし作業の手順を示す図である。
【図7】屋根の雪下ろし作業の手順を示す図である。
【図8】本願アンカーの他の実施形態例を示す図である。
【図9】本願アンカーの他の実施形態例を示す図である。
【図10】雪の種類と比重と積雪量とアンカーにかかる雪の重量とを示す図である。
【図11】「8」字環部材を用いた安全ブロックの設置方法を示す図である。
【図12】従来の雪下ろし作業とこの作業にアンカーとして使用される雪袋とを示す図である。
【図13】従来の雪下ろし作業に使用される雪袋の代替品を示す図である。
【図14】従来の雪下ろし作業に使用される雪袋の代替品を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態に係るアンカー1は、たとえば、図4や図6等で示すように、屋根3の雪下ろし作業をするときに屋根3の両側で親綱5を係止するための使用されるものであり、図1〜図3等で示すように、枠体7と重量物支持体(雪支持体)9とを備えて構成されている。
【0019】
枠体7は、剛性の高い材料(たとえば、ステンレス鋼等の金属材料)で環状に形成されている。すなわち、枠体7は、細長い円柱状の素材(枠体構成素材)を適宜曲げ、枠体構成素材の長手方向の一端部と他端部とをお互いに溶接等によって接合することで環状に形成されている。なお、枠体構成素材の直径は6mm程度であり、長さは、2m程度である。
【0020】
また、枠体7では、枠体構成素材が環状に曲げられたことによって枠体構成素材の中心軸が環状になっており、この環状になっている枠体構成素材の中心軸が1つの平面上に存在している。ここで、枠体構成素材の中心軸とは、直径が6mmで高さが2mの円柱状の枠体構成素材の長手方向(高さ)に延びている枠体構成素材の中心軸である。
【0021】
重量物支持体9は、平板状に形成されている。また、重量物支持体9は、金属に比べて比重が十分に小さい材料で構成されている。さらに、平板状の重量物支持体9は、この平板の面内方向(平板の厚さ方向に対して直交する任意の方向;図2(a)の紙面の展開方向)では、引っ張り力に対して剛性が高くなっている(引っ張り力に対して抵抗がある)。
【0022】
一方、平板状の重量物支持体9は、その他の力に対しては剛性がほとんど無い材料(平板の面内方向で圧縮力に対してほとんど抵抗が無く、捩りや曲げに対しても抵抗がほとんど無い材料;たとえば、詳しくは後述するベルト材料)で構成されている。
【0023】
また、重量物支持体9は、この周辺部が枠体7に係合し、枠体7の内側で枠体7に一体的に設けられている。
【0024】
さらに、重量物支持体9は、重量物支持体本体部11と係合部13とを備えて構成されている。重量物支持体本体部11の外形は、枠体7の内面の形状よりも僅かに小さくなっている(同形状であってもよい)。
【0025】
重量物支持体本体部11の外形とは、平板状の重量物支持体本体部11をこの厚さ方向から見たときの外形である。枠体7の内面とは、枠体構成素材の中心軸が存在している1つの平面に対して直交する方向から見たときに、環状の枠体7で囲まれている所定形状(たとえば矩形状)の平面である。なお、上述した枠体構成素材の中心軸は枠体7の内面上に存在している。
【0026】
重量物支持体9を枠体7に設置した状態では、重量物支持体9と枠体7とでほぼ平板状の形態になっている。また、重量物支持体9を枠体7に設置した状態では、枠体の中心軸(枠体構成素材の中心軸とは異なる軸であって、枠体7の内面の中心を通って枠体7の内面に対して直交する方向に延びている軸;図2(a)の紙面に直交する方向に延びている軸)C1の延伸方向と、重量物支持体本体部11(重量物支持体9)の厚さ方向とがお互いにほぼ一致して、枠体7の内面に重量物支持体本体部11が存在している。
【0027】
さらに、重量物支持体9を枠体7に設置した状態では、枠体7の中心軸C1の延伸方向では、枠体7の内面の位置と重量物支持体本体部11(重量物支持体9)の位置とがお互いにほぼ一致している(図2(b)等参照)。
【0028】
また、重量物支持体9を枠体7に設置した状態を枠体7の中心軸C1の延伸方向から見ると、重量物支持体本体部11の外周(外形)と枠体7の内面(内面の外周;枠体7の内周)との間には、所定の僅かな幅の間隙15が形成されており、重量物支持体本体部11は、この外周の複数箇所から外側に突出した係合部13によって枠体7に係合し、枠体7に支持されている(図2(a)参照)。
【0029】
なお、重量物支持体9を枠体7に設置した状態では、重量物支持体9に引っ張り力(重量物支持体本体部11の面内方向での引っ張り力)は発生しておらず、したがって、重量物支持体9は僅かに弛んでいるが、重量物支持体9が弛んでいないか、もしくは、重量物支持体9に引っ張り力が僅かに発生している構成であってもよい。
【0030】
また、アンカー1には、図1等で示すように、連結綱17が設けられている。連結綱17は、この長手方向の一端部(基端部)が重量物支持体9に係合して重量物支持体9に一体的に設けられており、重量物支持体9の中央部もしくはこの中央部の近傍から所定の長さ延出している。
【0031】
連結綱17の長手方向における所定の位置には目印(雪の深さを示す目印)29が形成されている。
【0032】
さらに説明すると、連結綱17は、重量物支持体本体部11の厚さ方向の一方の面の中央部から所定の長さ延出しており、連結綱17の他端部(先端部)に親綱5が接続される。
【0033】
連結綱17の長さは、1m〜3m程度(たとえば1.5m)であり、連結綱17の長手方向で基端部から1mのところに、目印29が付けられている。具体的には、連結綱17の長手方向で基端部と基端部から1mのところとの間の部位31における色がたとえば赤色に染色されており、連結綱17の長手方向で基端部から1mのところと先端部との間の部位における色(たとえば、連結綱17本来の色である黄色)と異なっている。
【0034】
なお、目印29として、基端部から1mのところ(目印29のところのみ)における連結綱17の色を、連結綱17の他の部位の色と変えた構成を採用してもよいし、基端部から1mのところにタグ等を一体的に設けた構成を採用してもよい。
【0035】
また、目印29として、連結綱17の長手方向で基端部と基端部から1mのところとの間の部位31を、筒状の熱収縮フィルム(たとえば、連結綱17と異なる色のフィルム)で覆い、熱収縮フィルムを連結綱17に一体的に設けた構成を採用してもよい。
【0036】
ここで、アンカー1についてさらに詳しく説明する。説明の便宜にために、枠体7(アンカー1)における1つの方向(アンカー1の厚さ方向と直交する1つの方向;枠体7の中心軸C1と直交する1つの方向)を横方向とし、枠体7(アンカー1)における1つの方向であって横方向に直交する方向(アンカー1の厚さ方向と直交する他の1つの方向)を縦方向とする(図2(a)等参照)。
【0037】
また、枠体7の中心軸C1の延伸方向をアンカー1(枠体7)の厚さ方向(表裏方向)とし、連結綱17が延伸している側をおもて側とし、おもて側の反対側を裏側とする(図2(b)参照)。なお、アンカー1は、縦方向および横方向で対称形状に構成されている。
【0038】
アンカー1の枠体7は、図2(a)等で示すように、矩形な環状(たとえば、1辺の長さが50cm程度の正方形状)に形成されている。すなわち、枠体7の中心軸C1の延伸方向から見たときに枠体7は「ロ」字状に形成されている。
【0039】
重量物支持体9は、複数本のベルト材料19,21,23,25を枠体7の縦方向と横方向とに延伸させて配置することで構成されている。
【0040】
ベルト材料19,21,23,25として、たとえば、ナイロン等の化学繊維等を織ることで帯状に形成されている安全帯用もの(荷を拘束するために使用される物等、市販されており他の用途に使用されるものであってもよい。)が使用される。
【0041】
ベルト材料19,21,23,25は、この長手方向の断面形状が矩形状になっている。この矩形の横方向の寸法がベルト材料19,21,23,25の幅寸法になり、矩形の高さ方向の寸法が、ベルト材料19,21,23,25の厚さ寸法になる。なお、矩形の高さ方向の寸法は、矩形の横方向の寸法に比べてかなり小さくなっている。
【0042】
重量物支持体本体部11は、所定の長さベルト材料19,21,23,25を、枠体7の縦方向と横方向とに延伸させ格子状に配置して、矩形状に形成されている。
【0043】
係合部13は、たとえば、重量物支持体本体部11の外周部で8箇所に形成されている。一対の係合部(2つの係合部)13Aは、枠体7の横方向の中央部で枠体7に係合しており、他の一対の係合部(2つの係合部)13Bは、枠体7の縦方向の中央部で枠体7に係合しており、残りの4つの係合部13Cは、枠体7の角部の近傍で枠体7に係合している。
【0044】
さらに説明すると、重量物支持体9は、図2(a)等で示すように、枠体7の縦方向に延伸している5本のベルト材料(縦方向延伸幅広ベルト材料)19と、枠体7の縦方向に延伸している2本のベルト材料(縦方向延伸幅狭ベルト材料)21と、枠体7の横方向に延伸している3本のベルト材料(横方向延伸幅狭ベルト材料)23と、枠体7の横方向に短く延伸している1本のベルト材料(横方向短延伸幅狭ベルト材料)25とを備えて構成されている。なお、幅広ベルト材料19の幅は、幅狭ベルト材料21,23,25の幅よりも広くなっており、幅広ベルト材料19の厚さは、幅狭ベルト材料21,23,25の厚さよりも僅かに厚くなっている。各幅狭ベルト材料21,23,25の幅は、お互いがほぼ等しくなっており、各幅狭ベルト材料21,23,25の厚さは、お互いがほぼ等しくなっている。
【0045】
5本の縦方向延伸幅広ベルト材料19は、枠体7(アンカー1)の横方向で、所定の僅かな間隔(たとえば間隙15と同程度の幅の間隔;縦方向延伸幅広ベルト材料19の幅寸法よりも小さい間隔)をあけて並んで配置されている。縦方向延伸幅広ベルト材料19の幅方向は、枠体7の横方向と一致している。また、5本の縦方向延伸幅広ベルト材料19の間の間隔や間隙15が形成されていても、ここから雪が漏れることはなく、したがって、アンカー1は、50cm×50cmの面積で雪の重量を受けることになる。
【0046】
ここで、枠体7の横方向の一端部から他端部に向かって並んでいる5本の縦方向延伸幅広ベルト材料19のそれぞれを、第1の縦方向延伸幅広ベルト材料19A〜第5の縦方向延伸幅広ベルト材料19Eとする。第3の縦方向延伸幅広ベルト材料19Cを除く4本の縦方向延伸幅広ベルト材料19A,19B,19D,19Eの長さは、枠体7の内面の縦方向の寸法よりも僅かに短かくなっている。
【0047】
第3の縦方向延伸幅広ベルト材料19Cは、枠体7横方向で枠体7の中央部に位置しており、枠体7の内面の縦方向の寸法よりも長くなっている。そして、第3の縦方向延伸幅広ベルト材料19Cの長手方向の一端部側の部位が、枠体7(枠体7の縦方向の一端部に位置している枠体構成素材)に巻き掛けられ約180°の角度で折り返されている。
【0048】
この折り返された部位(枠体7の縦方向の一端部からこの近傍にかけて延伸している部位)が、第3の縦方向延伸幅広ベルト材料19Cの折り返されていない部位に重なっているとともに、第3の縦方向延伸幅広ベルト材料19Cの折り返されていない部位に、たとえば、縫合糸(図示せず)により縫合されて接合されている(図3(c)参照)。第3の縦方向延伸幅広ベルト材料19Cの折り返されていない部位とは、枠体7の縦方向の一端部に位置している枠体構成素材と、枠体7の縦方向の他端部に位置している枠体構成素材との間を延伸している部位である。
【0049】
そして、第3の縦方向延伸幅広ベルト材料19Cの長手方向の一端部側に係合部(枠体7の横方向の中央部で枠体7に係合している一対の係合部13Aのうちの一方の係合部;図2(a)の下の係合部)13Aが形成されている。
【0050】
同様にして、第3の縦方向延伸幅広ベルト材料19Cの長手方向の他端部側にも係合部(枠体の横方向の中央部で枠体に係合している一対の係合部のうちの他方の係合部;図2(a)の上の係合部)13Aが形成されている。
【0051】
2本の縦方向延伸幅狭ベルト材料21のそれぞれは、枠体7(アンカー1)の横方向で所定の間隔をあけて並んで設けられている。なお、縦方向延伸幅狭ベルト材料21の幅方向は、枠体7の横方向と一致している。
【0052】
ここで、枠体7の横方向の一端部側に位置している縦方向延伸幅狭ベルト材料21を、第1の縦方向延伸幅狭ベルト材料21Aとし、枠体7の横方向の他端部側に位置している縦方向延伸幅狭ベルト材料21を、第2の縦方向延伸幅狭ベルト材料21Bとする。
【0053】
第1の縦方向延伸幅狭ベルト材料21Aと第2の縦方向延伸幅狭ベルト材料21Bは、第3の縦方向延伸幅広ベルト材料19Cと同じ長さになっている。また、第1の縦方向延伸幅狭ベルト材料21Aと第2の縦方向延伸幅狭ベルト材料21Bは、第3の縦方向延伸幅広ベルト材料19Cと同様にして、両端部が枠体7に巻き掛けられ180°の角度で折り返されて枠体7に係合し、係合部(枠体の角部の近傍で枠体に係合している4つの係合部)13Cを形成している(図3(a)参照)。
【0054】
枠体7の中心軸C1の延伸方向から見ると、図2(a)で示すように、第1の縦方向延伸幅狭ベルト材料21A(係合部13Cを形成している部位を除く)は、第1の縦方向延伸幅広ベルト材料19Aと重なっている。さらに説明すると、第1の縦方向延伸幅狭ベルト材料21Aの幅方向の一端部が、第1の縦方向延伸幅広ベルト材料19Aの幅方向の一端部と重なっている。
【0055】
同様にして、枠体7の中心軸C1の延伸方向から見ると、第2の縦方向延伸幅狭ベルト材料21B(係合部13Cを形成している部位を除く)は、第5の縦方向延伸幅広ベルト材料19Eと重なっている。さらに説明すると、第2の縦方向延伸幅狭ベルト材料21Bの幅方向の他端部が、第5の縦方向延伸幅広ベルト材料19Eの幅方向の他端部と重なっている。
【0056】
なお、第1の縦方向延伸幅狭ベルト材料21Aは、第1の縦方向延伸幅広ベルト材料19Aの裏側に位置し、第2の縦方向延伸幅狭ベルト材料21Bは、第5の縦方向延伸幅広ベルト材料19Eの裏側に位置している。
【0057】
3本の横方向延伸幅狭ベルト材料23のそれぞれは、枠体7(アンカー1)の縦方向で所定の間隔をあけて並んで設けられている。なお、横方向延伸幅狭ベルト材料23の幅方向は、枠体7の縦方向と一致している。
【0058】
ここで、枠体7の縦方向の一端部から他端部に向かって並んでいる3本の横方向延伸幅狭ベルト材料23のそれぞれを、第1の横方向延伸幅狭ベルト材料23A〜第3の横方向延伸幅狭ベルト材料23Cとする。
【0059】
第1の横方向延伸幅狭ベルト材料23Aと第3の横方向延伸幅狭ベルト材料23Cは、第1の縦方向延伸幅広ベルト材料19Aと同じ長さになっている。第2の横方向延伸幅狭ベルト材料23Bは、係合部13と詳しくは後述する連結綱係合部27の分だけ、第3の縦方向延伸幅広ベルト材料19Cよりも長くなっている。第2の横方向延伸幅狭ベルト材料23Bは、第3の縦方向延伸幅広ベルト材料19Cと同様にして、両端部が枠体7に巻き掛けられ180°の角度で折り返されて枠体7に係合し、係合部13B(他の一対の係合部)を形成している(図2(b)参照)。
【0060】
枠体7の中心軸C1の延伸方向から見ると、各横方向延伸ベルト材料23,25は、各縦方向延伸ベルト材料19,21と交差して格子状に配置されている(図2(a)参照)。
【0061】
枠体7の中心軸C1の延伸方向から見ると、第1の横方向延伸幅狭ベルト材料23Aは、各縦方向延伸幅広ベルト材料19の長手方向の一端部側(枠体7の縦方向における一端部側)に位置している。さらに詳しくは、第1の横方向延伸幅狭ベルト材料23Aの幅方向の一端部が、各縦方向延伸幅広ベルト材料19の長手方向の一端部と重なっているかもしくは各縦方向延伸幅広ベルト材料19の長手方向の一端部から僅かに離れている。
【0062】
枠体7の中心軸C1の延伸方向から見ると、第3の横方向延伸幅狭ベルト材料23Cは、各縦方向延伸幅広ベルト材料19の長手方向の他端部側(枠体7の縦方向における他端部側)に位置している。さらに詳しくは、第3の横方向延伸幅狭ベルト材料23Cの幅方向の他端部が、各縦方向延伸幅広ベルト材料19の長手方向の他端部と重なっているかもしくは各縦方向延伸幅広ベルト材料19の長手方向の他端部から僅かに離れている。
【0063】
また、枠体7の中心軸C1の延伸方向から見ると、第2の横方向延伸幅狭ベルト材料23Bは、各縦方向延伸幅広ベルト材料19の長手方向の中央に位置している。第2の横方向延伸幅狭ベルト材料23Bは、前述したように、第3の縦方向延伸幅広ベルト材料19Cよりも長くなっており、この長くなっている分で、長手方向の中央部に、「U」字状もしくは「V」字状の連結綱係合部27が形成されている(図2(b)参照)。
【0064】
横方向短延伸幅狭ベルト材料25は、第2の横方向延伸幅狭ベルト材料23Bよりも短くなっている。また、横方向短延伸幅狭ベルト材料25は、枠体7の横方向に長く延びており、枠体7の縦方向では、第2の横方向延伸幅狭ベルト材料23Bと同じところに位置している。横方向短延伸幅狭ベルト材料25は、枠体7の横方向では、枠体7の中央部に位置しており、第2の縦方向延伸幅広ベルト材料19Bから第4の縦方向延伸幅広ベルト材料19Dにわたって延びている(図2(a)、(b)参照)。
【0065】
なお、各ベルト材料19,21,23,25を格子状に配置することで、枠体7の中心軸C1の延伸方向からアンカー1を見ると、各ベルト材料19,21,23,25に矩形状の重なり部分(連結綱係合部27を除く)が形成されている。アンカー1では、この重なり部分で、ベルト材料19,21,23,25同士がたとえば縫合糸(図示せず)で縫合されて一体化されており、これによって、重量物支持体9の強度が高められている。
【0066】
また、係合部13を構成しているベルト材料19,21,23の長手方向における端部(係合部13を構成するために枠体7に巻き掛けられ折り返されたベルト材料の端部)は、係合部13を構成しているベルト材料19,21,23の本体部(「ロ」字状の枠体7でお互いが対向している一対の辺部の間を延伸しているベルト材料の部位)と、係合部13を構成していないベルト材料19,21,23とで挟み込まれており、重量物支持体9の外部には、露出していない。
【0067】
たとえば、図2(b)で示すように、係合部13Bを形成しているベルト材料23Bの端部14が、ベルト材料19A(19E)とベルト材料23Bとで挟まれて隠れている。
【0068】
上述した構成の重量物支持体9は、各ベルト材料19,21,23,25と縫合糸のみで構成されていることになる。なお、縫合糸に代えてもしくは加えて接着剤を用いてベルト材料を接合してもよい。
【0069】
次に、アンカー1を用いた屋根3の雪下ろし作業について、図4、図5を参照しつつ説明する。
【0070】
まず、雪が降る前に親綱5を設置する場合の雪下ろし作業について説明する。
【0071】
図4(a)で示すように、積雪前に、家屋33の屋根3に立て掛ける梯子35が接地する地面の近傍と前記梯子が立て掛けられる側とは反対側の地面とに、アンカー1を設置する(アンカー設置段階;梯子35は図5(a)を参照)。
【0072】
家屋33の屋根3に立て掛けられた梯子35は、下端が地面に接地し、上端側の部位が屋根3の庇の端部に接触している。アンカー1はたとえば2つ設置される。一方のアンカー1は、梯子35の下端が接地している地面の近傍に設置され、他方のアンカー1は、屋根3の棟37に対して一方のアンカー1とほぼ対称な位置で地面に設置される。地面に設置されたアンカー1は、裏側の面が地面に接しており、おもて側の面が上面になっており、おもて側の面から連結綱17が延出している。
【0073】
続いて、図4(a)で示すように、積雪前に、家屋33の棟37を含む屋根3の上を通るようにして、アンカー設置段階で設置されたアンカー1の間に親綱5を設置する(親綱設置段階)。
【0074】
設置された親綱5の長手方向の一端部は、一方のアンカー1の連結綱17に接続されており、親綱5の長手方向の他端部は、他方のアンカー1の連結綱17に接続されている。この状態では、親綱5の長手方向の一端部が梯子35が接地する(梯子35が設置される)地面の近傍に設置されたアンカー1の連結綱17の上端部に接続しており、親綱5の長手方向の他端部が梯子35が接地する地面とは反対側の地面に設置されたアンカー1の連結綱17の上端部に接続している。また、親綱5と各連結綱17とは、弛みがほとんど無い状態になっており、アンカー1は地面に接地している。
【0075】
なお、家屋33の棟37とは、屋根3の一番高いところで水平方向に延伸している稜線部分である。親綱5は、棟37を有する屋根3を備えた家屋33に設置される。親綱5が設置される屋根3の種類として、切妻、寄棟、入母屋、片流れ、鋸屋根、マンサード、かまぼこ屋根等を掲げることができる。
【0076】
親綱設置段階で親綱5を屋根3に設置した状態について、切妻屋根を例に掲げて詳しく説明すると、親綱5の長手方向の中央部が、棟37の上部で棟37に接している。親綱5の長手方向の中央部から一方の側に、親綱5の一部である第1の斜面延伸部位41と第1の垂直延伸部位43(図5(b)参照)とが延びている。
【0077】
第1の斜面延伸部位41は、棟37の一方の側に存在している屋根3の斜面の上で屋根3の斜面に接触し、棟37から屋根3の一方の下端部まで、斜め下方であって棟37と直交する方向に延びている。
【0078】
第1の垂直延伸部位43は、屋根3の一方の下端部から鉛直方向で下方に延びている。第1の垂直延伸部位43の先端(下端)は、家屋33の一方の側における地面の近傍に位置しており、一方のアンカー1の連結綱17に連結されている。
【0079】
親綱5の長手方向の中央部から他方の側に延びている第2の斜面延伸部位45と第2の垂直延伸部位47と他方のアンカー1とは、棟37を含み鉛直方向に展開している平面に対して、第1の斜面延伸部位41、第1の垂直延伸部位43と一方のアンカー1と対称になっている。
【0080】
雪下ろし作業では、家屋33の屋根3に梯子35を立て掛ける(梯子設置段階;図5(a)等参照)。
【0081】
また、雪下ろし作業では、親綱設置段階で親綱5を設置し家屋33の屋根3の上に所定の積雪があった後(たとえば、雪下ろしが必要な積雪量があった後)、アンカー1の上に所定の量の雪(100cm以上の高さの雪;図4(c)参照)が存在している状態で、屋根3の雪下ろし作業をする作業者と親綱5とをお互いに接続する。
【0082】
そして、作業者が、梯子設置段階で立て掛けた梯子35を使って家屋33の屋根3に登り雪下ろしをする(雪下ろし作業段階;図5(a)等参照)。
【0083】
ここで、雪下ろし作業段階について詳しく説明する。
【0084】
雪下ろし作業段階では、アンカー1の上に所定の量の雪が存在している状態で、たとえばハーネス51を着用している作業者(地面にいる作業者)を、安全昇降用スライド器具49(図5(a)、(b)等参照)を介して親綱5に接続する。
【0085】
続いて、作業者が梯子35を昇って、屋根3の端部に到達したら、この屋根3の端部の雪下ろしをする(図5(a)参照)。さらに、作業者は、屋根3に載り(登り)親綱5近傍の部位における屋根3の雪下ろしをしながら(図5(b)参照)屋根3の棟37のところもしくは棟37の近くまで屋根3を昇る(登る)。これにより、親綱5のまわりの雪が地面に落とされ、たとえば雪がほぼ存在しない細長い溝や切り欠きが屋根3の上に形成される。
【0086】
続いて、作業者は、安全昇降用スライド器具49を安全ブロック(図示せず)に付け替える。これにより、ハーネス51(安全帯でもよい)を着用している作業者が、安全ブロックを介して親綱5に接続される。安全ブロックではロープ(安全ブロックのロープであって親綱5と作業者の間で延伸し作業者を親綱5に接続しているロープ)の延出長さは変化するので、作業者の屋根3の上での行動範囲が広くなる。
【0087】
なお、安全昇降用スライド器具49を安全ブロックに付け替える場合、安全昇降用スライド器具49を介して、作業者が親綱5に接続されている状態で、安全ブロックを介して作業者を親綱5に接続し、この後、安全昇降用スライド器具49と作業者との連結を解除する。
【0088】
雪下ろし作業が終わった後、安全ブロックを安全昇降用スライド器具49に付け替え、作業者が梯子35を使って、地面に降り安全昇降用スライド器具49と作業者との連結を解除する。なお、安全ブロックを安全昇降用スライド器具49に付け替える場合、安全ブロックを介して、作業者が親綱5に接続されている状態で、安全昇降用スライド器具49を介して作業者を親綱5に接続し、この後、安全ブロックと作業者との連結を解除することでなされる。親綱5やアンカー1は、家屋33の屋根3の雪下ろしが必要な間は、そのまま、設置しておく(図5(c)参照)。
【0089】
安全昇降用スライド器具49と安全ブロックについて説明する。
【0090】
安全昇降用スライド器具49は、ロープと把持具と連結具とを備えて構成されている。把持具はロープの一端部でロープに一体的に接続されている。連結具はロープの他端部でロープに一体的に接続されている。
【0091】
把持具は、本体、第一爪、第二爪、握り桿、連結環及び弾性体としてのバネを備えている。バネの付勢力により、本体と第一爪及び第二爪とが親綱5を挟み込んでいる。挟み込むことで、把持具は、親綱5に固定される。本体、第一爪、第二爪、連結環及びバネは、親綱5に対しての滑りを阻止する滑り阻止機構(スライドロック機構)を構成している。連結環の孔を利用して、把持具がロープに取り付けられる。
【0092】
把持具では、一方向に連結環が引かれると、第一爪及び第二爪がバネの付勢力に抗して回動する。そして、本体と第一爪及び第二爪とが親綱5の挟み込みを解除する。この把持具のスライドロック機構が解除されると、把持具が親綱5に沿って移動可能(スライド可能)になる。なお、把持具では、連結環に代えて、握り桿を一方向に移動させることでも、第一爪及び第二爪がバネの付勢力に抗して回動するようになっている。
【0093】
さらに、把持具では、前記一方向とは反対の方向に連結環が引かれると、第一爪及び第二爪がごく僅かに回動して第一爪及び第二爪が親綱5に食い込み、把持具が親綱5に固定されるようになっている、
親綱5に安全昇降用スライド器具49の把持具が連結され、連結具がハーネス51に連結される。これにより、安全昇降用スライド器具49を介して作業者が親綱5に接続されるようになっている。そして、作業者が、梯子35を昇ると、把持具が作業者の移動に伴い、親綱5に連結されたまま、親綱5に沿って移動(スライド)するようになっている。
【0094】
作業者が、梯子35を昇っている途中で作業者が足を踏み外す等して落下しそうになると、前記一方向とは反対の方向に連結環が引かれ、把持具が親綱5に強く固定され、作業者の地面への落下が阻止されるようになっている。なお、握り桿を作業者が適宜操作することで、把持具が親綱5に着脱自在になっている。
【0095】
安全ブロックは、前述したように、ハーネス51の着用者(作業者)と親綱5とをお互いにつなぐためのものである。安全ブロックを介して親綱5につながっているハーネス51の着用者は、単にロープでつながっている場合に比べて、屋根3上での行動範囲が広がっている。
【0096】
詳しく説明すると、安全ブロックは、図示しない墜落防止器具本体部とフックとカラビナ53(図11参照)とを備えて構成されている。墜落防止器具本体部(巻取器)は、筐体部と、この筐体部から延出しているロープとを備えている。筐体部からのロープの延出長さは、最大6m程度である。ロープは筐体部の内部に設けられているロープ巻き取り保持機構で支持されている。
【0097】
安全ブロックのカラビナ53は、墜落防止器具本体部の筐体部に設けられており、安全ブロックのフックは、ロープの先端に設けられている。そして、安全ブロックのカラビナ53が、親綱5に係合して、墜落防止器具本体部が親綱5に接続されるようになっている。また、安全ブロックのフックがハーネス51に設置され、ロープとハーネス51とが接続されるようになっている。
【0098】
さらに、ロープに大きな加速度や大きな引っ張り力(人の体重程度の力)が加わっていない場合には、ロープは、この長さが短くなるように、僅かな力(たとえば1kgf程度の力)で、筐体部内に巻き取られるようになっている。そして、ハーネス51の着用者の移動に応じて筐体部からの延出長さが適宜変化するようになっている。
【0099】
すなわち、安全ブロックを介してハーネス51の着用者と親綱5とをつないだ場合、ハーネス51の着用者が墜落防止器具本体部(親綱5)の近傍にいれば、ロープの延出長さがロープ巻き取り保持機構で巻き取られて自動的に短くなり、ハーネス51の着用者が墜落防止器具本体部(親綱5)の遠くにいれば、ハーネス51の着用者に引っ張られてロープの延出長さが長くなるのである。
【0100】
また、ロープに大きな加速度が加わった場合には、ロープは、墜落防止器具本体部に係止され(ロックされ)、ロープと墜落防止器具本体部とが一体化し、ロープが墜落防止器具本体部から延出できなくなる。これにより、ハーネス51の着用者の地面への墜落が防止されるようになっている。
【0101】
ここで、安全ブロックの親綱5への設置(たとえば「8」字環部材55)について図11を参照しつつ説明する。
【0102】
まず、「8」字環部材55の一方の貫通孔に親綱5の第1の湾曲部位57を挿入し、「8」字環部材55の他方の貫通孔に親綱5の第2の湾曲部位59を挿入する(図11(a),(b)参照)。
【0103】
続いて、「8」字環部材55の一方の貫通孔に挿入された第1の湾曲部位57に、「8」字環部材55の他方の貫通孔に挿入された第2の湾曲部位59を挿入し(図11(c)参照)、この挿入された第2の湾曲部位59にカラビナ53を設置する(図11(d)参照)。
【0104】
続いて、各湾曲部位57,59から一方の側に延出している親綱5の部位を引っ張り、各湾曲部位57,59から他方の側に延出している親綱5の部位を引っ張ることにより、「8」字環部材55が親綱5に一体的に設置される。
【0105】
このようにして、「8」字環部材55を親綱5に設置すれば、親綱5と「8」字環部材55との間の摩擦力が大きくなり、親綱5の任意の位置に「8」字環部材55を確実に設置し固定することができる。
【0106】
次に、雪が降った後に親綱5を設置する場合の雪下ろし作業について、図6、図7を参照しつつ説明する。
【0107】
まず、積雪前に、家屋33の屋根3に立て掛ける梯子35が接地する地面の近傍にアンカー1を、アンカー1の連結綱17をほぼ垂直に保持した状態にして設置し、梯子35が立て掛けられる側とは反対側の地面にもアンカー1を、アンカー1の連結綱17をほぼ垂直に保持した状態にして設置する(アンカー設置段階;図6(a)参照)。
【0108】
アンカー設置段階では、たとえば、アンカー1の連結綱17の先端部を家屋33の壁に設けられているフック61に掛けることで、アンカー1の連結綱17をできるだけ垂直に保持した状態にしておく。
【0109】
なお、積雪があった後にアンカー1を設置する場合、雪の上にアンカー1を設置してもよいが、雪が積もっているところに穴を掘って(アンカー1を設置する場所の雪を排除して)アンカー1を設置してもよい、この場合、地面が露出するまで雪を排除してもよいし、地面が露出するまで雪を排除しなくてもよい。
【0110】
続いて、家屋33の屋根3の上に所定の積雪があった後(たとえば、雪下ろしが必要な積雪量があった後)、アンカー1の上に所定の量の雪(100cm以上の高さの雪;図6(c)参照)が存在しており、アンカー1の連結綱17の上端部が雪の上面から突出している状態で、アンカー設置段階で設置されたアンカー1の間に親綱5を設置する(親綱設置段階;図6(b)、図7(a)参照)。
【0111】
親綱設置段階で設置された親綱5は、棟37を含む家屋33の屋根3の上を通り、長手方向の一端部が梯子35の接地する地面の近傍に設置されたアンカー1の連結綱17の上端部(上端部)に接続されており、長手方向の他端部が反対側の地面に設置されたアンカー1の連結綱17の上端部(上端部)に接続されている。
【0112】
親綱設置段階で親綱5を設置する場合、たとえば、親綱5に人の体重程度の張力がかけられるものとする。これにより、屋根3の上に積もった雪に親綱5がめり込み、親綱5が屋根3の近傍に位置して親綱5の位置が安定する。
【0113】
続いて、家屋33の屋根3に梯子35を立て掛ける(梯子設置段階)。
【0114】
続いて、図4や図5で示す場合と同様にして、親綱設置段階で親綱5を設置した後、アンカー1の上に所定の量の雪が存在している状態で、屋根3の雪下ろし作業をする作業者と親綱5とをお互いに接続し、作業者が、梯子設置段階で立て掛けた梯子35を使って家屋33の屋根3に登り雪下ろしをする(雪下ろし作業段階)。
【0115】
アンカー1を用いた雪下ろし作業では、アンカー1が金属等の枠体7とベルト材料等の軽量な重量物支持体9とで平板状に構成され軽量化されており、設置が容易になっているとともに、アンカー1の設置後に雪が降って積もることを単に待って、雪が積もった後に雪下ろしをすればよいので、雪下ろしを開始するまでにかかる手間を極力削減する。
【0116】
また、雪袋をアンカーとして使用すると、雪袋が雪の中に隠れていないことがあり、これによって雪袋が破損するおそれがあるが、アンカー1は、雪の中に埋もれた状態で使用されるので、アンカー1が破損することはない。
【0117】
また、アンカーを用いた雪下ろし作業では、連結綱17の長手方向における所定の位置に目印29が形成されているので、アンカー1の上に積もった雪の高さ(雪の重量)を作業者が目視で簡単に知ることができ、雪下ろし作業を安全に行うことができる。
【0118】
また、重量物支持体9が複数本のベルト材料で構成されているので、重量や製作コストを増やすことなく重量物支持体9の強度を高めたアンカー1を容易に得ることができる。
【0119】
なお、アンカー1の上部に積もっている雪の量(深さ)が少ないにもかかわらず雪下ろし作業をする必要がある場合には、図6(d)で示すように、四角錐台状もしくは円錐台上に雪を盛ればよい。
【0120】
ここで、アンカー1の横方向の寸法を50cmとしアンカー1の縦方向の寸法を50cmとしたときにおけるアンカー1の支持力(アンカー1の連結綱17をほぼ鉛直方向で上方に引っ張ったときにアンカー1が上方に移動し始めるときの力)と、雪の積雪量(アンカー1の上に積もった雪の高さ)との関係を、図10に示す。ただし、図10で示してある「kg」の単位は重量を示している。
【0121】
親綱5で作業者(重量85kg)を支持して雪下ろし作業をしているときにする場合、作業者が屋根3から転落しそうになり、親綱5とアンカー1とで支持されるとすると、アンカー1の支持力は、85kgfよりも小さい50kgf(約500N)以上であればよい。この理由は、親綱5と屋根3との間に摩擦力等が発生しているからである。
【0122】
図10において、比重0.08g/cm3の新雪では、たとえアンカー1の上に100cm積もったとしても、20kgf(約200N)の支持力しか得ることができない。しかし、実際には新雪が100cm積もると、新雪の表面の比重は0.08g/cm3であるが、新雪の下のほうの比重は、重力で押しつぶされて大きくなる。そして新雪の場合であってもアンカー1の上に100cm積もれば、アンカー1で100kgf(約1kN)の支持力を得ることができる。
【0123】
ところで、上述したアンカー1では、重量物支持体9としてベルト材料を使用しているが、図8で示すように、重量物支持体本体部11を1枚の矩形状の布状体63で構成してよい。また、図9で示すように、枠体7aを円環状に形成し、重量物支持体本体部11を1枚の円形状の布状体63で構成してよい。
【符号の説明】
【0124】
1 アンカー
3 屋根
5 親綱
7、7a 枠体
9 重量物支持体
17 連結綱
19、21、23、25 ベルト材料
29 目印
33 家屋
35 梯子
37 棟
【特許請求の範囲】
【請求項1】
剛性の高い材料で環状に形成された枠体と、
平板状に形成され、この平板の面内方向では引っ張り力に対して剛性が高い材料で構成され、周辺部が前記枠体に係合して前記枠体の内側で前記枠体に設けられた重量物支持体と、
を有することを特徴とするアンカー。
【請求項2】
請求項1に記載のアンカーにおいて、
前記枠体は、矩形な環状に形成されており、
前記重量物支持体は、複数本のベルト材料を前記枠体の縦方向と横方向とに延伸させて配置することで構成されていることを特徴とするアンカー。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のアンカーにおいて、
前記重量物支持体の中央部もしくはこの中央部の近傍から所定の長さ延出している連結綱を備え、
前記連結綱の長手方向における所定の位置に目印が形成されていることを特徴とするアンカー。
【請求項4】
積雪前に、家屋の屋根に立て掛ける梯子が接地する地面の近傍と前記梯子が立て掛けられる側とは反対側の地面とに、請求項3に記載のアンカーを設置するアンカー設置段階と、
積雪前に、前記家屋の棟を含む屋根の上を通るようにして、前記アンカー設置段階で設置されたアンカーの間に親綱を設置する親綱設置段階と、
前記家屋の屋根に前記梯子を立て掛ける梯子設置段階と、
前記親綱設置段階で親綱を設置し前記家屋の屋根の上に所定の積雪があった後、前記アンカーの上に所定の量の雪が存在している状態で、前記屋根の雪下ろし作業をする作業者と前記親綱とをお互いに接続し、前記作業者が、前記梯子設置段階で立て掛けた梯子を使って前記家屋の屋根に登り雪下ろしをする雪下ろし作業段階と、
を有することを特徴とする雪下ろし作業方法。
【請求項5】
家屋の屋根に立て掛ける梯子が接地する地面の近傍に請求項3に記載のアンカーを、このアンカーの連結綱をほぼ垂直に保持した状態にして設置し、前記梯子が立て掛けられる側とは反対側の地面に請求項3に記載のアンカーを、このアンカーの連結綱をほぼ垂直に保持した状態にして設置するアンカー設置段階と、
前記家屋の屋根の上に所定の積雪があった後、前記アンカーの上に所定の量の雪が存在している状態で、前記家屋の棟を含む屋根の上を通るようにして、前記アンカー設置段階で設置されたアンカーの間に親綱を設置する親綱設置段階と、
前記家屋の屋根に前記梯子を立て掛ける梯子設置段階と、
前記親綱設置段階で親綱を設置した後、前記アンカーの上に所定の量の雪が存在している状態で、前記屋根の雪下ろし作業をする作業者と前記親綱とをお互いに接続し、前記作業者が、前記梯子設置段階で立て掛けた梯子を使って前記家屋の屋根に登り雪下ろしをする雪下ろし作業段階と、
を有することを特徴とする雪下ろし作業方法。
【請求項1】
剛性の高い材料で環状に形成された枠体と、
平板状に形成され、この平板の面内方向では引っ張り力に対して剛性が高い材料で構成され、周辺部が前記枠体に係合して前記枠体の内側で前記枠体に設けられた重量物支持体と、
を有することを特徴とするアンカー。
【請求項2】
請求項1に記載のアンカーにおいて、
前記枠体は、矩形な環状に形成されており、
前記重量物支持体は、複数本のベルト材料を前記枠体の縦方向と横方向とに延伸させて配置することで構成されていることを特徴とするアンカー。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のアンカーにおいて、
前記重量物支持体の中央部もしくはこの中央部の近傍から所定の長さ延出している連結綱を備え、
前記連結綱の長手方向における所定の位置に目印が形成されていることを特徴とするアンカー。
【請求項4】
積雪前に、家屋の屋根に立て掛ける梯子が接地する地面の近傍と前記梯子が立て掛けられる側とは反対側の地面とに、請求項3に記載のアンカーを設置するアンカー設置段階と、
積雪前に、前記家屋の棟を含む屋根の上を通るようにして、前記アンカー設置段階で設置されたアンカーの間に親綱を設置する親綱設置段階と、
前記家屋の屋根に前記梯子を立て掛ける梯子設置段階と、
前記親綱設置段階で親綱を設置し前記家屋の屋根の上に所定の積雪があった後、前記アンカーの上に所定の量の雪が存在している状態で、前記屋根の雪下ろし作業をする作業者と前記親綱とをお互いに接続し、前記作業者が、前記梯子設置段階で立て掛けた梯子を使って前記家屋の屋根に登り雪下ろしをする雪下ろし作業段階と、
を有することを特徴とする雪下ろし作業方法。
【請求項5】
家屋の屋根に立て掛ける梯子が接地する地面の近傍に請求項3に記載のアンカーを、このアンカーの連結綱をほぼ垂直に保持した状態にして設置し、前記梯子が立て掛けられる側とは反対側の地面に請求項3に記載のアンカーを、このアンカーの連結綱をほぼ垂直に保持した状態にして設置するアンカー設置段階と、
前記家屋の屋根の上に所定の積雪があった後、前記アンカーの上に所定の量の雪が存在している状態で、前記家屋の棟を含む屋根の上を通るようにして、前記アンカー設置段階で設置されたアンカーの間に親綱を設置する親綱設置段階と、
前記家屋の屋根に前記梯子を立て掛ける梯子設置段階と、
前記親綱設置段階で親綱を設置した後、前記アンカーの上に所定の量の雪が存在している状態で、前記屋根の雪下ろし作業をする作業者と前記親綱とをお互いに接続し、前記作業者が、前記梯子設置段階で立て掛けた梯子を使って前記家屋の屋根に登り雪下ろしをする雪下ろし作業段階と、
を有することを特徴とする雪下ろし作業方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−7239(P2013−7239A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141897(P2011−141897)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2011年2月22日、ミドリ安全株式会社の公式通販サイト http://ec.midori−anzen.com/shop/g/g4053081000/に発表、2011年3月9日、港北出版印刷株式会社発行の「雪おろし作業安全対策カタログVol.1」に発表
【出願人】(000106287)サンコー株式会社 (24)
【出願人】(391009372)ミドリ安全株式会社 (201)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2011年2月22日、ミドリ安全株式会社の公式通販サイト http://ec.midori−anzen.com/shop/g/g4053081000/に発表、2011年3月9日、港北出版印刷株式会社発行の「雪おろし作業安全対策カタログVol.1」に発表
【出願人】(000106287)サンコー株式会社 (24)
【出願人】(391009372)ミドリ安全株式会社 (201)
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