説明

アンケートアナライザシステム

【課題】 光を用いたアンケートアナライザにおいて、回答信号を投光するための通信路を確保することにより、送信された回答信号の受信を一層確実なものにすることを課題とする。
【解決手段】 センター装置と複数の回答器を具備し光を通信手段として用いるアンケートアナライザシステムにおいて、複数の回答器の各々からセンター装置への通信路として、反射物体によって反射される回答信号光を集光レンズを用いて集光し、これを回答信号の受信に用いる。こうすることにより、受信効率を高めることができ、回答信号受信の確実性を著しく高めることができるようになった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアンケートアナライザシステムに関し、特に光を通信手段として用いることにより、回答器の台数が多くても迅速に回答を受信し処理でき、リアルタイムでアンケート結果を表示でき、しかも回答器からの回答の通信路がよく確保された光アンケートアナライザシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
質問に対する回答信号を発信する複数の回答器と回答信号を受信する受信器および受信した回答信号を集計し分析処理する回答集計分析器を備えたアンケートアナライザは、さまざまな集会や催しなどで質問に対する参加者からの回答を収集・分析する手段として有用である。特に回答の集計結果やその集計分析の結果を参加者に直ちに示しながら質問を重ね、その回答を求めてゆくことのできるリアルタイム型のアンケートアナライザは、先のアンケートの結果をふまえた上で次のアンケートをおこなうことができ、質問に対する回答内容の質を順次高めてゆくことができるという大きな利点を有しており、その用途が広がりつつある。
【0003】
このようなアンケートアナライザとして、回答器と回答を受信する受信器との間の通信に光を用いてワイヤレス化し、その通信方式を合理化し回答の受信と集計分析とを迅速にしたものが開発されている(特許文献1、特許文献2)。このアンケートアナライザは、その構成が比較的簡潔であり、設置や撤去も容易であることから、今後さまざまな分野で使用されるようになるものと期待されている。
【0004】
また一方で、アンケートアナライザの通信手段に無線電波を用いたものも多く開発されてきた。光を用いた上記アンケートアナライザを、無線電波を用いたアンケートアナライザと対比すると、次のような相違点がみられている。
【0005】
まず、光を用いたアンケートアナライザでは、光の直進性のために、使用時には通信路である光路を確保することが重要である。他方、無線電波を用いたアンケートアナライザの場合には、電波が障害物を回り込んで伝播する性質を有するために、通信路の確保が比較的容易である。その一方で、無線電波を用いたアンケートアナライザの場合には、多くの回答器から回答信号が一斉に発せられることにより、無線電波のエネルギー密度が高くなり、人体および電子機器への影響が懸念されるレベルに達することや、他の電子装置に干渉し装置の正常な動作を乱すおそれが生じるという問題がある。また、無線電波を用いた場合には、光を用いる場合と比べると、送受信に要する時間が光を用いる場合に比べ長くなるため、多くの回答器からの回答結果を受信するのに多くの時間がかかり、このため、リアルタイムで受信し集計することが困難であるという、基本的な問題点がある。
【0006】
このため、光を用いたアンケートアナライザに対し、通信路である光路の確保をより容易にできれば送受信が容易になり、回答器の数が多くなってもリアルタイムで回答を受信し集計することができ、しかも人体および電子機器への影響が懸念される電波発生がないなど、無線電波を用いては得られない総合的に優れたアンケートアナライザが実現できることになる。
【特許文献1】WO2001/073630
【特許文献2】WO2005/046091
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、光を用いたアンケートアナライザにおいて、回答器からの回答受信の受信効率を高め、確実性を十分に高めたアンケートアナライザを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のアンケートアナライザシステムは、センター装置と複数の回答器を具備し、光を通信手段として用いるアンケートアナライザシステムであって、センター装置は、複数の回答器の各々に対し回答信号の送信を指示する回答指示信号の送信指令信号を発生し、回答信号を集計し分析するホストコンピュータと、ホストコンピュータによる前記送信指令信号に基づいて、複数の回答器の各々に対し回答信号の送信を指示する回答指示信号を送信し、複数の回答器からの回答信号を受信するセンター送受信装置とを備え、複数の回答器の各々は、回答者が回答を入力する回答入力部と、回答者の入力した回答を保存する回答バッファと、センター装置からの前記回答指示信号を受信し前記回答バッファに保存された回答に対応する回答信号を送信する回答送受信機とを備え、センター送受信装置は、前記複数の回答器の各々から発射され、反射物体によって反射された回答信号光を集光する集光レンズを有する回答信号の受信装置を備えたことを特徴とすることを特徴とする。
【0009】
本発明のアンケートアナライザシステムでは、センター装置と複数の回答器の各々との間の通信路として、反射物体によって反射される回答信号光を集光レンズを用いて集光し、これを回答信号の受信に用いる。こうすることにより、受信効率を高めることができ、回答信号受信の確実性を著しく高めることができるようになった。
【0010】
なお、本発明のアンケートアナライザシステムでは、反射物体によって反射される回答信号光を集光レンズで集光し受信するこの回答信号受信系を、反射物体による反射を経由しない直接光による受信系と併用して用いることもできる。
【0011】
本発明における反射物体は、アンケート会場に存在し、回答信号光を反射するあらゆる物体であって、アンケート会場の壁や天井のほか、参加者など会場にいる人たちの身体など、回答信号光を前方に投光する際のさまざまな障害物が含まれる。特に集光レンズをアンケート会場の背後に設けた場合に、通常は回答者の前の席に座っている人の背中や後頭部などが、回答信号光を前方に投光する際の障害物となるが、本発明においては、これらの障害物が、回答信号光を受信する上での有用な反射物体である。
【0012】
光を用いたアンケートアナライザシステムにおいて、アンケート会場に存在し、回答信号光を反射するあらゆる物体は、光を用いて回答信号光を送信する際にこれを妨げる障害物にすぎなかった。本発明は、こうしたアンケート会場に存在する障害物である反射物体からの反射を集光レンズを用いて集光し、これを回答信号の受信に積極的に利用することができ、受信効率を高め、回答信号受信の確実性を高めることができたものである。
【0013】
本発明においては、回答者に対し、アンケート回答の結果などを回答者に表示するセンター表示スクリーンを回答信号光を反射する反射物体として用いることができる。
【0014】
本発明において、センター表示スクリーンは、アンケート回答の集計分析結果が表示され、また必要に応じ回答を求める設問内容を表示したり、回答者に回答を促す表示をしたりするものであって、このようなセンター表示スクリーンは、回答器に回答を入力しセンター装置に回答信号を送信する回答者から必ず十分に見える位置に設けられており、しかも回答者側にとっても、センター表示スクリーンが、注目している対象物であることから、このセンター表示スクリーンの位置は回答信号光の投光先として、最も好ましい位置である。また、アンケート会場の背後から集光レンズを用いて回答信号の反射光を集光する際にも、非常に好ましい位置である。集光レンズをセンター表示スクリーンにアンケート結果の表示を投光する投光器の近くに配置すると、アンケート結果表示の投光とほぼ逆の光路にて、センター表示スクリーンにて反射した回答信号光を集光することができる。
【0015】
従って、このセンター表示スクリーンに回答者の回答器からの回答信号光を照射し、その反射光を集光レンズで集光することにより、受信効率を高めることができ、回答信号光の受信の確実性を著しく高めることができる。
【0016】
センター表示スクリーンは通常、司会者などアンケートの進行者とともに、アンケート会場の前方に配置されており、回答者はこの方向に向かって回答器から回答信号光を発射するので、アンケート会場の背後に集光レンズを配置し、こうした反射光を集光することが好ましい。
【0017】
このようにして、集光レンズを用いることにより、反射物体からの反射光の光路が回答信号の通信路として利用できるようになった。本発明においては、反射物体からの反射が乱反射であっても、集光レンズを用いることにより集光されるので、この反射物体によって反射する光路が、回答信号の通信路として、信頼性高く使用できるようになった。
【0018】
本発明のアンケートアナライザシステムにおいては、センター装置と複数の回答器との間の通信に用いる光の波長として、赤外光を用いることが好ましい。赤外光通信には通信に必要な各素子が十分に発達しており、しかも赤外光を選択し検出することにより、ディスプレイのための可視光の影響を受けることなく光通信ができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のアンケートアナライザにおいては、複数の回答器から発せられる回答信号光が反射物体によって反射された反射光を集光レンズによって集光し、回答信号を受信する受信システムを備えることにより、従来に比べて受信効率を高めることができ、回答信号受信の確実性を著しく高めることができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、本発明を実施するための最良の形態について、説明をおこなうことを通じ、本発明のさらなる詳細を述べる。
【0021】
図1は、本発明のアンケートアナライザシステムの一実施形態におけるシステムの構成を示した図である。図1において、センター装置100のホストコンピュータ110がセンター送受信装置120を通じ、複数の回答器200に対し、回答信号の送信を指示すると、複数の回答器200の各々(回答器210−1,…,回答器210−n)は、回答器送受信装置(212−1,…,212−n)によってこの指示信号を受信し、各回答者の入力した回答入力の保存された回答器バッファ(214−1,…,214−n)から、回答信号を取り出し回答器送受信装置(212−1、…,212−n)を通じ、反射物体130に向け送信する。この反射物体130で反射された回答信号は、集光レンズ121で集光され、受光器122で受信され、センター送受信装置120に伝送され、ホストコンピュータ110にて集計分析される。その結果はセンター表示スクリーンに表示される。上記の受光器122で受信して、センター送受信装置120に伝送する手段として、ケーブル敷設が適さない施設の場合は、光または無線方式を用いてもよい。
【0022】
上記の反射物体130は、すでに述べたように、アンケート会場に存在し、回答信号光を反射する物体であって、アンケート会場の壁や天井のほか、回答信号光を反射するあらゆる物体であって、例えば回答信号光を前方に投光する際にさまざまな障害物がこの反射物体となる。参加者など会場にいる人たちの着席している椅子のほか、参加者の背中や後頭部なども反射物体となり得る。特に集光レンズをアンケート会場の背後に設けた場合には、回答者の前の席に座っている人のスーツまたはシャツのほか、前席の参加者の後頭部までもが反射物体となりうる。
【0023】
また、センター装置100の側には、アンケートの集計分析結果を表示するセンター表示スクリーンが設けられ、通常これが用いられるが、このセンター表示スクリーンを反射物体130として用いることができる。この場合は、回答器からの回答信号光をこのセンター表示スクリーンに向けて発信することにより、その反射光が集光レンズに捉えられて回答信号が受信される。センター表示スクリーンは、回答器を操作する回答者から見通せる位置に通常配置されているので、回答信号光の光路の確保する上で好ましい。
【0024】
図2は、あるアンケート会場において、こうしたアンケートアナライザシステムの各装置配置の一実施形態を示した図である。図2には、アンケート会場の後方の投射器141から投射する投射型の表示装置で構成された表示装置が用いられている場合を示す。アンケート集計分析結果などの表示は、投射器141からセンター表示スクリーン140に投射されて表示される。アンケート会場の各回答者は、回答のための回答器として、回答器210−1、…、210−nをそれぞれに保持している。
【0025】
図3は、図2に示したアンケート会場において、センター装置からの回答送信の指示に従い、回答器210−1、…210−nが回答信号を送信し、これらがセンター装置に受信される場合の通信路を示したものである。複数の回答器の各々(回答器210−1、…210−n)からの回答信号の光は、それぞれの反射物体130によって反射され、投射器141と並べて配置された受光器131へ集光レンズにて集光され、ここで電気信号の回答信号に変換されてセンター装置に送られる。図3では、センター装置スクリーンのほか、会場の正面の壁、会場の側面の壁、会場の天井のほか、前席の参加者の後頭部にてそれぞれ反射した反射光が集光される場合の図を示した。なお、それぞれの多重反射光を集光してもよい。
【0026】
なお、回答信号の反射光を受光する受光器131は、投射器141と並べて配置することができる。また、回答信号光を赤外光にすれば、受光器131を投射器141と一体化した構成にすることもできる。
【0027】
図4は、本発明の一実施形態として、回答信号の反射光を受光し光電変換する受光器131と投射器141とを一体化した場合の受光部の構成を模式的に示した図である。図4において、複数の回答器の各々からの回答信号の赤外光はセンター表示スクリーンで反射し、上記光源405からの光のたどる光路を逆にたどり、レンズ430を経由し、赤外分光フィルタで直角に曲げられて受光素子450に到達する。なお、左側の光源405からの光は、赤外遮断フィルタ410を経て投射器用LCD(液晶デバイス)440の集計分析結果などを示す画像を、赤外分光フィルタ420、およびレンズ430を経由してセンター表示スクリーンに投影し表示がなされる。この際、レンズを共用するために、レンズ430から投射器用LCD440までの光学的距離と、レンズ430から受光素子450までの光学距離とを等しくとっている。
【0028】
このようにして、回答信号の反射光を受光する受光器と投射器とを一体化すれば、投射器のレンズを集光レンズとしても利用する形で、回答信号光の受光系が構成できる。
【0029】
なお、本発明において用いられる集光レンズは、上記センター装置スクリーンに画像を投影するための投射器に用いられるようなレンズがそのまま利用できるが、画像を投影するためのレンズのようにシャープな結像の必要はなく、光検出器の位置に回答信号光を十分に集光できればよい。充分な集光を得るために、集光レンズの口径は大きいほど良好で、例えば口径が30mm〜100mmのものが好ましく使用できる。また、回答信号光の反射の生じる位置により、集光レンズによって集められる回答信号光は広がりをもつことになるので、集光位置には複数個の受光素子を設けることが好ましい。また受光素子がある領域にわたって受光の可能な面受光素子であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0030】
光を用いたアンケートアナライザは、人体および電子機器に対する害が懸念される無線電波を用いる必要がない上に、送受信が迅速であり、リアルタイムでの回答の集計分析ができ、回答器の台数を多くできるなどの優れた特徴を兼ね備えているが、光が直進性を有することから、光による通信路の確保が重要な課題であった。本発明により、回答器から発せられる回答信号光の反射光を、集光レンズを用いて捉えることができるようなったので、受信効率を高めることができ、回答信号受信の確実性を著しく高めることができるようなになった。従って本発明の利用可能性は大きいものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】 本発明のアンケートアナライザシステムの一実施形態におけるシステムの構成を示した図である。
【図2】 本発明のアンケートアナライザシステムにおける配置の一実施形態を示した図である。
【図3】 本発明のアンケートアナライザシステムの一実施形態における回答器から回答信号が送信される際の通信路の一例を示したものである。
【図4】 本発明のアンケートアナライザシステムの一実施形態において、回答光を受光し光電変換する受光系を投射器と一体化させた場合の受光系の一部を示した図である。
【符号の説明】
【0032】
10…アンケートアナライザシステム、 100…センター装置、 110…ホストコンピュータ、 130…反射物体、 131…受光器、 140…センター表示スクリーン、 141…投射器、 200…複数の回答器、 210−1、210−n…回答器、 212−1、212−n…回答器送受信装置、 214−1、214−n…回答器バッファ、 405…光源、 410…赤外遮断フィルタ、 420…赤外分光フィルタ、 430…レンズ、 440…投射器用LCD、 450…受光素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センター装置と複数の回答器を具備し、光を通信手段として用いるアンケートアナライザシステムであって、
前記センター装置は、
前記複数の回答器の各々に対し回答信号の送信を指示する回答指示信号の送信指令信号を発生し、回答信号を集計し分析するホストコンピュータと、
前記ホストコンピュータによる前記送信指令信号に基づいて、前記複数の回答器の各々に対し回答信号の送信を指示する回答指示信号を送信し、前記複数の回答器からの回答信号を受信するセンター送受信装置とを備え、
前記複数の回答器の各々は、
回答者が回答を入力する回答入力部と、
回答者の入力した回答を保存する回答バッファと、
前記センター装置からの前記回答指示信号を受信し前記回答バッファに保存された回答に対応する回答信号を送信する回答送受信機とを備え、
前記センター送受信装置は、前記複数の回答器の各々から発射され、反射物体によって反射された回答信号光を集光する集光レンズを有する回答信号の受信装置を備えたことを特徴とするアンケートアナライザシステム。
【請求項2】
前記センター装置は、集計分析結果を表示するセンター表示スクリーンを有し、前記反射物体としてこのセンター表示スクリーンを用いることを特徴とする請求項1記載のアンケートアナライザシステム。
【請求項3】
前記集光レンズ1個に対し、複数の受光素子を設けることを特徴とする請求項1または2記載のアンケートアナライザシステム。
【請求項4】
投光用レンズの光路に分光フィルタ配置して赤外光を分光することにより、前記センター表示スクリーンに投影する投射器の投光用レンズを前記集光レンズと兼用することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のアンケートアナライザシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−259151(P2008−259151A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−121237(P2007−121237)
【出願日】平成19年4月4日(2007.4.4)
【出願人】(598136138)株式会社新日本科学 (5)
【出願人】(507024932)
【Fターム(参考)】