説明

アンテナ用コイル装置

【課題】コイルの巻き線数を増やすことなく所定の周波数帯域で高いインピーダンスを得、これによりオルタネータノイズにより発生するRFコイル自体の異音を抑制可能なアンテナ用コイル装置を提供する。
【解決手段】巻線コイル11を、2ターン以下で巻かれる密巻き部位11aと、疎巻き部位11b、11cで構成し、密巻き部位11aと疎巻き部位11b、11cとの間隔を、巻線コイル11の内径の1/2以上とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、自動車用ガラスアンテナに使用して好適な、アンテナ用コイル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アンテナ用コイル装置は、フェライトコアにコイルを巻き、コイルの巻き始めと巻き終わりのコイル端子を金属板面に接触させたものである。このコイル端子は、自動車の主にリア窓ガラスに設置されているデフォッガーに電流を供給する端子である。ここで供給される電流値として、最大で20〜30[A]程度が要求されている。また、デフォッガーと同じ面上の窓ガラスに設置されているガラスアンテナ(銀などのプリント)や、デフォッガー自体をアンテナとして使用する場合に、アンテナ性能を阻害する成分を除去する働きを持っている。
【0003】
アンテナがデフォッガーに流入する電流の影響を受けないようにするために、上記した端子は、アンテナの周波数帯域においてインピーダンスが高くなるように設計されている。これを実現するために、例えば、図5(a)(b)に示されるチョークコイル100は、コイル102と筐体103、および端子104、105から構成されており、コイル102のインダクタンスとコイル102自体の浮遊容量、筐体103および端子104、105の静電容量により、アンテナの周波数帯において400[Ω]以上のインピーダンスが十分高い状態に設計されている。この技術は、特許文献1に開示されている。
【0004】
例えば、76〜108[MHz]のFMラジオ周波数帯の場合、400[Ω]以上の高いインピーダンスを得るために、コイルのインダクタンスを大きくする必要があり、このために従来、コイルの巻き数を多くする必要があった。コイルの巻き線が増えることで直流抵抗が増すため、発熱を考慮すると流せる電流が少なくなる。また、コイルの材料が増えるためにコストが増し、重量が増え、形状が大きくなり、設置面積(体積)が大きくなってしまう。
【0005】
また、コイルの巻き数が増えることにより、オルタネータノイズ(オルタネータ(交流発電機)で発電された電流のうち整流しきれていないリップル成分(交流成分)のことをいう)に起因するエネルギーが増大するため、コイル、コアの振動による異音が発生しやすくなる。この現象は、エアコン、照明、ラジオ等のオーディオを同時に使用するような過負荷状態でデフォッガーを使用している時や、バッテリーそのものが弱っている状態でデフォッガーを使用する場合に発生する。
【0006】
このため、例えば、図6に示されるアンテナ用コイル装置200のように、巻き線コイル216および磁性コア217を樹脂224で固めることで振動を抑制するか、可聴周波数をずらす等の対策が必要であった。この技術は特許文献2に開示されている。
【0007】
具体的に、インピーダンスのピーク周波数(共振周波数fp)は、コイル端子のコイルのインダクタンス(L)と、コイル端子を形成する筐体の静電容量(Ck)と、コイル自身の浮遊容量(Cs)とにより、次の(1)式により求まる。
fp=1/(2π√(L*(Ck+Cs)))…(1)
【0008】
一例として、76〜108[MHz]のFMラジオ周波数帯域で400[Ω]以上の高いインピーダンスを得るために、ピーク周波数(共振周波数fp)を、約97〜103[MHz]に設定すれば、コイルのインダクタンスは1.0[μH]になる。このとき、コイルの巻き数は8ターン(線径Ф1.6[mm]、コイル径Ф6[mm]、コア径Ф4.0[mm]))であり、コイルとコアは1点で接着されているだけであって、特に発振対策はとられていない。このため、供給される電流のオルタネータノイズが大きい場合、過負荷状態で、かつバッテリーそのものが弱った状態でデフォッガーを使用したときに、オルタネータノイズ周波数に応じた振動数でオルタネータノイズ振幅に応じたエネルギーがコイルおよびコアを振動させる。この振動が可聴周波数で可聴音量になった場合にコイルやコアからの異音として聞こえる。
【0009】
このとき、インダクタンス1.0[μH]を得るために、コイルの巻き数を8ターンとしたため、オルタネータノイズによるコイルの起電エネルギーが増大され(巻き数の増減に比例して発生するエネルギーが増大する)、このオルタネータノイズが可聴周波数の場合に可聴音量となり異音として認識されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平10−189350号公報
【特許文献2】特開2009−118270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、コイルの巻き線数を増やすことなく所定の周波数帯域で高いインピーダンスを得、これによりオルタネータノイズにより発生するRFコイル自体の異音を抑制可能なアンテナ用コイル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に係る発明は、導線を巻回した巻線コイルと、前記巻線コイルの内部に挿通配置された磁性コアと、前記巻線コイルの一端が接続される第1の端子と、前記巻線コイルの他端が接続される第2の端子と、前記巻線コイルを載置する樹脂部材と、からなり、前記巻線コイルは、2ターン以下で巻かれる密巻き部位と、疎巻き部位とからなり、前記密巻き部位と前記疎巻き部位との間隔を前記巻線コイルの内径の1/2以上とすることを特徴とする。
【0013】
請求項2に係る発明は、請求項1記載のアンテナ用コイル装置において、前記第1の端子と前記第2の端子は、板幅Xを有する板状部材で形成されるとともに前記樹脂部材に埋設され、前記樹脂部材の一端に向かって所定の間隔をおいて延び、前記第1の端子の面直交線に沿って見た場合、前記板幅Xと、前記第1の端子と前記第2の端子とが前記樹脂部材を挟んで重なる板長Yとを乗算して得られる重なり面積を有することを特徴とする。
【0014】
請求項3に係る発明は、請求項1または2記載のアンテナ用コイル装置において、前記樹脂部材として、8〜12の誘電率を持つ材料を使用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によれば、巻線コイルを、2ターン以下で巻かれる密巻き部位と、疎巻き部位で構成し、密巻き部位と疎巻き部位との間隔を巻線コイルの内径の1/2以上とすることでコイルの起電エネルギーを小さくすることができる。発明者らの評価によれば、この巻き方とこの巻き数によりコイルとコアの振動は小さく、異音として認識されなかった。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、第1の端子と第2の端子とが樹脂部材を挟んで重なる領域の面積を増やして静電容量を大きくすることで、所定の周波数帯でのインピーダンスを高めることができる。
【0017】
請求項3に係る発明によれば、樹脂部材として比誘電率が高い、例えばフレクティス(登録商標)を使用することにより、静電容量を更に大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例に係るアンテナ用コイル装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施例に係るアンテナ用コイル装置で用いられる端子の断面構造を示す図である。
【図3】本発明の実施例に係るアンテナ用コイル装置のコイルの巻き線形状を示す図である。
【図4】本発明の実施例に係るアンテナ用コイル装置の周波数特性を示す図である。
【図5】従来のアンテナ用コイル装置の構成(1)を示す図である。
【図6】従来のアンテナ用コイル装置の構成(2)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態(以下、本実施例という)を添付図に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0020】
(実施例の構成)
図1に本実施例に係るアンテナ用コイル装置10の構成が示されている。図1(a)は、正面図、図1(b)は、平面図、図1(c)は、樹脂部材周辺の断面図、図1(d)は、図1(c)のd−d断面図である。
【0021】
図1(a)〜(d)に示されるように、本実施例に係るアンテナ用コイル装置10(以下、RFCコイル10という)は、導線を巻回した巻線コイル11と、巻線コイル11の内部に挿通配置された磁性コア(コア)12と、巻線コイル11の一端が接続される第1の端子15aと、巻線コイル11の他端が接続される第2の端子15bと、巻線コイル11を載置する樹脂部材14と、から構成される。符号13は、樹脂製の接着剤13である。
【0022】
図1(d)に示されるように、第1の端子15aと第2の端子15bは、板幅Xを有する板状部材で形成される。また、第1の端子15aと第2の端子15bは、樹脂部材14に埋設され、樹脂部材14の一端に向かって所定の間隔をおいて延びている。そして、図2に、第1の端子15aと、第2の端子15bと、両端子15a、15bに挟まれた樹脂部材14との断面構造が示されるように、第1の端子15aの面直交線Aに沿って見た場合に、板幅Xと、第1の端子15aと第2の端子15bとが樹脂部材14を挟んで重なる板長Yとを乗算して得られる重なり面積を有する。なお、樹脂部材14として、ポリフェレンサルファイド樹脂(PPS)やリキッドクリスタルポリマー(LCP)に比べて誘電率が高いフレクティス(登録商標)が採用されるものとする。
【0023】
フレクティス(登録商標)は、ベース材料として使用されるPPSならびにLCPは、耐熱性、寸法安定性、成形加工特性に優れていることから表面実装用電子部品に広く使用されている。更に、これら材料は、高周波領域における誘電損失が低いことから基本的に高周波用デバイス材料として適した特性を有している。フレクティス(登録商標)は、大塚化学工業株式会社が開発した高誘電率セラミックをPPSおよびLCPと複合化し、5〜20の範囲で誘電率の制御を可能にした成形材料である。
【0024】
図3に、巻線イル11の巻きパターンを5例(a〜e)示した。図3(a)は、巻き数12で巻き方を密にしたパターンであり、1.8[μH]のインダクタンスを有する。また、図3(b)は、巻き数8で巻き方を、疎−密(6ターン)−疎にしたパターンであり、1[μH]のインダクタンスを有する。図3(c)は、巻き数5で巻き方を、疎−密(3ターン)−疎にしたパターンであり、0.3[μH]のインダクタンスを有する。図3(d)は、巻き数5で巻き方を疎巻きにしたパターンであり、0.3[μH]のインダクタンスを有する。図3(e)は、巻き数4で巻き方を、疎−密(2ターン)−疎にしたパターンであり、0.2[μH]のインダクタンスを有する。
【0025】
ここでは、オルタネータノイズ(リップル成分)により、異音が確認できない範囲での巻きパターンを選択して採用するものとした。具体的に、図3(e)に巻線コイル11の巻きパターンが示されているように、巻線コイル11は、2ターン以下で巻かれる密巻き部位11aと、疎巻き部位11b、11cとからなり、密巻き部位11aと疎巻き部位11b、11cとの間隔は、巻線コイル11の内径の1/2以上になっている。
【0026】
例えば、線径Ф1.6[mm]、コイル径Ф6[mm]、コア径Ф4.0[mm]のRFCコイル10の場合、図3(e)に示されるように、巻線コイル11の巻き方および巻き数を、疎巻きー密巻き(2ターン)−疎巻きとすれば、コア12も含めたインダクタンスは、0.3[μH]となり、図3(d)の5ターンの疎巻きで形成した場合の0.2[μH]と比較して大きな値となり、以下の(表1)に示すように異音が確認されなかった。
【0027】
【表1】

【0028】
なお、上記した(表1)は、RFCコイル10の実車でのノイズ評価と、ベンチでのノイズ評価を並べて示したものである。(表1)によれば、インダクタンスが0.3(L)[μH]のときと、0.2[μH]のときに巻線コイル11の起電エネルギーが小さくなり、巻線コイル11とコア12による振動は小さく、異音として認識されていない。このため、本実施例では、図3(e)に示す巻きパターンを採用することとした。
【0029】
但し、このままでは共振周波数が高いため、FM周波数帯域では十分なインピーダンス(400[Ω]以上)が得られていない。そこで、樹脂部材14として誘電率が高い樹脂を採用し、かつ、樹脂部材14と、第1の端子15a、第2の端子15bからなる重なり部分の静電容量を大きくすることで、上記した(1)式により得られるピーク周波数を所定の周波数(例えば、FMラジオ周波数帯域の場合 ピーク周波数(共振周波数)fpを96〜102[MHz])になるようにすることで、所定の周波数(例えば、FM周波数帯域)で十分なインピーダンスになるようにした。これにより、アンテナがデフォッガーに流入する電流の影響を受けないようになる。
【0030】
ところで、インピーダンスが最も高くなるのは、上記により得られる静電容量(Ck)と、巻き線コイル11のインダクタンス(L)とから求まる共振周波数fpである。fpは上記した(1)式から求まる。ここで、Ckは 樹脂部材14中に、金属製の第1の端子15aと第2の端子15bが埋め込まれる構造とすることにより、平行平板コンデンサと等価な以下の(2)式で示す静電容量Ckを持つキャパシタとして働く。
【0031】
Ck=(ε*S)/l …(2)
但し、ε=ε×ε
ε :真空中の誘電率8.85510−12
ε:端子間物質の比誘電率
S :第1の端子15aと第2の端子15bとが重なり合った面積[mm
S=X×Y
l :第1の端子15aと第2の端子15bとの間隔[mm]
【0032】
本実施例に係るRFCコイル10では、第1の端子15aと第2の端子15bの重なり面積を従来の1.5倍とすることで、2.7[pF]から4.05[pF]の静電容量が得られる。但し、実装するためのサイズ上の制約があるため、現行の1.1倍〜2倍とした。また、静電容量を大きく2〜3倍にするために、樹脂部材14を誘電率の高い、例えば、フレクティス(登録商標)を使用することで、PPSの4から12(3倍)までに引き上げることができる。この結果、静電容量Ckは、12.2[pF]になった。
【0033】
また、実車でのノイズ評価で、異音が発生しなかった0.2[μH]の巻線コイル11と、これら端子15a、15bとの組み合わせでは、従来、共振周波数(ピーク周波数)が220[MHz]であったものが、102[MHz]となり、FMラジオ周波数帯域において高いインピーダンス(400[Ω]以上)を得ることができた。
【0034】
(性能評価)
次に、発明者らは、本実施例に係るRFCコイル10のインピーダンス対周波数特性を評価した。FMラジオ帯域についてチョーク性能を得るためには、この帯域(帯域幅32[MHz])で高いインピーダンスが必要である。以下の(表2)に示す通り、0.2[μH]、0.3[μH]の巻線コイル11を有するアンテナ用コイル装置10は、この条件も満たしている。但し、インピーダンスの下限値を400[Ω]または500[Ω]とした場合に制限される。
【0035】
【表2】

【0036】
理想状態では、共振周波数でのインピーダンスは無限大になるが、実際はインダクタンスが高いほど共振周波数でのインピーダンスは大きくなる。このため、実際、高いインピーダンスの帯域を広く採るためには、巻き線コイル11のインピーダンスを大きくすることが有利ではあるが、巻線コイル11の巻数を多くする必要から、直流抵抗の増大に伴い発熱量が増え、あるいは重量が増え、材料代が増えるといった不都合がある。図4に、本実施例に係るアンテナ用コイル装置10のインピーダンス対周波数特性のグラフが示されている。
【0037】
図4のグラフによれば、0.2[μH]と、0.3[μH]のインダクタンスを有するアンテナ用コイル装置10は、ともにハイインピーダンスの帯域幅をクリアしている。このときの実測結果から、ベース容量は約2.7[μH]であった。本実施例に係るアンテナ用コイル装置10では、ベース容量を大きくすることで共振周波数を100[MHz]にしている。例えば、以下の(表3)に示されるように、インダクタンスが0.3[μH]の場合、共振周波数を100[MHz]にするために5.75[pF]だけベース容量を増やす必要がある。
【0038】
【表3】

【0039】
このベース容量を増やすために、本実施例に係るアンテナ用コイル装置10では、対向する端子間(第1の端子15aと第2の端子15b)の重なり面積を広げた。但し、端子の大きさ制限があるため、1.1〜2倍程度とした。また、対向する端子間の樹脂部材14に、耐熱性や機械的強度はそのままとして、誘電率の高いフレクティス(登録商標)を使用した。以下の(表4)に、誘電率の高いフレクティス(登録商標)を樹脂部材14として使用しつつ、端子間の重なり面積を増やした場合の静電容量と共振周波数との関係が示されている。
【0040】
【表4】

【0041】
(表4)において、Iは、ベース対向面積が1.5倍で誘電率が4のPPSを樹脂部材14として使用した場合、IIは、ベース対向面積が2倍で誘電率が8のフレクティス(登録商標)を樹脂部材14として使用した場合、IIIは、ベース対向面積が3倍で、誘電率が12のフレクティス(登録商標)を樹脂部材14として使用した場合におけるそれぞれの静電容量と共振周波数との関係が示されている。
【0042】
例えば、対向する端子間の重なり面積を1.5倍とし、樹脂部材14をPPSからフレクティス(登録商標)に変更したとする。この場合、インダクタンスが0.2[μH]で、誘電率が12のフレクティス(登録商標)を樹脂部材14として使用すれば、共振周波数が102[MHz]になり、高いインピーダンスでFMラジオ周波数帯域をカバーすることができるようになる。また、0.3[μH]の場合、誘電率が8(PPSの2倍)のフレクティス(登録商標)を樹脂部材14として使用すれば、同様にFMラジオ周波数帯域をカバーすることができるようになる。
【0043】
(実施例の効果)
以上説明のように本実施例に係るRFCコイル10によれば、巻線コイル11を、2ターン以下で巻かれる密巻き部位11aと、疎巻き部位11b、11cで構成し、密巻き部位11aと疎巻き部位11b、11cとの間隔を、巻線コイル11の内径の1/2以上とすることで、巻き線コイル11の起電エネルギーが小さくなる。発明者らの評価によれば、巻き線コイル11とコア12の振動は小さく、異音として認識されない。また、第1の端子15aと第2の端子15bとが樹脂部材14を挟んで重なる領域の面積を増やして静電容量を大きくすることで、所定の周波数帯でのインピーダンスを高めることができる。このとき、樹脂部材14として、誘電率の高いフレクティス(登録商標)を使用することで静電容量を更に大きくすることができる。
【0044】
このように、本実施例に係るRFCコイル10によれば、必要最小の構成で所定の周波数帯域でチョーク性能を得ることができる。このとき、低いインダクタンスで実現が可能であるため、巻き線コイル11の線材を少なくできる。また、直流抵抗が減少するため電流容量が増大する。また、巻線コイル11とコア12の振動を下げるために固定している接着剤13を交換する、あるいは充填する等の後付け対策が不要になるため、コストダウンに貢献できる。
【0045】
なお、異音の無いRFCコイル10を達成するために、巻き線コイル11の巻き条件は、上記した評価結果から以下の(表5)のように纏めることができる。
【0046】
【表5】

【0047】
(表5)によれば、巻き線の径φは1.6[mm],コア12の径φは4[mm],巻き線コイル11の径φは6.0[mm]、密巻き部位の巻き数は2ターン以下であり、疎巻き部位は、巻き線の間隔がコイル径の1/2である3[mm]以上あるものとする。
【0048】
なお、本実施形態に係るRFCコイル10によれば、FMラジオ周波数帯域を対象に受信するアンテナを例示したが、今後、アナログTVのサービス終了時に空きとなるVHF帯域のローバンド(90〜[MHz])、ミッドバンド(108〜170[MHz])、ハイバンド(170〜222[MHz])や、DAVバンドIII(174〜245[MHz])等でチョーク性能を得るアンテナ用コイル装置10としても適用可能である。
【符号の説明】
【0049】
10…アンテナ用コイル装置(RFCコイル)、11…巻線コイル、11a…密巻き部位、11b…疎巻き部位、12…磁性コア(コア)、13…接着剤、14…樹脂部材、15a…第1の端子、15b…第2の端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導線を巻回した巻線コイルと、
前記巻線コイルの内部に挿通配置された磁性コアと、
前記巻線コイルの一端が接続される第1の端子と、前記巻線コイルの他端が接続される第2の端子と、
前記巻線コイルを載置する樹脂部材と、からなり、
前記巻線コイルは、
2ターン以下で巻かれる密巻き部位と、疎巻き部位とからなり、前記密巻き部位と前記疎巻き部位との間隔を前記巻線コイルの内径の1/2以上とすることを特徴とするアンテナ用コイル装置。
【請求項2】
前記第1の端子と前記第2の端子は、
板幅Xを有する板状部材で形成されるとともに前記樹脂部材に埋設され、前記樹脂部材の一端に向かって所定の間隔をおいて延び、前記第1の端子の面直交線に沿って見た場合、前記板幅Xと、前記第1の端子と前記第2の端子とが前記樹脂部材を挟んで重なる板長Yとを乗算して得られる重なり面積を有することを特徴とする請求項1記載のアンテナ用コイル装置。
【請求項3】
前記樹脂部材として、
8〜12の比誘電率を持つ材料を使用することを特徴とする請求項1または2記載のアンテナ用コイル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−216996(P2012−216996A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80777(P2011−80777)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000004008)日本板硝子株式会社 (853)