説明

アーク溶接モニタ装置

【課題】溶接結果をモニタする際に高速周期のサンプリングを行うことはコスト増に繋がる。一方、低速周期のサンプリングでは溶接不良等の原因究明に充分な情報を残すことができない。
【解決手段】
RAM23は電流検出部37及び電圧検出部38により高速周期で取得した溶接電流及び溶接電圧のデータをリングバッファ方式で記憶する。CPU21は前記データの所定時間間隔での平均値を演算する。ハードディスク26は前記平均値を記憶する。溶接異常の際、RAM23に記憶した各種データをハードディスク26へ記憶する。高速アクセスが可能な高価な大容量ストレージを使用しなくても、溶接異常発生時の溶接現象を詳細解析するために必要なデータを自動的に取得することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アーク溶接モニタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アーク溶接の状態を監視するものとしては、特許文献1及び特許文献2が公知である。特許文献1では、アーク溶接中の溶接電流、溶接電圧、及び各種センサにより得られた波形データと、ロボットの動作軌跡とを同期させて記録し、モニタのディスプレイに表示するアーク溶接モニタ装置が提案されている。このモニタ装置により、溶接異常判定も行うことができるとともに、溶接異常があったデータ範囲に相当するロボットの動作軌跡の部分をそれ以外の箇所とは異なる色で表示するようにしている。又、このモニタ装置では、溶接電流及び溶接電圧の検出手段は、ロボット制御装置外、かつ、アーク溶接機外に独立して設置されている。特許文献1を従来技術1という。
【0003】
特許文献2では、アーク溶接中の溶接電流出力平均値、溶接電圧出力平均値などの計測データをプログラム名、溶接箇所とともに、履歴情報として保存できるアーク溶接ロボットが提案されている。この履歴の保存タイミングは、全ての溶接条件変更時又は異常発生時のいずれかから選択可能としている。特許文献2を従来技術2という。
【0004】
なお、アーク溶接ロボットによるアーク溶接では、アーク切れや溶着などの溶接異常、溶け込み不足や溶接ビードの形成不良などの施工不良が発生した場合、その原因を究明するために微小な時間領域での溶接現象を解析する必要があることも多い。この場合、前記現象が発生した部分において、高い周波数でサンプリングした実溶接電流と実溶接電圧が少なくとも必要である。それらに加えて実ワイヤ送給速度や実ガス流量などの付加情報があれば、原因究明に有効となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−58007号公報
【特許文献2】特開2006−26655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術1では、アーク溶接中の溶接電流、溶接電圧及び各種センサにより得られた波形データとロボットの動作領域とを同期させて記録できるアーク溶接モニタ装置が開示されている。
【0007】
しかしながら、従来技術1では、次のような問題がある。全ての溶接施工に対して、同じ周波数でサンプリングした波形データを履歴として保存する。このため、高周波数でサンプリングした場合、高速でアクセスできる大容量の不揮発性記憶装置が必要となり、システムが非常に高価となる。
【0008】
一方、従来技術2では、履歴として保存できるのが溶接電流と溶接電圧の教示ステップ間の平均値であるため、記憶容量は少なくて済むが、溶接不良の原因究明に十分な情報を残すことができない。
【0009】
本発明の目的は、高速アクセスが可能な高価な大容量ストレージを採用することなく高周波のサンプリングを行うことによって、溶接異常発生時における微小な時間領域での溶接現象を解析するために必要なデータを、自動的に取得することができるアーク溶接モニタ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記問題点を解決するために、請求項1の発明は、溶接トーチを備える1又は2以上のマニピュレータと、前記溶接トーチに送給される溶接ワイヤを溶融して溶接対象物の溶接を行わせる1又は2以上の溶接機と、前記1又は2以上のマニピュレータと前記1又は2以上の溶接機とが接続されたロボット制御装置とを備え、前記マニピュレータ、及び前記溶接機で構成される1又は2以上の溶接ロボットの溶接動作が前記ロボット制御装置によって制御される溶接ロボットシステムに設けられるアーク溶接モニタ装置において、前記溶接機が備える溶接電流検出手段及び溶接電圧検出手段による所定のサンプリング周期で取得された溶接電流及び溶接電圧のうち、少なくともいずれか一方のデータを、リングバッファ方式で記憶する揮発性の第1記憶手段と、前記データの所定時間間隔での平均値を演算する平均値算出手段と、前記平均値を記憶する不揮発性の第2記憶手段とを備えることを特徴とするアーク溶接モニタ装置を要旨としている。
【0011】
一般に、サンプリング周期が高速になればなるほど、サンプリングされたデータを記憶する不揮発性の記憶手段として、高速アクセスが可能な高価な大容量ストレージが必要となる。しかし、上記の構成によれば、第1記憶手段は、サンプリング周期を高速とし、高速アクセス可能なストレージにした場合でも、リングバッファ方式であるため大容量ストレージとする必要がない。さらには揮発性としたことによって、高速アクセスが可能な高価な不揮発性の大容量ストレージを記憶手段として採用しなくてもよい。又、第1記憶手段に記憶されている溶接電流及び溶接電圧は、高速なサンプリング周期(=微小時間)で取得したデータであるため、溶接異常の発生時においては、微小な時間領域での溶接現象を解析することができる。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1において、溶接異常の際に、前記第1記憶手段に記憶した前記少なくともいずれか一方のデータを、前記第2記憶手段へ記憶させる記憶制御手段を備えることを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、溶接異常の際には、揮発性の第1記憶手段に記憶したデータを、不揮発性の第2記憶手段へ記憶させたことによって、高速なサンプリング周期で取得したデータを、リングバッファの容量分だけ過去に遡って確認することができる。すなわち、溶接異常の発生直前の溶接現象を、高速サンプリングによる微小な時間領域で解析することができる。
【0014】
請求項3の発明は、請求項2において、前記第1記憶手段、第2記憶手段、平均値算出手段及び記憶制御手段は、前記ロボット制御装置が備えることを特徴とする。
上記構成によれば、第1記憶手段、第2記憶手段、平均値算出手段及び記憶制御手段を、ロボット制御装置が備えた溶接ロボット溶接システムにおいて、請求項2の作用を実現できる。
【0015】
請求項4の発明は、請求項2において、前記第1記憶手段、平均値算出手段、及び前記記憶制御手段を前記溶接機が備え、前記第2記憶手段を前記ロボット制御装置が備えることを特徴とする。
【0016】
上記構成によれば、第1記憶手段、平均値算出手段、及び記憶制御手段を溶接機が備え、第2記憶手段をロボット制御装置が備えた溶接ロボット溶接システムにおいて、請求項2の効果を容易に実現できる。
【0017】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項において、前記溶接機は、溶接ワイヤを溶接トーチに送給するワイヤ送給装置を備えるとともに前記ワイヤ送給装置の溶接ワイヤのワイヤ送給速度及び送給系の負荷を検知する検知手段を備え、前記第1記憶手段は、溶接中の前記溶接ワイヤのワイヤ送給速度及び送給系の負荷の少なくともいずれか一方をリングバッファ方式で記憶し、前記平均値算出手段は、前記第1記憶手段が記憶する溶接中の前記溶接ワイヤのワイヤ送給速度及び送給系の負荷の少なくともいずれか一方を前記所定時間間隔での溶接ワイヤ関連平均値として演算し、前記第2記憶手段は、前記溶接ワイヤ関連平均値を記憶することを特徴とする。
【0018】
上記の構成によれば、第1記憶手段は、サンプリング周期を高速とし、高速アクセス可能なストレージにした場合でも、リングバッファ方式であるため大容量ストレージとする必要がない。さらには揮発性としたことによって、高速アクセスが可能な高価な不揮発性の大容量ストレージを記憶手段として採用しなくてもよい。又、第1記憶手段に記憶されている溶接電流及び溶接電圧は、高速なサンプリング周期(=微小時間)で取得したデータであるため、溶接異常の発生時においては、微小な時間領域での溶接現象を解析することができる。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、高速アクセスが可能な高価な大容量ストレージである不揮発性の記憶手段を使用しなくても、溶接異常発生時の微小な時間領域での溶接現象を解析するために必要なデータを自動的に取得可能なアーク溶接モニタ装置を提供することができる。
【0020】
請求項2の発明によれば、溶接異常の際には、揮発性の第1記憶手段に記憶した溶接電流及び溶接電圧であるデータを、不揮発性の第2記憶手段へ記憶させるようにしたことによって、高速なサンプリング周期で取得したデータを、リングバッファの容量分だけ過去に遡って確認することができる。すなわち、溶接異常の発生直前の溶接現象を、高速サンプリングによる微小な時間領域で解析することができる。
【0021】
請求項3の発明によれば、第1記憶手段、第2記憶手段、平均値算出手段及び記憶制御手段は、前記ロボット制御装置が備えることにより、請求項2の作用を実現できる。
請求項4の発明によれば、第1記憶手段、平均値算出手段、及び記憶制御手段を、溶接機が備え、第2記憶手段をロボット制御装置が備えることにより、請求項2の効果を容易に実現できる。
【0022】
請求項5の発明によれば、請求項1の効果に加え、溶接現象をより詳細に解析するための付加的データ(ワイヤ送給速度及び送給系の負荷等)を自動的に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施形態のアーク溶接モニタ装置を備えたアーク溶接ロボット溶接システムの概略図。
【図2】複数の溶接機とマニピュレータを備えたアーク溶接ロボット溶接システムのブロック図。
【図3】溶接機が行う溶接電流・溶接電圧等のサンプリングのフローチャート。
【図4】ロボット制御装置のCPUが行う処理のフローチャート。
【図5】(a)は第2実施形態の溶接機が行う処理のフローチャート、(b)、(c)はロボット制御装置のCPUが行う処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1実施形態)
以下、溶接ロボットシステムに設けられるアーク溶接モニタ装置を具体化した一実施形態を図1〜図4を参照して説明する。
【0025】
図1、図2に示すように溶接ロボットシステムは、フロアの複数の場所に設置された複数のマニピュレータ10と、前記マニピュレータ10を制御する1つのロボット制御装置20と、ロボット制御装置20に通信ケーブルLを介して接続された複数の溶接機30とを備えている。複数の溶接機30は、複数のマニピュレータ10に各々1台ずつ接続されている。
【0026】
(マニピュレータ10)
図1に示すように、マニピュレータ10は、フロア等の適当な箇所に固定されるベース部材11と、それに複数の軸を介して連結された複数のアーム12と、各アーム12を駆動する図示しない駆動モータとによって構成されている。前記駆動モータには、図示しないロータリエンコーダを備え、前記駆動モータの現在位置の検出が可能である。マニピュレータ10先端のアーム12に設けられた手首部の先端には、被溶接物であるワーク(図示しない)に対してアーク溶接を行う溶接トーチ14が取付けられている。
【0027】
溶接ロボットシステムの各マニピュレータ10は、それぞれ制御ケーブルL3を介してロボット制御装置20に接続されている。図1では、1つのマニピュレータと、ロボット制御装置20とが制御ケーブルL3を介して接続されているところが図示されているが、他のマニピュレータ10に対して同様にロボット制御装置20に接続されている。
【0028】
マニピュレータ10の各アーム12に設けられた前記駆動モータ(図示しない)は、ロボット制御装置20からロボット制御ケーブルを介して送信される駆動信号によって回転駆動される。この各駆動モータが回転駆動されることにより、マニピュレータ10の各アーム12が変位し、結果的に溶接トーチ14が上下前後左右に移動可能とされる。
【0029】
溶接トーチ14は、溶加材としての溶接ワイヤ13をワークWの所定の溶接位置に導く。溶接ワイヤ13とワークWには溶接機30の溶接電源36からそれぞれ電圧印加用の電源ケーブルL1,L2が接続されており、溶接機30によって溶接ワイヤ13の先端とワークWとの間に高電圧を印加してアークを発生させ、そのアークの熱で溶接ワイヤ13およびワークWを溶融させることにより、ワークWに対して溶接が施される。
【0030】
(ロボット制御装置20)
ロボット制御装置20は、CPU21、ROM22、RAM23、主制御部24、通信制御部25、及びハードディスク26等を備え、各部はバス(BUS)27を介して相互に接続されている。CPU21は、各部をコントロールする。又、CPU21は、平均値算出手段及び記憶制御手段に相当する。
【0031】
主制御部24は、図示しないティーチペンダントで教示された作業プログラム、或いはティーチペンダントからの操作信号、或いは図示しない前記ロータリエンコーダからの現在位置情報等に基づいて制御指令を生成して、バス27及び図示しないサーボードライバー、及び制御ケーブルL3を介して、前記図示しない駆動モータを回転制御し、溶接トーチ14を移動する。
【0032】
又、ロボット制御装置20は、通信ケーブルLを介して溶接機30と通信をすることにより当該溶接機30と同期を取り、例えば、溶接の開始や終了、出力電圧などの指示を行う。また、ロボット制御装置20は、溶接機30にワイヤ送給装置40の制御の指示を行い、前記ワイヤ送給装置40から溶接トーチ14に溶接ワイヤ13を送給させる。
【0033】
ROM22は、マニピュレータ10の動作を制御するための制御ソフトウェアを格納するものである。
RAM23は、揮発性のメモリであって、CPU21に対して作業領域を提供するものであり、計算データ等を一時的に記憶する。又、RAM23は、後述する溶接電流及び溶接電圧、並びに後述する溶接ワイヤ13のワイヤ送給速度及びモータ電流を、リングバッファ方式で記憶する。RAM23は、揮発性の第1記憶手段に相当する。ワイヤ送給速度及びモータ電流(すなわち、送給系の負荷)は、溶接異常を解析する場合の付加情報となる。
【0034】
ハードディスク26は、マニピュレータ10の溶接作業が教示された作業プログラム、この作業プログラムの実行条件を示すデータ、制御定数を示すデータ等を格納するものである。また、ハードディスク26は、後述する平均溶接電流及び平均溶接電圧を記憶する不揮発性の第2記憶手段に相当する。
【0035】
通信制御部25は、各溶接機30と通信ケーブルLを介して通信が可能である。
本実施形態では、アーク溶接モニタ装置は、ロボット制御装置20のRAM23、ハードディスク26、及びCPU21により構成されている。
【0036】
(溶接機30)
各溶接機30は、CPU31、ROM32、RAM33、溶接制御部34、及び通信制御部35等を備えており、各部はバス(BUS)39を介して相互に接続されている。
【0037】
又、溶接機30は、溶接電源36を備えている。溶接電源36は、デジタルインバータ制御回路を備え、外部から入力される商用電源(たとえば3相200V)をインバータ制御回路によって高速応答で精密な溶接電流波形制御が行われる。すなわち溶接電源36の出力側は、電源ケーブルL1,L2を介して溶接トーチ14とワークWとの間に高電圧の溶接電圧を供給する。CPU31は、溶接機30の前記各部をコントロールする。
【0038】
ROM32は、溶接機30が備える溶接制御部34(もしくは溶接電源36)やワイヤ送給装置40等の動作を制御するための制御ソフトウェアを格納するものである。RAM33は、揮発性のメモリであって、CPU31に対して作業領域を提供するものであり、計算データ等を一時的に記憶する。
【0039】
溶接制御部34は、前記制御ソフトウェアに従ってワイヤ送給装置40等の動作を制御する。例えば、所定のタイミングで、又はロボット制御装置20からの指示によりワイヤ送給装置40を駆動させる。
【0040】
ワイヤ送給装置40は、駆動ロール41と加圧ロール42を備え、加圧ロール42が図示しないバネにより駆動ロール41側へ常時付勢されて溶接ワイヤ13を両ロールに挟み込み、その摩擦力で溶接ワイヤ13をはさんで図示しないワイヤリールから引っ張り出すようにされている。駆動ロール41は駆動源としてのモータ43にて回転駆動される。
【0041】
モータ43は、エンコーダ付サーボモータで構成されている。そして、溶接制御部34は、前記エンコーダからフィードバックされるパルスを用いて溶接ワイヤ13のワイヤ送給速度を測定するとともに送給時の速度(ワイヤ送給速度)を監視してフィードバック制御し、モータ43のモータ電流を検出することにより、送給系の負荷を監視する。
【0042】
溶接制御部34は、溶接ワイヤのワイヤ送給速度及び送給系の負荷を検知する検知手段に相当する。
又、溶接制御部34は、ロボット制御装置20から送信される溶接条件に応じて、溶接電源36を制御して溶接電流を溶接トーチ14へ供給する。
【0043】
通信制御部35は、通信ケーブルLを介してロボット制御装置20の通信制御部25に接続され、通信が可能である。
デジタルインバータ制御回路の出力側、すなわち、溶接電源36の出力側は、電流検出部37及び電圧検出部38を備えている。前記電流検出部37により、溶接ワイヤ13に流れる溶接電流を検出する。又、電圧検出部38により、溶接ワイヤ13の先端とワークWとの間に印加した溶接電圧を検出する。電流検出部37及び電圧検出部38は、バス39に接続され、その検出データ(すなわち、溶接電流、溶接電圧)は、通信制御部35、通信ケーブルLを介してロボット制御装置20に送信される。
【0044】
電流検出部37は、溶接電流検出手段に相当し、電圧検出部38は溶接電圧検出手段に相当する。
(実施形態の作用)
上記のように構成された溶接ロボットシステムの作用を図3及び図4のフローチャートを参照して説明する。
【0045】
なお、以下では、説明の便宜上、1つの溶接機30とその溶接機30の電源ケーブルL1,L2に接続されるマニピュレータ10に関して説明をするが、他の溶接機30と、その溶接機30の電源ケーブルL1,L2に接続されるマニピュレータ10に関しても、同様に行われることと理解されたい。なお、以下では、説明の便宜上、ロボット制御装置20と溶接機30との通信においては、相互に識別コードが付与された通信データで通信が行われるものとし、ハードディスク26には、その識別コードが付与されてファイル化された各種データが保存されるものとする。
【0046】
図3のフローチャートは、溶接機30のCPU31が処理するフローチャートである。
同図に示すように、作業プログラムが実行されている溶接中は、S10において、溶接機30の電流検出部37及び電圧検出部38がそれぞれ前記所定のサンプリング周期(例えば1KHz以上の周期)で、サンプリングした溶接電流及び溶接電圧を、CPU31が取得する。又、CPU31は、溶接制御部34が前記と同一サンプリング周期でサンプリングした溶接ワイヤ13のワイヤ送給速度及びモータ43のモータ電流を取得する。そして、CPU31は、S20において溶接電流、溶接電圧、ワイヤ送給速度及びモータ電流、すなわち、サンプリング結果を、通信制御部35を介してロボット制御装置20に送信する。
【0047】
図4は、ロボット制御装置20のCPU21が行う処理のフローチャートである。
同図に示すように、CPU21は、S100において、通信制御部25を介して前記サンプリング結果(すなわち、受信データ)を受信すると、S110でCPU21は、RAM23にそれぞれのデータ(受信データ)をリングバッファ方式で記憶する。
【0048】
リングバッファ方式は、RAM23の所定の記憶領域を、複数のセグメントに分割して、前記分割されたセグメント数を、同時に格納できるデータの個数とするものである。例えば、セグメント数を、N個としたとき、1〜N番であらわされるセグメントが存在することになる。このため、この個数を超えた測定回数のデータを記憶する場合、N個のセグメントに現在格納されているデータの中で、最も古いデータから順に新しいデータで上書きし、更新していく。
【0049】
本実施形態では、RAM23に格納するデータは、溶接電流、溶接電圧、ワイヤ送給速度及びモータ電流の複数種あり、このデータ種別にそれぞれリングバッファ方式の記憶領域が用意されている。そして、データ種別毎に、それぞれのセグメントに書き込みを行うための書き込み位置レジスタと、同レジスタの読み込みを行うための読み込み位置レジスタが用意されている。書き込み位置レジスタは、初期値が1であり、受信データの書き込みが終了する毎に1ずつ増加し、Nに達した後は、1に戻る。又、読み込み位置レジスタは、初期値が1であり、受信データの読込みが終了する毎に1ずつ増加し、Nに達した後は、1に戻る。前記読み込み位置レジスタは、書き込み位置レジスタが示す値よりも先にいかないように、すなわち、オーバランしないように、CPU21により制御されている。
【0050】
次の、S120では、CPU21は、平均値の算出タイミングが否かを判断する。平均値の算出タイミングは、予め設定された所定時間間隔で行うものであり、前記サンプリング周期よりも長く設定されている。本実施形態では、サンプリング周期が1KHz以上としているため、最小でも10ms毎に行うようにしている。なお、この数値は例示であり、限定されるものではない。
【0051】
S120でCPU21が平均値の算出タイミングとなっていると判定した場合は、S130において、CPU21は、前記データ種別毎に、前回の算出タイミングから、今回の算出タイミングまでにRAM23に格納されたデータに基づいて平均値を算出し、算出結果をハードディスク26にデータ種別毎に記憶し、S140に移行する。ここで、溶接ワイヤ13のワイヤ送給速度の平均値、及びモータ43のモータ電流の平均値は、溶接ワイヤ関連平均値に相当する。
【0052】
又、S120でCPU21が平均値の算出タイミングではないと判定した場合は、S140にジャンプする。
S140では、CPU21は、溶接異常が発生しているか否かを判定する。
【0053】
溶接異常の判定は、受信したデータや、その他の情報に基づいて公知の判定方法により行う。例えば、一定時間以上継続して溶接電流が0であり溶接ワイヤ13に通電されていない場合を溶接異常と判定する。或いは、ワイヤ送給速度が所定時間以上継続して0の場合を溶接異常と判定する方法等がある。
【0054】
S140において、CPU21は溶接異常でないと判定した場合には、S160にジャンプする。
S140において、CPU21は溶接異常であると判定した場合には、S150において、RAM23へのリングバッファ方式の記憶を停止するとともにRAM23に格納している各種データ(溶接電流、溶接電圧、ワイヤ送給速度、モータ電流)の全てをハードディスク26にデータ種別毎に記憶し、このフローチャートを終了する。
【0055】
なお、溶接異常と判定した場合、後の解析のために、RAM23に記憶した全データをハードディスク26に記憶させる必要がない場合は、予め設定された制限容量の範囲内であって、最新のデータから順に古くなるデータを、ハードディスク26にデータ種別毎に記憶するようにしてもよい。
【0056】
S140からS160に移行した場合は、S160では、CPU21は、作業プログラムをチェックして溶接終了したか否かを判定する。溶接が終了していない場合には、S100に戻り、溶接が終了した場合には、このフローチャートを終了する。
【0057】
上記のように構成されたアーク溶接モニタ装置は、溶接異常があった場合は、揮発性のRAM23に格納された各種データは、不揮発性のハードディスク26に格納するため、後の溶接異常の解析に使用することができる。
【0058】
本実施形態は、下記の特徴がある。
(1) 本実施形態のアーク溶接モニタ装置は、溶接機30が備える電流検出部37(溶接電流検出手段)及び電圧検出部38(溶接電圧検出手段)による所定のサンプリング周期で取得された溶接電流及び溶接電圧の両方のデータを、リングバッファ方式で記憶する揮発性のRAM23(第1記憶手段)と、前記データの所定時間間隔での平均値を演算するCPU21(平均値算出手段)と、前記平均値を記憶する不揮発性のハードディスク26(第2記憶手段)とを備える。
【0059】
ここで、RAM23として不揮発性のメモリを採用した場合、一般的に、サンプリング周期が高速になればなるほど、高速アクセス可能な高価な大容量ストレージを有したものが必要となるが、上記構成のように、リングバッファ方式のRAM23を採用したことによって大容量ストレージとする必要がない。又、RAM23に記憶されている溶接電流、溶接電圧、溶接ワイヤ13のワイヤ送給速度、及びワイヤ送給装置40のモータ電流は、サンプリング周期(微小時間単位)でのデータを取得し保存するようにしたことによって、溶接異常発生時の溶接現象を解析するために必要なデータを自動的に取得することができる。
【0060】
(2) 本実施形態のアーク溶接モニタ装置は、溶接異常の際に、RAM23(第1記憶手段)に記憶した各種データを、ハードディスク26(第2記憶手段)へ記憶させるCPU21(記憶制御手段)を備える。上記構成によれば、溶接異常の際には、揮発性のRAM23に記憶したデータを、不揮発性のハードディスク26へ記憶させる。このようにしたことによって、高速なサンプリング周期で取得したデータを、リングバッファの容量分だけ過去に遡って確認することができる。すなわち、溶接異常の発生直前の溶接現象を、高速サンプリングによる微小な時間領域で解析することができる。
【0061】
(3) 本実施形態のアーク溶接モニタ装置は、RAM23(第1記憶手段)、ハードディスク26(第2記憶手段)、CPU21(平均値算出手段及び記憶制御手段)を、ロボット制御装置20が備える。この結果、本実施形態によれば、ロボット制御装置20において、第1記憶手段、第2記憶手段、平均値算出手段及び記憶制御手段は、前記ロボット制御装置が備えることにより、請求項2の作用を実現できる。
【0062】
(4) 本実施形態のアーク溶接モニタ装置は、溶接機30が、溶接ワイヤ13を溶接トーチ14に送給するワイヤ送給装置40を備えるとともにワイヤ送給装置40の溶接ワイヤ13のワイヤ送給速度及び送給系の負荷を検知する溶接制御部34(検知手段)を備える。又、RAM23(第1記憶手段)は、溶接中の溶接ワイヤ13のワイヤ送給速度及び送給系の負荷の両方をリングバッファ方式で記憶する。さらに、CPU21(平均値算出手段)は、RAM23(第1記憶手段)が記憶する溶接中の溶接ワイヤ13のワイヤ送給速度及び送給系の負荷の両方における、所定時間間隔での平均値(溶接ワイヤ関連平均値)を演算する。そして、ハードディスク26(第2記憶手段)は、溶接ワイヤ関連平均値を記憶する。
【0063】
この結果、溶接異常発生時の微小な時間領域での溶接現象を解析するために必要なデータ(溶接電流、又は溶接電圧)に加えて、さらに詳細に解析するための付加的データ(ワイヤ送給速度、送給負荷等)を自動的に取得することができる。
【0064】
(5) 本実施形態のアーク溶接モニタ装置は、1台のロボット制御装置20に複数台の溶接機30が接続されているシステムにおいても、溶接異常発生時の微小な時間領域での溶接現象を解析するために必要なデータを自動的に取得することができる。
【0065】
(6) 本実施形態では、溶接機30は、デジタルインバータ制御回路を備えるデジタル溶接機であって、近年、急速に普及しつつあるデシタル溶接機に内蔵されている電流検出部37、電圧検出部38を利用するので、ロボット制御装置20や溶接機30の外部に電流検出部、電圧検出部を設ける場合に比して、システムが安価となり、セットアップ及びメンテナンスも簡単となる。
【0066】
(第2実施形態)
第2実施形態のアーク溶接モニタ装置を図1、図2、及び図5を参照して説明する。第2実施形態のハード構成は、第1実施形態と同一であり、ソフトウエの構成が異なるため、同一構成については同一符号を付して異なる構成について説明する。
【0067】
本実施形態では、溶接機30のRAM33は、揮発性のメモリであって、溶接電流及び溶接電圧、並びに溶接ワイヤ13のワイヤ送給速度及びモータ電流を、リングバッファ方式で記憶する。RAM33は、揮発性の第1記憶手段に相当する。又、溶接機30のCPU31は、平均値算出手段及び記憶制御手段に相当する。ロボット制御装置20のハードディスク26は第2記憶手段に相当する。そして、第2実施形態のアーク溶接モニタ装置は、溶接機30のRAM33、ハードディスク26、及び溶接機30のCPU31により構成されている。
【0068】
(第2実施形態の作用)
第2実施形態のアーク溶接モニタ装置の作用を図5(a)、(b)を参照して説明する。
【0069】
図5(a)は、溶接機30のCPU31が行う処理のフローチャートである。
S200において、CPU31は、第1実施形態と同様に溶接機30の電流検出部37及び電圧検出部38が、それぞれ所定のサンプリング周期(例えば1KHz以上の周期)で、サンプリングした溶接電流及び溶接電圧を取得する。又、CPU31は、溶接制御部34が前記と同一サンプリング周期でサンプリングした溶接ワイヤ13のワイヤ送給速度及びモータ43のモータ電流を取得する。そして、S210においてCPU31は、RAM33にそれぞれのデータを、第1実施形態で説明したリングバッファ方式で記憶する。
【0070】
次のS220では、CPU31は、平均値の算出タイミングが否かを判断する。平均値の算出タイミングは、予め設定された所定時間間隔で行うものであり、前記サンプリング周期よりも長く設定されている。本実施形態では、サンプリング周期が1KHz以上としているため、最小でも10ms毎に行うようにしている。なお、この数値は例示であり、限定されるものではない。
【0071】
S220でCPU31が平均値の算出タイミングとなっていないと判定した場合は、この処理のフローチャートを一旦終了する。
S220でCPU31が平均値の算出タイミングとなっていると判定した場合は、S230において、CPU31は、前記データ種別毎に、前回の制御周期の算出タイミングから、今回の制御周期の算出タイミングまでにRAM33に格納されたデータに基づいてそれぞれ平均値を算出する。
【0072】
そして、S240において、CPU31は、これらの平均値を、通信制御部35を介してロボット制御装置20に送信する。ここで、溶接ワイヤ13のワイヤ送給速度の平均値、及びモータ43のモータ電流の平均値は、溶接ワイヤ関連平均値に相当する。
【0073】
図5(b)に示すようにロボット制御装置20のCPU21は、S300において通信制御部25で受信した各種データの平均値を、ハードディスク26に、第1実施形態と同様に格納する。
【0074】
ここで、溶接機30のCPU31が溶接異常を検出した場合、例えば、取得したデータや、一定時間以上継続して溶接電流が0であり溶接ワイヤ13に通電されていない場合を溶接異常と判定した場合、或いは、溶接ワイヤ13のワイヤ送給速度が所定時間以上継続して0の場合を溶接異常と判定した場合、CPU31は、ロボット制御装置20に通信制御部35を介して溶接異常を通知するとともに、RAM33への前記各種データのリングバッファ方式の記憶を停止する。なお、溶接異常の判定は前記方法以外の公知の方法であってもよい。
【0075】
或いは、ロボット制御装置20のCPU21が公知の方法で溶接異常の判定をした場合は、CPU21は、溶接機30に対して、通信制御部25を介して溶接異常を通知する。この場合は、溶接機30のCPU31は、通信制御部35を介してロボット制御装置20からの溶接異常の通知に応じてRAM33へのリングバッファ方式のデータの記憶を停止する。
【0076】
このようにして、溶接異常の判定がロボット制御装置20、又は溶接機30で行われた場合、RAM33の各種データの記憶(書き込み)が停止され、この後、CPU31は、RAM33にリングバッファ方式で記憶されている各種のデータ(RAMデータ)を読込して、そのRAMデータを通信制御部25を介してロボット制御装置20に送信する。
【0077】
ロボット制御装置20のCPU21は、図5(c)のS400において、通信制御部25で受信したRAMデータをハードディスク26に格納する。
このようにすることにより、1台のロボット制御装置20に複数台の溶接機30が接続されている場合において、通信速度、或いは通信ケーブルの通信容量の不足により高周波数のサンプリングデータをリアルタイムにロボット制御装置20に送信できなくとも、溶接異常発生時のそれらの詳細データを、ロボット制御装置20のハードディスク26に履歴として保存し、溶接異常の原因究明に使用することができる。
【0078】
本実施形態は、下記の特徴がある。
(1) 本実施形態のアーク溶接モニタ装置では、溶接機30のRAM33を第1記憶手段とし、CPU31を平均値算出手段及び記憶制御手段とし、ロボット制御装置20のハードディスク26を第2記憶手段として構成されている。
【0079】
この結果、このように構成しても、溶接異常の際には、溶接機30が備える揮発性のRAM33に記憶した溶接電流、溶接電圧、溶接ワイヤ13のワイヤ送給速度、モータ43のモータ電流を、ロボット制御装置20が備える不揮発性のハードディスク26へ記憶させるため、溶接異常の発生時に、サンプリング周期での溶接電流及び溶接電圧のデータをロボット制御装置20のハードディスク26から取得して使用することができる。
【0080】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく下記のように変更してもよい。
・ 第2実施形態では、ロボット制御装置20側でも溶接異常を判定するようにしたが、ロボット制御装置20側の溶接異常判定を溶接機30のみで行うようにしてもよい。
【0081】
・ 前記各実施形態では、溶接ロボットシステムは、1つのロボット制御装置20に複数の溶接機30及び複数のマニピュレータ10を備えるようにしたが、1つのロボット制御装置20に1つの溶接機30及び1つのマニピュレータ10を備えるようにしてもよい。
【0082】
・ 前記各実施形態では、所定のサンプリング周期で取得するデータは、溶接電流、溶接電圧、溶接ワイヤ13のワイヤ送給速度、モータ43のモータ電流としたが、溶接異常を解析するためには、溶接電流、溶接電圧のいずれか一方の解析が可能であれば済むことがあるため、溶接電流及び溶接電圧のうちいずれか一方のデータ、すなわち、溶接電流、又は溶接電圧を取得するように構成し、揮発性の第1記憶手段としてのRAM23等に格納するようにしてもよい。そして、溶接異常のときに、そのデータを不揮発性の第2記憶手段であるハードディスク26等に格納するようにしてもよい。
【0083】
・ 前記各実施形態では、溶接制御部34は溶接ワイヤ13のワイヤ送給速度、モータ43のモータ電流の両方を取得(サンプリング)するようにしたが、いずれか一方のみをサンプリングするようにしてもよい。
【0084】
・ 前記各実施形態では、CPU31は、記憶制御手段としたが、溶接異常があったときに、オペレータが、図示しないティーチペンダント、或いは図示しない操作盤を操作して、RAM33に記憶した溶接電流及び溶接電圧を、ハードディスク26に、記憶させるようにしてもよい。
【0085】
・ 前記各実施形態では、不揮発性の第2記憶手段としてハードディスク26にしたが、不揮発性の第2記憶手段は、ハードディスクに限定されるものではない。不揮発性の記憶手段としては、光学磁気記憶装置等の記憶手段、フラッシュメモリ等の不揮発性半導体メモリであってもよい。
【0086】
・ 前記各実施形態では、デジタルインバータ制御回路を備えた溶接電源36を使用する溶接ロボットシステムに具体化し、デジタルインバータ制御回路に付随して設けられた電流検出部37、電圧検出部38をそのまま利用できるものとなっている。これに代えて、デジタルインバータ制御回路を備えていない、アナログ形式の溶接電源を使用するようにしてもよい。この場合は、電源回路の出力側には溶接電流を検出する溶接電流検出センサ溶接電流検出手段とし、溶接電圧を検出する溶接電圧検出センサを溶接電圧検出手段としてさらに設ける必要があるが、このように構成してもよい。
【0087】
・ 前記各実施形態において、アーク溶接ではシールドガスを溶接トーチ14から噴出するようにしていることが一般的であるため、説明を省略している。このシールドガスの溶接中のガス流量を検出するガス流量測定器を設けて、溶接中にこのガス流量測定器を前記所定のサンプリング周期で測定し、この値(付加情報)を各実施形態の第1記憶手段にリングバッファ方式で格納し、溶接異常の際に、各実施形態の第2記憶手段に格納するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0088】
10…マニピュレータ、14…溶接トーチ、20…ロボット制御装置、
21…CPU(記憶制御手段、平均値算出手段)、
23…RAM(第1記憶手段)、26…ハードディスク(第2記憶手段)、
30…溶接機、37…電流検出部(溶接電流検出手段)、
38…電圧検出部(溶接電圧検出手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接トーチを備える1又は2以上のマニピュレータと、前記溶接トーチに送給される溶接ワイヤを溶融して溶接対象物の溶接を行わせる1又は2以上の溶接機と、前記1又は2以上のマニピュレータと前記1又は2以上の溶接機とが接続されたロボット制御装置とを備え、前記マニピュレータ、及び前記溶接機で構成される1又は2以上の溶接ロボットの溶接動作が前記ロボット制御装置によって制御される溶接ロボットシステムに設けられるアーク溶接モニタ装置において、
前記溶接機が備える溶接電流検出手段及び溶接電圧検出手段による所定のサンプリング周期で取得された溶接電流及び溶接電圧のうち、少なくともいずれか一方のデータを、リングバッファ方式で記憶する揮発性の第1記憶手段と、
前記データの所定時間間隔での平均値を演算する平均値算出手段と、
前記平均値を記憶する不揮発性の第2記憶手段とを備えることを特徴とするアーク溶接モニタ装置。
【請求項2】
溶接異常の際に、前記第1記憶手段に記憶した少なくともいずれか一方のデータを、前記第2記憶手段へ記憶させる記憶制御手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のアーク溶接モニタ装置。
【請求項3】
前記第1記憶手段、第2記憶手段、平均値算出手段及び記憶制御手段を、前記ロボット制御装置が備えることを特徴とする請求項2に記載のアーク溶接モニタ装置。
【請求項4】
前記第1記憶手段、平均値算出手段、及び前記記憶制御手段を、前記溶接機が備え、
前記第2記憶手段を前記ロボット制御装置が備えることを特徴とする請求項2に記載のアーク溶接モニタ装置。
【請求項5】
前記溶接機は、溶接ワイヤを溶接トーチに送給するワイヤ送給装置を備えるとともに前記ワイヤ送給装置の溶接ワイヤのワイヤ送給速度及び送給系の負荷を検知する検知手段を備え、
前記第1記憶手段は、溶接中の前記溶接ワイヤのワイヤ送給速度及び送給系の負荷の少なくともいずれか一方をリングバッファ方式で記憶し、
前記平均値算出手段は、前記第1記憶手段が記憶する溶接中の前記溶接ワイヤのワイヤ送給速度及び送給系の負荷の少なくともいずれか一方の前記所定時間間隔での溶接ワイヤ関連平均値を演算し、
前記第2記憶手段は、前記溶接ワイヤ関連平均値を記憶することを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項に記載のアーク溶接モニタ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−10119(P2013−10119A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144261(P2011−144261)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)