説明

アーク溶接機の制御方法およびアーク溶接機

【課題】溶接後の母材に残留するスパッタを低減させることができるアーク溶接機の制御方法およびアーク溶接機を提供する。
【解決手段】本発明のアーク溶接機の制御方法では、アークスタートから負荷電流が安定して定常状態に至るまでの初期期間において、負荷電流の最大値を400A以下に抑えると共に、短絡の発生間隔を50msec以下とする初期制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アーク溶接機の制御方法およびアーク溶接機に関する。
【背景技術】
【0002】
アーク溶接では、母材と溶加材との間にアーク放電を生じさせることにより、母材と溶加材とを溶融させて接合する。ここで、アークスタートから負荷電流が設定電流に達して安定する定常状態までの間の初期期間においては、負荷電流が安定せず急激に増減することが通常である(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−158133号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、アーク溶接が行われる場合、溶接後の母材に多くのスパッタが付着して母材の外観を阻害することがあるが、これらのスパッタは、上記のような初期期間の溶接不安定時において発生した大粒のスパッタによるものが多いと考えられる。例えば、アークスタート時には負荷電流が急増して溶加材が燃え上がるが、このとき、溶滴が大きく成長し、この溶滴が滴下することによって滴が飛び散り、大粒のスパッタが形成される。また、アークスタート後には、溶滴の成長と短絡とが繰り返され、溶滴が滴下することによってスパッタが形成される。このようなスパッタのうち小さなものは、溶接後に自然と母材から脱落することもあるが、大粒のスパッタは自然には脱落し難いため、母材に残留する。この場合、スパッタの除去のために余計な工数が必要となり、コストを増大させてしまう。
【0004】
本発明の課題は、溶接後の母材に残留するスパッタを低減させることができるアーク溶接機の制御方法およびアーク溶接機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1発明に係るアーク溶接機の制御方法では、アークスタートから負荷電流が安定して定常状態に至るまでの初期期間において、負荷電流の最大値を400A以下に抑えると共に、短絡の発生間隔を50msec以下とする初期制御を行う。
【0006】
このアーク溶接機の制御方法では、初期期間において、負荷電流の最大値が400A以下に抑えられるため、溶滴に与えられるエネルギーが抑えられる。また、短絡の発生間隔が50msec以下とされるため、溶滴が大きく成長する前に短絡が発生する。このため、短絡によって滴下する際の溶滴の大きさが抑えられ、大粒のスパッタの発生が抑えられる。これにより、溶接後の母材に残留するスパッタを低減させることができる。
【0007】
第2発明に係るアーク溶接機の制御方法は、第1発明のアーク溶接機の制御方法であって、初期制御において、負荷電流の最大値での連続通電時間を3msec以下とする。
【0008】
このアーク溶接機の制御方法では、負荷電流の最大値での連続通電時間が3msec以下とされる。このため、溶滴に与えられるエネルギーが抑えられ、大粒のスパッタの発生がさらに抑えられる。
【0009】
第3発明に係るアーク溶接機の制御方法は、第1発明または第2発明のアーク溶接機の制御方法であって、初期制御において、短絡の発生間隔を20msec以上とする。
【0010】
大粒の溶滴の発生を低減させるためには、短絡の発生間隔は短いことが望ましいが、あまりに短い場合には、溶加材が十分に溶融しない恐れがある。しかし、このアーク溶接機の制御方法では、短絡の発生間隔が20msec以上とされるため、溶加材を十分に溶融させると共に、大粒のスパッタの発生を抑えることができる。
【0011】
第4発明に係るアーク溶接機の制御方法は、第1発明から第3発明のいずれかのアーク溶接機の制御方法であって、初期制御において、負荷電流の最大値が400A以下となるように負荷電圧を制御する。
【0012】
このアーク溶接機の制御方法では、負荷電圧を制御することにより、負荷電流の最大値を容易に調整することができる。
【0013】
第5発明に係るアーク溶接機の制御方法は、第1発明から第4発明のいずれかのアーク溶接機の制御方法であって、初期制御において、負荷電流の最大値が400A以下となるように溶接ワイヤの供給速度を制御する。
【0014】
このアーク溶接機の制御方法では、溶接ワイヤの供給速度を制御することにより、負荷電流の最大値を容易に調整することができる。
【0015】
第6発明に係るアーク溶接機の制御方法は、第1発明から第5発明のいずれかのアーク溶接機の制御方法であって、初期制御において、短絡の発生間隔が50msec以下となるように負荷電圧および/または溶接ワイヤの供給速度を制御する。
【0016】
このアーク溶接機の制御方法では、負荷電圧および/または溶接ワイヤの供給速度を制御することにより、短絡の発生間隔を容易に調整することができる。
【0017】
第7発明に係るアーク溶接機の制御方法は、第1発明から第6発明のいずれかのアーク溶接機の制御方法であって、負荷電流が所定の設定電流値に達し、且つ、アークスタートから所定時間が経過した場合に、初期制御から通常制御に移行する。
【0018】
初期期間において負荷電流の最大値が抑えられる初期制御が行われると、負荷電流が設定値で安定したと判断され定常状態に移行したと誤認される恐れがある。しかし、このアーク溶接機の制御方法では、負荷電流が所定の設定電流値に達しただけではなく、アークスタートから所定時間が経過した場合に、初期制御から通常制御に移行する。このため、定常状態を誤認して誤って通常制御に移行することを防止することができる。
【0019】
第8発明に係るアーク溶接機は、アーク放電を生起させるための電力を供給する溶接電源部と、制御部とを備える。制御部は、アークスタートから負荷電流が安定して定常状態に至るまでの初期期間において、負荷電流の最大値を400A以下に抑えると共に、短絡の発生間隔を50msec以下とする初期制御を行う。
【0020】
このアーク溶接機では、初期期間において、負荷電流の最大値を400A以下に抑えられるため、溶滴に与えられるエネルギーが抑えられる。また、短絡の発生間隔が50msec以下とされるため、溶滴が大きく成長する前に短絡が発生する。このため、短絡によって滴下する際の溶滴の大きさが抑えられ、大粒のスパッタの発生が抑えられる。これにより、溶接後の母材に残留するスパッタを低減させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るアーク溶接機の制御方法では、初期期間において、負荷電流の最大値が400A以下に抑えられるため、溶滴に与えられるエネルギーが抑えられる。また、短絡の発生間隔が50msec以下とされるため、溶滴が大きく成長する前に短絡が発生する。このため、短絡によって滴下する際の溶滴の大きさが抑えられ、大粒のスパッタの発生が抑えられる。これにより、溶接後の母材に残留するスパッタを低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
<アーク溶接機の構成>
本発明の一実施形態に係るアーク溶接機100を図1に示す。このアーク溶接機100は、母材1と溶加材(溶接ワイヤ2)との間にアークを発生させることにより、母材1および溶加材を溶融させて接合することができる。このアーク溶接機100は、トーチ3と、ワイヤ送給装置4と、溶接電源装置5と、ガス調節部6とを備える。
【0023】
トーチ3は、ロボットによって自動的に操作される部分であり、先端から所定の長さだけ溶接ワイヤ2が突出するように溶接ワイヤ2が供給される。
【0024】
ワイヤ送給装置4は、溶接ワイヤ2をトーチ3に送り込む装置である。ワイヤ送給装置4には、溶接ワイヤ2がロール状に巻回された溶接コイル7がセットされており、溶接コイル7から溶接ワイヤ2を引き出してトーチ3に送り込む。ワイヤ送給装置4は、図2に示すように、モータ41と、エンコーダ42と、モータガバナ43とを有している。モータ41は、モータガバナ43によって回転数を制御され、溶接コイル7から溶接ワイヤ2を繰り出す駆動源となる。エンコーダ42はモータ41の回転数を検出して、モータカバナ43に送る。モータガバナ43は、エンコーダ42からのモータ回転数に基づいてモータ41を制御して、所望の回転数に制御することができる。エンコーダ42によって検出されたモータ回転数はモータガバナ43を介して後述する溶接電源装置5の制御部に送られる。
【0025】
溶接電源装置5は、アーク放電を生起させるための電力を母材1および溶接ワイヤ2に供給するデジタル電源装置である。溶接電源装置5は、図1に示すように、トーチ用ケーブル31を介してトーチ3に接続されていると共に、接地ケーブル11を介して母材1に接続されている。また、溶接電源装置5は、図示しない外部電源に接続されており、外部電源からの電力を制御して母材1および溶接ワイヤ2に供給する。また、溶接電源装置5は、ワイヤ送給装置4およびガス調節部6と図示しない通信線で接続されており、ワイヤ送給装置4における溶接ワイヤ2の供給速度やガス調節部6におけるガスの供給量を制御することができる。なお、ガス調節部6は、ガスボンベ8に充填されたガスをトーチ3に供給する装置である。
【0026】
溶接電源装置5は、図2に示すように、電源回路51、電流検出回路52、電圧検出回路53、操作部54、制御部55を有している。電源回路51は、外部電源から供給される電力をトーチ3の溶接ワイヤ2および母材1に供給する回路である。電流検出回路52は、溶接ワイヤ2および母材1に流れている負荷電流を検出する回路であり、検出した負荷電流の値を制御部55へ送信する。電圧検出回路53は、溶接ワイヤ2と母材1との間に印可されている負荷電圧を検出する回路であり、検出した負荷電圧の値を制御部55へ送信する。操作部54は、作業者が溶接条件を入力するための部分であり、設定電流、設定電圧などを入力して設定することができる。また、アークスタート時の負荷電圧や溶接ワイヤの供給速度などのパラメーターの設定も可能である。また、制御部55は、ワイヤ送給装置4のモータガバナ43を制御して、ワイヤ送給装置4からの溶接ワイヤ2の供給速度を制御することができる。このように制御部55は、負荷電圧と溶接ワイヤ2の供給速度を制御することにより、負荷電流の波形の幅や高さをデジタル制御することができる。
【0027】
<アーク溶接機100における初期制御>
次に、アークスタートから負荷電流が安定して定常状態に至るまでの初期期間において、アーク溶接機100の制御部55が行う初期制御について説明する。この初期制御は、溶接後の母材1に残留するスパッタを低減させるための制御であり、図3に示すフローに従って行われる。
【0028】
まず、溶接電源装置5のスイッチがオンにされると(S1)、溶接ワイヤ2と母材1との間に無負荷電圧がかけられ(S2)、それと共に、ワイヤ送給装置4において溶接ワイヤ2の供給が開始される(S3)。
【0029】
ここで、トーチ3が操作されて溶接ワイヤ2の先端が母材1に接触すると、アークが点弧して溶接ワイヤ2が燃え上がる。このとき、溶接電源装置5では、アークスタート時の負荷電流の最大値が400A以下となるように、且つ、負荷電流の最大値での連続通電時間が3msec以下となるように、印可される負荷電圧は予め低い値とされている。アークが点弧して溶接ワイヤ2が燃え上がると、溶接ワイヤ2が溶けて形成される溶滴の成長と短絡が繰り返される。このとき、溶接電源装置5では、負荷電流が検出され(S4)、負荷電流の最大値が400A程度になるように負荷電圧が制御される(S5)。また、負荷電流の最大値での連続通電時間が3msec以下となるように負荷電圧が制御される(S6)。
【0030】
また、短絡が繰り返される間、負荷電流および負荷電圧が検出され、検出された負荷電流および負荷電圧に基づいて短絡の発生回数が検知される(S7)。そして、短絡の発生回数が0.1秒間に2〜5回か否か、すなわち、短絡の発生間隔が20msec以上、50msec以下であるか否かが判定される(S8)。短絡の発生回数が上記の範囲より少ない場合は、負荷電圧が低減される。又は、溶接ワイヤ2の供給速度が増大される。短絡の発生回数が上記の範囲より多い場合は、負荷電圧が増大される。又は、溶接ワイヤ2の供給速度が低減される(S9,S10)。これにより、短絡の発生回数が上記の範囲内になるように制御される。なお、この場合の負荷電圧の変更幅は0.5V以内であることが望ましい。
【0031】
この初期制御は、負荷電流が所定の設定電流値に達し、且つ、アークスタートから所定時間が経過するまで行われ(S11,S12)、その後、通常制御が行われる(S13)。これにより、負荷電流が安定して定常状態に移行した状態を誤認することが防止される。
【0032】
なお、この初期制御においては、短絡が繰り返されながら負荷電流が上昇し、アークスタートから300msec〜500msec程度で設定電流に到達するように負荷電圧と溶接ワイヤ2の供給速度が制御される。これにより、スパッタが形成されやすい初期期間をできるだけ短くすると共に、初期期間が過度に短くなることによる不安定な溶接の状態を回避することができる。
【0033】
<特徴>
(1)
このアーク溶接機100では、初期期間において、負荷電流の最大値が400A程度に抑えられると共に、負荷電流の最大値での連続通電時間が3msec以下に抑えられる。このため、溶滴に与えられるエネルギーが抑えられ、溶滴が過度に大きくなることが防止される。また、短絡の発生間隔も50msec以下に抑えられているため、短絡が成長する時間が短くなっており、溶滴が過度に大きくなることが防止される。また、負荷電流の最大値が抑えられるため、スパッタを弾き飛ばす力も抑えられる。これにより、大粒のスパッタの発生が抑えられ、溶接後の母材1に残留するスパッタを低減することができる。
【0034】
(2)
このアーク溶接機100では、負荷電圧を制御することによって、負荷電流の最大値や最大値での通電時間を容易に制御することができる。
【0035】
また、負荷電圧や溶接ワイヤ2の供給速度を制御することによって、短絡の発生間隔と、アークスタートから定常状態に移行するまでの時間を容易に制御することができる。
【0036】
(3)
本発明に係るアーク溶接機100によるアーク溶接時(以下、「本発明例」と呼ぶ)の電流波形を図4に示す。この電流波形は、図5に示すテストピース91の4隅93〜96をベース92に溶接した際のものであり、縦軸が負荷電流値を示し、横軸が時間を示している。なお、このテストピース91の溶接は、6:4のMAGガス(アルゴンガス6に対してCO2ガス4)供給の元で行われ、溶接電源装置5での設定電流は300A、設定電圧は31Vである。テストピース91の大きさは、100×50×16t(mm)であり、ベース92の大きさは、300×250×9t(mm)である。また、テストピース91およびベース92の材質は、一般構造用圧延鋼材SS400(黒皮材)である。なお、使用した溶接ワイヤ2はφ1.4のJIS:YGW−11相当の溶接ワイヤ(キスウェル社製ZO−26)である。
【0037】
図4に示す本発明例の電流波形では、アークスタート時の負荷電流の最大値Ism1が低く抑えられていると共に、その後の短絡時の負荷電流の最大値も400A程度に抑えられている。また、短絡の発生間隔も50msec以下に抑えられている
次に、比較例として、従来のアーク溶接機(松下溶接システム株式会社製、HF500)によるアーク溶接時の電流波形を図6に示す。溶接条件等については、上記の本発明例の条件と同様である。
【0038】
この電流波形では、アークスタート時の負荷電流の最大値Ism2が大きくなっており、600Aを越えている。また、アークスタート後に短絡が繰り返されている状態においては、負荷電流値の変化幅が大きくなっている。
【0039】
図7に、本発明例および比較例における溶接後のスパッタ付着量を示す。図7に示されているスパッタの付着量は、溶接後の母材1を皮手で払った後のものであり、簡易に取り除かれる微細なスパッタは除かれている。また、各条件で溶接を2回ずつ行った合計のスパッタ付着量が示されている。
【0040】
この表から分かるように、本発明例では、溶接後の母材1に付着しているスパッタが比較例よりも少ない。特に、比較例では2mm以上の大粒のスパッタが多数付着しているのに対して、本発明例ではゼロである。このように、本発明例では、母材1からの除去が困難であり母材1に残留しやすい大粒のスパッタの付着が大幅に低減されていることが分かる。
<他の実施形態>
(a)
上記の本発明例では、黒皮鉄の鉄鋼材料が用いられているが、本発明はこれ以外の材料に対しても有効である。ただし、黒皮鉄の鉄鋼材料を用いることにより、微少なスパッタの付着が防止され、全体としてスパッタの発生を低減することができる。すなわち、黒皮の層によって微少なスパッタの付着を低減することができると共に、黒皮の層を破って下層まで到達するような大粒のスパッタの発生を抑えることができ、残留するスパッタを芸源することができる。
【0041】
(b)
上記のアーク溶接後にショットブラストがさらに行われてもよい。これによって、微少なスパッタを母材1から容易に除去することができる。また、ショットブラストでは除去することができないような大粒のスパッタの発生は上記の初期制御によって低減される。このため、母材1に残留するスパッタを低減することができる。
【0042】
(c)
上記の実施形態では、初期制御において負荷電流の最大値が400A程度とされているが、負荷電流の最大値はこの値に限られるものではなく、400Aより小さい値であればよく、例えば300A程度であってもよい。また、400A以下であり、且つ、アーク放電の生起が可能な程度の電流値が選択可能であるが、スパッタ低減の観点からは、200A以上であることが望ましい。
【0043】
(d)
上記の実施形態では、負荷電圧が制御されることによって負荷電流の調整が行われているが、負荷電圧と共に、又は、負荷電圧に代えて溶接ワイヤ2の供給速度が制御されてもよい。
【0044】
また、上記の実施形態では、負荷電圧と溶接ワイヤ2の供給速度が制御されることによって短絡の発生回数が調整されているが、負荷電圧と溶接ワイヤ2とのいずれか一方のみによって短絡の発生回数の調整が行われてもよい。
【0045】
(e)
上記の実施形態では、トーチ3がロボットによって自動的に操作される全自動のアーク溶接機100に本発明が適用されているが、トーチ3が作業者によって操作される半自動のアーク溶接機に本発明が適用されてもよい。
【0046】
(f)
上記の本発明例では、6:4(Ar+Co2)のMAGガス供給の元で溶接が行われているが、8:2(Ar+Co2)のMAGガス供給の元で溶接が行われてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、溶接後の母材に残留するスパッタを低減させることができる効果を有し、アーク溶接機の制御方法およびアーク溶接機として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】アーク溶接機の構成を示す概略図。
【図2】溶接電源装置とワイヤ送給装置との構成を示すブロック図。
【図3】アーク溶接機における初期制御のフロー。
【図4】本発明例における初期期間の電流波形を示すグラフ。
【図5】本発明例および比較例におけるテストピースを示す図。
【図6】比較例における初期期間の電流波形を示すグラフ。
【図7】本発明例と比較例におけるスパッタ付着量の比較を示す表。
【符号の説明】
【0049】
5 溶接電源装置(溶接電源部)
55 制御部
100 アーク溶接機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アークスタートから負荷電流が安定して定常状態に至るまでの初期期間において、
前記負荷電流の最大値を400A以下に抑えると共に、短絡の発生間隔を50msec以下とする初期制御を行う、
アーク溶接機の制御方法。
【請求項2】
前記初期制御において、前記負荷電流の最大値での連続通電時間を3msec以下とする、
請求項1に記載のアーク溶接機の制御方法。
【請求項3】
前記初期制御において、前記短絡の発生間隔を20msec以上とする、
請求項1または2に記載のアーク溶接機の制御方法。
【請求項4】
前記初期制御において、前記負荷電流の最大値が400A以下となるように負荷電圧を制御する、
請求項1から3のいずれかに記載のアーク溶接機の制御方法。
【請求項5】
前記初期制御において、前記負荷電流の最大値が400A以下となるように溶接ワイヤの供給速度を制御する、
請求項1から4のいずれかに記載のアーク溶接機の制御方法。
【請求項6】
前記初期制御において、前記短絡の発生間隔が50msec以下となるように負荷電圧および/または溶接ワイヤの供給速度を制御する、
請求項1から5のいずれかに記載のアーク溶接機の制御方法。
【請求項7】
前記負荷電流が所定の設定電流値に達し、且つ、アークスタートから所定時間が経過した場合に、前記初期制御から通常制御に移行する、
請求項1から6のいずれかに記載のアーク溶接機の制御方法。
【請求項8】
アーク放電を生起させるための電力を供給する溶接電源部と、
アークスタートから負荷電流が安定して定常状態に至るまでの初期期間において、前記負荷電流の最大値を400A以下に抑えると共に、短絡の発生間隔を50msec以下とする初期制御を行う制御部と、
を備えるアーク溶接機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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