説明

イメージセンサユニットおよび画像読取装置

【課題】紙幣に出射される照射光の照度分布の均一化を図る。
【解決手段】
紙幣Sの画像情報を読み取るイメージセンサユニット1であって、発光モジュール16と、発光モジュール16から照射された光を紙幣Sへ導く導光体2とを備え、導光体2は、発光モジュール16が発する光を入射する入射面21と、入射面21から入射した光を反射する反射面22と、反射面22で反射した光を紙幣Sに向けて出射する出射面23とを備えると共に、反射面22は複数の連続した平面からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、イメージスキャナあるいはファクシミリ等の画像読取装置に使用されるイメージセンサユニット及びイメージセンサユニットを用いた画像読取装置に関する。特に、紙幣、有価証券等の記録媒体の画像情報を読み取るイメージセンサユニットと、記録媒体の真贋判定を行う画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙幣を取り扱う画像読取装置は、たとえば、特許文献1が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−116590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような画像読取装置においては、イメージセンサユニットと透過読み取り用の光源ユニットとの間には、紙幣がスムーズに通過できるように、所定の寸法の隙間が形成される。そして、反射読み取り用の光源から出射される照射光の照度分布(特に、通過する紙幣の法線方向の照度分布)が均一であることが好ましい。たとえば、照度分布が不均一であると、紙幣がその法線方向に変位した場合や、波打った紙幣が通過した場合に、イメージセンサユニットの側に偏って通過した部分と、透過読み取り用の光源ユニットの側に偏って通過した部分とで、紙幣に照射される照射光の照度が異なる。そうすると、紙幣からの反射光の照度が不均一になり、読取りの精度が低下するおそれがある。
【0005】
上述した実情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、紙幣などの被照明体の通過領域に出射される照射光の照度分布、特に、通過する被照明体の被読取面の法線方向についての照度分布の均一化を図ることができるイメージセンサユニットおよび画像読取装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、被照明体の画像情報を読み取るイメージセンサユニットであって、光源と、前記光源から照射された光を前記被照明体へ導く導光体と、を備え、前記導光体は、前記光源が発する光を入射する入射面と、前記入射面から入射した光を反射する反射面と、前記反射面で反射した光を前記被照明体に向けて出射する出射面と、を備えると共に、前記反射面は複数の平面からなることを特徴とする。
また、本発明は、被照明体の画像情報を読み取る画像読取装置であって、光源と、前記光源が発する光を入射する入射面と、複数の平面からなり前記入射面から入射した光を反射する反射面と、前記反射面で反射した光を前記被照明体に向けて出射する出射面と、を備える導光体と、を有するイメージセンサユニットを備え、前記被照明体と前記イメージセンサユニットとを相対的に移動させながら、前記イメージセンサユニットによって前記被照明体の画像情報を読み取ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、導光体の出射面から出射される照射光の照度分布、特に被照明体の法線方向の照度分布の均一化を図ることによって、被照明体からの反射光の照度の均一化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明を適用できる実施形態にかかるイメージセンサユニットの構成を、模式的に示す分解斜視図である。
【図2】図2は、本発明を適用できる実施形態にかかるイメージセンサユニットの構成を、模式的に示す断面図である。
【図3】図3は、導光体の構成を示す斜視図であり、(a)は入射面の側から見た図、(b)は反射面の側から見た図、(c)は出射面の側から見た図である。
【図4】図4は、導光体と光源との位置関係と、イメージセンサユニットの光路とを示す断面図である。
【図5】図5は、導光体の入射面の構成の変形例を示す図であり、導光体を入射面の側から見た斜視図である。
【図6】図6は、本発明を適用できる実施形態にかかる画像読取装置の構成を、模式的に示す断面図である。
【図7】図7は、比較例にかかるイメージセンサユニットの構成を模式的に示す断面図である。
【図8】図8(a)は、実施形態および比較例1乃至3において、読取ラインにおける上下方向位置についての照度分布(相対照度)を示すグラフ、図8(b)は、比較例4乃至7において、読取ラインにおける上下方向位置についての照度分布(相対照度)を示すグラフである。図8(c)は、実施形態および比較例1乃至3において、読取ラインにおける副走査方向位置についての照度分布(相対照度)を示すグラフ、図8(d)は、比較例4乃至7において、読取ラインRにおける副走査方向位置についての照度分布(相対照度)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
まず、本発明を適用できる実施形態にかかるイメージセンサユニット1の全体的な構成について、図1と図2を参照して説明する。図1は、イメージセンサユニット1の構成を模式的に示す分解斜視図である。図2は、イメージセンサユニット1の構成を模式的に示す断面図である。なお、図中の矢印Fは、被照明体としての紙幣Sの搬送方向を示す。また、図中の一点鎖線Pは、紙幣Sの搬送軌跡を示す。なお、説明の便宜上、イメージセンサユニット1のうち、紙幣Sが通過する側をイメージセンサユニット1の上側と称し、その反対側を下側と称する。図1と図2に示すように、イメージセンサユニット1は、導光体2と、ハウジング11と、光源基板16と、結像素子としてのロッドレンズアレイ14と、センサ基板17と、カバー部材15とを備える。
【0011】
ハウジング11は、イメージセンサユニット1の筐体となる部材であり、アッパーハウジング12とロアハウジング13とからなる。アッパーハウジング12とロアハウジング13は、主走査方向に長い棒状の部材であり、上下方向に分離可能に結合する。アッパーハウジング12とロアハウジング13は、いずれも上下方向に貫通する開口部が形成される長い額縁状の部材である。アッパーハウジング12とロアハウジング13は、たとえば、黒色に着色された樹脂材料などといった、遮光性を有する材料により形成される。アッパーハウジング12には、副走査方向の両端部に形成される側壁部121と、側壁部121どうしの間に設けられる上側保持部122とが形成される。上側保持部122は、ロッドレンズアレイ14とセンサ基板17とを保持する部分であり、主走査方向に延伸する二本のリブにより構成される。そして、二本のリブの間に、ロッドレンズアレイ14を上側から嵌め込んで保持できる。ロアハウジング13には、副走査方向の両端部に形成される側壁部131と、側壁部131どうしの間に設けられる下側保持部132とが形成される。下側保持部132は、導光体2とセンサ基板17とを保持する部分である。下側保持部132は、上側に向かって突出し主走査方向に延伸する略平行な二本のリブと、二本のリブの間に形成される底部とを有する。そして、二本のリブのそれぞれと、側壁部131のそれぞれとの間に、導光体2を上側から嵌め込んで収容できる。また、二本のリブの間に、センサ基板17を上側から嵌め込んで収容できる。
【0012】
光源基板16は、主走査方向に長い矩形状の基板161と、この基板161の表面に実装される二組の発光モジュール162とを有する。二組の発光モジュール162は、主走査方向に延伸する線状光源である。そして二組の発光モジュール162は、所定の距離をおいて互いに平行に実装される。また、二組の発光モジュール162は、所定の単数または複数の色の光を発することができる。たとえば、二組の発光モジュール162には、赤色と緑色と青色の各色の発光素子(たとえば、LED素子)が、主走査方向に実装される構成が適用できる。さらに、二組の発光モジュール162は、これらの発光素子に加えて、紫外線を発する素子(たとえば、紫外線LED)や赤外線を発する素子(たとえば、赤外線LED)が実装される構成であってもよい。
【0013】
ロッドレンズアレイ14は、紙幣Sからの光(画像情報)をセンサ基板17に設けられる光電変換モジュール172上に結像するための部材である。ロッドレンズアレイ14は、紙幣Sからの光が入射する入射面と、光電変換モジュール172へ光を出射する出射面とを有する。ロッドレンズアレイ14には、たとえば、複数の正立等倍型のロッドレンズが主走査方向に直線状に配列される構成が適用できる。なお、結像素子としてロッドレンズアレイ14を示したが、結像素子はロッドレンズアレイ14に限定されない。結像素子は、マイクロレンズアレイなど公知の各種レンズアレイが適用できる。光電変換モジュール172は、ロッドレンズアレイ14の出射面から出射される光を受光し、電気信号に変換する。センサ基板17は、主走査方向に長い略矩形の基板171と、この基板171に実装され主走査方向に延伸する線状の光電変換モジュール172とを有する。たとえば、光電変換モジュール172は、主走査方向に直線状に並べて実装される複数の光電変換素子を含んで構成される。また、光電変換モジュール172として、ラインセンサが適用される構成であってもよい。なお、光電変換素子とラインセンサには、公知の各種光電変換素子とラインセンサが適用できる。
【0014】
カバー部材15は、導光体2やロッドレンズアレイ14を保護する機能や、イメージセンサユニット1内へのゴミ等の侵入を防止する機能を有する。カバー部材15は、アッパーハウジング12の上部に設けられる。カバー部材15には、ガラスや透明な樹脂材料などからなる略透明な平板状の部材であり、その面方向が紙幣Sの搬送方向Fに平行になるように設けられる。
【0015】
導光体2は、発光モジュール162が発する光を、紙幣Sに向かって出射する光学部材である。このように、発光モジュール162と導光体2とは、紙幣Sを照明する照明装置として機能する。導光体2は、主走査方向に長い棒状の部材であり、たとえば、アクリル樹脂やポリカーボネートなどといった、略透明な材料により形成される。導光体2には、発光モジュール162が発する光を入射する入射面21と、入射面21から入射した光を反射する反射面22と、反射面22で反射した光を外部(=紙幣S)の読取ラインRに向けて出射する出射面23とが形成される。
ここで、導光体2の構成の詳細について、主に図3を参照して説明する。図3(a)は、導光体2を入射面21の側から見た斜視図である。図3(b)は、導光体2を反射面22の側から見た斜視図である、図3(c)は、導光体2を出射面23の側から見た斜視図である。
【0016】
入射面21は、導光体2の下部に形成される面である。入射面21は、主走査方向に長い細帯状の平面であり、主走査方向から見ると副走査方向に対して所定の角度(本実施形態では27°)をもって傾斜する。
反射面22は、導光体2の上側寄りであって、副走査方向の一側に形成される。反射面22は、主走査方向に長い細帯状の複数の連続した平面(本実施形態では4枚)が組み合わさって構成される。反射面22を構成する複数の平面のそれぞれと入射面21とがなす角度は、互いに相違する。反射面22は、複数の平面がそれぞれ円弧状の曲線(楕円または放物線等の曲線、本実施形態ではR=17.4)に沿って配列され、隣接する面が互いに鈍角(本実施形態では175°)を成して連続して形成されている。
出射面23は、導光体2の上部であって副走査方向の他の一側(=入射面21と対向する側)に形成される面である。出射面23は、主走査方向に直角な面で切断した輪郭線が凹状の凹面(本実施形態ではR=3.3mm)である。なお、出射面23の凹面は、たとえば、主走査方向に直角な面で切断した輪郭線が円弧状の曲線(楕円または放物線等の曲線)となる曲面であってもよい。また、主走査方向に直角な面で切断した輪郭線が、複数の直線から構成される折れ線であってもよい。すなわち、反射面22と同様に複数の平面が組み合わさって構成される面であってもよい。入射面21及び出射面23以外の反射面22を含むその他の面は実質的に反射面として作用する。
なお、実施形態における入射面21、反射面22および出射面23は、必要とされる照度分布に応じて曲面の曲率、形状を選択できる。
【0017】
導光体2には、このほか、ハウジング11に位置決めするための第一係止面24と第二係止面25とが形成される。第一係止面24は、上側を向く面であり、たとえば、導光体2の上端に形成される。第二係止面25は下側を向く面であり、たとえば、出射面23の下方に、第一係止面24と対向するように形成される。
【0018】
次に、イメージセンサユニット1の組み付け構成について、図1と図2を参照して説明する。アッパーハウジング12の上側保持部122には、ロッドレンズアレイ14が上側から組み付けられ、センサ基板17は下側から組み付けられる。さらにアッパーハウジング12の上部には、カバー部材15が上側から組み付けられる。また、ロアハウジング13の下側保持部132の二本のリブのそれぞれと側壁部131との間に、二本の導光体2がそれぞれ上側から組み付けられる。さらに、ロアハウジング13の下部には、光源基板16が下側から組み付けられる。
【0019】
そして、アッパーハウジング12とロアハウジング13とが上下方向に結合される。そうすると、光源基板16に実装される二組の発光モジュール162のそれぞれと、二本の導光体2のそれぞれの入射面21とが、所定の隙間をおいて対向する。なお、発光モジュール162は上側に向かって光を発するように構成される。一方、導光体2の入射面21は副走査方向に対して所定の角度をもって傾斜している。すなわち、発光モジュール162と導光体2の入射面21とは、所定の角度をもって傾斜して対向する。したがって、発光モジュール162が発する光は、入射面21に対して直角ではなく傾斜する方向から入射する。
【0020】
導光体2は、反射面22が形成される側がアッパーハウジング12の側壁部121およびロアハウジング13の側壁部131の側に位置し、出射面23が紙幣Sの読取ラインRを向くように収容される。このため、導光体2の出射面23から出射される照射光は、全体として、ロッドレンズアレイ14の側に向かって傾斜するように斜め上側に向かって進行する。
【0021】
導光体2の第一係止面24は、アッパーハウジング12に形成される下側を向く面に対向する。一方、導光体2の第二係止面25は、ロアハウジング13に形成される上側を向く面に対向する。このように、導光体2は、アッパーハウジング12とロアハウジング13とによって挟まれる領域に収容されることによって位置決めされて保持される。
【0022】
センサ基板17は、アッパーハウジング12の上側保持部122とかしめ等によって位置決めされて保持される。そして、ロッドレンズアレイ14の出射面(=下側の面)と、センサ基板17に実装される光電変換モジュール172とが対向する。そして、ロッドレンズアレイ14の光軸C上に、光電変換モジュール172が位置する。また、ロッドレンズアレイ14の入射面(=上側の面)と、カバー部材15とが対向する。カバー部材15の上側であって、ロッドレンズアレイ14の光軸C上の位置が、紙幣Sの読取ラインRとなる。
【0023】
ここで、イメージセンサユニット1の光路について説明する。図4は、光源基板16の発光モジュール162と導光体2との位置関係と、イメージセンサユニット1の光路を模式的に示す断面図である。なお、図4においては、一方の導光体2のみを示すが、他方の導光体2も同様である。図4に示すように、透過読み取り用の光源ユニット51や他のイメージセンサユニット1が、イメージセンサユニット1に所定の隙間をおいて対向して配設される。そして、イメージセンサユニット1と透過読み取り用の光源ユニット51との間、またはイメージセンサユニット1どうしの間には、紙幣Sが通過可能な領域が形成される。この領域を、紙幣Sの通過領域Aと称する。
【0024】
図4に示すように、発光モジュール162が発する光は、導光体2の入射面21からその内部に入射する。発光モジュール162の発光面と入射面21とは傾斜して対向しており、かつ、入射面21はその法線が反射面22に向かうように傾斜している。このため、入射した光は入射面21で屈折して反射面22に達する。反射面22を構成する複数の平面は、入射面21との角度が互いに異なるため、反射面22に達した光は複数の平面のそれぞれで反射し、互いに異なる方向に向かって進行する。反射面22で反射した反射光は、収束せずに拡散した後、出射面23から出射し、カバー部材15を通過して読取ラインRに到達する。出射面23は、主走査方向に直角な面で切断した断面が凹状の凹面であるため、出射面23から出射する照射光は収束せずに拡散する。このように、導光体2に入射した光は、反射面22と出射面23において拡散する。このため、紙幣Sの通過領域Aの読取ラインRに到達する照射光の照度分布を、上下方向(=紙幣Sの表面の法線方向)および副走査方向について均一にすることができる。
【0025】
さらに、このような構成によれば、入射面21から入射した光は、反射面22の側に向かって屈折する。このため、入射面21から入射した光を効率よく出射面23方向に導くことができる。
【0026】
なお、導光体2の入射面21の法線と発光モジュール162の発光面とがなす角度は、特に限定されるものではない。この角度は、発光モジュール162が発する光を屈折させて反射面22に導くとともに、直接的に出射面23に到達しないようにできる角度であればよい。したがって、この角度は、導光体2の屈折率や、入射面21と出射面23との距離などに応じて適宜設定される。
【0027】
また、導光体2は、主走査方向の照度分布の均一化を図ることができる構成を有していてもよい。図5は、主走査方向の照度分布の均一化を図ることができる導光体2の構成を、模式的に示す斜視図である。図5に示すように、導光体2の入射面21に、主走査方向に連続する複数の凹凸が形成される。このような構成であると、発光モジュール162が発する光は、導光体2の入射面において、凹凸によって主走査方向に屈折して拡散する。したがって、このような構成によれば、主走査方向の照度分布の均一化を図ることができる。なお、入射面21に形成される凹凸のピッチと、発光モジュール162に配列されるLED素子のピッチとは、一致していなくてもよい。凹凸のピッチとLED素子のピッチとが一致していないと、凹凸とLED素子の位置関係がバラバラになるため、照度の分布に周期性が現れることを防止できる。
【0028】
次いで、本発明を適用できる実施形態である画像読取装置5について、図6を参照して説明する。図6は、画像読取装置5の要部の構成を、模式的に示す断面図である。画像読取装置5は、紙幣Sを光学的に読み取るために、イメージセンサユニット1を備える。ここで示す画像読取装置5はシートフィード型の画像読取装置であり、紙幣Sをその面方向に搬送しながら、両面に対して透過読み取りと反射読み取りとを実施する。図5に示すように、画像読取装置5は、二組のイメージセンサユニット1と、二組の透過読み取り用の光源ユニット51と、所定の数の搬送ローラ52とを有する。透過読み取り用の光源ユニット51は、イメージセンサユニット1が紙幣Sの透過読み取りを実施する際の光源である。透過読み取り用の光源ユニット51は、発光モジュール162と同様な効果を奏する線状光源であればよく、公知の各種線状光源が適用できる。たとえば、透過読み取り用の光源ユニット51には、発光素子が主走査方向に直列的に配列される構成や、発光素子が発する光を線状光源化する棒状の導光体を備える構成が適用できる。搬送ローラ52は、図略の動力機構によって回転し、紙幣Sは所定の搬送速度で、イメージセンサユニット1に対して搬送方向Fに相対的に移動することができる。
【0029】
図5中の矢印Fは、搬送ローラ52による紙幣Sの搬送方向を示す。図5中の一点鎖線Pは、紙幣Sの搬送軌跡を示す。二組のイメージセンサユニット1は、紙幣Sの搬送方向Fに並べて配設される。そして、二組のイメージセンサユニット1のそれぞれは、二組の透過読み取り用の光源ユニット51のそれぞれと、紙幣Sの搬送軌跡Pを挟んで対向する。また、二組のイメージセンサユニット1および二組の透過読み取り用の光源ユニット51は、互いに反対向きの姿勢(たとえば、紙幣Sに対して180°反転した姿勢)で配設される。そして、一方のイメージセンサユニット1および一方の透過読み取り用の光源ユニット51が、紙幣Sの一方の表面に対して反射読み取りと透過読み取りとを実施する。また、他方のイメージセンサユニット1および他方の透過読み取り用の光源ユニット51が、紙幣Sの他方の表面に対して反射読み取りと透過読み取りとを実施する。
【0030】
反射読み取りは、発光モジュール162が1走査ライン毎に赤色の光を照射してセンサ基板17が反射光を受光する動作と、緑色の光を照射して反射光を受光する動作と、青色の光を照射して反射光を受光する動作とを有する。発光モジュール162が赤外線を発する素子と紫外線を発する素子を有する場合には、さらに、赤外線を照射して紙幣Sで反射した赤外線を受光する動作と、紫外線を照射して紙幣Sで反射した紫外線を受光する動作とを有する。また、透過読み取りは、透過読み取り用の光源ユニット51が1走査ライン毎に赤色の光を照射してセンサ基板17が透過光を受光する動作と、緑色の光を照射して透過光を受光する動作と、青色の光を照射して透過光を受光する動作とを有する。同様に、発光モジュール162が赤外線を発する素子と紫外線を発する素子を有する場合には、さらに、赤外線を照射して紙幣Sを透過した赤外線を受光する動作と、紫外線を照射して紙幣Sを透過した紫外線を受光する動作とを有する。そして、画像読取装置5は、搬送ローラ52によって紙幣Sを搬送しながら、前述の各動作を1走査ライン分ずつ周期的に繰り返す。このようにして画像読取装置5は、紙幣Sの一回の搬送で、紙幣Sの両面に対して反射読取りと透過読取りとを実施する。
【0031】
なお、イメージセンサユニット1のうち、図示および説明を省略した部分については、従来公知の各種イメージセンサユニットと同じ構成が適用できる。同様に、画像読取装置5のうち、図示および説明を省略した部分については、従来公知の各種シートフィード型の画像読取装置が適用できる。
また、画像読取装置5としてシートフィード型の画像読取装置について説明したが、フラットベッド型の画像読取装置についても適用できる。
【0032】
イメージセンサユニット1および画像読取装置5による効果は次のとおりである。紙幣Sが波打っていると、紙幣Sが紙幣Sの通過領域Aを通過する際に、読取ラインRにおいて紙幣Sとカバー部材15との距離が変化する。ここで、仮に導光体2の出射面23から出射される照射光の照度分布が上下方向(=紙幣Sの法線方向)について不均一であると、たとえば、カバー部材15の側に偏って通過した部分と、透過読み取り用の光源ユニット51の側に偏って通過した部分とで、照度が相違する。そうすると、読取精度が低下するおそれがある。しかしながら、紙幣Sに照射される照射光は、導光体2によって上下方向の照度分布が均一化されている。このため、カバー部材15の側に偏って通過した部分に対しても、透過読み取り用の光源ユニット51の側に偏って通過した部分に対しても、均一な照度の照射光を照射できる。したがって、読取精度の低下を防止できる。
【0033】
次に、本発明を適用できる実施形態の効果の検証結果について説明する。
図7は、代表例として、入射面21を平面、反射面22を曲面、出射面23を平面にそれぞれ形成される導光体2(後述する比較例7に相当)を備えるイメージセンサユニット9の構成を模式的に示す断面図である。なお、実施形態であるイメージセンサユニット1と共通の構成については同じ符号を付して示す。
以下の表1は、入射面21、反射面22、出射面23の組み合わせをもとに比較例1乃至7としたものである。
【0034】
【表1】

【0035】
それ以外は、実施形態であるイメージセンサユニット1と共通の構成を有する。
【0036】
ここで、図8(a)は、実施形態および比較例1乃至3において、読取ラインRにおける上下方向位置についての照度分布を示すグラフであり、図8(a)中の上下方向位置の「0mm」が、紙幣Sの通過領域Aの上下方向の中心を示す。図8(b)は、比較例4乃至7において、読取ラインRにおける上下方向位置についての照度分布を示すグラフであり、図8(b)中の上下方向位置の「0mm」が、紙幣Sの通過領域Aの上下方向の中心を示す。図8(c)は、実施形態および比較例1乃至3において、読取ラインRにおける副走査方向位置についての照度分布を示すグラフであり、図8(c)中の副走査方向位置の「0mm」が、読取ラインRの位置を示す。図8(d)は、比較例4乃至7において、読取ラインRにおける副走査方向位置についての照度分布を示すグラフであり、図8(d)中の副走査方向位置の「0mm」が、読取ラインRの位置を示す。また、図8(a)、(b)、(c)、(d)は、片側(左側)の照明装置による照度分布を示すものであり、いずれも、読取ラインRにおける照度測定値を1とする相対照度を示す。
【0037】
図8(a)、(b)に示すように、読取ラインRにおける上下方向位置についての照度分布は、紙幣Sの通過領域Aの上下方向位置の中心近傍において照度が最大となり、そこから離れるにしたがって徐々に照度が低下する傾向を有する。また、図8(c)、(d)に示すように、読取ラインRにおける副走査方向位置についての照度分布も同様に、読取ラインR近傍において照度が最大となり、そこから副走査方向に離れるにしたがって徐々に照度が低下する傾向を有する。
実施形態は、上下方向位置および副走査方向位置における読み取りラインR近傍の照度の変動幅が比較例1乃至7よりも小さい。これは、出射面23においては、出射面23を凹面にすることで照射光に対する拡散効果が生じることから、均一な照度分布となったためと考えられる。また、反射面22においては、反射面22が曲面の場合、曲面で反射した光が集光するため、読み取りラインR近傍を局所的に照明することで照明幅が狭くなり照度の変動幅が大きい。これに対して、反射面22が複数の平面で構成した場合、集光作用が軽減することから、均一な照度分布となったと考えられる。
紙幣Sの読み取りにおいては、照度分布が不均一である場合、たとえば紙幣Sが上下方向に変位した場合や、波打った紙幣Sが通過した場合であっても読取りの精度や画質が低下するおそれがある。このため、上下方向位置および副走査方向位置における読み取りラインR近傍についての照射光の照度分布は均一であることが好ましい。このため、実施形態における構成が紙幣Sの読取の精度や画質の低下を抑制できることが確認できる。
【0038】
表2は、実施形態および比較例1乃至7において、読み取りラインRにおける片側(左側)の照明装置による照度値を示すものである。
【0039】
【表2】

【0040】
入射面21における傾斜の有無の効果を検証する場合、他の形状が同一となる実施形態と比較例4、比較例1と比較例5、比較例2と比較例6、比較例3と比較例7とをそれぞれ比較する必要がある。
表2に示すように、上述するすべての場合において、入射面21に傾斜を備えることで照度値が向上している。これは、傾斜によって屈折効果が生じ、発光モジュール162が発する光を入射面21から反射面22側へ屈折することで効率よく導光することができることから、読み取りラインRにおける照射光の照度を向上(=照射効率の向上)できるためと考えられる。
以上の検証により、実施形態における入射面21、反射面22および出射面23の組み合わせにおいて最も効果が高いため、上下方向位置および副走査方向位置における読み取りラインR近傍の照度分布の均一化を図ることが可能となるばかりでなく、照度の向上を図ることが可能となる。
【0041】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、前述の実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体例を示したに過ぎない。本発明の技術的範囲は、前述の実施形態に限定されるものではない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に含まれる。たとえば、被照明体の例として、紙幣Sを示したが、有価証券や小切手などであってもよい。反射読取りを行いたい被照明体であればよく、被照明体の種類は限定されない。
【0042】
また、前述の実施形態においては、透過読み取り用の光源ユニット51がイメージセンサユニット1に対向して配設される構成を示したが、本発明は、このような構成に限定されない。たとえば、二組のイメージセンサユニット1が、紙幣Sが通過可能な隙間をおいて互いに対向して配設される構成であってもよい。このような構成によれば、紙幣Sの両面について反射読み取りを実施できる。さらに、イメージセンサユニット1が透過読み取り用の光源を備える構成であってもよい。そして、透過読み取り用の光源を備える二組のイメージセンサユニット1が、紙幣Sが通過可能な隙間をおいて対向して配設される構成であってもよい。このような構成によれば、紙幣Sの両面を反射読み取りできるとともに、一方のイメージセンサユニット1に設けられる透過読み取り用の光源が発する光を用い、他方のイメージセンサユニット1によって紙幣Sの透過読み取りを実施できる。この場合、透過読み取り用の光源を備えるイメージセンサユニット1は片側のみであっても構わない。
また、イメージセンサユニット1は、発光モジュール162と導光体2とからなる照明装置を二組備えているが、一組であっても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、イメージセンサユニットおよび画像読取装置として有効な技術である。
【符号の説明】
【0044】
1:イメージセンサユニット、2:導光体、16:光源基板、21:入射面、22:反射面、23:出射面、5:画像読取装置、A:通過領域、C:光軸、F:搬送方向、P:搬送軌跡、R:読取ライン、S:紙幣

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被照明体の画像情報を読み取るイメージセンサユニットであって、
光源と、
前記光源から照射された光を前記被照明体へ導く導光体と、
を備え、
前記導光体は、
前記光源が発する光を入射する入射面と、
前記入射面から入射した光を反射する反射面と、
前記反射面で反射した光を前記被照明体に向けて出射する出射面と、
を備えると共に、
前記反射面は複数の平面からなることを特徴とするイメージセンサユニット。
【請求項2】
前記入射面は前記光源に傾斜して対向することを特徴とする請求項1に記載のイメージセンサユニット。
【請求項3】
前記出射面は主走査方向に直角な面で切断した断面が凹状な曲線であることを特徴とする請求項1に記載のイメージセンサユニット。
【請求項4】
前記入射面には、主走査方向に凹凸が形成されることを特徴とする請求項1または2に記載のイメージセンサユニット。
【請求項5】
被照明体の画像情報を読み取る画像読取装置であって、
光源と、
前記光源が発する光を入射する入射面と、複数の平面からなり前記入射面から入射した光を反射する反射面と、前記反射面で反射した光を前記被照明体に向けて出射する出射面と、を備える導光体と、
を有するイメージセンサユニットを備え、
前記被照明体と前記イメージセンサユニットとを相対的に移動させながら、前記イメージセンサユニットによって前記被照明体の画像情報を読み取ることを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
前記入射面は前記光源に傾斜して対向することを特徴とする請求項5に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記出射面は主走査方向に直角な面で切断した断面が凹状な曲線であることを特徴とする請求項5に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記入射面には、主走査方向に凹凸が形成されることを特徴とする請求項5または6に記載の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−55648(P2013−55648A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−163536(P2012−163536)
【出願日】平成24年7月24日(2012.7.24)
【出願人】(000104629)キヤノン・コンポーネンツ株式会社 (49)
【Fターム(参考)】