イメージセンサユニット及び画像読取装置
【課題】迷光の影響を低減することで読取画像の精度を向上できるイメージセンサユニット及び画像読取装置を提供する。
【解決手段】紙幣Sに対して反射光による画像読取りと透過光による画像読取りとを実施するイメージセンサユニット10であって、反射光用光源15からの光を紙幣Sに対して照射する反射光用導光体14と、透過光用光源22からの光を紙幣Sに対して照射する透過光用導光体21と、紙幣Sからの光を結像する結像素子16と、結像素子16により集光された光を受光する受光素子18とを有する。透過光用光源22及び透過光用導光体21は紙幣Sが通過可能な搬送路Pを挟んで配置されると共に、反射光用導光体14からの光の一部を遮光する遮光部材1を反射光用導光体14と透過光用導光体21との間に配置する。
【解決手段】紙幣Sに対して反射光による画像読取りと透過光による画像読取りとを実施するイメージセンサユニット10であって、反射光用光源15からの光を紙幣Sに対して照射する反射光用導光体14と、透過光用光源22からの光を紙幣Sに対して照射する透過光用導光体21と、紙幣Sからの光を結像する結像素子16と、結像素子16により集光された光を受光する受光素子18とを有する。透過光用光源22及び透過光用導光体21は紙幣Sが通過可能な搬送路Pを挟んで配置されると共に、反射光用導光体14からの光の一部を遮光する遮光部材1を反射光用導光体14と透過光用導光体21との間に配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、イメージスキャナあるいはファクシミリ等の画像読取装置に使用されるイメージセンサユニット及びイメージセンサユニットを用いた画像読取装置に関する。特に、紙幣、有価証券等の記録媒体の真贋判定を行う画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の画像読取装置をはじめとして、特に紙幣、有価証券等の真贋判定を行う画像読取装置において、例えば特許文献1に記載のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−194797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献1に開示された従来技術においては、反射読取時に原稿がない状態(例えば紙幣を連続して読み取る際の紙幣間の隙間、傷・破れ等の破損部分)では、反射型光源から出射した光線が、原稿とは反対側に配置された導光体(ラッパ型導光体)に入って再反射した後、再度出射して受光素子に入ってしまうことがあった。また、透かし部分の読み取り時に透かし部分を透過した光線が生じた際も同様であった。かかる迷光(後述する照り返し光)はイメージセンサユニットの出力においてノイズ成分となり、原稿がある場合の出力信号(信号成分)と迷光によるノイズ成分との差分が小さくなり、コントラストが不鮮明になり読取画像の精度が低下する等の問題を招来する。
【0005】
本発明はかかる実情に鑑み、迷光の影響を低減することで読取画像の精度を向上できるイメージセンサユニット及び画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のイメージセンサユニットは、被照明体に対して反射光による画像読取りと透過光による画像読取りとを実施するイメージセンサユニットであって、第1の光源からの光を前記被照明体に対して照射する第1の導光体と、第2の光源からの光を前記被照明体に対して照射する第2の導光体と、前記被照明体からの光を結像する結像素子と、前記結像素子により集光された光を電気信号に変換する受光素子と、を有し、前記第2の光源及び前記第2の導光体は、前記被照明体が通過可能な搬送路を挟んで配置されると共に、前記第1の導光体からの光の一部を遮光する遮光手段を前記第1の導光体と前記第2の導光体との間に配置することを特徴とする。
【0007】
また、本発明のイメージセンサユニットにおいて、前記遮光手段は、前記第1の導光体及び前記第2の導光体いずれか一方の側に配置され、所定幅のスリットを有して構成されることを特徴とする。
また、本発明のイメージセンサユニットにおいて、前記遮光手段が前記第2の導光体の出射面側に配置された光学フィルムにより構成されることを特徴とする。
また、本発明のイメージセンサユニットにおいて、前記第1の光源及び前記第2の光源のそれぞれ発光波長が相異し、前記遮光手段が前記第2の導光体の出射面側に配置された光学フィルタにより構成されることを特徴とする。
また、本発明のイメージセンサユニットにおいて、前記第2の導光体の出射面は副走査方向に他の部位よりも幅狭であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の画像読取装置は、上記何れかのイメージセンサユニットと前記被照明体とを相対的に移動させながら、前記イメージセンサユニットによって前記被照明体の画像を読み取ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、照り返し光を有効に遮蔽することにより、読取対象物である被照明体と背景とのコントラストを鮮明にし、高い読み取り精度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明に係るイメージセンサユニットを備えた画像読取装置の断面を示す模式図である。
【図2】図2は、本発明に係るイメージセンサユニットにおける画像読取部の構成例を示す分解斜視図である。
【図3】図3は、本発明に係るイメージセンサユニットにおける透過光用照明部の構成例を示す分解斜視図である。
【図4】図4は、本発明に係るイメージセンサユニットにおいて遮光部材としての遮光シートを備えた例の断面を示す模式図である。
【図5】図5(a)は、本発明に係るイメージセンサユニットにおいて遮光部材を設けた場合のイメージセンサユニットの出力信号の例を示す図、図5(b)は遮光部材を設けない場合のイメージセンサユニットの出力信号の例を示す図である。
【図6】図6は、本発明に係るイメージセンサユニットにおいて遮光部材としての遮光シートを備えた別の例の断面を示す模式図である。
【図7】図7は、本発明に係るイメージセンサユニットにおいて透過用光源の照明深度特性についてのシミュレーション結果を示す図である。
【図8】図8は、本発明に係るイメージセンサユニットにおいて反射用光源の照明深度特性についてのシミュレーション結果を示す図である。
【図9】図9は、本発明に係るイメージセンサユニットにおいて遮光シートのスリットの開口幅と照り返し光との関係についてのシミュレーション結果を示す図である。
【図10】図10は、本発明のイメージセンサユニットにおいて紙幣に対して反射読取を実施して得られた画像の例を示す図である。
【図11】図11は、本発明に係るイメージセンサユニットにおいて遮光部材としての遮光シートを備えた更に別の例の断面を示す模式図である。
【図12】図12は、本発明に係るイメージセンサユニットにおいて遮光部材としてのルーバーフィルムを備えた例の断面を示す模式図である。
【図13】図13は、本発明に係るイメージセンサユニットにおいて遮光部材としての光学フィルタを備えた例の断面を示す模式図である。
【図14】図14(a)は、本発明に係るイメージセンサユニットにおいて遮光部材として可視光を吸収する光学フィルタ(ゲルマニウム層を添着したカバーガラス)と白基準部材とを併用した例を示す模式図であり、図14(b)は、本発明に係るイメージセンサユニットにおいて遮光部材として可視光を吸収する光学フィルタ(ゲルマニウム層を添着したカバーガラス)と白基準部材とを併用した別の例を示す模式図である。
【図15】図15は、図14における白黒の濃度変化のカーブの例を示す図である。
【図16】図16は、本発明に係るイメージセンサユニットにおいて遮光部材としてのゲルマニウム層を備えた例の断面を示す模式図である。
【図17】図17は、本発明に係るイメージセンサユニットにおいて遮光部材として透過光用導光体自体により構成される例の断面を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づき、本発明によるイメージセンサユニット及び画像読取装置の好適な実施の形態を説明する。
図1は、本実施形態に係るイメージセンサユニット10を備えた画像読取装置100の要部構成を示している。ここで先ず、これらの全体構成につき概略を説明する。
画像読取装置100は、紙幣、有価証券等の記録媒体の真贋判定を行う紙葉類識別装置として機能する。この実施形態において、被照明体として典型的には紙幣Sとする。なお、紙幣Sに限らず、その他の対象物に対して本発明は適用可能である。
画像読取装置100の所定部には紙幣Sの搬送方向Fに、対をなして紙幣Sを挟みながら搬送するための搬送ローラ101A,101Bと搬送ローラ102A,102Bとが所定の間隔おいて配置される。これらの搬送ローラ101A,101B及び102A,102Bは、駆動機構により回転駆動されるようになっており、紙幣Sは所定の搬送速度で、イメージセンサユニット10に対して搬送方向Fに相対的に搬送される。
【0012】
イメージセンサユニット10は図示のように、搬送ローラ101A,101Bと搬送ローラ102A,102Bの間にて紙幣Sが通過可能な搬送路P上に、搬送路Pを挟んで上下に配置され、搬送される紙幣Sの画像を読み取る。本実施形態においてイメージセンサユニット10は、紙幣Sに反射光式読み取り用の光を照射する反射式読取用照明部11Aを含む画像を読み取る画像読取部11と、紙幣Sに透過式読み取り用の光を照射する透過光用照明部12とを備えている。画像読取部11(反射光用照明部11A)及び透過光用照明部12からの光を画像読取部11がそれぞれ読み取ることで、紙幣Sに対して反射光による画像読取りと透過光による画像読取りを実施することができる。
【0013】
画像読取部11は、筐体となる部材であるフレーム13内に、図1では概略図に示した反射光用光源15(第1の光源)からの光を紙幣Sの一方の面(下面)の読取位置(読取ライン)Oへと導く反射光用導光体14(第1の導光体)と反射光用導光体14の長手方向端部に配置された反射光用光源15(図2参照)とからなる反射光用照明部11Aを備える。また、紙幣Sからの反射光(後述のように透過光の場合も含む)を後述する受光素子18に結像させる結像素子としてのロッドレンズアレイ16と、センサ基板17上に配置固定された受光素子18と、フレーム13の上部を覆う透明なカバーガラス19とを備える。
【0014】
フレーム13は、典型的には樹脂材料を用いて概略棒状に形成され、図1の紙面に直交する方向がフレーム13の長手方向(主走査方向)となる。ここで、図2は画像読取部11の主要構成を示しており、フレーム13をはじめとして各部材は主走査方向に長尺に形成される。図2においては、フレーム13等の詳細構造もしくは形状については省略されているが、フレーム13の内部には反射光用導光体14、ロッドレンズアレイ16、基板17更には反射光用光源15を嵌め込むこと等により収容可能な部位が形成される。
【0015】
反射光用導光体14はアクリル系の樹脂やポリカーボネート等の透明素材を用いて形成され、この例では一対の反射光用導光体14が、ロッドレンズアレイ16の光軸を挟んで相互に配置される。各反射光用導光体14はその長手方向における一方側端面を反射光用光源15からの光が入光する入光面14a、その上端面を内部を伝播した光が出射する反射光出射面14b、反射光出射面14bと対向する面を拡散面14cとして形成される。そして図1において代表的に示される光が矢印L1のように紙幣Sの読取位置Oに向けて照射される。
【0016】
この場合、図1のようにフレーム13に取り付けられた状態で紙幣S側の部位が反射光出射面14bとして、フレーム13から露出し、この反射光出射面14bにて集光作用を持つように紙幣S側へ向けて凸状に形成される。また、入光面14a、反射光出射面14b及び拡散面14c以外のその他の部位は実質的に反射面として形成される。入光面14aから入光した光は反射光用導光体14内で反射及び拡散し、即ちその反射面により全反射しながら反射光用導光体14内を伝播しつつ、反射光出射面14bから出射し、そして紙幣Sに対して主走査方向にライン状に実質的に均一に照射される。
【0017】
入光面14aには反射光用光源15が配置される。図2の図示例では反射光用導光体14の一方側端面に反射光用光源15が配置されるが、反射光用導光体14の両側端面に反射光用光源15を設けてもよい。反射光用光源15として例えば赤色、緑色及び青色の3色(以下、RGBと略称する)の発光波長を持つLEDからなる発光素子、更には赤外線(以下、IRと略称する)及び紫外線(以下、UVと略称する)を発光するLEDからなる発光素子を含んで構成される。
【0018】
ロッドレンズアレイ16は、例えば複数の正立等倍結像型のロッドレンズが主走査方向に直線状に配列されてなり、紙幣S側に光の入光面を、また受光素子18側に光の出射面を有する。このように一対の反射光用導光体14が副走査方向に相互に隔置されており、それらの中央位置にロッドレンズアレイ16が配置される。なお、結像素子は、ロッドレンズアレイ16に限られず、例えばマイクロレンズアレイであってもよい。
受光素子18はロッドレンズアレイ16の光軸と実質的に一致するように配置され、紙幣Sからの反射光(後述のように透過光の場合も含む)を電気信号に変換する光電変換素子を含んで構成される。
【0019】
上述する構成でなる画像読取部11の基本動作において、搬送ローラ101A,101B及び102A,102Bにより、所定の搬送速度で搬送方向Fに搬送される紙幣Sに対し、反射光用光源15のRGB、IR、UV発光素子を順次、点灯駆動することにより反射光用光源15を発光させる。反射光用光源15から照射された光は反射光用導光体14内を伝播して、ロッドレンズアレイ16を挟んだ2方向から紙幣Sの表面の読取位置Oに対して、主走査方向においてライン状に均一に照射される。この照射光は紙幣Sによって反射されることで、ロッドレンズアレイ16を介して受光素子18上に収束結像される。この収束結像された反射光は、受光素子18により電気信号(出力信号)に変換された後、図示しない信号処理部において処理される。
【0020】
このようにしてRGB、IR、UV全ての反射光を1走査ライン分読み取ることで、紙幣Sの主走査方向における1走査ラインの読取動作を完了する。1走査ラインの読取動作終了後、紙幣Sの副走査方向への移動に伴い、上述する構成と同様に次の1走査ライン分の読取動作が行われる。このように紙幣Sを搬送方向Fに搬送しながら1走査ライン分ずつ読取動作を繰り返すことで、紙幣Sの全面が順次走査されて反射光による画像の読取りが実施される。
【0021】
次に透過光用照明部12は、筐体となる部材であるフレーム20内に、図1では概略図示した透過光用光源22(第2の光源)からの光を紙幣Sの他方の面(上面)の読取位置(読取ライン)Oへと導く透過光用導光体21(第2の導光体)と、透過光用導光体21の長手方向端部に配置された透過光用光源22と、フレーム20の下部を覆う透明なカバーガラス23とを備える。なお、透過光用照明部12の場合、紙幣Sに照射された光は紙幣Sを透過し、画像読取部11内に設けられたロッドレンズアレイ16によりセンサ基板17上の受光素子18に結像する。
【0022】
フレーム20は、典型的には樹脂材料を用いて概略棒状に形成され、図1の紙面に直交する方向がフレーム20の長手方向(主走査方向)となる。ここで、図3は透過光用照明部12の主要構成を示しており、フレーム20をはじめとして各部材は主走査方向に長尺に形成される。図3においては、フレーム20の詳細構造もしくは形状については省略されているが、フレーム20の内部には透過光用導光体21や透過光用光源22を嵌め込むこと等により収容可能な部位が形成される。
【0023】
透過光用導光体21はアクリル系の樹脂やポリカーボネート等の透明素材を用いて形成され、この例では単一の透過光用導光体21が、ロッドレンズアレイ16の光軸上において紙幣Sを挟んで受光素子18とは反対側に配置される。透過光用導光体21はその長手方向における一方側端面を反射光用光源15からの光が入光する入光面21a、その下端面を内部を伝播した光が出射する透過光出射面21b、透過光出射面21bと対向する面を拡散面21cとして形成される。そして図1において代表的に示される光が矢印L2のように紙幣Sの読取位置Oに向けて直交方向から照射される。
【0024】
この場合、図1のようにフレーム20に取り付けられた状態で紙幣S側の部位が透過光出射面21bとして、フレーム20から露出し、この透過光出射面21bにて集光作用を持つように紙幣S側へ向けて凸状に形成される。また、入光面21a及び透過光出射面21b以外のその他の部位は実質的に反射面として形成される。入光面21aから入光した光は透過光用導光体21内で反射及び拡散し、即ちその反射面により全反射しながら透過光用導光体21内を伝播しつつ、透過光出射面21bから出射し、そして紙幣Sに対して主走査方向にライン状に実質的に均一に照射される。
【0025】
入光面21aには透過光用光源22が配置される。図3の図示例では透過光用導光体21の一方側端面に透過光用光源22が配置されるが、透過光用導光体21の両側端面に透過光用光源22を設けてもよい。透過光用光源22として例えばRGB3色の発光波長を持つLEDからなる発光素子、更にはIR及びUVを発光するLEDからなる発光素子を含んで構成される。
【0026】
上述する構成でなる透過光用照明部12の基本動作において、搬送ローラ101A,101B及び102A,102Bにより、所定の搬送速度で搬送方向Fに搬送される紙幣Sに対し、透過光用光源22のRGB、IR、UV発光素子を順次、点灯駆動することにより、透過光用光源22を発光させる。透過光用光源22から照射された光は透過光用導光体21内を伝播して、紙幣Sの表面の読取位置Oに対して、主走査方向においてライン状に均一に照射される。この照射光は紙幣Sを透過することで、ロッドレンズアレイ16を介して受光素子18の光電変換素子上に収束結像される。この収束結像された透過光は、受光素子18により電気信号(出力信号)に変換された後、信号処理部において処理される。透過光による画像の読取りの場合も同様にして、RGB、IR、UV全ての透過光を1走査ライン分読み取ることで、紙幣Sの主走査方向における1走査ラインの読取動作を完了する。1走査ラインの読取動作終了後、紙幣Sの副走査方向への移動に伴い、上述する構成と同様に次の1走査ライン分の読取動作が行われる。このように紙幣Sを搬送方向Fに搬送しながら1走査ライン分ずつ読取動作を繰り返すことで、紙幣Sの全面が順次走査されて透過光による画像の読取りが実施される。
【0027】
ところで、例えば紙幣Sを連続して読み取る際の紙幣S間の隙間、傷・破れ等の破損部分、または、透かし部分等のように画像読取部11からの光が透過光用照明部12の透過光用導光体21に直接入光し、その後、ロッドレンズアレイ16に再出射されることがある。かかる迷光等を含む所謂、照り返し光はイメージセンサユニット10の出力においてノイズ成分となり、紙幣Sがある場合の出力信号(信号成分)と迷光によるノイズ成分との差分が小さくなり、そのままではコントラストが不鮮明になり読取画像の精度が低下する等の問題が生じ得る。
【0028】
さて、本発明においてイメージセンサユニット10は画像読取部11と透過光用照明部12を有し、透過型及び反射型を併用した構成となっている。特に本発明では画像読取部11の反射光用導光体14と透過光用照明部12の透過光用導光体21との間に図4に示されるように、画像読取部11側から透過光用照明部12側への光(図4、矢印L)の一部を遮蔽する遮光手段としての遮光部材1を配置する。
この実施形態では特に遮光部材1は、透過光用照明部12の透過光用導光体21の透過光出射面21b側に配置された遮光カバーもしくは遮光シート1Aにより構成される。この遮光シート1Aは、主走査方向に形成されたスリット2を有し、スリット2は副走査方向に所定の開口幅Wを有する。
【0029】
遮光シート1Aとして、画像読取部11のフレーム13自体の一部として形成することができ、あるいは別体のカバー部材を付設してもよい。更に、遮光シート1Aは別体のシート部材を添着するものであってもよいし、カバーガラス23と一体であってもよい。いずれの場合も遮光シート1Aにおける画像読取部11側の一方の面は光吸収特性を有し、透過光用照明部12側の他方の面は光反射特性を有することが望ましい。
【0030】
本発明のイメージセンサユニット10において、画像読取部11の反射光用導光体14と透過光用照明部12の透過光用導光体21との間に遮光部材1としての遮光シート1Aを設けることで、特に画像読取部11による読取時に画像読取部11側から透過光用照明部12の透過光用導光体21に入ろうとする光線を、図4のように有効に遮蔽することができる。この場合、画像読取部11及び透過光用照明部12間に挟まれた搬送路P上に紙幣Sがない状態、及び/又は、透かし部分に対する画像読取部11による読取状態等において、遮光シート1Aは特に有効に作用し、照り返し光に起因するイメージセンサユニット10の出力信号中のノイズ成分を低く抑えることができる。
【0031】
図5(a)は本発明により遮光部材1を設けた場合のイメージセンサユニット10、具体的には画像読取部11の受光素子18の出力信号を示し、図5(b)は比較例として遮光部材1を設けない場合のイメージセンサユニット10の出力信号を示している。遮光部材1、この例では遮光シート1Aを設けない場合、搬送路P上に紙幣Sがない状態、及び/又は、透かし部分に対する画像読取部11による読取状態等において、画像読取部11の反射光用導光体14から出射した光が照り返し光となって、透過光用照明部12の透過光用導光体21に到達し、更にそのまま透過光経路(矢印L2)を通って受光素子18で受光されてしまう。このためイメージセンサユニット10の出力信号は、図5(b)のように大幅に増加する。ここで、紙幣S等を読み取る場合、読み取った画像において紙幣Sの背景は黒色が望ましく、紙幣Sのエッジ検出に効果的に作用する。背景対応部分で照り返し光が受光されると、紙幣Sと背景とのコントラストが低下し、そのままでは検出精度あるいは画像品位を低下させてしまう。本発明ではそのような照り返し光を有効に遮蔽することにより、S/N比を向上して高品位の画像を得ることができる。なお、理想的には搬送路P上に紙幣Sがない状態では出力信号を0とすることが望ましいが、実際上完全に0にするのは困難である。本発明ではこのような状況下でもかなり理想に近いかたちで、照り返し光の影響をなくすることができる。
【0032】
また、遮光部材1は図6に示されるように画像読取部11の反射光用導光体14の反射光出射面14b側に配置することも可能である。遮光部材1は遮光カバーもしくは遮光シート1Bにより構成され、この遮光シート1Bのスリット2′は副走査方向に所定の開口幅W′を有する。
遮光シート1Bとして、透過光用照明部12のフレーム20自体の一部として形成することができ、あるいは別体のカバー部材を付設してもよい。更に、遮光シート1Bは別体のシート部材を添着するものであってもよいし、カバーガラス19と一体であってもよい。いずれの場合も遮光シート1Bにおける画像読取部11側の一方の面は光吸収特性を有し、透過光用照明部12側の他方の面は光反射特性を有することが望ましい。
【0033】
本発明のイメージセンサユニット10において、画像読取部11の反射光用導光体14と透過光用照明部12の透過光用導光体21との間に遮光部材1としての遮光シート1Bを設けることで、特に画像読取部11による読取時に画像読取部11側から透過光用照明部12の透過光用導光体21に入ろうとする光線(図6、矢印L)を、有効に遮蔽することができる。従って、この場合にも照り返し光が透過光用照明部12の透過光用導光体21に到達するのを防止することができる。そして、遮光シート1Aの場合と同様の作用効果を有する。
【0034】
上述したように遮光シート1A及び遮光シート1Bは単独で用いる場合でも、それぞれ優れた遮光効果を有する。また、遮光シート1A及び遮光シート1Bを併用することも可能である。
【0035】
ここで、画像読取部11及び透過光用照明部12のそれぞれ反射側光源及び透過側光源の照明深度特性についてのシミュレーション結果を説明する。例えば図7は、透過側光源の照明深度特性についてのシミュレーション結果を示しており、照明深度(図7、横軸z)と相対照度(図7、縦軸)との関係を、遮光シート1A(図4参照)のスリット2の開口幅Wを変化させて表したものである。この場合、開口幅Wを1.5mm〜10.0mmの範囲で変化させている。なお、照明深度z(mm)は具体的には、透過側光源のカバーガラス23と反射側光源のカバーガラス19相互の間隙が2mmであり、その中心部に焦点(ピント)があることを意味している。上述したように遮光シート1Aは照り返し光の侵入防止作用の点で優れた機能を発揮するが、開口幅Wを1.5mm程度まで狭くし過ぎると照度が不十分となり、従って遮光シート1Aのスリット2の開口幅Wは、最低2mm以上であるのが好ましい。
【0036】
同様に図8は、反射側光源の照明深度特性について、照明深度と相対照度との関係を、遮光シート1B(図6参照)のスリット2′の開口幅W′を変化させたときのシミュレーション結果を示している。この場合、開口幅W′を5.0mm〜10.0mmの範囲で変化させている。遮光シート1Bについても優れた照り返し光侵入防止機能を有するが、その開口幅W′としては6.0mm程度まで狭くし過ぎると照度が不十分となり、従って遮光シート1Bのスリット2の開口幅Wは、最低6.5mm以上であるのが好ましい。
【0037】
更に、図9は、遮光シート1A及び遮光シート1Bのスリット2,2′の開口幅W,W′と照り返し光との関係についてのシミュレーション結果を示している。この場合、透過光用照明部12側(透)の遮光シート1Aのスリット2の開口幅wを1.5mm〜3.0mmの範囲で、また画像読取部11側(反)の遮光シート1Bのスリット2′の開口幅W′を6.0mm〜7.5mmの範囲でそれぞれ変化させ、そして透過側光源へ入光する光量を比較したものである。遮光シート1A及び遮光シート1Bいずれも設けない場合の照り返し光の光量を基準値1.00とし、これに対する比率が各々示される。
【0038】
図9に示したように照り返し光を有効に減少させるためには、遮光シート1Aのスリット2の開口幅Wとして2.0mm〜3.0mmで、遮光シート1Bのスリット2′の開口幅W′として6.5mm〜7.5mmである範囲Pが適当である。このうち特に遮光シート1Aのスリット2の開口幅w=2.5mmで、遮光シート1Bのスリット2′の開口幅W′=7.0mmが最適である。
【0039】
ここで図10は、本発明のイメージセンサユニット10を備えた画像読取装置100の画像読取部11において、紙幣Sに対して反射読取を実施して得られた画像の例を示している。前述したように紙幣S等の読み取った画像において紙幣Sの背景は黒色が望ましく、紙幣Sのエッジ検出に効果的に作用する。本発明によれば、照り返し光を有効に遮蔽してその影響を低減することにより、紙幣Sと背景とのコントラストを鮮明にし、高い検出精度を確保することができる。
【0040】
次に図11は、画像読取部11の反射光用導光体14と透過光用照明部12の透過光用導光体21との間に配置される遮光部材1として、別の例を示している。なお、以下の説明において同一又は対応する部材には適宜同一符号を用いて説明する。
この例では遮光部材1は透過光用照明部12において、その透過光用導光体21を両側から挟むように傾斜して配置された遮光シート1Cにより構成される。遮光シート1Cは、主走査方向に形成されたスリット2を有し、スリット2は副走査方向に所定の開口幅Wを有する。
【0041】
この例において特に画像読取部11による読取時に搬送路P上に紙幣Sがない状態、及び/又は、透かし部分に対する画像読取部11による読取状態等において、画像読取部11側から透過光用照明部12の透過光用導光体21に入ろうとする光線(図11、矢印L)を遮光シート1Cにより反射させることで、有効に遮蔽することができる。なお、透過光用照明部12において透過光用光源22から透過光用導光体21に入光した光は、図11の矢印L2のように紙幣Sに向けて照射される。
【0042】
図12は、画像読取部11の反射光用導光体14と透過光用照明部12の透過光用導光体21との間に配置される遮光部材1として、更に別の例を示している。
この例では遮光部材1は透過光用照明部12において、例えばカバーガラス23に添着されたルーバーフィルム1Dにより構成される。ルーバーフィルム1Dのルーバーは、ロッドレンズアレイ16の光軸方向を指向して形成される。
【0043】
この例において特に画像読取部11による読取時に搬送路P上に紙幣Sがない状態、及び/又は、透かし部分に対する画像読取部11による読取状態等において、画像読取部11側から透過光用照明部12の透過光用導光体21に入ろうとする光線(図12、矢印L)は、ルーバーフィルム1Dによって有効に遮蔽される。なお、透過光用照明部12において透過光用光源22から透過光用導光体21に入光した光は、図12の矢印L2のように紙幣Sに向けて照射される。その光は更に、ルーバーフィルム1Dのルーバーの間を通って紙幣Sに到達することができる。
なお、ルーバーフィルム1Dとして透明層と遮光層が交互に配置されて成形されたものであっても構わないし、ブラインド状に遮光板が設けられた構造であっても構わない。
【0044】
また、上記の場合の他に例えばカバーガラス23に、ロッドレンズアレイ16の光軸近傍が平坦であり、この平坦部よりも外側が副走査方向にノコ歯状に成形されたフレネルレンズ形状を付してなる光学フィルム(図示せず)を添着することも可能である。
この光学フィルムによればフレネルレンズ部において、画像読取部11側から透過光用照明部12の透過光用導光体21に入ろうとする光線を有効に遮蔽することができる。
更に、反射光用導光体14の反射光出射面14b側と透過光用導光体21の透過光出射面21b側にそれぞれ偏光フィルタを配置することも可能である。この場合、偏光角を直交させることで画像読取部11側から透過光用照明部12の透過光用導光体21に入ろうとする光線を有効に遮蔽することができる。
【0045】
図13は、画像読取部11の反射光用導光体14と透過光用照明部12の透過光用導光体21との間に配置される遮光部材1として、更に別の例を示している。
この例では遮光部材1は透過光用照明部12において、例えばカバーガラス23に添着された光学フィルタ1Eにより構成される。この場合、画像読取部11の反射光用光源15の発光波長と透過光用照明部12の透過光用光源22の発光波長とが相異し、光学フィルタ1Eは反射光用光源15、即ち画像読取部11の反射光用導光体14から出射された光を吸収すると共に、透過光用光源22即ち透過光用照明部12の透過光用導光体21から出射された光については透過させるようになっている。
【0046】
この例において特に画像読取部11による読取時に搬送路P上に紙幣Sがない状態、及び/又は、透かし部分に対する画像読取部11による読取状態等において、画像読取部11側から透過光用照明部12の透過光用導光体21に入ろうとする光線(図13、矢印L)は、光学フィルタ1Eによって吸収されることで有効に遮蔽される。なお、透過光用照明部12において透過光用光源22から透過光用導光体21に入光した光は、図13の矢印L2のように紙幣Sに向けて照射される。その光は更に、光学フィルタ1Eを透過して紙幣Sに到達する。
【0047】
上記の場合、画像読取部11の反射光用光源15の発光波長と透過光用照明部12の透過光用光源22の発光波長の組合せの例として、例えば反射光用光源15が緑色光で、透過光用光源22が赤色光とする。そして、緑色光を吸収する光学フィルタ1Eを用いることで、赤色光は透過するが、緑色光は吸収する作動環境を構成することができる。
なお、光学フィルタ1Eにおいて吸収された波長は透過光として使用ができない。例えば可視光を吸収する光学フィルタ1Eを用いた場合、透過光として使用できる波長はIR、UVとなる。
【0048】
反射光用光源15が可視光で、透過光用光源22が赤外光とする。そして、可視光を吸収する光学フィルタ1Eを用いることで、赤外光は透過するが、可視光は吸収する作動環境を構成することができる。この場合、光学フィルタ1Eを透過光用照明部12側に配置することで、紙幣Sの表面の読取位置Oに亘った黒色の背景部材として利用できることから、紙幣Sのエッジ検出を効果的に行える利点を奏する。
【0049】
また、例えば白基準値を得るために白基準部材30を用いた場合、光学フィルタ1Eと白基準部材30とを同時に用いることで、より正確な白基準値を得られることが可能となる。さらに、白黒の濃度変化のカーブを取得することで、反射光用照明部11Aと透過光用照明部12位置関係を確認できる(図14(a)、図14(b)、図15参照)。このとき副走査方向における光学フィルタ1Eの幅はロッドレンズアレイ16のレンズの直径以上であり、主走査方向においては白基準部材30と接していることが望ましい。
【0050】
なお、白基準値とは、シェーディング補正を行う際に使用する基準値であり、白色の一様な濃度分布を持つ画像に対するデータである。シェーディング補正は紙幣Sの階調の再現性を高めるために行うものである。具体的には、紙幣Sへの照射光を適正化する光量調整と、受光素子18の画像信号出力に対する増幅率を適正化するゲイン調整とを行う。更に、反射光用光源15・透過光用光源22・ロッドレンズアレイ16の光量ムラや受光素子18の感度ムラを画素単位で補正する際に用いるものである。
【0051】
図16は、画像読取部11の反射光用導光体14と透過光用照明部12の透過光用導光体21との間に配置される遮光部材1として、更に別の例を示している。
この例では遮光部材1は透過光用照明部12において、例えばカバーガラス23に添着されたゲルマニウム層1Fにより構成される。この場合、画像読取部11の反射光用光源15の発光波長と透過光用照明部12の透過光用光源22の発光波長とが相異し、ゲルマニウム層1Fは反射光用光源15、即ち画像読取部11の反射光用導光体14から出射された光を反射すると共に、透過光用光源22即ち透過光用照明部12の透過光用導光体21から出射された光については透過させるようになっている。この例では遮光部材1がゲルマニウム層1Fによって構成されるため、反射光用光源15からの可視光が反射されると共に、透過光用光源22からの赤外光が透過される場合の例とする。
【0052】
この例において特に画像読取部11による読取時に搬送路P上に紙幣Sがない状態、及び/又は、透かし部分に対する画像読取部11による読取状態等において、画像読取部11側から透過光用照明部12の透過光用導光体21に入ろうとする光線(図16、矢印L)は、鏡面状態となっているゲルマニウム層1Fによって反射されることで有効に遮蔽される。なお、透過光用照明部12において透過光用光源22から透過光用導光体21に入光した光は、図16の矢印L2のように紙幣Sに向けて照射される。その光は更に、ゲルマニウム層1Fを透過して紙幣Sに到達することができる。
なお、ゲルマニウム層1Fを添着したカバーガラス23を用いた場合、透過光として使用できる波長はIRとなる。このため、白基準部材30を併用することで前述の光学フィルタ1Eを用いた例と同様の効果を奏するものである。カバーガラス23をゲルマニウムで形成した場合も同様である。
【0053】
以上の実施形態において遮光部材1として、別体(フレーム20、カバーガラス19およびカバーガラス23と一体の場合を含む)に構成した例を説明した。このように別体構成の場合の他に、図17に示したように例えば透過光用照明部12の透過光用導光体21自体により同等の構成とすることができる。即ち、透過光用導光体21の透過光出射面21bの副走査方向に沿った幅wは、透過光用導光体21自体の他の部位よりも幅狭である。
【0054】
透過光用導光体21の透過光出射面21bの幅wを幅狭とすることにより、画像読取部11側から透過式読取部12の透過光用導光体21に入ろうとする光線(図17、矢印L)は、透過光用導光体21に対して極めて入光し難くなる。即ち、透過光用照明部12の透過光用導光体21に入ろうとする光を実質的に遮光することができる。
【0055】
更に、図17に示されるように透過光用導光体21の側面21c、画像読取部11側から透過光用照明部12の透過光用導光体21に入ろうとする光線(図17、矢印L)に対して、これを正反射するように角度設定される。
透過光用導光体21の側面21cをこのように成形することで、実質的に遮光部材1として機能させることが可能である。
【0056】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
上記実施形態において説明した具体的数値等は、本発明の例示であり、それらの数値にのみ限定されるものはない。
【符号の説明】
【0057】
1 遮光部材、1A,1B,1C 遮光シート、1D ルーバーフィルム、1E 光学フィルタ、1F ゲルマニウム層、2,2′ スリット、10 イメージセンサユニット、11 画像読取部、12 透過光用照明部、13,20 フレーム、14 反射光用導光体(第1の導光体)、15 反射光用光源(第1の光源)、16 ロッドレンズアレイ、17 センサ基板、18 受光素子、21 透過光用導光体(第2の導光体)、22 透過光用光源(第2の光源)、100 画像読取装置、P 搬送路、S 紙幣(被照明体)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、イメージスキャナあるいはファクシミリ等の画像読取装置に使用されるイメージセンサユニット及びイメージセンサユニットを用いた画像読取装置に関する。特に、紙幣、有価証券等の記録媒体の真贋判定を行う画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の画像読取装置をはじめとして、特に紙幣、有価証券等の真贋判定を行う画像読取装置において、例えば特許文献1に記載のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−194797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献1に開示された従来技術においては、反射読取時に原稿がない状態(例えば紙幣を連続して読み取る際の紙幣間の隙間、傷・破れ等の破損部分)では、反射型光源から出射した光線が、原稿とは反対側に配置された導光体(ラッパ型導光体)に入って再反射した後、再度出射して受光素子に入ってしまうことがあった。また、透かし部分の読み取り時に透かし部分を透過した光線が生じた際も同様であった。かかる迷光(後述する照り返し光)はイメージセンサユニットの出力においてノイズ成分となり、原稿がある場合の出力信号(信号成分)と迷光によるノイズ成分との差分が小さくなり、コントラストが不鮮明になり読取画像の精度が低下する等の問題を招来する。
【0005】
本発明はかかる実情に鑑み、迷光の影響を低減することで読取画像の精度を向上できるイメージセンサユニット及び画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のイメージセンサユニットは、被照明体に対して反射光による画像読取りと透過光による画像読取りとを実施するイメージセンサユニットであって、第1の光源からの光を前記被照明体に対して照射する第1の導光体と、第2の光源からの光を前記被照明体に対して照射する第2の導光体と、前記被照明体からの光を結像する結像素子と、前記結像素子により集光された光を電気信号に変換する受光素子と、を有し、前記第2の光源及び前記第2の導光体は、前記被照明体が通過可能な搬送路を挟んで配置されると共に、前記第1の導光体からの光の一部を遮光する遮光手段を前記第1の導光体と前記第2の導光体との間に配置することを特徴とする。
【0007】
また、本発明のイメージセンサユニットにおいて、前記遮光手段は、前記第1の導光体及び前記第2の導光体いずれか一方の側に配置され、所定幅のスリットを有して構成されることを特徴とする。
また、本発明のイメージセンサユニットにおいて、前記遮光手段が前記第2の導光体の出射面側に配置された光学フィルムにより構成されることを特徴とする。
また、本発明のイメージセンサユニットにおいて、前記第1の光源及び前記第2の光源のそれぞれ発光波長が相異し、前記遮光手段が前記第2の導光体の出射面側に配置された光学フィルタにより構成されることを特徴とする。
また、本発明のイメージセンサユニットにおいて、前記第2の導光体の出射面は副走査方向に他の部位よりも幅狭であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の画像読取装置は、上記何れかのイメージセンサユニットと前記被照明体とを相対的に移動させながら、前記イメージセンサユニットによって前記被照明体の画像を読み取ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、照り返し光を有効に遮蔽することにより、読取対象物である被照明体と背景とのコントラストを鮮明にし、高い読み取り精度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明に係るイメージセンサユニットを備えた画像読取装置の断面を示す模式図である。
【図2】図2は、本発明に係るイメージセンサユニットにおける画像読取部の構成例を示す分解斜視図である。
【図3】図3は、本発明に係るイメージセンサユニットにおける透過光用照明部の構成例を示す分解斜視図である。
【図4】図4は、本発明に係るイメージセンサユニットにおいて遮光部材としての遮光シートを備えた例の断面を示す模式図である。
【図5】図5(a)は、本発明に係るイメージセンサユニットにおいて遮光部材を設けた場合のイメージセンサユニットの出力信号の例を示す図、図5(b)は遮光部材を設けない場合のイメージセンサユニットの出力信号の例を示す図である。
【図6】図6は、本発明に係るイメージセンサユニットにおいて遮光部材としての遮光シートを備えた別の例の断面を示す模式図である。
【図7】図7は、本発明に係るイメージセンサユニットにおいて透過用光源の照明深度特性についてのシミュレーション結果を示す図である。
【図8】図8は、本発明に係るイメージセンサユニットにおいて反射用光源の照明深度特性についてのシミュレーション結果を示す図である。
【図9】図9は、本発明に係るイメージセンサユニットにおいて遮光シートのスリットの開口幅と照り返し光との関係についてのシミュレーション結果を示す図である。
【図10】図10は、本発明のイメージセンサユニットにおいて紙幣に対して反射読取を実施して得られた画像の例を示す図である。
【図11】図11は、本発明に係るイメージセンサユニットにおいて遮光部材としての遮光シートを備えた更に別の例の断面を示す模式図である。
【図12】図12は、本発明に係るイメージセンサユニットにおいて遮光部材としてのルーバーフィルムを備えた例の断面を示す模式図である。
【図13】図13は、本発明に係るイメージセンサユニットにおいて遮光部材としての光学フィルタを備えた例の断面を示す模式図である。
【図14】図14(a)は、本発明に係るイメージセンサユニットにおいて遮光部材として可視光を吸収する光学フィルタ(ゲルマニウム層を添着したカバーガラス)と白基準部材とを併用した例を示す模式図であり、図14(b)は、本発明に係るイメージセンサユニットにおいて遮光部材として可視光を吸収する光学フィルタ(ゲルマニウム層を添着したカバーガラス)と白基準部材とを併用した別の例を示す模式図である。
【図15】図15は、図14における白黒の濃度変化のカーブの例を示す図である。
【図16】図16は、本発明に係るイメージセンサユニットにおいて遮光部材としてのゲルマニウム層を備えた例の断面を示す模式図である。
【図17】図17は、本発明に係るイメージセンサユニットにおいて遮光部材として透過光用導光体自体により構成される例の断面を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づき、本発明によるイメージセンサユニット及び画像読取装置の好適な実施の形態を説明する。
図1は、本実施形態に係るイメージセンサユニット10を備えた画像読取装置100の要部構成を示している。ここで先ず、これらの全体構成につき概略を説明する。
画像読取装置100は、紙幣、有価証券等の記録媒体の真贋判定を行う紙葉類識別装置として機能する。この実施形態において、被照明体として典型的には紙幣Sとする。なお、紙幣Sに限らず、その他の対象物に対して本発明は適用可能である。
画像読取装置100の所定部には紙幣Sの搬送方向Fに、対をなして紙幣Sを挟みながら搬送するための搬送ローラ101A,101Bと搬送ローラ102A,102Bとが所定の間隔おいて配置される。これらの搬送ローラ101A,101B及び102A,102Bは、駆動機構により回転駆動されるようになっており、紙幣Sは所定の搬送速度で、イメージセンサユニット10に対して搬送方向Fに相対的に搬送される。
【0012】
イメージセンサユニット10は図示のように、搬送ローラ101A,101Bと搬送ローラ102A,102Bの間にて紙幣Sが通過可能な搬送路P上に、搬送路Pを挟んで上下に配置され、搬送される紙幣Sの画像を読み取る。本実施形態においてイメージセンサユニット10は、紙幣Sに反射光式読み取り用の光を照射する反射式読取用照明部11Aを含む画像を読み取る画像読取部11と、紙幣Sに透過式読み取り用の光を照射する透過光用照明部12とを備えている。画像読取部11(反射光用照明部11A)及び透過光用照明部12からの光を画像読取部11がそれぞれ読み取ることで、紙幣Sに対して反射光による画像読取りと透過光による画像読取りを実施することができる。
【0013】
画像読取部11は、筐体となる部材であるフレーム13内に、図1では概略図に示した反射光用光源15(第1の光源)からの光を紙幣Sの一方の面(下面)の読取位置(読取ライン)Oへと導く反射光用導光体14(第1の導光体)と反射光用導光体14の長手方向端部に配置された反射光用光源15(図2参照)とからなる反射光用照明部11Aを備える。また、紙幣Sからの反射光(後述のように透過光の場合も含む)を後述する受光素子18に結像させる結像素子としてのロッドレンズアレイ16と、センサ基板17上に配置固定された受光素子18と、フレーム13の上部を覆う透明なカバーガラス19とを備える。
【0014】
フレーム13は、典型的には樹脂材料を用いて概略棒状に形成され、図1の紙面に直交する方向がフレーム13の長手方向(主走査方向)となる。ここで、図2は画像読取部11の主要構成を示しており、フレーム13をはじめとして各部材は主走査方向に長尺に形成される。図2においては、フレーム13等の詳細構造もしくは形状については省略されているが、フレーム13の内部には反射光用導光体14、ロッドレンズアレイ16、基板17更には反射光用光源15を嵌め込むこと等により収容可能な部位が形成される。
【0015】
反射光用導光体14はアクリル系の樹脂やポリカーボネート等の透明素材を用いて形成され、この例では一対の反射光用導光体14が、ロッドレンズアレイ16の光軸を挟んで相互に配置される。各反射光用導光体14はその長手方向における一方側端面を反射光用光源15からの光が入光する入光面14a、その上端面を内部を伝播した光が出射する反射光出射面14b、反射光出射面14bと対向する面を拡散面14cとして形成される。そして図1において代表的に示される光が矢印L1のように紙幣Sの読取位置Oに向けて照射される。
【0016】
この場合、図1のようにフレーム13に取り付けられた状態で紙幣S側の部位が反射光出射面14bとして、フレーム13から露出し、この反射光出射面14bにて集光作用を持つように紙幣S側へ向けて凸状に形成される。また、入光面14a、反射光出射面14b及び拡散面14c以外のその他の部位は実質的に反射面として形成される。入光面14aから入光した光は反射光用導光体14内で反射及び拡散し、即ちその反射面により全反射しながら反射光用導光体14内を伝播しつつ、反射光出射面14bから出射し、そして紙幣Sに対して主走査方向にライン状に実質的に均一に照射される。
【0017】
入光面14aには反射光用光源15が配置される。図2の図示例では反射光用導光体14の一方側端面に反射光用光源15が配置されるが、反射光用導光体14の両側端面に反射光用光源15を設けてもよい。反射光用光源15として例えば赤色、緑色及び青色の3色(以下、RGBと略称する)の発光波長を持つLEDからなる発光素子、更には赤外線(以下、IRと略称する)及び紫外線(以下、UVと略称する)を発光するLEDからなる発光素子を含んで構成される。
【0018】
ロッドレンズアレイ16は、例えば複数の正立等倍結像型のロッドレンズが主走査方向に直線状に配列されてなり、紙幣S側に光の入光面を、また受光素子18側に光の出射面を有する。このように一対の反射光用導光体14が副走査方向に相互に隔置されており、それらの中央位置にロッドレンズアレイ16が配置される。なお、結像素子は、ロッドレンズアレイ16に限られず、例えばマイクロレンズアレイであってもよい。
受光素子18はロッドレンズアレイ16の光軸と実質的に一致するように配置され、紙幣Sからの反射光(後述のように透過光の場合も含む)を電気信号に変換する光電変換素子を含んで構成される。
【0019】
上述する構成でなる画像読取部11の基本動作において、搬送ローラ101A,101B及び102A,102Bにより、所定の搬送速度で搬送方向Fに搬送される紙幣Sに対し、反射光用光源15のRGB、IR、UV発光素子を順次、点灯駆動することにより反射光用光源15を発光させる。反射光用光源15から照射された光は反射光用導光体14内を伝播して、ロッドレンズアレイ16を挟んだ2方向から紙幣Sの表面の読取位置Oに対して、主走査方向においてライン状に均一に照射される。この照射光は紙幣Sによって反射されることで、ロッドレンズアレイ16を介して受光素子18上に収束結像される。この収束結像された反射光は、受光素子18により電気信号(出力信号)に変換された後、図示しない信号処理部において処理される。
【0020】
このようにしてRGB、IR、UV全ての反射光を1走査ライン分読み取ることで、紙幣Sの主走査方向における1走査ラインの読取動作を完了する。1走査ラインの読取動作終了後、紙幣Sの副走査方向への移動に伴い、上述する構成と同様に次の1走査ライン分の読取動作が行われる。このように紙幣Sを搬送方向Fに搬送しながら1走査ライン分ずつ読取動作を繰り返すことで、紙幣Sの全面が順次走査されて反射光による画像の読取りが実施される。
【0021】
次に透過光用照明部12は、筐体となる部材であるフレーム20内に、図1では概略図示した透過光用光源22(第2の光源)からの光を紙幣Sの他方の面(上面)の読取位置(読取ライン)Oへと導く透過光用導光体21(第2の導光体)と、透過光用導光体21の長手方向端部に配置された透過光用光源22と、フレーム20の下部を覆う透明なカバーガラス23とを備える。なお、透過光用照明部12の場合、紙幣Sに照射された光は紙幣Sを透過し、画像読取部11内に設けられたロッドレンズアレイ16によりセンサ基板17上の受光素子18に結像する。
【0022】
フレーム20は、典型的には樹脂材料を用いて概略棒状に形成され、図1の紙面に直交する方向がフレーム20の長手方向(主走査方向)となる。ここで、図3は透過光用照明部12の主要構成を示しており、フレーム20をはじめとして各部材は主走査方向に長尺に形成される。図3においては、フレーム20の詳細構造もしくは形状については省略されているが、フレーム20の内部には透過光用導光体21や透過光用光源22を嵌め込むこと等により収容可能な部位が形成される。
【0023】
透過光用導光体21はアクリル系の樹脂やポリカーボネート等の透明素材を用いて形成され、この例では単一の透過光用導光体21が、ロッドレンズアレイ16の光軸上において紙幣Sを挟んで受光素子18とは反対側に配置される。透過光用導光体21はその長手方向における一方側端面を反射光用光源15からの光が入光する入光面21a、その下端面を内部を伝播した光が出射する透過光出射面21b、透過光出射面21bと対向する面を拡散面21cとして形成される。そして図1において代表的に示される光が矢印L2のように紙幣Sの読取位置Oに向けて直交方向から照射される。
【0024】
この場合、図1のようにフレーム20に取り付けられた状態で紙幣S側の部位が透過光出射面21bとして、フレーム20から露出し、この透過光出射面21bにて集光作用を持つように紙幣S側へ向けて凸状に形成される。また、入光面21a及び透過光出射面21b以外のその他の部位は実質的に反射面として形成される。入光面21aから入光した光は透過光用導光体21内で反射及び拡散し、即ちその反射面により全反射しながら透過光用導光体21内を伝播しつつ、透過光出射面21bから出射し、そして紙幣Sに対して主走査方向にライン状に実質的に均一に照射される。
【0025】
入光面21aには透過光用光源22が配置される。図3の図示例では透過光用導光体21の一方側端面に透過光用光源22が配置されるが、透過光用導光体21の両側端面に透過光用光源22を設けてもよい。透過光用光源22として例えばRGB3色の発光波長を持つLEDからなる発光素子、更にはIR及びUVを発光するLEDからなる発光素子を含んで構成される。
【0026】
上述する構成でなる透過光用照明部12の基本動作において、搬送ローラ101A,101B及び102A,102Bにより、所定の搬送速度で搬送方向Fに搬送される紙幣Sに対し、透過光用光源22のRGB、IR、UV発光素子を順次、点灯駆動することにより、透過光用光源22を発光させる。透過光用光源22から照射された光は透過光用導光体21内を伝播して、紙幣Sの表面の読取位置Oに対して、主走査方向においてライン状に均一に照射される。この照射光は紙幣Sを透過することで、ロッドレンズアレイ16を介して受光素子18の光電変換素子上に収束結像される。この収束結像された透過光は、受光素子18により電気信号(出力信号)に変換された後、信号処理部において処理される。透過光による画像の読取りの場合も同様にして、RGB、IR、UV全ての透過光を1走査ライン分読み取ることで、紙幣Sの主走査方向における1走査ラインの読取動作を完了する。1走査ラインの読取動作終了後、紙幣Sの副走査方向への移動に伴い、上述する構成と同様に次の1走査ライン分の読取動作が行われる。このように紙幣Sを搬送方向Fに搬送しながら1走査ライン分ずつ読取動作を繰り返すことで、紙幣Sの全面が順次走査されて透過光による画像の読取りが実施される。
【0027】
ところで、例えば紙幣Sを連続して読み取る際の紙幣S間の隙間、傷・破れ等の破損部分、または、透かし部分等のように画像読取部11からの光が透過光用照明部12の透過光用導光体21に直接入光し、その後、ロッドレンズアレイ16に再出射されることがある。かかる迷光等を含む所謂、照り返し光はイメージセンサユニット10の出力においてノイズ成分となり、紙幣Sがある場合の出力信号(信号成分)と迷光によるノイズ成分との差分が小さくなり、そのままではコントラストが不鮮明になり読取画像の精度が低下する等の問題が生じ得る。
【0028】
さて、本発明においてイメージセンサユニット10は画像読取部11と透過光用照明部12を有し、透過型及び反射型を併用した構成となっている。特に本発明では画像読取部11の反射光用導光体14と透過光用照明部12の透過光用導光体21との間に図4に示されるように、画像読取部11側から透過光用照明部12側への光(図4、矢印L)の一部を遮蔽する遮光手段としての遮光部材1を配置する。
この実施形態では特に遮光部材1は、透過光用照明部12の透過光用導光体21の透過光出射面21b側に配置された遮光カバーもしくは遮光シート1Aにより構成される。この遮光シート1Aは、主走査方向に形成されたスリット2を有し、スリット2は副走査方向に所定の開口幅Wを有する。
【0029】
遮光シート1Aとして、画像読取部11のフレーム13自体の一部として形成することができ、あるいは別体のカバー部材を付設してもよい。更に、遮光シート1Aは別体のシート部材を添着するものであってもよいし、カバーガラス23と一体であってもよい。いずれの場合も遮光シート1Aにおける画像読取部11側の一方の面は光吸収特性を有し、透過光用照明部12側の他方の面は光反射特性を有することが望ましい。
【0030】
本発明のイメージセンサユニット10において、画像読取部11の反射光用導光体14と透過光用照明部12の透過光用導光体21との間に遮光部材1としての遮光シート1Aを設けることで、特に画像読取部11による読取時に画像読取部11側から透過光用照明部12の透過光用導光体21に入ろうとする光線を、図4のように有効に遮蔽することができる。この場合、画像読取部11及び透過光用照明部12間に挟まれた搬送路P上に紙幣Sがない状態、及び/又は、透かし部分に対する画像読取部11による読取状態等において、遮光シート1Aは特に有効に作用し、照り返し光に起因するイメージセンサユニット10の出力信号中のノイズ成分を低く抑えることができる。
【0031】
図5(a)は本発明により遮光部材1を設けた場合のイメージセンサユニット10、具体的には画像読取部11の受光素子18の出力信号を示し、図5(b)は比較例として遮光部材1を設けない場合のイメージセンサユニット10の出力信号を示している。遮光部材1、この例では遮光シート1Aを設けない場合、搬送路P上に紙幣Sがない状態、及び/又は、透かし部分に対する画像読取部11による読取状態等において、画像読取部11の反射光用導光体14から出射した光が照り返し光となって、透過光用照明部12の透過光用導光体21に到達し、更にそのまま透過光経路(矢印L2)を通って受光素子18で受光されてしまう。このためイメージセンサユニット10の出力信号は、図5(b)のように大幅に増加する。ここで、紙幣S等を読み取る場合、読み取った画像において紙幣Sの背景は黒色が望ましく、紙幣Sのエッジ検出に効果的に作用する。背景対応部分で照り返し光が受光されると、紙幣Sと背景とのコントラストが低下し、そのままでは検出精度あるいは画像品位を低下させてしまう。本発明ではそのような照り返し光を有効に遮蔽することにより、S/N比を向上して高品位の画像を得ることができる。なお、理想的には搬送路P上に紙幣Sがない状態では出力信号を0とすることが望ましいが、実際上完全に0にするのは困難である。本発明ではこのような状況下でもかなり理想に近いかたちで、照り返し光の影響をなくすることができる。
【0032】
また、遮光部材1は図6に示されるように画像読取部11の反射光用導光体14の反射光出射面14b側に配置することも可能である。遮光部材1は遮光カバーもしくは遮光シート1Bにより構成され、この遮光シート1Bのスリット2′は副走査方向に所定の開口幅W′を有する。
遮光シート1Bとして、透過光用照明部12のフレーム20自体の一部として形成することができ、あるいは別体のカバー部材を付設してもよい。更に、遮光シート1Bは別体のシート部材を添着するものであってもよいし、カバーガラス19と一体であってもよい。いずれの場合も遮光シート1Bにおける画像読取部11側の一方の面は光吸収特性を有し、透過光用照明部12側の他方の面は光反射特性を有することが望ましい。
【0033】
本発明のイメージセンサユニット10において、画像読取部11の反射光用導光体14と透過光用照明部12の透過光用導光体21との間に遮光部材1としての遮光シート1Bを設けることで、特に画像読取部11による読取時に画像読取部11側から透過光用照明部12の透過光用導光体21に入ろうとする光線(図6、矢印L)を、有効に遮蔽することができる。従って、この場合にも照り返し光が透過光用照明部12の透過光用導光体21に到達するのを防止することができる。そして、遮光シート1Aの場合と同様の作用効果を有する。
【0034】
上述したように遮光シート1A及び遮光シート1Bは単独で用いる場合でも、それぞれ優れた遮光効果を有する。また、遮光シート1A及び遮光シート1Bを併用することも可能である。
【0035】
ここで、画像読取部11及び透過光用照明部12のそれぞれ反射側光源及び透過側光源の照明深度特性についてのシミュレーション結果を説明する。例えば図7は、透過側光源の照明深度特性についてのシミュレーション結果を示しており、照明深度(図7、横軸z)と相対照度(図7、縦軸)との関係を、遮光シート1A(図4参照)のスリット2の開口幅Wを変化させて表したものである。この場合、開口幅Wを1.5mm〜10.0mmの範囲で変化させている。なお、照明深度z(mm)は具体的には、透過側光源のカバーガラス23と反射側光源のカバーガラス19相互の間隙が2mmであり、その中心部に焦点(ピント)があることを意味している。上述したように遮光シート1Aは照り返し光の侵入防止作用の点で優れた機能を発揮するが、開口幅Wを1.5mm程度まで狭くし過ぎると照度が不十分となり、従って遮光シート1Aのスリット2の開口幅Wは、最低2mm以上であるのが好ましい。
【0036】
同様に図8は、反射側光源の照明深度特性について、照明深度と相対照度との関係を、遮光シート1B(図6参照)のスリット2′の開口幅W′を変化させたときのシミュレーション結果を示している。この場合、開口幅W′を5.0mm〜10.0mmの範囲で変化させている。遮光シート1Bについても優れた照り返し光侵入防止機能を有するが、その開口幅W′としては6.0mm程度まで狭くし過ぎると照度が不十分となり、従って遮光シート1Bのスリット2の開口幅Wは、最低6.5mm以上であるのが好ましい。
【0037】
更に、図9は、遮光シート1A及び遮光シート1Bのスリット2,2′の開口幅W,W′と照り返し光との関係についてのシミュレーション結果を示している。この場合、透過光用照明部12側(透)の遮光シート1Aのスリット2の開口幅wを1.5mm〜3.0mmの範囲で、また画像読取部11側(反)の遮光シート1Bのスリット2′の開口幅W′を6.0mm〜7.5mmの範囲でそれぞれ変化させ、そして透過側光源へ入光する光量を比較したものである。遮光シート1A及び遮光シート1Bいずれも設けない場合の照り返し光の光量を基準値1.00とし、これに対する比率が各々示される。
【0038】
図9に示したように照り返し光を有効に減少させるためには、遮光シート1Aのスリット2の開口幅Wとして2.0mm〜3.0mmで、遮光シート1Bのスリット2′の開口幅W′として6.5mm〜7.5mmである範囲Pが適当である。このうち特に遮光シート1Aのスリット2の開口幅w=2.5mmで、遮光シート1Bのスリット2′の開口幅W′=7.0mmが最適である。
【0039】
ここで図10は、本発明のイメージセンサユニット10を備えた画像読取装置100の画像読取部11において、紙幣Sに対して反射読取を実施して得られた画像の例を示している。前述したように紙幣S等の読み取った画像において紙幣Sの背景は黒色が望ましく、紙幣Sのエッジ検出に効果的に作用する。本発明によれば、照り返し光を有効に遮蔽してその影響を低減することにより、紙幣Sと背景とのコントラストを鮮明にし、高い検出精度を確保することができる。
【0040】
次に図11は、画像読取部11の反射光用導光体14と透過光用照明部12の透過光用導光体21との間に配置される遮光部材1として、別の例を示している。なお、以下の説明において同一又は対応する部材には適宜同一符号を用いて説明する。
この例では遮光部材1は透過光用照明部12において、その透過光用導光体21を両側から挟むように傾斜して配置された遮光シート1Cにより構成される。遮光シート1Cは、主走査方向に形成されたスリット2を有し、スリット2は副走査方向に所定の開口幅Wを有する。
【0041】
この例において特に画像読取部11による読取時に搬送路P上に紙幣Sがない状態、及び/又は、透かし部分に対する画像読取部11による読取状態等において、画像読取部11側から透過光用照明部12の透過光用導光体21に入ろうとする光線(図11、矢印L)を遮光シート1Cにより反射させることで、有効に遮蔽することができる。なお、透過光用照明部12において透過光用光源22から透過光用導光体21に入光した光は、図11の矢印L2のように紙幣Sに向けて照射される。
【0042】
図12は、画像読取部11の反射光用導光体14と透過光用照明部12の透過光用導光体21との間に配置される遮光部材1として、更に別の例を示している。
この例では遮光部材1は透過光用照明部12において、例えばカバーガラス23に添着されたルーバーフィルム1Dにより構成される。ルーバーフィルム1Dのルーバーは、ロッドレンズアレイ16の光軸方向を指向して形成される。
【0043】
この例において特に画像読取部11による読取時に搬送路P上に紙幣Sがない状態、及び/又は、透かし部分に対する画像読取部11による読取状態等において、画像読取部11側から透過光用照明部12の透過光用導光体21に入ろうとする光線(図12、矢印L)は、ルーバーフィルム1Dによって有効に遮蔽される。なお、透過光用照明部12において透過光用光源22から透過光用導光体21に入光した光は、図12の矢印L2のように紙幣Sに向けて照射される。その光は更に、ルーバーフィルム1Dのルーバーの間を通って紙幣Sに到達することができる。
なお、ルーバーフィルム1Dとして透明層と遮光層が交互に配置されて成形されたものであっても構わないし、ブラインド状に遮光板が設けられた構造であっても構わない。
【0044】
また、上記の場合の他に例えばカバーガラス23に、ロッドレンズアレイ16の光軸近傍が平坦であり、この平坦部よりも外側が副走査方向にノコ歯状に成形されたフレネルレンズ形状を付してなる光学フィルム(図示せず)を添着することも可能である。
この光学フィルムによればフレネルレンズ部において、画像読取部11側から透過光用照明部12の透過光用導光体21に入ろうとする光線を有効に遮蔽することができる。
更に、反射光用導光体14の反射光出射面14b側と透過光用導光体21の透過光出射面21b側にそれぞれ偏光フィルタを配置することも可能である。この場合、偏光角を直交させることで画像読取部11側から透過光用照明部12の透過光用導光体21に入ろうとする光線を有効に遮蔽することができる。
【0045】
図13は、画像読取部11の反射光用導光体14と透過光用照明部12の透過光用導光体21との間に配置される遮光部材1として、更に別の例を示している。
この例では遮光部材1は透過光用照明部12において、例えばカバーガラス23に添着された光学フィルタ1Eにより構成される。この場合、画像読取部11の反射光用光源15の発光波長と透過光用照明部12の透過光用光源22の発光波長とが相異し、光学フィルタ1Eは反射光用光源15、即ち画像読取部11の反射光用導光体14から出射された光を吸収すると共に、透過光用光源22即ち透過光用照明部12の透過光用導光体21から出射された光については透過させるようになっている。
【0046】
この例において特に画像読取部11による読取時に搬送路P上に紙幣Sがない状態、及び/又は、透かし部分に対する画像読取部11による読取状態等において、画像読取部11側から透過光用照明部12の透過光用導光体21に入ろうとする光線(図13、矢印L)は、光学フィルタ1Eによって吸収されることで有効に遮蔽される。なお、透過光用照明部12において透過光用光源22から透過光用導光体21に入光した光は、図13の矢印L2のように紙幣Sに向けて照射される。その光は更に、光学フィルタ1Eを透過して紙幣Sに到達する。
【0047】
上記の場合、画像読取部11の反射光用光源15の発光波長と透過光用照明部12の透過光用光源22の発光波長の組合せの例として、例えば反射光用光源15が緑色光で、透過光用光源22が赤色光とする。そして、緑色光を吸収する光学フィルタ1Eを用いることで、赤色光は透過するが、緑色光は吸収する作動環境を構成することができる。
なお、光学フィルタ1Eにおいて吸収された波長は透過光として使用ができない。例えば可視光を吸収する光学フィルタ1Eを用いた場合、透過光として使用できる波長はIR、UVとなる。
【0048】
反射光用光源15が可視光で、透過光用光源22が赤外光とする。そして、可視光を吸収する光学フィルタ1Eを用いることで、赤外光は透過するが、可視光は吸収する作動環境を構成することができる。この場合、光学フィルタ1Eを透過光用照明部12側に配置することで、紙幣Sの表面の読取位置Oに亘った黒色の背景部材として利用できることから、紙幣Sのエッジ検出を効果的に行える利点を奏する。
【0049】
また、例えば白基準値を得るために白基準部材30を用いた場合、光学フィルタ1Eと白基準部材30とを同時に用いることで、より正確な白基準値を得られることが可能となる。さらに、白黒の濃度変化のカーブを取得することで、反射光用照明部11Aと透過光用照明部12位置関係を確認できる(図14(a)、図14(b)、図15参照)。このとき副走査方向における光学フィルタ1Eの幅はロッドレンズアレイ16のレンズの直径以上であり、主走査方向においては白基準部材30と接していることが望ましい。
【0050】
なお、白基準値とは、シェーディング補正を行う際に使用する基準値であり、白色の一様な濃度分布を持つ画像に対するデータである。シェーディング補正は紙幣Sの階調の再現性を高めるために行うものである。具体的には、紙幣Sへの照射光を適正化する光量調整と、受光素子18の画像信号出力に対する増幅率を適正化するゲイン調整とを行う。更に、反射光用光源15・透過光用光源22・ロッドレンズアレイ16の光量ムラや受光素子18の感度ムラを画素単位で補正する際に用いるものである。
【0051】
図16は、画像読取部11の反射光用導光体14と透過光用照明部12の透過光用導光体21との間に配置される遮光部材1として、更に別の例を示している。
この例では遮光部材1は透過光用照明部12において、例えばカバーガラス23に添着されたゲルマニウム層1Fにより構成される。この場合、画像読取部11の反射光用光源15の発光波長と透過光用照明部12の透過光用光源22の発光波長とが相異し、ゲルマニウム層1Fは反射光用光源15、即ち画像読取部11の反射光用導光体14から出射された光を反射すると共に、透過光用光源22即ち透過光用照明部12の透過光用導光体21から出射された光については透過させるようになっている。この例では遮光部材1がゲルマニウム層1Fによって構成されるため、反射光用光源15からの可視光が反射されると共に、透過光用光源22からの赤外光が透過される場合の例とする。
【0052】
この例において特に画像読取部11による読取時に搬送路P上に紙幣Sがない状態、及び/又は、透かし部分に対する画像読取部11による読取状態等において、画像読取部11側から透過光用照明部12の透過光用導光体21に入ろうとする光線(図16、矢印L)は、鏡面状態となっているゲルマニウム層1Fによって反射されることで有効に遮蔽される。なお、透過光用照明部12において透過光用光源22から透過光用導光体21に入光した光は、図16の矢印L2のように紙幣Sに向けて照射される。その光は更に、ゲルマニウム層1Fを透過して紙幣Sに到達することができる。
なお、ゲルマニウム層1Fを添着したカバーガラス23を用いた場合、透過光として使用できる波長はIRとなる。このため、白基準部材30を併用することで前述の光学フィルタ1Eを用いた例と同様の効果を奏するものである。カバーガラス23をゲルマニウムで形成した場合も同様である。
【0053】
以上の実施形態において遮光部材1として、別体(フレーム20、カバーガラス19およびカバーガラス23と一体の場合を含む)に構成した例を説明した。このように別体構成の場合の他に、図17に示したように例えば透過光用照明部12の透過光用導光体21自体により同等の構成とすることができる。即ち、透過光用導光体21の透過光出射面21bの副走査方向に沿った幅wは、透過光用導光体21自体の他の部位よりも幅狭である。
【0054】
透過光用導光体21の透過光出射面21bの幅wを幅狭とすることにより、画像読取部11側から透過式読取部12の透過光用導光体21に入ろうとする光線(図17、矢印L)は、透過光用導光体21に対して極めて入光し難くなる。即ち、透過光用照明部12の透過光用導光体21に入ろうとする光を実質的に遮光することができる。
【0055】
更に、図17に示されるように透過光用導光体21の側面21c、画像読取部11側から透過光用照明部12の透過光用導光体21に入ろうとする光線(図17、矢印L)に対して、これを正反射するように角度設定される。
透過光用導光体21の側面21cをこのように成形することで、実質的に遮光部材1として機能させることが可能である。
【0056】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
上記実施形態において説明した具体的数値等は、本発明の例示であり、それらの数値にのみ限定されるものはない。
【符号の説明】
【0057】
1 遮光部材、1A,1B,1C 遮光シート、1D ルーバーフィルム、1E 光学フィルタ、1F ゲルマニウム層、2,2′ スリット、10 イメージセンサユニット、11 画像読取部、12 透過光用照明部、13,20 フレーム、14 反射光用導光体(第1の導光体)、15 反射光用光源(第1の光源)、16 ロッドレンズアレイ、17 センサ基板、18 受光素子、21 透過光用導光体(第2の導光体)、22 透過光用光源(第2の光源)、100 画像読取装置、P 搬送路、S 紙幣(被照明体)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被照明体に対して反射光による画像読取りと透過光による画像読取りとを実施するイメージセンサユニットであって、
第1の光源からの光を前記被照明体に対して照射する第1の導光体と、
第2の光源からの光を前記被照明体に対して照射する第2の導光体と、
前記被照明体からの光を結像する結像素子と、
前記結像素子により集光された光を電気信号に変換する受光素子と、を有し、
前記第2の光源及び前記第2の導光体は、前記被照明体が通過可能な搬送路を挟んで配置されると共に、
前記第1の導光体からの光の一部を遮光する遮光手段を前記第1の導光体と前記第2の導光体との間に配置することを特徴とするイメージセンサユニット。
【請求項2】
前記遮光手段は、前記第1の導光体及び前記第2の導光体いずれか一方の側に配置され、所定幅のスリットを有して構成されることを特徴とする請求項1に記載のイメージセンサユニット。
【請求項3】
前記遮光手段が前記第2の導光体の出射面側に配置された光学フィルムにより構成されることを特徴とする請求項1に記載のイメージセンサユニット。
【請求項4】
前記第1の光源及び前記第2の光源のそれぞれ発光波長が相異し、前記遮光手段が前記第2の導光体の出射面側に配置された光学フィルタにより構成されることを特徴とする請求項1に記載のイメージセンサユニット。
【請求項5】
前記第2の導光体の出射面は副走査方向に他の部位よりも幅狭であることを特徴とする請求項1に記載のイメージセンサユニット。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載のイメージセンサユニットと前記被照明体とを相対的に移動させながら、前記イメージセンサユニットによって前記被照明体の画像を読み取ることを特徴とする画像読取装置。
【請求項1】
被照明体に対して反射光による画像読取りと透過光による画像読取りとを実施するイメージセンサユニットであって、
第1の光源からの光を前記被照明体に対して照射する第1の導光体と、
第2の光源からの光を前記被照明体に対して照射する第2の導光体と、
前記被照明体からの光を結像する結像素子と、
前記結像素子により集光された光を電気信号に変換する受光素子と、を有し、
前記第2の光源及び前記第2の導光体は、前記被照明体が通過可能な搬送路を挟んで配置されると共に、
前記第1の導光体からの光の一部を遮光する遮光手段を前記第1の導光体と前記第2の導光体との間に配置することを特徴とするイメージセンサユニット。
【請求項2】
前記遮光手段は、前記第1の導光体及び前記第2の導光体いずれか一方の側に配置され、所定幅のスリットを有して構成されることを特徴とする請求項1に記載のイメージセンサユニット。
【請求項3】
前記遮光手段が前記第2の導光体の出射面側に配置された光学フィルムにより構成されることを特徴とする請求項1に記載のイメージセンサユニット。
【請求項4】
前記第1の光源及び前記第2の光源のそれぞれ発光波長が相異し、前記遮光手段が前記第2の導光体の出射面側に配置された光学フィルタにより構成されることを特徴とする請求項1に記載のイメージセンサユニット。
【請求項5】
前記第2の導光体の出射面は副走査方向に他の部位よりも幅狭であることを特徴とする請求項1に記載のイメージセンサユニット。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載のイメージセンサユニットと前記被照明体とを相対的に移動させながら、前記イメージセンサユニットによって前記被照明体の画像を読み取ることを特徴とする画像読取装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−55646(P2013−55646A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−161534(P2012−161534)
【出願日】平成24年7月20日(2012.7.20)
【出願人】(000104629)キヤノン・コンポーネンツ株式会社 (49)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年7月20日(2012.7.20)
【出願人】(000104629)キヤノン・コンポーネンツ株式会社 (49)
【Fターム(参考)】
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