説明

イメージセンサ通信装置と方法

【課題】通信データの高速化、小型化、低消費電力化を図り、座標補正等を行うことを不要とする装置の提供。
【解決手段】画素回路11と電荷を蓄積保持する第1の保持回路12と第1の保持回路と第1の出力信号線41間に接続され、第1の制御信号S−Ccsにより、第1の保持回路に保持された電荷に対応する信号を前記第1の出力信号線41に通信用として出力する第1のスイッチ33と第2の制御信号S−Dtにより制御される第2のスイッチ32を介して第1の保持回路12の出力に接続され、第1の保持回路12の電荷を蓄積保持する第2の保持回路13と第2の保持回路13と第1の出力信号線41間に接続され、第3の制御信号S−Vrsにより制御され、第2の保持回路13に保持された電荷に対応する信号を第1の出力信号線41に撮像用として出力する第3のスイッチ34と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受光した光を電気信号に変換する画素回路を備えた装置に関し、特に、画素回路を用いて通信を行う装置と方法に関する。
【背景技術】
【0002】
受光した光を電気信号に変換する複数の撮像素子を、行と列の二次元アレイ状に備えたイメージセンサ装置は、撮像目的に利用されているが、光通信装置としても利用される。この利用目的は、現実空間と電子情報を組み合わせたサービスであるAR(Augmented Reality:拡張現実)と親和性が高い。例えば、平成21年度経済産業省委託事業「ITとサービスの融合による新市場創出促進事業(e空間実証事業)」「街と興味を結ぶフィールド・エンゲージメント・サービス」実証事業(e 空間 Kansai)成果報告書4−2(非特許文献1)のように、通信用と撮像用の二つのイメージセンサ装置を用いて実現している。しかし、小型化や低消費電力化の点で問題が残されている。
【0003】
このARを実現するための構成として、例えば特許文献1の記載が参照される。特許文献1には、被写体を撮像する撮像装置において、情報を符号化した光学信号を発信する発信光源を備えた被写体に対応する画像信号を入力するイメージセンサと、前記イメージセンサに近接する位置に略画角を合わせて配置され、前記発信光源が発信する前記光学信号を受信する光通信センサと、前記イメージセンサを構成する画素と前記光通信センサを構成する画素とを対応付けして、前記イメージセンサにより入力された前記画像信号、及び前記光通信センサにより受信された前記光学信号を復号した情報を用いた処理を行う信号処理手段とを備え、画像の解像度を劣化させることなく、画像と光信号を同時に取得する可能とする構成が開示されている。前記信号処理手段は、前記光学信号を復号した情報に対応する画像を生成する画像生成手段と、前記イメージセンサを構成する画素と前記光通信センサを構成する画素とを対応付けして、前記イメージセンサにより入力された前記画像信号に、前記画像生成手段により生成された前記画像の画像信号を重畳する処理を行う画像重畳手段とを備え、表示手段は、前記信号処理手段により重畳された画像信号に対応する画像を表示する。
【0004】
また、特許文献2には、規則的に配列された複数の光電変換素子及びCCDからなるCCDセンサ(2次元アレイセンサ)と、光電変換素子から転送された電荷が入力されるA/Dコンバータとを有し、光電変換素子のそれぞれが生成した電荷を第1の期間を周期として所定の順番でA/Dコンバータへ転送し、A/Dコンバータから映像信号を出力する撮像素子であって、特定の光電変換素子からは第1の周期よりも早い第2の周期でA/Dコンバータへ電荷を転送させる手段を備え、A/Dコンバータは、第1の期間を周期として特定の光電変換素子から転送されてきた電荷に応じては映像信号として出力し、第2の期間を周期として特定の光電変換素子から転送されてきた電荷に応じては、可視光信号として、映像信号とは異なる経路へ出力する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−201681号公報
【特許文献2】特開2007−151143号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】平成21年度「ITとサービスの融合による新市場創出促進事業(e空間実証事業)」「街と興味を結ぶフィールド・エンゲージメント・サービス」実証事業(e 空間 Kansai)成果報告書 第4章“4−2 直感的な情報取得を可能とするAR可視光受信手段の確立”、第112頁〜第119頁、[online]、平成22年3月、株式会社電通、[平成23年5月20日検索]、インターネット(URL:http://unit.aist.go.jp/cfsr/it-services-fusion/e-space/dentsu_report.pdf)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者が行った関連技術の分析を以下に与える。
【0008】
上記したように、通信用と撮像用の二つのイメージセンサ装置を用いる場合、小型化や低消費電力化の点で問題がある。さらに以下のような問題もある。
【0009】
画素回路を用いた通信用センサは、一般に、露光時間を短くすることで、より高速に大量の通信データを受信できるように、設計が行われる。一方、画素回路を用いた撮像用センサには、撮像する被写体を表現するために必要な露光時間を確保しなければならない、という制約が課せられる。
【0010】
したがって、画素回路を用いて通信用センサと撮像用センサを実現する場合、露光時間を通信用途に合わせると、撮像する被写体を表現できない、という問題が生じる。また露光時間を撮像用途に合わせて被写体を表現すると、通信の高速化が困難である、という問題が生じる。
【0011】
さらに、画素回路を用いて、通信用センサと撮像用センサとに個別に用意する場合、二つの画素回路があるため、これらを近傍に並べたとしても物理的に異なる位置に配置されることになる。通信用センサと撮像用センサの二つの画素回路を用いたイメージセンサ装置において、同一の被写体を撮影したとき、画素回路の物理的な位置差について座標補正を行う仕組みが必要となる。すなわち、二つの画素回路を必要とし、さらに座標補正を行う仕組み(制御機構)の追加が必要とされ、規模が大きくなる。
【0012】
上記特許文献1では、イメージセンサにより入力された画像信号に画像生成手段により生成された画像信号を重畳する処理を行う画像重畳手段が必要となり、小型化や低消費電力化を阻害する要因となっている。
【0013】
また、上記特許文献2では、時分割で、通信用途(可視光通信)と撮像用途(通常のスキャン動作)を実現しており、通信用センサと撮像用センサを物理的に個別に用意していたものを、時間軸上で個別に用意したものに相当し、同一時刻の光を利用していないため、補正回路等が必要とされ、規模が大きくなる、等の問題がある。
【0014】
したがって、本発明の主たる目的の1つは、画素回路を用いて通信を行うにあたり、通信の高速化、装置の小型化、低消費電力化を実現可能とする装置、及び方法を提供することにある。また本発明は、上記目的に加えて、補正等を不要とし規模の増大を抑制する装置、及び方法を提供することもその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記問題点の少なくとも1つを解決するため、本発明は、概略以下の構成とされる(ただし、以下に制限されない)。
【0016】
視点の1つによれば、画素回路と、前記画素回路で発生した電荷を蓄積保持する第1の保持回路と、前記第1の保持回路と第1の出力信号線間に接続され、第1の制御信号によりオン・オフが制御され、オン状態のとき、前記第1の保持回路に保持された電荷を前記第1の出力信号線に通信用として出力する第1のスイッチと、第2の制御信号によりオン・オフが制御される第2のスイッチを介して前記第1の保持回路に接続され、前記第2のスイッチがオン状態のとき、前記第1の保持回路に保持された電荷を蓄積保持する第2の保持回路と、前記第2の保持回路と前記第1の出力信号線間に接続され、第3の制御信号によりオン・オフが制御され、オン状態のとき、前記第2の保持回路に保持された電荷を前記第1の出力信号線に撮像用として出力する第3のスイッチと、を含む拡張画素回路を備えた、イメージセンサ通信装置が提供される。
【0017】
別の視点によれば、
(A)画素回路と第1の保持回路間の露光時間用スイッチのオンとオフを所定回繰返して前記第1の保持回路に電荷を蓄積し、
(B)前記第1の保持回路に蓄積保持された電荷に対応したレベルを出力する第1の増幅回路の出力信号を通信用の信号として、オン状態とした通信用データ出力スイッチを介して出力信号線に出力し、
(C)前記第1の保持回路と第2の保持回路間の転送スイッチをオンし、前記通信用データ出力スイッチをオフとし、それまでに前記第1の保持回路に蓄積保持された電荷を前記第2の保持回路に移し変えたのち、前記露光時間用スイッチのオンとオフを所定回繰返して前記画素回路の電荷を前記第1の保持回路から前記第2の保持回路に転送し前記第2の保持回路に電荷を蓄積してゆき、
(D)前記転送スイッチをオフとしてから、
前記(A)から(C)を繰り返し、前記第2の保持回路の電荷に対応したレベルを出力する第2の増幅回路の出力信号を撮像用の信号として、オン状態とした撮像用データ出力スイッチを介して前記出力信号線に出力し、
前記(A)から前記(C)を所定回(N回)の繰り返しによるN個の通信用の信号が出力されたのちに1つの撮像用の信号が出力される、通信方法が提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、通信の高速化、装置の小型化、低消費電力化を実現可能としている。さらに、本発明によれば、補正等を不要とし規模の増大を抑制することができる。本発明による上記外の作用・効果は、本発明を限定する意味を有しない好適な形態、実施形態、さらに図面等から当業者には明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の例示的な一実施形態の拡張画素回路の構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の例示的な一実施形態のイメージセンサ通信装置の構成の一例を示す図である。
【図3】本発明の例示的な一実施形態のイメージセンサ通信装置の動作例を示すタイミング図である。
【図4】本発明の例示的な一実施形態のイメージセンサ通信装置の動作原理を説明する説明図である。
【図5】本発明の例示的な一実施形態のイメージセンサ通信装置の動作例を示すタイミング図である。
【図6】本発明の例示的な一実施形態のイメージセンサ通信装置の出力信号を説明する図である。
【図7】本発明の例示的な別の実施形態のイメージセンサ通信装置の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
発明を実施するための好ましいいくつかの形態について説明する。いくつかの好ましい形態によれば、受光した光を電気信号に変換する画素回路(11)と、前記画素回路(11)で発生した電荷を蓄積保持する第1の保持回路(12:通信用保持回路)と、前記第1の保持回路(12)と第1の出力信号線(41)間に接続され、第1の制御信号(C−Ccs:出力スイッチ制御信号)によりオン・オフが制御され、オン状態のとき、前記第1の保持回路(12)に蓄積保持されている電荷に対応するレベルの信号を前記第1の出力信号線(41)に出力する第1のスイッチ(33:通信用データ出力スイッチ)と、
第2の制御信号(S−Dt:通信用保持データ転送スイッチ制御信号)によりオン・オフが制御される第2のスイッチ(32:通信用保持データ転送スイッチ)を介して、前記第1の保持回路(12)に接続され、前記第2のスイッチ(32)がオン状態のとき、前記第1の保持回路(12)に保持された電荷を蓄積保持する第2の保持回路(13:撮像用保持回路)と、
前記第2の保持回路(13)と前記第1の出力信号線(41)間に接続され、第3の制御信号(S−Vrs:撮像用データ出力スイッチ制御信号)によりオン・オフが制御され、オン状態のとき、前記第2の保持回路(13)に蓄積保持されている電荷に対応するレベルの信号を前記第1の出力信号線(41)に撮像用として出力する第3のスイッチ(34:撮像用データ出力スイッチ)と、を含む拡張画素回路(1)を備えている。
【0021】
いくつかの好ましい形態によれば、前記第1の保持回路(12)と前記第1のスイッチ(33)の間に第1の増幅回路(21)を備え、前記第2の保持回路(13)と前記第3のスイッチ(34)の間に第2の増幅回路(22)を備えている。前記第1の保持回路(12)に保持される電荷に応じたレベルの信号を入力とする前記第1の増幅回路(21)の出力信号が、前記第1のスイッチ(33)がオンのとき、前記第1の出力信号線(41)に出力される(このとき、前記第1の保持回路(12)に保持される電荷は転送されず、前記第1の保持回路(12)にそのまま保持される)。前記第2の保持回路(13)に保持される電荷に応じたレベルの信号を入力とする前記第2の増幅回路(22)の出力信号が、前記第3のスイッチ(34)がオンのとき、前記第1の出力信号線(41)に出力される構成としてもよい(このとき、前記第2の保持回路(13)に保持される電荷は転送されず、前記第2の保持回路(13)にそのまま保持される)。
【0022】
いくつかの好ましい形態によれば、前記画素回路(11)と前記第1の保持回路(12)間に、第4の制御信号(S−Hs:露光時間用スイッチ制御信号)によりオン・オフが制御され、オン状態のとき、前記画素回路(11)の電荷を前記第1の保持回路(12)に転送する第4のスイッチ(31:露光時間用スイッチ)を備えた構成としてもよい。
【0023】
いくつかの好ましい形態によれば、前記画素回路(11)、前記第1の保持回路(12)、及び、前記第2の保持回路(13)を共通にリセットする第5の制御信号(S−Rst:リセット信号)を備えた構成としてもよい。第5の制御信号(S−Rst)が活性状態のとき、前記画素回路(11)、前記第1の保持回路(12)、及び、前記第2の保持回路(13)は、リセットされ、保持している電荷は放電され空となる。
【0024】
いくつかの好ましい形態によれば、前記拡張画素回路(1)を単位画素として、複数の前記拡張画素回路(1)を行と列の2次元アレイ状に備え、同一列を構成する複数の前記拡張画素回路に対して前記第1の出力信号線(41)を共通に備え、各列の前記第1の出力信号線(41)は、前記2次元アレイの列に対して平行に配設され、前記第1の出力信号線(41)は一端で、対応する第6の制御信号(S−Cs:列選択(Column select)スイッチ制御信号)によりオン・オフが制御される第5のスイッチ(35:列選択スイッチ)を介して、複数の列に対して共通に設けられ、前記2次元アレイの行に平行な第2の出力信号線(42:S−Out:拡張画素回路出力データ信号線)に接続される構成としてもよい。複数行のそれぞれに対して、同一行の複数の前記拡張画素回路(1)に共通に前記第1乃至第5の制御信号を出力する第1の制御回路(2:垂直制御回路)と、前記第1の出力信号線(41)と前記第2の出力信号線(42)の間に接続される前記第5のスイッチ(35)を制御する第6の制御信号(S−Cs)を、各列の前記第5のスイッチ(35)に対して出力する第2の制御回路(3:水平走査制御回路)を備えている。
【0025】
いくつかの好ましい形態によれば、
(a)前記第5の制御信号(S−Rst)を活性化させて前記画素回路、前記第1の保持回路(12)、前記第2の保持回路(13)をリセットし、その後、前記第5の制御信号を非活性化して該リセットを解除し(タイミングt0)、
(b)前記第4の制御信号(S−Hs)の予め定められた長さのパルス列を前記第4のスイッチ(31)に供給して前記画素回路(11)の電荷が前記第1の保持回路(12)に蓄積して行き(タイミングt1)、その間、前記第1乃至第5の制御信号は非活性化状態とされ、
(c)前記第4の制御信号(S−Hs)の予め定められた所定長さのパルス列の次の非活性状態のタイミング(タイミングt2)で、前記第1の制御信号(S−Ccs)を活性化し、前記第1のスイッチ(33)を介して前記第1の保持回路(12)の蓄積電荷に対応したレベルの信号が、第1の増幅回路(21)を介して、前記第1の出力信号線(41)に出力され、さらに、前記第6の制御信号(S−Cs)により前記第5のスイッチ(35)がオンして前記第1の出力信号線(41)の信号が通信用の信号として前記第2の出力信号線(42:S−Out)に伝達され、
(d)次に、前記第1の制御信号(C−Ccs)を非活性化とし、前記第2の制御信号(S−Dt)を活性化して(タイミングt3)、前記第2のスイッチ(32)をオン状態とし、前記第1の保持回路(12)の蓄積電荷を前記第2の保持回路(13)に転送して移し変え、
(e)前記第2の制御信号(S−Dt)の活性化状態を保持し(タイミングt4)、前記第4の制御信号(S−Hs)の予め定められた所定長さのパルス列を前記第4のスイッチ(31)に供給し、前記画素回路(11)の電荷が前記第1の保持回路(12)から、オン状態の前記第2のスイッチ(32)を介して、前記第2の保持回路(13)に蓄積され、
前記第2の制御信号(S−Dt)の非活性化状態として(タイミングt5)、前記(b)から前記(e)を所定回(N回)数繰り返し、
前記第3の制御信号(S−Vrs)を活性化して、第3のスイッチ(34)をオンとし、前記第2の保持回路(13)の蓄積電荷に対応したレベルの信号が、第2の増幅回路(22)から、撮像用の信号として、前記第1の出力信号線(41)に出力され、前記第6の制御信号(S−Cs)により前記第5のスイッチ(35)がオンして前記第1の出力信号線(41)の信号が撮像用の信号として前記第2の出力信号線(42:S−Out)に出力され、
前記(b)から前記(e)を所定回(N回)の繰り返しによるN個の通信用の信号が前記第2の出力信号線(42:S−Out)に出力されたのち、撮像用の信号が、前記第2の出力信号線(42:S−Out)に出力される。
【0026】
いくつかの好ましい形態によれば、隣接行の拡張画素回路では、後の行の拡張画素回路の第1乃至第4の制御信号は、前の行の拡張画素回路の第1乃至第4の制御信号よりそれぞれタイミング的にずれている。前記第6の制御信号(S−Cs)のパルス幅は、前記第4の制御信号(S−Hs)のパルスの非活性期間よりも短い。
【0027】
好ましい形態の1つによれば、前記第1の保持回路(12)と、前記第2のスイッチ(32)の間に、第7の制御信号(S−Hs−a)によりオン・オフが制御される第6のスイッチ(31−a)と、前記第6のスイッチがオンのとき、前記第1の保持回路(12)が保持する電荷を受け、蓄積保持する第3の保持回路(12−a)の直列回路を備え、前記第1の増幅回路(21−a)は、前記第1の保持回路(12)と前記第3の保持回路(12−a)の電荷の差分を増幅して出力する。
【0028】
好ましい形態による方法においては、
(A)画素回路(11)と第1の保持回路(12)間の露光時間用スイッチ(31)のオンとオフを所定回繰返して前記第1の保持回路(12)に電荷を蓄積し、
(B)前記第1の保持回路(12)に蓄積保持された電荷に対応したレベルを出力する第1の増幅回路(21)の出力信号を通信用の信号として、オン状態とした通信用データ出力スイッチ(33)を介して出力信号線(41)に出力し、
(C)前記第1の保持回路(12)と第2の保持回路(13)間の転送スイッチ(32)をオンし、前記通信用データ出力スイッチ(33)をオフとし、それまでに前記第1の保持回路(12)に蓄積保持された電荷を前記第2の保持回路(13)に移し変えたのち、前記露光時間用スイッチ(31)のオンとオフを所定回繰返して前記画素回路(11)の電荷を前記第1の保持回路(12)から前記第2の保持回路(13)に転送して前記第2の保持回路(13)に電荷を蓄積してゆき、
(D)前記転送スイッチ(32)をオフとしてから、
前記(A)から(C)を繰り返し、
前記第2の保持回路(13)の電荷に対応したレベルを出力する第2の増幅回路(22)の出力信号を撮像用の信号として、オン状態とした撮像用データ出力スイッチ(34)を介して前記出力信号線(41)に出力し、
前記(A)から前記(C)を所定回(N回)の繰り返しによるN個の通信用の信号が出力されたのちに1つの撮像用の信号が出力される。
【0029】
好ましい形態によれば、イメージセンサ通信装置は、複数の画素回路の各々を、通信用センサと撮像用センサの二つの目的に利用できるように露光時間の制御を行う。以下、例示的ないくつかの実施形態に即して説明する。
【0030】
<実施形態1>
図1は、例示的な実施形態の構成の一例を示す図であり、単位画素回路の回路構成が示されている。この単位画素回路は、本明細書では、拡張画素回路1という。図1を参照すると、拡張画素回路1は、例えば光検出器として機能するフォトダイオードからなる画素回路11と、通信用保持回路12と、撮像用保持回路13と、通信用保持回路12の出力に入力が接続された通信用保持データ出力増幅回路21と、撮像用保持回路13の出力に入力が接続された撮像用保持データ出力増幅回路22と、画素回路11の出力と通信用保持回路12の入力間に接続された露光時間用スイッチ31と、通信用保持データ出力増幅回路21の出力に一端が接続された通信用データ出力スイッチ33と、通信用保持回路12の出力と撮像用保持回路13の入力間に接続された通信用保持データ転送スイッチ32と、撮像用保持データ出力増幅回路22の出力に一端が接続された撮像用データ出力スイッチ34と、を備えている。
【0031】
露光時間用スイッチ31は露光時間用スイッチ制御信号(S−Hs)によってオン・オフが制御される。
【0032】
通信用データ出力スイッチ33は、通信用データ出力スイッチ制御信号(S−Ccs)によってオン・オフが制御される。
【0033】
通信用保持データ転送スイッチ32は、通信用保持データ転送スイッチ制御信号(S−Dt)によってオン・オフが制御される。
【0034】
撮像用データ出力スイッチ34は、撮像用データ出力スイッチ制御信号(S−Vrs)によってオン・オフが制御される。
【0035】
拡張画素回路1の通信用データ出力スイッチ33の他端と撮像用データ出力スイッチ34の他端は、共通に出力信号線41に接続される。
【0036】
出力信号線41の一端は、列選択スイッチ(column select)35を介して、拡張画素回路出力データ信号S−Outに接続される。
【0037】
列選択スイッチ(35)は、列出力スイッチ制御信号(S−Cs)によってオン・オフが制御される。なお、図1では、単位画素回路である1つの拡張画素回路1の構成が示されており、隣の行、隣の列の拡張画素回路等は省略されている。
【0038】
特に制限されないが、図1に示す例では、スイッチ31、32、33、34、35はNMOSスイッチ(NMOSパストランジスタ)で構成され、ゲートに制御信号S−Hs、S−Dt、S−Ccs、S−Csがそれぞれ接続され、ゲート電位がHigh電位のときオン状態、Low電位のときオフ状態とされる。なお、各スイッチはNMOSスイッチに限定されるものでなく、PMOSスイッチ、あるいはCMOSスイッチであってもよい。
【0039】
画素回路11と、通信用保持回路12と、撮像用保持回路13にはリセット信号S―Rstが入力される。
【0040】
通信用保持データ出力増幅回路21は、通信用保持回路12の蓄積電荷に応じたレベル(例えば通信用保持回路12において電荷を蓄積するコンデンサの端子電圧)を受け、増幅出力(電圧出力)するバッファ回路で構成され、該バッファ回路の入力インピーダンスは高く、通信用保持回路12の蓄積電荷は、通信用保持データ出力増幅回路21の入力端子には流れこまない(すなわち、通信用保持回路12の電荷は通信用保持データ出力増幅回路21の入力には転送されない)。同様に、撮像用保持データ出力増幅回路22は、撮像用保持回路13の蓄積電荷に応じたレベル(例えば撮像用保持回路13において電荷を蓄積するコンデンサの端子電圧)を受け増幅出力(電圧出力)するバッファ回路で構成され、該バッファ回路の入力インピーダンスは高く、撮像用保持回路12の蓄積電荷は、撮像用保持データ出力増幅回路22の入力端子には流れこまない(撮像用保持回路13の電荷は撮像用保持データ出力増幅回路22の入力には転送されない)。特に制限されないが、増幅回路21、22は例えばボルテージフォロワ接続の差動アンプで構成してもよい。
【0041】
図2は、本実施形態のイメージセンサ通信装置の構成の一例を示す図である。CMOSイメージセンサ通信装置100は、複数の拡張画素回路1が、2次元アレイ状(格子状)に配置されている。同一列の拡張画素回路1の拡張画素回路(図1の1)の通信用データ出力スイッチ33の他端と撮像用データ出力スイッチ34の他端は、列に共通の出力信号線41に接続され、出力信号線41は、列選択スイッチ35を介して、各列共通に設けられた拡張画素回路出力データ信号(線)42(S−Out)に接続され、S−Outは出力回路4(出力ドライバ)に接続される。
【0042】
垂直制御回路2は、行毎に、制御信号S−Bを出力する。図2の制御信号S−Bは、図1の信号S−Rst、S−Hs、S−Ccs、S−Dt、S−Vrsを含む。
【0043】
列選択スイッチ35は、水平走査制御回路3から出力される列出力スイッチ制御信号(S−Cs)を対応する列選択スイッチ35に接続される。
【0044】
制御信号S−Bは、図1の露光時間用スイッチ制御信号S−Hs、通信用保持データ転送スイッチ制御信号S−Dt及び通信用データ出力スイッチ制御信号S−Ccsを説明のために便宜上一本の線で表現したものである。
【0045】
図2において、リセット信号S−Rstは、 拡張画素回路1の画素回路(11)と、通信用保持回路(12)と、撮像用保持回路(13)に入力されるほか、水平走査制御回路3、垂直制御回路2に入力される。
【0046】
次に図1乃至図6を参照して、本実施形態の動作について説明をする。
【0047】
図1の通信用保持回路12及び撮像用保持回路13はコンデンサによる電荷を蓄積する回路で構成する。出力回路4は、拡張画素回路出力データ信号S−Out上のアナログ電圧を受けるアナログ増幅回路やアナログ増幅回路から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ・デジタル・コンバータで構成される。
【0048】
図3は、図2の格子状に2次元配置された複数の拡張画素回路1のうち、代表的な一つのタイミングチャートを表す。図3のタイミングチャートのリセット信号S−Rst、スイッチ制御信号S−Hs、S−Ccs、S−Dt、S−Vrs、S−Csは、図1のリセット制御信号S−Rst、拡張画素回路1のスイッチ31〜35のスイッチ制御信号である。前述したように、これらのスイッチ31〜35はNMOSトランジスタで構成されており、スイッチ制御信号がHighレベル(電源VDD電位)でオンするものとする。
【0049】
図4は、図3のタイミング図の動作を説明するための図であり、図3のt0からt8の時間における露光時間用スイッチ31の状態、通信用保持回路12の電荷分布、通信用保持データ転送スイッチ32の状態、撮像用保持回路13の電荷分布を模式的に示したものである。
【0050】
図4では、図1の露光時間用スイッチ31がオフの状態を31−1で表し、オンの状態を31−2で表している。また、図1の通信用保持データ転送スイッチ32がオフの状態を32−1で表し、オンの状態を32−2で表している。さらに、図1の通信用保持回路12における電荷の保持状態を示す電荷分布12−1と、撮像用保持回路13における電荷の保持状態を示す電荷分布13−1を用いて動作を説明する。
【0051】
図4のt0は図3のt0に対応し、リセット信号S−Rstが解除されたタイミング(HighからLowに遷移したタイミング)を示す。t0における拡張画素回路1の電荷分布を図4のt0で表す(図4の(a))。t0では、通信用保持回路12と撮像用保持回路13の電荷分布を示す12−1と13−1は、電荷が蓄積されていない初期状態となっている。
【0052】
図3のt1は、S−HsがHighであり、SDtがLowであり、図1の露光時間用スイッチ31がオンであり、図1の通信用保持データ転送スイッチ32がオフの状態を表す。
【0053】
t1では、露光時間用スイッチ31がオンのため、画素回路11が受光して発生した電荷Cが、図4の(b)のS−pCの矢印の通り、通信用保持回路12に蓄積される。
【0054】
このとき、通信用保持データ転送スイッチ32がオフのため、撮像用保持回路13には、電荷Cは伝達されない。その後、t0とt1の状態を繰り返す。
【0055】
図3のt2は、t0とt1が繰り返された後の状態を表す。図4のt2(図4の(c))は、通信用保持回路12の電荷分布12−1は、繰り返し電荷が通信用保持回路12に蓄積された状態を示す。
【0056】
さらに、露光時間用スイッチ31がオフ(S−HsがLow)、通信用データ出力スイッチ33がオン(S−CcsがHigh)、撮像用データ出力スイッチ34がオフの状態となる(S−DtがLow)。
【0057】
これにより、通信保持回路12に蓄積した電荷を拡張画素回路出力データ信号S−Outで参照でき、図4の(c)の33−1で表す。また、列選択スイッチ35がオンとなり、拡張画素回路出力データ信号S−Outが、図2のCMOSイメージセンサ通信装置100から出力される。この出力を通信用として取り扱えばよい。
【0058】
なお、列選択スイッチ35がオンとなる期間(S−Csのパルス幅)が、露光時間用スイッチ制御信号S−Hsに対して短いのは、露光時間用スイッチ制御信号S−HsがLowレベルであるうちに、選択されている行の他の列を、CMOSイメージセンサ通信装置100から出力するためである。
【0059】
図3のt3では、通信用保持データ転送スイッチ32がオンとなる(S−DtがHigh)。この状態は、図4を参照して、t3(図4の(d))のように、通信用保持回路12に蓄積された電荷がS−cvCの矢印の通り、撮像用保持回路13に移動する。なお、特に制限されるものではないが、撮像用保持回路13の電荷蓄積用のコンデンサ(不図示)の一側電極(図4の模式図で13−1の底に対応する側の電極)を、例えばGND(グランド)電位とした場合、通信用保持回路12の電荷蓄積用コンデンサの一側電極(図4の模式図で12−1の底に対応する電極)は正電位(正のオフセット電位)にバイアスされ、この構成を模式的に表すため、図4では、通信用保持回路12の電荷分布12−1の底(の電位)が、撮像用保持回路13の電荷分布13−1の底(の電位)よりも高く表わされている。そして、通信用保持データ転送スイッチ32がオンのときは、この電位差により、通信用保持回路12の蓄積電荷は、図4の(d)のS−cvCに示すように、通信用保持回路12側から撮像用保持回路13側に流入する。
【0060】
図3のt4は、t3の状態が続いている。これは、図4のt4に対応しており(図4の(e))、通信用保持回路12には電荷が蓄積されていない。
【0061】
図3のt5では、S−HsはHigh、S−DtはHighからLowとなり、t1と同じ動作となる。図4を参照して、t5(図4の(f))は、t1と同じように、通信用保持回路12に電荷が蓄積されるが、t5では、撮像用保持回路13の電荷分布13ー1に、これまで蓄積された電荷がそのまま保持されていることを示している。
【0062】
図3のt6は、t5と同じ動作をしている。このとき、図4の(g)を参照して、t6では、撮像用保持回路13の電荷分布13ー1にt5と差分無く蓄積していることを示し、通信用保持回路12の電荷分布12ー1に新たに電荷を蓄積していることを示す。
【0063】
図3のt7は、t3と同じ動作をする。図4を参照して、t6(図4の(g))からt7(図4の(h))に通信用保持回路12に蓄積された電荷分布12−1の電荷と、t6以前に撮像用保持回路13に蓄積していた電荷が合計されていることを撮像用保持回路13の電荷分布13ー1に示す。
【0064】
図3のt8は、S−HsがLow、S−CcsがLow、S−VrsがHighであり、露光時間用スイッチ31がオフ、通信用データ出力スイッチ33がオフ、撮像用データ出力スイッチ34がオンの状態となる。
【0065】
これにより、撮像用保持回路13に蓄積した電荷を、拡張画素回路出力データ信号S−Outで参照でき、図4の(i)の33−2で表す。また、S−CsにHighパルスが与えられ、列選択スイッチ35がオンとなり、この拡張画素回路出力データ信号S−Outは、拡張画素回路出力データ信号S−Outが、図2のCMOSイメージセンサ通信装置100から出力される。この出力を、撮像用データとして取り扱えばよい。
【0066】
図5は、図3にタイミングチャートを示した行に隣接した行のタイミングチャートを示す。図5は、S−Rstを除く信号が、図3のタイミングチャートより一つ遅れたタイミングである。このため、拡張画素回路出力データ信号S−Outが、行毎に、出力ノード41に同時に出力されないように構成できる。これにより、図2のCMOSイメージセンサ通信装置100の出力回路4は、図6のように情報を外部に出力する。図6においてtは、時間の経過を示している。
【0067】
出力回路4から出力される1フレームの情報(図6(d))は、複数の通信フレーム情報と1つの撮像フレーム情報を含む(図6(c))。
【0068】
ここで、通信フレーム情報は、拡張画素回路1の通信用保持回路12を参照した情報である。通信フレーム情報は、複数の行情報を含む。1つの行情報は、図1の同一行の複数の列の信号線41の出力信号である。1つの行情報は、複数の画素情報を含む(図6(b)と(a)参照)。
【0069】
撮像フレーム情報は、拡張画素回路1の撮像用保持回路13を参照した情報である。通信フレーム情報は、露光時間を短く制御した通信情報であり、撮像フレーム情報は、露光時間を長く制御した撮像情報である。
【0070】
以上説明したように本発明によれば、通信用と撮像用の露光時間制御が可能となり、イメージセンサの画素回路を通信用途と撮像用途で利用できるようになる。さらに、通信用途と撮像用途で、座標が一致するため、補正回路を組み込む必要がなく、小規模な回路でシステムを構築可能となる。
【0071】
前記実施形態では、図3等に示したように、露光時間用スイッチ制御信号S−Hsのオン・オフの比率は等しく設定されているが、別の実施形態として、露光時間用スイッチ制御信号S−Hsのオン・オフの比率(デューティ比)を変更してもよい。
【0072】
<実施形態2>
図7は、例示的な別の実施形態の構成の一例を示す図である。図7を参照すると、通信用保持回路12と通信用保持データ転送スイッチ32の間にスイッチ31−aと通信用保持回路12−aとが直列形態に接続され、図1の通信用保持データ出力増幅回路21の代わりに、差動増幅回路である通信用保持データ差分出力増幅回路21−aを備えている。通信用保持データ差分出力増幅回路21−aは、通信用保持回路12と、通信用保持回路12−aの差分を出力する。スイッチ31−aはスイッチ制御信号S−Hs−aによりオン・オフが制御される。特に制限されないが、スイッチ制御信号S−Hs−aは、露光時間用スイッチ制御信号S−Hs(図3等のタイミング波形参照)の反転信号(相補信号)として与えられ、露光時間用スイッチ制御信号S−Hsが活性状態とされ、露光時間用スイッチ31がオンのとき、スイッチ31−aはオフ、露光時間用スイッチ制御信号S−Hsが非活性状態とされ、露光時間用スイッチ31がオフのとき、スイッチ31−aはオンとされ、通信用保持回路12に蓄積保持された電荷が通信用保持回路12−aに転送されて蓄積保持される。通信用保持データ差分出力増幅回路21−aは、通信用保持回路12と通信用保持回路12−aの蓄積電荷の差分(信号S−Hsの半周期Δtに対応する電荷の差分ΔI)に対応するレベルを差動増幅し、通信用データ出力スイッチ33がオンのとき、この差分信号を、通信用の信号として、出力信号線41に出力する。本実施形態において、露光時間用スイッチ制御信号S−Hsと相補のスイッチ制御信号S−Hs−aによる制御以外は、図3、図4のタイミング図等を参照して説明した前記実施形態の動作と同じであるため、その説明は省略する。
【0073】
なお、上記の特許文献、非特許文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0074】
1 拡張画素回路
2 垂直制御回路
3 水平走査制御回路
4 出力回路
11 画素回路
12、12−a 通信用保持回路
13 撮像用保持回路
21 通信用保持データ出力増幅回路
21−a 通信用保持データ差分出力増幅回路
22 撮像用保持データ出力増幅回路
31 露光時間用スイッチ
31−a スイッチ
32 通信用保持データ転送スイッチ
33 通信用データ出力スイッチ
34 撮像用データ出力スイッチ
35 列選択スイッチ
36 スイッチ
41 出力線
42 拡張画素回路出力データ信号線(S−Out)
100 CMOSイメージセンサ通信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素回路と、
前記画素回路で発生した電荷を蓄積保持する第1の保持回路と、
前記第1の保持回路と第1の出力信号線間に接続され、第1の制御信号によりオン・オフが制御され、オン状態のとき、前記第1の保持回路に蓄積保持されている電荷に対応するレベルの信号を前記第1の出力信号線に出力する第1のスイッチと、
第2の制御信号によりオン・オフが制御される第2のスイッチを介して、前記第1の保持回路に接続され、前記第2のスイッチがオン状態のとき、前記第1の保持回路に保持された電荷を蓄積保持する第2の保持回路と、
前記第2の保持回路と前記第1の出力信号線間に接続され、第3の制御信号によりオン・オフが制御され、オン状態のとき、前記第2の保持回路に蓄積保持されている電荷に対応するレベルの信号を前記第1の出力信号線に撮像用として出力する第3のスイッチと、
を含む拡張画素回路を備えた、ことを特徴とするイメージセンサ通信装置。
【請求項2】
前記第1の保持回路と前記第1のスイッチの間に第1の増幅回路を備え、
前記第2の保持回路と前記第3のスイッチの間に第2の増幅回路を備え、
前記第1の保持回路に保持される電荷に応じたレベルの信号を受ける前記第1の増幅回路の出力信号が、前記第1のスイッチがオンのとき、前記第1の出力信号線に出力され、
前記第2の保持回路に保持される電荷に応じたレベルの信号を受ける前記第2の増幅回路の出力信号が、前記第3のスイッチがオンのとき、前記第1の出力信号線に出力される、ことを特徴とする請求項1記載のイメージセンサ通信装置。
【請求項3】
前記画素回路と前記第1の保持回路間に、第4の制御信号によりオン・オフが制御され、オン状態のとき、前記画素回路の電荷を前記第1の保持回路に転送する第4のスイッチを備えている、ことを特徴とする請求項1又は2記載のイメージセンサ通信装置。
【請求項4】
前記画素回路、前記第1の保持回路、及び、前記第2の保持回路を共通にリセットする第5の制御信号を備えている、ことを特徴とする請求項3記載のイメージセンサ通信装置。
【請求項5】
前記拡張画素回路を単位画素として複数の前記拡張画素回路を行と列の2次元アレイ状に備え、
同一列を構成する複数の前記拡張画素回路に対して前記第1の出力信号線を共通に備え、
各列の前記第1の出力信号線は、前記2次元アレイの列に平行に配設され、
前記第1の出力信号線は一端で、対応する第6の制御信号によりオン・オフが制御される第5のスイッチを介して、複数の列に対して共通に設けられ、前記2次元アレイの行に平行な第2の出力信号線に接続される、ことを特徴とする請求項4記載のイメージセンサ通信装置。
【請求項6】
複数行のそれぞれに対して、同一行の複数の前記拡張画素回路に共通に前記第1乃至第5の制御信号を出力する第1の制御回路と、
前記第1の出力信号線と前記第2の出力信号線の間に接続される前記第5のスイッチを制御する第6の制御信号を、各列の前記第5のスイッチに対して出力する第2の制御回路と、
を備えている、ことを特徴とする請求項5記載のイメージセンサ通信装置。
【請求項7】
(a)前記第5の制御信号を活性化させて前記画素回路、前記第1の保持回路、前記第2の保持回路の電荷をリセットし、その後、前記第5の制御信号を非活性化して該リセットを解除し、
(b)前記第4の制御信号の予め定められた長さのパルス列を前記第4のスイッチに供給して前記画素回路の電荷が前記第1の保持回路に蓄積して行き、その間、前記第1乃至第5の制御信号は非活性化状態とされ、
(c)前記第4の制御信号の予め定められた所定長さのパルス列の次の非活性状態のタイミングで、前記第1の制御信号を活性化し、前記第1のスイッチを介して前記第1の保持回路の蓄積電荷に対応したレベルの信号が、前記第1の出力信号線に出力され、さらに、前記第6の制御信号により前記第5のスイッチがオンして前記第1の出力信号線の信号が通信用の信号として前記第2の出力信号線に伝達され、
(d)次に、前記第1の制御信号を非活性化とし、前記第2の制御信号を活性化して、前記第2のスイッチをオン状態とし、前記第1の保持回路の蓄積電荷を前記第2の保持回路に転送して移し変え、
(e)前記第2の制御信号の活性化状態を保持し、前記第4の制御信号の予め定められた所定長さのパルス列を前記第4のスイッチに供給し、前記画素回路の電荷が前記第1の保持回路から、オン状態の前記第2のスイッチを介して、前記第2の保持回路に蓄積され、
(f)前記第2の制御信号の非活性化状態として、
前記(b)から前記(e)を所定回(N回)数繰り返し、
前記第3の制御信号を活性化して前記第2の保持回路の蓄積電荷に対応したレベルの信号が、撮像用の信号として、前記第1の出力信号線に出力され、且つ、前記第6の制御信号により前記第5のスイッチがオンして前記第1の出力信号線の信号が撮像用の信号として前記第2の出力信号線に出力され、
前記(b)から前記(e)を所定回(N回)の繰り返しによるN個の通信用の信号が前記第2の出力信号線に出力されたのち撮像用の信号が、前記第2の出力信号線に出力される、ことを特徴とする請求項6記載のイメージセンサ通信装置。
【請求項8】
隣接行の前記拡張画素回路では、後の行の拡張画素回路の第1乃至第4の制御信号は前の行の拡張画素回路の第1乃至第4の制御信号より、タイミング的にずれている、ことを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載のイメージセンサ通信装置。
【請求項9】
前記第1の保持回路と、前記第2のスイッチの間に、
第7の制御信号によりオン・オフが制御される第6のスイッチと、
前記第6のスイッチがオンのとき、前記第1の保持回路が保持する電荷を前記第6のスイッチを介して受けとり蓄積保持する第3の保持回路と、
を備え、
前記第1の増幅回路は、前記第1の保持回路と前記第3の保持回路の出力に入力がそれぞれ接続されている、ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のイメージセンサ通信装置。
【請求項10】
(A)画素回路と第1の保持回路間の露光時間用スイッチのオンとオフを所定回繰返して前記第1の保持回路に電荷を蓄積し、
(B)前記第1の保持回路に蓄積保持された電荷に対応したレベルを出力する第1の増幅回路の出力信号を通信用の信号として、オン状態とした通信用データ出力スイッチを介して出力信号線に出力し、
(C)前記第1の保持回路と第2の保持回路間の転送スイッチをオンし、前記通信用データ出力スイッチをオフとし、それまでに前記第1の保持回路に蓄積保持された電荷を前記第2の保持回路に移し変えたのち、前記露光時間用スイッチのオンとオフを所定回繰返して前記画素回路の電荷を前記第1の保持回路から前記第2の保持回路に転送し前記第2の保持回路に電荷を蓄積してゆき、
(D)前記転送スイッチをオフとしてから、
前記(A)から(C)を繰り返し、前記第2の保持回路の電荷に対応したレベルを出力する第2の増幅回路の出力信号を撮像用の信号として、オン状態とした撮像用データ出力スイッチを介して前記出力信号線に出力し、
前記(A)から前記(C)を所定回(N回)の繰り返しによるN個の通信用の信号が出力されたのちに1つの撮像用の信号が出力される、ことを特徴とする通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−244549(P2012−244549A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115103(P2011−115103)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(000232254)日本電気通信システム株式会社 (586)
【Fターム(参考)】