インクジェットプリンタ
【課題】幅方向に延びる線状図形が太くなったと認識されることを抑制しつつ、描画周期の変更に起因する描画位置のずれを補正する。
【解決手段】インクジェットプリンタ1では、ウエブ9上において走査方向に配列される複数のラインを記録することにより画像の記録が行われる。標準印刷の際の第1描画周期と、高速印刷の際の第2描画周期との差に基づく高速印刷時の描画位置のずれを補正するために、所定のライン数毎のラインを補正対象ラインとして抽出する。そして、補正対象ライン上に横線が存在しない場合、補正対象ラインと同様の補正ラインを補正対象ラインに隣接させて記録し、補正対象ライン上に横線が存在する場合、横線を含まないラインが出現するまで補正ラインの記録が延期される。これにより、幅方向に延びる線型図形である横線が太くなったと認識されることを抑制しつつ、第2描画周期に起因する描画位置のずれを補正することができる。
【解決手段】インクジェットプリンタ1では、ウエブ9上において走査方向に配列される複数のラインを記録することにより画像の記録が行われる。標準印刷の際の第1描画周期と、高速印刷の際の第2描画周期との差に基づく高速印刷時の描画位置のずれを補正するために、所定のライン数毎のラインを補正対象ラインとして抽出する。そして、補正対象ライン上に横線が存在しない場合、補正対象ラインと同様の補正ラインを補正対象ラインに隣接させて記録し、補正対象ライン上に横線が存在する場合、横線を含まないラインが出現するまで補正ラインの記録が延期される。これにより、幅方向に延びる線型図形である横線が太くなったと認識されることを抑制しつつ、第2描画周期に起因する描画位置のずれを補正することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、長尺シート状の印刷用紙上に画像を記録するインクジェットプリンタが利用されている。このようなインクジェットプリンタの1つとして、複数のヘッドの吐出口群から、所定の走査方向に1回だけ移動する印刷用紙に向けてインクを吐出し、走査方向に垂直な幅方向に延びる複数のラインを順次形成して画像の記録を行うワンパスタイプのインクジェットプリンタが知られている。
【0003】
ワンパスタイプのインクジェットプリンタでは、幅方向における解像度を大きくするために、1つのヘッドに、複数の吐出口を有する第1吐出口列、および、幅方向において第1吐出口列の複数の吐出口と交互に並ぶ他の複数の吐出口を有する第2吐出口列を設け、第1吐出口列と第2吐出口列とを走査方向に離間させて配置することが行われている。このようなインクジェットプリンタでは、第1吐出口列および第2吐出口列の吐出口から所定の描画周期にてインクが吐出されることにより、第1吐出口列からのインクによる複数のドットと、第2吐出口列からのインクによる複数のドットとが、印刷用紙上において幅方向に交互に配列されて1つのラインが形成される。また、特許文献1では、インクジェットプリンタにおいて、複数の色にそれぞれ対応した複数のプリントヘッドを、幅方向に数画素分だけずらして配置する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第97/37854号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のようなワンパスタイプのインクジェットプリンタにおいて、印刷用紙の移動速度を2倍にし、第1吐出口列からのインクによる複数のドットにて形成されるラインと、第2吐出口列からのインクによる複数のドットにて形成されるラインとを、走査方向に交互に配置することにより、幅方向の解像度を落としつつ高速印刷を実現することが考えられる。このような高速印刷の場合、第2吐出口列により形成される複数のラインを、第1吐出口列により形成される複数のラインの中間に配置するために、標準速度における印刷時の描画周期よりも短い描画周期が設定される。このため、ラインの走査方向における描画位置がずれ、走査方向の解像度が、標準速度における印刷時よりも僅かに高くなり、画像の走査方向の長さが所望の長さよりも短くなってしまう。そこで、画像の走査方向の長さを所望の長さに合わせるために、所定数のラインを記録する毎に、最新のラインを再度記録することが考えられる。しかしながら、再度記録するラインに幅方向に延びる線状図形(いわゆる、横線)が含まれている場合、横線が太くなってしまう。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、幅方向に延びる線状図形が太くなったと認識されることを抑制しつつ、描画周期の変更に起因する描画位置のずれを補正することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、インクジェットプリンタであって、記録媒体に向けてインクを吐出する吐出部と、前記吐出部に対して前記記録媒体を所定の走査方向に1回だけ相対的に移動する移動機構と、画像データに基づいて前記吐出部からのインクの吐出を制御し、それぞれが前記走査方向に垂直な幅方向に平行であって前記走査方向に配列される複数のラインを形成することにより、画像を前記記録媒体に記録する制御部とを備え、前記吐出部が、前記走査方向に対して交差する吐出口配列方向に沿って配列され、前記記録媒体上にインクを吐出して複数の第1ドットを形成する複数の第1吐出口と、前記吐出口配列方向に沿って配列されるとともに前記幅方向において前記複数の第1吐出口の間にそれぞれ配置され、前記記録媒体上にインクを吐出して複数の第2ドットを形成する複数の第2吐出口とを備え、前記記録媒体の前記走査方向における相対移動速度が第1速度である場合に、前記複数の第1吐出口および前記複数の第2吐出口から第1描画周期にてインクが吐出されることにより、前記複数のラインのそれぞれにおいて、前記幅方向に複数の第1ドットと複数の第2ドットとが交互に並び、前記記録媒体の前記相対移動速度が前記第1速度の2倍である第2速度の場合に、前記複数の第1吐出口および前記複数の第2吐出口から前記第1描画周期よりも周波数が高い第2描画周期にてインクが吐出されることにより、複数の第1ドットを含むとともに第2ドットを含まないラインと、複数の第2ドットを含むとともに第1ドットを含まないラインとが交互に配列された前記複数のラインが記録され、前記制御部において、a)前記第2描画周期と前記第1描画周期とに基づいて予め決定されたライン数毎のラインを、前記第2描画周期に起因する描画位置のずれを補正するための補正対象ラインとして抽出する工程と、b)前記補正対象ライン上に前記幅方向に所定の長さ以上に延びる線状図形である横線が存在するか否かを確認する工程と、c)前記補正対象ライン上に前記横線が存在しないときに前記補正対象ラインと同様の補正ラインを、前記補正対象ラインに隣接させて記録し、前記補正対象ライン上に前記横線が存在するときに、前記補正対象ラインの次のラインを新たな補正対象ラインとして前記b)工程に戻る工程とが行われる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインクジェットプリンタであって、前記画像データにおいて、各画素がドットの描画位置に対応し、前記横線が、前記画像データにおいて、それぞれの画素値に対応する記録濃度が所定の閾値以上であり、かつ、前記幅方向において第1の個数以上連続するとともに前記走査方向における連続数が第2の個数以下である複数の画素の集合である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のインクジェットプリンタであって、前記吐出部が、前記複数の第1吐出口および前記複数の第2吐出口が設けられたヘッドを備え、前記吐出口配列方向が前記幅方向に対して僅かに傾斜し、前記吐出口配列方向に垂直な方向に、各第1吐出口と、対応する第2吐出口とが並ぶ。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、幅方向に延びる線状図形が太くなったと認識されることを抑制しつつ、描画周期の変更に起因する描画位置のずれを補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一の実施の形態に係るインクジェットプリンタの外観を示す斜視図である。
【図2】吐出部の底面図である。
【図3】吐出口群を示す図である。
【図4】ウエブ上のドットを示す図である。
【図5】ウエブ上に描画されるドットの配列を説明するための図である。
【図6】ヘッドの一部を簡素化して描く図である。
【図7.A】ウエブに対するドットの形成過程を簡素化して示す図である。
【図7.B】ウエブに対するドットの形成過程を簡素化して示す図である。
【図7.C】ウエブに対するドットの形成過程を簡素化して示す図である。
【図8.A】ウエブに対するドットの形成過程を簡素化して示す図である。
【図8.B】ウエブに対するドットの形成過程を簡素化して示す図である。
【図8.C】ウエブに対するドットの形成過程を簡素化して示す図である。
【図9.A】ウエブに対するドットの形成過程を簡素化して示す図である。
【図9.B】ウエブに対するドットの形成過程を簡素化して示す図である。
【図9.C】ウエブに対するドットの形成過程を簡素化して示す図である。
【図10】インクジェットプリンタにおける画像記録の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の一の実施の形態に係るインクジェットプリンタ1の外観を示す斜視図である。インクジェットプリンタ1は、記録媒体である長尺シート状のウエブ9にインクの微小液滴を吐出してウエブ9上に画像を記録する(すなわち、画像の印刷を行う)画像記録装置である。本実施の形態では、印刷用紙であるウエブ9に対するカラー画像の記録が行われる。
【0013】
図1に示すインクジェットプリンタ1は、移動機構2、吐出部3、および、これらの構成を制御する制御部7を備える。移動機構2は、ウエブ9を図1中のY方向(すなわち、ウエブ9の長手方向であり、以下、「走査方向」という。)に移動する。吐出部3は、移動機構2を跨ぐようにして基台20に設けられるフレーム25に、移動機構2の上方(すなわち、(+Z)側)にて固定され、ウエブ9に向けてインクを吐出する。
【0014】
インクジェットプリンタ1では、移動機構2により、ウエブ9を走査方向に1回だけ吐出部3に対して相対的に移動し、画像データに基づいて制御部7により吐出部3からのインクの吐出が制御され、移動中のウエブ9に対してインクの微小液滴が吐出される。これにより、インクの複数のドットが幅方向に配列されたライン(すなわち、幅方向に平行に延びるライン)が、ウエブ9上において走査方向に順次形成され、複数のラインが走査方向に配列されることにより、ウエブ9上に画像が記録される。
【0015】
移動機構2では、それぞれが図1中のX方向に長い複数のローラ21がY方向に配列される。X方向は、水平かつY方向に垂直な方向であり、ウエブ9の幅方向でもある。複数のローラ21の(+Y)側にはロール状のウエブ9(供給ロール)を保持する供給部22が設けられ、複数のローラ21の(−Y)側にはロール状のウエブ9(巻取ロール)を保持する巻取部23が設けられる。ウエブ9は供給部22および巻取部23のそれぞれにてロール状とされる。以下の説明では、単にウエブ9という場合は搬送途上のウエブ9(すなわち、複数のローラ21上のウエブ9)を意味するものとする。
【0016】
移動機構2の一のローラ21aにはウエブ9の走査方向の移動速度を検出するエンコーダ29が設けられ、制御部7がエンコーダ29の出力に基づいて巻取部23のモータの回転を制御することにより、ウエブ9が(−Y)方向に一定速度にて搬送される。ウエブ9の搬送時には、供給部22が有するモータにてウエブ9に対して走査方向とは逆向き(すなわち、(+Y)方向)の負荷(テンション)を付与することにより、複数のローラ21上のウエブ9が波打つことなく滑らかに移動する。
【0017】
図2は吐出部3の構成を示す底面図であり、吐出部3のウエブ9に対する走査方向(すなわち、Y方向)を縦向きに図示している。吐出部3は、複数のヘッド5の集合体であるヘッドユニットである。吐出部3は、幅方向においてウエブ9の幅とほぼ同じ長さまで伸びる長尺の4個の取付部材32を有し、4個の取付部材32はヘッドユニット本体31上にて走査方向に並べて固定される。各取付部材32には複数のヘッド5が幅方向に配列して取り付けられ、1つの取付部材32に取り付けられる複数のヘッド5によりウエブ9の幅とほぼ同じ長さだけ幅方向に並ぶ1つのヘッド列が構成される。なお、比較的短い複数の取付部材32が幅方向に並べられ、1つのヘッド列が、幅方向に並ぶ複数の取付部材32に取り付けられたヘッド5により構成されてもよい。
【0018】
各ヘッド5は複数の吐出口群60(図2では、1つの吐出口群60を二重線にて図示している。)を有し、各吐出口群60は、走査方向に対して交差する吐出口配列方向に沿って配列形成された複数の吐出口の集合となっている。(+Y)側のヘッド列51aに含まれる複数のヘッド5のそれぞれは、K(ブラック)のインクを吐出する吐出口群61K、C(シアン)のインクを吐出する吐出口群61C、Kのインクを吐出する吐出口群62K、および、Cのインクを吐出する吐出口群62Cを(+Y)側から((−Y)側に向かって)順に有する。ヘッド列51aの(−Y)側に隣接するヘッド列52aに含まれる複数のヘッド5のそれぞれは、Cのインクを吐出する吐出口群64C、Kのインクを吐出する吐出口群64K、Cのインクを吐出する吐出口群63C、および、Kのインクを吐出する吐出口群63Kを(+Y)側から順に有する。
【0019】
ヘッド列52aの(−Y)側に隣接するヘッド列51bに含まれる複数のヘッド5のそれぞれは、M(マゼンタ)のインクを吐出する吐出口群61M、Y(イエロー)のインクを吐出する吐出口群61Y、Mのインクを吐出する吐出口群62M、および、Yのインクを吐出する吐出口群62Yを(+Y)側から順に有し、(−Y)側のヘッド列52bに含まれる複数のヘッド5のそれぞれは、Yのインクを吐出する吐出口群64Y、Mのインクを吐出する吐出口群64M、Yのインクを吐出する吐出口群63Y、および、Mのインクを吐出する吐出口群63Mを(+Y)側から順に有する。
【0020】
ヘッド列51a,51b(以下、いずれか一方のヘッド列を指す場合に「ヘッド列51」と呼ぶ。)に含まれるヘッド5はZ軸に平行な軸を中心として所定の微小な回転角だけ傾けて固定され、各ヘッド5の吐出口群60も同様に傾けられている。また、ヘッド列52a,52b(以下、いずれか一方のヘッド列を指す場合に「ヘッド列52」と呼ぶ。)のヘッド5はZ軸に平行な軸を中心としてヘッド列51のヘッド5とは反対側に同じ回転角だけ傾けて固定され、各ヘッド5の吐出口群60も同様に傾いている。換言すれば、各ヘッド5では、吐出口配列方向が幅方向に対して僅かに傾斜する。
【0021】
このように、ヘッド列51の各ヘッド5は一の色のインクを吐出する2つの吐出口群60、および、これらと同様に配列された他の色のインクを吐出する2つの吐出口群60を有し、このヘッド列51に対応するヘッド列52の各ヘッド5も一の色のインクを吐出する2つの吐出口群60、および、これらと同様に配列された他の色のインクを吐出する2つの吐出口群60を有し、各ヘッド5では、一の色のインクを吐出する吐出口群60と他の色のインクを吐出する吐出口群60とが走査方向に交互に配置される。
【0022】
図3は1つのヘッド5の吐出口群を示す図であり、図3ではヘッド列51のヘッド5の同じ色を吐出する吐出口群のみを図示している。以下、吐出部3のウエブ9に対する相対的な進行方向((+Y)方向)に関して先行する吐出口群を「第1吐出口群61」と呼び、第1吐出口群61から走査方向に離れた後続の((−Y)側の)吐出口群を「第2吐出口群62」と呼ぶ。また、以下の説明では、CMYKの4つの色のうち一の色のインクを吐出する吐出口群にのみ着目して説明を行うが、他の色のインクを吐出する吐出口群も同様の構成および配置となる。
【0023】
第1吐出口群61は、図3に示すように、複数の第1吐出口610を有する第1前部吐出口列611、および、複数の第1吐出口610を有する第1後部吐出口列612を有する。第1前部吐出口列611および第1後部吐出口列612ではそれぞれ、ウエブ9に平行な面(XY平面に平行な面)内において、幅方向(X方向)から所定の微小角度だけ傾斜した吐出口配列方向に平行に、複数の第1吐出口610が一定のピッチにて配列される。第1吐出口群61では、幅方向に関して第1前部吐出口列611の互いに隣接する2つの第1吐出口610の中間に第1後部吐出口列612のいずれか1つの第1吐出口610が位置するように、複数の第1吐出口610が千鳥状に配列される。第2吐出口群62も第1吐出口群61と同様に、複数の第2吐出口620が吐出口配列方向に沿いつつ千鳥状に2列に(すなわち、第2前部吐出口列621および第2後部吐出口列622として)配列される。
【0024】
また、第1吐出口群61および第2吐出口群62では、幅方向に関してのみ注目した場合に、第1前部吐出口列611の1つの第1吐出口610と、当該第1吐出口610に幅方向に関して隣接する第1後部吐出口列612の第1吐出口610との間に、第2吐出口群62の1つの第2吐出口620が位置する。すなわち、複数の第2吐出口620が幅方向において複数の第1吐出口610の間にそれぞれ配置されるように、吐出口配列方向(すなわち、ヘッド5の回転角)が決定されている。さらに換言すれば、吐出口配列方向の幅方向に対する微小角度は、幅方向に関して第1吐出口群61の互いに隣接する2つの第1吐出口610間を第2吐出口群62のいずれか1つの第2吐出口620が補間する角度とされる。これにより、図3のヘッド5では第1吐出口群61および第2吐出口群62の複数の第1吐出口610および第2吐出口620が幅方向に関して密に連続する。一方、吐出口配列方向に垂直な方向においては、各第1吐出口610と、各第1吐出口610に対応する第2吐出口620とが並ぶ。
【0025】
本実施の形態では、幅方向に関してのみ注目した場合、第1前部吐出口列611および第1後部吐出口列612のそれぞれにおいて、複数の第1吐出口610が180dpiに相当するピッチにて配列され、第1吐出口群61全体として見ると、複数の第1吐出口610が360dpiに相当するピッチにて配列される。また、第2前部吐出口列621および第2後部吐出口列622のそれぞれにおいて、複数の第2吐出口620が180dpiに相当するピッチにて配列され、第2吐出口群62全体として見ると、複数の第2吐出口620が360dpiに相当するピッチにて配列される。さらに、第1吐出口群61および第2吐出口群62を合わせて見ると、複数の吐出口(すなわち、第1吐出口610および第2吐出口620)が、720dpiに相当するピッチにて配列される。
【0026】
図2に示す吐出部3では、ヘッド列52においても、ヘッド列51と同様に、各ヘッド5において一の色のインクを吐出する複数の吐出口が、720dpiに相当するピッチにて配列される。また、ヘッド列52の複数のヘッド5は、幅方向に関してのみ注目した場合、ヘッド列51において隣接する各2つのヘッド5の間に配置される。一の色のインクを吐出する吐出口のみに注目すると、ヘッド列51のヘッド5の最も端部に位置する吐出口と、ヘッド列52において当該ヘッド5と幅方向において隣接するヘッド5の最も端部に位置する吐出口との間の幅方向の距離、すなわち、上記2つのヘッド5において幅方向にて最も近接している2つの吐出口間の距離は、720dpiに相当するピッチに等しい。したがって、吐出部3全体では、一の色について所定の解像度(720dpi)に相当するピッチにて幅方向に吐出口が連続する。
【0027】
次に、図1に示すインクジェットプリンタ1の画像記録動作について説明する。以下の説明でも、一の色のインクに注目して説明を行うが、他の色のインクの印刷においても同様の動作が行われる。インクジェットプリンタ1では、移動機構2によりウエブ9が走査方向に移動し、制御部7により制御される吐出部3から、所定のドットクロックに同期して(すなわち、所定の描画周期にて)インクの微小液滴が吐出される。詳細には、まず、ウエブ9の移動が開始され、制御部7により予め準備された画像データに基づいて、図3に示す第1吐出口群61および第2吐出口群62を有する1つのヘッド5、および、当該ヘッド5と同じヘッド列に配置された複数の他のヘッド5において、第1吐出口群61の第1吐出口610の各第1吐出口610に対してインクの吐出のON/OFFが同時に制御され、ウエブ9上にドットが形成(すなわち、描画)される。
【0028】
図4は、図3に示すヘッド5によりウエブ9上に形成されるドットを示す図であり、図4では、画像データに合わせてインクの吐出が行われない場合も、ドットが仮想的に形成されるものとしている。図4中に実線の円にて示すように、第1前部吐出口列611の各第1吐出口610によりウエブ9上にインクが吐出されることにより、複数の第1ドット811が幅方向(X方向)に関して一定のピッチにて同時に形成される。
【0029】
第1ドット811が形成されると、第1前部吐出口列611の(−Y)側に位置する第1後部吐出口列612がウエブ9上の第1ドット811の上方へと直ぐに到達し、第1後部吐出口列612の各第1吐出口610に対する吐出制御が同時に行われる。そして、図4中の互いに隣接する2つの第1ドット811間をそれぞれが補間するように複数の第1ドット812が形成される。これにより、第1吐出口群61の第1前部吐出口列611および第1後部吐出口列612により、複数の第1ドット811,812が、吐出口配列方向に沿う仮想の線分83上に形成される。
【0030】
ウエブ9がさらに移動して、第2吐出口群62がウエブ9上の第1ドット811,812の上方へと到達すると、第2前部吐出口列621の各第2吐出口620に対する吐出制御、および、第1後部吐出口列612の各第2吐出口620に対する吐出制御がそれぞれ同時に順次行われる。そして、各第2吐出口620からウエブ9上にインクが吐出されることにより、複数の第2ドット821,822(図4中において破線の円にて示す。)がそれぞれ形成される。このとき、各第2ドット821,822は、線分83上において互いに隣接する2つの第1ドット811,812の間に形成される(ただし、(+X)側の第2ドット822を除く。)。すなわち、第1吐出口群61により描画される第1ドット811,812が、第2吐出口群62により描画される第2ドット821,822により幅方向に関して補間される。このように、制御部7の制御により、ヘッド列51に含まれるヘッド5において吐出口列611,612,621,622毎に吐出制御を同時に行ってウエブ9上の線分83上に描画が行われる。
【0031】
ウエブ9がさらに移動し、走査方向に関してウエブ9上のドット811,812,821,822と同じ位置が、ヘッド列52の下方を通過することにより、図5に示すように、複数の線分83に連続するとともに線分83と反対向きに傾斜する複数の線分84上に複数のドットが形成される。図5では、走査方向の長さを誇張して描いているが、実際には、線分83,84の傾斜はX方向の長さに比べて非常に小さいため、線分83,84の傾斜は、人間の目にはほとんど認識できず、複数の線分83,84がつづら折り状に連続したものが、幅方向に平行なライン85として認識される。そして、CMYKの各色において、走査方向に所定の間隔で配列される複数のライン85上にドットが形成されることにより、ウエブ9上にCMYKの4つの色によるカラー印刷が実現される。
【0032】
次に、インクジェットプリンタ1における標準印刷と高速印刷とについて説明する。以下では、説明を簡素化するために、1つのヘッド5の図6に示す一部の吐出口による一の色のドット描画について説明する。図の理解を容易にするために、図6では、第1吐出口群61の第1前部吐出口列611および第1後部吐出口列612、並びに、第2吐出口群62の第2前部吐出口列621および第2後部吐出口列622を紙面の横方向に平行に描いている。後述する図7.Aないし図7.C、図8.Aないし図8.C、並びに、図9.Aないし図9.Cでは、各吐出口列611,612,621,622からのインクにより形成されるドットを、紙面の横方向に平行に描いている。また、各吐出口および各ドットを矩形にて描くとともに、実際には互いに一部が重なり合う隣接するドットを重ならないように描いている。さらに、第1吐出口610内、並びに、第1前部吐出口列611および第1後部吐出口列612により形成される第1ドット811,812内に、それぞれ符号「a」「b」を描き、第2吐出口620内、並びに、第2前部吐出口列621および第2後部吐出口列622により形成される第2ドット821,822内に、それぞれ符号「e」「f」を描く。
【0033】
図7.Aないし図7.Cは、移動機構2によるウエブ9の走査方向における移動速度(すなわち、吐出部3に対する相対移動速度)が第1の速度である標準速度である場合のドットの形成を順に示す図である。ウエブ9が標準速度で移動する標準印刷では、第1吐出口群61の第1吐出口610(図6参照)から第1描画周期にてインクが吐出されることにより、図7.Aに示すように、複数の第1ドット811,812が、二点鎖線にて示す各ライン85上に形成される。走査方向に隣接する各2つの第1ドット811,812の間の距離、すなわち、走査方向に隣接する2つのライン85の間の距離は、ウエブ9の移動速度と第1描画周期により決定され、本実施の形態では、360dpiに相当する距離となる。また、幅方向に隣接する各2つの第1ドット811,812の間の距離は、第1吐出口群61における第1吐出口610の配置により決定され、本実施の形態では、上述のように360dpiに相当する距離となる。
【0034】
続いて、第2吐出口群62の第2吐出口620(図6参照)からもインクの吐出が開始され、複数の第1吐出口610および複数の第2吐出口620から第1描画周期にてインクが吐出されることにより、図7.Bおよび図7.Cに示すように、複数のライン85のそれぞれにおいて、複数の第1ドット811,812および複数の第2ドット821,822とが幅方向に交互に並ぶ。各ライン85上において隣接する各2つのドット間の幅方向の距離は、720dpiに相当する距離となる。また、走査方向におけるドット間の距離は、上述のように、360dpiに相当する距離である。
【0035】
図8.Aないし図8.C、並びに、図9.Aないし図9.Cは、移動機構2によるウエブ9の走査方向における移動速度が第1の速度の2倍である第2の速度である場合のドットの形成を順に示す図である。図8.Aないし図8.Cは、ウエブ9が第2の速度で移動する際に、第1吐出口群61の第1吐出口610および第2吐出口群62の第2吐出口620から、仮に、上述の第1描画周期にてインクの吐出が行われたとした場合に形成されるドットを示す。このような印刷が行われたとすると、図8.Bおよび図8.Cに示すように、複数のライン85のそれぞれにおいて、複数の第1ドット811,812および複数の第2ドット821,822とが幅方向に交互に並び、各ライン85上において隣接する各2つのドット間の幅方向の距離は、720dpiに相当する距離となる。一方、走査方向において隣接する2つのドット間の距離(すなわち、隣接する2つのライン85の走査方向の距離)は、ウエブ9の移動速度が2倍になったことにより、180dpiに相当する距離となる。したがって、隣接するドット間の走査方向の距離と幅方向の距離とが大きく異なってしまう。
【0036】
そこで、インクジェットプリンタ1では、ウエブ9を第2の速度にて移動する高速印刷において、複数の第1吐出口610および複数の第2吐出口620から、第1描画周期よりも周波数が僅かに高い第2描画周期にてインクが吐出されることにより、図9.Aないし図9.Cに示すように、複数の第1ドット811,812を含むとともに第2ドット821,822を含まないライン85と、複数の第2ドット821,822を含むとともに第1ドット811,812を含まないライン85とが、走査方向において交互に配列された複数のライン85が記録される。
【0037】
第2ドット821,822を含むライン85は、第1ドット811,812を含む2つの隣接するライン85の走査方向における略中央に配置される。各ライン85上において隣接する各2つのドット間の幅方向の距離は、360dpiに相当する距離となる。また、走査方向において隣接する2つの第1ドット811,812間の距離(走査方向において隣接する2つの第2ドット821,822間の距離においても同様。)は、インクの吐出が第2描画周期にて行われることにより、180dpiに相当する距離よりも僅かに短い距離D1となり、走査方向において隣接するライン85間の距離は、360dpiに相当する距離よりも僅かに短い距離D2となる。
【0038】
図9.Aないし図9.Cに示す高速印刷では、幅方向における解像度を標準印刷時よりも落としつつ、走査方向における解像度をおよそ維持して高速印刷を実現している。高速印刷では、走査方向における解像度が、上述のように、標準印刷時の走査方向における解像度よりも僅かに高くなるため、同じ本数のライン85を描画した場合、画像の走査方向の長さが標準印刷時よりも僅かに短くなる。
【0039】
このような画像の走査方向の長さのずれ、すなわち、各ライン85の走査方向における位置ずれを補正するために、所定数のライン85を描画する毎に、最後に記録した最新のライン85を再度描画することが考えられる。ただし、最新のライン85上に、幅方向に延びる線状図形である横線が存在する場合に、最新のライン85を再度描画すると、当該横線の走査方向の横幅が実際よりも太く描かれていることが観察者に認識されてしまうおそれがある。そこで、インクジェットプリンタ1では、以下の方法にて、第2描画周期に起因する描画位置のずれが補正される。
【0040】
図10に示すように、インクジェットプリンタ1では、まず、ライン85の補正周期(すなわち、ライン85の補正が行われるまでに記録されるライン85の本数)が、第2描画周期と第1描画周期とに基づいて、所定のライン数として予め決定されて制御部7に記憶される(ステップS11)。本実施の形態では、補正周期のライン数が300本と決定される。
【0041】
続いて、画像データに基づいて吐出部3から第2描画周期にてインクが吐出され、複数のライン85が走査方向に順次記録される。このとき、次に記録される予定のライン85(以下、「描画予定ライン」という。)が、補正周期の整数倍に等しいライン(最初は、300本目のライン85)であるか否かが確認される(ステップS12)。描画予定ラインが補正周期の整数倍と異なるラインである場合、描画予定ラインがウエブ9上に記録され(ステップS13)、ステップS12に戻る。なお、実際には、描画予定ラインの記録は、ステップS12における確認から複数本のライン分だけディレイして行われる。一方、描画予定ラインが補正周期の整数倍に等しいラインである場合、描画予定ラインが、第2描画周期に起因する描画位置のずれを補正するための補正対象ラインとして抽出される(ステップS14)。
【0042】
次に、補正対象ライン上に、幅方向に所定の長さ以上に延びる横線が存在するか否かが確認される(ステップS15)。横線の確認は、各画素がウエブ9上のドットの描画位置に対応する網掛け直前の画像データ(すなわち、CMYKに変換された後の画像データ)において行われる。インクジェットプリンタ1では、横線は、当該画像データにおいて、それぞれの画素値に対応するCYMKの濃度である記録濃度が所定の閾値以上であり、かつ、幅方向において第1の個数以上連続するとともに走査方向における連続数が第2の個数以下である複数の画素の集合であると定義される。第2の個数は、例えば「3」である。
【0043】
具体的な横線の確認方法として、制御部7では、例えば、上述のステップS12において、描画予定ラインのデータが確認され、記録濃度が上記閾値以上であり、かつ、幅方向において上記第1の個数以上連続する画素列が描画予定ラインに存在すれば、初期値が0の横線検出変数に1が加えられる。横線検出変数が1以上である場合、描画予定ラインの上記画素列と幅方向において同じ位置に、上述と同様の画素列が存在するか否かが確認され、存在すれば横線検出変数に1が加えられ、存在しなければ横線検出変数は初期値である0に戻される。
【0044】
そして、ステップS15において、横線検出変数が0よりも大きく上記第2の個数以下である場合に補正対象ライン上に横線が存在するものとされる。横線検出変数が0である場合、または、横線検出変数が第2の個数よりも大きい場合には、補正対象ライン上には横線が存在しないものとされる。なお、横線検出変数が第2の個数よりも大きい場合には、補正対象ライン上の上記画素列は、走査方向に拡がるパターンの一部であるため、後述のように補正対象ラインが再度描画されても、当該パターンの走査方向の長さが大きくなったとは認識されにくい。なお、補正対象ライン上の横線の検出は、他の様々な手法により行われてよい。
【0045】
補正対象ライン上に横線が存在しない場合、補正対象ラインがウエブ9上に記録され、さらに、補正対象ラインの走査方向の後側に、補正対象ラインと同様の補正ラインが隣接して記録される(ステップS16)。一方、補正対象ライン上に横線が存在する場合、補正対象ラインの記録が行われた後(ステップS17)、次の描画予定ラインが補正対象ラインとされる(ステップS18)。そして、ステップS15に戻り、補正対象ライン上の横線の有無が確認され、補正ラインの記録が行われるまで、ステップS15,S17,S18が繰り返される。なお、実際には、補正対象ラインおよび補正ラインの記録は、ステップS15における確認から複数本のライン分だけディレイして行われる。インクジェットプリンタ1では、描画予定ラインがなくなるまでステップS12〜S18が繰り返されることにより、画像データに対応する画像がウエブ9上に記録される(ステップS19)。
【0046】
以上に説明したように、インクジェットプリンタ1では、補正対象ライン上に横線が存在しない場合に、補正対象ラインと同様の補正ラインを補正対象ラインに隣接させて記録し、補正対象ライン上に横線が存在する場合、横線を含まないラインが出現するまで補正ラインの記録が延期される。これにより、幅方向に延びる線型図形である横線が太くなったと認識されることを抑制しつつ、第2描画周期に起因する描画位置のずれを補正することができる。このようなインクジェットプリンタ1の構成は、ヘッド5が微小な回転角だけ傾けて固定されることにより、各ヘッド5の吐出口群60も同様に傾けられているインクジェットプリンタに特に適している。
【0047】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0048】
例えば、ヘッド5の各吐出口群60は、1つの吐出口列のみを有していてもよい。インクジェットプリンタ1では、ウエブ9を吐出部3に対して相対的に移動することができるのであれば、例えば、吐出部3を走査方向に移動する移動機構が設けられてもよい。また、インクジェットプリンタ1の構成は、A4等の定形サイズの複数の印刷用紙に順次印刷を行う枚葉式のインクジェットプリンタに適用されてもよい。
【0049】
インクジェットプリンタ1では、プラスチックフィルム等、印刷用紙以外の記録媒体上に画像が記録されてもよい。プラスチックフィルム等に画像が記録される場合、例えば、吐出部3から吐出されるインクとして紫外線硬化型のインクが利用される。
【0050】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0051】
1 インクジェットプリンタ
2 移動機構
3 吐出部
5 ヘッド
7 制御部
9 ウエブ
85 ライン
610 第1吐出口
620 第2吐出口
811,812 第1ドット
821,822 第2ドット
S11〜S19 ステップ
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、長尺シート状の印刷用紙上に画像を記録するインクジェットプリンタが利用されている。このようなインクジェットプリンタの1つとして、複数のヘッドの吐出口群から、所定の走査方向に1回だけ移動する印刷用紙に向けてインクを吐出し、走査方向に垂直な幅方向に延びる複数のラインを順次形成して画像の記録を行うワンパスタイプのインクジェットプリンタが知られている。
【0003】
ワンパスタイプのインクジェットプリンタでは、幅方向における解像度を大きくするために、1つのヘッドに、複数の吐出口を有する第1吐出口列、および、幅方向において第1吐出口列の複数の吐出口と交互に並ぶ他の複数の吐出口を有する第2吐出口列を設け、第1吐出口列と第2吐出口列とを走査方向に離間させて配置することが行われている。このようなインクジェットプリンタでは、第1吐出口列および第2吐出口列の吐出口から所定の描画周期にてインクが吐出されることにより、第1吐出口列からのインクによる複数のドットと、第2吐出口列からのインクによる複数のドットとが、印刷用紙上において幅方向に交互に配列されて1つのラインが形成される。また、特許文献1では、インクジェットプリンタにおいて、複数の色にそれぞれ対応した複数のプリントヘッドを、幅方向に数画素分だけずらして配置する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第97/37854号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のようなワンパスタイプのインクジェットプリンタにおいて、印刷用紙の移動速度を2倍にし、第1吐出口列からのインクによる複数のドットにて形成されるラインと、第2吐出口列からのインクによる複数のドットにて形成されるラインとを、走査方向に交互に配置することにより、幅方向の解像度を落としつつ高速印刷を実現することが考えられる。このような高速印刷の場合、第2吐出口列により形成される複数のラインを、第1吐出口列により形成される複数のラインの中間に配置するために、標準速度における印刷時の描画周期よりも短い描画周期が設定される。このため、ラインの走査方向における描画位置がずれ、走査方向の解像度が、標準速度における印刷時よりも僅かに高くなり、画像の走査方向の長さが所望の長さよりも短くなってしまう。そこで、画像の走査方向の長さを所望の長さに合わせるために、所定数のラインを記録する毎に、最新のラインを再度記録することが考えられる。しかしながら、再度記録するラインに幅方向に延びる線状図形(いわゆる、横線)が含まれている場合、横線が太くなってしまう。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、幅方向に延びる線状図形が太くなったと認識されることを抑制しつつ、描画周期の変更に起因する描画位置のずれを補正することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、インクジェットプリンタであって、記録媒体に向けてインクを吐出する吐出部と、前記吐出部に対して前記記録媒体を所定の走査方向に1回だけ相対的に移動する移動機構と、画像データに基づいて前記吐出部からのインクの吐出を制御し、それぞれが前記走査方向に垂直な幅方向に平行であって前記走査方向に配列される複数のラインを形成することにより、画像を前記記録媒体に記録する制御部とを備え、前記吐出部が、前記走査方向に対して交差する吐出口配列方向に沿って配列され、前記記録媒体上にインクを吐出して複数の第1ドットを形成する複数の第1吐出口と、前記吐出口配列方向に沿って配列されるとともに前記幅方向において前記複数の第1吐出口の間にそれぞれ配置され、前記記録媒体上にインクを吐出して複数の第2ドットを形成する複数の第2吐出口とを備え、前記記録媒体の前記走査方向における相対移動速度が第1速度である場合に、前記複数の第1吐出口および前記複数の第2吐出口から第1描画周期にてインクが吐出されることにより、前記複数のラインのそれぞれにおいて、前記幅方向に複数の第1ドットと複数の第2ドットとが交互に並び、前記記録媒体の前記相対移動速度が前記第1速度の2倍である第2速度の場合に、前記複数の第1吐出口および前記複数の第2吐出口から前記第1描画周期よりも周波数が高い第2描画周期にてインクが吐出されることにより、複数の第1ドットを含むとともに第2ドットを含まないラインと、複数の第2ドットを含むとともに第1ドットを含まないラインとが交互に配列された前記複数のラインが記録され、前記制御部において、a)前記第2描画周期と前記第1描画周期とに基づいて予め決定されたライン数毎のラインを、前記第2描画周期に起因する描画位置のずれを補正するための補正対象ラインとして抽出する工程と、b)前記補正対象ライン上に前記幅方向に所定の長さ以上に延びる線状図形である横線が存在するか否かを確認する工程と、c)前記補正対象ライン上に前記横線が存在しないときに前記補正対象ラインと同様の補正ラインを、前記補正対象ラインに隣接させて記録し、前記補正対象ライン上に前記横線が存在するときに、前記補正対象ラインの次のラインを新たな補正対象ラインとして前記b)工程に戻る工程とが行われる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインクジェットプリンタであって、前記画像データにおいて、各画素がドットの描画位置に対応し、前記横線が、前記画像データにおいて、それぞれの画素値に対応する記録濃度が所定の閾値以上であり、かつ、前記幅方向において第1の個数以上連続するとともに前記走査方向における連続数が第2の個数以下である複数の画素の集合である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のインクジェットプリンタであって、前記吐出部が、前記複数の第1吐出口および前記複数の第2吐出口が設けられたヘッドを備え、前記吐出口配列方向が前記幅方向に対して僅かに傾斜し、前記吐出口配列方向に垂直な方向に、各第1吐出口と、対応する第2吐出口とが並ぶ。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、幅方向に延びる線状図形が太くなったと認識されることを抑制しつつ、描画周期の変更に起因する描画位置のずれを補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一の実施の形態に係るインクジェットプリンタの外観を示す斜視図である。
【図2】吐出部の底面図である。
【図3】吐出口群を示す図である。
【図4】ウエブ上のドットを示す図である。
【図5】ウエブ上に描画されるドットの配列を説明するための図である。
【図6】ヘッドの一部を簡素化して描く図である。
【図7.A】ウエブに対するドットの形成過程を簡素化して示す図である。
【図7.B】ウエブに対するドットの形成過程を簡素化して示す図である。
【図7.C】ウエブに対するドットの形成過程を簡素化して示す図である。
【図8.A】ウエブに対するドットの形成過程を簡素化して示す図である。
【図8.B】ウエブに対するドットの形成過程を簡素化して示す図である。
【図8.C】ウエブに対するドットの形成過程を簡素化して示す図である。
【図9.A】ウエブに対するドットの形成過程を簡素化して示す図である。
【図9.B】ウエブに対するドットの形成過程を簡素化して示す図である。
【図9.C】ウエブに対するドットの形成過程を簡素化して示す図である。
【図10】インクジェットプリンタにおける画像記録の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の一の実施の形態に係るインクジェットプリンタ1の外観を示す斜視図である。インクジェットプリンタ1は、記録媒体である長尺シート状のウエブ9にインクの微小液滴を吐出してウエブ9上に画像を記録する(すなわち、画像の印刷を行う)画像記録装置である。本実施の形態では、印刷用紙であるウエブ9に対するカラー画像の記録が行われる。
【0013】
図1に示すインクジェットプリンタ1は、移動機構2、吐出部3、および、これらの構成を制御する制御部7を備える。移動機構2は、ウエブ9を図1中のY方向(すなわち、ウエブ9の長手方向であり、以下、「走査方向」という。)に移動する。吐出部3は、移動機構2を跨ぐようにして基台20に設けられるフレーム25に、移動機構2の上方(すなわち、(+Z)側)にて固定され、ウエブ9に向けてインクを吐出する。
【0014】
インクジェットプリンタ1では、移動機構2により、ウエブ9を走査方向に1回だけ吐出部3に対して相対的に移動し、画像データに基づいて制御部7により吐出部3からのインクの吐出が制御され、移動中のウエブ9に対してインクの微小液滴が吐出される。これにより、インクの複数のドットが幅方向に配列されたライン(すなわち、幅方向に平行に延びるライン)が、ウエブ9上において走査方向に順次形成され、複数のラインが走査方向に配列されることにより、ウエブ9上に画像が記録される。
【0015】
移動機構2では、それぞれが図1中のX方向に長い複数のローラ21がY方向に配列される。X方向は、水平かつY方向に垂直な方向であり、ウエブ9の幅方向でもある。複数のローラ21の(+Y)側にはロール状のウエブ9(供給ロール)を保持する供給部22が設けられ、複数のローラ21の(−Y)側にはロール状のウエブ9(巻取ロール)を保持する巻取部23が設けられる。ウエブ9は供給部22および巻取部23のそれぞれにてロール状とされる。以下の説明では、単にウエブ9という場合は搬送途上のウエブ9(すなわち、複数のローラ21上のウエブ9)を意味するものとする。
【0016】
移動機構2の一のローラ21aにはウエブ9の走査方向の移動速度を検出するエンコーダ29が設けられ、制御部7がエンコーダ29の出力に基づいて巻取部23のモータの回転を制御することにより、ウエブ9が(−Y)方向に一定速度にて搬送される。ウエブ9の搬送時には、供給部22が有するモータにてウエブ9に対して走査方向とは逆向き(すなわち、(+Y)方向)の負荷(テンション)を付与することにより、複数のローラ21上のウエブ9が波打つことなく滑らかに移動する。
【0017】
図2は吐出部3の構成を示す底面図であり、吐出部3のウエブ9に対する走査方向(すなわち、Y方向)を縦向きに図示している。吐出部3は、複数のヘッド5の集合体であるヘッドユニットである。吐出部3は、幅方向においてウエブ9の幅とほぼ同じ長さまで伸びる長尺の4個の取付部材32を有し、4個の取付部材32はヘッドユニット本体31上にて走査方向に並べて固定される。各取付部材32には複数のヘッド5が幅方向に配列して取り付けられ、1つの取付部材32に取り付けられる複数のヘッド5によりウエブ9の幅とほぼ同じ長さだけ幅方向に並ぶ1つのヘッド列が構成される。なお、比較的短い複数の取付部材32が幅方向に並べられ、1つのヘッド列が、幅方向に並ぶ複数の取付部材32に取り付けられたヘッド5により構成されてもよい。
【0018】
各ヘッド5は複数の吐出口群60(図2では、1つの吐出口群60を二重線にて図示している。)を有し、各吐出口群60は、走査方向に対して交差する吐出口配列方向に沿って配列形成された複数の吐出口の集合となっている。(+Y)側のヘッド列51aに含まれる複数のヘッド5のそれぞれは、K(ブラック)のインクを吐出する吐出口群61K、C(シアン)のインクを吐出する吐出口群61C、Kのインクを吐出する吐出口群62K、および、Cのインクを吐出する吐出口群62Cを(+Y)側から((−Y)側に向かって)順に有する。ヘッド列51aの(−Y)側に隣接するヘッド列52aに含まれる複数のヘッド5のそれぞれは、Cのインクを吐出する吐出口群64C、Kのインクを吐出する吐出口群64K、Cのインクを吐出する吐出口群63C、および、Kのインクを吐出する吐出口群63Kを(+Y)側から順に有する。
【0019】
ヘッド列52aの(−Y)側に隣接するヘッド列51bに含まれる複数のヘッド5のそれぞれは、M(マゼンタ)のインクを吐出する吐出口群61M、Y(イエロー)のインクを吐出する吐出口群61Y、Mのインクを吐出する吐出口群62M、および、Yのインクを吐出する吐出口群62Yを(+Y)側から順に有し、(−Y)側のヘッド列52bに含まれる複数のヘッド5のそれぞれは、Yのインクを吐出する吐出口群64Y、Mのインクを吐出する吐出口群64M、Yのインクを吐出する吐出口群63Y、および、Mのインクを吐出する吐出口群63Mを(+Y)側から順に有する。
【0020】
ヘッド列51a,51b(以下、いずれか一方のヘッド列を指す場合に「ヘッド列51」と呼ぶ。)に含まれるヘッド5はZ軸に平行な軸を中心として所定の微小な回転角だけ傾けて固定され、各ヘッド5の吐出口群60も同様に傾けられている。また、ヘッド列52a,52b(以下、いずれか一方のヘッド列を指す場合に「ヘッド列52」と呼ぶ。)のヘッド5はZ軸に平行な軸を中心としてヘッド列51のヘッド5とは反対側に同じ回転角だけ傾けて固定され、各ヘッド5の吐出口群60も同様に傾いている。換言すれば、各ヘッド5では、吐出口配列方向が幅方向に対して僅かに傾斜する。
【0021】
このように、ヘッド列51の各ヘッド5は一の色のインクを吐出する2つの吐出口群60、および、これらと同様に配列された他の色のインクを吐出する2つの吐出口群60を有し、このヘッド列51に対応するヘッド列52の各ヘッド5も一の色のインクを吐出する2つの吐出口群60、および、これらと同様に配列された他の色のインクを吐出する2つの吐出口群60を有し、各ヘッド5では、一の色のインクを吐出する吐出口群60と他の色のインクを吐出する吐出口群60とが走査方向に交互に配置される。
【0022】
図3は1つのヘッド5の吐出口群を示す図であり、図3ではヘッド列51のヘッド5の同じ色を吐出する吐出口群のみを図示している。以下、吐出部3のウエブ9に対する相対的な進行方向((+Y)方向)に関して先行する吐出口群を「第1吐出口群61」と呼び、第1吐出口群61から走査方向に離れた後続の((−Y)側の)吐出口群を「第2吐出口群62」と呼ぶ。また、以下の説明では、CMYKの4つの色のうち一の色のインクを吐出する吐出口群にのみ着目して説明を行うが、他の色のインクを吐出する吐出口群も同様の構成および配置となる。
【0023】
第1吐出口群61は、図3に示すように、複数の第1吐出口610を有する第1前部吐出口列611、および、複数の第1吐出口610を有する第1後部吐出口列612を有する。第1前部吐出口列611および第1後部吐出口列612ではそれぞれ、ウエブ9に平行な面(XY平面に平行な面)内において、幅方向(X方向)から所定の微小角度だけ傾斜した吐出口配列方向に平行に、複数の第1吐出口610が一定のピッチにて配列される。第1吐出口群61では、幅方向に関して第1前部吐出口列611の互いに隣接する2つの第1吐出口610の中間に第1後部吐出口列612のいずれか1つの第1吐出口610が位置するように、複数の第1吐出口610が千鳥状に配列される。第2吐出口群62も第1吐出口群61と同様に、複数の第2吐出口620が吐出口配列方向に沿いつつ千鳥状に2列に(すなわち、第2前部吐出口列621および第2後部吐出口列622として)配列される。
【0024】
また、第1吐出口群61および第2吐出口群62では、幅方向に関してのみ注目した場合に、第1前部吐出口列611の1つの第1吐出口610と、当該第1吐出口610に幅方向に関して隣接する第1後部吐出口列612の第1吐出口610との間に、第2吐出口群62の1つの第2吐出口620が位置する。すなわち、複数の第2吐出口620が幅方向において複数の第1吐出口610の間にそれぞれ配置されるように、吐出口配列方向(すなわち、ヘッド5の回転角)が決定されている。さらに換言すれば、吐出口配列方向の幅方向に対する微小角度は、幅方向に関して第1吐出口群61の互いに隣接する2つの第1吐出口610間を第2吐出口群62のいずれか1つの第2吐出口620が補間する角度とされる。これにより、図3のヘッド5では第1吐出口群61および第2吐出口群62の複数の第1吐出口610および第2吐出口620が幅方向に関して密に連続する。一方、吐出口配列方向に垂直な方向においては、各第1吐出口610と、各第1吐出口610に対応する第2吐出口620とが並ぶ。
【0025】
本実施の形態では、幅方向に関してのみ注目した場合、第1前部吐出口列611および第1後部吐出口列612のそれぞれにおいて、複数の第1吐出口610が180dpiに相当するピッチにて配列され、第1吐出口群61全体として見ると、複数の第1吐出口610が360dpiに相当するピッチにて配列される。また、第2前部吐出口列621および第2後部吐出口列622のそれぞれにおいて、複数の第2吐出口620が180dpiに相当するピッチにて配列され、第2吐出口群62全体として見ると、複数の第2吐出口620が360dpiに相当するピッチにて配列される。さらに、第1吐出口群61および第2吐出口群62を合わせて見ると、複数の吐出口(すなわち、第1吐出口610および第2吐出口620)が、720dpiに相当するピッチにて配列される。
【0026】
図2に示す吐出部3では、ヘッド列52においても、ヘッド列51と同様に、各ヘッド5において一の色のインクを吐出する複数の吐出口が、720dpiに相当するピッチにて配列される。また、ヘッド列52の複数のヘッド5は、幅方向に関してのみ注目した場合、ヘッド列51において隣接する各2つのヘッド5の間に配置される。一の色のインクを吐出する吐出口のみに注目すると、ヘッド列51のヘッド5の最も端部に位置する吐出口と、ヘッド列52において当該ヘッド5と幅方向において隣接するヘッド5の最も端部に位置する吐出口との間の幅方向の距離、すなわち、上記2つのヘッド5において幅方向にて最も近接している2つの吐出口間の距離は、720dpiに相当するピッチに等しい。したがって、吐出部3全体では、一の色について所定の解像度(720dpi)に相当するピッチにて幅方向に吐出口が連続する。
【0027】
次に、図1に示すインクジェットプリンタ1の画像記録動作について説明する。以下の説明でも、一の色のインクに注目して説明を行うが、他の色のインクの印刷においても同様の動作が行われる。インクジェットプリンタ1では、移動機構2によりウエブ9が走査方向に移動し、制御部7により制御される吐出部3から、所定のドットクロックに同期して(すなわち、所定の描画周期にて)インクの微小液滴が吐出される。詳細には、まず、ウエブ9の移動が開始され、制御部7により予め準備された画像データに基づいて、図3に示す第1吐出口群61および第2吐出口群62を有する1つのヘッド5、および、当該ヘッド5と同じヘッド列に配置された複数の他のヘッド5において、第1吐出口群61の第1吐出口610の各第1吐出口610に対してインクの吐出のON/OFFが同時に制御され、ウエブ9上にドットが形成(すなわち、描画)される。
【0028】
図4は、図3に示すヘッド5によりウエブ9上に形成されるドットを示す図であり、図4では、画像データに合わせてインクの吐出が行われない場合も、ドットが仮想的に形成されるものとしている。図4中に実線の円にて示すように、第1前部吐出口列611の各第1吐出口610によりウエブ9上にインクが吐出されることにより、複数の第1ドット811が幅方向(X方向)に関して一定のピッチにて同時に形成される。
【0029】
第1ドット811が形成されると、第1前部吐出口列611の(−Y)側に位置する第1後部吐出口列612がウエブ9上の第1ドット811の上方へと直ぐに到達し、第1後部吐出口列612の各第1吐出口610に対する吐出制御が同時に行われる。そして、図4中の互いに隣接する2つの第1ドット811間をそれぞれが補間するように複数の第1ドット812が形成される。これにより、第1吐出口群61の第1前部吐出口列611および第1後部吐出口列612により、複数の第1ドット811,812が、吐出口配列方向に沿う仮想の線分83上に形成される。
【0030】
ウエブ9がさらに移動して、第2吐出口群62がウエブ9上の第1ドット811,812の上方へと到達すると、第2前部吐出口列621の各第2吐出口620に対する吐出制御、および、第1後部吐出口列612の各第2吐出口620に対する吐出制御がそれぞれ同時に順次行われる。そして、各第2吐出口620からウエブ9上にインクが吐出されることにより、複数の第2ドット821,822(図4中において破線の円にて示す。)がそれぞれ形成される。このとき、各第2ドット821,822は、線分83上において互いに隣接する2つの第1ドット811,812の間に形成される(ただし、(+X)側の第2ドット822を除く。)。すなわち、第1吐出口群61により描画される第1ドット811,812が、第2吐出口群62により描画される第2ドット821,822により幅方向に関して補間される。このように、制御部7の制御により、ヘッド列51に含まれるヘッド5において吐出口列611,612,621,622毎に吐出制御を同時に行ってウエブ9上の線分83上に描画が行われる。
【0031】
ウエブ9がさらに移動し、走査方向に関してウエブ9上のドット811,812,821,822と同じ位置が、ヘッド列52の下方を通過することにより、図5に示すように、複数の線分83に連続するとともに線分83と反対向きに傾斜する複数の線分84上に複数のドットが形成される。図5では、走査方向の長さを誇張して描いているが、実際には、線分83,84の傾斜はX方向の長さに比べて非常に小さいため、線分83,84の傾斜は、人間の目にはほとんど認識できず、複数の線分83,84がつづら折り状に連続したものが、幅方向に平行なライン85として認識される。そして、CMYKの各色において、走査方向に所定の間隔で配列される複数のライン85上にドットが形成されることにより、ウエブ9上にCMYKの4つの色によるカラー印刷が実現される。
【0032】
次に、インクジェットプリンタ1における標準印刷と高速印刷とについて説明する。以下では、説明を簡素化するために、1つのヘッド5の図6に示す一部の吐出口による一の色のドット描画について説明する。図の理解を容易にするために、図6では、第1吐出口群61の第1前部吐出口列611および第1後部吐出口列612、並びに、第2吐出口群62の第2前部吐出口列621および第2後部吐出口列622を紙面の横方向に平行に描いている。後述する図7.Aないし図7.C、図8.Aないし図8.C、並びに、図9.Aないし図9.Cでは、各吐出口列611,612,621,622からのインクにより形成されるドットを、紙面の横方向に平行に描いている。また、各吐出口および各ドットを矩形にて描くとともに、実際には互いに一部が重なり合う隣接するドットを重ならないように描いている。さらに、第1吐出口610内、並びに、第1前部吐出口列611および第1後部吐出口列612により形成される第1ドット811,812内に、それぞれ符号「a」「b」を描き、第2吐出口620内、並びに、第2前部吐出口列621および第2後部吐出口列622により形成される第2ドット821,822内に、それぞれ符号「e」「f」を描く。
【0033】
図7.Aないし図7.Cは、移動機構2によるウエブ9の走査方向における移動速度(すなわち、吐出部3に対する相対移動速度)が第1の速度である標準速度である場合のドットの形成を順に示す図である。ウエブ9が標準速度で移動する標準印刷では、第1吐出口群61の第1吐出口610(図6参照)から第1描画周期にてインクが吐出されることにより、図7.Aに示すように、複数の第1ドット811,812が、二点鎖線にて示す各ライン85上に形成される。走査方向に隣接する各2つの第1ドット811,812の間の距離、すなわち、走査方向に隣接する2つのライン85の間の距離は、ウエブ9の移動速度と第1描画周期により決定され、本実施の形態では、360dpiに相当する距離となる。また、幅方向に隣接する各2つの第1ドット811,812の間の距離は、第1吐出口群61における第1吐出口610の配置により決定され、本実施の形態では、上述のように360dpiに相当する距離となる。
【0034】
続いて、第2吐出口群62の第2吐出口620(図6参照)からもインクの吐出が開始され、複数の第1吐出口610および複数の第2吐出口620から第1描画周期にてインクが吐出されることにより、図7.Bおよび図7.Cに示すように、複数のライン85のそれぞれにおいて、複数の第1ドット811,812および複数の第2ドット821,822とが幅方向に交互に並ぶ。各ライン85上において隣接する各2つのドット間の幅方向の距離は、720dpiに相当する距離となる。また、走査方向におけるドット間の距離は、上述のように、360dpiに相当する距離である。
【0035】
図8.Aないし図8.C、並びに、図9.Aないし図9.Cは、移動機構2によるウエブ9の走査方向における移動速度が第1の速度の2倍である第2の速度である場合のドットの形成を順に示す図である。図8.Aないし図8.Cは、ウエブ9が第2の速度で移動する際に、第1吐出口群61の第1吐出口610および第2吐出口群62の第2吐出口620から、仮に、上述の第1描画周期にてインクの吐出が行われたとした場合に形成されるドットを示す。このような印刷が行われたとすると、図8.Bおよび図8.Cに示すように、複数のライン85のそれぞれにおいて、複数の第1ドット811,812および複数の第2ドット821,822とが幅方向に交互に並び、各ライン85上において隣接する各2つのドット間の幅方向の距離は、720dpiに相当する距離となる。一方、走査方向において隣接する2つのドット間の距離(すなわち、隣接する2つのライン85の走査方向の距離)は、ウエブ9の移動速度が2倍になったことにより、180dpiに相当する距離となる。したがって、隣接するドット間の走査方向の距離と幅方向の距離とが大きく異なってしまう。
【0036】
そこで、インクジェットプリンタ1では、ウエブ9を第2の速度にて移動する高速印刷において、複数の第1吐出口610および複数の第2吐出口620から、第1描画周期よりも周波数が僅かに高い第2描画周期にてインクが吐出されることにより、図9.Aないし図9.Cに示すように、複数の第1ドット811,812を含むとともに第2ドット821,822を含まないライン85と、複数の第2ドット821,822を含むとともに第1ドット811,812を含まないライン85とが、走査方向において交互に配列された複数のライン85が記録される。
【0037】
第2ドット821,822を含むライン85は、第1ドット811,812を含む2つの隣接するライン85の走査方向における略中央に配置される。各ライン85上において隣接する各2つのドット間の幅方向の距離は、360dpiに相当する距離となる。また、走査方向において隣接する2つの第1ドット811,812間の距離(走査方向において隣接する2つの第2ドット821,822間の距離においても同様。)は、インクの吐出が第2描画周期にて行われることにより、180dpiに相当する距離よりも僅かに短い距離D1となり、走査方向において隣接するライン85間の距離は、360dpiに相当する距離よりも僅かに短い距離D2となる。
【0038】
図9.Aないし図9.Cに示す高速印刷では、幅方向における解像度を標準印刷時よりも落としつつ、走査方向における解像度をおよそ維持して高速印刷を実現している。高速印刷では、走査方向における解像度が、上述のように、標準印刷時の走査方向における解像度よりも僅かに高くなるため、同じ本数のライン85を描画した場合、画像の走査方向の長さが標準印刷時よりも僅かに短くなる。
【0039】
このような画像の走査方向の長さのずれ、すなわち、各ライン85の走査方向における位置ずれを補正するために、所定数のライン85を描画する毎に、最後に記録した最新のライン85を再度描画することが考えられる。ただし、最新のライン85上に、幅方向に延びる線状図形である横線が存在する場合に、最新のライン85を再度描画すると、当該横線の走査方向の横幅が実際よりも太く描かれていることが観察者に認識されてしまうおそれがある。そこで、インクジェットプリンタ1では、以下の方法にて、第2描画周期に起因する描画位置のずれが補正される。
【0040】
図10に示すように、インクジェットプリンタ1では、まず、ライン85の補正周期(すなわち、ライン85の補正が行われるまでに記録されるライン85の本数)が、第2描画周期と第1描画周期とに基づいて、所定のライン数として予め決定されて制御部7に記憶される(ステップS11)。本実施の形態では、補正周期のライン数が300本と決定される。
【0041】
続いて、画像データに基づいて吐出部3から第2描画周期にてインクが吐出され、複数のライン85が走査方向に順次記録される。このとき、次に記録される予定のライン85(以下、「描画予定ライン」という。)が、補正周期の整数倍に等しいライン(最初は、300本目のライン85)であるか否かが確認される(ステップS12)。描画予定ラインが補正周期の整数倍と異なるラインである場合、描画予定ラインがウエブ9上に記録され(ステップS13)、ステップS12に戻る。なお、実際には、描画予定ラインの記録は、ステップS12における確認から複数本のライン分だけディレイして行われる。一方、描画予定ラインが補正周期の整数倍に等しいラインである場合、描画予定ラインが、第2描画周期に起因する描画位置のずれを補正するための補正対象ラインとして抽出される(ステップS14)。
【0042】
次に、補正対象ライン上に、幅方向に所定の長さ以上に延びる横線が存在するか否かが確認される(ステップS15)。横線の確認は、各画素がウエブ9上のドットの描画位置に対応する網掛け直前の画像データ(すなわち、CMYKに変換された後の画像データ)において行われる。インクジェットプリンタ1では、横線は、当該画像データにおいて、それぞれの画素値に対応するCYMKの濃度である記録濃度が所定の閾値以上であり、かつ、幅方向において第1の個数以上連続するとともに走査方向における連続数が第2の個数以下である複数の画素の集合であると定義される。第2の個数は、例えば「3」である。
【0043】
具体的な横線の確認方法として、制御部7では、例えば、上述のステップS12において、描画予定ラインのデータが確認され、記録濃度が上記閾値以上であり、かつ、幅方向において上記第1の個数以上連続する画素列が描画予定ラインに存在すれば、初期値が0の横線検出変数に1が加えられる。横線検出変数が1以上である場合、描画予定ラインの上記画素列と幅方向において同じ位置に、上述と同様の画素列が存在するか否かが確認され、存在すれば横線検出変数に1が加えられ、存在しなければ横線検出変数は初期値である0に戻される。
【0044】
そして、ステップS15において、横線検出変数が0よりも大きく上記第2の個数以下である場合に補正対象ライン上に横線が存在するものとされる。横線検出変数が0である場合、または、横線検出変数が第2の個数よりも大きい場合には、補正対象ライン上には横線が存在しないものとされる。なお、横線検出変数が第2の個数よりも大きい場合には、補正対象ライン上の上記画素列は、走査方向に拡がるパターンの一部であるため、後述のように補正対象ラインが再度描画されても、当該パターンの走査方向の長さが大きくなったとは認識されにくい。なお、補正対象ライン上の横線の検出は、他の様々な手法により行われてよい。
【0045】
補正対象ライン上に横線が存在しない場合、補正対象ラインがウエブ9上に記録され、さらに、補正対象ラインの走査方向の後側に、補正対象ラインと同様の補正ラインが隣接して記録される(ステップS16)。一方、補正対象ライン上に横線が存在する場合、補正対象ラインの記録が行われた後(ステップS17)、次の描画予定ラインが補正対象ラインとされる(ステップS18)。そして、ステップS15に戻り、補正対象ライン上の横線の有無が確認され、補正ラインの記録が行われるまで、ステップS15,S17,S18が繰り返される。なお、実際には、補正対象ラインおよび補正ラインの記録は、ステップS15における確認から複数本のライン分だけディレイして行われる。インクジェットプリンタ1では、描画予定ラインがなくなるまでステップS12〜S18が繰り返されることにより、画像データに対応する画像がウエブ9上に記録される(ステップS19)。
【0046】
以上に説明したように、インクジェットプリンタ1では、補正対象ライン上に横線が存在しない場合に、補正対象ラインと同様の補正ラインを補正対象ラインに隣接させて記録し、補正対象ライン上に横線が存在する場合、横線を含まないラインが出現するまで補正ラインの記録が延期される。これにより、幅方向に延びる線型図形である横線が太くなったと認識されることを抑制しつつ、第2描画周期に起因する描画位置のずれを補正することができる。このようなインクジェットプリンタ1の構成は、ヘッド5が微小な回転角だけ傾けて固定されることにより、各ヘッド5の吐出口群60も同様に傾けられているインクジェットプリンタに特に適している。
【0047】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0048】
例えば、ヘッド5の各吐出口群60は、1つの吐出口列のみを有していてもよい。インクジェットプリンタ1では、ウエブ9を吐出部3に対して相対的に移動することができるのであれば、例えば、吐出部3を走査方向に移動する移動機構が設けられてもよい。また、インクジェットプリンタ1の構成は、A4等の定形サイズの複数の印刷用紙に順次印刷を行う枚葉式のインクジェットプリンタに適用されてもよい。
【0049】
インクジェットプリンタ1では、プラスチックフィルム等、印刷用紙以外の記録媒体上に画像が記録されてもよい。プラスチックフィルム等に画像が記録される場合、例えば、吐出部3から吐出されるインクとして紫外線硬化型のインクが利用される。
【0050】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0051】
1 インクジェットプリンタ
2 移動機構
3 吐出部
5 ヘッド
7 制御部
9 ウエブ
85 ライン
610 第1吐出口
620 第2吐出口
811,812 第1ドット
821,822 第2ドット
S11〜S19 ステップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットプリンタであって、
記録媒体に向けてインクを吐出する吐出部と、
前記吐出部に対して前記記録媒体を所定の走査方向に1回だけ相対的に移動する移動機構と、
画像データに基づいて前記吐出部からのインクの吐出を制御し、それぞれが前記走査方向に垂直な幅方向に平行であって前記走査方向に配列される複数のラインを形成することにより、画像を前記記録媒体に記録する制御部と、
を備え、
前記吐出部が、
前記走査方向に対して交差する吐出口配列方向に沿って配列され、前記記録媒体上にインクを吐出して複数の第1ドットを形成する複数の第1吐出口と、
前記吐出口配列方向に沿って配列されるとともに前記幅方向において前記複数の第1吐出口の間にそれぞれ配置され、前記記録媒体上にインクを吐出して複数の第2ドットを形成する複数の第2吐出口と、
を備え、
前記記録媒体の前記走査方向における相対移動速度が第1速度である場合に、前記複数の第1吐出口および前記複数の第2吐出口から第1描画周期にてインクが吐出されることにより、前記複数のラインのそれぞれにおいて、前記幅方向に複数の第1ドットと複数の第2ドットとが交互に並び、
前記記録媒体の前記相対移動速度が前記第1速度の2倍である第2速度の場合に、前記複数の第1吐出口および前記複数の第2吐出口から前記第1描画周期よりも周波数が高い第2描画周期にてインクが吐出されることにより、複数の第1ドットを含むとともに第2ドットを含まないラインと、複数の第2ドットを含むとともに第1ドットを含まないラインとが交互に配列された前記複数のラインが記録され、前記制御部において、
a)前記第2描画周期と前記第1描画周期とに基づいて予め決定されたライン数毎のラインを、前記第2描画周期に起因する描画位置のずれを補正するための補正対象ラインとして抽出する工程と、
b)前記補正対象ライン上に前記幅方向に所定の長さ以上に延びる線状図形である横線が存在するか否かを確認する工程と、
c)前記補正対象ライン上に前記横線が存在しないときに前記補正対象ラインと同様の補正ラインを、前記補正対象ラインに隣接させて記録し、前記補正対象ライン上に前記横線が存在するときに、前記補正対象ラインの次のラインを新たな補正対象ラインとして前記b)工程に戻る工程と、
が行われることを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のインクジェットプリンタであって、
前記画像データにおいて、各画素がドットの描画位置に対応し、
前記横線が、前記画像データにおいて、それぞれの画素値に対応する記録濃度が所定の閾値以上であり、かつ、前記幅方向において第1の個数以上連続するとともに前記走査方向における連続数が第2の個数以下である複数の画素の集合であることを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のインクジェットプリンタであって、
前記吐出部が、前記複数の第1吐出口および前記複数の第2吐出口が設けられたヘッドを備え、
前記吐出口配列方向が前記幅方向に対して僅かに傾斜し、
前記吐出口配列方向に垂直な方向に、各第1吐出口と、対応する第2吐出口とが並ぶことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項1】
インクジェットプリンタであって、
記録媒体に向けてインクを吐出する吐出部と、
前記吐出部に対して前記記録媒体を所定の走査方向に1回だけ相対的に移動する移動機構と、
画像データに基づいて前記吐出部からのインクの吐出を制御し、それぞれが前記走査方向に垂直な幅方向に平行であって前記走査方向に配列される複数のラインを形成することにより、画像を前記記録媒体に記録する制御部と、
を備え、
前記吐出部が、
前記走査方向に対して交差する吐出口配列方向に沿って配列され、前記記録媒体上にインクを吐出して複数の第1ドットを形成する複数の第1吐出口と、
前記吐出口配列方向に沿って配列されるとともに前記幅方向において前記複数の第1吐出口の間にそれぞれ配置され、前記記録媒体上にインクを吐出して複数の第2ドットを形成する複数の第2吐出口と、
を備え、
前記記録媒体の前記走査方向における相対移動速度が第1速度である場合に、前記複数の第1吐出口および前記複数の第2吐出口から第1描画周期にてインクが吐出されることにより、前記複数のラインのそれぞれにおいて、前記幅方向に複数の第1ドットと複数の第2ドットとが交互に並び、
前記記録媒体の前記相対移動速度が前記第1速度の2倍である第2速度の場合に、前記複数の第1吐出口および前記複数の第2吐出口から前記第1描画周期よりも周波数が高い第2描画周期にてインクが吐出されることにより、複数の第1ドットを含むとともに第2ドットを含まないラインと、複数の第2ドットを含むとともに第1ドットを含まないラインとが交互に配列された前記複数のラインが記録され、前記制御部において、
a)前記第2描画周期と前記第1描画周期とに基づいて予め決定されたライン数毎のラインを、前記第2描画周期に起因する描画位置のずれを補正するための補正対象ラインとして抽出する工程と、
b)前記補正対象ライン上に前記幅方向に所定の長さ以上に延びる線状図形である横線が存在するか否かを確認する工程と、
c)前記補正対象ライン上に前記横線が存在しないときに前記補正対象ラインと同様の補正ラインを、前記補正対象ラインに隣接させて記録し、前記補正対象ライン上に前記横線が存在するときに、前記補正対象ラインの次のラインを新たな補正対象ラインとして前記b)工程に戻る工程と、
が行われることを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のインクジェットプリンタであって、
前記画像データにおいて、各画素がドットの描画位置に対応し、
前記横線が、前記画像データにおいて、それぞれの画素値に対応する記録濃度が所定の閾値以上であり、かつ、前記幅方向において第1の個数以上連続するとともに前記走査方向における連続数が第2の個数以下である複数の画素の集合であることを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のインクジェットプリンタであって、
前記吐出部が、前記複数の第1吐出口および前記複数の第2吐出口が設けられたヘッドを備え、
前記吐出口配列方向が前記幅方向に対して僅かに傾斜し、
前記吐出口配列方向に垂直な方向に、各第1吐出口と、対応する第2吐出口とが並ぶことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7.A】
【図7.B】
【図7.C】
【図8.A】
【図8.B】
【図8.C】
【図9.A】
【図9.B】
【図9.C】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7.A】
【図7.B】
【図7.C】
【図8.A】
【図8.B】
【図8.C】
【図9.A】
【図9.B】
【図9.C】
【図10】
【公開番号】特開2013−71345(P2013−71345A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212731(P2011−212731)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]