インクジェット記録装置
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の記録装置は、小型、廉価、静粛性、使い勝手の良さなど、さまざまな要素が求められているが、数々の記録方式の中でこれらの要望に確実に応えられるものがインクジェット方式である。インクジェット記録装置は上記の要望に応えるさまざまなメリットを有しているが、インクを記録媒体に向かって吐出させる方式であることから、記録媒体上のインクの乾燥がインクジェット方式において大きな課題であった。従来よりインクの乾燥に対しては、大きく2つのアプローチがあった。1つはヒーターなどの熱源をもってインクを強制的に乾燥させる方法、もう1つはすでに排出された記録媒体に対して、次に排出される記録媒体ができるだけ長い間接触しないような構成をとることである。前者の方法はコストから見て得策とはいえず、もっぱら後者の方法が多く提案されている。例えば、記録媒体の排出位置下方に記録媒体受け部材を設け、この受け部材の上に排出された記録媒体が乗るようにし、記録媒体の排出が完了した後所定時間経過後にこの記録媒体受け部材を回転、あるいはスライドさせて、上に乗っていた記録媒体を下に落すようにする構成が知られている。このような構成においては、記録媒体に記録が行われ、排出が完了し、記録媒体が下に落ちて、すなわち、すでに排出された記録媒体の上に重なって初めて、記録面に他の記録媒体が接触する。そこでその間の時間が長いことと、記録面を他の記録媒体が擦ることがないため、乾燥が不十分であるための不具合、すなわち、記録の汚れ、乱れが発生せず、良好な記録が得られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記のような構成では、可動の記録媒体の受け部材を持たなければならず、これを開閉する駆動機構が必要なことから構成が複雑になり、コストも高くなるという問題点があった。また、前記記録媒体受け部は、記録媒体のほぼ長手全長を受ける必要があるため、スペースが必要であり、記録装置の大形化が余儀なくされた。その結果コストも上がることとなった。
【0004】本発明は上記の問題点を鑑みてなされたものであり、上記の課題を全て、もしくは大半を解決できるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するための本発明の構成は、記録媒体に記録を行うインクジェット記録装置において、記録媒体を搬送する搬送手段と、吐出口からインクを吐出して前記搬送手段によって搬送される記録媒体に記録を行うインクジェット記録手段と、前記記録媒体の幅よりも狭い凹部を備え、記録後の記録媒体を受ける記録媒体受け部と、記録後の記録媒体を導くための上下一対の回転体を備え、記録媒体を前記記録媒体受け部へ落下させるために前記一対の回転体のうち下側の回転体が下方へ退避可能な排出手段と、前記凹部に対向する位置において前記記録媒体受け部上に排出された記録媒体を押圧して記録媒体をU字形状に湾曲させながら回転して、シート後端を前記受け部に設けられた壁に突き当てる拍車と、を有することを特徴とするインクジェット記録装置である。
【0006】
【0007】また、前記凹部の両端を記録装置本体の記録媒体挿入口に連結し、記録媒体挿入時のガイドを兼ねることができる。
【0008】ここで、前記凹部は半円弧形状にすることができる。
【0009】また、前記凹部は矩形形状にすることができる。
【0010】
【0011】更に、前記凹部は記録媒体の排出方向に対して垂直方向に可動な受け部材を有することができる。ここで、前記記録媒体受け部は装置本体前方に設けられており、装置本体後方に設けられたカセットから給送された記録媒体を受けることができる。
【0012】
【0013】また、前記記録媒体受け部は、前記凹部上に排出された記録媒体の後端を、上方から押圧する押圧手段を有することができる。
【0014】
【0015】ここで、前記記録媒体受け部は、凹部と、前記凹部上に排出された記録媒体の後端を上方から押圧する押圧手段と、を有することができる。
【0016】以上のようなインクジェット記録装置のインクジェット記録手段は、インクジェット記録ヘッドであって、前記インクジェット記録ヘッドは熱エネルギーを発生する電気熱変換体を有しており、前記電気熱変換体の発する熱エネルギーを利用して吐出口からインクを吐出することを特徴とする。
【0017】また、前記電気熱変換体は、インクに膜沸騰を生じさせる熱エネルギーを発生し、前記インクジェット記録ヘッドは気泡の成長による圧力変化によって吐出口からインクを吐出させることを特徴とする。
【0018】
【作用】本発明によれば、排出された記録媒体が前記凹部によって下に凸のたわみを生じ、先に排出された記録媒体の幅方向両端の上を次に排出された記録媒体の裏面が擦って排出されるので、先に排出された記録媒体の記録面を次に排出された記録媒体によって擦られることがなく、記録面が汚れたりすることがない。また、記録媒体の幅方向両端が長手方向全長に渡って次に排出される記録媒体の受けとなるので、記録媒体長手方向全長に渡る受け部材を格別設ける必要がなく、記録装置本体の小型化が図れ、コストダウンが可能になる。
【0019】
【実施例】本発明の実施例を説明するにあたり、インクジェット記録装置の参考例から説明する。
【0020】(参考例1)
図1は本発明インクジェット記録装置の第1参考例を示す側面図である。図1において、1はインクジェット記録ヘッドであり、電気熱変換体の発する熱エネルギーを利用して吐出口(図示せず)からインクを吐出する。インクジェット記録ヘッド1はキャリッジ2に取り付けられている。キャリッジ2はリードスクリュー12に嵌入されており、リードスクリュー12の回転によってキャリッジ2は記録媒体の幅方向(紙面の裏表方向)に走査し、この際インクジェット記録ヘッド1によって記録媒体への記録を行う。キャリッジ2は一方をガイド軸13で支持されており、キャリッジ2自体の回転が阻止される。3は搬送ローラであり、図示せぬ駆動手段で回転させられ、後述するカセットから自動給送された記録媒体はこれに圧接される第1ピンチローラ6との協働によって、および後述する手差し挿入口8から手差し挿入された記録媒体は第2ピンチローラ7との協働によって、搬送する。8は、記録媒体の手差し挿入口であり、主に記録媒体を手などで記録装置に挿入する場合に用いられる。4は排出ローラであり、記録後の記録媒体を記録部から排出するために設けられている。排出ローラ4は搬送ローラ3と連動しており、一方で圧接されている拍車5との間で記録媒体を狭持しながら記録媒体を排出する。拍車5は記録面と点接触し、記録媒体に余分なインクを転写させないようになっている。15はプラテンであり、記録媒体を記録位置に案内し、また、排出ローラ4を支持する。9は記録媒体の手差し挿入ガイドであり、手差しされた記録媒体を手差し挿入口8へ導びくとともに、搬送ローラ3と第2ピンチローラ7との間に滑らかに案内する。10は凹部であり、記録媒体の受け部11に設けられている。14はシャーシであり、以上の各部材が支持されている。
【0021】また、17はカセットであり、記録媒体が装填される。記録媒体は圧板18の上に載置されており、圧板押し上げ手段(図示せず)によって給送ローラ19に向かって付勢されている。給送ローラ19は所定のタイミングで回転し、記録媒体を1枚ずつ分離して、搬送ローラ3と第1ピンチローラ6との間へ給送する。なお20は摺接ローラであって、カセット17から送り出された記録媒体を変向搬送する。
【0022】次に、図2に本発明の第1参考例における記録装置の制御系の構成を示すブロック図を示す。図2において、111はプログラマブルペリフェラルインターフェース(以下PPIとする)であり、ホストコンピュータから送られてくる指令信号(コマンド)や記録情報信号を並列受信してMPU112に転送するとともに、コンソール116の制御およびキャリッジホーム一センサー117の入力処理を行う。
【0023】上記MPU(マイクロプロセッシングユニット)112は、記録装置内の各部を制御する。113は受信した信号を蓄えるためのRAM、114は文字や記号等の画像を出力するフォント発生用ROM、115はMPU112が実行する処理手順が格納された制御用ROMである。これらの各部は、アドレスバス127およびデータバス128を介してそれぞれ制御される。
【0024】118はキャリッジ2を移動させるためのキャリッジモータ、120は記録媒体をキャリッジ2の移動方向に対して垂直方向に搬送するための送りモータ、123はキャップ部材(図示せず)を駆動して、記録ヘッド1のインク吐出口(図示せず)に当接し、インク吐出口を外気より遮断するためのキャッピングモータをそれぞれ示す。
【0025】125はキャリッジモータ118を駆動するためのドライバ、126は送りモータ120を駆動するためのドライバ、124はキャッピングモータ123を駆動するためのドライバである。上記116コンソールにはキーボードスイッチおよび表示ランプなどが設けられている。
【0026】上記ホームポジションセンサ117は、キャリッジ2のホームポジション近傍に設けられ、記録ヘッド1を搭載した該キャリッジ2がホームポジションに到達したことを検知するものである。119は記録用紙等の記録媒体の有無、すなわち記録部に記録媒体が供給されたか否かを検知するシートセンサを示す。
【0027】122は上述した熱エネルギーを利用してインクを吐出する方式を用いたインクジェット記録装置であり、この記録ヘッド122には吐出口(図示せず)、吐出用ヒータ(電気熱変換体)(図示せず)、などが設けられている。121は記録情報信号に応じて記録ヘッド122の吐出用ヒータを駆動するためのドライバを示す。
【0028】129は上記各部へ電源を供給する電源部であり、駆動電源装置としてACアダプタと電池を有している。
【0029】以上の構成において、MPU112は上記PPI111を介してコンピュータなどのホスト装置に接続されており、ホスト装置から送られてくるコマンドおよび記録情報信号と制御用ROM115に格納されているプログラムの処理手順およびRAM113内に蓄えた記録情報とに基づいて、記録動作を制御する。
【0030】さて図3は本発明の第1参考例を示す斜視図である。また図4は図3のインクジェット記録装置のカセット17に記録媒体32を積載し、該カセット17から給送された記録媒体32がインクジェット記録装置16の排出口25から排出される様子を示した斜視図である。図3で、10は記録媒体の受け部11に設けられた凹部であり、半円弧形状の断面を成している。排出された記録媒体は、この凹部10の上に積載されていく。図1からも理解されるように、凹部10は記録媒体の排出方向に沿って設けられているとともに、排出方向に向かうにしたがって下方に傾斜している。そしてこの凹部10の幅は記録に用いられる記録媒体32の幅よりも狭くなるように設けられている。このような凹部10の上に排出される記録媒体は排出が完了すると、自重によって凹部10の形状に沿って下方へたわみ、図4に30で示す記録媒体のように、排出方向下流側が下に凸のU字形状を成す。このように積載された記録媒体30の上に、次の記録媒体31が排出されてくる。排出されていく記録媒体の排出ローラ4の近傍の部分はすでに排出され受け部11上に積載されている記録媒体30と完全に隔離されているが、排出ローラ4から排出される長さが長くなるにしたがって、記録媒体31は自重によって下側にたれてくる。そして下にたれた記録媒体31の下面は、すでに排出された記録媒体30の、前記U字形状のエッジ部30a上に乗る構成となる。すなわち、すでに排出された記録媒体30の記録面(インクで画像が形成されている面)を、次に排出される記録媒体31が擦ることがなく、記録媒体30のU字の両端のエッジ部30aを擦っていく為、前記記録面がインクによって汚されることがない。しかも本参考例によれば、前述構成によって、既に排出された記録媒体30の記録面上に記録媒体31が積載されるまでの時間が長くなるので、この間にインクの乾燥がすすみ、これによっても記録面がインクによって活れることがない。ここでもっとも特徴的なのは、前記従来例における専用の記録媒体受け部材の役割を、記録媒体自体のたわみによって実現していることである。更に前記従来例では、記録媒体受け部の上に乗った記録媒体を、記録媒体受け部から下に落すため、記録媒体受け部を可動にし、これを駆動する機構が必要であったが、本発明参考例では排出される記録媒体が排出ローラ4と拍車5との間から解放されたとき、その記録媒体は自重で下に落ち、同時にすでに排出された記録媒体と同様U字にたわみ、次に排出される記録媒体の受けを構成する。そのため、前記従来例のような受け部を駆動する機構は必要ない。
【0031】また、記録媒体自体が記録媒体受け部となるため、従来のように記録媒体の長手方向全長に渡る受け部材を設ける必要がなく、前記凹部10は例えば記録媒体の長手方向全長の約半分程度、あるいはそれ以下の長さで良く、記録装置全体の大きさが極めて小さくなる。記録媒体が排出された状態では記録媒体の記録装置がら出っ張る分のスペースが必要だが、排出された記録媒体を取り除いた状態、例えば装置を使用していないときの必要スペースは非常に小さくなり使い勝手が向上する。
【0032】さらに本参考例では、前述した通り、前記記録媒体挿入口8と滑らかに連結するように、記録媒体ガイド部9を設けている。記録媒体ガイド部9は操作者による手差し記録媒体を記録媒体挿入口8に挿入するガイドとなるばかりでなく、前述のとおり排出された記録媒体を積載する場所ともなる。したがって、記録媒体挿入路と排出された記録媒体の積載場所が別々に設けられているような従来の装置に比べ、装置を小型化できるメリットもある。以上の小型化できる事実は、当然装置のコストダウンをも実現する。
【0033】(第2参考例)
図5、図6は本発明の第2参考例を示す斜視図である。本参考例は第1参考例と比べ、凹部10が記録媒体の排出方向に向かって下方に傾斜せず、排出ローラ4の直下から同断面の凹部が構成されている。このような凹部形状とすることにより、記録媒体が排出され、凹部10の上に積載されたとき、記録媒体が長手方向全長に渡ってU字をなす。すなわち次に排出された記録媒体は、長手方向全長に渡ってU字形状のエッジ部上に乗ることになり、第1参考例よりも更に記録面との非接触性能が向上する。ここで、9は記録媒体挿入ガイドであり、記録媒体挿入口8に滑らかに連結されている。前記凹部10は記録媒体の幅よりも狭く構成されているので、記録媒体を記録媒体挿入口8から挿入する際は、記録媒体の両端が前記凹部10の両端に設けられた記録媒体挿入ガイド9に沿って挿入される。この時前記凹部10と前記記録媒体挿入口8との間に段差ができているため、本参考例ではこの段差に記録媒体の幅方向中央部のエッジが引っかからないように、面取り40を設けている。勿論この面取り40は記録媒体が引っかからないような滑らかな形状、たとえばR形状などでも良い。
【0034】本参考例のその他の特徴は、第1参考例と同様である。
【0035】(第3参考例)
図7、図8は、本発明の第3参考例を示す斜視図である。本発明は、前記第2参考例における凹部10の断面形状を矩形形状としたものである。このような矩形形状でも、機能は前記第2参考例と変わらない。すなわち、凹部10の両端の角41、42、および凹部10の深さによって記録媒体の積載時のたわみ形状が決まるため、凹部10の形状は本参考例のように矩形形状であっても良いし、あるいはその他の形状、例えば逆台形形状などでも良い。すなわち、本発明参考例はデザイン上の自由度が大きいというメリットを持つ。
【0036】(第4参考例)
図9、図10は、本発明の第4参考例を示す斜視図である。本参考例において、凹部10は矩形断面をなしており、さらに該凹部10内に記録媒体の排出方向に対して垂直方向に可動な受け部材43を設けている。この受け部材43は、排出される記録媒体の幅の種類が複数の場合、すなわち複数サイズの記録媒体を記録に用いる場合に対応するためのものである。例えば、凹部10の幅がA4サイズの幅で最適なU字形状をなすような幅で設定されているとき、カセット17にB5サイズの記録媒体をセットし記録を行うと、排出された記録媒体は前記凹部10の内側に落ちてしまいU字を成さなくなる。そこで凹部10の内側に記録媒体の排出方向に対して垂直方向に可動な受け部材43を設け、排出される記録媒体の幅に応じて最適なU字が形成される位置に受け部材43を移動設定する。この様に構成すれば、カセット17が複数の記録媒体幅に対応した所謂ユニバーサルカセットであっても、受け部材43を適当に移動設定することにより、常に最適なU字が形成され、前述の参考例と同様記録媒体に形成された記録が汚されることなく、良好な記録を得ることができる。
【0037】また、カセット17の記録媒体幅規制部材44と、前記受け部材43とが連動するように構成すると、カセット部に記録媒体をセットすると同時に前記受け部が自動的に最適な場所に移動し、使い勝手が向上する。なお、受け部材43及び幅規制部材44の可動構成は、公知の構成を適宜用いることができる。
【0038】(第5参考例)
図11は本発明の第5参考例を示す側面図である。図11R>1において、凹部10は第3参考例と同様矩形断面を成しており、排出ローラ4の直下より全長に渡って同断面である。
【0039】図12は図11における、本参考例の特徴をあらわす排出機構部分を拡大した側面図である。図12R>2において、52は補助排出ローラであって、これに対向して補助拍車53が設けられている。前記補助排出ローラ52は補助排出ローラ支持部材50に回転自在に設けられている。そして補助排出ローラ支持部材50は、排出ローラ4の回転軸56を中心に回動自在に設けられている。さらに補助排出ローラ支持部材50にはコロ51が回転自在に設けられている。このコロ51は搬送ローラ3の周面に当接して設けられている。そこで補助排出ローラ支持部材50は搬送ローラ3の正転、逆転によって回動軸56を中心に時計方向、反時計方向へ揺動する。
【0040】図13は前記補助排出ローラ支持部材50の揺動の様子と、それによる記録媒体の動きを説明する側面図である。次に図13を用いて補助排出ローラ支持部材50の揺動の様子を説明する。
【0041】図13(a)において、搬送ローラ3は正方向(時計方向)、すなわち■の方向に回転している。このとき補助排出ローラ支持部材50に支持されているコロ51は搬送ローラ3と接触しながら回転している。このコロ51は支持部材50に設けられた長穴54で支持されており、長穴54の方向に移動可能である。そして長穴54の中でコロ51は図示せぬ手段によって搬送ローラ3の方向に付勢されている。ここで搬送ローラ3が逆方向(反時計方向)、すなわち図13(b)の方向に回転すると、補助排出ローラ支持部材50はそれに支持している補助排出ローラの重みがトリガーになり、回動支点56を中心に右回転方向(時計方向)、すなわち補助排出ローラ52が下に落ちる方向に回動する。この時コロ51は長穴54に沿って前記付勢力に対向して移動しながら回転する。つぎに補助排出ローラ支持部材50の円弧面55が搬送ローラ3の周面に接触し、この間の摩擦によっては更に右回転方向に回動する。所定の量だけ搬送ローラ3が逆回転して停止すると、補助排出ローラ52は排出ローラ4の真下に位置する。
【0042】本参考例では、以上説明したような機構により、排出された記録媒体を排出ローラ4と拍車5との間から放り出すのではなく、一旦停止させた記録媒体をそのままの姿勢ですなわち略水平状態を保って落下させることができるので(記録媒体の状態を二点鎖線及び実線で示す)、記録媒体の受け部11による整列性を改善することができる。なお、この構成は、後に説明する第6参考例に適用することにより更に効果を発揮する。
【0043】次に図14を用いて、前述第5参考例における、記録媒体の排出シーケンスを説明する。
【0044】以上のようにして、本参考例では記録媒体が排出ローラから吐き出されることによって、積載されるときにバラバラになって取扱を不便にすることを防止できる。ここで、本参考例は特に本発明の第1?第4参考例を前提としないでも十分効果を発揮できるものであり、記録媒体を記録装置から水平に排出するインクジェット記録装置であればその排出整列性を改善することが可能である。
【0045】以上のようにして、本実施例では記録媒体が排出ローラから吐き出されることによって、積載されるときにバラバラになって取扱を不便にすることを防止できる。ここで、本実施例は特に本発明の第1〜第4実施例を前提としないでも十分効果を発揮できるものであり、記録媒体を記録装置から水平に排出するインクジェット記録装置であればその排出整列性を改善することが可能である。
【0046】(実施例)
図15、16は本発明の実施例を示す側面図及び斜視図である。
【0047】本実施例は、記録媒体が排出される機構は第5参考例に示した構成と同様であるが、補助排出ローラ52の下の近傍に、排出された記録媒体の後端を上方から押圧する押圧手段を備えている。本実施例の目的は、図19及び図20に示すように、記録媒体の剛性で記録媒体の先端のU字が開いてしまい、適正なU字が形成できないために、記録媒体の記録を乱してしまうことを防止するとともに、後述するような方法で排出された記録媒体の整列性を更に改善することである。
【0048】次に本実施例の具体的説明を行う。図15R>5、図16において、60はプーリであって、軸65と一体に回転する。また66は搬送ローラ3と同軸に設けられ、搬送ローラ3と一体に回転するプーリである。さらにプーリ60とプーリ66との間にはベルト63が張巻されている。そして軸65にはプーリ67が一体に設けられており、更にプーリ67を囲むようにアーム64が設けられている。このアーム64は軸65において嵌合状態にあり、軸65を中心に回動可能である。さらにアーム64の一端には拍車61およびプーリ68が互いに同軸に設けられており、回動可能である。またプーリ67とプーリ68との間にはベルト62が張巻されている。ここで、軸65とプーリ67との間、およびプーリ68と拍車61との間は、フリクションをもって遊巻されており、あるトルクによっては同期して回動し、あるいは回転し、あるトルクを越えると互いに滑べりを生じて空回りするようになっている。
【0049】このような構成においてこの機構の動作を次に説明する。
【0050】図15は搬送ローラ3が正転している状態である。このとき、前記補助排出ローラ支持部材50は補助排出ローラ52が補助拍車53と対向した位置にある。一方、アーム64は軸65とプーリ67との間のフリクションによって右回転方向に付勢されている。この時拍車61は凹部に向かって付勢されており、同時に右回転の回転力を与えられている。ここで拍車61とプーリ68との間はフリクションによってはたがいに滑べり、必要以上のトルクが拍車61にかかると拍車の回転は停止する。次に図17に示すように搬送ローラ3が逆に回転すると、補助排出ローラ支持部材50は右回転方向に回動し、アームは軸65との間のフリクションにより左回転方向に回動していく。更に所定パルスの搬送ローラ3の逆転が行われると、図18に示すように補助排出ローラ支持部材50は完全に下を向き、アーム64は完全に上を向く。次に搬送ローラ3が再び正転するとそれぞれ全く逆の動作を行い、最終的に図15に示すような位置関係に戻る。
【0051】さて、このような動作によって記録媒体がどのような動きをするかは、図14に示した第5参考例を説明するフローチャートによって説明することができる。図14のフローチャートにしたがって以下説明する。
【0052】図14に示すS1において、記録媒体は記録装置内でインクジェット記録が行われる。次にS2において、搬送ローラ3が正方向回転する。この動作の間、S3で、シートセンサ19がOFFするのを判別している。シートセンサ19がOFFするまで搬送ローラ3の正回転は続行され、シートセンサ19がOFFしたら、S4でその位置から更に記録媒体をXパルス正方向に搬送する。ここでXパルスとは、記録媒体の後端が排出ローラ4を通過し、補助排出ローラ52の手前に達するパルス数である(ここでパルス数とは、搬送ローラ3を回転駆動する図示せぬパルスモータの回転パルス数である)。この時記録媒体は補助排出ローラ52と補助拍車53の間に狭持され、記録媒体のこしによって略水平状態に保持されている。次にS5において、搬送ローラ3をYパルス逆回転させる。そうすると、前述のとおり補助排出ローラ52は下方に下がっていき、同時にアーム64が回動し、拍車61が上昇していく。この動作により、狭持されていた記録媒体は下方へ降下していくが、その降下する記録媒体がアームと干渉しないようにアーム64と前記補助排出ローラ支持部材50が配置されており、また動作タイミングもプーリの減速比などで設定されている。前記補助排出ローラ支持部材50およびアーム64が所定の位置で停止すると、記録媒体はそのままの姿勢ですなわち略水平状態を保って落下し、受け部11に積載されていく。
【0053】そして前記2箇所のアーム64が前記凹部10の間で、記録媒体の後端の両端から所定の距離だけ内側の位置を上方から押圧するので、図19及び図20に示すように、記録媒体の剛性で記録媒体の先端のU字が開いてしまった場合でも適正なU字形状を得ることができ、記録媒体の記録を乱すことがなくなる。
【0054】更にアーム64の先端に拍車61が設けてあり、これが記録媒体を記録装置内へ引き込む方向に回転しているので、降下した記録媒体の整列性が悪く、例えば図21に示すように斜めになっていたとしても、前記拍車61がこれを引っ張り、壁65につき当てて記録媒体後端をそろえるので、記録媒体の整列性は極めて良好なものとなる。ここで前述したように拍車61とプーリ68とはフリクションをもって嵌合しているので、記録媒体の整列が終了して、記録媒体がこれ以上動けなくなった時拍車61はプーリに対して空回りして、拍車自体は停止する。よって拍車11が記録媒体の記録面を汚したりすることはない。
【0055】以上のようにして、本実施例では、インクの乾燥、排出の整列性を大幅に改善することができる。
【0056】なお前述第1の実参考?第4の参考例に前述押圧手段を適用しても、充分なる効果を得ることができること勿論である。
【0057】(その他)なお、本発明による記録装置において、図22に示すように底面の広い範囲に電気基板を設け、その基板にコントロールパネル用のスイッチやLEDなどを直接設けて、そのうえのカバー部分に操作部を設けるように構成すると、スペースを効率良くしようで記、デザイン的にもまとまった記録装置が提供できる。
【0058】次に、記録用のエネルギーとして電気熱変換体の発生する熱エネルギーを利用して、吐出口からインクを吐出させて記録を行うインクジェット記録方式のインクジェット記録ヘッドを用いた前述インクジェット記録装置について更に詳細に説明する。
【0059】その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4,723,129 号明細書、同第4,740,796 号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。
【0060】この方式は所謂オンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、記録液(インク)が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて前記記録液に核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面近傍の記録液を膜沸騰させる。そして結果的にこの駆動信号に一対一で対応して記録液内の気泡を形成できるので有効である。
【0061】この気泡の成長、収縮過程において生ずる作用力によって記録液を大気中に吐出させて、少なくとも1つの滴を形成する。
【0062】この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に優れた記録液の吐出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4,463,359号明細書、同第4,345,262号明細書に記載されているようなものが適している。
【0063】なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4,313,124号明細書に記載されている条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことができる。
【0064】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体の組合せ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4,558,333号明細書、米国特許第4,459,600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるものである。
【0065】さらに、記録装置が記録できる記録媒体の最大幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドあるいは、上述した明細書に開示されているような複数記録ヘッドの組み合せによって、その長さを満たす構成や一体的に形成された1個の記録ヘッドとしての構成のいずれでもよいが、いずれの場合でも本発明は、上述した効果を一層有効に発揮することができる。
【0066】加えて、装置本体に装着されることで、装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あるいはインク供給タンクが記録ヘッド自体に一体的に設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0067】また、本発明の記録装置の構成として設けられる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助手段等を付加することは、本発明の効果を一層安定できるので好ましいことである。
【0068】これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対しての、キャッピング手段、クリーニング手段、加圧あるいは吸引手段、電気熱変換対あるいはこれとは別の加熱素子あるいはこれらの組み合せによる予備加熱手段等を付加すること、、あるいは記録とは別の予備吐出を行う予備吐出モードを行うことも安定した記録を行うために有効である。て複数個設けられるものであっても良い。
【0069】更に、記録装置の記録モードとしては黒色等の主流色のみの記録モード抱け出はなく、記録ヘッドを一体的に構成するか複数この組み合せによってでもよいが、ことなる色の複色カラーまたは混色によるフルカラーの少なくとも1つを備えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0070】また更に、以上説明した本発明実施例においては、インクを液体として説明しているが、例えば室温やそれ以下で固化するインクであっても記録信号付与時にインクが液状あるいは軟化をなすものであれば良い。
【0071】本発明においては、上述したインクに対してもっとも有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
【0072】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、排出された記録媒体を受ける記録媒体受け部に凹部を設け、凹部に対向する位置において前記記録媒体受け部上に排出された記録媒体を押圧して記録媒体をU字形状に湾曲させながら回転して、シート後端を前記受け部に設けられた壁に突き当てる拍車を設けたので、剛性の高い記録媒体であっても前記凹部において確実に下に凸のたわみを生じ、記録媒体の幅方向両端の上を次に排出された記録媒体の裏面が擦って排出されるので、記録面を次に排出された記録媒体によって擦られることがなく、記録面が汚れたりすることがない。また、記録媒体の幅方向両端が長手方向全長に渡って次に排出される記録媒体の受けとなるので、記録媒体長手方向全長に渡る受け部材を格別設ける必要がなく、記録装置本体の小型化が図れ、コストダウンが可能になる。さらに、排出された記録媒体を整合性よく積載できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1参考例を示す摸式図的側面図である。
【図2】本発明の第1参考例の制御系の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1参考例を示す摸式的斜視図である。
【図4】本発明の第1参考例を示す摸式的斜視図である。
【図5】本発明の第2参考例を示す摸式的斜視図である。
【図6】本発明の第2参考例を示す摸式的斜視図である。
【図7】本発明の第3参考例を示す摸式的斜視図である。
【図8】本発明の第3参考例を示す摸式的斜視図である。
【図9】本発明の第4参考例を示す摸式的斜視図である。
【図10】本発明の第4参考例を示す摸式的斜視図である。
【図11】本発明の第5参考例を示す摸式的側面図である。
【図12】本発明の第5参考例の詳細を示す摸式的斜視図である。
【図13】本発明の第5参考例の動さを示す摸式的断面図である。
【図14】本発明の第5参考例のシーケンスを示すフローチャートである。
【図15】本発明の実施例を示す摸式的側面図である。
【図16】本発明の実施例を示す摸式的斜視図である。
【図17】本発明の実施例の動作を示す摸式的側面図である。
【図18】本発明の実施例の動作を示す摸式的側面図である。
【図19】本発明の実施例の効果を示す摸式的正面図である。
【図20】図19の摸式的斜視図である。
【図21】本発明の実施例の効果を示す摸式的平面図である。
【図22】本発明のその他の実施例を示す摸式的斜視図である。
【符号の説明】
1 インクジェット記録ヘッド
2 キャリッジ
3 搬送ローラ
4 排出ローラ
5 拍車
9 記録媒体挿入ガイド
10 凹部
17 カセット
50 補助排出ローラ支持部材
51 コロ
52 補助排出ローラ
53 補助拍車
60 プーリ
61 拍車
62 ベルト
64 アーム
70 電気基板
71 操作部
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の記録装置は、小型、廉価、静粛性、使い勝手の良さなど、さまざまな要素が求められているが、数々の記録方式の中でこれらの要望に確実に応えられるものがインクジェット方式である。インクジェット記録装置は上記の要望に応えるさまざまなメリットを有しているが、インクを記録媒体に向かって吐出させる方式であることから、記録媒体上のインクの乾燥がインクジェット方式において大きな課題であった。従来よりインクの乾燥に対しては、大きく2つのアプローチがあった。1つはヒーターなどの熱源をもってインクを強制的に乾燥させる方法、もう1つはすでに排出された記録媒体に対して、次に排出される記録媒体ができるだけ長い間接触しないような構成をとることである。前者の方法はコストから見て得策とはいえず、もっぱら後者の方法が多く提案されている。例えば、記録媒体の排出位置下方に記録媒体受け部材を設け、この受け部材の上に排出された記録媒体が乗るようにし、記録媒体の排出が完了した後所定時間経過後にこの記録媒体受け部材を回転、あるいはスライドさせて、上に乗っていた記録媒体を下に落すようにする構成が知られている。このような構成においては、記録媒体に記録が行われ、排出が完了し、記録媒体が下に落ちて、すなわち、すでに排出された記録媒体の上に重なって初めて、記録面に他の記録媒体が接触する。そこでその間の時間が長いことと、記録面を他の記録媒体が擦ることがないため、乾燥が不十分であるための不具合、すなわち、記録の汚れ、乱れが発生せず、良好な記録が得られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記のような構成では、可動の記録媒体の受け部材を持たなければならず、これを開閉する駆動機構が必要なことから構成が複雑になり、コストも高くなるという問題点があった。また、前記記録媒体受け部は、記録媒体のほぼ長手全長を受ける必要があるため、スペースが必要であり、記録装置の大形化が余儀なくされた。その結果コストも上がることとなった。
【0004】本発明は上記の問題点を鑑みてなされたものであり、上記の課題を全て、もしくは大半を解決できるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するための本発明の構成は、記録媒体に記録を行うインクジェット記録装置において、記録媒体を搬送する搬送手段と、吐出口からインクを吐出して前記搬送手段によって搬送される記録媒体に記録を行うインクジェット記録手段と、前記記録媒体の幅よりも狭い凹部を備え、記録後の記録媒体を受ける記録媒体受け部と、記録後の記録媒体を導くための上下一対の回転体を備え、記録媒体を前記記録媒体受け部へ落下させるために前記一対の回転体のうち下側の回転体が下方へ退避可能な排出手段と、前記凹部に対向する位置において前記記録媒体受け部上に排出された記録媒体を押圧して記録媒体をU字形状に湾曲させながら回転して、シート後端を前記受け部に設けられた壁に突き当てる拍車と、を有することを特徴とするインクジェット記録装置である。
【0006】
【0007】また、前記凹部の両端を記録装置本体の記録媒体挿入口に連結し、記録媒体挿入時のガイドを兼ねることができる。
【0008】ここで、前記凹部は半円弧形状にすることができる。
【0009】また、前記凹部は矩形形状にすることができる。
【0010】
【0011】更に、前記凹部は記録媒体の排出方向に対して垂直方向に可動な受け部材を有することができる。ここで、前記記録媒体受け部は装置本体前方に設けられており、装置本体後方に設けられたカセットから給送された記録媒体を受けることができる。
【0012】
【0013】また、前記記録媒体受け部は、前記凹部上に排出された記録媒体の後端を、上方から押圧する押圧手段を有することができる。
【0014】
【0015】ここで、前記記録媒体受け部は、凹部と、前記凹部上に排出された記録媒体の後端を上方から押圧する押圧手段と、を有することができる。
【0016】以上のようなインクジェット記録装置のインクジェット記録手段は、インクジェット記録ヘッドであって、前記インクジェット記録ヘッドは熱エネルギーを発生する電気熱変換体を有しており、前記電気熱変換体の発する熱エネルギーを利用して吐出口からインクを吐出することを特徴とする。
【0017】また、前記電気熱変換体は、インクに膜沸騰を生じさせる熱エネルギーを発生し、前記インクジェット記録ヘッドは気泡の成長による圧力変化によって吐出口からインクを吐出させることを特徴とする。
【0018】
【作用】本発明によれば、排出された記録媒体が前記凹部によって下に凸のたわみを生じ、先に排出された記録媒体の幅方向両端の上を次に排出された記録媒体の裏面が擦って排出されるので、先に排出された記録媒体の記録面を次に排出された記録媒体によって擦られることがなく、記録面が汚れたりすることがない。また、記録媒体の幅方向両端が長手方向全長に渡って次に排出される記録媒体の受けとなるので、記録媒体長手方向全長に渡る受け部材を格別設ける必要がなく、記録装置本体の小型化が図れ、コストダウンが可能になる。
【0019】
【実施例】本発明の実施例を説明するにあたり、インクジェット記録装置の参考例から説明する。
【0020】(参考例1)
図1は本発明インクジェット記録装置の第1参考例を示す側面図である。図1において、1はインクジェット記録ヘッドであり、電気熱変換体の発する熱エネルギーを利用して吐出口(図示せず)からインクを吐出する。インクジェット記録ヘッド1はキャリッジ2に取り付けられている。キャリッジ2はリードスクリュー12に嵌入されており、リードスクリュー12の回転によってキャリッジ2は記録媒体の幅方向(紙面の裏表方向)に走査し、この際インクジェット記録ヘッド1によって記録媒体への記録を行う。キャリッジ2は一方をガイド軸13で支持されており、キャリッジ2自体の回転が阻止される。3は搬送ローラであり、図示せぬ駆動手段で回転させられ、後述するカセットから自動給送された記録媒体はこれに圧接される第1ピンチローラ6との協働によって、および後述する手差し挿入口8から手差し挿入された記録媒体は第2ピンチローラ7との協働によって、搬送する。8は、記録媒体の手差し挿入口であり、主に記録媒体を手などで記録装置に挿入する場合に用いられる。4は排出ローラであり、記録後の記録媒体を記録部から排出するために設けられている。排出ローラ4は搬送ローラ3と連動しており、一方で圧接されている拍車5との間で記録媒体を狭持しながら記録媒体を排出する。拍車5は記録面と点接触し、記録媒体に余分なインクを転写させないようになっている。15はプラテンであり、記録媒体を記録位置に案内し、また、排出ローラ4を支持する。9は記録媒体の手差し挿入ガイドであり、手差しされた記録媒体を手差し挿入口8へ導びくとともに、搬送ローラ3と第2ピンチローラ7との間に滑らかに案内する。10は凹部であり、記録媒体の受け部11に設けられている。14はシャーシであり、以上の各部材が支持されている。
【0021】また、17はカセットであり、記録媒体が装填される。記録媒体は圧板18の上に載置されており、圧板押し上げ手段(図示せず)によって給送ローラ19に向かって付勢されている。給送ローラ19は所定のタイミングで回転し、記録媒体を1枚ずつ分離して、搬送ローラ3と第1ピンチローラ6との間へ給送する。なお20は摺接ローラであって、カセット17から送り出された記録媒体を変向搬送する。
【0022】次に、図2に本発明の第1参考例における記録装置の制御系の構成を示すブロック図を示す。図2において、111はプログラマブルペリフェラルインターフェース(以下PPIとする)であり、ホストコンピュータから送られてくる指令信号(コマンド)や記録情報信号を並列受信してMPU112に転送するとともに、コンソール116の制御およびキャリッジホーム一センサー117の入力処理を行う。
【0023】上記MPU(マイクロプロセッシングユニット)112は、記録装置内の各部を制御する。113は受信した信号を蓄えるためのRAM、114は文字や記号等の画像を出力するフォント発生用ROM、115はMPU112が実行する処理手順が格納された制御用ROMである。これらの各部は、アドレスバス127およびデータバス128を介してそれぞれ制御される。
【0024】118はキャリッジ2を移動させるためのキャリッジモータ、120は記録媒体をキャリッジ2の移動方向に対して垂直方向に搬送するための送りモータ、123はキャップ部材(図示せず)を駆動して、記録ヘッド1のインク吐出口(図示せず)に当接し、インク吐出口を外気より遮断するためのキャッピングモータをそれぞれ示す。
【0025】125はキャリッジモータ118を駆動するためのドライバ、126は送りモータ120を駆動するためのドライバ、124はキャッピングモータ123を駆動するためのドライバである。上記116コンソールにはキーボードスイッチおよび表示ランプなどが設けられている。
【0026】上記ホームポジションセンサ117は、キャリッジ2のホームポジション近傍に設けられ、記録ヘッド1を搭載した該キャリッジ2がホームポジションに到達したことを検知するものである。119は記録用紙等の記録媒体の有無、すなわち記録部に記録媒体が供給されたか否かを検知するシートセンサを示す。
【0027】122は上述した熱エネルギーを利用してインクを吐出する方式を用いたインクジェット記録装置であり、この記録ヘッド122には吐出口(図示せず)、吐出用ヒータ(電気熱変換体)(図示せず)、などが設けられている。121は記録情報信号に応じて記録ヘッド122の吐出用ヒータを駆動するためのドライバを示す。
【0028】129は上記各部へ電源を供給する電源部であり、駆動電源装置としてACアダプタと電池を有している。
【0029】以上の構成において、MPU112は上記PPI111を介してコンピュータなどのホスト装置に接続されており、ホスト装置から送られてくるコマンドおよび記録情報信号と制御用ROM115に格納されているプログラムの処理手順およびRAM113内に蓄えた記録情報とに基づいて、記録動作を制御する。
【0030】さて図3は本発明の第1参考例を示す斜視図である。また図4は図3のインクジェット記録装置のカセット17に記録媒体32を積載し、該カセット17から給送された記録媒体32がインクジェット記録装置16の排出口25から排出される様子を示した斜視図である。図3で、10は記録媒体の受け部11に設けられた凹部であり、半円弧形状の断面を成している。排出された記録媒体は、この凹部10の上に積載されていく。図1からも理解されるように、凹部10は記録媒体の排出方向に沿って設けられているとともに、排出方向に向かうにしたがって下方に傾斜している。そしてこの凹部10の幅は記録に用いられる記録媒体32の幅よりも狭くなるように設けられている。このような凹部10の上に排出される記録媒体は排出が完了すると、自重によって凹部10の形状に沿って下方へたわみ、図4に30で示す記録媒体のように、排出方向下流側が下に凸のU字形状を成す。このように積載された記録媒体30の上に、次の記録媒体31が排出されてくる。排出されていく記録媒体の排出ローラ4の近傍の部分はすでに排出され受け部11上に積載されている記録媒体30と完全に隔離されているが、排出ローラ4から排出される長さが長くなるにしたがって、記録媒体31は自重によって下側にたれてくる。そして下にたれた記録媒体31の下面は、すでに排出された記録媒体30の、前記U字形状のエッジ部30a上に乗る構成となる。すなわち、すでに排出された記録媒体30の記録面(インクで画像が形成されている面)を、次に排出される記録媒体31が擦ることがなく、記録媒体30のU字の両端のエッジ部30aを擦っていく為、前記記録面がインクによって汚されることがない。しかも本参考例によれば、前述構成によって、既に排出された記録媒体30の記録面上に記録媒体31が積載されるまでの時間が長くなるので、この間にインクの乾燥がすすみ、これによっても記録面がインクによって活れることがない。ここでもっとも特徴的なのは、前記従来例における専用の記録媒体受け部材の役割を、記録媒体自体のたわみによって実現していることである。更に前記従来例では、記録媒体受け部の上に乗った記録媒体を、記録媒体受け部から下に落すため、記録媒体受け部を可動にし、これを駆動する機構が必要であったが、本発明参考例では排出される記録媒体が排出ローラ4と拍車5との間から解放されたとき、その記録媒体は自重で下に落ち、同時にすでに排出された記録媒体と同様U字にたわみ、次に排出される記録媒体の受けを構成する。そのため、前記従来例のような受け部を駆動する機構は必要ない。
【0031】また、記録媒体自体が記録媒体受け部となるため、従来のように記録媒体の長手方向全長に渡る受け部材を設ける必要がなく、前記凹部10は例えば記録媒体の長手方向全長の約半分程度、あるいはそれ以下の長さで良く、記録装置全体の大きさが極めて小さくなる。記録媒体が排出された状態では記録媒体の記録装置がら出っ張る分のスペースが必要だが、排出された記録媒体を取り除いた状態、例えば装置を使用していないときの必要スペースは非常に小さくなり使い勝手が向上する。
【0032】さらに本参考例では、前述した通り、前記記録媒体挿入口8と滑らかに連結するように、記録媒体ガイド部9を設けている。記録媒体ガイド部9は操作者による手差し記録媒体を記録媒体挿入口8に挿入するガイドとなるばかりでなく、前述のとおり排出された記録媒体を積載する場所ともなる。したがって、記録媒体挿入路と排出された記録媒体の積載場所が別々に設けられているような従来の装置に比べ、装置を小型化できるメリットもある。以上の小型化できる事実は、当然装置のコストダウンをも実現する。
【0033】(第2参考例)
図5、図6は本発明の第2参考例を示す斜視図である。本参考例は第1参考例と比べ、凹部10が記録媒体の排出方向に向かって下方に傾斜せず、排出ローラ4の直下から同断面の凹部が構成されている。このような凹部形状とすることにより、記録媒体が排出され、凹部10の上に積載されたとき、記録媒体が長手方向全長に渡ってU字をなす。すなわち次に排出された記録媒体は、長手方向全長に渡ってU字形状のエッジ部上に乗ることになり、第1参考例よりも更に記録面との非接触性能が向上する。ここで、9は記録媒体挿入ガイドであり、記録媒体挿入口8に滑らかに連結されている。前記凹部10は記録媒体の幅よりも狭く構成されているので、記録媒体を記録媒体挿入口8から挿入する際は、記録媒体の両端が前記凹部10の両端に設けられた記録媒体挿入ガイド9に沿って挿入される。この時前記凹部10と前記記録媒体挿入口8との間に段差ができているため、本参考例ではこの段差に記録媒体の幅方向中央部のエッジが引っかからないように、面取り40を設けている。勿論この面取り40は記録媒体が引っかからないような滑らかな形状、たとえばR形状などでも良い。
【0034】本参考例のその他の特徴は、第1参考例と同様である。
【0035】(第3参考例)
図7、図8は、本発明の第3参考例を示す斜視図である。本発明は、前記第2参考例における凹部10の断面形状を矩形形状としたものである。このような矩形形状でも、機能は前記第2参考例と変わらない。すなわち、凹部10の両端の角41、42、および凹部10の深さによって記録媒体の積載時のたわみ形状が決まるため、凹部10の形状は本参考例のように矩形形状であっても良いし、あるいはその他の形状、例えば逆台形形状などでも良い。すなわち、本発明参考例はデザイン上の自由度が大きいというメリットを持つ。
【0036】(第4参考例)
図9、図10は、本発明の第4参考例を示す斜視図である。本参考例において、凹部10は矩形断面をなしており、さらに該凹部10内に記録媒体の排出方向に対して垂直方向に可動な受け部材43を設けている。この受け部材43は、排出される記録媒体の幅の種類が複数の場合、すなわち複数サイズの記録媒体を記録に用いる場合に対応するためのものである。例えば、凹部10の幅がA4サイズの幅で最適なU字形状をなすような幅で設定されているとき、カセット17にB5サイズの記録媒体をセットし記録を行うと、排出された記録媒体は前記凹部10の内側に落ちてしまいU字を成さなくなる。そこで凹部10の内側に記録媒体の排出方向に対して垂直方向に可動な受け部材43を設け、排出される記録媒体の幅に応じて最適なU字が形成される位置に受け部材43を移動設定する。この様に構成すれば、カセット17が複数の記録媒体幅に対応した所謂ユニバーサルカセットであっても、受け部材43を適当に移動設定することにより、常に最適なU字が形成され、前述の参考例と同様記録媒体に形成された記録が汚されることなく、良好な記録を得ることができる。
【0037】また、カセット17の記録媒体幅規制部材44と、前記受け部材43とが連動するように構成すると、カセット部に記録媒体をセットすると同時に前記受け部が自動的に最適な場所に移動し、使い勝手が向上する。なお、受け部材43及び幅規制部材44の可動構成は、公知の構成を適宜用いることができる。
【0038】(第5参考例)
図11は本発明の第5参考例を示す側面図である。図11R>1において、凹部10は第3参考例と同様矩形断面を成しており、排出ローラ4の直下より全長に渡って同断面である。
【0039】図12は図11における、本参考例の特徴をあらわす排出機構部分を拡大した側面図である。図12R>2において、52は補助排出ローラであって、これに対向して補助拍車53が設けられている。前記補助排出ローラ52は補助排出ローラ支持部材50に回転自在に設けられている。そして補助排出ローラ支持部材50は、排出ローラ4の回転軸56を中心に回動自在に設けられている。さらに補助排出ローラ支持部材50にはコロ51が回転自在に設けられている。このコロ51は搬送ローラ3の周面に当接して設けられている。そこで補助排出ローラ支持部材50は搬送ローラ3の正転、逆転によって回動軸56を中心に時計方向、反時計方向へ揺動する。
【0040】図13は前記補助排出ローラ支持部材50の揺動の様子と、それによる記録媒体の動きを説明する側面図である。次に図13を用いて補助排出ローラ支持部材50の揺動の様子を説明する。
【0041】図13(a)において、搬送ローラ3は正方向(時計方向)、すなわち
【0042】本参考例では、以上説明したような機構により、排出された記録媒体を排出ローラ4と拍車5との間から放り出すのではなく、一旦停止させた記録媒体をそのままの姿勢ですなわち略水平状態を保って落下させることができるので(記録媒体の状態を二点鎖線及び実線で示す)、記録媒体の受け部11による整列性を改善することができる。なお、この構成は、後に説明する第6参考例に適用することにより更に効果を発揮する。
【0043】次に図14を用いて、前述第5参考例における、記録媒体の排出シーケンスを説明する。
【0044】以上のようにして、本参考例では記録媒体が排出ローラから吐き出されることによって、積載されるときにバラバラになって取扱を不便にすることを防止できる。ここで、本参考例は特に本発明の第1?第4参考例を前提としないでも十分効果を発揮できるものであり、記録媒体を記録装置から水平に排出するインクジェット記録装置であればその排出整列性を改善することが可能である。
【0045】以上のようにして、本実施例では記録媒体が排出ローラから吐き出されることによって、積載されるときにバラバラになって取扱を不便にすることを防止できる。ここで、本実施例は特に本発明の第1〜第4実施例を前提としないでも十分効果を発揮できるものであり、記録媒体を記録装置から水平に排出するインクジェット記録装置であればその排出整列性を改善することが可能である。
【0046】(実施例)
図15、16は本発明の実施例を示す側面図及び斜視図である。
【0047】本実施例は、記録媒体が排出される機構は第5参考例に示した構成と同様であるが、補助排出ローラ52の下の近傍に、排出された記録媒体の後端を上方から押圧する押圧手段を備えている。本実施例の目的は、図19及び図20に示すように、記録媒体の剛性で記録媒体の先端のU字が開いてしまい、適正なU字が形成できないために、記録媒体の記録を乱してしまうことを防止するとともに、後述するような方法で排出された記録媒体の整列性を更に改善することである。
【0048】次に本実施例の具体的説明を行う。図15R>5、図16において、60はプーリであって、軸65と一体に回転する。また66は搬送ローラ3と同軸に設けられ、搬送ローラ3と一体に回転するプーリである。さらにプーリ60とプーリ66との間にはベルト63が張巻されている。そして軸65にはプーリ67が一体に設けられており、更にプーリ67を囲むようにアーム64が設けられている。このアーム64は軸65において嵌合状態にあり、軸65を中心に回動可能である。さらにアーム64の一端には拍車61およびプーリ68が互いに同軸に設けられており、回動可能である。またプーリ67とプーリ68との間にはベルト62が張巻されている。ここで、軸65とプーリ67との間、およびプーリ68と拍車61との間は、フリクションをもって遊巻されており、あるトルクによっては同期して回動し、あるいは回転し、あるトルクを越えると互いに滑べりを生じて空回りするようになっている。
【0049】このような構成においてこの機構の動作を次に説明する。
【0050】図15は搬送ローラ3が正転している状態である。このとき、前記補助排出ローラ支持部材50は補助排出ローラ52が補助拍車53と対向した位置にある。一方、アーム64は軸65とプーリ67との間のフリクションによって右回転方向に付勢されている。この時拍車61は凹部に向かって付勢されており、同時に右回転の回転力を与えられている。ここで拍車61とプーリ68との間はフリクションによってはたがいに滑べり、必要以上のトルクが拍車61にかかると拍車の回転は停止する。次に図17に示すように搬送ローラ3が逆に回転すると、補助排出ローラ支持部材50は右回転方向に回動し、アームは軸65との間のフリクションにより左回転方向に回動していく。更に所定パルスの搬送ローラ3の逆転が行われると、図18に示すように補助排出ローラ支持部材50は完全に下を向き、アーム64は完全に上を向く。次に搬送ローラ3が再び正転するとそれぞれ全く逆の動作を行い、最終的に図15に示すような位置関係に戻る。
【0051】さて、このような動作によって記録媒体がどのような動きをするかは、図14に示した第5参考例を説明するフローチャートによって説明することができる。図14のフローチャートにしたがって以下説明する。
【0052】図14に示すS1において、記録媒体は記録装置内でインクジェット記録が行われる。次にS2において、搬送ローラ3が正方向回転する。この動作の間、S3で、シートセンサ19がOFFするのを判別している。シートセンサ19がOFFするまで搬送ローラ3の正回転は続行され、シートセンサ19がOFFしたら、S4でその位置から更に記録媒体をXパルス正方向に搬送する。ここでXパルスとは、記録媒体の後端が排出ローラ4を通過し、補助排出ローラ52の手前に達するパルス数である(ここでパルス数とは、搬送ローラ3を回転駆動する図示せぬパルスモータの回転パルス数である)。この時記録媒体は補助排出ローラ52と補助拍車53の間に狭持され、記録媒体のこしによって略水平状態に保持されている。次にS5において、搬送ローラ3をYパルス逆回転させる。そうすると、前述のとおり補助排出ローラ52は下方に下がっていき、同時にアーム64が回動し、拍車61が上昇していく。この動作により、狭持されていた記録媒体は下方へ降下していくが、その降下する記録媒体がアームと干渉しないようにアーム64と前記補助排出ローラ支持部材50が配置されており、また動作タイミングもプーリの減速比などで設定されている。前記補助排出ローラ支持部材50およびアーム64が所定の位置で停止すると、記録媒体はそのままの姿勢ですなわち略水平状態を保って落下し、受け部11に積載されていく。
【0053】そして前記2箇所のアーム64が前記凹部10の間で、記録媒体の後端の両端から所定の距離だけ内側の位置を上方から押圧するので、図19及び図20に示すように、記録媒体の剛性で記録媒体の先端のU字が開いてしまった場合でも適正なU字形状を得ることができ、記録媒体の記録を乱すことがなくなる。
【0054】更にアーム64の先端に拍車61が設けてあり、これが記録媒体を記録装置内へ引き込む方向に回転しているので、降下した記録媒体の整列性が悪く、例えば図21に示すように斜めになっていたとしても、前記拍車61がこれを引っ張り、壁65につき当てて記録媒体後端をそろえるので、記録媒体の整列性は極めて良好なものとなる。ここで前述したように拍車61とプーリ68とはフリクションをもって嵌合しているので、記録媒体の整列が終了して、記録媒体がこれ以上動けなくなった時拍車61はプーリに対して空回りして、拍車自体は停止する。よって拍車11が記録媒体の記録面を汚したりすることはない。
【0055】以上のようにして、本実施例では、インクの乾燥、排出の整列性を大幅に改善することができる。
【0056】なお前述第1の実参考?第4の参考例に前述押圧手段を適用しても、充分なる効果を得ることができること勿論である。
【0057】(その他)なお、本発明による記録装置において、図22に示すように底面の広い範囲に電気基板を設け、その基板にコントロールパネル用のスイッチやLEDなどを直接設けて、そのうえのカバー部分に操作部を設けるように構成すると、スペースを効率良くしようで記、デザイン的にもまとまった記録装置が提供できる。
【0058】次に、記録用のエネルギーとして電気熱変換体の発生する熱エネルギーを利用して、吐出口からインクを吐出させて記録を行うインクジェット記録方式のインクジェット記録ヘッドを用いた前述インクジェット記録装置について更に詳細に説明する。
【0059】その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4,723,129 号明細書、同第4,740,796 号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。
【0060】この方式は所謂オンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、記録液(インク)が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて前記記録液に核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面近傍の記録液を膜沸騰させる。そして結果的にこの駆動信号に一対一で対応して記録液内の気泡を形成できるので有効である。
【0061】この気泡の成長、収縮過程において生ずる作用力によって記録液を大気中に吐出させて、少なくとも1つの滴を形成する。
【0062】この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に優れた記録液の吐出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4,463,359号明細書、同第4,345,262号明細書に記載されているようなものが適している。
【0063】なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4,313,124号明細書に記載されている条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことができる。
【0064】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体の組合せ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4,558,333号明細書、米国特許第4,459,600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるものである。
【0065】さらに、記録装置が記録できる記録媒体の最大幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドあるいは、上述した明細書に開示されているような複数記録ヘッドの組み合せによって、その長さを満たす構成や一体的に形成された1個の記録ヘッドとしての構成のいずれでもよいが、いずれの場合でも本発明は、上述した効果を一層有効に発揮することができる。
【0066】加えて、装置本体に装着されることで、装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あるいはインク供給タンクが記録ヘッド自体に一体的に設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0067】また、本発明の記録装置の構成として設けられる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助手段等を付加することは、本発明の効果を一層安定できるので好ましいことである。
【0068】これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対しての、キャッピング手段、クリーニング手段、加圧あるいは吸引手段、電気熱変換対あるいはこれとは別の加熱素子あるいはこれらの組み合せによる予備加熱手段等を付加すること、、あるいは記録とは別の予備吐出を行う予備吐出モードを行うことも安定した記録を行うために有効である。て複数個設けられるものであっても良い。
【0069】更に、記録装置の記録モードとしては黒色等の主流色のみの記録モード抱け出はなく、記録ヘッドを一体的に構成するか複数この組み合せによってでもよいが、ことなる色の複色カラーまたは混色によるフルカラーの少なくとも1つを備えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0070】また更に、以上説明した本発明実施例においては、インクを液体として説明しているが、例えば室温やそれ以下で固化するインクであっても記録信号付与時にインクが液状あるいは軟化をなすものであれば良い。
【0071】本発明においては、上述したインクに対してもっとも有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
【0072】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、排出された記録媒体を受ける記録媒体受け部に凹部を設け、凹部に対向する位置において前記記録媒体受け部上に排出された記録媒体を押圧して記録媒体をU字形状に湾曲させながら回転して、シート後端を前記受け部に設けられた壁に突き当てる拍車を設けたので、剛性の高い記録媒体であっても前記凹部において確実に下に凸のたわみを生じ、記録媒体の幅方向両端の上を次に排出された記録媒体の裏面が擦って排出されるので、記録面を次に排出された記録媒体によって擦られることがなく、記録面が汚れたりすることがない。また、記録媒体の幅方向両端が長手方向全長に渡って次に排出される記録媒体の受けとなるので、記録媒体長手方向全長に渡る受け部材を格別設ける必要がなく、記録装置本体の小型化が図れ、コストダウンが可能になる。さらに、排出された記録媒体を整合性よく積載できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1参考例を示す摸式図的側面図である。
【図2】本発明の第1参考例の制御系の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1参考例を示す摸式的斜視図である。
【図4】本発明の第1参考例を示す摸式的斜視図である。
【図5】本発明の第2参考例を示す摸式的斜視図である。
【図6】本発明の第2参考例を示す摸式的斜視図である。
【図7】本発明の第3参考例を示す摸式的斜視図である。
【図8】本発明の第3参考例を示す摸式的斜視図である。
【図9】本発明の第4参考例を示す摸式的斜視図である。
【図10】本発明の第4参考例を示す摸式的斜視図である。
【図11】本発明の第5参考例を示す摸式的側面図である。
【図12】本発明の第5参考例の詳細を示す摸式的斜視図である。
【図13】本発明の第5参考例の動さを示す摸式的断面図である。
【図14】本発明の第5参考例のシーケンスを示すフローチャートである。
【図15】本発明の実施例を示す摸式的側面図である。
【図16】本発明の実施例を示す摸式的斜視図である。
【図17】本発明の実施例の動作を示す摸式的側面図である。
【図18】本発明の実施例の動作を示す摸式的側面図である。
【図19】本発明の実施例の効果を示す摸式的正面図である。
【図20】図19の摸式的斜視図である。
【図21】本発明の実施例の効果を示す摸式的平面図である。
【図22】本発明のその他の実施例を示す摸式的斜視図である。
【符号の説明】
1 インクジェット記録ヘッド
2 キャリッジ
3 搬送ローラ
4 排出ローラ
5 拍車
9 記録媒体挿入ガイド
10 凹部
17 カセット
50 補助排出ローラ支持部材
51 コロ
52 補助排出ローラ
53 補助拍車
60 プーリ
61 拍車
62 ベルト
64 アーム
70 電気基板
71 操作部
【特許請求の範囲】
【請求項1】 記録媒体に記録を行うインクジェット記録装置において、記録媒体を搬送する搬送手段と、吐出口からインクを吐出して前記搬送手段によって搬送される記録媒体に記録を行うインクジェット記録手段と、前記記録媒体の幅よりも狭い凹部を備え、記録後の記録媒体を受ける記録媒体受け部と、記録後の記録媒体を導くための上下一対の回転体を備え、記録媒体を前記記録媒体受け部へ落下させるために前記一対の回転体のうち下側の回転体が下方へ退避可能な排出手段と、前記凹部に対向する位置において前記記録媒体受け部上に排出された記録媒体を押圧して記録媒体をU字形状に湾曲させながら回転して、シート後端を前記受け部に設けられた壁に突き当てる拍車と、を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】 前記記録媒体受け部は装置本体前方に設けられており、装置本体後方に設けられたカセットから給送された記録媒体を受けることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】 前記拍車は、前記下側の回転体が下方へ退避して記録媒体を前記記録媒体受け部へ落下させる際に、記録媒体と干渉しないように上昇することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】 前記インクジェット記録手段は、インクジェット記録ヘッドであって、前記インクジェット記録ヘッドは熱エネルギーを発生する電気熱変換体を有しており、前記電気熱変換体の発する熱エネルギーを利用して吐出口からインクを吐出することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】 前記電気熱変換体は、インクに膜沸騰を生じさせる熱エネルギーを発生し、前記インクジェット記録ヘッドは気泡の成長による圧力変化によって吐出口からインクを吐出させることを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。
【請求項1】 記録媒体に記録を行うインクジェット記録装置において、記録媒体を搬送する搬送手段と、吐出口からインクを吐出して前記搬送手段によって搬送される記録媒体に記録を行うインクジェット記録手段と、前記記録媒体の幅よりも狭い凹部を備え、記録後の記録媒体を受ける記録媒体受け部と、記録後の記録媒体を導くための上下一対の回転体を備え、記録媒体を前記記録媒体受け部へ落下させるために前記一対の回転体のうち下側の回転体が下方へ退避可能な排出手段と、前記凹部に対向する位置において前記記録媒体受け部上に排出された記録媒体を押圧して記録媒体をU字形状に湾曲させながら回転して、シート後端を前記受け部に設けられた壁に突き当てる拍車と、を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】 前記記録媒体受け部は装置本体前方に設けられており、装置本体後方に設けられたカセットから給送された記録媒体を受けることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】 前記拍車は、前記下側の回転体が下方へ退避して記録媒体を前記記録媒体受け部へ落下させる際に、記録媒体と干渉しないように上昇することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】 前記インクジェット記録手段は、インクジェット記録ヘッドであって、前記インクジェット記録ヘッドは熱エネルギーを発生する電気熱変換体を有しており、前記電気熱変換体の発する熱エネルギーを利用して吐出口からインクを吐出することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】 前記電気熱変換体は、インクに膜沸騰を生じさせる熱エネルギーを発生し、前記インクジェット記録ヘッドは気泡の成長による圧力変化によって吐出口からインクを吐出させることを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。
【図1】
【図3】
【図19】
【図2】
【図5】
【図9】
【図4】
【図7】
【図20】
【図21】
【図6】
【図8】
【図10】
【図11】
【図14】
【図16】
【図12】
【図13】
【図15】
【図17】
【図18】
【図22】
【図3】
【図19】
【図2】
【図5】
【図9】
【図4】
【図7】
【図20】
【図21】
【図6】
【図8】
【図10】
【図11】
【図14】
【図16】
【図12】
【図13】
【図15】
【図17】
【図18】
【図22】
【特許番号】特許第3082954号(P3082954)
【登録日】平成12年6月30日(2000.6.30)
【発行日】平成12年9月4日(2000.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−71702
【出願日】平成3年4月4日(1991.4.4)
【公開番号】特開平4−308150
【公開日】平成4年10月30日(1992.10.30)
【審査請求日】平成7年11月1日(1995.11.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【参考文献】
【文献】特開 平2−198963(JP,A)
【文献】特開 平1−256460(JP,A)
【文献】特開 平3−2044(JP,A)
【文献】特開 平3−56360(JP,A)
【文献】実開 平2−31261(JP,U)
【文献】実開 昭59−153956(JP,U)
【登録日】平成12年6月30日(2000.6.30)
【発行日】平成12年9月4日(2000.9.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成3年4月4日(1991.4.4)
【公開番号】特開平4−308150
【公開日】平成4年10月30日(1992.10.30)
【審査請求日】平成7年11月1日(1995.11.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【参考文献】
【文献】特開 平2−198963(JP,A)
【文献】特開 平1−256460(JP,A)
【文献】特開 平3−2044(JP,A)
【文献】特開 平3−56360(JP,A)
【文献】実開 平2−31261(JP,U)
【文献】実開 昭59−153956(JP,U)
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