インクリボンカセット及びプリンタ
【課題】インクリボンにテンションを掛けると共に、インクリボンのたるみの発生を抑制するインクリボンカセットを提供する。
【解決手段】インクリボンカセット1Aは、インクリボン10が巻き付けられる繰り出し側のリボンコア11と、リボンコア11から繰り出されたインクリボン10が巻き取られる巻き取り側のリボンコア12と、リボンコア11から繰り出されるインクリボン10をガイドするガイドローラ13と、リボンコア12に巻き取られるインクリボン10をガイドするガイドローラ14と、リボンコア11から繰り出され、ガイドローら13でガイドされるインクリボン10と接する摩擦部材20を有し、リボン引き出し部18からインクリボン10を戻す方向に変位するたるみ取りレバー19を備える。
【解決手段】インクリボンカセット1Aは、インクリボン10が巻き付けられる繰り出し側のリボンコア11と、リボンコア11から繰り出されたインクリボン10が巻き取られる巻き取り側のリボンコア12と、リボンコア11から繰り出されるインクリボン10をガイドするガイドローラ13と、リボンコア12に巻き取られるインクリボン10をガイドするガイドローラ14と、リボンコア11から繰り出され、ガイドローら13でガイドされるインクリボン10と接する摩擦部材20を有し、リボン引き出し部18からインクリボン10を戻す方向に変位するたるみ取りレバー19を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクリボンが収容されるインクリボンカセット、及びインクリボンカセットが着脱可能に取り付けられるプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、印字手段としてサーマルヘッドが用いられる熱転写型のプリンタでは、インクリボンカセットが着脱可能に装着されるプリンタが提案されている。インクリボンカセットは、インクリボンが巻き付けられる繰り出し側のリボンコアと、繰り出し側のリボンコアから繰り出されたインクリボンを巻き取る巻き取り側のリボンコアを備える。
【0003】
インクリボンカセットが装着されるプリンタは、印字媒体を搬送するプラテンローラと、印刷を行うサーマルヘッド等の印刷ヘッドが対向配置される構成で、印字媒体の装着時は、プラテンローラあるいは印刷ヘッドを退避させて、プラテンローラと印刷ヘッドの間に印字媒体を装着するような構成となっている。
【0004】
従来のインクリボンカセットは、プリンタに装着されていない状態では、リボンコアの回転を抑止する構成を備え、インクリボンカセットを単体で扱う場合に、インクリボンにたるみが生じないようする技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、リボンコアにトルクリミッタを設けることで、インクリボンにテンションを掛ける構成も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4378911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のインクリボンカセットでは、インクリボンが巻きつけられるリボンコアにトルクリミッタを設けているので、インクリボンの巻き取り径が変化すると、軸に掛かるトルクの変動でインクリボンが伸縮し、インクリボンの使用量や印字媒体への印字距離が変動する。
【0008】
このため、搬送されるインクリボンに摩擦部材を接触させ、テンションを掛ける構成も提案されている。
【0009】
しかし、インクリボンカセットが装着されるプリンタで、印字媒体の装着のため、プラテンローラあるいは印刷ヘッドを退避させる構成では、インクリボンカセットから引き出されて、プラテンローラと印刷ヘッドの間に挟持されたインクリボンがたるむ。
【0010】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、インクリボンにテンションを掛けると共に、インクリボンのたるみの発生を抑制するインクリボンカセット及びプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するため、本発明は、インクリボンが巻きつけられる第1の巻き取り部材と、第1の巻き取り部材から繰り出されたインクリボンが巻き取られる第2の巻き取り部材と、第1の巻き取り部材から繰り出されるインクリボンをガイドする第1のガイド部材と、第2の巻き取り部材に巻き取られるインクリボンをガイドする第2のガイド部材と、第1の巻き取り部材から繰り出され、第1のガイド部材でガイドされるインクリボンと接する摩擦部材を有し、第1のガイド部材と第2のガイド部材の間でインクリボンを露出させるリボン引き出し部から、インクリボンを戻す方向に変位するたるみ取り部材とを備えたインクリボンカセットである。
【0012】
また、本発明は、インクリボンを収容したインクリボンカセットと、インクリボンカセットが着脱可能に取り付けられるリボンホルダ部と、印字媒体を走行させる搬送手段と、搬送手段との間に印字媒体とインクリボンを挟持して、搬送手段で搬送される印字媒体に印字を行う印字手段と、印字手段または搬送手段を離接する方向に移動させ、印字手段または搬送手段を退避させると共に、印字手段と搬送手段との間に印字媒体とインクリボンを挟持させる移動手段とを備え、インクリボンカセットは、インクリボンが巻きつけられる第1の巻き取り部材と、第1の巻き取り部材から繰り出されたインクリボンが巻き取られる第2の巻き取り部材と、第1の巻き取り部材から繰り出されるインクリボンをガイドする第1のガイド部材と、第2の巻き取り部材に巻き取られるインクリボンをガイドする第2のガイド部材と、第1の巻き取り部材から繰り出され、第1のガイド部材でガイドされるインクリボンと接する摩擦部材を有し、第1のガイド部材と第2のガイド部材の間でインクリボンを露出させるリボン引き出し部から、インクリボンを戻す方向に変位するたるみ取り部材を備えたプリンタである。
【0013】
本発明では、搬送手段と印刷手段の間にインクリボンと印字媒体を挟持する動作で、インクリボンカセットからインクリボンが引き出される。搬送手段または印刷手段を退避させ動作で、リボン引き出し部からインクリボンを戻す方向にたるみ取り部材が変位することで、インクリボンがインクリボンカセット内に引かれ、たるみの発生が抑制される。
【0014】
たるみ取り部材は、摩擦部材でインクリボンと接しており、たるみ取り部材が変位する際に、インクリボンのすべりが抑制される。また、たるみ取り部材でインクリボンにテンションが掛けられる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、インクリボンのたるみを取る機能と、テンションを掛ける機能を、たるみ取り部材で実現することで、インクリボンの巻き取り径が変化によらず、インクリボンの印字距離の変動が抑えられる。また、インクリボンのたるみの発生を抑制できる。そして、インクリボンにテンションを掛ける機能と、インクリボンのたるみを取る機能を、独立した部品で実現する構成と比較して、部品の実装スペースが小さくて済み、既存のインクリボンカセットと同等のサイズで、インクリボンのたるみを取る機能と、テンションを掛ける機能を有したインクリボンカセットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施の形態のインクリボンカセットの一例を示す斜視図である。
【図2】本実施の形態のインクリボンカセットの一例を示す平面図である。
【図3】本実施の形態のたるみ取りレバーの一例を示す斜視図である。
【図4】本実施の形態のたるみ取りレバーの一例を示す分解斜視図である。
【図5】本実施の形態のテープ/チューブプリンタの構成の一例を示す平面図である。
【図6】本実施の形態のテープ/チューブプリンタの構成の一例を示す斜視図である。
【図7】本実施の形態のテープ/チューブプリンタの一例を示す外観斜視図である。
【図8】本実施の形態のインクリボンカセットの動作の一例を示す斜視図である。
【図9】本実施の形態のインクリボンカセットの動作の一例を示す平面図である。
【図10】本実施の形態のインクリボンカセットの動作の一例を示す要部平面図である。
【図11】本実施の形態のインクリボンカセットがセットされたテープ/チューブプリンタの動作の一例を示す平面図である。
【図12】本実施の形態のインクリボンカセットがセットされたテープ/チューブプリンタの動作の一例を示す要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明のインクリボンカセット及びインクリボンカセットが着脱可能に取り付けられるプリンタの実施の形態について説明する。
【0018】
<本実施の形態のインクリボンカセットの構成例>
図1は、本実施の形態のインクリボンカセットの一例を示す斜視図、図2は、本実施の形態のインクリボンカセットの一例を示す平面図である。
【0019】
本実施の形態のインクリボンカセット1Aは、インクリボン10が巻きつけられる第1の巻き取り部材としての繰り出し側のリボンコア11と、繰り出し側のリボンコア11から繰り出されたインクリボン10が巻き取られる第2の巻き取り部材としての巻き取り側のリボンコア12を備える。
【0020】
また、インクリボンカセット1Aは、リボンコア11から繰り出されるインクリボン10をガイドする第1のガイド部材としてのガイドローラ13と、リボンコア12に巻き取られるインクリボン10をガイドする第2のガイド部材としてのガイドローラ14を備える。
【0021】
インクリボンカセット1Aは、リボンコア11とリボンコア12が並列して収納される形状を有したケース15を備え、リボンコア11及びリボンコア12が、ケース15に回転可能に取り付けられる
【0022】
また、インクリボンカセット1Aは、リボンコア11から繰り出されるインクリボン10の搬送経路に沿って突出する繰り出し側のガイド部16がケース15に形成され、ガイド部16の先端にガイドローラ13が回転可能に取り付けられる。
【0023】
更に、インクリボンカセット1Aは、リボンコア12に巻き取られるインクリボン10の搬送経路に沿って突出する巻き取り側のガイド部17がケース15に形成され、ガイド部17の先端にガイドローラ14が回転可能に取り付けられる。
【0024】
インクリボンカセット1Aは、繰り出し側のガイド部16と巻き取り側のガイド部17の間に形成された空間で構成されるリボン引き出し部18を備える。インクリボンカセット1Aは、リボンコア11から繰り出されてリボンコア12で巻き取られるインクリボン10が、ガイドローラ13とガイドローラ14の間に張られる形態で、リボン引き出し部18に露出する。
【0025】
インクリボンカセット1Aは、後述するテープ/チューブプリンタにセットされると、サーマルヘッドがリボン引き出し部18に挿入され、サーマルヘッドとプラテンローラの間に印字媒体とインクリボン10を挟持する動作で、インクリボン10がリボン引き出し部18から引き出される。また、巻き取り側のリボンコア12が駆動されることで、リボンコア12にインクリボン10が巻き取られると共に、リボンコア11からインクリボン10が繰り出され、インクリボン10が搬送される。
【0026】
インクリボンカセット1Aは、リボン引き出し部18から引き出されるインクリボン10のたるみを取ると共に、リボンコア11から繰り出されるインクリボン10にテンションを掛けるたるみ取り部材としてのたるみ取りレバー19を備える。
【0027】
インクリボンカセット1Aは、インクリボン10の搬送方向に対して繰り出し側のガイドローラ13の上流側の搬送経路、すなわち、リボンコア11から繰り出され、ガイドローラ13でリボン引き出し部18へガイドされるインクリボン10の搬送経路にたるみ取りレバー19が設けられる。
【0028】
インクリボンカセット1Aは、たるみ取りレバー19が軸19aに支持されてケース15に取り付けられ、軸19aを支点とした回転動作で変位するたるみ取りレバー19の一方の端部に、リボンコア11とガイドローラ13の間のインクリボン10に接する摩擦部材20を備える。
【0029】
また、インクリボンカセット1Aは、たるみ取りレバー19の軸19aを支点とした回転動作で弾性変形する例えばねじりコイルバネで構成される押圧部材としてのバネ19bがたるみ取りレバー19に取り付けられる。
【0030】
インクリボンカセット1Aは、弾性変形したバネ19bが復元する力でたるみ取りレバー19が押圧され、軸19aを支点とした回転動作で、たるみ取りレバー19がリボン引き出し部18のインクリボン10を戻す方向に変位する。
【0031】
図3は、本実施の形態のたるみ取りレバーの一例を示す斜視図、図4は、本実施の形態のたるみ取りレバーの一例を示す分解斜視図で、次に、本実施の形態のたるみ取りレバーの詳細について説明する。
【0032】
たるみ取りレバー19は、軸19aに支持される本体部21を備え、本体部21に摩擦部材20が取り付けられる。摩擦部材20は、図4に示すように、本体部21に取り付けられる第1の摩擦部材22と、第1の摩擦部材22と対向して配置される第2の摩擦部材23を備える。
【0033】
第1の摩擦部材22は、インクリボン10の幅方向の全体に接する長さで平板状に構成される。第2の摩擦部材23は、インクリボン10の幅方向の全体に接する長さで円筒状に構成される。第1の摩擦部材22と第2の摩擦部材23は、所定の摩擦係数を有した材質、例えば、ウレタンゴム、またはウレタンフォームで構成される。
【0034】
第1の摩擦部材22は、軸19aに支持される側と反対側の本体部21の一方の端部に取り付けられる。本体部21は、インクリボン10の搬送方向に沿った第1の摩擦部材22の両側に、第1の摩擦部材22の表面より突出した高さで凸部21aが形成される。
【0035】
第2の摩擦部材23は、長さ方向の両端が枠部24に支持され、第1の摩擦部材22と対向して回転不可能な形態で本体部21に取り付けられる。
【0036】
たるみ取りレバー19は、第1の摩擦部材22と第2の摩擦部材23の間にインクリボン10が挟持される。たるみ取りレバー19は、第1の摩擦部材22の両側に凸部21aが形成され、第1の摩擦部材22と第2の摩擦部材23の間に挟持されるインクリボン10が、凸部21aで屈曲することで、第1の摩擦部材22と第2の摩擦部材23に確実に接触する。これにより、インクリボン10に適度な抵抗が掛かるように構成される。
【0037】
<本実施の形態のテープ/チューブプリンタの構成例>
図5は、本実施の形態のテープ/チューブプリンタの構成の一例を示す平面図、図6は、本実施の形態のテープ/チューブプリンタの構成の一例を示す斜視図、図7は、本実施の形態のテープ/チューブプリンタの一例を示す外観斜視図である。次に、本実施の形態のインクリボンカセット1Aがセットされるプリンタの一例としてのテープ/チューブプリンタの構成について説明する。
【0038】
本実施の形態のテープ/チューブプリンタ3は、図7に示すように、表示部30aと操作部30bを備えた筐体30cの内部に、選択的にセットされるチューブまたはテープ等の長尺状の印字媒体に印刷を行う機構を備える。
【0039】
テープ/チューブプリンタ3は、印字媒体に所定の印刷処理を行う機構として、図5及び図6に示すように、チューブ51と図示しないテープカセットが選択的にセットされるカセットホルダ部40と、インクリボンカセット1Aがセットされるリボンホルダ部41を備える。カセットホルダ部40とリボンホルダ部41は例えば樹脂の一体成形品で、例えば金属板で構成されるロアプレート4に取り付けられる。
【0040】
テープ/チューブプリンタ3は、カセットホルダ部40にセットされたチューブ51、または、カセットホルダ部2にセットされた図示しないテープカセットから繰り出されたテープを搬送するプラテンローラ5と、プラテンローラ5で搬送されるチューブ51または図示しないテープに印字を行うサーマルヘッド6を備える。
【0041】
プラテンローラ5は搬送手段の一例で、図示しないモータの駆動力が伝達されて回転する。ここで、プラテンローラ5を駆動する図示しないモータの駆動力は、インクリボンカセット1Aのインクリボン10を巻き取るリボンコア12を駆動する巻取り軸にも伝達され、プラテンローラ5の回転と、インクリボン10の送りが同期して行われる。
【0042】
サーマルヘッド6は印字手段の一例で、発熱体が設けられる部位がプラテンローラ5の円周面に対向して配置される。テープ/チューブプリンタ3は、サーマルヘッド6のスライド動作または回転動作等により、サーマルヘッド6がプラテンローラ5に対して近づく方向と離れる方向に移動可能な構成である。テープ/チューブプリンタ3は、本例では、枠部6aに支持されるサーマルヘッド6が、軸6bを支点とした回転動作で、プラテンローラ5の円周面に対して近づく方向と離れる方向に移動可能に構成される。
【0043】
サーマルヘッド6は、軸6bを支点とした回転動作で、プラテンローラ5の円周面に対して近づく方向に移動する。これにより、サーマルヘッド6とプラテンローラ5との間に、インクリボン10とチューブ51あるいは図示しないテープが挟持され、チューブ51またはテープに印刷が可能な状態となる。
【0044】
また、サーマルヘッド6は、軸6bを支点とした回転動作で、プラテンローラ5の円周面に対して離れる方向に移動して退避し、チューブ51またはテープのセットが可能な状態となる。
【0045】
テープ/チューブプリンタ3は、サーマルヘッド6をプラテンローラ5に押圧させると共に、サーマルヘッド6をプラテンローラ5から退避させるヘッド移動機構7を備える。
【0046】
ヘッド移動機構7は、サーマルヘッド6を移動させるヘッドスライダ70と、ヘッドスライダ70を移動させるヘッド移動カム71と、ヘッド移動カム71を回転させて、ヘッドスライダ70を移動させるヘッド移動レバー72を備える。
【0047】
ヘッドスライダ70は、サーマルヘッド6を押圧するヘッド押圧部70aと、ヘッド移動カム71に押圧される第1のカム押圧部70bと、ヘッド移動カム71に押圧される第2のカム押圧部70cを備える。
【0048】
ヘッド移動カム71はギア部71aを備え、ヘッド移動レバー72はギア部171aと噛み合うギア部72aを備えて、ヘッド移動レバー72の回転動作でヘッド移動カム71が回転する。
【0049】
ヘッド移動機構7は、ヘッド移動レバー72の動作で回転するヘッド移動カム71のカム面の変位でヘッドスライダ70を構成する第1のカム押圧部70b及び第2のカム押圧部70cが押圧され、サーマルヘッド6をプラテンローラ5に押圧する動作、及びサーマルヘッド6をプラテンローラ5から退避させる動作が行われる。
【0050】
すなわち、ヘッド移動カム71でヘッドスライダ70の第1のカム押圧部70bが押圧されると、サーマルヘッド6をプラテンローラ5に対して離す方向にヘッドスライダ70が移動し、サーマルヘッド6が軸6bを支点とした回転動作でプラテンローラ5から退避する。
【0051】
また、ヘッド移動カム71でヘッドスライダ70の第2のカム押圧部70cが押圧されると、サーマルヘッド6をプラテンローラ5に対して近づける方向にヘッドスライダ70が移動し、サーマルヘッド6が軸6bを支点とした回転動作でプラテンローラ5に押圧される。
【0052】
テープ/チューブプリンタ3は、サーマルヘッド6の上流側で、プラテンローラ5の円周面に対してチューブ51を押圧するガイドローラ42と、ガイドローラ42の上流側でプラテンローラ5に送り込まれるチューブ51をガイドするチューブガイド43を備える。
【0053】
ガイドローラ42とチューブガイド43は、退避レバー44と図示しないリンク機構で連結され、退避レバー44の操作で、ガイドローラ42がプラテンローラ5から退避して、ガイドローラ42とプラテンローラ5との間にチューブセット用の空間が形成される。また、チューブガイド43が退避して、チューブセット用の空間が形成される。
【0054】
テープ/チューブプリンタ3は、チューブ51等の印字媒体の搬送方向に対してプラテンローラ5の下流側に、ハーフカット機構8とフルカット機構9を備える。ハーフカット機構8は、刃部とホルダを有したカッター81と、カッター81と対向する受け台82を備える。
【0055】
ハーフカット機構8は、カッター81が受け台82に対して近づく方向と離れる方向に移動可能に構成され、カッター81と受け台82の間にチューブ51またはテープを挟んでハーフカットが行われる。ハーフカットとは、切断対象物がチューブ51の場合、円周方向の一部を除いてカットした状態である。これにより、外力を加えることで、連続したチューブ51を容易に切断することができる。
【0056】
図示しないが、切断対象物が剥離紙付きのテープの場合、表面側の印字テープは切断し、裏面側の剥離紙は切断しない状態である。これにより、テープを曲げることで、印字テープを剥離紙から一枚ずつ容易にはがすことができる。
【0057】
ハーフカット機構8は、カッター81を駆動するためモータ83と、カッター81に駆動力を伝達するカッターレバー84と、モータ83の駆動力をカッターレバー84に伝達するギア群85を備える。
【0058】
カッターレバー84は、軸84aを支点に回転可能に取り付けられ、カッターレバー84の一端に設けられたカッター押圧部84bで、カッターレバー84の回転動作がカッター81に伝達される。また、カッターレバー84は、ギア群85を構成するギア85aに設けられたボス85bが挿入される円弧状の長穴84cが形成される。ギア85aは、回転軸に対して偏芯した位置にボス85bが設けられる。
【0059】
これにより、モータ83の駆動力がギア群85を介してギア85aに伝達され、ギア85aが回転すると、ボス85bの軌跡とカッターレバー84の長穴84cの形状により、カッターレバー84は、軸84aを支点に双方向に往復する回転動作を行う。カッターレバー84の往復する回転動作はカッター81に伝達され、カッター81は、受け台82に近づく方向と離れる方向に往復するスライド動作を行う。
【0060】
ハーフカット機構8は、受け台82の上部にストローク調整レバー86を備える。ストローク調整レバー86は、受け台82の上部に回転自在に取り付けられ、回転動作により変位するカム面を備える。カッター81は、上端側がストローク調整レバー86のカム面に当接し、下端側が受け台82に当接する。これにより、ストローク調整レバー86の回転動作でカムを変位させることで、カッター81の刃部と受け台82の隙間が調整される。
【0061】
フルカット機構9は、プラテンローラ5と、ハーフカット機構8を構成するカッター81及び受け台82との間に、刃部を有したカッター90を備える、また、フルカット機構9は、カッター90を作動させるレバー91と、レバー91の動作をカッター90に伝達する図示しない伝達機構を備える。レバー91は、図7に示す操作レバー30dで操作される。
【0062】
<本実施の形態のインクリボンカセットの動作例>
次に、各図を参照して、テープ/チューブプリンタ3にセットされた本実施の形態のインクリボンカセット1Aの動作について説明する。
【0063】
図8は、本実施の形態のインクリボンカセットの動作の一例を示す斜視図、図9は、本実施の形態のインクリボンカセットの動作の一例を示す平面図、図10は、本実施の形態のインクリボンカセットの動作の一例を示す要部平面図である。
【0064】
また、図11は、本実施の形態のインクリボンカセットがセットされたテープ/チューブプリンタの動作の一例を示す平面図、図12は、本実施の形態のインクリボンカセットがセットされたテープ/チューブプリンタの動作の一例を示す要部平面図である。
【0065】
テープ/チューブプリンタ3にセットされていない状態のインクリボンカセット1Aは、図1及び図2に示すように、たるみ取りレバー19がバネ19bで押圧され、軸19aを支点とした回転動作でリボン引き出し部18のインクリボン10を戻す方向に変位する。これにより、インクリボン10が、巻き取り側のガイドローラ14と繰り出し側のガイドローラ13の間に張られる形態で、リボン引き出し部18に露出する。
【0066】
テープ/チューブプリンタ3にインクリボンカセット1Aと、印字媒体としてチューブ51をセットするには、図11に示すように、カセットホルダ部40に図示しないテープカセットを装着していない状態で、退避レバー44を操作して、ガイドローラ42およびチューブガイド43を退避させる。
【0067】
また、ヘッド移動レバー72操作して、サーマルヘッド6を退避位置に移動させる。サーマルヘッド6を退避させる所定の方向にヘッド移動レバー72を回転させると、ヘッド移動カム71でヘッドスライダ70の第1のカム押圧部70bが押圧される。第1のカム押圧部70bが押圧されと、サーマルヘッド6をプラテンローラ5に対して離す方向にヘッドスライダ70が移動して、サーマルヘッド6が軸6bを支点とした回転動作でプラテンローラ5から退避する。
【0068】
以上の動作で、チューブ51の走行経路が開放され、チューブ51のセットが可能な状態となる。
【0069】
インクリボンカセット1Aは、サーマルヘッド6を退避位置に移動させた状態で、リボンホルダ部41にセット可能である。サーマルヘッド6を退避位置に移動させた状態で、インクリボンカセット1Aがリボンホルダ部41にセットされると、図11及び図12(a)に示すように、退避位置に移動させたサーマルヘッド6が、インクリボンカセット1Aのリボン引き出し部18に入る。
【0070】
チューブ51をセットした後、退避レバー44を操作して、ガイドローラ42及びチューブガイド43を図5に示すセット位置に移動させる。次に、サーマルヘッド6とプラテンローラ5との間にインクリボン10とチューブ51を挟み込むため、ヘッド移動レバー72操作して、サーマルヘッド6を押圧位置に移動させる。
【0071】
サーマルヘッド6をプラテンローラ5に押圧する所定の方向にヘッド移動レバー72を回転させると、ヘッド移動カム71でヘッドスライダ70の第2のカム押圧部70cが押圧される。第2のカム押圧部70cが押圧されると、サーマルヘッド6をプラテンローラ5に対して近づける方向にヘッドスライダ70が移動し、サーマルヘッド6が軸6bを支点とした回転動作でプラテンローラ5に押圧される。
【0072】
インクリボンカセット1Aのリボン引き出し部18に入るサーマルヘッド6を押圧位置に移動させると、インクリボン10がケース15から引き出される方向に力が掛かる。
【0073】
インクリボン10を引き出す方向の力が掛かると、図10(b)及び図12(b)に示すように、たるみ取りレバー19が、バネ19bを弾性変形させながら、軸19aを支点とした回転動作で矢印a1方向に変位し、インクリボン10がインクリボンカセット1Aから引き出される。
【0074】
これにより、サーマルヘッド6を押圧位置に移動させると、プラテンローラ5との間にインクリボン10とチューブ51を挟持したサーマルヘッド6がプラテンローラ5に押圧される。
【0075】
次に、印字動作について説明する。なお、サーマルヘッド6とプラテンローラ5による印字動作は周知であるので、詳細な説明は省略するが、図示しないモータでプラテンローラ5を回転駆動することでチューブ51を走行させると共に、プラテンローラ5の回転と連動させてインクリボンカセット1Aのリボンコア12を回転駆動することでインクリボン10を走行させながら、サーマルヘッド6でチューブ51に印字を行う。
【0076】
インクリボンカセット1Aは、巻き取り側のリボンコア12が回転駆動されると、リボンコア12にインクリボン10が巻き取られると共に、リボンコア11からインクリボン10が繰り出される。
【0077】
リボンコア11から繰り出されるインクリボン10は、ガイドローラ13とリボンコア11の間で、たるみ取りレバー19の第1の摩擦部材22と第2の摩擦部材23の間に挟持されていることで、インクリボン10の走行により抵抗が発生し、インクリボン10に適度なテンションが掛かる状態となって、走行状態が安定する。
【0078】
さて、インクリボンカセット1Aの使用開始直後は、リボンコア11に巻かれているインクリボン10の径が大きく、インクリボン10の使用に伴って、リボンコア11に巻かれているインクリボン10の径が小さくなる。
【0079】
インクリボン10には、リボンコア11とガイドローラ13の間で、たるみ取りレバー19の第1の摩擦部材22と第2の摩擦部材23によりテンションを掛けているので、リボンコア11に巻かれているインクリボン10の径によらず、インクリボン10に掛かるテンションは変化しない。
【0080】
これにより、インクリボン10の使い始めと終了付近で、インクリボン10のテンションの変化による印字媒体への印字距離の変動が抑えられ、インクリボン10の使用量の適正化が図られ、かつ、安定した印字品質が得られる。
【0081】
印字が行われたチューブ51はサーマルヘッド6とプラテンローラ5との間から排出され、必要に応じてハーフカット機構8でハーフカットされる。ハーフカット機構8では、所定のタイミングでモータ83の回転駆動が開始され、モータ83の駆動力がギア群85を介してギア85aに伝達される。
【0082】
ギア85aが回転すると、ボス85bの軌跡とカッターレバー84の長穴84cの形状により、カッターレバー84は、軸84aを支点に双方向に往復する回転動作を行う。カッターレバー84の往復する回転動作はカッター81に伝達され、カッター81は、受け台82に近づく方向と離れる方向に往復するスライド動作を行う。
【0083】
そして、図示しないセンサ等でカッターレバー84がホームポジションに戻ったことを検出すると、モータ83の駆動を停止する。以上の動作で、チューブ51がハーフカットされる。
【0084】
印字が行われ、必要に応じてハーフカットされたチューブ51は、所定の印字が終了するとサーマルヘッド6の駆動およびプラテンローラ5の回転駆動が停止されて、走行が停止する。そして、フルカット機構9で切断される。
【0085】
フルカット機構9は、図7に示す操作レバー10dが操作されることで、図5等に示すレバー91が作動し、レバー91の動作がカッター90に伝達されて、チューブ51が切断される。
【0086】
チューブ51の交換、または、インクリボンカセット1Aの交換等を行う場合は、ヘッド移動レバー72操作して、サーマルヘッド6を退避位置に移動させる。
【0087】
インクリボンカセット1Aのリボン引き出し部18に入るサーマルヘッド6を退避位置に移動させると、インクリボン10をケース15から引き出す力が掛からなくなる。これにより、たるみ取りレバー19がバネ19bの復元力で押圧され、軸19aを支点とした回転動作で、リボン引き出し部18のインクリボン10を戻す矢印a2方向に変位する。
【0088】
インクリボン10は第1の摩擦部材22と第2の摩擦部材23に挟持されているので、たるみ取りレバー19の回転動作ですべりが発生することなくケース15に引き込まれ、リボン引き出し部18でのインクリボン10のたるみが防止される。
【0089】
以上説明したように、本実施の形態のインクリボンカセット1Aでは、リボン引き出し部18のインクリボン10を戻す方向に変位して、インクリボン10のたるみを取るたるみ取りレバー19に、インクリボン10を挟持する第1の摩擦部材22と第2の摩擦部材23を備えている。第1の摩擦部材22と第2の摩擦部材23は、軸19aを支点とした回転動作で変位するたるみ取りレバー19の一方の端部に取り付けられる。
【0090】
これにより、インクリボン10を第1の摩擦部材22と第2の摩擦部材23の間に挟持した状態で、たるみ取りレバー19の回転動作によりインクリボン10を引くことができ、たるみ取り動作でのスベリが減り、より確実にインクリボン10のたるみを取ることができる。
【0091】
また、従来は、インクリボンカセットのリボンコアが挿入されるテープ/チューブプリンタ側の軸に、所定のテンションを掛ける構成であり、インクリボンの巻き取り径が変化すると、軸に掛かるトルクの変動でインクリボンが伸縮し、インクリボン使用量や印字媒体への印字距離が変動する。
【0092】
これに対し、本実施の形態では、繰り出し側のリボンコア11とガイドローラ13の間で、インクリボン10を第1の摩擦部材22と第2の摩擦部材23で挟持して、テンションを掛けている。これにより、インクリボン10の巻き取り径が変化してもテンションが変動せず、インクリボン10の伸縮による印字媒体への印字距離の変動が抑えられる。
【0093】
そして、繰り出し側のリボンコア11とガイドローラ13の間のケース15の内部の空間に、第1の摩擦部材22と第2の摩擦部材23を有したたるみ取りレバー19が配置されることで、インクリボンのたるみ取りの機能と、インクリボンにテンションを掛ける機能を併せ持つたるみ取りレバー19を設けたインクリボンカセット1Aが、既存のインクリボンカセットと同等のサイズで実現される。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、プリンタに着脱可能に装着されるインクリボンカセットに適用される。
【符号の説明】
【0095】
1A・・・インクリボンカセット、10・・・インクリボン、11・・・リボンコア、12・・・リボンコア、13・・・ガイドローラ、14・・・ガイドローラ、15・・・ケース、16・・・ガイド部、17・・・ガイド部、18・・・リボン引き出し部、19・・・たるみ取りレバー、19a・・・軸、19b・・・バネ、20・・・摩擦部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクリボンが収容されるインクリボンカセット、及びインクリボンカセットが着脱可能に取り付けられるプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、印字手段としてサーマルヘッドが用いられる熱転写型のプリンタでは、インクリボンカセットが着脱可能に装着されるプリンタが提案されている。インクリボンカセットは、インクリボンが巻き付けられる繰り出し側のリボンコアと、繰り出し側のリボンコアから繰り出されたインクリボンを巻き取る巻き取り側のリボンコアを備える。
【0003】
インクリボンカセットが装着されるプリンタは、印字媒体を搬送するプラテンローラと、印刷を行うサーマルヘッド等の印刷ヘッドが対向配置される構成で、印字媒体の装着時は、プラテンローラあるいは印刷ヘッドを退避させて、プラテンローラと印刷ヘッドの間に印字媒体を装着するような構成となっている。
【0004】
従来のインクリボンカセットは、プリンタに装着されていない状態では、リボンコアの回転を抑止する構成を備え、インクリボンカセットを単体で扱う場合に、インクリボンにたるみが生じないようする技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、リボンコアにトルクリミッタを設けることで、インクリボンにテンションを掛ける構成も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4378911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のインクリボンカセットでは、インクリボンが巻きつけられるリボンコアにトルクリミッタを設けているので、インクリボンの巻き取り径が変化すると、軸に掛かるトルクの変動でインクリボンが伸縮し、インクリボンの使用量や印字媒体への印字距離が変動する。
【0008】
このため、搬送されるインクリボンに摩擦部材を接触させ、テンションを掛ける構成も提案されている。
【0009】
しかし、インクリボンカセットが装着されるプリンタで、印字媒体の装着のため、プラテンローラあるいは印刷ヘッドを退避させる構成では、インクリボンカセットから引き出されて、プラテンローラと印刷ヘッドの間に挟持されたインクリボンがたるむ。
【0010】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、インクリボンにテンションを掛けると共に、インクリボンのたるみの発生を抑制するインクリボンカセット及びプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するため、本発明は、インクリボンが巻きつけられる第1の巻き取り部材と、第1の巻き取り部材から繰り出されたインクリボンが巻き取られる第2の巻き取り部材と、第1の巻き取り部材から繰り出されるインクリボンをガイドする第1のガイド部材と、第2の巻き取り部材に巻き取られるインクリボンをガイドする第2のガイド部材と、第1の巻き取り部材から繰り出され、第1のガイド部材でガイドされるインクリボンと接する摩擦部材を有し、第1のガイド部材と第2のガイド部材の間でインクリボンを露出させるリボン引き出し部から、インクリボンを戻す方向に変位するたるみ取り部材とを備えたインクリボンカセットである。
【0012】
また、本発明は、インクリボンを収容したインクリボンカセットと、インクリボンカセットが着脱可能に取り付けられるリボンホルダ部と、印字媒体を走行させる搬送手段と、搬送手段との間に印字媒体とインクリボンを挟持して、搬送手段で搬送される印字媒体に印字を行う印字手段と、印字手段または搬送手段を離接する方向に移動させ、印字手段または搬送手段を退避させると共に、印字手段と搬送手段との間に印字媒体とインクリボンを挟持させる移動手段とを備え、インクリボンカセットは、インクリボンが巻きつけられる第1の巻き取り部材と、第1の巻き取り部材から繰り出されたインクリボンが巻き取られる第2の巻き取り部材と、第1の巻き取り部材から繰り出されるインクリボンをガイドする第1のガイド部材と、第2の巻き取り部材に巻き取られるインクリボンをガイドする第2のガイド部材と、第1の巻き取り部材から繰り出され、第1のガイド部材でガイドされるインクリボンと接する摩擦部材を有し、第1のガイド部材と第2のガイド部材の間でインクリボンを露出させるリボン引き出し部から、インクリボンを戻す方向に変位するたるみ取り部材を備えたプリンタである。
【0013】
本発明では、搬送手段と印刷手段の間にインクリボンと印字媒体を挟持する動作で、インクリボンカセットからインクリボンが引き出される。搬送手段または印刷手段を退避させ動作で、リボン引き出し部からインクリボンを戻す方向にたるみ取り部材が変位することで、インクリボンがインクリボンカセット内に引かれ、たるみの発生が抑制される。
【0014】
たるみ取り部材は、摩擦部材でインクリボンと接しており、たるみ取り部材が変位する際に、インクリボンのすべりが抑制される。また、たるみ取り部材でインクリボンにテンションが掛けられる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、インクリボンのたるみを取る機能と、テンションを掛ける機能を、たるみ取り部材で実現することで、インクリボンの巻き取り径が変化によらず、インクリボンの印字距離の変動が抑えられる。また、インクリボンのたるみの発生を抑制できる。そして、インクリボンにテンションを掛ける機能と、インクリボンのたるみを取る機能を、独立した部品で実現する構成と比較して、部品の実装スペースが小さくて済み、既存のインクリボンカセットと同等のサイズで、インクリボンのたるみを取る機能と、テンションを掛ける機能を有したインクリボンカセットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施の形態のインクリボンカセットの一例を示す斜視図である。
【図2】本実施の形態のインクリボンカセットの一例を示す平面図である。
【図3】本実施の形態のたるみ取りレバーの一例を示す斜視図である。
【図4】本実施の形態のたるみ取りレバーの一例を示す分解斜視図である。
【図5】本実施の形態のテープ/チューブプリンタの構成の一例を示す平面図である。
【図6】本実施の形態のテープ/チューブプリンタの構成の一例を示す斜視図である。
【図7】本実施の形態のテープ/チューブプリンタの一例を示す外観斜視図である。
【図8】本実施の形態のインクリボンカセットの動作の一例を示す斜視図である。
【図9】本実施の形態のインクリボンカセットの動作の一例を示す平面図である。
【図10】本実施の形態のインクリボンカセットの動作の一例を示す要部平面図である。
【図11】本実施の形態のインクリボンカセットがセットされたテープ/チューブプリンタの動作の一例を示す平面図である。
【図12】本実施の形態のインクリボンカセットがセットされたテープ/チューブプリンタの動作の一例を示す要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明のインクリボンカセット及びインクリボンカセットが着脱可能に取り付けられるプリンタの実施の形態について説明する。
【0018】
<本実施の形態のインクリボンカセットの構成例>
図1は、本実施の形態のインクリボンカセットの一例を示す斜視図、図2は、本実施の形態のインクリボンカセットの一例を示す平面図である。
【0019】
本実施の形態のインクリボンカセット1Aは、インクリボン10が巻きつけられる第1の巻き取り部材としての繰り出し側のリボンコア11と、繰り出し側のリボンコア11から繰り出されたインクリボン10が巻き取られる第2の巻き取り部材としての巻き取り側のリボンコア12を備える。
【0020】
また、インクリボンカセット1Aは、リボンコア11から繰り出されるインクリボン10をガイドする第1のガイド部材としてのガイドローラ13と、リボンコア12に巻き取られるインクリボン10をガイドする第2のガイド部材としてのガイドローラ14を備える。
【0021】
インクリボンカセット1Aは、リボンコア11とリボンコア12が並列して収納される形状を有したケース15を備え、リボンコア11及びリボンコア12が、ケース15に回転可能に取り付けられる
【0022】
また、インクリボンカセット1Aは、リボンコア11から繰り出されるインクリボン10の搬送経路に沿って突出する繰り出し側のガイド部16がケース15に形成され、ガイド部16の先端にガイドローラ13が回転可能に取り付けられる。
【0023】
更に、インクリボンカセット1Aは、リボンコア12に巻き取られるインクリボン10の搬送経路に沿って突出する巻き取り側のガイド部17がケース15に形成され、ガイド部17の先端にガイドローラ14が回転可能に取り付けられる。
【0024】
インクリボンカセット1Aは、繰り出し側のガイド部16と巻き取り側のガイド部17の間に形成された空間で構成されるリボン引き出し部18を備える。インクリボンカセット1Aは、リボンコア11から繰り出されてリボンコア12で巻き取られるインクリボン10が、ガイドローラ13とガイドローラ14の間に張られる形態で、リボン引き出し部18に露出する。
【0025】
インクリボンカセット1Aは、後述するテープ/チューブプリンタにセットされると、サーマルヘッドがリボン引き出し部18に挿入され、サーマルヘッドとプラテンローラの間に印字媒体とインクリボン10を挟持する動作で、インクリボン10がリボン引き出し部18から引き出される。また、巻き取り側のリボンコア12が駆動されることで、リボンコア12にインクリボン10が巻き取られると共に、リボンコア11からインクリボン10が繰り出され、インクリボン10が搬送される。
【0026】
インクリボンカセット1Aは、リボン引き出し部18から引き出されるインクリボン10のたるみを取ると共に、リボンコア11から繰り出されるインクリボン10にテンションを掛けるたるみ取り部材としてのたるみ取りレバー19を備える。
【0027】
インクリボンカセット1Aは、インクリボン10の搬送方向に対して繰り出し側のガイドローラ13の上流側の搬送経路、すなわち、リボンコア11から繰り出され、ガイドローラ13でリボン引き出し部18へガイドされるインクリボン10の搬送経路にたるみ取りレバー19が設けられる。
【0028】
インクリボンカセット1Aは、たるみ取りレバー19が軸19aに支持されてケース15に取り付けられ、軸19aを支点とした回転動作で変位するたるみ取りレバー19の一方の端部に、リボンコア11とガイドローラ13の間のインクリボン10に接する摩擦部材20を備える。
【0029】
また、インクリボンカセット1Aは、たるみ取りレバー19の軸19aを支点とした回転動作で弾性変形する例えばねじりコイルバネで構成される押圧部材としてのバネ19bがたるみ取りレバー19に取り付けられる。
【0030】
インクリボンカセット1Aは、弾性変形したバネ19bが復元する力でたるみ取りレバー19が押圧され、軸19aを支点とした回転動作で、たるみ取りレバー19がリボン引き出し部18のインクリボン10を戻す方向に変位する。
【0031】
図3は、本実施の形態のたるみ取りレバーの一例を示す斜視図、図4は、本実施の形態のたるみ取りレバーの一例を示す分解斜視図で、次に、本実施の形態のたるみ取りレバーの詳細について説明する。
【0032】
たるみ取りレバー19は、軸19aに支持される本体部21を備え、本体部21に摩擦部材20が取り付けられる。摩擦部材20は、図4に示すように、本体部21に取り付けられる第1の摩擦部材22と、第1の摩擦部材22と対向して配置される第2の摩擦部材23を備える。
【0033】
第1の摩擦部材22は、インクリボン10の幅方向の全体に接する長さで平板状に構成される。第2の摩擦部材23は、インクリボン10の幅方向の全体に接する長さで円筒状に構成される。第1の摩擦部材22と第2の摩擦部材23は、所定の摩擦係数を有した材質、例えば、ウレタンゴム、またはウレタンフォームで構成される。
【0034】
第1の摩擦部材22は、軸19aに支持される側と反対側の本体部21の一方の端部に取り付けられる。本体部21は、インクリボン10の搬送方向に沿った第1の摩擦部材22の両側に、第1の摩擦部材22の表面より突出した高さで凸部21aが形成される。
【0035】
第2の摩擦部材23は、長さ方向の両端が枠部24に支持され、第1の摩擦部材22と対向して回転不可能な形態で本体部21に取り付けられる。
【0036】
たるみ取りレバー19は、第1の摩擦部材22と第2の摩擦部材23の間にインクリボン10が挟持される。たるみ取りレバー19は、第1の摩擦部材22の両側に凸部21aが形成され、第1の摩擦部材22と第2の摩擦部材23の間に挟持されるインクリボン10が、凸部21aで屈曲することで、第1の摩擦部材22と第2の摩擦部材23に確実に接触する。これにより、インクリボン10に適度な抵抗が掛かるように構成される。
【0037】
<本実施の形態のテープ/チューブプリンタの構成例>
図5は、本実施の形態のテープ/チューブプリンタの構成の一例を示す平面図、図6は、本実施の形態のテープ/チューブプリンタの構成の一例を示す斜視図、図7は、本実施の形態のテープ/チューブプリンタの一例を示す外観斜視図である。次に、本実施の形態のインクリボンカセット1Aがセットされるプリンタの一例としてのテープ/チューブプリンタの構成について説明する。
【0038】
本実施の形態のテープ/チューブプリンタ3は、図7に示すように、表示部30aと操作部30bを備えた筐体30cの内部に、選択的にセットされるチューブまたはテープ等の長尺状の印字媒体に印刷を行う機構を備える。
【0039】
テープ/チューブプリンタ3は、印字媒体に所定の印刷処理を行う機構として、図5及び図6に示すように、チューブ51と図示しないテープカセットが選択的にセットされるカセットホルダ部40と、インクリボンカセット1Aがセットされるリボンホルダ部41を備える。カセットホルダ部40とリボンホルダ部41は例えば樹脂の一体成形品で、例えば金属板で構成されるロアプレート4に取り付けられる。
【0040】
テープ/チューブプリンタ3は、カセットホルダ部40にセットされたチューブ51、または、カセットホルダ部2にセットされた図示しないテープカセットから繰り出されたテープを搬送するプラテンローラ5と、プラテンローラ5で搬送されるチューブ51または図示しないテープに印字を行うサーマルヘッド6を備える。
【0041】
プラテンローラ5は搬送手段の一例で、図示しないモータの駆動力が伝達されて回転する。ここで、プラテンローラ5を駆動する図示しないモータの駆動力は、インクリボンカセット1Aのインクリボン10を巻き取るリボンコア12を駆動する巻取り軸にも伝達され、プラテンローラ5の回転と、インクリボン10の送りが同期して行われる。
【0042】
サーマルヘッド6は印字手段の一例で、発熱体が設けられる部位がプラテンローラ5の円周面に対向して配置される。テープ/チューブプリンタ3は、サーマルヘッド6のスライド動作または回転動作等により、サーマルヘッド6がプラテンローラ5に対して近づく方向と離れる方向に移動可能な構成である。テープ/チューブプリンタ3は、本例では、枠部6aに支持されるサーマルヘッド6が、軸6bを支点とした回転動作で、プラテンローラ5の円周面に対して近づく方向と離れる方向に移動可能に構成される。
【0043】
サーマルヘッド6は、軸6bを支点とした回転動作で、プラテンローラ5の円周面に対して近づく方向に移動する。これにより、サーマルヘッド6とプラテンローラ5との間に、インクリボン10とチューブ51あるいは図示しないテープが挟持され、チューブ51またはテープに印刷が可能な状態となる。
【0044】
また、サーマルヘッド6は、軸6bを支点とした回転動作で、プラテンローラ5の円周面に対して離れる方向に移動して退避し、チューブ51またはテープのセットが可能な状態となる。
【0045】
テープ/チューブプリンタ3は、サーマルヘッド6をプラテンローラ5に押圧させると共に、サーマルヘッド6をプラテンローラ5から退避させるヘッド移動機構7を備える。
【0046】
ヘッド移動機構7は、サーマルヘッド6を移動させるヘッドスライダ70と、ヘッドスライダ70を移動させるヘッド移動カム71と、ヘッド移動カム71を回転させて、ヘッドスライダ70を移動させるヘッド移動レバー72を備える。
【0047】
ヘッドスライダ70は、サーマルヘッド6を押圧するヘッド押圧部70aと、ヘッド移動カム71に押圧される第1のカム押圧部70bと、ヘッド移動カム71に押圧される第2のカム押圧部70cを備える。
【0048】
ヘッド移動カム71はギア部71aを備え、ヘッド移動レバー72はギア部171aと噛み合うギア部72aを備えて、ヘッド移動レバー72の回転動作でヘッド移動カム71が回転する。
【0049】
ヘッド移動機構7は、ヘッド移動レバー72の動作で回転するヘッド移動カム71のカム面の変位でヘッドスライダ70を構成する第1のカム押圧部70b及び第2のカム押圧部70cが押圧され、サーマルヘッド6をプラテンローラ5に押圧する動作、及びサーマルヘッド6をプラテンローラ5から退避させる動作が行われる。
【0050】
すなわち、ヘッド移動カム71でヘッドスライダ70の第1のカム押圧部70bが押圧されると、サーマルヘッド6をプラテンローラ5に対して離す方向にヘッドスライダ70が移動し、サーマルヘッド6が軸6bを支点とした回転動作でプラテンローラ5から退避する。
【0051】
また、ヘッド移動カム71でヘッドスライダ70の第2のカム押圧部70cが押圧されると、サーマルヘッド6をプラテンローラ5に対して近づける方向にヘッドスライダ70が移動し、サーマルヘッド6が軸6bを支点とした回転動作でプラテンローラ5に押圧される。
【0052】
テープ/チューブプリンタ3は、サーマルヘッド6の上流側で、プラテンローラ5の円周面に対してチューブ51を押圧するガイドローラ42と、ガイドローラ42の上流側でプラテンローラ5に送り込まれるチューブ51をガイドするチューブガイド43を備える。
【0053】
ガイドローラ42とチューブガイド43は、退避レバー44と図示しないリンク機構で連結され、退避レバー44の操作で、ガイドローラ42がプラテンローラ5から退避して、ガイドローラ42とプラテンローラ5との間にチューブセット用の空間が形成される。また、チューブガイド43が退避して、チューブセット用の空間が形成される。
【0054】
テープ/チューブプリンタ3は、チューブ51等の印字媒体の搬送方向に対してプラテンローラ5の下流側に、ハーフカット機構8とフルカット機構9を備える。ハーフカット機構8は、刃部とホルダを有したカッター81と、カッター81と対向する受け台82を備える。
【0055】
ハーフカット機構8は、カッター81が受け台82に対して近づく方向と離れる方向に移動可能に構成され、カッター81と受け台82の間にチューブ51またはテープを挟んでハーフカットが行われる。ハーフカットとは、切断対象物がチューブ51の場合、円周方向の一部を除いてカットした状態である。これにより、外力を加えることで、連続したチューブ51を容易に切断することができる。
【0056】
図示しないが、切断対象物が剥離紙付きのテープの場合、表面側の印字テープは切断し、裏面側の剥離紙は切断しない状態である。これにより、テープを曲げることで、印字テープを剥離紙から一枚ずつ容易にはがすことができる。
【0057】
ハーフカット機構8は、カッター81を駆動するためモータ83と、カッター81に駆動力を伝達するカッターレバー84と、モータ83の駆動力をカッターレバー84に伝達するギア群85を備える。
【0058】
カッターレバー84は、軸84aを支点に回転可能に取り付けられ、カッターレバー84の一端に設けられたカッター押圧部84bで、カッターレバー84の回転動作がカッター81に伝達される。また、カッターレバー84は、ギア群85を構成するギア85aに設けられたボス85bが挿入される円弧状の長穴84cが形成される。ギア85aは、回転軸に対して偏芯した位置にボス85bが設けられる。
【0059】
これにより、モータ83の駆動力がギア群85を介してギア85aに伝達され、ギア85aが回転すると、ボス85bの軌跡とカッターレバー84の長穴84cの形状により、カッターレバー84は、軸84aを支点に双方向に往復する回転動作を行う。カッターレバー84の往復する回転動作はカッター81に伝達され、カッター81は、受け台82に近づく方向と離れる方向に往復するスライド動作を行う。
【0060】
ハーフカット機構8は、受け台82の上部にストローク調整レバー86を備える。ストローク調整レバー86は、受け台82の上部に回転自在に取り付けられ、回転動作により変位するカム面を備える。カッター81は、上端側がストローク調整レバー86のカム面に当接し、下端側が受け台82に当接する。これにより、ストローク調整レバー86の回転動作でカムを変位させることで、カッター81の刃部と受け台82の隙間が調整される。
【0061】
フルカット機構9は、プラテンローラ5と、ハーフカット機構8を構成するカッター81及び受け台82との間に、刃部を有したカッター90を備える、また、フルカット機構9は、カッター90を作動させるレバー91と、レバー91の動作をカッター90に伝達する図示しない伝達機構を備える。レバー91は、図7に示す操作レバー30dで操作される。
【0062】
<本実施の形態のインクリボンカセットの動作例>
次に、各図を参照して、テープ/チューブプリンタ3にセットされた本実施の形態のインクリボンカセット1Aの動作について説明する。
【0063】
図8は、本実施の形態のインクリボンカセットの動作の一例を示す斜視図、図9は、本実施の形態のインクリボンカセットの動作の一例を示す平面図、図10は、本実施の形態のインクリボンカセットの動作の一例を示す要部平面図である。
【0064】
また、図11は、本実施の形態のインクリボンカセットがセットされたテープ/チューブプリンタの動作の一例を示す平面図、図12は、本実施の形態のインクリボンカセットがセットされたテープ/チューブプリンタの動作の一例を示す要部平面図である。
【0065】
テープ/チューブプリンタ3にセットされていない状態のインクリボンカセット1Aは、図1及び図2に示すように、たるみ取りレバー19がバネ19bで押圧され、軸19aを支点とした回転動作でリボン引き出し部18のインクリボン10を戻す方向に変位する。これにより、インクリボン10が、巻き取り側のガイドローラ14と繰り出し側のガイドローラ13の間に張られる形態で、リボン引き出し部18に露出する。
【0066】
テープ/チューブプリンタ3にインクリボンカセット1Aと、印字媒体としてチューブ51をセットするには、図11に示すように、カセットホルダ部40に図示しないテープカセットを装着していない状態で、退避レバー44を操作して、ガイドローラ42およびチューブガイド43を退避させる。
【0067】
また、ヘッド移動レバー72操作して、サーマルヘッド6を退避位置に移動させる。サーマルヘッド6を退避させる所定の方向にヘッド移動レバー72を回転させると、ヘッド移動カム71でヘッドスライダ70の第1のカム押圧部70bが押圧される。第1のカム押圧部70bが押圧されと、サーマルヘッド6をプラテンローラ5に対して離す方向にヘッドスライダ70が移動して、サーマルヘッド6が軸6bを支点とした回転動作でプラテンローラ5から退避する。
【0068】
以上の動作で、チューブ51の走行経路が開放され、チューブ51のセットが可能な状態となる。
【0069】
インクリボンカセット1Aは、サーマルヘッド6を退避位置に移動させた状態で、リボンホルダ部41にセット可能である。サーマルヘッド6を退避位置に移動させた状態で、インクリボンカセット1Aがリボンホルダ部41にセットされると、図11及び図12(a)に示すように、退避位置に移動させたサーマルヘッド6が、インクリボンカセット1Aのリボン引き出し部18に入る。
【0070】
チューブ51をセットした後、退避レバー44を操作して、ガイドローラ42及びチューブガイド43を図5に示すセット位置に移動させる。次に、サーマルヘッド6とプラテンローラ5との間にインクリボン10とチューブ51を挟み込むため、ヘッド移動レバー72操作して、サーマルヘッド6を押圧位置に移動させる。
【0071】
サーマルヘッド6をプラテンローラ5に押圧する所定の方向にヘッド移動レバー72を回転させると、ヘッド移動カム71でヘッドスライダ70の第2のカム押圧部70cが押圧される。第2のカム押圧部70cが押圧されると、サーマルヘッド6をプラテンローラ5に対して近づける方向にヘッドスライダ70が移動し、サーマルヘッド6が軸6bを支点とした回転動作でプラテンローラ5に押圧される。
【0072】
インクリボンカセット1Aのリボン引き出し部18に入るサーマルヘッド6を押圧位置に移動させると、インクリボン10がケース15から引き出される方向に力が掛かる。
【0073】
インクリボン10を引き出す方向の力が掛かると、図10(b)及び図12(b)に示すように、たるみ取りレバー19が、バネ19bを弾性変形させながら、軸19aを支点とした回転動作で矢印a1方向に変位し、インクリボン10がインクリボンカセット1Aから引き出される。
【0074】
これにより、サーマルヘッド6を押圧位置に移動させると、プラテンローラ5との間にインクリボン10とチューブ51を挟持したサーマルヘッド6がプラテンローラ5に押圧される。
【0075】
次に、印字動作について説明する。なお、サーマルヘッド6とプラテンローラ5による印字動作は周知であるので、詳細な説明は省略するが、図示しないモータでプラテンローラ5を回転駆動することでチューブ51を走行させると共に、プラテンローラ5の回転と連動させてインクリボンカセット1Aのリボンコア12を回転駆動することでインクリボン10を走行させながら、サーマルヘッド6でチューブ51に印字を行う。
【0076】
インクリボンカセット1Aは、巻き取り側のリボンコア12が回転駆動されると、リボンコア12にインクリボン10が巻き取られると共に、リボンコア11からインクリボン10が繰り出される。
【0077】
リボンコア11から繰り出されるインクリボン10は、ガイドローラ13とリボンコア11の間で、たるみ取りレバー19の第1の摩擦部材22と第2の摩擦部材23の間に挟持されていることで、インクリボン10の走行により抵抗が発生し、インクリボン10に適度なテンションが掛かる状態となって、走行状態が安定する。
【0078】
さて、インクリボンカセット1Aの使用開始直後は、リボンコア11に巻かれているインクリボン10の径が大きく、インクリボン10の使用に伴って、リボンコア11に巻かれているインクリボン10の径が小さくなる。
【0079】
インクリボン10には、リボンコア11とガイドローラ13の間で、たるみ取りレバー19の第1の摩擦部材22と第2の摩擦部材23によりテンションを掛けているので、リボンコア11に巻かれているインクリボン10の径によらず、インクリボン10に掛かるテンションは変化しない。
【0080】
これにより、インクリボン10の使い始めと終了付近で、インクリボン10のテンションの変化による印字媒体への印字距離の変動が抑えられ、インクリボン10の使用量の適正化が図られ、かつ、安定した印字品質が得られる。
【0081】
印字が行われたチューブ51はサーマルヘッド6とプラテンローラ5との間から排出され、必要に応じてハーフカット機構8でハーフカットされる。ハーフカット機構8では、所定のタイミングでモータ83の回転駆動が開始され、モータ83の駆動力がギア群85を介してギア85aに伝達される。
【0082】
ギア85aが回転すると、ボス85bの軌跡とカッターレバー84の長穴84cの形状により、カッターレバー84は、軸84aを支点に双方向に往復する回転動作を行う。カッターレバー84の往復する回転動作はカッター81に伝達され、カッター81は、受け台82に近づく方向と離れる方向に往復するスライド動作を行う。
【0083】
そして、図示しないセンサ等でカッターレバー84がホームポジションに戻ったことを検出すると、モータ83の駆動を停止する。以上の動作で、チューブ51がハーフカットされる。
【0084】
印字が行われ、必要に応じてハーフカットされたチューブ51は、所定の印字が終了するとサーマルヘッド6の駆動およびプラテンローラ5の回転駆動が停止されて、走行が停止する。そして、フルカット機構9で切断される。
【0085】
フルカット機構9は、図7に示す操作レバー10dが操作されることで、図5等に示すレバー91が作動し、レバー91の動作がカッター90に伝達されて、チューブ51が切断される。
【0086】
チューブ51の交換、または、インクリボンカセット1Aの交換等を行う場合は、ヘッド移動レバー72操作して、サーマルヘッド6を退避位置に移動させる。
【0087】
インクリボンカセット1Aのリボン引き出し部18に入るサーマルヘッド6を退避位置に移動させると、インクリボン10をケース15から引き出す力が掛からなくなる。これにより、たるみ取りレバー19がバネ19bの復元力で押圧され、軸19aを支点とした回転動作で、リボン引き出し部18のインクリボン10を戻す矢印a2方向に変位する。
【0088】
インクリボン10は第1の摩擦部材22と第2の摩擦部材23に挟持されているので、たるみ取りレバー19の回転動作ですべりが発生することなくケース15に引き込まれ、リボン引き出し部18でのインクリボン10のたるみが防止される。
【0089】
以上説明したように、本実施の形態のインクリボンカセット1Aでは、リボン引き出し部18のインクリボン10を戻す方向に変位して、インクリボン10のたるみを取るたるみ取りレバー19に、インクリボン10を挟持する第1の摩擦部材22と第2の摩擦部材23を備えている。第1の摩擦部材22と第2の摩擦部材23は、軸19aを支点とした回転動作で変位するたるみ取りレバー19の一方の端部に取り付けられる。
【0090】
これにより、インクリボン10を第1の摩擦部材22と第2の摩擦部材23の間に挟持した状態で、たるみ取りレバー19の回転動作によりインクリボン10を引くことができ、たるみ取り動作でのスベリが減り、より確実にインクリボン10のたるみを取ることができる。
【0091】
また、従来は、インクリボンカセットのリボンコアが挿入されるテープ/チューブプリンタ側の軸に、所定のテンションを掛ける構成であり、インクリボンの巻き取り径が変化すると、軸に掛かるトルクの変動でインクリボンが伸縮し、インクリボン使用量や印字媒体への印字距離が変動する。
【0092】
これに対し、本実施の形態では、繰り出し側のリボンコア11とガイドローラ13の間で、インクリボン10を第1の摩擦部材22と第2の摩擦部材23で挟持して、テンションを掛けている。これにより、インクリボン10の巻き取り径が変化してもテンションが変動せず、インクリボン10の伸縮による印字媒体への印字距離の変動が抑えられる。
【0093】
そして、繰り出し側のリボンコア11とガイドローラ13の間のケース15の内部の空間に、第1の摩擦部材22と第2の摩擦部材23を有したたるみ取りレバー19が配置されることで、インクリボンのたるみ取りの機能と、インクリボンにテンションを掛ける機能を併せ持つたるみ取りレバー19を設けたインクリボンカセット1Aが、既存のインクリボンカセットと同等のサイズで実現される。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、プリンタに着脱可能に装着されるインクリボンカセットに適用される。
【符号の説明】
【0095】
1A・・・インクリボンカセット、10・・・インクリボン、11・・・リボンコア、12・・・リボンコア、13・・・ガイドローラ、14・・・ガイドローラ、15・・・ケース、16・・・ガイド部、17・・・ガイド部、18・・・リボン引き出し部、19・・・たるみ取りレバー、19a・・・軸、19b・・・バネ、20・・・摩擦部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクリボンが巻きつけられる第1の巻き取り部材と、
前記第1の巻き取り部材から繰り出されたインクリボンが巻き取られる第2の巻き取り部材と、
前記第1の巻き取り部材から繰り出されるインクリボンをガイドする第1のガイド部材と、
前記第2の巻き取り部材に巻き取られるインクリボンをガイドする第2のガイド部材と、
前記第1の巻き取り部材から繰り出され、前記第1のガイド部材でガイドされるインクリボンと接する摩擦部材を有し、前記第1のガイド部材と前記第2のガイド部材の間でインクリボンを露出させるリボン引き出し部から、前記インクリボンを戻す方向に変位するたるみ取り部材と
を備えたことを特徴とするインクリボンカセット。
【請求項2】
前記たるみ取り部材の軸を支点とした回転動作で弾性変形する押圧部材を備えると共に、
前記たるみ取り部材は、軸を支点とした回転動作で変位する一方の端部に前記摩擦部材を備え、
前記摩擦部材は、前記たるみ取り部材に取り付けられる第1の摩擦部材と、前記第1の摩擦部材に対向して配置され、前記第1の摩擦部材との間にインクリボンを挟持する第2の摩擦部材を備えた
ことを特徴とする請求項1記載のインクリボンカセット。
【請求項3】
インクリボンを収容したインクリボンカセットと、
前記インクリボンカセットが着脱可能に取り付けられるリボンホルダ部と、
印字媒体を走行させる搬送手段と、
前記搬送手段との間に前記印字媒体と前記インクリボンを挟持して、前記搬送手段で搬送される前記印字媒体に印字を行う印字手段と、
前記印字手段または前記搬送手段を離接する方向に移動させ、前記印字手段または前記搬送手段を退避させると共に、前記印字手段と前記搬送手段との間に前記印字媒体とインクリボンを挟持させる移動手段とを備え、
前記インクリボンカセットは、
インクリボンが巻きつけられる第1の巻き取り部材と、
前記第1の巻き取り部材から繰り出されたインクリボンが巻き取られる第2の巻き取り部材と、
前記第1の巻き取り部材から繰り出されるインクリボンをガイドする第1のガイド部材と、
前記第2の巻き取り部材に巻き取られるインクリボンをガイドする第2のガイド部材と、
前記第1の巻き取り部材から繰り出され、前記第1のガイド部材でガイドされるインクリボンと接する摩擦部材を有し、前記第1のガイド部材と前記第2のガイド部材の間でインクリボンを露出させるリボン引き出し部から、前記インクリボンを戻す方向に変位するたるみ取り部材を備えた
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項1】
インクリボンが巻きつけられる第1の巻き取り部材と、
前記第1の巻き取り部材から繰り出されたインクリボンが巻き取られる第2の巻き取り部材と、
前記第1の巻き取り部材から繰り出されるインクリボンをガイドする第1のガイド部材と、
前記第2の巻き取り部材に巻き取られるインクリボンをガイドする第2のガイド部材と、
前記第1の巻き取り部材から繰り出され、前記第1のガイド部材でガイドされるインクリボンと接する摩擦部材を有し、前記第1のガイド部材と前記第2のガイド部材の間でインクリボンを露出させるリボン引き出し部から、前記インクリボンを戻す方向に変位するたるみ取り部材と
を備えたことを特徴とするインクリボンカセット。
【請求項2】
前記たるみ取り部材の軸を支点とした回転動作で弾性変形する押圧部材を備えると共に、
前記たるみ取り部材は、軸を支点とした回転動作で変位する一方の端部に前記摩擦部材を備え、
前記摩擦部材は、前記たるみ取り部材に取り付けられる第1の摩擦部材と、前記第1の摩擦部材に対向して配置され、前記第1の摩擦部材との間にインクリボンを挟持する第2の摩擦部材を備えた
ことを特徴とする請求項1記載のインクリボンカセット。
【請求項3】
インクリボンを収容したインクリボンカセットと、
前記インクリボンカセットが着脱可能に取り付けられるリボンホルダ部と、
印字媒体を走行させる搬送手段と、
前記搬送手段との間に前記印字媒体と前記インクリボンを挟持して、前記搬送手段で搬送される前記印字媒体に印字を行う印字手段と、
前記印字手段または前記搬送手段を離接する方向に移動させ、前記印字手段または前記搬送手段を退避させると共に、前記印字手段と前記搬送手段との間に前記印字媒体とインクリボンを挟持させる移動手段とを備え、
前記インクリボンカセットは、
インクリボンが巻きつけられる第1の巻き取り部材と、
前記第1の巻き取り部材から繰り出されたインクリボンが巻き取られる第2の巻き取り部材と、
前記第1の巻き取り部材から繰り出されるインクリボンをガイドする第1のガイド部材と、
前記第2の巻き取り部材に巻き取られるインクリボンをガイドする第2のガイド部材と、
前記第1の巻き取り部材から繰り出され、前記第1のガイド部材でガイドされるインクリボンと接する摩擦部材を有し、前記第1のガイド部材と前記第2のガイド部材の間でインクリボンを露出させるリボン引き出し部から、前記インクリボンを戻す方向に変位するたるみ取り部材を備えた
ことを特徴とするプリンタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−235460(P2011−235460A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−106486(P2010−106486)
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】
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