インク噴射状態検査装置、フラットパネルの製造装置およびフラットパネル
【課題】複雑な機構を要することなくノズルの吐出状態を正確に検査し、ノズルが不良になる前に検出して処理効率の向上を図る。
【解決手段】間欠的にインクを吐出する複数の微小ノズルが下方に向けられた状態で設けられたインクジェットヘッド26と、各微小ノズルから吐出されて滴下しているときのインク液滴の画像であり、画像領域中に各ノズルから吐出されたインク液滴が少なくとも1個は含まれるような画像を撮影するカメラ66と、カメラ66が撮影した画像の中に含まれるインク液滴の個数が所定個数あるか否かに基づいて、または各インク液滴が所定範囲にあるか否かに基づいて、微小ノズルのインク吐出状態の良否を判定する画像処理装置45と、を有している。
【解決手段】間欠的にインクを吐出する複数の微小ノズルが下方に向けられた状態で設けられたインクジェットヘッド26と、各微小ノズルから吐出されて滴下しているときのインク液滴の画像であり、画像領域中に各ノズルから吐出されたインク液滴が少なくとも1個は含まれるような画像を撮影するカメラ66と、カメラ66が撮影した画像の中に含まれるインク液滴の個数が所定個数あるか否かに基づいて、または各インク液滴が所定範囲にあるか否かに基づいて、微小ノズルのインク吐出状態の良否を判定する画像処理装置45と、を有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクを基板に散布するインク噴射状態検査装置、このインク噴射状態検査装置を適用したフラットパネルの製造装置およびこのフラットパネルの製造装置により製造されたフラットパネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
フラットパネルにはフラットパネルディスプレイや太陽電池等がある。フラットパネルディスプレイの1つに液晶ディスプレイがあり、液晶ディスプレイはガラス等の透明基板からなるTFT基板とカラーフィルタ基板とを接合して構成し、TFT基板とカラーフィルタ基板との間には液晶が封入される微小隙間のセルギャップが形成されている。セルギャップは複数のスペーサビーズの凝集体からなるスペーサにより確保される。スペーサは粒径が3〜5μmの球状とした微小粒子からなり、TFT基板またはカラーフィルタ基板のうち何れか一方の基板の表面に多数分散配置される。
【0003】
スペーサを構成するスペーサビーズは不透明な粒子であり、画素領域にスペーサビーズが位置していると、液晶ディスプレイとして構成したときに、表示画像の画質の低下を招来する。従って、画質低下を防止するために、スペーサはブラックマトリックス領域に限定的に配置される。このため、スペーサビーズを溶剤に均一に分散させた懸濁液からなるスペーサインクを用い、スペーサインクをブラックマトリックス領域に着弾させるようにしている。
【0004】
スペーサインクの供給方式としては、所定のピッチ間隔で複数配列された微小ノズルからスペーサインクを噴射するインクジェット方式が採られている。インクジェット方式では、インクジェットヘッドに微小ノズルを設けたインクジェット手段を用いて、微小ノズルから基板に向けてスペーサインクの液滴を噴射させて、基板上に付着させている。各ノズルから噴射されたスペーサインクが基板の所定位置に着弾した後には、溶剤が揮発して、乾燥後の基板上にはスペーサインクが残存する。ノズル噴射口から噴射された1つの液滴には、複数(具体的には5〜8個程度)のスペーサビーズが含まれるが、溶剤が揮発する間に、スペーサビーズは相互に密着するように凝集して、基板全面にスペーサビーズの凝集体となったスペーサがほぼ均一に散布されることになる。
【0005】
微小ノズルからスペーサインクを噴射していると、スペーサインクが微小ノズルの縁に付着し、これが乾燥してインク塊となる。そして、長期間にわたってインクジェットヘッドを使用していると、インク塊が成長して、ノズル噴射口を塞いて詰まらせる原因となる。また、スペーサインクは、インクに微小粒子であるスペーサビーズを含ませたものであるため、スペーサビーズが微小ノズルの噴射口近辺に詰まってジャミング状態となることも、詰まりを生じる原因となる。このため、微小ノズルが詰まって不吐出状態になり、スペーサインクに抜けが生じることになる。抜けが生じた状態の微小ノズルを有するインクジェットヘッドで散布した基板は不良品となり、基板を洗い流してから改めてスペーサインクの散布が行われる。
【0006】
従って、インクジェットヘッドを使用する場合には、定期的にノズルの噴射状態の検査を行う必要がある。この検査を行う技術が、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1では、インクを着弾シートに所定回数着弾させて、着弾シート上のインクの画像を撮像手段により取り込んで、画像情報に変換して画像解析を行う。このとき、予めインクの着弾情報を記憶しておき、取り込んだ画像と予め記憶した情報とを比較して、検査を行っている。
【特許文献1】特開2007−111592号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の技術では、インクジェットヘッドのノズル噴射状態の検査は、着弾シートに付着したインクの画像に基づいて画像解析を行っているため、着弾シート自体にずれや歪み等が生じているときには、正確なインク噴射状態の検査を行うことができない。着弾シートの画像を取得するときには、インクが着弾した部位に光を照射して、その反射光を映像光として撮影することになる。従って、着弾シートがフラットな面を有していれば正確な画像認識を行うことができるが、何らかの理由で歪んでいる場合等においては、反射光を正しく認識することができない(画像にぼけが生じたり、誤検出をしたりすることがある)。また、着弾シートがフラットな場合でも、シートにずれを生じている場合には、誤検出となり、正しく認識することができない。特許文献1では、予め取り込んである画像情報と取得した画像情報とを比較して画像処理を行っているため、不正確な画像に基づいて比較を行うと、インク噴射状態の検査を正しく行うことができない。
【0008】
また、着弾シートにインクが着弾した後には、撮像手段がインク付着部位を観察可能な位置にまでシートを送るように、巻取ロールが着弾シートを所定長さ分だけ巻き取っている。従って、インクの着弾と撮像手段の撮像とを繰り返すたびに着弾シートの巻取り動作を行うため、動作時に着弾シートはずれや歪み等を生じやすく、着弾シート自体の正確性を担保することができなくなる。その結果、誤検出等を生じてインクの着弾状態の正確な画像を取得できなくなる。特に、ノズル噴射状態を良好に維持するために頻繁に検査が行われるため、前記の問題はより顕著になる。
【0009】
さらに、着弾シートを用いる従来の技術では、着弾シートや巻取ロール等の特別な機構を必要とし、装置全体の複雑化や高コスト化を招来する。さらに、着弾シートの巻取動作等を要するため、処理が遅延化する。
【0010】
そこで、本発明は、複雑な機構を要することなくノズルの噴射状態を正確に検査し、ノズルが不良となる前に検出して処理効率の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の請求項1のインク噴射状態検査装置は、間欠的にインク液滴を下方に向けて噴射する複数のノズルが1列に配列して設けられたインクジェットヘッドと、各ノズルから噴射されて滴下しているインク液滴の画像であり、画像領域中に各ノズルから噴射されたインク液滴が少なくとも1個は含まれるような画像を撮影する撮影手段と、前記撮影手段によるインク液滴の画像に画像処理を施して、前記インクジェットヘッドに設けられる各ノズルからのインク液滴の噴射が適正であるか否かを検出する画像処理手段と、を有することを特徴としている。
【0012】
請求項1のインク噴射状態検査装置によれば、撮影手段は、ノズルから噴射されて滴下中のインク液滴の画像を取得しているため、インク液滴自体を直接的に観察することができる。従って、着弾シートのような間接的な部材を使用しないため、取得した画像に生じるぼけや誤検出等といったことがなく、正確にノズルからのインク液滴の噴射が適正であるか否かを検出することができる。また、着弾シートや送り機構等の種々の機構も要しないため、装置の簡素化や低コスト化といった効果を奏する。
【0013】
本発明の請求項2のインク噴射状態検査装置は、請求項1記載のインク噴射検査装置において、前記画像処理手段は、前記撮影手段が取得した画像に含まれるインク液滴の数を計測し、この数が正規の数であるか否かに基づいて、インク液滴の噴射が適正であるか否かを検出すること、を特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項3のインク噴射状態検査装置は、請求項1記載のインク噴射検査装置において、前記画像処理手段は、前記撮影手段が取得した画像に含まれる各インク液滴の画像領域中の位置を計測し、この位置が適正範囲内であるか否かに基づいて、インク液滴の噴射が適正であるか否かを検出すること、を特徴とする。
【0015】
インク液滴の噴射が適正であるか否かは、不吐出(ノズルからインク液滴が噴射されていない状態)または吐出異常(不吐出ではないが、インク滴下方向の変化やインク滴下速度の変化、噴射タイミングの変化等を生じているノズルの噴射状態が正常ではない状態)が検出されるか否かに基づいて判定する。このうち、不吐出については、請求項2のインク噴射状態検査装置のように、画像に含まれるインク液滴の個数を計測して、正規の数(本来検出されるべきインク液滴の正常な個数)あるか否かに基づいて検出する。また、吐出異常については、請求項3のインク噴射状態検査装置のように、各インク液滴の画像が適正範囲内に位置しているか否かに基づいて検出する。前記の正規の数や適正範囲に関するデータは、予め画像処理手段に記憶しておき、このデータと画像処理を行った画像データとを比較して行うようにする。
【0016】
また、インクの噴射状態は良好な状態から、吐出異常の状態、そして不吐出へと段階的に変化していくことがある。そこで、ノズルから噴射されて滴下しているインク液滴の画像を直接的に観察することにより、不吐出や吐出異常になる前にそのことを検出することが可能になる。インク液滴の画像を観察すると、インクの噴射が良好な状態から吐出異常に変化する前に検出できれば、その時点でインクジェットヘッドの使用を中止することができる。そして、インクジェットヘッドのメンテナンスを行って復旧すれば、再度ワークにインクを散布する処理を行うことが可能になる。従って、吐出異常の状態でインク液滴をワークに散布することがなくなり、ワークを洗い流して、改めてインク散布を行う処理(再処理)を行う必要がなくなる。
【0017】
インク液滴の個数の計測、または各インク液滴の位置の検出は、画像処理により行う。撮影手段が取得した画像に対して画像処理を施して、インク液滴とその他の部位(背景画像等)とで二値化を行うことにより、インク液滴のみを検出できる。これにより、個数のカウントや位置の検出が可能になる。二値化の手法としては、パターンマッチングや濃淡画像処理等の手法を適用することができる。
【0018】
撮影手段が撮影する画像は静止画である。従って、静止画を撮影することができるものであれば、撮影手段として任意の手段を適用することができ、例えばテレビカメラやCCD等の任意の手段を適用することができる。ただし、画像処理を行うという観点からCCDが好適である。また、インク液滴の画像は静止画として取得するが、インク液滴の画像を動画として取得してもよい。この場合には、取得した動画像の中から所定タイミング(静止画を撮影するタイミング)で画像を切り出して、静止画を生成するものであってもよい。
【0019】
本発明の請求項4のインク噴射状態検査装置は、請求項1記載のインク噴射状態検査装置において、前記画像処理手段は、前記撮影手段が取得した画像に含まれる各インク液滴の画像領域中の位置を計測し、各ノズルから噴射されたインク液滴のうち2つのインク液滴の位置に基づいて、各ノズルから噴射されたインク液滴の速度を計測し、計測した速度が適正範囲内であるか否かに基づいて、インク液滴の噴射が適正であるか否かを検出すること、を特徴とする。
【0020】
インク液滴の噴射が適正であるか否かは、各ノズルから噴射されたインク液滴の速度によっても判定することができる。ワークにインク液滴を着弾させるときは、インクジェットヘッドに対してワークを搬送しているため、インク液滴の速度が所定速度から変化している場合には、ワーク上の所定位置にインク液滴を着弾させることができなくなる(ワークの搬送方向にずれを生じることになる)。そこで、請求項4のインク噴射状態検査装置によれば、各ノズルから噴射されたインク液滴の速度を計測して、適正であるか否かの判定を行っている。
【0021】
本発明の請求項5のインク噴射状態検査装置は、請求項4記載のインク噴射状態検査装置において、各ノズルの液滴の噴射速度を制御する速度制御装置を設け、前記画像処理手段が前記インク液滴の速度が適正範囲内にないことを検出したときには、前記速度制御装置は、前記インク液滴の速度に応じて、各ノズルのインク液滴の噴射速度を制御すること、を特徴とする。
【0022】
請求項5のインク噴射状態検査装置によれば、インク液滴の速度に応じて各ノズルのインク液滴の噴射速度を制御することにより、インク液滴の速度を適正な速度に修正することができる。
【0023】
本発明の請求項6のインク噴射状態検査装置は、請求項1記載のインク噴射状態検査装置において、前記インクジェットヘッドは、インク液滴が散布されるワークが配置されるインク散布ステージと、前記撮影手段を配置した検査ステージとの間を往復移動可能な構成となし、前記インク散布ステージにおいて、1または複数のワークにインク液滴の散布が行われる毎に、前記インクジェットヘッドを前記検査ステージに移行させて、インク液滴の噴射が適正であるか否かを検出すること、を特徴とする。
【0024】
請求項6のインク噴射状態検査装置によれば、1または複数のワークにインク液滴の散布が行われる毎に、インクジェットヘッドはインク散布ステージから検査ステージに移行してインク液滴の噴射が適正であるか否かの検出を行っているため、インク散布と検査とを交互に行うことができる。特に、ノズルからは多量のインク液滴が噴射されるため、ノズルに詰まりや曲がりが生じやすくなり、検査を頻繁に行うことが好ましい。このため、インク散布と検査とを交互に行うことにより、インク液滴の噴射を良好な状態に維持することができる。
【0025】
本発明の請求項7のインク噴射状態検査装置は、請求項1記載のインク噴射状態検査装置において、前記各ノズルを駆動して間欠的にインクを噴射させる駆動手段と、この駆動手段の駆動タイミングに連動して間欠的に照明光を照射して、インク液滴を照明する照明手段とを有し、前記撮影手段は、前記照明手段が照明光を照射したタイミングでインク液滴の画像を撮影して複数枚の画像を取得し、前記画像処理手段は、前記撮影手段が撮影した複数枚の画像を重畳した画像を生成し、この重畳した画像に基づいて、インク液滴の噴射が適正であるか否かを検出すること、を特徴とする。
【0026】
そこで、請求項7のインク噴射状態検査装置によれば、インクの駆動手段の駆動タイミングと照明手段の照明タイミングとを連動させ、このタイミングで撮影手段は画像を取得している。駆動手段は間欠的に駆動を行ってインクの噴射を行っているため、タイミングを連動させることによって、同じインク液滴の画像を複数取得することができる。そして、1枚の画像では明瞭に認識することができなくても、複数取得された画像を重畳させると、インク液滴を明瞭に認識できるようになる。このため、容易に画像処理を行うことができるようになる。
【0027】
なお、この場合、カメラ(撮影手段)のシャッタは常に開放状態にして、照明手段の照明タイミングで複数枚の画像を取得しているが、照明手段からは常時照明光を照射するようにし、駆動手段とタイミングを連動させてカメラのシャッタ開閉制御を間欠的に行うことにより、複数枚の画像を取得するようにしてもよい。
【0028】
また、複数の画像を取得して重畳させれば明瞭にインク液滴を認識することができるが、高精度の画像処理を施すことが可能であり、1枚の画像でもインク液滴の画像を認識できる場合であれば、タイミングを連動させて複数の画像を取得しなくても、1枚の画像だけを取得するものであってもよい。
【0029】
本発明の請求項8のインク噴射状態検査装置は、請求項7記載のインク噴射状態検査装置において、前記画像処理手段は、前記撮影手段が取得した画像に含まれる各インク液滴の画像領域中の位置を計測し、各ノズルから噴射されたインク液滴のうち2つのインク液滴の位置に基づいて、各ノズルから噴射されたインク液滴の速度を計測し、前記照明手段は、前記インク液滴の速度に応じたタイミングで照明すること、を特徴とする。
【0030】
照明手段は間欠的に照明光を照射するが、インク液滴の落下速度が高速の場合には、画像領域内にインク液滴を映し出すことができなくなることもある。そこで、請求項8のインク噴射状態検査装置では、計測したインク液滴の速度に応じてインク液滴を照明するようにする。つまり、インク液滴の落下速度が高速の場合には、それに応じて照明手段の照明タイミングの周期を短くするようにする。例えば、ノズルを駆動する駆動タイミングの周期に対して、照明手段の照明タイミングの周期を1/nにすることにより、照明タイミングの周期を短くすることができる。
【0031】
本発明の請求項9のインク噴射状態検査装置は、請求項1記載のインク噴射状態検査装置において、インク液滴を照明する照明手段を前記撮影手段と一体的に構成し、前記照明手段からの光を反射して、この光の光軸と前記撮影手段に設けられるレンズの光軸とを一致させるハーフミラーを設け、前記光軸上に反射板を配置し、前記照明手段および前記撮影手段と前記反射板との間の空間にインク液滴が滴下するように前記インクジェットヘッドを配置し、前記反射板で反射した光を照明光として、前記撮影手段はインク液滴の画像を取得することを特徴とする。
【0032】
請求項9のインク噴射状態検査装置によれば、照明手段と撮影手段とを一体的に構成しているため、装置全体の構造をシンプルにすることができ、メンテナンスが容易になるという効果も奏する。さらに、照明手段と撮影手段とを別個独立に設ける場合には、検査を行うたびに両者の光軸を一致させる調整作業が必要になるが、請求項9のインク噴射状態検査装置では、ハーフミラーを用いて、照明手段の光の光軸と撮影手段のレンズの光軸とを一致させているため、照明手段と撮影手段とを一体的に構成するときだけ、光軸調整を行えばよい。このため、光軸調整作業の簡素化という効果を奏する。
【0033】
本発明の請求項10のフラットパネルの製造装置は、請求項1乃至9何れか1項に記載のインク噴射状態検査装置を有している。また、本発明の請求項11のフラットパネルは、請求項10記載のフラットパネルの製造装置により製造されている。前述してきたインク噴射状態検査装置は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイや太陽電池等のフラットパネルの製造装置に適用することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明のインク噴射状態検査装置は、ノズルから噴射されて滴下しているときのインク液滴の画像を直接的に観察しているため、着弾シート等の特別な機構を要することなく正確な検査を行うことができ、装置の簡素化や低コスト化といった効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。図1において、基板1はガラス等の薄型の透明基板である。基板1は、TFT回路が形成されたTFT基板やカラーフィルタが形成されたカラーフィルタ基板を適用することができる。ここでは、基板1はカラーフィルタ基板であるものとして説明する。基板1は、主に画素領域2とブラックマトリクス領域3とを有している。画素領域はRGBの各色の画素を構成する画素領域であり、画素領域2の間はブラックマトリクス領域3により区画形成されている。ブラックマトリクス領域3にはスペーサ4が均一に散布され、スペーサ4によりカラーフィルタ基板とTFT基板とが接合されたときに、所定間隙となるセルギャップを形成する。そして、スペーサ4により形成される両基板の間の隙間に液晶を封入することにより液晶パネルが形成される。スペーサ4は、カラーフィルタ基板側だけではなく、TFT基板側に形成するものであってもよい。
【0036】
図2に、スペーサインクの散布を行う全体のシステム構成を示す。図2において、基台11にインク散布ステージ12と検査ステージ13とを設けている。まず、インク散布ステージ12について説明する。インク散布ステージ12は、搬送テーブル20とボールねじ手段21とX軸ガイド22とインクジェット手段23とY軸ガイド24と移動台25とインクジェットヘッド26とインクボトル27とを有して概略構成される。
【0037】
基板1は搬送テーブル20に載置されて、搬送テーブル20に真空吸着手段等で固定的に保持されている。そして、搬送テーブル20はエンコーダ付きのボールねじ手段21によりX軸ガイド22に沿って図中のX方向に搬送される。そして、基板1の表面に対してスペーサインクが散布される。
【0038】
また、スペーサインクを散布するためのインクジェット手段23は、搬送テーブル20を跨ぐように門型をしたY軸ガイド24に装着されている移動台25に設置されている。移動台25は搬送テーブル20の搬送方向と直交するY方向に移動可能となっている。インクジェット手段23は、インクジェットヘッド26とインクボトル27とを具備し、インクジェットヘッド26およびインクボトル27は移動台25によってY軸ガイド24に沿って、図示しないエンコーダ付きのボール送りねじ手段によりY方向に移動する。
【0039】
インクジェット手段23を構成するインクジェットヘッド26は、図3に示すように、多数の微小ノズル30を所定のピッチ間隔で配列したものから構成し、各微小ノズル30から一定量のスペーサインクを下方に向けて間欠的に噴射する。スペーサインクの噴射は各々の微小ノズル30が個別的に制御されて、それぞれスペーサインクをほぼ同時に噴射するようにしている。そして、図4に示すように、インクジェットヘッド26に、微小ノズル30に連通するチャンバピース31を備え、チャンバピース31はインクボトル27からのインク供給路に接続する。
【0040】
チャンバピース31には圧電素子からなるアクチュエータ32が装着されており、アクチュエータ32に電圧を印加すると、図4の二点鎖線で示すように、アクチュエータ32が変形して、チャンバピース31が拡張する。その結果、インクボトル27側からスペーサインクがチャンバピース31に吸い込まれる。次に、アクチュエータ32への電圧の印加を停止すると、元の状態に復元し、チャンバピース31の容積が減少して、その分のスペーサインクが微小ノズル30から噴射される。
【0041】
従って、搬送テーブル20により基板1をX方向に間欠的に送る間に、各微小ノズル30からスペーサインクを噴射させることにより、基板1にスペーサインクの液滴(以下、単に「液滴」とする)が滴下されることになる。また、インクジェットヘッド26は基板1の幅方向の一部分にしか及んでおらず、このためにインクジェットヘッド26はY方向に走査することになる。そして、微小ノズル30によるスペーサインクの噴射制御を含め、インクジェットヘッド26の動作制御を行うためのインクジェット制御装置44を設けている。
【0042】
インクジェット制御装置44は、微小ノズル30に具備されるアクチュエータ32の駆動制御を行う。具体的には、微小ノズル30に対して所定間隔で駆動信号を出力し、この信号に基づいてアクチュエータ32は変形動作を行う。駆動信号は所定間隔でインクジェット制御装置44から出力されるため、アクチュエータ32の駆動動作も所定間隔毎になり、間欠的にスペーサインクの噴射を行うようになる。
【0043】
また、インクジェット制御装置44には、速度制御装置としての速度コントローラ機能を備えており、この速度コントローラ機能により、各微小ノズル30のアクチュエータ32に印加する電圧をコントロールする。この電圧をコントロールすることにより、アクチュエータ32の変形量を適宜変化させることができ、微小ノズル30から噴射するときの噴射速度を変化させることができる。つまり、インクジェット制御装置44は各微小ノズル30の液滴の噴射速度を任意に設定するための手段を備えている。
【0044】
図2に戻って、検査ステージ13について説明する。検査ステージ13は、検査部40とメンテナンス部41と受け容器42とを有している。検査部40には、画像処理装置45が接続され、画像処理装置45はモニタMに接続される。
【0045】
図5を参照して、検査部40について説明する。検査部40は、PG(パルスジェネレータ)61とLED62とハーフミラー63とレンズ群64と反射板65とカメラ66と受け容器67とを有し、これら各部を一体的に動作する検査ユニット60として構成する。PG61はLED62と接続され、LED62に対しての発光タイミングを制御し、LED62はPG61からの制御信号に基づいて発光する。ハーフミラー63は、LED62からの光を反射して、レンズ群64からの光を透過するような特性を有する部品である。レンズ群64は被写体(インクジェットヘッド26から噴射されて滴下する液滴)からの光をカメラ66に結像するために設けられる。反射板65は、入射した光をそのまま反射する全反射ミラーである。カメラ66は、被写体の画像を映像信号に変換して画像を生成するテレビカメラやCCD等の撮影手段である。受け容器67は、前述した受け容器42と同じものであり、検査部40において設けられるスペーサインクを受ける容器である。
【0046】
レンズ群64と反射板65との間には所定間隔の空間が形成されるように配置する。この空間をインクジェットヘッド26の微小ノズル30から噴射されたスペーサインクの液滴(以下、単に液滴とする)が滴下していくような位置関係となるように、検査ユニット60とインクジェットヘッド26とを配置する。ここでは、移動台25をY軸ガイド24に沿って検査部40の位置にまで移行し、図示しない検査ユニット60の制御手段が、検査ユニット60を、レンズ群64と反射板65との間に形成される空間の上部にインクジェットヘッド26が位置するように制御するものとする。
【0047】
図6は、インクジェットヘッド26から噴射された液滴の滴下方向とカメラ66の撮影方向との位置関係を説明する図である(ハーフミラー63及びレンズ群64は図示を省略する)。この図に示すように、インクジェットヘッド26を、基板1が設置される高さ位置の水平面HPに対して所定の高さ位置hに配置して、インクジェットヘッド26の各微小ノズル30から液滴を所定間隔で間欠的に噴射させる。そして、カメラ66によって各微小ノズル30から滴下する液滴の画像を取得する。ここで、カメラ66の視野の幅VWは、全ての微小ノズル30からの液滴の滴下部位を含み、高さVHは、液滴の噴射間隔が、各ノズル30からの液滴が少なくとも1個、好ましくは複数個が入るような間隔とする。つまり、カメラ66は、微小ノズル30から滴下する各液滴を含む垂直面VP(水平面HPに直交する面)を撮影していることになる。
【0048】
図5に示すように、PG61はインクジェット制御装置44に接続されている。インクジェット制御装置44は、アクチュエータ32に対しての駆動信号の出力タイミングに連動して、PG61に対しても所定間隔で駆動信号を出力するようにしている。従って、微小ノズル30からのスペーサインクの噴射タイミングとPG61からのLED62に対して発光タイミングとは連動することになる。
【0049】
カメラ66は画像処理装置45に接続されており、カメラ66が撮影した画像が画像処理装置45に出力される。なお、画像処理装置45を検査部40と別個独立に配置しているが、画像処理装置45も検査部40と同じく検査手段を構成するものである。
【0050】
図2に戻って、メンテナンス部41はインクジェットヘッド26が汚損されたときに、そのクリーニングや修復等のメンテナンスを行う。ここでは、メンテナンスを行う手法として、インクジェットヘッド26の各微小ノズル30の洗浄及び吸引を行うようにしている。また、メンテナンスを行う手法としては、例えば微小ノズル30のチャンバピース31に高圧力を作用させて、微小ノズル30の通路内でジャミング状態となっている微小粒子を排出する手法等を適用することも可能である。
【0051】
受け容器42は、スペーサインクを受けるための容器である。メンテナンス部41における洗浄後には、スペーサインクを良好に散布するために、インクジェットヘッド26からスペーサインクの捨て打ちが行われ、そのスペーサインクを受けるために受け容器42が配置される。また、検査部40、メンテナンス部41および受け容器42は、夫々Y軸ガイド24の移動経路上に位置している。
【0052】
次に、基板1に対してのスペーサインクの着弾状態について説明する。図7(a)は、正確な位置にスペーサインクが着弾している状態を示している。この場合には、インク散布ステージ12から基板1を搬送して、ベーキング工程を行って、スペーサ4を基板1に定着・固定させる。これにより、正確な位置にスペーサ4が形成される。
【0053】
同図(b)は、不吐出が生じている状態を示している。不吐出は、スペーサインクに抜けが生じて、図中に示すように、スペーサインクが本来着弾すべき着弾位置(図中の破線領域)にスペーサインクが滴下されない状態である。この場合には、スペーサ4の分布密度が不均一になり、インクジェットヘッド26のメンテナンスを行った上で、再処理(基板1の洗浄処理およびスペーサインクの散布処理)を行わなくてはならない。
【0054】
同図(c)は、吐出異常が生じている状態を示している。スペーサインクは本来的な着弾位置から外れた場所(画素領域2と接触する程度に外れた位置)に着弾している。この場合には、本来的な着弾位置から大きく外れているため、スペーサ4の分布密度が不均一になる。また、画素領域2に着弾した場合には、その画素に欠陥が生じる。この場合、不吐出ではないが、やはり再処理を行わなければならない。従って、微小ノズル30のインク噴射状態を、良好な状態(同図(a))、不吐出(同図(b))、吐出異常(同図(c))の3つの状態に分類する。
【0055】
前記の3つの状態のうち、微小ノズル30が不吐出や吐出異常となっている場合には、微小ノズル30の噴射状態が不良であると判定する。ここで、若干外れた程度の位置に着弾している場合には、スペーサ4の分布密度をある程度は均一化することができ、逆にずれの程度にかかわらず画一的に再処理を行うことは処理が遅延化する。そこで、スペーサインクの着弾位置に若干の幅を持たせて、この幅を許容範囲として設定する。設定された範囲内であれば良好な状態であると判定し、範囲外であれば吐出異常と判定するようにすることもできる。
【0056】
ここで、微小ノズル30のノズル噴出口30K及びその周辺がクリーンな状態であれば、下方に向けて開口しているノズル噴出口30Kから噴出するスペーサインクは真っ直ぐ下方に飛行することになる。しかしながら、ノズル噴出口30Kの出口部及びその周辺では、表面状態によっては、インクが滞留して、乾燥状態でこびり付いたインクが成長することになり、インク塊によりノズル噴出口30Kが塞がれて、スペーサインクの噴射を円滑に行うことができない。そして、インク塊が大きく成長すると、詰まりが生じることになる。
【0057】
ノズル噴出口30Kに詰まりが生じないまでも、図8に示すように、その周辺部におけるインク塊Cが成長すると、ノズル噴出口30Kが部分的に覆われて、出口となる通路の方向が変化することになる。ここで、微小ノズル30はアクチュエータ32によりスペーサインクを噴出させるものであるため、スペーサインクは自由落下するのではなく、噴出時に初速が与えられる。ここで、ノズル噴出口30Kが部分的に閉塞されて、通路の方向が変化していると、スペーサインクは与えられた所定の速度による慣性力で曲がった方向に向けて噴出されることになる。また、開口面積が小さくなり、ノズル噴出口30Kから噴出するスペーサインクの液滴自体が小さくなるために、含まれているビーズの数が減少することもある。
【0058】
ノズル噴射口30Kを塞ぐ他の要因としては、スペーサインクは微小粒子であるスペーサビーズを含んでいることから、微小ノズル30がジャミング状態になることがある。このジャミングの程度によっては、不吐出や吐出異常を招来する。
【0059】
従って、微小ノズル30の不吐出状態を検出する必要があるのは当然として、スペーサインクの液滴が吐出したとしても、液滴の滴下状態を観測して、吐出異常状態となっているもの、つまり斜め下方に向けて滴下しているかを検出する必要がある。このために、スペーサインクの状態の検査を行う。検査部40において、定期的に微小ノズル30の噴射状態の検査を行うようにする。検査を行うタイミングとしては、1枚の基板1について散布処理(基板1の全ての箇所にスペーサインクを散布する処理)を行った後や、複数枚の基板1について散布処理を行った後等、任意に設定することができる。また、1枚の基板1について複数回の散布処理を行うことも可能である。
【0060】
ただし、基板1へのスペーサインクの散布処理と検査処理とを頻繁に交互に繰り返すと、処理が複雑化する。また、複数枚の基板1に対して散布処理を行った後に検査を行なうと、不吐出状態や吐出異常の状態で複数の基板1にスペーサインクが散布されることがある。この場合には、再処理が必要となるため、処理の効率化を図ることができない。従って、1枚の基板1に対しての散布処理が終了したときに、検査を行うようにすることが好ましい。
【0061】
カメラ66が撮影する画像について説明する。カメラ66が撮影する画像は静止画の画像である。また、スペーサインクの噴射タイミングに連動してLED62が発光する。LED62からの光は反射ミラー63で反射して、レンズ群64を経由して、反射板65で反射する。従って、反射板65で反射した光が、滴下するスペーサインクを照明する照明光となる。ただし、反射板65で反射した光を照明光とするためには、レンズ群64からカメラ66に結像する光の光軸と反射板65で反射した光の光軸とが一致する必要がある。このため、両者の光軸が一致するように、検査ユニット60を構成するときに、各部品を設定配置するようにする。そして、スペーサインクを含む被写体の画像がレンズ群64により、ハーフミラー63を透過して、カメラ66に結像する。そして、映像信号に変換された画像は、画像処理装置45において所定の画像処理が施される。
【0062】
図9及び図10にカメラ66が撮影した画像に対して画像処理を施したものを示す。図9は良好な状態を、図10は不吐出および吐出異常を生じている状態を示す。これらの図に示しているように、着弾シート等に着弾させた後のスペーサインクの画像ではなく、微小ノズル30(10本の微小ノズル30A〜30J)から滴下されて受け容器67に到達する前のスペーサインクの画像を直接的に静止画として撮影している。つまり、微小ノズル30から噴射されたスペーサインクの画像を取得している。
【0063】
画像領域には各微小ノズル30から噴射された液滴が複数映し出されるようにする。スペーサインクの噴射タイミングは短い周期で行っているため、画角を適切に設定すれば、1つの微小ノズル30から噴射された液滴を画像領域に複数映し出すことができる。図9では、10本の微小ノズル30A〜30Jから噴射された液滴が各4つ画像に含まれるように設定している。
【0064】
ここで、図9の画像領域を直交2軸で設定し、縦軸(微小ノズル30の配列方向)を各微小ノズル30A〜30Jの位置で区切り、横軸(液滴の落下方向)を1つの液滴の位置で区切るように設定する。縦軸の区切りをノズルラインL(微小ノズル30A〜30Jに対応して、ノズルラインLA〜LJとする)とし、横軸の区切りを高さHとする。高さHは、LED62の完結的な発光動作の間に液滴が落下する間隔に対応する。従って、ノズルラインLと高さHとの交差点が、各液滴の正常な位置になる。なお、この座標軸自体を決定するために、基準点BPを基準として設定することができる。
【0065】
カメラ66は、LED62の発光タイミングで液滴の画像を取得する。例えば、カメラ66として好適なCCDの場合、LED62が発光されていない状態では、CCDに光が入射しないため、光電変換を行うことができず、画像信号は取得されない。そして、LED62が発光したタイミングで光が入射するため、光電変換を行って、画像信号を取得する。そして、LED62は間欠的に発光を行うため、その発光タイミングで液滴の画像を複数取得する。
【0066】
前述したように、LED62の発光タイミングとスペーサインクの噴射タイミングとを連動させているため、各画像における液滴は全て同じ場所に位置している。例えば、図9において、微小ノズル30Aから噴射されたスペーサインクの液滴のうち、高さH1に位置していた液滴は、次のタイミングではH2の位置まで落下しており、高さH2に位置していた液滴はH3の位置まで落下している。そして、高さH1の位置には新たに微小ノズル30Aから噴射された液滴が位置している。このように、取得される複数の画像の高さH1〜H4の位置には、夫々異なるタイミングで噴射された液滴ではあるが、同じ場所に液滴が位置する。
【0067】
従って、1枚では明瞭に認識し得ない液滴の画像であっても、各タイミングで取得される画像を重畳させることにより、液滴の画像を明瞭に認識することができるようになる。
【0068】
図9は画像処理を施した画像であり、ここでは画像処理の手法として濃淡画像処理による二値化処理を行っているものとする。前記したように複数枚の画像を重畳させていることから、液滴の画像の濃度は高くなり、背景画像から液滴の画像のみを抽出することができる。そして、液滴のみが抽出されるような閾値を設定することにより、画像領域における液滴の情報を二値化信号として取得することができる。
【0069】
そこで、まず、不吐出の検出を行うために、液滴の個数をカウントする。微小ノズル30A〜30Jから吐出された液滴は、アクチュエータ32により与えられる初速と引力との関係で、真っ直ぐ下方に滴下される。また、所定のタイミングで液滴が吐出されることから、規則的な間隔をもって液滴が滴下される。これらの液滴は、本来であれば、画像領域において、高さ方向に4個の液滴が、垂直方向に並ぶようにして位置しているはずである。従って、図9においては、微小ノズル30A〜30Jの本数(10本)に各微小ノズルから噴射された液滴が画像領域に含まれる数(4つ)を乗じた数、即ち40個の液滴が存在するはずである。この数を、予め正規の数として画像処理装置45に記憶しておく。そして、画像処理によって抽出された液滴の個数と記憶された正規の数とを比較することにより、不吐出を検出する。この場合は、40個の液滴を検出できるため、不吐出がないと判定できる。
【0070】
次に、吐出異常は液滴の位置に基づいて検出する。前記の直交2軸において、各液滴の位置情報は取得できているため、正常な位置(ノズルラインLと高さHとの交差点)との比較を行う。図9の場合は、全ての液滴の位置情報は正常な位置と一致しているため、吐出異常を起こしていないと判定する。
【0071】
図10において、微小ノズル30Dは吐出異常を起こし、微小ノズル30Eは不吐出状態になっている。この場合、微小ノズル30Eが不吐出であるため、計測される液滴の個数は36個になり、正規の数である40個よりも少なくなっている。よって、不吐出を検出することができる。また、ノズルラインLD及びLEの液滴が抜けていることを検出できるため、不吐出の微小ノズルは、30D及び30Eであることも特定できる。そして、微小ノズル30Dから噴射された液滴は、正常な位置から大きくずれた場所に位置している。よって、吐出異常を起こしていることも判定することができる。
【0072】
一方、微小ノズル30Jから噴射された液滴は、正常な位置から外れてはいるものの、それほど大きく外れてはない。この場合、予めその位置から横軸および縦軸に一定範囲内を適正範囲として設定しておき、この適正範囲内であれば、吐出異常ではないと判定する。ここでは、微小ノズル30Jから噴射された液滴は、適正範囲内であるものとして判定されるものとする。
【0073】
ここで、図11を参照すると、微小ノズル30Dから噴射された液滴は、ノズルラインLD上に位置しているため、横軸方向においては適正範囲内である。しかし、縦軸方向においては、H1〜H4の位置からずれを生じている。これを吐出異常として検出する。縦軸方向にずれを生じる原因としては、微小ノズル30Dからの液滴の噴射速度に変化が生じた場合が挙げられる。各微小ノズル30から噴射される液滴はアクチュエータ32により初速が与えられて滴下していくが、各微小ノズル30A〜30Jから噴射する液滴は全て所定速度の初速が与えられなくてはならない。しかし、実際上、各微小ノズル30から噴射する液滴に与えられる初速が一定にならない場合がある。
【0074】
基板1は搬送テーブル20により搬送されており、その間に各微小ノズル30から噴射された液滴が基板1に着弾する。このため、各微小ノズル30から噴射される液滴が一定速度でない場合には、基板1の所定位置に液滴を着弾させることができない。具体的には、基板1の搬送テーブル20の搬送方向において、着弾位置に誤差を生じることになる。そこで、図11のように、縦軸方向にずれを生じ、このずれが許容範囲を超えている場合も、吐出異常と判定するようにする。
【0075】
画像領域には、微小ノズル30Dから噴射された液滴が3つ含まれているため、このうち2つの液滴間の間隔を計測する。そして、前記の2つの間隔を落下するのに要する時間は、LED62の照明タイミング、つまりPG61の駆動タイミングの間隔に等しいため、液滴間の間隔に基づいて、液滴の速度を算出することができる。なお、その他のファクターとして、PG61の駆動タイミング、微小ノズル30から噴射される液滴に与えられる初速等もある。
【0076】
そこで、算出された速度の情報をインクジェット制御装置44経由で各アクチュエータ32にフィードバックするようにする。このため、画像処理装置45で算出した速度の情報に基づいて、インクジェット制御装置44は、本来与えられる初速に対してのずれ量に応じた電圧をアクチュエータ32に印加するようにする。これにより、微小ノズル30Dから噴射する液滴を適正な速度にすることが可能になる。
【0077】
また、図11の微小ノズル30Fのように、液滴が一定速度で落下するが、他の微小ノズルとは異なるタイミングで液滴を噴射するような場合にも、吐出異常として検出する。この場合も、基板1の搬送方向に着弾位置にずれを生じるためである。このとき、画像処理により、微小ノズル30Fの噴射タイミングが適正なタイミングに対して生じているずれ量を算出できるため、このずれ量をフィードバックして、適切な噴射タイミングに制御することができる。
【0078】
ところで、各微小ノズル30から噴射される液滴が非常に高速に基板1に向かって落下している場合、画像領域中に液滴が含まれなくなる可能性もある。そこで、このような場合には、LED62の発光タイミングの周期を高速にすることにより、液滴を含む画像を取得することが可能になる。例えば、画像領域中に液滴を認識できない場合には、画像処理装置45からインクジェット制御装置44にその旨の信号を出力し、インクジェット制御装置44はPG61に対して、駆動タイミングを高速にする指令を出すようにする。PG61が高速に駆動すると、LED62の発光タイミングの周期も高速になるため、液滴を認識できる画像を取得することが可能になる。従って、液滴の速度に応じて、LED62の発光タイミングの周期を短くしていることになる(例えば、1/2周期や1/3周期等)。
【0079】
以上が検査部40の検査である。従って、吐出異常および不吐出のメンテナンスをするため、メンテナンス部41にインクジェットヘッド26を移行して、各微小ノズル30の洗浄を行う。そして、受け容器42にスペーサインクを捨て打ちした後に、再びスペーサインクを基板1に散布する位置にまで移行して、散布を行う。図10及び図11では、吐出異常と不吐出との両者を検出しているが、何れか1つだけを検出したときに前述の処理が行われる。
【0080】
次に、検査ユニットの他の例について説明する。図12に、他の例の検査ユニット110を示す。この検査ユニット110は、基本的には図5で示した検査ユニット60と同じである。異なる点について説明する。この例では、発光ユニット110Aと撮影ユニット110Bとを有している。発光ユニット110Aは、PG111とLED112とを有しており、撮影ユニット110Bはレンズ群114とカメラ116とを有している。図5の検査ユニットは一体的に構成されていたが、この例では発光ユニット110Aと撮影ユニット110Bとを別個独立に構成し、個別的に動作を行う。
【0081】
図12にも示しているように、LED112から発光される光を照明光として、滴下している液滴の画像を、レンズ群114からカメラ116に結像している。従って、検査ユニット60で用いていたハーフミラー63及び反射板65が不要になり、部品点数の削減を図れる。
【0082】
しかし、発光ユニット110Aと撮影ユニット110Bとを別個独立に配置することにより、機構及びメンテナンスが複雑化する。また、検査を行うときには、インクジェットヘッド26から滴下する液滴を撮影可能なように、検査部110Aと撮影ユニット110Bとを動作させているため、LED112から発光される光とレンズ群114からカメラ116に結像する光との光軸を一致させなくてはならない。この点では、光軸調整作業が複雑化することになる。
【0083】
従って、図5の検査ユニット60では、機構やメンテナンス、光軸調整を容易化することができ、図12の検査ユニット110では、部品点数の削減を図ることができる。
【0084】
次に、図12とは異なる検査ユニットの他の例について説明する。図13の検査ユニット120は、図5の検査ユニット60とほぼ同じである。異なる点について説明する。この検査ユニット120では、新たに第1の反射ミラー128と第2の反射ミラー129とが追加されている。第1の反射ミラー128と第2の反射ミラー129とは、夫々入射した光の光路を90度折り曲げる部品である。LED122から発光された光は、ハーフミラー123で反射して、レンズ群124に入射する。そして、第1の反射ミラー128で反射して、反射板125で反射して、第1のハーフミラー128、レンズ群124、ハーフミラー123を経て、第2の反射ミラー129で反射して、カメラ126に入射する。
【0085】
この検査ユニット120と図5の検査ユニット60との最も大きな違いは、レンズ群の向きである。図6の検査ユニット60のレンズ群64は、インクジェットヘッド26からの液滴の滴下方向と直交する方向であるため、この方向においてある程度のスペースが必要になり、ユニット全体が大型化する。ただし、第1のハーフミラー128と第2のハーフミラー129とを配置する必要はない。
【0086】
一方、図13の検査ユニット120のレンズ群124は、液滴の滴下方向と平行な方向である。インクジェットヘッド26と受け容器127との間にはある程度の距離を設ける必要があるため、レンズ群124をこれと平行な方向にすることにより、この方向と直交する方向におけるスペースを狭小化することができる。よって、図5の検査ユニット60と比較して、ユニット全体を小型化することができる。
【0087】
従って、部品点数の削減とユニット全体の小型化とのうち、何れを選択するかによって、検査ユニットの構成を任意に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】スペーサが散布される基板の構成説明図である。
【図2】液滴散布ステージの構成を示す概観図である。
【図3】インクジェットヘッドの先端部を示す構成説明図である。
【図4】インクジェットヘッドを構成する微小ノズルからのスペーサインクを噴射する動作の説明図である。
【図5】検査ユニットの概要を示す説明図である。
【図6】インクジェットから吐出されて滴下する液滴の方向とカメラの撮影方向との関係を示す説明図である。
【図7】基板に着弾したスペーサインクの状態を示す説明図である。
【図8】微小ノズルの先端の拡大図である。
【図9】噴射状態が良好なときの液滴の画像を画像処理している図である。
【図10】不吐出および吐出異常を起こしているときの液滴の画像を画像処理している図である。
【図11】他の吐出異常を起こしているときの液滴の画像を画像処理している図である。
【図12】他のインク状態検査装置の概要を示す説明図である。
【図13】図5および図12とは異なるインク状態検査装置の概要を示す説明図である。
【符号の説明】
【0089】
1 基板 2 画素領域
3 ブラックマトリクス領域 4 スペーサ
26 インクジェットヘッド 30 微小ノズル
30K ノズル噴射口 40 検査部
41 メンテナンス部 44 インクジェット制御装置
45 画像処理装置 60 検査ユニット
65 反射板 66 カメラ
C インク塊
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクを基板に散布するインク噴射状態検査装置、このインク噴射状態検査装置を適用したフラットパネルの製造装置およびこのフラットパネルの製造装置により製造されたフラットパネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
フラットパネルにはフラットパネルディスプレイや太陽電池等がある。フラットパネルディスプレイの1つに液晶ディスプレイがあり、液晶ディスプレイはガラス等の透明基板からなるTFT基板とカラーフィルタ基板とを接合して構成し、TFT基板とカラーフィルタ基板との間には液晶が封入される微小隙間のセルギャップが形成されている。セルギャップは複数のスペーサビーズの凝集体からなるスペーサにより確保される。スペーサは粒径が3〜5μmの球状とした微小粒子からなり、TFT基板またはカラーフィルタ基板のうち何れか一方の基板の表面に多数分散配置される。
【0003】
スペーサを構成するスペーサビーズは不透明な粒子であり、画素領域にスペーサビーズが位置していると、液晶ディスプレイとして構成したときに、表示画像の画質の低下を招来する。従って、画質低下を防止するために、スペーサはブラックマトリックス領域に限定的に配置される。このため、スペーサビーズを溶剤に均一に分散させた懸濁液からなるスペーサインクを用い、スペーサインクをブラックマトリックス領域に着弾させるようにしている。
【0004】
スペーサインクの供給方式としては、所定のピッチ間隔で複数配列された微小ノズルからスペーサインクを噴射するインクジェット方式が採られている。インクジェット方式では、インクジェットヘッドに微小ノズルを設けたインクジェット手段を用いて、微小ノズルから基板に向けてスペーサインクの液滴を噴射させて、基板上に付着させている。各ノズルから噴射されたスペーサインクが基板の所定位置に着弾した後には、溶剤が揮発して、乾燥後の基板上にはスペーサインクが残存する。ノズル噴射口から噴射された1つの液滴には、複数(具体的には5〜8個程度)のスペーサビーズが含まれるが、溶剤が揮発する間に、スペーサビーズは相互に密着するように凝集して、基板全面にスペーサビーズの凝集体となったスペーサがほぼ均一に散布されることになる。
【0005】
微小ノズルからスペーサインクを噴射していると、スペーサインクが微小ノズルの縁に付着し、これが乾燥してインク塊となる。そして、長期間にわたってインクジェットヘッドを使用していると、インク塊が成長して、ノズル噴射口を塞いて詰まらせる原因となる。また、スペーサインクは、インクに微小粒子であるスペーサビーズを含ませたものであるため、スペーサビーズが微小ノズルの噴射口近辺に詰まってジャミング状態となることも、詰まりを生じる原因となる。このため、微小ノズルが詰まって不吐出状態になり、スペーサインクに抜けが生じることになる。抜けが生じた状態の微小ノズルを有するインクジェットヘッドで散布した基板は不良品となり、基板を洗い流してから改めてスペーサインクの散布が行われる。
【0006】
従って、インクジェットヘッドを使用する場合には、定期的にノズルの噴射状態の検査を行う必要がある。この検査を行う技術が、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1では、インクを着弾シートに所定回数着弾させて、着弾シート上のインクの画像を撮像手段により取り込んで、画像情報に変換して画像解析を行う。このとき、予めインクの着弾情報を記憶しておき、取り込んだ画像と予め記憶した情報とを比較して、検査を行っている。
【特許文献1】特開2007−111592号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の技術では、インクジェットヘッドのノズル噴射状態の検査は、着弾シートに付着したインクの画像に基づいて画像解析を行っているため、着弾シート自体にずれや歪み等が生じているときには、正確なインク噴射状態の検査を行うことができない。着弾シートの画像を取得するときには、インクが着弾した部位に光を照射して、その反射光を映像光として撮影することになる。従って、着弾シートがフラットな面を有していれば正確な画像認識を行うことができるが、何らかの理由で歪んでいる場合等においては、反射光を正しく認識することができない(画像にぼけが生じたり、誤検出をしたりすることがある)。また、着弾シートがフラットな場合でも、シートにずれを生じている場合には、誤検出となり、正しく認識することができない。特許文献1では、予め取り込んである画像情報と取得した画像情報とを比較して画像処理を行っているため、不正確な画像に基づいて比較を行うと、インク噴射状態の検査を正しく行うことができない。
【0008】
また、着弾シートにインクが着弾した後には、撮像手段がインク付着部位を観察可能な位置にまでシートを送るように、巻取ロールが着弾シートを所定長さ分だけ巻き取っている。従って、インクの着弾と撮像手段の撮像とを繰り返すたびに着弾シートの巻取り動作を行うため、動作時に着弾シートはずれや歪み等を生じやすく、着弾シート自体の正確性を担保することができなくなる。その結果、誤検出等を生じてインクの着弾状態の正確な画像を取得できなくなる。特に、ノズル噴射状態を良好に維持するために頻繁に検査が行われるため、前記の問題はより顕著になる。
【0009】
さらに、着弾シートを用いる従来の技術では、着弾シートや巻取ロール等の特別な機構を必要とし、装置全体の複雑化や高コスト化を招来する。さらに、着弾シートの巻取動作等を要するため、処理が遅延化する。
【0010】
そこで、本発明は、複雑な機構を要することなくノズルの噴射状態を正確に検査し、ノズルが不良となる前に検出して処理効率の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の請求項1のインク噴射状態検査装置は、間欠的にインク液滴を下方に向けて噴射する複数のノズルが1列に配列して設けられたインクジェットヘッドと、各ノズルから噴射されて滴下しているインク液滴の画像であり、画像領域中に各ノズルから噴射されたインク液滴が少なくとも1個は含まれるような画像を撮影する撮影手段と、前記撮影手段によるインク液滴の画像に画像処理を施して、前記インクジェットヘッドに設けられる各ノズルからのインク液滴の噴射が適正であるか否かを検出する画像処理手段と、を有することを特徴としている。
【0012】
請求項1のインク噴射状態検査装置によれば、撮影手段は、ノズルから噴射されて滴下中のインク液滴の画像を取得しているため、インク液滴自体を直接的に観察することができる。従って、着弾シートのような間接的な部材を使用しないため、取得した画像に生じるぼけや誤検出等といったことがなく、正確にノズルからのインク液滴の噴射が適正であるか否かを検出することができる。また、着弾シートや送り機構等の種々の機構も要しないため、装置の簡素化や低コスト化といった効果を奏する。
【0013】
本発明の請求項2のインク噴射状態検査装置は、請求項1記載のインク噴射検査装置において、前記画像処理手段は、前記撮影手段が取得した画像に含まれるインク液滴の数を計測し、この数が正規の数であるか否かに基づいて、インク液滴の噴射が適正であるか否かを検出すること、を特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項3のインク噴射状態検査装置は、請求項1記載のインク噴射検査装置において、前記画像処理手段は、前記撮影手段が取得した画像に含まれる各インク液滴の画像領域中の位置を計測し、この位置が適正範囲内であるか否かに基づいて、インク液滴の噴射が適正であるか否かを検出すること、を特徴とする。
【0015】
インク液滴の噴射が適正であるか否かは、不吐出(ノズルからインク液滴が噴射されていない状態)または吐出異常(不吐出ではないが、インク滴下方向の変化やインク滴下速度の変化、噴射タイミングの変化等を生じているノズルの噴射状態が正常ではない状態)が検出されるか否かに基づいて判定する。このうち、不吐出については、請求項2のインク噴射状態検査装置のように、画像に含まれるインク液滴の個数を計測して、正規の数(本来検出されるべきインク液滴の正常な個数)あるか否かに基づいて検出する。また、吐出異常については、請求項3のインク噴射状態検査装置のように、各インク液滴の画像が適正範囲内に位置しているか否かに基づいて検出する。前記の正規の数や適正範囲に関するデータは、予め画像処理手段に記憶しておき、このデータと画像処理を行った画像データとを比較して行うようにする。
【0016】
また、インクの噴射状態は良好な状態から、吐出異常の状態、そして不吐出へと段階的に変化していくことがある。そこで、ノズルから噴射されて滴下しているインク液滴の画像を直接的に観察することにより、不吐出や吐出異常になる前にそのことを検出することが可能になる。インク液滴の画像を観察すると、インクの噴射が良好な状態から吐出異常に変化する前に検出できれば、その時点でインクジェットヘッドの使用を中止することができる。そして、インクジェットヘッドのメンテナンスを行って復旧すれば、再度ワークにインクを散布する処理を行うことが可能になる。従って、吐出異常の状態でインク液滴をワークに散布することがなくなり、ワークを洗い流して、改めてインク散布を行う処理(再処理)を行う必要がなくなる。
【0017】
インク液滴の個数の計測、または各インク液滴の位置の検出は、画像処理により行う。撮影手段が取得した画像に対して画像処理を施して、インク液滴とその他の部位(背景画像等)とで二値化を行うことにより、インク液滴のみを検出できる。これにより、個数のカウントや位置の検出が可能になる。二値化の手法としては、パターンマッチングや濃淡画像処理等の手法を適用することができる。
【0018】
撮影手段が撮影する画像は静止画である。従って、静止画を撮影することができるものであれば、撮影手段として任意の手段を適用することができ、例えばテレビカメラやCCD等の任意の手段を適用することができる。ただし、画像処理を行うという観点からCCDが好適である。また、インク液滴の画像は静止画として取得するが、インク液滴の画像を動画として取得してもよい。この場合には、取得した動画像の中から所定タイミング(静止画を撮影するタイミング)で画像を切り出して、静止画を生成するものであってもよい。
【0019】
本発明の請求項4のインク噴射状態検査装置は、請求項1記載のインク噴射状態検査装置において、前記画像処理手段は、前記撮影手段が取得した画像に含まれる各インク液滴の画像領域中の位置を計測し、各ノズルから噴射されたインク液滴のうち2つのインク液滴の位置に基づいて、各ノズルから噴射されたインク液滴の速度を計測し、計測した速度が適正範囲内であるか否かに基づいて、インク液滴の噴射が適正であるか否かを検出すること、を特徴とする。
【0020】
インク液滴の噴射が適正であるか否かは、各ノズルから噴射されたインク液滴の速度によっても判定することができる。ワークにインク液滴を着弾させるときは、インクジェットヘッドに対してワークを搬送しているため、インク液滴の速度が所定速度から変化している場合には、ワーク上の所定位置にインク液滴を着弾させることができなくなる(ワークの搬送方向にずれを生じることになる)。そこで、請求項4のインク噴射状態検査装置によれば、各ノズルから噴射されたインク液滴の速度を計測して、適正であるか否かの判定を行っている。
【0021】
本発明の請求項5のインク噴射状態検査装置は、請求項4記載のインク噴射状態検査装置において、各ノズルの液滴の噴射速度を制御する速度制御装置を設け、前記画像処理手段が前記インク液滴の速度が適正範囲内にないことを検出したときには、前記速度制御装置は、前記インク液滴の速度に応じて、各ノズルのインク液滴の噴射速度を制御すること、を特徴とする。
【0022】
請求項5のインク噴射状態検査装置によれば、インク液滴の速度に応じて各ノズルのインク液滴の噴射速度を制御することにより、インク液滴の速度を適正な速度に修正することができる。
【0023】
本発明の請求項6のインク噴射状態検査装置は、請求項1記載のインク噴射状態検査装置において、前記インクジェットヘッドは、インク液滴が散布されるワークが配置されるインク散布ステージと、前記撮影手段を配置した検査ステージとの間を往復移動可能な構成となし、前記インク散布ステージにおいて、1または複数のワークにインク液滴の散布が行われる毎に、前記インクジェットヘッドを前記検査ステージに移行させて、インク液滴の噴射が適正であるか否かを検出すること、を特徴とする。
【0024】
請求項6のインク噴射状態検査装置によれば、1または複数のワークにインク液滴の散布が行われる毎に、インクジェットヘッドはインク散布ステージから検査ステージに移行してインク液滴の噴射が適正であるか否かの検出を行っているため、インク散布と検査とを交互に行うことができる。特に、ノズルからは多量のインク液滴が噴射されるため、ノズルに詰まりや曲がりが生じやすくなり、検査を頻繁に行うことが好ましい。このため、インク散布と検査とを交互に行うことにより、インク液滴の噴射を良好な状態に維持することができる。
【0025】
本発明の請求項7のインク噴射状態検査装置は、請求項1記載のインク噴射状態検査装置において、前記各ノズルを駆動して間欠的にインクを噴射させる駆動手段と、この駆動手段の駆動タイミングに連動して間欠的に照明光を照射して、インク液滴を照明する照明手段とを有し、前記撮影手段は、前記照明手段が照明光を照射したタイミングでインク液滴の画像を撮影して複数枚の画像を取得し、前記画像処理手段は、前記撮影手段が撮影した複数枚の画像を重畳した画像を生成し、この重畳した画像に基づいて、インク液滴の噴射が適正であるか否かを検出すること、を特徴とする。
【0026】
そこで、請求項7のインク噴射状態検査装置によれば、インクの駆動手段の駆動タイミングと照明手段の照明タイミングとを連動させ、このタイミングで撮影手段は画像を取得している。駆動手段は間欠的に駆動を行ってインクの噴射を行っているため、タイミングを連動させることによって、同じインク液滴の画像を複数取得することができる。そして、1枚の画像では明瞭に認識することができなくても、複数取得された画像を重畳させると、インク液滴を明瞭に認識できるようになる。このため、容易に画像処理を行うことができるようになる。
【0027】
なお、この場合、カメラ(撮影手段)のシャッタは常に開放状態にして、照明手段の照明タイミングで複数枚の画像を取得しているが、照明手段からは常時照明光を照射するようにし、駆動手段とタイミングを連動させてカメラのシャッタ開閉制御を間欠的に行うことにより、複数枚の画像を取得するようにしてもよい。
【0028】
また、複数の画像を取得して重畳させれば明瞭にインク液滴を認識することができるが、高精度の画像処理を施すことが可能であり、1枚の画像でもインク液滴の画像を認識できる場合であれば、タイミングを連動させて複数の画像を取得しなくても、1枚の画像だけを取得するものであってもよい。
【0029】
本発明の請求項8のインク噴射状態検査装置は、請求項7記載のインク噴射状態検査装置において、前記画像処理手段は、前記撮影手段が取得した画像に含まれる各インク液滴の画像領域中の位置を計測し、各ノズルから噴射されたインク液滴のうち2つのインク液滴の位置に基づいて、各ノズルから噴射されたインク液滴の速度を計測し、前記照明手段は、前記インク液滴の速度に応じたタイミングで照明すること、を特徴とする。
【0030】
照明手段は間欠的に照明光を照射するが、インク液滴の落下速度が高速の場合には、画像領域内にインク液滴を映し出すことができなくなることもある。そこで、請求項8のインク噴射状態検査装置では、計測したインク液滴の速度に応じてインク液滴を照明するようにする。つまり、インク液滴の落下速度が高速の場合には、それに応じて照明手段の照明タイミングの周期を短くするようにする。例えば、ノズルを駆動する駆動タイミングの周期に対して、照明手段の照明タイミングの周期を1/nにすることにより、照明タイミングの周期を短くすることができる。
【0031】
本発明の請求項9のインク噴射状態検査装置は、請求項1記載のインク噴射状態検査装置において、インク液滴を照明する照明手段を前記撮影手段と一体的に構成し、前記照明手段からの光を反射して、この光の光軸と前記撮影手段に設けられるレンズの光軸とを一致させるハーフミラーを設け、前記光軸上に反射板を配置し、前記照明手段および前記撮影手段と前記反射板との間の空間にインク液滴が滴下するように前記インクジェットヘッドを配置し、前記反射板で反射した光を照明光として、前記撮影手段はインク液滴の画像を取得することを特徴とする。
【0032】
請求項9のインク噴射状態検査装置によれば、照明手段と撮影手段とを一体的に構成しているため、装置全体の構造をシンプルにすることができ、メンテナンスが容易になるという効果も奏する。さらに、照明手段と撮影手段とを別個独立に設ける場合には、検査を行うたびに両者の光軸を一致させる調整作業が必要になるが、請求項9のインク噴射状態検査装置では、ハーフミラーを用いて、照明手段の光の光軸と撮影手段のレンズの光軸とを一致させているため、照明手段と撮影手段とを一体的に構成するときだけ、光軸調整を行えばよい。このため、光軸調整作業の簡素化という効果を奏する。
【0033】
本発明の請求項10のフラットパネルの製造装置は、請求項1乃至9何れか1項に記載のインク噴射状態検査装置を有している。また、本発明の請求項11のフラットパネルは、請求項10記載のフラットパネルの製造装置により製造されている。前述してきたインク噴射状態検査装置は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイや太陽電池等のフラットパネルの製造装置に適用することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明のインク噴射状態検査装置は、ノズルから噴射されて滴下しているときのインク液滴の画像を直接的に観察しているため、着弾シート等の特別な機構を要することなく正確な検査を行うことができ、装置の簡素化や低コスト化といった効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。図1において、基板1はガラス等の薄型の透明基板である。基板1は、TFT回路が形成されたTFT基板やカラーフィルタが形成されたカラーフィルタ基板を適用することができる。ここでは、基板1はカラーフィルタ基板であるものとして説明する。基板1は、主に画素領域2とブラックマトリクス領域3とを有している。画素領域はRGBの各色の画素を構成する画素領域であり、画素領域2の間はブラックマトリクス領域3により区画形成されている。ブラックマトリクス領域3にはスペーサ4が均一に散布され、スペーサ4によりカラーフィルタ基板とTFT基板とが接合されたときに、所定間隙となるセルギャップを形成する。そして、スペーサ4により形成される両基板の間の隙間に液晶を封入することにより液晶パネルが形成される。スペーサ4は、カラーフィルタ基板側だけではなく、TFT基板側に形成するものであってもよい。
【0036】
図2に、スペーサインクの散布を行う全体のシステム構成を示す。図2において、基台11にインク散布ステージ12と検査ステージ13とを設けている。まず、インク散布ステージ12について説明する。インク散布ステージ12は、搬送テーブル20とボールねじ手段21とX軸ガイド22とインクジェット手段23とY軸ガイド24と移動台25とインクジェットヘッド26とインクボトル27とを有して概略構成される。
【0037】
基板1は搬送テーブル20に載置されて、搬送テーブル20に真空吸着手段等で固定的に保持されている。そして、搬送テーブル20はエンコーダ付きのボールねじ手段21によりX軸ガイド22に沿って図中のX方向に搬送される。そして、基板1の表面に対してスペーサインクが散布される。
【0038】
また、スペーサインクを散布するためのインクジェット手段23は、搬送テーブル20を跨ぐように門型をしたY軸ガイド24に装着されている移動台25に設置されている。移動台25は搬送テーブル20の搬送方向と直交するY方向に移動可能となっている。インクジェット手段23は、インクジェットヘッド26とインクボトル27とを具備し、インクジェットヘッド26およびインクボトル27は移動台25によってY軸ガイド24に沿って、図示しないエンコーダ付きのボール送りねじ手段によりY方向に移動する。
【0039】
インクジェット手段23を構成するインクジェットヘッド26は、図3に示すように、多数の微小ノズル30を所定のピッチ間隔で配列したものから構成し、各微小ノズル30から一定量のスペーサインクを下方に向けて間欠的に噴射する。スペーサインクの噴射は各々の微小ノズル30が個別的に制御されて、それぞれスペーサインクをほぼ同時に噴射するようにしている。そして、図4に示すように、インクジェットヘッド26に、微小ノズル30に連通するチャンバピース31を備え、チャンバピース31はインクボトル27からのインク供給路に接続する。
【0040】
チャンバピース31には圧電素子からなるアクチュエータ32が装着されており、アクチュエータ32に電圧を印加すると、図4の二点鎖線で示すように、アクチュエータ32が変形して、チャンバピース31が拡張する。その結果、インクボトル27側からスペーサインクがチャンバピース31に吸い込まれる。次に、アクチュエータ32への電圧の印加を停止すると、元の状態に復元し、チャンバピース31の容積が減少して、その分のスペーサインクが微小ノズル30から噴射される。
【0041】
従って、搬送テーブル20により基板1をX方向に間欠的に送る間に、各微小ノズル30からスペーサインクを噴射させることにより、基板1にスペーサインクの液滴(以下、単に「液滴」とする)が滴下されることになる。また、インクジェットヘッド26は基板1の幅方向の一部分にしか及んでおらず、このためにインクジェットヘッド26はY方向に走査することになる。そして、微小ノズル30によるスペーサインクの噴射制御を含め、インクジェットヘッド26の動作制御を行うためのインクジェット制御装置44を設けている。
【0042】
インクジェット制御装置44は、微小ノズル30に具備されるアクチュエータ32の駆動制御を行う。具体的には、微小ノズル30に対して所定間隔で駆動信号を出力し、この信号に基づいてアクチュエータ32は変形動作を行う。駆動信号は所定間隔でインクジェット制御装置44から出力されるため、アクチュエータ32の駆動動作も所定間隔毎になり、間欠的にスペーサインクの噴射を行うようになる。
【0043】
また、インクジェット制御装置44には、速度制御装置としての速度コントローラ機能を備えており、この速度コントローラ機能により、各微小ノズル30のアクチュエータ32に印加する電圧をコントロールする。この電圧をコントロールすることにより、アクチュエータ32の変形量を適宜変化させることができ、微小ノズル30から噴射するときの噴射速度を変化させることができる。つまり、インクジェット制御装置44は各微小ノズル30の液滴の噴射速度を任意に設定するための手段を備えている。
【0044】
図2に戻って、検査ステージ13について説明する。検査ステージ13は、検査部40とメンテナンス部41と受け容器42とを有している。検査部40には、画像処理装置45が接続され、画像処理装置45はモニタMに接続される。
【0045】
図5を参照して、検査部40について説明する。検査部40は、PG(パルスジェネレータ)61とLED62とハーフミラー63とレンズ群64と反射板65とカメラ66と受け容器67とを有し、これら各部を一体的に動作する検査ユニット60として構成する。PG61はLED62と接続され、LED62に対しての発光タイミングを制御し、LED62はPG61からの制御信号に基づいて発光する。ハーフミラー63は、LED62からの光を反射して、レンズ群64からの光を透過するような特性を有する部品である。レンズ群64は被写体(インクジェットヘッド26から噴射されて滴下する液滴)からの光をカメラ66に結像するために設けられる。反射板65は、入射した光をそのまま反射する全反射ミラーである。カメラ66は、被写体の画像を映像信号に変換して画像を生成するテレビカメラやCCD等の撮影手段である。受け容器67は、前述した受け容器42と同じものであり、検査部40において設けられるスペーサインクを受ける容器である。
【0046】
レンズ群64と反射板65との間には所定間隔の空間が形成されるように配置する。この空間をインクジェットヘッド26の微小ノズル30から噴射されたスペーサインクの液滴(以下、単に液滴とする)が滴下していくような位置関係となるように、検査ユニット60とインクジェットヘッド26とを配置する。ここでは、移動台25をY軸ガイド24に沿って検査部40の位置にまで移行し、図示しない検査ユニット60の制御手段が、検査ユニット60を、レンズ群64と反射板65との間に形成される空間の上部にインクジェットヘッド26が位置するように制御するものとする。
【0047】
図6は、インクジェットヘッド26から噴射された液滴の滴下方向とカメラ66の撮影方向との位置関係を説明する図である(ハーフミラー63及びレンズ群64は図示を省略する)。この図に示すように、インクジェットヘッド26を、基板1が設置される高さ位置の水平面HPに対して所定の高さ位置hに配置して、インクジェットヘッド26の各微小ノズル30から液滴を所定間隔で間欠的に噴射させる。そして、カメラ66によって各微小ノズル30から滴下する液滴の画像を取得する。ここで、カメラ66の視野の幅VWは、全ての微小ノズル30からの液滴の滴下部位を含み、高さVHは、液滴の噴射間隔が、各ノズル30からの液滴が少なくとも1個、好ましくは複数個が入るような間隔とする。つまり、カメラ66は、微小ノズル30から滴下する各液滴を含む垂直面VP(水平面HPに直交する面)を撮影していることになる。
【0048】
図5に示すように、PG61はインクジェット制御装置44に接続されている。インクジェット制御装置44は、アクチュエータ32に対しての駆動信号の出力タイミングに連動して、PG61に対しても所定間隔で駆動信号を出力するようにしている。従って、微小ノズル30からのスペーサインクの噴射タイミングとPG61からのLED62に対して発光タイミングとは連動することになる。
【0049】
カメラ66は画像処理装置45に接続されており、カメラ66が撮影した画像が画像処理装置45に出力される。なお、画像処理装置45を検査部40と別個独立に配置しているが、画像処理装置45も検査部40と同じく検査手段を構成するものである。
【0050】
図2に戻って、メンテナンス部41はインクジェットヘッド26が汚損されたときに、そのクリーニングや修復等のメンテナンスを行う。ここでは、メンテナンスを行う手法として、インクジェットヘッド26の各微小ノズル30の洗浄及び吸引を行うようにしている。また、メンテナンスを行う手法としては、例えば微小ノズル30のチャンバピース31に高圧力を作用させて、微小ノズル30の通路内でジャミング状態となっている微小粒子を排出する手法等を適用することも可能である。
【0051】
受け容器42は、スペーサインクを受けるための容器である。メンテナンス部41における洗浄後には、スペーサインクを良好に散布するために、インクジェットヘッド26からスペーサインクの捨て打ちが行われ、そのスペーサインクを受けるために受け容器42が配置される。また、検査部40、メンテナンス部41および受け容器42は、夫々Y軸ガイド24の移動経路上に位置している。
【0052】
次に、基板1に対してのスペーサインクの着弾状態について説明する。図7(a)は、正確な位置にスペーサインクが着弾している状態を示している。この場合には、インク散布ステージ12から基板1を搬送して、ベーキング工程を行って、スペーサ4を基板1に定着・固定させる。これにより、正確な位置にスペーサ4が形成される。
【0053】
同図(b)は、不吐出が生じている状態を示している。不吐出は、スペーサインクに抜けが生じて、図中に示すように、スペーサインクが本来着弾すべき着弾位置(図中の破線領域)にスペーサインクが滴下されない状態である。この場合には、スペーサ4の分布密度が不均一になり、インクジェットヘッド26のメンテナンスを行った上で、再処理(基板1の洗浄処理およびスペーサインクの散布処理)を行わなくてはならない。
【0054】
同図(c)は、吐出異常が生じている状態を示している。スペーサインクは本来的な着弾位置から外れた場所(画素領域2と接触する程度に外れた位置)に着弾している。この場合には、本来的な着弾位置から大きく外れているため、スペーサ4の分布密度が不均一になる。また、画素領域2に着弾した場合には、その画素に欠陥が生じる。この場合、不吐出ではないが、やはり再処理を行わなければならない。従って、微小ノズル30のインク噴射状態を、良好な状態(同図(a))、不吐出(同図(b))、吐出異常(同図(c))の3つの状態に分類する。
【0055】
前記の3つの状態のうち、微小ノズル30が不吐出や吐出異常となっている場合には、微小ノズル30の噴射状態が不良であると判定する。ここで、若干外れた程度の位置に着弾している場合には、スペーサ4の分布密度をある程度は均一化することができ、逆にずれの程度にかかわらず画一的に再処理を行うことは処理が遅延化する。そこで、スペーサインクの着弾位置に若干の幅を持たせて、この幅を許容範囲として設定する。設定された範囲内であれば良好な状態であると判定し、範囲外であれば吐出異常と判定するようにすることもできる。
【0056】
ここで、微小ノズル30のノズル噴出口30K及びその周辺がクリーンな状態であれば、下方に向けて開口しているノズル噴出口30Kから噴出するスペーサインクは真っ直ぐ下方に飛行することになる。しかしながら、ノズル噴出口30Kの出口部及びその周辺では、表面状態によっては、インクが滞留して、乾燥状態でこびり付いたインクが成長することになり、インク塊によりノズル噴出口30Kが塞がれて、スペーサインクの噴射を円滑に行うことができない。そして、インク塊が大きく成長すると、詰まりが生じることになる。
【0057】
ノズル噴出口30Kに詰まりが生じないまでも、図8に示すように、その周辺部におけるインク塊Cが成長すると、ノズル噴出口30Kが部分的に覆われて、出口となる通路の方向が変化することになる。ここで、微小ノズル30はアクチュエータ32によりスペーサインクを噴出させるものであるため、スペーサインクは自由落下するのではなく、噴出時に初速が与えられる。ここで、ノズル噴出口30Kが部分的に閉塞されて、通路の方向が変化していると、スペーサインクは与えられた所定の速度による慣性力で曲がった方向に向けて噴出されることになる。また、開口面積が小さくなり、ノズル噴出口30Kから噴出するスペーサインクの液滴自体が小さくなるために、含まれているビーズの数が減少することもある。
【0058】
ノズル噴射口30Kを塞ぐ他の要因としては、スペーサインクは微小粒子であるスペーサビーズを含んでいることから、微小ノズル30がジャミング状態になることがある。このジャミングの程度によっては、不吐出や吐出異常を招来する。
【0059】
従って、微小ノズル30の不吐出状態を検出する必要があるのは当然として、スペーサインクの液滴が吐出したとしても、液滴の滴下状態を観測して、吐出異常状態となっているもの、つまり斜め下方に向けて滴下しているかを検出する必要がある。このために、スペーサインクの状態の検査を行う。検査部40において、定期的に微小ノズル30の噴射状態の検査を行うようにする。検査を行うタイミングとしては、1枚の基板1について散布処理(基板1の全ての箇所にスペーサインクを散布する処理)を行った後や、複数枚の基板1について散布処理を行った後等、任意に設定することができる。また、1枚の基板1について複数回の散布処理を行うことも可能である。
【0060】
ただし、基板1へのスペーサインクの散布処理と検査処理とを頻繁に交互に繰り返すと、処理が複雑化する。また、複数枚の基板1に対して散布処理を行った後に検査を行なうと、不吐出状態や吐出異常の状態で複数の基板1にスペーサインクが散布されることがある。この場合には、再処理が必要となるため、処理の効率化を図ることができない。従って、1枚の基板1に対しての散布処理が終了したときに、検査を行うようにすることが好ましい。
【0061】
カメラ66が撮影する画像について説明する。カメラ66が撮影する画像は静止画の画像である。また、スペーサインクの噴射タイミングに連動してLED62が発光する。LED62からの光は反射ミラー63で反射して、レンズ群64を経由して、反射板65で反射する。従って、反射板65で反射した光が、滴下するスペーサインクを照明する照明光となる。ただし、反射板65で反射した光を照明光とするためには、レンズ群64からカメラ66に結像する光の光軸と反射板65で反射した光の光軸とが一致する必要がある。このため、両者の光軸が一致するように、検査ユニット60を構成するときに、各部品を設定配置するようにする。そして、スペーサインクを含む被写体の画像がレンズ群64により、ハーフミラー63を透過して、カメラ66に結像する。そして、映像信号に変換された画像は、画像処理装置45において所定の画像処理が施される。
【0062】
図9及び図10にカメラ66が撮影した画像に対して画像処理を施したものを示す。図9は良好な状態を、図10は不吐出および吐出異常を生じている状態を示す。これらの図に示しているように、着弾シート等に着弾させた後のスペーサインクの画像ではなく、微小ノズル30(10本の微小ノズル30A〜30J)から滴下されて受け容器67に到達する前のスペーサインクの画像を直接的に静止画として撮影している。つまり、微小ノズル30から噴射されたスペーサインクの画像を取得している。
【0063】
画像領域には各微小ノズル30から噴射された液滴が複数映し出されるようにする。スペーサインクの噴射タイミングは短い周期で行っているため、画角を適切に設定すれば、1つの微小ノズル30から噴射された液滴を画像領域に複数映し出すことができる。図9では、10本の微小ノズル30A〜30Jから噴射された液滴が各4つ画像に含まれるように設定している。
【0064】
ここで、図9の画像領域を直交2軸で設定し、縦軸(微小ノズル30の配列方向)を各微小ノズル30A〜30Jの位置で区切り、横軸(液滴の落下方向)を1つの液滴の位置で区切るように設定する。縦軸の区切りをノズルラインL(微小ノズル30A〜30Jに対応して、ノズルラインLA〜LJとする)とし、横軸の区切りを高さHとする。高さHは、LED62の完結的な発光動作の間に液滴が落下する間隔に対応する。従って、ノズルラインLと高さHとの交差点が、各液滴の正常な位置になる。なお、この座標軸自体を決定するために、基準点BPを基準として設定することができる。
【0065】
カメラ66は、LED62の発光タイミングで液滴の画像を取得する。例えば、カメラ66として好適なCCDの場合、LED62が発光されていない状態では、CCDに光が入射しないため、光電変換を行うことができず、画像信号は取得されない。そして、LED62が発光したタイミングで光が入射するため、光電変換を行って、画像信号を取得する。そして、LED62は間欠的に発光を行うため、その発光タイミングで液滴の画像を複数取得する。
【0066】
前述したように、LED62の発光タイミングとスペーサインクの噴射タイミングとを連動させているため、各画像における液滴は全て同じ場所に位置している。例えば、図9において、微小ノズル30Aから噴射されたスペーサインクの液滴のうち、高さH1に位置していた液滴は、次のタイミングではH2の位置まで落下しており、高さH2に位置していた液滴はH3の位置まで落下している。そして、高さH1の位置には新たに微小ノズル30Aから噴射された液滴が位置している。このように、取得される複数の画像の高さH1〜H4の位置には、夫々異なるタイミングで噴射された液滴ではあるが、同じ場所に液滴が位置する。
【0067】
従って、1枚では明瞭に認識し得ない液滴の画像であっても、各タイミングで取得される画像を重畳させることにより、液滴の画像を明瞭に認識することができるようになる。
【0068】
図9は画像処理を施した画像であり、ここでは画像処理の手法として濃淡画像処理による二値化処理を行っているものとする。前記したように複数枚の画像を重畳させていることから、液滴の画像の濃度は高くなり、背景画像から液滴の画像のみを抽出することができる。そして、液滴のみが抽出されるような閾値を設定することにより、画像領域における液滴の情報を二値化信号として取得することができる。
【0069】
そこで、まず、不吐出の検出を行うために、液滴の個数をカウントする。微小ノズル30A〜30Jから吐出された液滴は、アクチュエータ32により与えられる初速と引力との関係で、真っ直ぐ下方に滴下される。また、所定のタイミングで液滴が吐出されることから、規則的な間隔をもって液滴が滴下される。これらの液滴は、本来であれば、画像領域において、高さ方向に4個の液滴が、垂直方向に並ぶようにして位置しているはずである。従って、図9においては、微小ノズル30A〜30Jの本数(10本)に各微小ノズルから噴射された液滴が画像領域に含まれる数(4つ)を乗じた数、即ち40個の液滴が存在するはずである。この数を、予め正規の数として画像処理装置45に記憶しておく。そして、画像処理によって抽出された液滴の個数と記憶された正規の数とを比較することにより、不吐出を検出する。この場合は、40個の液滴を検出できるため、不吐出がないと判定できる。
【0070】
次に、吐出異常は液滴の位置に基づいて検出する。前記の直交2軸において、各液滴の位置情報は取得できているため、正常な位置(ノズルラインLと高さHとの交差点)との比較を行う。図9の場合は、全ての液滴の位置情報は正常な位置と一致しているため、吐出異常を起こしていないと判定する。
【0071】
図10において、微小ノズル30Dは吐出異常を起こし、微小ノズル30Eは不吐出状態になっている。この場合、微小ノズル30Eが不吐出であるため、計測される液滴の個数は36個になり、正規の数である40個よりも少なくなっている。よって、不吐出を検出することができる。また、ノズルラインLD及びLEの液滴が抜けていることを検出できるため、不吐出の微小ノズルは、30D及び30Eであることも特定できる。そして、微小ノズル30Dから噴射された液滴は、正常な位置から大きくずれた場所に位置している。よって、吐出異常を起こしていることも判定することができる。
【0072】
一方、微小ノズル30Jから噴射された液滴は、正常な位置から外れてはいるものの、それほど大きく外れてはない。この場合、予めその位置から横軸および縦軸に一定範囲内を適正範囲として設定しておき、この適正範囲内であれば、吐出異常ではないと判定する。ここでは、微小ノズル30Jから噴射された液滴は、適正範囲内であるものとして判定されるものとする。
【0073】
ここで、図11を参照すると、微小ノズル30Dから噴射された液滴は、ノズルラインLD上に位置しているため、横軸方向においては適正範囲内である。しかし、縦軸方向においては、H1〜H4の位置からずれを生じている。これを吐出異常として検出する。縦軸方向にずれを生じる原因としては、微小ノズル30Dからの液滴の噴射速度に変化が生じた場合が挙げられる。各微小ノズル30から噴射される液滴はアクチュエータ32により初速が与えられて滴下していくが、各微小ノズル30A〜30Jから噴射する液滴は全て所定速度の初速が与えられなくてはならない。しかし、実際上、各微小ノズル30から噴射する液滴に与えられる初速が一定にならない場合がある。
【0074】
基板1は搬送テーブル20により搬送されており、その間に各微小ノズル30から噴射された液滴が基板1に着弾する。このため、各微小ノズル30から噴射される液滴が一定速度でない場合には、基板1の所定位置に液滴を着弾させることができない。具体的には、基板1の搬送テーブル20の搬送方向において、着弾位置に誤差を生じることになる。そこで、図11のように、縦軸方向にずれを生じ、このずれが許容範囲を超えている場合も、吐出異常と判定するようにする。
【0075】
画像領域には、微小ノズル30Dから噴射された液滴が3つ含まれているため、このうち2つの液滴間の間隔を計測する。そして、前記の2つの間隔を落下するのに要する時間は、LED62の照明タイミング、つまりPG61の駆動タイミングの間隔に等しいため、液滴間の間隔に基づいて、液滴の速度を算出することができる。なお、その他のファクターとして、PG61の駆動タイミング、微小ノズル30から噴射される液滴に与えられる初速等もある。
【0076】
そこで、算出された速度の情報をインクジェット制御装置44経由で各アクチュエータ32にフィードバックするようにする。このため、画像処理装置45で算出した速度の情報に基づいて、インクジェット制御装置44は、本来与えられる初速に対してのずれ量に応じた電圧をアクチュエータ32に印加するようにする。これにより、微小ノズル30Dから噴射する液滴を適正な速度にすることが可能になる。
【0077】
また、図11の微小ノズル30Fのように、液滴が一定速度で落下するが、他の微小ノズルとは異なるタイミングで液滴を噴射するような場合にも、吐出異常として検出する。この場合も、基板1の搬送方向に着弾位置にずれを生じるためである。このとき、画像処理により、微小ノズル30Fの噴射タイミングが適正なタイミングに対して生じているずれ量を算出できるため、このずれ量をフィードバックして、適切な噴射タイミングに制御することができる。
【0078】
ところで、各微小ノズル30から噴射される液滴が非常に高速に基板1に向かって落下している場合、画像領域中に液滴が含まれなくなる可能性もある。そこで、このような場合には、LED62の発光タイミングの周期を高速にすることにより、液滴を含む画像を取得することが可能になる。例えば、画像領域中に液滴を認識できない場合には、画像処理装置45からインクジェット制御装置44にその旨の信号を出力し、インクジェット制御装置44はPG61に対して、駆動タイミングを高速にする指令を出すようにする。PG61が高速に駆動すると、LED62の発光タイミングの周期も高速になるため、液滴を認識できる画像を取得することが可能になる。従って、液滴の速度に応じて、LED62の発光タイミングの周期を短くしていることになる(例えば、1/2周期や1/3周期等)。
【0079】
以上が検査部40の検査である。従って、吐出異常および不吐出のメンテナンスをするため、メンテナンス部41にインクジェットヘッド26を移行して、各微小ノズル30の洗浄を行う。そして、受け容器42にスペーサインクを捨て打ちした後に、再びスペーサインクを基板1に散布する位置にまで移行して、散布を行う。図10及び図11では、吐出異常と不吐出との両者を検出しているが、何れか1つだけを検出したときに前述の処理が行われる。
【0080】
次に、検査ユニットの他の例について説明する。図12に、他の例の検査ユニット110を示す。この検査ユニット110は、基本的には図5で示した検査ユニット60と同じである。異なる点について説明する。この例では、発光ユニット110Aと撮影ユニット110Bとを有している。発光ユニット110Aは、PG111とLED112とを有しており、撮影ユニット110Bはレンズ群114とカメラ116とを有している。図5の検査ユニットは一体的に構成されていたが、この例では発光ユニット110Aと撮影ユニット110Bとを別個独立に構成し、個別的に動作を行う。
【0081】
図12にも示しているように、LED112から発光される光を照明光として、滴下している液滴の画像を、レンズ群114からカメラ116に結像している。従って、検査ユニット60で用いていたハーフミラー63及び反射板65が不要になり、部品点数の削減を図れる。
【0082】
しかし、発光ユニット110Aと撮影ユニット110Bとを別個独立に配置することにより、機構及びメンテナンスが複雑化する。また、検査を行うときには、インクジェットヘッド26から滴下する液滴を撮影可能なように、検査部110Aと撮影ユニット110Bとを動作させているため、LED112から発光される光とレンズ群114からカメラ116に結像する光との光軸を一致させなくてはならない。この点では、光軸調整作業が複雑化することになる。
【0083】
従って、図5の検査ユニット60では、機構やメンテナンス、光軸調整を容易化することができ、図12の検査ユニット110では、部品点数の削減を図ることができる。
【0084】
次に、図12とは異なる検査ユニットの他の例について説明する。図13の検査ユニット120は、図5の検査ユニット60とほぼ同じである。異なる点について説明する。この検査ユニット120では、新たに第1の反射ミラー128と第2の反射ミラー129とが追加されている。第1の反射ミラー128と第2の反射ミラー129とは、夫々入射した光の光路を90度折り曲げる部品である。LED122から発光された光は、ハーフミラー123で反射して、レンズ群124に入射する。そして、第1の反射ミラー128で反射して、反射板125で反射して、第1のハーフミラー128、レンズ群124、ハーフミラー123を経て、第2の反射ミラー129で反射して、カメラ126に入射する。
【0085】
この検査ユニット120と図5の検査ユニット60との最も大きな違いは、レンズ群の向きである。図6の検査ユニット60のレンズ群64は、インクジェットヘッド26からの液滴の滴下方向と直交する方向であるため、この方向においてある程度のスペースが必要になり、ユニット全体が大型化する。ただし、第1のハーフミラー128と第2のハーフミラー129とを配置する必要はない。
【0086】
一方、図13の検査ユニット120のレンズ群124は、液滴の滴下方向と平行な方向である。インクジェットヘッド26と受け容器127との間にはある程度の距離を設ける必要があるため、レンズ群124をこれと平行な方向にすることにより、この方向と直交する方向におけるスペースを狭小化することができる。よって、図5の検査ユニット60と比較して、ユニット全体を小型化することができる。
【0087】
従って、部品点数の削減とユニット全体の小型化とのうち、何れを選択するかによって、検査ユニットの構成を任意に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】スペーサが散布される基板の構成説明図である。
【図2】液滴散布ステージの構成を示す概観図である。
【図3】インクジェットヘッドの先端部を示す構成説明図である。
【図4】インクジェットヘッドを構成する微小ノズルからのスペーサインクを噴射する動作の説明図である。
【図5】検査ユニットの概要を示す説明図である。
【図6】インクジェットから吐出されて滴下する液滴の方向とカメラの撮影方向との関係を示す説明図である。
【図7】基板に着弾したスペーサインクの状態を示す説明図である。
【図8】微小ノズルの先端の拡大図である。
【図9】噴射状態が良好なときの液滴の画像を画像処理している図である。
【図10】不吐出および吐出異常を起こしているときの液滴の画像を画像処理している図である。
【図11】他の吐出異常を起こしているときの液滴の画像を画像処理している図である。
【図12】他のインク状態検査装置の概要を示す説明図である。
【図13】図5および図12とは異なるインク状態検査装置の概要を示す説明図である。
【符号の説明】
【0089】
1 基板 2 画素領域
3 ブラックマトリクス領域 4 スペーサ
26 インクジェットヘッド 30 微小ノズル
30K ノズル噴射口 40 検査部
41 メンテナンス部 44 インクジェット制御装置
45 画像処理装置 60 検査ユニット
65 反射板 66 カメラ
C インク塊
【特許請求の範囲】
【請求項1】
間欠的にインク液滴を下方に向けて噴射する複数のノズルが1列に配列して設けられたインクジェットヘッドと、
各ノズルから噴射されて滴下しているインク液滴の画像であり、画像領域中に各ノズルから噴射されたインク液滴が少なくとも1個は含まれるような画像を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段によるインク液滴の画像に画像処理を施して、前記インクジェットヘッドに設けられる各ノズルからのインク液滴の噴射が適正であるか否かを検出する画像処理手段と、を有するインク噴射状態検査装置。
【請求項2】
前記画像処理手段は、前記撮影手段が取得した画像に含まれるインク液滴の数を計測し、この数が正規の数であるか否かに基づいて、インク液滴の噴射が適正であるか否かを検出すること、を特徴とする請求項1記載のインク噴射状態検査装置。
【請求項3】
前記画像処理手段は、前記撮影手段が取得した画像に含まれる各インク液滴の画像領域中の位置を計測し、この位置が適正範囲内であるか否かに基づいて、インク液滴の噴射が適正であるか否かを検出すること、を特徴とする請求項1記載のインク噴射状態検査装置。
【請求項4】
前記画像処理手段は、前記撮影手段が取得した画像に含まれる各インク液滴の画像領域中の位置を計測し、各ノズルから噴射されたインク液滴のうち2つのインク液滴の位置に基づいて、各ノズルから噴射されたインク液滴の速度を計測し、計測した速度が適正範囲内であるか否かに基づいて、インク液滴の噴射が適正であるか否かを検出すること、を特徴とする請求項1記載のインク噴射状態検査装置。
【請求項5】
各ノズルの液滴の噴射速度を制御する速度制御装置を設け、
前記画像処理手段が前記インク液滴の速度が適正範囲内にないことを検出したときには、前記速度制御装置は、前記インク液滴の速度に応じて、各ノズルのインク液滴の噴射速度を制御すること、を特徴とする請求項4記載のインク噴射状態検査装置。
【請求項6】
前記インクジェットヘッドは、インク液滴が散布されるワークが配置されるインク散布ステージと、前記撮影手段を配置した検査ステージとの間を往復移動可能な構成となし、
前記インク散布ステージにおいて、1または複数のワークにインク液滴の散布が行われる毎に、前記インクジェットヘッドを前記検査ステージに移行させて、インク液滴の噴射が適正であるか否かを検出すること、を特徴とする請求項1記載のインク噴射状態検査装置。
【請求項7】
前記各ノズルを駆動して間欠的にインクを噴射させる駆動手段と、この駆動手段の駆動タイミングに連動して間欠的に照明光を照射して、インク液滴を照明する照明手段とを有し、
前記撮影手段は、前記照明手段が照明光を照射したタイミングでインク液滴の画像を撮影して複数枚の画像を取得し、
前記画像処理手段は、前記撮影手段が撮影した複数枚の画像を重畳した画像を生成し、この重畳した画像に基づいて、インク液滴の噴射が適正であるか否かを検出すること、を特徴とする請求項1記載のインク噴射状態検査装置。
【請求項8】
前記画像処理手段は、前記撮影手段が取得した画像に含まれる各インク液滴の画像領域中の位置を計測し、各ノズルから噴射されたインク液滴のうち2つのインク液滴の位置に基づいて、各ノズルから噴射されたインク液滴の速度を計測し、
前記照明手段は、前記インク液滴の速度に応じたタイミングで照明すること、を特徴とする請求項7記載のインク噴射状態検査装置。
【請求項9】
インク液滴を照明する照明手段を前記撮影手段と一体的に構成し、
前記照明手段からの光を反射して、この光の光軸と前記撮影手段に設けられるレンズの光軸とを一致させるハーフミラーを設け、
前記光軸上に反射板を配置し、
前記照明手段および前記撮影手段と前記反射板との間の空間にインク液滴が滴下するように前記インクジェットヘッドを配置し、
前記反射板で反射した光を照明光として、前記撮影手段はインク液滴の画像を取得することを特徴とする請求項1記載のインク噴射状態検査装置。
【請求項10】
請求項1乃至9何れか1項に記載のインク噴射状態検査装置を有するフラットパネルの製造装置。
【請求項11】
請求項10記載のフラットパネルの製造装置により製造されたフラットパネル。
【請求項1】
間欠的にインク液滴を下方に向けて噴射する複数のノズルが1列に配列して設けられたインクジェットヘッドと、
各ノズルから噴射されて滴下しているインク液滴の画像であり、画像領域中に各ノズルから噴射されたインク液滴が少なくとも1個は含まれるような画像を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段によるインク液滴の画像に画像処理を施して、前記インクジェットヘッドに設けられる各ノズルからのインク液滴の噴射が適正であるか否かを検出する画像処理手段と、を有するインク噴射状態検査装置。
【請求項2】
前記画像処理手段は、前記撮影手段が取得した画像に含まれるインク液滴の数を計測し、この数が正規の数であるか否かに基づいて、インク液滴の噴射が適正であるか否かを検出すること、を特徴とする請求項1記載のインク噴射状態検査装置。
【請求項3】
前記画像処理手段は、前記撮影手段が取得した画像に含まれる各インク液滴の画像領域中の位置を計測し、この位置が適正範囲内であるか否かに基づいて、インク液滴の噴射が適正であるか否かを検出すること、を特徴とする請求項1記載のインク噴射状態検査装置。
【請求項4】
前記画像処理手段は、前記撮影手段が取得した画像に含まれる各インク液滴の画像領域中の位置を計測し、各ノズルから噴射されたインク液滴のうち2つのインク液滴の位置に基づいて、各ノズルから噴射されたインク液滴の速度を計測し、計測した速度が適正範囲内であるか否かに基づいて、インク液滴の噴射が適正であるか否かを検出すること、を特徴とする請求項1記載のインク噴射状態検査装置。
【請求項5】
各ノズルの液滴の噴射速度を制御する速度制御装置を設け、
前記画像処理手段が前記インク液滴の速度が適正範囲内にないことを検出したときには、前記速度制御装置は、前記インク液滴の速度に応じて、各ノズルのインク液滴の噴射速度を制御すること、を特徴とする請求項4記載のインク噴射状態検査装置。
【請求項6】
前記インクジェットヘッドは、インク液滴が散布されるワークが配置されるインク散布ステージと、前記撮影手段を配置した検査ステージとの間を往復移動可能な構成となし、
前記インク散布ステージにおいて、1または複数のワークにインク液滴の散布が行われる毎に、前記インクジェットヘッドを前記検査ステージに移行させて、インク液滴の噴射が適正であるか否かを検出すること、を特徴とする請求項1記載のインク噴射状態検査装置。
【請求項7】
前記各ノズルを駆動して間欠的にインクを噴射させる駆動手段と、この駆動手段の駆動タイミングに連動して間欠的に照明光を照射して、インク液滴を照明する照明手段とを有し、
前記撮影手段は、前記照明手段が照明光を照射したタイミングでインク液滴の画像を撮影して複数枚の画像を取得し、
前記画像処理手段は、前記撮影手段が撮影した複数枚の画像を重畳した画像を生成し、この重畳した画像に基づいて、インク液滴の噴射が適正であるか否かを検出すること、を特徴とする請求項1記載のインク噴射状態検査装置。
【請求項8】
前記画像処理手段は、前記撮影手段が取得した画像に含まれる各インク液滴の画像領域中の位置を計測し、各ノズルから噴射されたインク液滴のうち2つのインク液滴の位置に基づいて、各ノズルから噴射されたインク液滴の速度を計測し、
前記照明手段は、前記インク液滴の速度に応じたタイミングで照明すること、を特徴とする請求項7記載のインク噴射状態検査装置。
【請求項9】
インク液滴を照明する照明手段を前記撮影手段と一体的に構成し、
前記照明手段からの光を反射して、この光の光軸と前記撮影手段に設けられるレンズの光軸とを一致させるハーフミラーを設け、
前記光軸上に反射板を配置し、
前記照明手段および前記撮影手段と前記反射板との間の空間にインク液滴が滴下するように前記インクジェットヘッドを配置し、
前記反射板で反射した光を照明光として、前記撮影手段はインク液滴の画像を取得することを特徴とする請求項1記載のインク噴射状態検査装置。
【請求項10】
請求項1乃至9何れか1項に記載のインク噴射状態検査装置を有するフラットパネルの製造装置。
【請求項11】
請求項10記載のフラットパネルの製造装置により製造されたフラットパネル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−72691(P2009−72691A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−243883(P2007−243883)
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]