説明

インク残量検出方法

【課題】例えば顔料インクなどの不溶性材料を用いるインクにおいて、インク残量を正確に光学検出することができる。
【解決手段】光学検出手段によってインク容器15のインク残量が所定レベル以下か否かを検出するインク残量検出方法であって、インク容器15に貯蔵されるインクとして、溶媒に対して不溶性を示す不溶性材料を分散させた分散物を用いるとともに、不溶性材料は粒子径150nm以上の粒子濃度が2体積%以下であるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインク残量検出方法に係り、特に、画像形成装置に用いられるインクカートリッジ(インク容器)内のインク残量の光学検出において、インク残量検出精度向上を目的とするインク残量検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置におけるインクカートリッジのインク残量検出方法としては光学検出、電気的検出、機械的検出と様々な方法が提案されてきた。その中でも光学検出は簡易な方法として広く使用されている(例えば、特許文献1)。光学検出方法の中でもプリズム法が好ましい残量検出法である.透過法の様に検出波長に対して透明なインクタンクに対し,発光部と受光部をインクタンクを挟んだ状態で設置した場合には,構成としては簡便である.しかし,外乱光の影響を受けない為に検出光としては赤外光を用いた場合に,インクによってはインクがあるにも関わらず検出光を透過し,残量検出エラーを起こすことがあった.プリズム法は簡便な方法でどの様なインクでもインク残量を確認できるため,好ましいインク残量検出法といえる。
【0003】
しかし、特許文献1のような光学検出方法は、インクの有無を評価する手法としては適切であるが、インク残量の詳細を計測する手段としては精度で不十分であるという問題があった。その様な問題から、光学検出と算出手段とを組合せた方法が提案されるようになった(特許文献2〜5)。このような方法は、安価かつ精度の高い、優れたシステムである。
【特許文献1】特開平7−218321号公報
【特許文献2】特開2002−273906号公報
【特許文献3】特開2003−39694号公報
【特許文献4】特開2003−39695号公報
【特許文献5】特開2004−39696号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年、耐光性や耐水性といった耐環境性向上を目的として染料インクから顔料インクへの切り替えが一部進んでおり、この顔料インクを使用した画像形成装置において、特許文献2〜5の方法でインク残量の詳細を計測する場合に、精度の問題は著しく深刻になることを本発明者は発見した。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、例えば顔料インクなどの不溶性材料を用いるインクにおいて、インク残量を正確に光学検出することができるインク残量検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1は、前記目的を達成するために、光学検出手段によってインク容器のインク残量が所定レベル以下か否かを検出するインク残量検出方法であって、前記インク容器に貯蔵されるインクとして、溶媒に対して不溶性を示す不溶性材料を分散させた分散物を用いるとともに、前記不溶性材料は、粒子径150nm以上の粒子濃度が2体積%以下であることを特徴とするインク残量検出方法を提供する。
【0007】
本発明者は、画像形成装置においてインク残量を正確に光学検出することが困難になる原因が、インクに含まれる溶媒に対して不溶性を示す不溶性材料による検出光の散乱が影響しているという知見を得た。即ち、インクに含まれる不溶性材料の粒子径は通常数10〜数100nmであるが、一部粗大な不溶性材料が混入することで検出光の散乱が強くなり、著しく精度が低下するという知見を得た。粗大な不溶性材料が混入することで、インクの無くなった後もインク容器の壁面に残存物が残り易く,検出光が正確に検出できなくなるからである。そして、本発明者は、溶媒に対して不溶性を示す不溶性材料を分散させた分散物を用いるとともに、不溶性材料の粒子径150nm以上の粒子濃度を2体積%以下であるようにすることで、インクの溶媒中における不溶性材料の分散性を向上することができ、検出光の散乱を弱くすることができることを見出した。
【0008】
本発明の請求項1によれば、光学検出手段によってインク容器のインク残量が所定レベル以下か否かを検出するインク残量検出方法であって、インク容器に貯蔵されるインクとして、溶媒に対して不溶性を示す不溶性材料を分散させた分散物を用いるとともに、不溶性材料の粒子径150nm以上の粒子濃度を2体積%以下であるようにすることで、インク残量を正確に光学検出することができる。
【0009】
ここで、「不溶性材料の粒子径150nm以上の粒子濃度が2体積%以下」とは、粒径分布を有する不溶性材料の全体体積を100%としたときに、粒径150nm以上の不溶性材料の体積割合(全体体積に対する)が2%以下という意味である。
【0010】
請求項2は請求項1において、前記不溶性材料は、粒子径130nm以上の粒子濃度が2体積%以下であることを特徴とする。
【0011】
請求項2は、請求項1よりも更に好ましい粒子濃度の条件を規定したもので、不溶性材料の粒子径130nm以上の粒子濃度が2体積%以下であることにより、インク残量を正確に光学検出することを一層向上できる。
【0012】
請求項3は、前記目的を達成するために、光学検出手段によってインク容器のインク残量が所定レベル以下か否かを検出するインク残量検出方法であって、前記インク容器に貯蔵されるインクとして、溶媒に対して不溶性を示す不溶性材料を分散させた分散物を用いるとともに、前記不溶性材料は、前記光学検出手段において入射光として使用される光源の平均波長λと粒子パラメータα=0.4とから導出される粒子径D=αλ/πより大きな粒子濃度を2体積%以下とすることを特徴とするインク残量検出方法を提供する。
【0013】
本発明の請求項3によれば、光学検出手段によってインク容器のインク残量が所定レベル以下か否かを検出するインク残量検出方法であって、インク容器に貯蔵されるインクとして、溶媒に対して不溶性を示す不溶性材料を分散させた分散物を用いるとともに、不溶性材料の光学検出手段において入射光として使用される光源の平均波長λと粒子パラメータα=0.4とから導出される粒子径D=αλ/πより大きな粒子濃度を2体積%以下にすることで、インク残量を正確に光学検出することができる。
【0014】
請求項4は請求項1〜3の何れか1において、前記溶媒不溶性材料の長軸長さと短軸長さとの比((長軸長さ)/(短軸長さ))が2以下であることを特徴とする。
【0015】
溶媒不溶性材料の長軸長さと短軸長さとの比(アスペクト比)が2を超えると、2以下の場合と比較してインク残量を正確に光学検出することが難しくなる傾向にあるからである。
【0016】
請求項5は請求項1〜4の何れか1において、前記光学検出手段は、前記インク容器の一部にプリズムを形成し、該プリズムへの入射光と反射光からインク残量を検出する光学検出手段であることを特徴とする。
【0017】
プリズムへの入反射光によるインク検出法は透過光による残量検出方法よりもインクの透過率の影響が少なく、インク残量検出ができるからである。
【0018】
請求項6は請求項1〜5の何れか1において、前記インクと前記インク容器において、該インク容器の材料の表面自由エネルギーは、該インクの表面張力よりも低いことを特徴とする。
【0019】
インクカートリッジ材料の表面自由エネルギーはインクの表面張力よりも低くすることで、インク容器表面でのインク切れがよくなり、インクがインク容器表面に残りにくくすることができるからである。表面処理剤としてはフッ素系コーティング剤を好ましく用いることができる。
【0020】
請求項7は請求項1〜6の何れか1において、画像形成装置の動作に基づいて前記インク容器のインク消費量を算出する算出手段を備えることを特徴とする。
【0021】
インク容器のインク残量が所定レベル以下か否かを光学的手法により検出する光学検出手段に加え、画像形成装置の動作に基づいてインク容器のインク消費量を算出する算出手段を備えることで、インク残量の詳細を計測することができる。
【0022】
請求項8は請求項7において、前記光学検出手段が前記所定レベル以下であることを検出せず、かつ前記算出手段が算出するインク消費量が、当該消費量が前記光学検出手段にかかる前記所定レベルに達すると推測されるインク消費量としての閾値をこえるときは、
前記算出手段が算出するインク消費量に応じて求めたインク残量に当該残量を増す所定の補正をした後の量をインク残量として求める残量決定手段を備えることを特徴とする。
【0023】
光学検出手段が所定レベル以下であることを検出せず、かつ算出手段が算出するインク消費量が、当該消費量が光学検出手段にかかる所定レベルに達すると推測されるインク消費量としての閾値をこえるときに、算出手段が算出するインク消費量に応じて求めたインク残量に当該残量を増す所定の補正をした後の量をインク残量として求める残量決定手段を備えることで、インク残量を更に詳細に計測することができる。
【0024】
請求項9は請求項1〜8の何れか1において、前記不溶性材料は分散性の顔料であることを特徴とする。
【0025】
インク中に含有される不溶性材料の代表例としては、顔料があるからである。
【0026】
請求項10は請求項9において、前記顔料がC.I.ピグメントイエロー12、13、17、55、74、97、120、128、151、155、及び180の何れか1であることを特徴とする。
【0027】
本発明は溶媒に不溶性の顔料全てを適用できるが、顔料がC.I.ピグメントイエロー12、13、17、55、74、97、120、128、151、155、及び180の何れか1である場合に、経時での環境安定性が良好であり、本発明が特に有効だからである。
【0028】
請求項11は請求項9において、前記顔料がC.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド57:1、146、およびC.I.ピグメントブルー15:3の何れか1であることを特徴とする。
【0029】
本発明は溶媒に不溶性の顔料全てを適用できるが、顔料がC.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド57:1、146、およびC.I.ピグメントブルー15:3の何れか1である場合に、経時での環境安定性が良好であり、本発明が特に有効だからである。
【0030】
請求項12は請求項9〜11の何れか1において、前記顔料表面にグラフト鎖層を導入したことを特徴とする。
【0031】
これにより、インクに含有される顔料微粒子(不溶性材料)の微粒子化による分散性の向上に加えて、顔料微粒子自体による分散性向上を図ることができる。
【0032】
請求項13は請求項1〜8の何れか1において、前記不溶性材料はポリマー微粒子であることを特徴とする。
【0033】
顔料以外のインク中の不溶性材料としては、ポリマー微粒子があるからである。
【0034】
請求項14は請求項13において、前記ポリマー微粒子は被記録媒体への色材付着力を向上させる働きをもつポリマーであることを特徴とする。
【0035】
請求項15は請求項13において、前記ポリマー微粒子は被膜形成機能をもつポリマーであることを特徴とする。
【0036】
インクの品質改良として添加されるポリマーが不溶性材料として被記録媒体への色材付着力を向上させる働きをもつポリマー、あるいは皮膜形成機能を有するポリマーが使用される。これらのポリマーは被記録媒体への色材付着力を向上させるために、比較的高い濃度が必要であるが、溶媒に対して融解するポリマーを使用した場合は、粘度が高くなり、インクジェットインクとしては不適である。従って、溶媒不溶性の材料としてインクに含有させて供給する方法が適切である。
【0037】
請求項16は請求項13において、前記ポリマー微粒子はポリエチレンオキシドを含むブロックポリマー化合物であることを特徴とする。
【0038】
これにより、ポリエチレンオキシドは紙面に対して良好な定着性を得られる。
【0039】
請求項17は請求項1〜8の何れか1において、前記不溶性材料は1種類又は複数種類の材料からなり、複数種類の素材粒子を混合、又は数種類の素材で複合粒子を作成したことを特徴とする。
【0040】
本発明の効果は、1種類の不溶性材料に限定されることはない。
【発明の効果】
【0041】
以上説明したように、本発明によれば、光学検出手段によってインク容器のインク残量が所定レベル以下か否かを検出するインク残量検出方法であって、顔料インクなどの不溶性材料を用いるインクにおいて、インク残量を正確に光学検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、添付図面に従って本発明に係る画像形成装置の好ましい実施の形態について詳説する。
【0043】
〔インクジェット記録装置の全体構成〕
図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置10の全体構成の概念図、図2はインクカートリッジの概念図である。
【0044】
図1に示すように、このインクジェット記録装置10は、主として、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),黒(K)の各インク(記録液)に対応して設けられた複数のインクカートリッジ12(12Y,12M,12C,12K)と、記録媒体(記録紙)16を供給する給紙部18と、記録媒体16のカールを除去するデカール処理部20と、インクカートリッジ12の記録ヘッド13のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録媒体16の平面性を保持しながら記録媒体16を搬送する吸着ベルト搬送部22(移動手段)と、インクカートリッジ12による印字結果を読み取る印字検出部24と、記録済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部26と、で構成される。
【0045】
図1では、給紙部18の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
【0046】
複数種類の記録媒体を利用可能な構成にした場合、メディアの種類情報を記録したバーコード或いは無線タグなどの情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される記録媒体の種類(メディア種)を自動的に判別し、メディア種に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
【0047】
給紙部18から送り出される記録媒体16はマガジンに装填されていたことによる巻き
クセが残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部20においてマガジンの巻きクセ方向と逆方向に加熱ドラム30で記録媒体16に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
【0048】
記録媒体16としてロール紙を使用する装置構成の場合、図1のように、裁断用のカッター(第1のカッター)28が設けられており、該カッター28によってロール紙は所望のサイズにカットされる。カッター28は、記録媒体16の搬送路幅以上の長さを有する固定刃28Aと、該固定刃28Aに沿って移動する丸刃28Bとから構成されており、印字裏面側に固定刃28Aが設けられ、搬送路を挟んで印字面側に丸刃28Bが配置される。なお、カット紙を使用する場合には、カッター28は不要である。
【0049】
デカール処理後、カットされた記録媒体16は、吸着ベルト搬送部22へと送られる。吸着ベルト搬送部22は、ローラ31、32間に無端状のベルト33が巻き掛けられた構造を有し、少なくともインクカートリッジ12のノズル面及び印字検出部24のセンサ配設面に対向する部分が水平面(フラット面)をなすように構成されている。
【0050】
ベルト33は、記録媒体16の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引穴(不図示)が形成されている。図1に示したとおり、ローラ31、32間に掛け渡されたベルト33の内側においてインクカートリッジ12のノズル面及び印字検出部24のセンサ配設面に対向する位置には吸着チャンバ34が設けられており、この吸着チャンバ34をファン35で吸引して負圧にすることによって記録媒体16がベルト33上に吸着保持される。
【0051】
ベルト33が巻かれているローラ31、32の少なくとも一方にモータの動力が伝達されることにより、ベルト33は図1上の反時計回り方向に駆動され、ベルト33上に保持された記録媒体16は図1の右から左へと搬送される。
【0052】
縁無しプリント等を印字するとベルト33上にもインクが付着するので、ベルト33の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部36が設けられている。ベルト清掃部36の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、或いはこれらの組み合わせなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラ線速度を変えると清掃効果が大きい。
【0053】
なお、吸着ベルト搬送部22に代えて、ローラ・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラ・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面をローラが接触するので画像が滲み易いという問題がある。したがって、本例のように、印字領域では画像面を接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
【0054】
印字検出部24は、インクカートリッジ12の打滴結果を撮像するための手段であるイメージセンサを含み、該イメージセンサによって読み取った記録画像からノズルの目詰まりその他の吐出異常をチェックする手段として機能する。本例の印字検出部24は、少なくとも記録媒体16上に記録される画像記録幅よりも幅の広い受光素子を有するラインセンサで構成される。このラインセンサは、R(赤)の色フィルタが設けられた光電変換素子(画素)がライン状に配列されたR受光素子列と、緑(G)の色フィルタが設けられたG受光素子列と、青(B)の色フィルタが設けられたB受光素子列と、からなる色分解ラインCCDセンサで構成されている。なお、ラインセンサに代えて、受光素子が2次元配列されて成るエリアセンサを用いることも可能である。
【0055】
印字検出部24は、各色のインクカートリッジ12Y,12M,12C,12Kにより印字されたテストパターン(又は実技画像)を読み取り、各記録ヘッドの吐出検出を行う。吐出判定は、吐出の有無、ドットサイズの測定、ドット着弾位置の測定などで構成される。
【0056】
こうして生成されたプリント物は排紙部26から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置10では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部26A、26Bへと送るために排紙経路を切り換える不図示の選別手段が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)48によってテスト印字の部分を切り離す。カッター48は、排紙部26の直前に設けられており、画像余白部にテスト印字を行った場合に本画像とテスト印字部を切断するためのものである。カッター48の構造は前述した第1のカッター28と同様であり、固定刃48Aと丸刃48Bとから構成される。
【0057】
また、図1には示さないが、本画像の排出部26Aには、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられる。
【0058】
〔インクカートリッジの構成〕
図2に示すように、インクカートリッジ12(12Y,12M,12C,12K)は、各インクに対応する各記録ヘッド13(13Y,13M,13C,13K)と、各記録ヘッド13に各インクを供給する各インクタンク15(15Y,15M,15C,15K)とが一体的に形成される。各インクタンク15は、1つの箱体17を、3枚の仕切り壁17a,17b,17cで仕切ることにより形成される。また、仕切り壁17a,17b,17cで仕切られた各インクタンク15は、それぞれ、リブ19(19Y,19M,19C,19K)によって2つのインク室に分けられており、図2に示す構成では、複数のインク室は、インクをそのままの状態で収容するインク収容部21(21Y,21M,21C,21K)と、スポンジのような多孔質体や繊維によって構成される負圧発生部材25(25Y,25M,25C,25K)を収容した負圧発生部材収容部29(29Y,29M,29C,29K)とから構成されている。また、このインク収容部21(21Y,21M,21C,21K)と負圧発生部材収容部29(29Y,29M,29C,29K)とはインクタンク15(15Y,15M,15C,15K)の底部の隙間部70によって連通しており、負圧発生部材収容部29(29Y,29M,29C,29K)に収容されるインクは、負圧発生部材25(25Y,25M,25C,25K)によってインクが流出しないよう負圧が保たれている。本実施例では1つの箱体17を仕切り壁で仕切った構造を示したが、各色のインクカートリッジを個別に分けた方が、色ごとにインクカートリッジを交換できる為に好ましく、本出願の方式は有効である。
【0059】
〔記録ヘッドの構造〕
次に、記録ヘッドの構造について説明する。インクカートリッジ12に設けられている各記録ヘッド13の構造は共通しているので、以下、これらを代表して説明する。
【0060】
本例の記録ヘッド13は、図3に示すように、インク滴の吐出口であるノズル51と、ノズル51に対応する圧力室52等からなるインク室ユニット(液滴吐出素子)で構成される。ノズル51に対応して設けられている圧力室52は、その平面形状が概略正方形となっており、対角線上の両隅部にノズル51と供給口54が設けられている。
【0061】
記録ヘッド13のノズル面(インク吐出面)50Aは、ノズル(ノズル孔)51が形成されるノズルプレート60によって構成されている。圧力室52は、供給口54を介して流路55と連通している。また、流路55は、前述したインク供給口27を介してインクタンク15と連通している。インクタンク15から供給されるインクは、流路55を介して圧力室52に供給される。
【0062】
圧力室52の天面を構成している振動板(共通電極)56には個別電極57を備えたアクチュエータ58が接合されており、個別電極57に駆動電圧を印加することによってアクチュエータ58が変形して圧力室52の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル51からインクが吐出される。なおアクチュエータ58には、ピエゾ素子などの圧電体が好適に用いられる。インク吐出後、流路55からインク供給口27を通ってインクタンク15から新しいインクが圧力室52に供給される。
【0063】
また、本実施形態では、ピエゾ素子(圧電素子)に代表されるアクチュエータ58の変形によってインク液滴を飛ばす方法が採用されているが、本発明の実施に際して、インクを吐出させる方式には限定されず、ピエゾ方式に代えて、ヒータ等の発熱体によってインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク滴を飛ばすサーマルジェット方式等でもよい。
【0064】
〔光学検出〕
図4(A)は、インクタンク15の概略構成を示す側面図である。図4(A)に示す構成では、負圧発生部材収容部29(29Y,29M,29C,29K)の内部の上側に、突出する形態で複数個のリブ72が一体に成形され、負圧発生部材収容部29に圧縮状態で収容される負圧発生部材25(25Y,25M,25C,25K)と当接している。また、上壁74と負圧発生部材25との間にエアバッファ室76が形成されている。
【0065】
図4(B)に示すインクタンク式のインク容器を用いても良い。インク容器の大半部はインク収容部110が占め、インクが充填されている。インク収容部110の重力方向上側には連通口112が形成され、さらに連通口112とインク収容部110の間には気液連通口114が形成されている。インク容器からインクがもれないように撥水性のインク吸収材116が設置されていることが好ましい。以上の構成によって、インク容器内部は大気圧に安定的に設定され、弁118が開閉することで、供給口120から図示しないインクヘッドへインク供給をすることができる。
【0066】
インクタンクの底面78には、インク収容部21内のインク残量の低下を検出するために用いるプリズム80が設けられている。インクタンク15は、半透明の光透過性材料、例えば、ポリプロピレン、ポリイミド、アクリル、ポリカーボネートなどの材料で形成され、前述のプリズム80はインクタンク15と一体的に形成されている。ポリプロピレンは光透過性と樹脂加工容易性で特に好ましい材料である。さらに好ましくは、フッ素系化合物等で前記インクタン15表面に撥水処理を行なうことである。
【0067】
次に、このプリズム80を用いた検出の原理について図5を参照して説明する。
【0068】
図5はインクタンク15の底面に設けられた光透過型プリズムとそのプリズムに光を照射する発光素子82及びその光を受光する受光素子84の位置関係を示す図である。なお、発光素子82と受光素子84は記録装置10本体側に設けられている。
【0069】
プリズム80はインクタンク12の底面78と一体に形成されており、プリズム80にインクタンク15の外部下方から、発光素子82からの光が入射される。その入射光はインクタンク15のインク収容部21内部にインクが充分に充填されている場合には光路Aから光路Dという経路を辿りインク内に吸収されてしまう。これに対して、インクが消費されインク収容部21内にインクがなくなっている場合、図5に示すように、その入射光はプリズム80の斜辺部で反射され、光路Aから光路B、さらに光路Cとを経て受光素子84へと至る。従って、インク収容部21内にインクが有る場合と、インク残量が低下した場合とで、受光素子84により受光する光量が異なり、その受光素子84の出力に基づいて、インク残量が所定量以下に低下した状態であるか否かを検出することができる。なお、プリズム80の斜辺部において光の反射が異なるのは、プリズム80を構成する部材、インク、および空気における光の屈折率によるものであり、インク残量が低下して斜辺部にインクが接触していない場合、斜辺部において光が全反射し、受光素子84の受光量が大きくなる。また、斜辺部にインクが接触する程度にインクが残っている場合、プリズム80の部材とインクの屈折率により、斜辺部で全反射が生じず、光はインク収容部21内に進むこととなる。
【0070】
このようにして、インクタンク15内のインク残量として、インク収容部21内のインク残量がほぼ無くなった状態、つまり、所定量より低下した状態を検出することができる。
【0071】
尚、検出するための入射光の波長は、可視光だと外乱の影響が強くなるため、赤外が適している。また、発光素子82としては、LEDが寿命の長さ、消費エネルギーの観点から適している。ただし、LEDでは長波長と高出力の両立は困難である。赤外LEDにおいて、一般に普及している波長870nm、890nm、950nmでは数mWから最大20mW程度の出力エネルギーのものが存在するが、1000nmを越えると一桁小さく、1mW程度まで低下してしまう。
【0072】
また、受光素子84としては、フォトダイオードやフォトトランジスタ等を使用して電気的に残量検出を行なうことができる。フォトダイオードは、シリコン、GaAsP、Ge、 InGaAsといった材料が使用される。
【0073】
更に、インクカートリッジの特に光学検出部に撥インク加工を行なうと、インク色素付着を防ぐことができ、より高い精度の検出が可能となる。
【0074】
〔光学検出と算出手段を組み合わせた場合の記録手順〕
図6は、図1に示したインクジェット記録装置10の制御系の主な構成を示すブロック図である。
【0075】
マイクロプロセッサ形態のCPU86は内部バス88を介して接続されたROM形態のプログラムメモリ90に格納された制御プログラムおよびRAM形態のデータメモリ92の内容にしたがって動作する。
【0076】
データメモリ92にはインク残量センサ94がインクタンク15のインクなし状態を検出した時点からのインク消費量をカウントする、それぞれのインクタンクごとのインクカウンタC1と、新しいインクタンク15が装着されてからのインク消費量をカウントする、それぞれのインクタンクごとのインクカウンタC2のカウント値を格納する領域がそれぞれ設けられている。これらのカウンタは、図7および図8にて後述されるように、記録動作で記録ヘッドから吐出されて消費されるインク量と吸引回復や予備吐出によって消費されるインク量とを、それぞれ上述した時点からカウントする。
【0077】
インタフェース制御回路96からインタフェースケーブル98を介して接続されたホストコンピュータ100から受信した記録データは、データメモリ92中の各色毎の記録バッファメモリ102に記録画像データとして展開格納される。記録バッファメモリ102に展開された各色毎の記録画像データはヘッド制御回路104を介して記録ヘッド13のドライバへ送られる。
【0078】
このとき、ヘッド制御回路104ではそれぞれの記録ヘッド13へ送った記録画像データが示す吐出インク滴数(以下、インクドット数ともいう)をカウントしており、CPU86はヘッド制御回路104のレジスタを読み取ることにより、各記録ヘッドが走査ごとに消費したインクドット数を取得することができる。そして、その値はインク量に換算されて上記のカウンタC1およびC2に累積されることになる。
【0079】
また、CPU86は、センサ回路106を通じて、センサ94の出力値を読取り、各色インクタンク15内のインクの有無を検出することができる。
【0080】
さらに、本インクジェット記録装置10からインタフェースケーブル98を介して接続されたホストコンピュータ98へ各種情報を通知することもでき、これにより、本インクジェット記録装置10で算出したインク残量情報、すなわち、図10にて後述されるインク残量レベルをホストコンピュータ100へ通知し、ホストコンピュータ100上の画面にインク残量表示を行うことができる。
【0081】
図7は、ホストコンピュータ100の画面におけるインク残量表示形態を示し、また、インク残量レベルを説明する図である。
【0082】
インクタンク15Y、15M、15C、15Kそれぞれのインク残量は図示のように棒グラフとして表示される。図10にて後述されるように、残量レベル情報Lが残量情報として本インクジェット記録装置10で算出され、この情報がホストコンピュータ100に送られることにより、ホストコンピュータ100はこの残量レベル情報Lに従い図7に示すような表示を行なう。新しいインクタンク15が装着された直後は残量レベル情報Lは、図7においてレベルN+Mに対応しその表示がなされ、また、センサ94がインクタンク15のインクなし状態を検出した時点では、本来残量レベル情報Lは、図7におけるレベルNに対応するが、図10にて後述されるように複数の値をとり得るものであり、それに応じたレベルの表示がなされる。さらに、所定のインク量を消費した時点でインクなしエラーを表示し、このときレベル情報Lは図7においてレベル0に対応しその表示がなされる。
【0083】
図7におけるレベルN+MからレベルNまでの間は、残量レベル情報Lの値に応じて、M段階に等分されたいずれかのレベルに丸めて表示される。この1段階の大きさを示す単位幅Umは検出する残量レベルの細かさを示し、インクジェット記録装置の仕様などに応じて定められるものである。また、この単位幅Umは、図10にて後述されるように残量レベル情報Lの算出に用いられるものである。同様に、レベルNからレベル0の間はN段階に等分されたいずれかのレベルに丸めて表示され、また、単位幅Unは図10にて後述される残量レベル情報Lの算出に用いられる。
【0084】
図8は,インクジェット記録装置10の記録動作の処理手順を示すフローチャートである。
【0085】
インクジェット記録装置10は、1ページの記録開始に先だち、まず記録媒体の給紙動作を行う(ステップS102)。次に、インクジェット記録装置10は、ホストコンピュータ100から1バンド分すなわち各記録ヘッド13の一走査分の記録データを受信し(ステップS104)、記録ヘッド13を走査して受信した1バンド分の記録動作を行う(ステップS106)。
【0086】
この記録動作の間に、インクジェット記録装置10では、ヘッド制御回路104のレジスタを読み取ることにより記録動作で消費したインクドット数をインク量に換算した量の消費量D1を取得するとともに(ステップS104)、図10にて後述されるインク残量更新処理を行う(ステップS110)。
【0087】
以上のステップS102からステップS110を繰り返したのち(ステップS112)、1ページの記録を終了すると、記録媒体の排紙動作を行い(ステップS114)、本記録動作を終了し、次のページの記録指示を待機する。
【0088】
図9は、インクジェット記録装置10において実行される回復動作時の処理手順を示すフローチャートである。
【0089】
本インクジェット記録装置10は、吸引回復処理や予備吐出を、記録開始時や記録動作中の所定回数などのそれぞれの所定タイミングで実行する(ステップS202)。そして、それぞれの実行ごとにその回復処理で消費したインク量を消費量D2として取得するとともに、上述の記録動作の場合と同様、インク残量更新処理を行ない(ステップS204)、本処理を終了する。
【0090】
図10は、上述のステップS108およびステップS204で行われるインク残量更新処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。なお、本処理は、インクタンク5Y、5M、5C、5Kそれぞれについて行なわれることはもちろんである。以下では、一つのインクタンクに関する処理について説明するが、他についても同様であることは明らかである。
【0091】
本処理では、まずインク残量センサ94の出力値を取り込み(ステップS302)、その出力より各インクタンク15のインクの有無を判断する(ステップS304)。ここで、インクタンク15が、センサ94がインクなしを検出した状態である、インクなし状態であると判断したときは、図6にて前述したインクカウンタC1に、記録動作にかかるインク消費量D1または回復動作にかかるインク消費量D2を加算する(ステップS306)。次に、インク残量レベルを算出するが、ここで、インクカウンタC1の内容が、インクタンク15でインクなし状態が検出された後のインク残量レベルの計算に用いられるしきい値T1を超えているか否かを調べる(ステップS308)。ここで、しきい値Т1は、センサ11がインクなしを検出した後インクなしエラーまでに消費すべきインク量、すなわち、図7に示したレベルと単位幅を用いて、N×Unと表されるものである。インクカウンタC1の内容がしきい値T1を超えていないときは、インク残量レベルLをL=(T1−C1)/Un+1として算出する(ステップS310)。なお、上記の式の計算は整数演算として扱われ、式中の除算により発生する少数部分は切り捨てられるものとする。そのため、上記式において「1」を加える計算をし、例えば(T1−1)/Unの値が0から1未満の場合において、インク残量レベルLは「1」として扱われる。一方、インクカウンタC1がしきい値T1を超えているときは、インクなしエラーをホストコンピュータに通知した(ステップS312)上で、インク残量レベルLを0とする(ステップS314)。
【0092】
一方、ステップS304においてインクタンク15のインク有りの状態を検出しているときは、インクカウンタC2の内容にインク消費量D1またはD2を加算する(ステップS316)。そして、インク残量レベルを算出するが、インクカウンタC2が、新しいインクタンク15を装着してからセンサ94がインクタンク15のインクなし状態を検出するまでに消費されるであろうインク量であるしきい値T2を超えているか否かを調べる(ステップS318)。このしきい値T2は、図7に示したレベルと単位幅を用いて、M×Umと表されるものである。インクカウンタC2がしきい値T2を超えていないときは、インク残量レベルLをL=N+(T2−C2)/Um+1として算出する(ステップS320)。上記の式の計算も同様に整数演算として扱われ、式中の除算により発生する少数部分は切り捨てられるものとする。
【0093】
一方、インクカウンタC2がしきい値T2を超えているときは、センサ94がインク有りを検出し、残量が所定のレベルNを超えているにもかかわらず、カンウンタC2の内容はレベルNに対応したしきい値T2を超えていることから、カウンタの内容の誤差を考慮し、L=N+1としてインク残量レベルを1段階増す補正を行う(ステップS322)。
【0094】
最後に、以上のステップS302からS322による処理で求めたインク残量レベル情報Lをホストコンピュータ100へ通知し(ステップS324)、本処理を抜ける。この通知により、ホストコンピュータ100の画面上に図7に示したようなインク残量表示が行われる。
【0095】
以上述べたような処理を行うことにより、インクタンク15内のインク有無のみを検出する安価なセンサ94を用いてインク残量を段階表示することが可能になる。また、記録ヘッドの吐出量や回復機構の性能ばらつきによる各種動作のインク消費量やインクタンク15のインク容量およびインク充填量のばらつき等によりインク残量推定に誤差が生じたとしても、センサ94によるインクタンク15のインクなし状態検出タイミングを境界としてインク残量レベルの補正を行っているため、インクが残っているにもかかわらずインクなしエラーとなってしまうというような問題が無く、効率良くインクを使い切ることができるインク残量検出が可能となる。
【0096】
なお、上述した例では、インク残量レベルLの計算において、整数演算として扱い、且つ「1」の値を加える計算を行う処理を説明したが、例えば、インク残量レベルLを数値化して表示する場合などにおいては、除算によって小数が発生したとしても、その除算した値に従って表示を行ってもよい。
【0097】
以上の如く構成されたインクジェット記録装置10は、顔料インクを使用した場合において、インク残量を正確に光学検出することが困難になることがある。本発明者は、インク残量を正確に光学検出することが困難になる原因は、インクに含まれる溶媒に対して不溶性を示す不溶性材料による検出光の散乱が影響しているという知見を得た。
【0098】
そこで、本発明では、下記に説明するように、インクにおいて、溶媒に対して不溶性を示す不溶性材料を分散させた分散物を用いるとともに、不溶性材料の粒子径150nm以上の粒子濃度を2体積%以下であるようにすることで、インクの溶媒中における不溶性材料の分散性を向上し、検出光の散乱を弱くするようにした。
【0099】
〔インクの説明〕
本発明に係るインクは、溶媒に対して不溶性を示す不溶性材料を分散させた分散物を用いるが、該不溶性材料の粒径分布において粒径150nm以上の粒子濃度が2体積%以下であるようにする。更に好ましくは、不溶性材料の粒径分布において粒径130nm以上の粒子濃度が2体積%以下であることが好ましい。このようにすることで、検出光の散乱を弱くすることができる。従って、インク残量を正確に光学検出することができる。
【0100】
また、本発明に係るインクは、不溶性材料の光学検出手段において入射光として使用される光源の平均波長λと粒子パラメータα=0.4とから導出される粒子径D=αλ/πより大きな粒子濃度を2体積%以下であるように構成することが考えられる。このように構成することで、検出光の散乱を弱くすることができる。
【0101】
尚、粒子散乱を決めるパラメータとして粒径パラメータαというものが知られており、α≦0.4:レイリー散乱領域、0.4<α<3:ミー散乱領域、α≧3:回折散乱領域である(図11参照)。フォトディテクターで比較的高い感度が得られる波長1000nmを中心波長にもつ検出光では粒子径130nm以下の粒子であれば、レイリー散乱、粒子径130nmを越えるとミー散乱が入れ替わる。 検出波長1000nm以下の検出光を使用した場合、130nm以上の粒子が混入すると散乱特性が変化し、検出不良が発生するものと考えられる。
【0102】
即ち、不溶性材料をインクにおける光学式インク残量検出を可能にする為には、粒径パラメータを低い条件に設定することが考えられる。さらに具体的には下記の解決手段が考えられる。
・大粒子の混入を抑える
・長波長の検出光を用いる
ただし、検出光においては、現在のLEDやフォトディテクターの波長、出力、感度といった性能では限界がある。そのため、不溶性材料の粒子径の制限で光学検出を可能にする方が現実的である。
【0103】
更に、溶媒不溶性材料の長軸長さと短軸長さとの比((長軸長さ)/(短軸長さ))が2以下であることが好ましい。溶媒不溶性材料の長軸長さと短軸長さとの比(アスペクト比)が2を超えると、2以下の場合と比較してインク残量を正確に光学検出することが難しくなる傾向にあるからである。
【0104】
更に、光学検出手段は前記インク容器の一部にプリズムを形成し,そこへの入射光と反射光からインク残量を検出する光学検出手段であることが好ましい。プリズムへの反射によるインク残量検出ではインクの透過率に関わらずインク残量を検出できるからである。
【0105】
インクと、インクを保存するインクカートリッジについて、インクカートリッジ材料の表面自由エネルギーはインクの表面張力よりも低いことがより好ましい。インクカートリッジは撥インク性となり、インクがインクカートリッジ表面に付着し、汚れることを防げるからである。
【0106】
インク中に含有される不溶性材料としては、例えば顔料微粒子が該当し、例えばC.I.ピグメントイエロー12,13,17,55,74,97,120,128,151,155,及び180のいずれか1を好ましく使用できる。また、C.I.ピグメントレッド122,C.I.ピグメントバイオレット19,C.I.ピグメントレッド57:1,146,およびC.I.ピグメントブルー15:3等も好ましく使用できる。この場合、顔料微粒子の表面にグラフト鎖層を導入することが好ましい。グラフト鎖層顔料の一例としては、下記に示すポリヒドロキシアルカノコートによって顔料粒子の一部を被覆したものを挙げることができる。
【0107】
【化1】

【0108】
また、不溶性材料がポリマー微粒子である場合には、色材の付着力向上機能や皮膜形成機能を有するポリマー微粒子が該当する。この場合、ポリマー微粒子はポリエチレンオキシドを含むブロックポリマー化合物であることが好ましい。ポリエチレンオキシドを含むブロックポリマー化合物である一例を以下に示す。
【0109】
【化2】

【0110】
インクに含有される不溶性材料は、上記した顔料微粒子又はポリマー微粒子に限らず、溶媒に不溶性の材料の全てが該当する。また、インクに含有される不溶性材料は、1種類に限らず複数種類の不溶性材料が含有されていてもよい。
【0111】
インクに使用される溶媒としては、水を主成分とし、所望により、水混和性有機溶剤を添加した混合物を用いることができる。前記水混和性有機溶剤の例には、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、グリコール誘導体(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングルコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル)、アミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレンジアミン)及びその他の極性溶媒(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル、アセトン)が含まれる。尚、前記水混和性有機溶剤は、二種類以上を併用してもよい。
【0112】
従って、インクジェット記録装置10において、上記の特徴を備えたインクを用いれば、インク残量を正確に光学検出することができる。
【0113】
不溶性材料の濃度は吐出に適切な粘度限界を考慮して1wt%以上20wt%以下であることが好ましい。インクの粘度としては、2mPa・s〜3mPa・sの範囲が好ましく、インク表面張力は28mN/m以上,50mN/m以下の範囲が好ましい。
【0114】
〔記録媒体〕
本発明で用いることのできる記録媒体16としては、通常の非コート紙、コート紙などの他、いわゆる軟包装に用いられる各種非吸収性のプラスチックおよびそのフィルムを用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、延伸ポリスチレン(OPS)フィルム、延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム、延伸ナイロン(ONy)フィルム、ポリ塩化ビニル(PVC)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムを挙げることができる。その他のプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、PVA、ゴム類などが使用できる。また、金属類や、ガラス類にも適用可能である。
【0115】
これら各種プラスチックフィルムの表面エネルギーは、素材の特性により大きく異なり、記録媒体によってはインク着弾後のドット径が変わってしまうことが、従来から問題となっていた。本発明の構成では、表面エネルギーの低いOPPフィルム、OPSフィルムや表面エネルギーの比較的大きいPETまでを含む、表面エネルギーが35〜60mN/mの広範囲の記録媒体に良好な高精細な画像を形成できる。
【0116】
また、包装の費用や生産コスト等の記録材料のコスト、プリントの作製効率、各種のサイズのプリントに対応できる等の点で、長尺(ウェブ)な記録媒体を使用する方が有利である。
【実施例】
【0117】
以下に具体的な実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0118】
〔実験1〕
本実施例で用いた顔料インクの作製法について述べる。顔料ピグメントレッド1:22(20wt%)を用意し、界面活性剤とグリセリンを添加して混練した後、超音波ホモジナイザーにて予備分散を行なう。さらにアルティマイザーで超高圧分散を数10パス程度繰り返す。アルティマイザーは循環系となっており、パス数を増やすことで顔料粒子の微細化が可能である。また今回アルティマイザー分散を行なった顔料分散物を用いているが、直径0.1mmビーズを用いたビーズミル分散でも微小粒径化が可能であることを確かめている。
【0119】
分散前の状態で顔料に対する界面活性剤添加量(界面活性剤添加質量)/(顔料質量)×100=10,15,20,25wt%と変え、また、アルティマイザーのパス数を20,30,40回と変えて粒径分散の異なる微小顔料分散物(20wt%)を作製した。その後、ラテックス分散物を始めとして必要なインク組成物を添加し、最後に攪拌を行なってインクとした。下記のインク構成比にて不溶性材料の粒径分布濃度(体積%)が異なるインクを調製し、インクの粒度分布を計測した。
【0120】
(インクの作成)
・顔料 C.I.ピグメントレッド122 …5重量%
・スチレンブタジエン系ラテックス(平均粒径35nm) …5重量%
・グリセリン …20重量%
・ジエチレングリコール …10重量%
・オレフィンE1010(日信化学工業製) …1重量%
・イオン交換水 …残量(全体として100質量%となるようにした)
粒径は、粒度分布計(日機装製、Nanotrac UPA-EX150)により測定を行なった。この粒度分布計は動的光散乱法という測定原理を用いている。粒子は直径数μm以下になると、溶媒分子運動の影響を受け、ブラウン運動を生じる。この運動の速さは粒子の大きさによって異なり、小さい粒子は速く、大きい粒子はゆっくり動く。これらの運動した粒子へレーザー光を照射すると、その速度に応じた位相の違う光の散乱が生じ,散乱光を分光するとドップラーシフトが得られる。動的光散乱法とはドップラーシフトされた粒子径情報を検出して粒度分布を求める方法である。インク不溶性材料の粒径分布測定では何れも透過モード、非球形として計測を行なっている。
【0121】
上記のインクを、ピエゾ方式のインクジェット記録装置10のインクタンク15に充填し光学検出を行なった結果、顔料粒子径150nm以上の粗大粒子が混入することで著しく検出精度が低下することが分かった。尚、本実験において、発光素子82として950nm(出力15mW)をピーク波長にもつLEDを使用した。また、受光素子84は図12に示す光学感度をもつフォトダイオードを使用している。以下、その詳細な実験方法を述べる。
【0122】
図13の表1は、インク残量レベルと検出の可否を測定した結果である。インク残量のレベルを0、1、2、3と振り(図5参照)、インク残量がプリズム頂点に達した場合をインク残量レベル3、インク残量がゼロの場合を残量レベル0とする。3種類のインクを、それぞれのインクタンク中にインク残量レベル0、1、2、3という位置の高さにまでインクを充填する。インクジェット記録装置の残量検出部に該インクタンクをそれぞれ設置し、それぞれの反射強度を測定している。インクをカートリッジに充填し、光学検出部が重力方向下方になる姿勢で評価を行なった。
【0123】
インク残量レベル3、2でインク有りを検出し、インク残量レベル1、0でインク残量無しとしたものを◎。それ以外の検出結果を×とした。粒径150nm以上の粒子濃度が1.5体積%、2.0体積%の場合ではインク残量の低下に従って反射強度は単調減少するが、粒径150nm以上の粒子濃度が2.5体積%ではインク残量レベル1、インク残量レベル2の場合でも、インクレベル0同等の反射強度となり、インク残量と反射強度が1対1で対応せず、反射強度からインク残量を検出することが困難であることが分かる。
【0124】
〔実験2〕
また、上記のインクをそれぞれ、ピエゾ方式のインクジェット記録装置10のインクタンク15に充填した。
【0125】
本実験において、発光素子82は890nm(出力14mW)、950nm(出力15mW)をピーク波長にもつLEDを使用した。また、受光素子84は図12に示す光学感度をもつフォトダイオードを使用した。
【0126】
粒子径分布とインク残量検出結果を図14の表2に示す。
【0127】
それぞれのインク残量レベル3、2、1、0での検出結果について(3、2、1、0)=(有、有、無、無)となった場合は◎とし、極めて高い精度でインク残量検知が可能なことを示している。
【0128】
それぞれのインク残量レベル3、2、1、0での検出結果について(3、2、1、0)=(有、無、無、無)または(有、有、有、無)となった場合を○とし、インク残量検知が可能であることを示している。
【0129】
それぞれのインク残量レベル3、2、1、0での検出結果について(3、2、1、0)=(無、有、無、無)、または(無、無、有、無)、または(有、無、有、無)の様にインクの有無が不規則になった場合を△とし、精度が低いがインク残量検知が可能なことを示している。
【0130】
それぞれのインク残量レベル3、2、1、0での検出結果について(3、2、1、0)=(無、無、無、無)または(有、有、有、有)となった場合を×とし、インク残量検知ができないことを示している。
【0131】
インク残量検出を適切に行なう条件は、粒子径150nm以上の粒子割合を2体積%以下である。さらに好ましくは、粒子径130nm以上の粒子割合が2体積%以下である。粒子径D以上の粒子割合が2体積%以下である。
【0132】
〔実験3〕
図14の表2で示した実験に用いた溶媒不溶性材料のTEM観察を行った。尚、溶媒不溶性材料は顔料またはラテックスである。先に述べた動的光散乱法で求めた平均粒径は約70nm,80nm,90nmであったが、30個の粒子をランダムに抽出し、その粒子のアスペクト比、即ち、長軸長さと短軸長さの比をとったところ、いずれも(長軸長さ)/(短軸長さ)は1.1から1.9であった。
【0133】
尚、一般的に粒径は、真球の粒子の場合は一意的に決定するが、真球でない場合は詳細には平均粒子径、アスペクト比、形状係数、等々の議論が必要になってしまう。顔料は一般的に粉砕によって作成される為、一粒一粒でも大きさや形状が異なり、真球としては扱えない形状であることが多い。そのため動的光散乱法で求められた粒径は、顕微鏡観察の結果得られた粒径と直接的に対応させることは難しい。だが動的光散乱法で求められた粒径は統計的な大きさとして指標とするには非常に役立つ。
【0134】
顔料の形状と残量検出特性との関係を示すため、下記の顔料を用意し、先に述べたように界面活性剤の添加量とアルティマイザーの循環回数を変えてインクを作成した。
【0135】
・ピグメントレッド57:1
・ピグメントレッド122
・ピグメントブルー15:4
いずれのインクも粒子径150nm以上の粒子割合、粒子径130nm以上の粒子割合、そして粒子径D以上の粒子割合は2.0体積%以下である。尚、アスペクト比は、TEM画像中から粒子を任意に30個抽出して計測し平均値を取っている。残量検出の精度を〔実験2〕の場合と同様に判定した。
【0136】
その結果を図15の表3に示す。顔料のアスペクト比が2.0以下のインクに対しては充分な精度での検出が可能であるが、2.0を越えたものに関しては、一応の検出は可能であるが、充分な感度で残量検出を行なうのが難しくなることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】本発明のインクジェット記録装置の全体構成の概念図
【図2】インクカートリッジの概念図
【図3】記録ヘッドの断面図
【図4】インクタンクの概略構成を示す側面図
【図5】光透過型プリズムと発光素子と受光素子とを示す図
【図6】インクジェット記録装置の制御系の主な構成を示すブロック図
【図7】インク残量表示形態を示す図
【図8】インクジェット記録装置の記録動作の処理手順を示すフローチャート
【図9】実行される回復動作時の処理手順を示すフローチャート
【図10】インク残量更新処理の詳細な処理手順を示すフローチャート
【図11】検出波長と粒子パラメータとの関係を示す図
【図12】受光素子(フォトダイオード)の光学感度を示す図
【図13】インク残量レベルとインク残量検出結果との関係を示す表図
【図14】粒子径分布とそのインク残量検出結果を示す表図
【図15】顔料アスペクト比とインク残量検出結果を示す表図
【符号の説明】
【0138】
10…インクジェット記録装置(画像形成装置)、12…インクカートリッジ、13…記録ヘッド、15…インクタンク(インク容器)、16…記録媒体、17…箱体、18…給紙部、19…リブ、20…デカール処理部、21…インク収容部、22…吸着ベルト搬送部、24…印字検出部、25…負圧発生部材、26…排出部位、27…インク供給口、28…カッター、29…負圧発生部材収容部、30…加熱ローラ、31、32…ローラ、33…ベルト、35…ファン、50A…記録ヘッドのノズル面、51…ノズル、52…圧力室、54…供給口、55…流路、56…振動板、57…個別電極、58…アクチュエータ、72…リブ、74…上壁、76…エアバッファ室、78…底面、80…プリズム、82…発光素子、84…受光素子、86…CPU、88…内部バス、90…プログラムメモリ、92…データメモリ、94…データメモリ、96…インタフェース制御回路、98…インタフェースケーブル、100…ホストコンピュータ、102…記録バッファメモリ、104…ヘッド制御回路、106…センサ回路、110…インク収容部、112…連通口、114…気液連通口、116…インク吸収材、118…供給口、120…弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学検出手段によってインク容器のインク残量が所定レベル以下か否かを検出するインク残量検出方法であって、
前記インク容器に貯蔵されるインクとして、溶媒に対して不溶性を示す不溶性材料を分散させた分散物を用いるとともに、
前記不溶性材料は、粒子径150nm以上の粒子濃度が2体積%以下であることを特徴とするインク残量検出方法。
【請求項2】
前記不溶性材料は、粒子径130nm以上の粒子濃度が2体積%以下であることを特徴とする請求項1に記載のインク残量検出方法。
【請求項3】
光学検出手段によってインク容器のインク残量が所定レベル以下か否かを検出するインク残量検出方法であって、
前記インク容器に貯蔵されるインクとして、溶媒に対して不溶性を示す不溶性材料を分散させた分散物を用いるとともに、
前記不溶性材料は、前記光学検出手段において入射光として使用される光源の平均波長λと粒子パラメータα=0.4とから導出される粒子径D=αλ/πより大きな粒子濃度を2体積%以下とすることを特徴とするインク残量検出方法。
【請求項4】
前記溶媒不溶性材料の長軸長さと短軸長さとの比((長軸長さ)/(短軸長さ))が2以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1に記載のインク残量検出方法。
【請求項5】
前記光学検出手段は、前記インク容器の一部にプリズムを形成し、該プリズムへの入射光と反射光からインク残量を検出する光学検出手段であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1に記載のインク残量検出方法。
【請求項6】
前記インクと前記インク容器において、該インク容器の材料の表面自由エネルギーは、該インクの表面張力よりも低いことを特徴とする請求項1〜5の何れか1に記載のインク残量検出方法。
【請求項7】
画像形成装置の動作に基づいて前記インク容器のインク消費量を算出する算出手段を備えることを特徴とする請求項1〜6の何れか1に記載のインク残量検出方法。
【請求項8】
前記光学検出手段が前記所定レベル以下であることを検出せず、かつ前記算出手段が算出するインク消費量が、当該消費量が前記光学検出手段にかかる前記所定レベルに達すると推測されるインク消費量としての閾値をこえるときは、前記算出手段が算出するインク消費量に応じて求めたインク残量に当該残量を増す所定の補正をした後の量をインク残量として求める残量決定手段を備えることを特徴とする請求項7に記載のインク残量検出方法。
【請求項9】
前記不溶性材料は分散性の顔料であることを特徴とする請求項1〜8の何れか1に記載のインク残量検出方法。
【請求項10】
前記顔料がC.I.ピグメントイエロー12、13、17、55、74、97、120、128、151、155、及び180の何れか1であることを特徴とする請求項9に記載のインク残量検出方法。
【請求項11】
前記顔料がC.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド57:1、146、及びC.I.ピグメントブルー15:3の何れかであることを特徴とする請求項9に記載のインク残量検出方法。
【請求項12】
前記顔料表面にグラフト鎖層を導入したことを特徴とする請求項9〜11の何れか1に記載のインク残量検出方法。
【請求項13】
前記不溶性材料はポリマー微粒子であることを特徴とする請求項1〜8の何れか1に記載のインク残量検出方法。
【請求項14】
前記ポリマー微粒子は被記録部材への色材付着力を向上させる働きをもつポリマーであることを特徴とする請求項13に記載のインク残量検出方法。
【請求項15】
前記ポリマー微粒子は被膜形成機能をもつポリマーであることを特徴とする請求項13に記載のインク残量検出方法。
【請求項16】
前記ポリマー微粒子はポリエチレンオキシドを含むブロックポリマー化合物であることを特徴とする請求項13に記載のインク残量検出方法。
【請求項17】
前記不溶性材料は1種類又は複数種類の材料からなり、数種類の素材粒子を混合、又は数種類の素材からなる複合粒子を作成したことを特徴とする請求項1〜8の何れか1に記載のインク残量検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−68618(P2008−68618A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−211413(P2007−211413)
【出願日】平成19年8月14日(2007.8.14)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】