説明

インターホン装置

【課題】インターホンの親機が呼出音を鳴動する際に、呼出音周波数と呼出音量の双方を制御するために、呼出音周波数を矩形波で出力するとともに、呼出音量に応じた出力レベルでAD出力する機能を有する高価なCPUが必要となる。
【解決手段】呼出音周波数をPWM制御するインターホンCPUが、呼出音量を可聴域よりも高い周波数のPWM制御によりデューティ比を可変し、デューティ比の減少で音量を減少させることにより、呼出音量と呼出音周波数を同時に制御することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインターホン装置に係り、特に、CPUを用いた呼出音生成方式に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からインターホン装置として、呼出音生成をD/A(デジタル/アナログ変換)方式やラダー抵抗回路方式、あるいは専用回路を用いて行っていた。例えば、文献1において、親機Aは音声制御部16aでは、呼出情報の情報を受け取ると呼出音を生成して第1のコーデック部19のD/Aコンバータ19bに出力してスピーカ11から呼出音を鳴らす技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−217540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のインターホン装置での呼出音生成の方式であると、D/A方式では、D/A機能を持った高価なCPUを使用したり、D/A機能を持ったICを別途使用する必要があり、コスト面でデメリットが発生する。
【0005】
また、ラダー抵抗回路方式や専用回路を用いた場合は別途回路が必要となるため、部品点数及び基板面積の増加の要因となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の難点を解消するためになされたもので、PWM(Pulse Width Modulation)方式により、パルス信号(100KHz〜100MHz)のデューティ比を変化させることで呼出音信号の音量を決定するための第1の振幅を調整するとともに、PWM方式で呼出音の周波数(500Hz〜1000Hz)を決定するための第2の振幅を調整することにより、1つの回路で呼出音量と呼出音周波数の同時調整を実現するPWM制御部を有し、低コストで呼出音量及び呼出周波数生成の方式の汎用性を広げることを目的としている。
【0007】
また、CPUは、呼出音種別信号を受信した後、その種別に応じた周波数、鳴動間隔等を有する呼出音信号を生成する呼出音種別決定部を有し、低コストで複数の種別の呼出音に対応することができる。
【0008】
また、CPUは、昼間、夜間等の時間情報信号を取得し、その時間情報に応じてデューティ比を変化させ、呼出音信号の音量を変化させることができる呼出音量決定部を有し、低コストで呼出音の音量調整に対応することができる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1のインターホン装置によれば、PWM方式により1つのCPUで呼出音周波数と呼出音量を調整できるため、呼出音生成の汎用性が広がるとともに、CPUにD/A等の特殊機能が不要となり、コストを低減することができる。
【0010】
請求項2のインターホン装置によれば、呼出音種別信号を用いることで種別に応じた呼出音信号の生成が可能であり、追加となるハードウェアを必要とせず、ソフトウェアの追加のみで各種呼出音信号を発生させることができる。
【0011】
請求項3のインターホン装置によれば、夜間等の時間情報信号を用いることでその時間情報に応じて呼出音の音量を変化させることができる。例えば夜間等呼出音の音量を小さくしたい場合に、追加となるハードウェアを必要とせず、呼出音量調整が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の実施例によるインターホン装置を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明の実施例により生成された呼出音信号の波形図である。
【図3】図3は、本発明の実施例により生成された図2の呼出音信号の1周期の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のインターホン装置を適用して、親機にて呼出音を鳴動するための最良の実施の形態例について、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の第1の実施例によるインターホン装置のブロック図であり、一例として室内に設置された親機1と玄関に設置された子機2から構成され、子機2には親機1を呼び出すための呼出ボタン27と、親機と通話するための子機マイク21及び子機スピーカ22と親機との音声信号を授受するための子機伝送部26とを有している。
【0015】
親機1には子機2からの呼出を報知するとともに子機2と通話するための親機マイク11及び親機スピーカ12と、子機2を選局するとともに子機2からの呼出信号に応じて通話を開始する操作部16と、親機1の各部を制御するとともに、呼出を報知するための呼出音を生成するCPU13を有している。
【0016】
また、CPU13の内部には、呼出音種別信号を受信した後、その種別に応じた周波数、鳴動間隔等を有する呼出音信号を生成する呼出音種別決定部131と、昼間、夜間等の時間情報信号を取得し、その時間情報に応じてデューティ比を変化させ、呼出音信号の音量を変化させることができる呼出音量決定部132を有している。
【0017】
以下、動作について説明する。
【0018】
インターホンの発呼者が子機2の呼出ボタン27を操作すると、呼出信号が親機1に送出される。また、呼出信号を受信した親機1のCPU13は、当該呼出が子機2からの呼出であることを認識すると、呼出音種別決定部131から呼出音種別データを読み出し、図2(a)のような第1音714Hz、第2音555Hz、第3音714Hz、第4音555Hz、となる4点打音を生成する。具体的には、図2(b)に示すように第1音及び第3音はデューティ比50%、周期1.40ミリ秒(約1/714秒。以下、第1の周期と称する。)の矩形波(以下、第1の矩形波と称する。)であり、34ミリ秒ごとに音量が漸減していくことから、図2に示す第1音及び第3音の1つの長方形には、それぞれ第1の矩形波が24本存在することになる。
【0019】
また、CPU13は、時間情報信号を取得し、呼出音量決定部132から当該時間に適応した呼出音量データを読み出し、昼間であれば図2のように初期値レベルを最大として設定する。
【0020】
図3は図2に示す第1の矩形波の拡大図である。1つの第1の矩形波は低レベル部と高レベル部から構成され、高レベル部は周期1MHz、つまり周期1マイクロ秒(=0.001ミリ秒。以下、第2の周期と称する。)の矩形波(以下、第2の矩形波と称する。)が複数本で構成されている。
【0021】
この第2の矩形波のデューティ比は、呼出音量データによって決定する。たとえば、図2に示す左端の第1の矩形波の呼出音量データが最大であれば、デューティ比は100%となり、第2の周期は意味を持たず、常に高レベルである。次に、図2に示す左から2番目の第1の矩形波の呼出音量データが最大音量の98.4375%であれば、デューティ比は98.4375%となり、第2の周期において高レベル部が0.984375マイクロ秒、低レベル部が0.015625マイクロ秒の矩形波を1400本出力する。さらに、図2に示す左から2番目の第1の矩形波の呼出音量データが最大音量の96.875%であれば、デューティ比は96.875%となり、第2の周期において高レベル部が0.96875マイクロ秒、低レベル部が0.03125マイクロ秒の矩形波を同様に1400本出力する。
【0022】
以後、デューティ比を変化させることによって音量を漸減していく。なお、第1音及び第3音はデューティ比65.625%(100−1.5625×22)で、第2音はデューティ比39.0625%(100−1.5625×39)で次の音に変化するが、図2に示すように第4音は64段階の遷移により最低レベルまで漸減するため、最終的にはデューティ比1.5625%まで音量が低下する。
【0023】
なお、第2の矩形波の振幅は高レベル部、低レベル部ともにキャリア信号の整数倍(1倍を含む)となっているため、例えばキャリア信号が64MHzであれば、CPUは0.015625マイクロ秒単位で第2の矩形波のデューティ比の変化により容易に音量を変化させることができる。また、第2の矩形波の周波数は可聴域よりもはるかに高い周波数を使用しているため、当該周波数成分が音声として聞こえることはない。
【0024】
上記実施例は呼出時間が昼間の場合について説明を行なったが、呼出音量決定部132から当該時間に適応した呼出音量データを読み出し、夜間であれば初期値レベルを6dB減じたデューティ比50%から鳴動を開始するが、その後の動作については昼間と同様である。
【0025】
また、本実施例では玄関子機2から呼出があった場合の呼出音の鳴動を例にとって説明したが、例えば、図示しない親機1の警報発報ボタンを操作することによってセキュリティ警報等の警報音を鳴動するときも同一の回路から送出できる。この場合、CPU13は、呼出音種別決定部131から警報音の呼出音種別データを読み出し、鳴動させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
なお、本発明ではインターホン親機が1台、玄関子機が1台となっているが、複数の親機、玄関子機があってももちろん良い。また、外部スピーカを備えた機器で呼出音を鳴動させる場合も、上述の方法を用いても良い。
【符号の説明】
【0027】
1 親機
11 親機マイク
12 親機スピーカ
13 CPU
131 呼出音種別決定部
132 呼出音量決定部
16 操作部
2 子機
21 子機マイク
22 子機スピーカ
26 子機伝送部
27 呼出ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の機器を呼び出すための呼出部を有する子機と、前記子機からの呼出を検知する親機CPUと、前記子機からの呼出を報知する親機スピーカを有する親機と、を備えたインターホン装置において、
前記CPUは、PWM(Pulse Width Modulation)方式により、キャリア周波数の整数倍の振幅を有するパルス信号(100KHz〜100MHz)のデューティ比を変化させることで呼出音信号の音量を決定するための第1の振幅を調整するとともに、PWM方式で呼出音の周波数(500Hz〜1000Hz)を決定するための第2の振幅を調整することにより、1つの回路で呼出音量と呼出音周波数を同時に調整するPWM制御部を有することを特徴とするインターホン装置。
【請求項2】
前記CPUは、呼出音種別信号を受信した後、その種別に応じた周波数、鳴動間隔等を有する呼出音信号を生成することが可能である呼出音種別決定部を有することを特徴とする請求項1記載のインターホン装置。
【請求項3】
前記CPUは、昼間、夜間等の時間情報信号を取得し、その時間情報に応じてデューティ比を変化させ、呼出音信号の音量を変化させることができる呼出音量決定部を有することを特徴とする請求項1または請求項2記載のインターホン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−46237(P2013−46237A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182796(P2011−182796)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】