説明

ウェッジタイプのゴルフクラブヘッド

【課題】改善されたバックスピン、ボール速度、および打ち上げ角度のような増強された性能特性を具備するウェッジタイプのゴルフクラブヘッドを提供する。
【解決手段】重心が低いウェッジタイプのゴルフクラブヘッド200に関し、ここでは、重心が打撃面の実質的に後方に位置し打撃面の後方の中立軸に実質的に沿って位置決めされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、全般的には重心が低いウェッジタイプのゴルフクラブヘッドに関する。より具体的には、この発明は、バックスピンの増大、打ち出し角度の増大、およびボール速度の増大を可能にする高ロフトで低重心のウェッジタイプのゴルフクラブヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフクラブは、ゴルフボールと組みあわされて、一般的に、ゴルフのゲームで最も基本的な道具であると考えられてきた。ゴルフのゲームの発展と並行して、ゴルフ用具業界においても著しい進展があった。ゴルフクラブ、とくにウェッジタイプのゴルフクラブも、ゴルファーのショットをより正確に、かつより制御された状態で実現したいという要望に対処するために、他のすべてのゴルフ用具と同時に発展した。
【0003】
ウェッジタイプのゴルフクラブは、より慣用的にはウェッジとして知られ、一般的にはロフト角が大きな特別なタイプのゴルフクラブである。これらのロフトのより大きなウェッジは、ゴルファーが短い範囲のショットを、改善された軌道、改善された精度、改善された制御性で調整することを可能にする精密用具という性格がある。ウェッジにおいてロフトが大きくなると、一般にゴルフショットの軌道が高くなる。なぜならば、ゴルフボールとの衝突面が直角でなく、むしろ、ゴルフボールが、ウェッジ自体の実際のロフト角とかなり類似した傾きでウェッジと相互作用するからである。この傾きはゴルフボールがウェッジタイプのゴルフクラブヘッドによって打ち出されたときに、一般に、ゴルフボールをウェッジの傾きに沿って上昇させ、またゴルフボールがウェッジクラブフェースを離れるときに後ろ向きの回転をゴルフボールに与える。ゴルフボールのこの後ろ向きの回転はゴルフ業界では「バックスピン」と呼ばれ、これは、ウェッジタイプのゴルフショットの軌道、精度、および制御性を向上させるのに必要である。
【0004】
バックスピンは、ゴルフボールにジャイロ作用を付与し、このジャイロ作用がボールの飛行を安定させ、これにより精度を向上させるので、ゴルフショットの軌道、精度、および制御性を改善するのに役立つ。さらに、バックスピンはボールの着地後の転がりを最小化し、ボールが地面に到着したあとでもゴルフショットをより予期可能なものにするので、このバックスピンはゴルフショットの精度を増大させるのに役立つ。
【0005】
バックスピンを増大させるための多くの手法が一般にゴルフクラブ業界において知られている。例えば、大きなバックスピンを発生させる1つの方法は、ウェッジクラブフェースの摩擦係数を大きくすることであろう。米国特許第5,804,272号(Schrader。特許文献1)の「バックスピンステッカー」は、全体として、ゴルフボールがパット面に当たるときにバックスピンを増大させるためにバックスピンステッカーと角度のある面を具備するゴルフクラブとを組みあわせることを開示している。より具体的には、’272特許は、打撃フェースの打撃領域に合致するような形状とされたステッカーを開示しており、このステッカーは、前面に、シリコンカーバイトのざらつき部のコーティングを合成樹脂で固着させ、また、接着領域に、接着面に透明で、圧力官能性の接着剤を塗布させている。
【0006】
米国特許公開第US2004/0127300号(Roesgen等。特許文献2)の「ゴルフクラブヘッド」は、ウェッジクラブフェースの摩擦係数を増大させることによりウェッジタイプのゴルフクラブのバックスピンを増大させるために採用される手法の他の例である。’300特許公開は、全般的には、金属から製造され、45°より大きなロフト角を有し、複数の並行溝を具備し、衝撃フェースの表面粗度Raが0.25マイクロメータより小さく、衝撃フェースのビッカース硬度が5ギガパスカルより大きい、ゴルフクラブヘッドを開示している。
【0007】
ゴルフボールのバックスピンを増大させるには先に検討した表面処理は有効であろうけれども、表面処理は摩耗や破砕により徐々に損なわれ、理想的なものでなくなっていく。このような課題に対処するために、米国特許第7,014,568号(Pelz。特許文献3)の「ゴルフクラブ」は、バックスピンを増大させるために有益なウェッジフェース溝構造を開示している。より具体的には、’568特許は、ウェッジ打撃面が一連の溝を含むインサートの形態を採用して良いことを開示し、この設計はロフトに応じてクラブごとに異なって摩擦を増大させる。さらに具体的に説明すると、このウェッジは一定の表面粗度のクラブフェースを採用してクラブロフトと無関係に表面摩擦が維持され、ただ、各クラブの溝が変化して一体のスピンレートを実現するのに必要な衝撃摩擦を変化させる。
【0008】
米国特許第5,437,088号(Igarashi。特許文献4)の「バックスピンが増大しサイドスピンが減少したゴルフクラブを製造する方法」もゴルフボールのバックスピンを増大させる溝構造を開示している。より具体的には、’088特許は、クラブのフェース表面が実質的に平坦な改善されたゴルフクラブを開示し、これはクラブフェースを表面加工(ミリング)することにより実現され、さらに、スコアライン(溝)のエッジが、その表面加工により比較的鋭くなっている。この発明の鋭利な溝エッジ(およびミリングライン)により、ゴルフボールが打撃されたときにバックスピンが増大し再度スピンが減少する。この結果、クラブ衝突角度がふらついても、比較的まっすぐなゴルフボール飛行パスが実現される。
【0009】
先に説明したことから理解されるように、ゴルフボール、とくに、ウェッジタイプのゴルフクラブで打撃されたときのゴルフボールのバックスピンを改善するために多くの試みがなされてきた。しかしながら、表面加工または溝の構造を採用する現行の手法は、ウェッジタイプのゴルフクラブの元来の性能を最大化させていない。より具体的には、現行の手法は、ウェッジタイプのゴルフクラブヘッドとゴルフボールとの間のエネルギ移動の効率を最大化させる代替的な位置へ重心を移動させるならばウェッジタイプのゴルフクラブにより実現される、潜在的なバックスピンおよび打ち出しボール速度の恩恵を考慮していない。
【0010】
図1は、重心(CG)102の位置が地面106から距離d1だけ離れている従来例のウェッジに従う事例のウェッジ100を示す。図1に示すように、距離d1はウェッジ100の重心CG102の位置を示し、これは地面106から離間した大きな距離です。距離d1は、事例の従来例に示されるように、一般的には20mmより大きくて良いけれども、従来例のウェッジの距離d1は21mm、22mm、23mmであってよく、また、事例の従来例のウェッジ100から逸脱することない範囲で比較的大きな距離をとる任意の重心CG102であってよい。
【0011】
重心CG102を地面106に対してかなり高い位置にするのは、ウェッジタイプのゴルフクラブヘッド100とゴルフボールとの間のエネルギ移動の効率を最大化させないので、一般的には望ましくなく、重心CG102を地面106の近傍に近づけることが一般的に望ましく、より好ましくは、ゴルフクラブの重心CGおよびゴルフボールの中心を通り抜け打撃面と直角な衝撃軸に沿うことが望まれる。
【0012】
ウェッジタイプのゴルフクラブの重心CGの位置を最大化させることにより実現されるバックスピンの増大の恩恵に加えて、重心CGの位置を最大化させることは、性能特性を増大させることも可能にし、例えば、ボール速度の増大、軌道の増大に関連する打ち上げ角度の増大、精度の改善、および制御性の改善ももたらす。ボール速度が増大するとショット距離が大きくなる。ショット距離を一定にしつつ、スピンを大きくすることが必要であれば、ウェッジロフトを大きくしなければならず、ボール速度を抑制する特性が増大し、その反面、ボールに対してさらなるバックスピンを加え、全体としてさらなる停止力または精度を生じさせる。
【0013】
したがって、この分野において、ウェッジタイプのゴルフクラブに対して溝を調整したり、表面加工を与えたりする必要がなくバックスピン特性を改善することが可能なゴルフクラブに対する要望があることがわかる。より具体的には、ウェッジタイプのゴルフクラブにおいて重心CGの位置を戦略的に位置づけることにより、バックスピン、ボール速度、および打ち上げ角度のようなゴルフショットの性能特性を最適化することができるウェッジタイプのゴルフクラブに対する要望がある。性能特性を改善させたCG最適化されたウェッジタイプのゴルフクラブヘッドは、ウェッジタイプのゴルフクラブヘッドのバックスピン特性をさらに最適化する種々の溝または表面加工を採用したウェッジタイプのゴルフクラブとともの採用されても良い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第5,804,272号明細書
【特許文献2】米国特許公開第US2004/0127300号明細書
【特許文献3】米国特許第7,014,568号明細書
【特許文献4】米国特許第5,437,088号明細書
【発明の開示】
【0015】
この発明の一側面においては、ウェッジタイプのゴルフクラブヘッドはホーゼルとこのホーゼルに結合された本体とを有し、これらがロフト角をなす。この本体は、打撃面および背面部を有し、この打撃面が当該打撃面と直角をなし当該打撃面の衝撃点を通る中立軸を定義する。このウェッジタイプのゴルフクラブヘッドは、さらに、本体の底部において地面に少なくとも部分的に接するソールを有し、このソールが上記打撃面および上記背面部を連結し、上記ロフト角が約45度より大きく、かつ、上記ウェッジタイプのゴルフクラブヘッドの重心が上記打撃面の後方で、かつ上記中立軸に実質的に沿って配置される。
【0016】
この発明の他の側面において、ウェッジタイプのゴルフクラブヘッドは、ホーゼルと、上記ホーゼルに結合された本体とを有し、これらがロフト角をなす。この本体は、打撃面および背面部を有する。このウェッジタイプのゴルフクラブヘッドは、また、本体の底部において地面に少なくとも部分的に接するソールを有し、このソールが、上記打撃面および上記背面部を連結し、上記ロフト角が約45度より大きく、上記ソールはさらにウェイト部を有し、かつ上記ウェイト部の密度は上記ウェッジタイプのゴルフクラブヘッドの残りの部分の密度より大きい。
【0017】
この発明のさらに他の側面において、ウェッジタイプのゴルフクラブヘッドは、ホーゼルと、上記ホーゼルに結合された本体とを有し、これらがロフト角をなす。上記本体は、打撃面および背面部を有し、この打撃面が当該打撃面と直角をなし当該打撃面の衝撃点を通る中立軸を定義する。このウェッジタイプのゴルフクラブヘッドは、さらに、上記本体の底部において地面に少なくとも部分的に接するソールを有し、このソールが、上記打撃面および上記背面部を連結し、上記ロフト角が約45度より大きく、かつ、上記ウェッジタイプのゴルフクラブヘッドの重心が上記中立軸により二分される上記ウェッジタイプのゴルフクラブヘッドの放物線領域内に配置される。上記放物線領域が、さらに、上記打撃面の打撃点に位置づけられた焦点を有し、上記放物線領域の開口方向が上記ウェッジタイプのゴルフクラブヘッドの上記本体の上記背面部に向いている。
【0018】
この発明のさらに他の側面において、ウェッジタイプのゴルフクラブヘッドは、ホーゼルと、上記ホーゼルに結合された本体とを有し、これらがロフト角をなす。上記本体は、打撃面および背面部を有し、この打撃面が当該打撃面と直角をなし当該打撃面の衝撃点を通る中立軸を定義する。このウェッジタイプのゴルフクラブヘッドは、さらに、上記本体の底部において地面に少なくとも部分的に接するソールを有し、これが、上記打撃面および上記背面部を連結し、上記ロフト角が約45度より大きく、かつ、上記ウェッジタイプのゴルフクラブヘッドの性能比が約530000rpm*mphより大きい。
【0019】
この発明のさらに他の側面において、ウェッジタイプのゴルフクラブヘッドは、現行のウェッジタイプのゴルフクラブヘッドにおいてCGを低くすることによりもとらされるボール速度の増加を軽減するためにロフトを付加する必要がある。これにより、付加的なバックスピンを加え、かつ全体的なウェッジショットの距離を変化させない。これは、比較的スイング速度が大きいプレイヤの間では、セット中のクラブ距離が相互に重複しないという好ましい特徴である。
【0020】
この発明のこれらの、または他の特徴、側面、および利点は以下の図面、説明および特許請求の範囲を参照して理解されるであろう。
【0021】
この発明の、先の、または他の特徴および利点は、添付図面において図説される、この発明の以下の説明から明らかであろう。添付図面はここに組み入れて明細書の一部を構成し、この発明の原理を説明するのに役立ち、同業者がこの発明を実施することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】従来のウェッジタイプのゴルフクラブヘッドの側面図である。
【図2】この発明の事例の実施例に従うウェッジタイプのゴルフクラブの側面図である。
【図3】この発明の代替的な実施例に従うウェッジタイプのゴルフクラブの側面図である。
【図4】この発明のさらに代替的な実施例に従うウェッジタイプのゴルフクラブの側面図である。
【図5】この発明のさらに代替的な実施例に従うウェッジタイプのゴルフクラブの側面図である。
【図6】現行の発明に従うウェッジタイプのゴルフクラブの側面図であり、重心CGの位置の範囲を示すものである。
【図7】この発明に従う実施例の側面図であり、重み付け材料からなるソール部を示すものである。
【図8】この発明に従う他の代替的な実施例の側面図であり、部分的に重み付け材料からなるソール部を示すものである。
【図9】この発明に従う他の代替的な実施例の側面図であり、短くしたホーゼルを示すものである。
【図10】この発明に従う代替的な実施例の正面図であり、溝を含む打撃面を示すものである。
【図11】この発明に従う溝構造の複数の断面を示す図である。
【図12】この発明の他の代替的な実施例の断面図であり、異なるソールプロファイルを示す。
【図13】種々のウェッジタイプのゴルフクラブヘッドにより打撃された後のゴルフボールの飛行状態を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の詳細な説明は、この発明を現状で最も良く考えられた態様で実現するものである。この記載は限定的の意図で把握されるのでなく、単に、この発明の全体的な原理を説明する目的でなされ、この発明の範囲は添付の特許請求の範囲の記載により最も良く規定される。
【0024】
以下の説明される種々の発明の特徴は、各々、相互に独立して採用でき、また他の特徴と組みあわされて採用できる。ただし、いずれの1つの発明の特徴も上述した問題のいずれかまたはすべてに対処するものでなくともよく、上述した問題の1つに対処するものであってもよい。さらに上述の問題の1つまたはそれ以上が以下で説明されるいずれの特徴によっても充分に対処されなくとも良い。
【0025】
図2は、この発明の事例の実施例に従うウェッジタイプのゴルフクラブヘッド200の側面図を示し、中立軸208に実質的に沿う特別な重心(CG)202の位置を伴う。ウェッジタイプのゴルフクラブヘッド200は、現行の事例の実施例に示されるように、ホーゼル209および本体211を含み、これがホーゼル209に結合されている。本体211はさらに打撃面201および背面部分203を有して良く、これらはウェッジタイプのゴルフクラブヘッド200の底においてソール205の部分によって連結される。ソール205は、現行の事例の実施例に示されるように、全般的には、少なくともソール205の部分を具備し、これが、ゴルフクラブヘッドがアドレスに配置されたときに、ウェッジタイプのゴルフクラブヘッド200のソール205のプロファイルによって形成される角度で、地面206に静止する。本体211、さらに具体的には打撃フェース211は、ロフト角αでホーゼルと連結されてロフト角のウェッジタイプのゴルフクラブヘッド200を形成して良い。ウェッジタイプのゴルフクラブヘッド200は、現行の事例の実施例に示されるように、中立軸208を有して良く、これは打撃面201に直角であり、また、打撃面201の打撃点208を通る。中立軸208は一般的にはウェッジタイプのゴルフクラブヘッド200の重心(CG)202の位置を決定するのに役立つように利用され、CG202の位置は一般的には中立軸208に実質的に沿って打撃面201に後方に設けられて良い。最後に、図2は、この発明に従って、CG202が一般的に地面206から距離d2の位置にあることを示す。
【0026】
中立軸208は、現行の事例の実施例に示されるように、一般的に、打撃面201と直角な90度の任意の線であって良い。この発明に従うと、中立軸208は打撃面201と直角であるとともに、さらに一般的には打撃面201を衝撃点204で通過する。中立軸208は、一般的には、ウェッジタイプのゴルフクラブヘッド200の衝撃後のゴルフボールの移動の経路を決定し、また、中立軸208はCG208の位置も通るので、ウェッジタイプのゴルフクラブヘッドのCG202位置によっても決定される。
【0027】
ウェッジタイプのゴルフクラブヘッド200は、現行の事例の実施例に示されるように、従来のウェッジタイプのゴルフクラブ100(図1参照)の重心位置より著しく低いCG202の位置を伴う。換言すれば、図2に示す距離d2は図1で示すd1より一般的に小さくて良い。より具体的には、ウェッジタイプのゴルフクラブヘッド200は、現行の事例の実施例に示されるように、図1に示すような中立軸より実質的に上方の任意の位置にあるのでなく、中立軸208に実質的に沿うCG2020を伴う。さらに具体的には、図2は、CG202がまさに中立軸208の線上にあり、また、打撃面201の後方で、多くのゴルファーがウェッジタイプのゴルフクラブを用いた際の平均衝撃点の近くにあってよい。
【0028】
CG202の位置を中立軸208のちょうど線上に置くと、エネルギ移動効率が改善されてウェッジタイプのゴルフクラブヘッド200の性能特性を改善するのに役立ち、また、衝撃方向に沿う運動量をより大きくするのに役立つ。エネルギ移動効率が改善されると運動量をより大きくし、ウェッジタイプのゴルフクラブヘッド200の打撃面201の溝と無関係に、ウェッジタイプのゴルフクラブヘッド200により打撃されたゴルフボールのバックスピン、ボール速度、および打ち上げ角度を直接的に改善できる。性能特性の著しい改善はCG202を実質的に中立軸208に沿わせることにより実現でき、完全な整合は必要ないことに留意されたい。著しく改善された性能特性を実現するために、この発明の1実施例に従うと、CG202の位置は打撃面201の後方の任意の位置でよく、好ましくは中立軸208に実質的に沿う位置であってよい。
【0029】
衝撃点204は一般的にはゴルフボールがウェッジタイプのゴルフクラブヘッド200に接触する点を示して良い。換言すれば、衝撃点は、一般的には、多くのゴルファーがウェッジタイプのゴルフクラブヘッドを用いてゴルフボールを打つ点であってよい。衝撃点204は、現行の事例の実施例に示されるように、一般的には地面から10mmから20mmあるが、より好ましくは、衝撃点204は地面から12mmから18mmであり、さらに好ましくは地面から14mmから16mmであり、最も好ましくは地面206から15mmであるが、この発明の範囲および内容からすべて逸脱しないものとする。衝撃点204は、地面206から距離d2だけ離れているCG202の位置の上限を規定するのに役立てて良い。距離d2は、現行の事例の実施例に示されるように、一般的には地面206から20mm未満であってよいが、より好ましくは、CG202の位置は地面から18mm未満であり、さらに好ましくは地面206から16mm未満であり、最も好ましくは、自然206から15mmであってよい。ただし、この発明の範囲および内容からすべて逸脱しないものとする。
【0030】
ロフト角αは、現行の事例の実施例に示されるように、一般的に、ウェッジタイプのゴルフクラブヘッド200のようにロフトの大きなクラブに方向づけられていて良い。ウェッジタイプのゴルフクラブヘッド100は、一般的には、45度より大きなロフト角αを伴って良いが、ロフト角αは45度未満でも良く、ちょうど45度であってもよい。ただし、ウェッジタイプのゴルフクラブヘッド200が、ウェッジタイプのゴルフクラブヘッド200と関連して最適化されたCG202の位置により実現される増強された性能により恩恵をもたらす限り、これらは、この発明の範囲および内容からすべて逸脱しない。
【0031】
図3はこの発明の代替的な実施例を示し、ここでは、ウェッジタイプのゴルフクラブヘッド300は中立軸308に実質的に沿うCG302の位置を伴うけれども、距離d2より著しく小さな地面306からの距離d3を伴ってよい。図3に示される代替的な実施例では、ウェッジタイプのゴルフクラブヘッドは、CG302の位置がちょうど中立軸308の線上にあるので、バックスピン、ボールスピードおよび打ち上げ角度のような性能特性が著しく改善される。距離d3も、現行の事例の実施例に示されるように、一般的には衝撃点304より低く、また一般的には地面306から20mm未満であってよいが、より好ましくは、CG302の位置は地面から18mm未満であり、さらに好ましくは地面306から16mm未満であり、最も好ましくは、地面306から15mmであってよい。ただし、この発明の範囲および内容からすべて逸脱しないものとする。ウェッジタイプのゴルフクラブヘッド300は、CG302の位置ゆえに、改善されたエネルギ移動をもたらし、これがより多くの運動量を発生させて直接的にゴルフボールのバックスピン、ボール速度および打ち上げ角度を改善する。
【0032】
図4はこの発明のさらに代替的な実施例を示し、ここでは、ウェッジタイプのゴルフクラブヘッド400は中立軸408に実質的に沿うCG402の位置を伴うけれども、これは中立軸408のちょうど上にあるのではない。図4に示す代替的な実施例では、CG402は、地面406から距離d4だけ離れ、中立軸408の若干上側にある位置を伴って良い。ただし、依然としてCG402は実質的に中立軸408に沿っている。CG402は中立軸408のちょうど線上にはないけれども、とくに従来のウェッジ100と較べた場合には、依然として、運動量を大きくし、直接的にゴルフボールのバックスピン、ボール速度および打ち出し角度を改善できる。従来のウェッジ100のCG102の位置はかなり高い位置にある(図1参照)。
【0033】
図5はこの発明のさらに代替的な実施例を示し、ここでは、ウェッジタイプのゴルフクラブヘッド500は中立軸508に実質的に沿うCG502の位置を伴うけれども、これは中立軸508のちょうど上にあるのではない。図5に示す代替的な実施例では、CG502は、地面506から距離d5だけ離れ、中立軸508の若干下側にある位置を伴って良い。CG402は中立軸408のちょうど線上にはないけれども、とくに従来のウェッジ100と較べた場合には、依然として、運動量を大きくし、直接的にゴルフボールのバックスピン、ボール速度および打ち出し角度を改善できる。従来のウェッジ100のCG102の位置はかなり高い位置にある(図1参照)。
【0034】
図2〜5から理解されるように、すべてこの発明の範囲および内容に従って、CGが実質的に中立軸に沿う限り、CGはウェッジタイプのゴルフクラブヘッドの種々の位置にあってよい。図6は、この発明に従う「実質的に沿う」技術をさらに明瞭にする、ウェッジタイプのゴルフクラブヘッド600内の実現可能なCG位置の境界を一般的に特徴付けることができる。図6は、この発明の事例的な実施例に従うウェッジタイプのゴルフクラブヘッド600の実現可能なCG位置の境界を定義する放物線領域620をハイライトして示すウェッジタイプのゴルフクラブヘッド600を示すことができる。放物線領域620はその焦点を衝撃点604に配置してよく、この放物線領域620は一般的に中立軸608により二分されてよく、これはその位置をウェッジタイプのゴルフクラブヘッド600の内部に設ける。放物線領域620は、一般的には、その開放方向624を、本体611の背面部603の向きに方向づけてよいけれども、これは、わずかに、ソール605方向に傾いている。放物線領域620により包囲される領域は一般的にはこの発明の範囲および内容から逸脱することなく、中立軸608に「実質的に沿う」と考えられるので、この放物線領域620が一般的にウェッジタイプゴルフクラブ600内のCG位置の境界を定義することができる。
【0035】
図6は距離d6も示すことができ、これはこの発明に従う実現可能なCG位置の高さの上限を示す。この現行の事例的な実施例に示されるように、d6は一般的には衝撃点604と同じ高さであって良く、衝撃点は、一般的には地面606から10mmから20mmであってよいが、より好ましくは、衝撃点604は地面606から12mmから18mmであって良く、さらに好ましくは地面6060から14mmから16mmであってよく、最も好ましくは地面606から15mmであってよい。
【0036】
放物線領域620の大きさは、一般的には、中立軸608に実質的に沿うCG位置を決定できる。より具体的には、放物線領域620は、一般的には、この発明の範囲および内容から逸脱することなく、CG位置が中立軸608から7mm以内であることを保証し、より好ましくは、5mm未満であることを保証し、最も好ましくは3mm以内であることを保証する、領域を定義できる。放物線領域620の周囲は、この発明の事例的な実施例に従いゴルフボールのバックスピンをより大きくし、ボールスピードをより大きくし、打ち出し角度をより大きくするのに役立つCG位置を包囲する領域を示すことができる。
【0037】
図6に示すように、放物線領域620は、一般的には、CGをゴルフスイングに一般的に関連する異なるスイング条件に対して性能を改善させる領域内に位置づけることを可能にする。スイング条件を最適化するために、CG位置を実質的に中立軸に沿うようにすることが一般的に望まれ、これは衝撃点604に基礎を置く。ただし、異なるスイングは一般的に異なる中立軸を形成するので、最適なCG位置は異なるスイング特性に応じてしばしば変化する。上述したスイングのバリエーションは、しばしば、プレイヤがクラブをロフトから外すときに意図的に起こることであり、このバリエーションゆえに、CG位置の境界を規定する放物線領域620が、個々のスイングに依存せずに、ウェッジタイプのゴルフクラブヘッド600が最適な性能を実現するのを確実にする。
【0038】
図7は、この発明の事例的な実施例に従って低いCG702を実現するのに採用できるウェッジタイプのゴルフクラブヘッド700の物理的構成を示すのに役立つ。低いCG702を実現するために、ウェッジタイプのゴルフクラブヘッド700は一般的にはソール705を有し、これがさらにウェイト部732を有し、このウェイト部732はウェッジタイプのゴルフクラブヘッド700の他の部分の材料より密度がおおきな材料から構成されて良い。ウェイト部732の大きな密度は、一般的には、従来のウェッジ100(図1参照)のCG位置より著しく下方の位置にウェッジタイプのゴルフクラブヘッド700を配置するのに採用できる。
【0039】
現行の事例の実施例に示されるように、ウェイト部732は、一般的に、タングステンのような高密度材料で構成されて良いけれども、この発明の範囲および内容を逸脱することなく、タングステンニッケル、鉛、銅、イリジウム、または他の高密度の材料のような種々の材料をすべて採用できる。ウェッジタイプのゴルフクラブヘッド700の残りの部分は、これと逆に、一般的には、ウェイト部732の密度より小さな密度の材料から構成できる。ウェッジタイプのゴルフクラブヘッド700は一般的にはスチールにより構成して良いけれども、この発明の範囲および内容からすべて逸脱することなく、それがウェイト部732より小さな密度を有する限り、アルミニウム、鉄、銅、チタン、または、プラスチックのような多くの他の材料を採用できる。
【0040】
この発明の事例的な実施例において、ウェイト部732をタングステンのような材料で構成したときには、ウェイト部732の密度は約19300kg/mになる。代替的には、ウェッジタイプのゴルフクラブヘッド700の残りの部分をスチールのような材料で構成したときには、その密度は約7800kg/mになる。ウェッジタイプのゴルフクラブヘッド700のウェイト部732と残りの部分の密度の関係により、一般的には、重量比は2.0より大きくなり、より好ましくは2.25より大きくなり、最も好ましくは2.5より大きくなる。ここで、重量比は、ウェッジタイプのゴルフクラブヘッド700のウェイト部732の密度の、残りの部分の密度に対するものとして定義される。
【0041】
図7に示すように、ウェイト部732は、ウェッジタイプのゴルフクラブヘッド700のソール705全体を置換して、CG702の位置を下げて良いけれども、この発明の範囲おより内容を逸脱しない範囲で、ウェイト部732がソール705を部分的にのみ置換して所望のCG位置を実現して良い。ウェイト部732に起因してCG702が改善されるゆえに、ウェッジタイプのゴルフクラブヘッド700は一般的にCG702の位置を低くしてこれによりエネルギ移動を改善しより大きな運動量をもたらしてウェイト部732に基礎を置くゴルフボールのバックスピン、ボール速度、および打ち出し角度の改善をもたらす。
【0042】
図8はこの発明のさらに代替的な実施例に従うウェッジタイプのゴルフクラブヘッド800を示し、ここでは、ウェイト部832のみが部分的にソール805を置き換えCG802の位置を低くする。図8は、所望の低いCG802を実現するためにソール805を通り抜ける円筒某の形状に類したウェイト部832を示す。現行の事例的な実施例では、ウェイト部832は円筒形の棒として示されるけれども、この発明の範囲および内容を逸脱しない範囲で、密度の大きな材料から成る、種々の他の形状、例えば、四角形、三角形、八角形、またはソール805を部分定に置換可能な任意の形状を採用しても良い。
【0043】
図9はこの発明のさらに他の代替的な実施例に従う他のウェッジタイプのゴルフクラブヘッド900を示し、ここでは、ホーゼル909を短くしてウェッジタイプのゴルフクラブヘッド900内のCG902の位置を低くしている。ホーゼル909を短くすると、一般的にクラブヘッドのソール905から離れて高い位置に位置づけられた重量が取り除かれ、ウェイト部を必要とすること無しにCG909を低くすることができる。ただし、この発明では、短いホーゼル909をソール中のウェイト部と組みあわせて採用してウェッジタイプのゴルフクラブヘッド900のCG909をさらに低くしてよいことに留意されたい。
【0044】
図10はこの発明の他の事例的な実施例に従うウェッジタイプのゴルフクラブヘッド1000の正面を示し、ウェッジタイプのゴルフクラブヘッド1000のホーゼル1009および打撃面1001の複数の溝1040を示す。複数の溝1040は、一般的には、この発明の範囲および内容を逸脱しない範囲で、種々の形状および寸法を採用して良く、図11に詳細に示されるような構造を採用できる。
【0045】
図11は、複数の溝1040として採用できる種々の実施例の断面を示す。複数の溝1040は、溝1141により示されるようにV−字形状でも、溝1142により示されるようにU−字形状でも、溝1143により示されるように四角形の形状でも、溝1144により示されるように複合的な形状でも、または、ウェッジタイプのゴルフクラブヘッドの摩擦係数を改善することができる任意の他の溝形状であってもよい。さらに、溝1141、溝1142、溝1143、および溝1144により示される種々の溝構造は、種々の方法例えばスピンミリング、スタンプ、鍛造、または性能特性を改善する溝を生成できる任意の他の製造方法により構築されて良い。
【0046】
図12は、この発明の他の代替的な実施例を示すための、図10中のA−A’断面線に沿ウェッジタイプのゴルフクラブヘッド1200の断面を示す。現行の事例的な実施例において示されるように、ウェッジタイプのゴルフクラブヘッド1200は、部分的に空洞の背面部1203を採用し、これがさらにウェイト部1253を含んでよいキャビティ1252を形成し、これは蓋1251で覆われる。キャビティ1252の部分はウェッジタイプのゴルフクラブヘッド1200から重量と取り去り、ウェッジタイプのゴルフクラブヘッド1200の背面部1203中の重量を除去するのに役立ちCG1202の位置を地面1206により近づけるのを支援する。さらにこのキャビティ1252の部分に加えて、ウェイト部1253が一般的には高密度の材料から構成され、さらにCG1202を地面1206に近づける。さらに、CG1202の位置を下方にすると、CG1202がより中立軸1208に整合しやすくなり、この結果、性能特性の改善、すなわち、大きなバックスピンに起因する軌道、正確性、および制御性を改善しやすくなる。改善されたCG1202の位置に起因して、ウェッジタイプのゴルフクラブヘッド1200は一般的にエネルギ移動が改善され運動量が大きくなり、ゴルフボールのバックスピン、ボール速度、および打ち上げ角度を直接的に改善する。
【0047】
図7、8、9、および12は、すべて、性能特性を改善するために伝統的なウェッジタイプのゴルフクラブ100のCG位置よりそのCG位置が低くなるようにウェッジタイプのゴルフクラブヘッドのソールにウェイト部を採用するのに使用できる種々の手法を示す。より具体的には、図7、8、9、および12は、すべて、ウェッジタイプのゴルフクラブヘッドのバックスピンおよび性能特性を改善するのを試み、放物線領域620(図6参照)内で中立軸に実質的に沿う位置にCGを押し下げる。図7、8、9、および12はCG位置を押し下げるのに採用できる事例的な手法を示すだけであり、この発明の範囲および内容から逸脱しない範囲で、図7、8、9、および12において採用される手法の種々の組み合わせ、さらには、図7、8、9、および12に開示されていない他の手法を採用して放物線領域620(図6参照)内においてCG位置を移動させて良いことに留意されたい。
【0048】
最後に、この発明に従うウェッジタイプのゴルフクラブヘッドはラベル表示され、または測定された実際のロフトを超えてかなり良好な性能を伴うので、種々のウェッジタイプのゴルフクラブヘッドにいままで関連付けされた同一の性能番号を維持するためにロフト角のラベル表示を調整する必要があるかもしれないことに留意されたい。例えば、現行の事例的な実施例に従う55度のウェッジはCG位置が最適化されていない従来の54度のウェッジと伝統的に関連付けられた性能番号をいとも簡単に実現できてしまう。
【0049】
図13は、従来のウェッジに従うストック54度のウェッジ、従来のウェッジに従うストック55度のウェッジ、およびこの発明に従うCG修正された55度のウェッジに対する軌道のシミュレーションを図説するものである。図13に示すように、飛行経路1302は従来のウェッジに従うストック54度のウェッジの飛行軌道を全体として示す。図13に示すように、飛行経路1304は従来のウェッジに従うストック55度のウェッジの飛行軌道を全体として示す。最後に、図13に示すように、飛行経路1306はこの発明に従うストック55度のウェッジの飛行軌道を全体として示す。図13は、この発明に従うウェッジは、この発明の範囲および内容を逸脱しない範囲で、より小さなロフトのウェッジと同様の向上した性能特性、例えば改善したバックスピン、向上したボール速度、および大きくなった打ち上げ角度を実現できることを種々の飛行経路に渡って、実証できる。
【0050】
図13から理解できるように、この発明に従うゴルフクラブヘッドは、一般的に、従来のウェッジに較べて著しく改善された性能特性を伴う。一般的にゴルフショットの距離を増大させることが好ましいけれども、ウェッジタイプのゴルフショットでは正確性および距離制御性がより重要であるので、この発明に従うウェッジタイプのゴルフクラブヘッドにおいては改善された距離増大は好ましいものでないかもしれない。したがって、同一の距離を維持するために、この発明に従うウェッジタイプのゴルフクラブヘッドは同一の距離を実現するために付加的なロフトを伴う必要があるかもしれないが、そのようにして改善された軌道を伴い、これが最大距離制御を実現する。この発明に従うウェッジタイプのゴルフクラブヘッドにより実現されるように、改善された軌道は、より大きなバックスピンを伴いつつ大きな打ち上げ角度を有し、これが急勾配の落下角度を実現してより着地時の予測性を向上させる。「ドロップ・アンド・ストップ」は、このような着地時の予測性の向上を表現するためにゴルファーにより採用されている特別な用語である。ピンにアタックするときの正確性ゆえに一般的に採用されるのはウェッジタイプのクラブであるので、この改善された予測性はウェッジタイプのゴルフショットにとって重要である。
【0051】
図13は、この発明に従うCG最適化されたウェッジは1度だけロフトが小さい従来のウェッジと類似の不幸経路を実現するけれども、この発明に従うCG最適化されたウェッジは、この発明に範囲および内容から逸脱しない範囲で、2度小さい、3度小さい、または任意の数度小さい従来のウェッジと類似な飛行経路特性を実現できても良い。
【0052】
最後に、図2に戻ると、この発明に従うウェッジタイプのゴルフクラブヘッド200は中立軸208に実質的に沿う位置のCG202を具備するように示され、これが、一般的には、従来のウェッジタイプのゴルフクラブヘッド100(図1参照)と比較した場合には、とりわけ、ウェッジタイプのゴルフクラブヘッド200の性能特性を改善させるのに役立つ。より具体的には、ウェッジタイプのゴルフクラブヘッド200のウェッジタイプのゴルフクラブヘッドの性能比において改善され、これが15000rpm*mphより大きく、より好ましくは200000rpm*mphより大きく、最も好ましくは21000rpm*mphより大きい。性能比は、この発明において定義されるように一般的には以下の式(1)により定義される。
性能比=(打ち上げ角度)*(ボール速度)*(バックスピン)/ロフト (1)
【0053】
比較を目的として以下に説明されるように、従来のウェッジタイプのゴルフクラブヘッド100では、打ち上げ角度が約27.1度、ボール速度が約86.9mph、バックスピンが約12138rpmであり、性能比は約529349rpm*mphである。この発明の事例的な実施例に従うウェッジタイプのゴルフクラブヘッド200では、打ち上げ角度が約27.4度、ボール速度が約88.2mph、バックスピンが約12330rpmであり、性能比は約551808rpm*mphである。現行の例示的な実施例に示されるように、従来のウェッジタイプのゴルフクラブヘッド100からウェッジタイプのゴルフクラブヘッド200の性能比の変化はおよそ22459rpm*mphであり、この発明の範囲および内容を逸脱すること無しに、性能特性を著しく向上させる。
【0054】
作業例における他の事柄、または、とくに明言しなくとも、すべての数値範囲、量、値、百分率、例えば材料の量、慣性モーメント、重心位置、ロフトおよびドラフト角についてのこれら、および明細書中の他のものは、たとえその値、量または範囲に関連して用語「約」が表示されていなくとも、「約」がその前に配置されているように読むことができる。したがって、そうでないと示されていない限り、明細書および特許請求の範囲に表される数のパラメータは近似的であり、これは、この発明により得られることが企図される所望の特性に応じて変化する。最低限でも、もちろん均等論の適用を制約するものではないが、各数のパラメータは記録されている有効数字の数や通常の丸め処理に照らして解釈されるべきである。
【0055】
この発明の広範な範囲を示す数的範囲およびパラメータは近似的であるけれども、具体例において示された数値は可能な限り正確に記録した。任意の数値は、それでも、それぞれのテスト計測に見いだされる標準偏差に必然的に起因する誤差を含む。さらに、種々のスコープの数値範囲が示される場合には、例示された値を含めた値の任意の組み合わせが利用できると理解されたい。
【0056】
ここに説明した発明の事例的な実施例はこの発明の好ましい実施例を満たすことは明らかであるが、種々の変更や他の実施例を当業者が想到できることを理解されたい。したがって、特許請求の範囲は、そのような変更や他の実施例をすべてカバーするように意図されており、この発明の精神およびスコープの範囲に入ると理解されたい。
【符号の説明】
【0057】
200 ウェッジタイプのゴルフクラブヘッド
201 打撃面
202 重心
203 背面部
204 衝撃点
205 ソール
206 地面
208 中立軸
209 ホーゼル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェッジタイプのゴルフクラブヘッドにおいて、
ホーゼルと、
上記ホーゼルにロフト角で結合された本体であって、打撃面および背面部を有し、この打撃面が当該打撃面と直角をなし当該打撃面の衝撃点を通る中立軸を定義する上記本体と、
上記本体の底部において地面に少なくとも部分的に接するソールであって、上記打撃面および上記背面部を連結する上記ソールとを有し、
上記ロフト角が約45度より大きく、かつ、
上記ウェッジタイプのゴルフクラブヘッドの重心が上記打撃面の後方で、かつ上記中立軸に実質的に沿って配置される、ウェッジタイプのゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
上記重心が、上記中立軸により二分される上記ウェッジタイプのゴルフクラブヘッドの放物線領域内に配置され、
上記放物線領域が、さらに、
上記打撃面の打撃点に位置づけられた焦点と、
上記本体の上記背面部に向いた開口方向とを伴う、請求項1記載のウェッジタイプのゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
上記中立軸と上記放物線領域内の任意の点との間の距離が約5mmより小さい請求項2記載のウェッジタイプのゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
上記重心は上記地面から約15mmより小さく配置される請求項3記載のウェッジタイプのゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
上記衝撃点は上記地面から約10mmから約20mmのところに配置される請求項4記載のウェッジタイプのゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
上記衝撃点は上記地面から約12mmから約18mmのところに配置される請求項4記載のウェッジタイプのゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
上記衝撃点は上記地面から約15mmのところに配置される請求項4記載のウェッジタイプのゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
上記ソールはさらにウェイト部を有し、上記ウェイト部の密度は上記ウェッジタイプのゴルフクラブヘッドの残りの部分の密度より大きい請求項5記載のウェッジタイプのゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
上記ウェッジタイプのゴルフクラブヘッドの上記重心は上記中立軸の線上にちょうどある請求項8記載のウェッジタイプのゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
上記ウェイト部は上記ソールを通る円筒形の棒である請求項8記載のウェッジタイプのゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
上記ウェイト部は実質的に上記ソールの全体を包囲する請求項8記載のウェッジタイプのゴルフクラブヘッド。
【請求項12】
ウェッジタイプのゴルフクラブヘッドにおいて、
ホーゼルと、
上記ホーゼルにロフト角で結合された本体であって、打撃面および背面部を有する上記本体と、
上記本体の底部において地面に少なくとも部分的に接するソールであって、上記打撃面および上記背面部を連結する上記ソールとを有し、
上記ロフト角が約45度より大きく、
上記ソールはさらにウェイト部を有し、かつ
上記ウェイト部の密度は上記ウェッジタイプのゴルフクラブヘッドの残りの部分の密度より大きい、ウェッジタイプのゴルフクラブヘッド。
【請求項13】
上記打撃面が当該打撃面と直角をなし当該打撃面の衝撃点を通る中立軸を定義し、上記ウェッジタイプのゴルフクラブヘッドの重心が上記打撃面の後方で、かつ上記中立軸に実質的に沿って配置される請求項12記載のウェッジタイプのゴルフクラブヘッド。
【請求項14】
上記重心が、上記中立軸により二分される上記ウェッジタイプのゴルフクラブヘッドの放物線領域内に配置され、
上記放物線領域が、さらに、
上記打撃面の打撃点に位置づけられた焦点と、
上記本体の上記背面部に向いた開口方向とを伴う、請求項13記載のウェッジタイプのゴルフクラブヘッド。
【請求項15】
上記中立軸と上記放物線領域内の任意の点との間の距離が約5mmより小さい請求項14記載のウェッジタイプのゴルフクラブヘッド。
【請求項16】
上記重心は上記地面から約15mmより小さく配置される請求項15記載のウェッジタイプのゴルフクラブヘッド。
【請求項17】
上記ウェイト部は上記ソールを通る円筒形の棒である請求項16記載のウェッジタイプのゴルフクラブヘッド。
【請求項18】
ウェッジタイプのゴルフクラブヘッドにおいて、
ホーゼルと、
上記ホーゼルにロフト角で結合された本体であって、打撃面および背面部を有し、この打撃面が当該打撃面と直角をなし当該打撃面の衝撃点を通る中立軸を定義する上記本体と、
上記本体の底部において地面に少なくとも部分的に接するソールであって、上記打撃面および上記背面部を連結する上記ソールとを有し、
上記ロフト角が約45度より大きく、かつ、
上記ウェッジタイプのゴルフクラブヘッドの重心が、上記中立軸により二分される上記ウェッジタイプのゴルフクラブヘッドの放物線領域内に配置され、
上記放物線領域が、さらに、
上記打撃面の打撃点に位置づけられた焦点と、
上記本体の上記背面部に向いた開口方向とを伴う、ウェッジタイプのゴルフクラブヘッド。
【請求項19】
上記中立軸と上記放物線領域内の任意の点との間の距離が約5mmより小さい請求項18記載のウェッジタイプのゴルフクラブヘッド。
【請求項20】
上記重心は上記地面から約15mmより小さく配置される請求項19記載のウェッジタイプのゴルフクラブヘッド。
【請求項21】
ウェッジタイプのゴルフクラブヘッドにおいて、
ホーゼルと、
上記ホーゼルにロフト角で結合された本体であって、打撃面および背面部を有し、この打撃面が当該打撃面と直角をなし当該打撃面の衝撃点を通る中立軸を定義する上記本体と、
上記本体の底部において地面に少なくとも部分的に接するソールであって、上記打撃面および上記背面部を連結する上記ソールとを有し、
上記ロフト角が約45度より大きく、かつ、
上記ウェッジタイプのゴルフクラブヘッドの性能比が約530000rpm*mphより大きい、ウェッジタイプのゴルフクラブヘッド。
【請求項22】
上記ウェッジタイプのゴルフクラブヘッドの上記性能比の向上が従来のウェッジタイプのゴルフクラブヘッドより約20000rpm*mphである請求項21記載のウェッジタイプのゴルフクラブヘッド。
【請求項23】
上記重心が、上記中立軸により二分される上記ウェッジタイプのゴルフクラブヘッドの放物線領域内に配置され、
上記放物線領域が、さらに、
上記打撃面の打撃点に位置づけられた焦点と、
上記本体の上記背面部に向いた開口方向とを伴う、請求項22記載のウェッジタイプのゴルフクラブヘッド。
【請求項24】
上記重心は上記地面から約15mmより小さく配置される請求項23記載のウェッジタイプのゴルフクラブヘッド。
【請求項25】
上記中立軸と上記放物線領域内の任意の点との間の距離が約5mmより小さい請求項24記載のウェッジタイプのゴルフクラブヘッド。
【請求項26】
上記ソールはさらにウェイト部を有し、上記ウェイト部の密度は上記ウェッジタイプのゴルフクラブヘッドの残りの部分の密度より大きい請求項5記載のウェッジタイプのゴルフクラブヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−274116(P2010−274116A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−120119(P2010−120119)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【出願人】(390023593)アクシュネット カンパニー (155)
【氏名又は名称原語表記】ACUSHNET COMPANY
【Fターム(参考)】