説明

ウェビング巻取装置

【課題】トーションシャフトがスプールから受ける荷重のバランスを向上できるウェビング巻取装置を得る。
【解決手段】メイントーション102のスプール側係合部110には、嵌合突起114〜120が形成されている。また、スプール側係合部110におけるウェビング挿通孔32側には荷重受け部142が形成されている。嵌合突起114〜120の各斜面が回転規制孔124〜130の各斜面から受けた回転力の回転半径方向成分を、荷重受け部142が荷重付与部146から受ける回転力の回転半径方向成分で打ち消す。これにより、メイントーション102がスプール14から受ける荷重のバランスを向上できる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のシートベルト装置を構成するウェビング巻取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記特許文献1に開示されているようなウェビング巻取装置では、スプールの小型化等を図るためスプールにおけるウェビング挿通孔がスプールの中心軸線からの距離が短く設定される。このため、このようなウェビング巻取装置ではウェビング挿通孔がスプールにおいてトーションシャフトが設けられるトーションシャフト収容孔に連通している。このような構成では、トーションシャフトとスプールとの連結部分がウェビングに干渉しないようにトーションシャフトにおけるスプールとの連結部分がウェビング挿通孔側に設定されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7273191号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トーションシャフトにおけるスプールとの連結部分は、トーションシャフトの中心軸線に対して放射状に形成された突起により構成されるが、このような突起がスプールから受ける引出方向への回転力は、回転接線方向の成分と回転半径中央側の成分とに分けられる。ここで、このような突起はウェビング挿通孔側に設定されないため、突起が受ける回転力の回転半径方向中央側の成分がトーションシャフトをウェビング挿通孔側へ押圧する。このため、スプールからトーションシャフトが受ける荷重のバランスという観点で未だ改良の余地が残されていた。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、トーションシャフトがスプールから受ける荷重のバランスを向上できるウェビング巻取装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の本発明に係るウェビング巻取装置は、ウェビング挿通孔の両端が外周面にて開口して、前記ウェビング挿通孔の一端から挿通されたウェビングが前記ウェビング挿通孔の他端側にて係止されると共に、中心軸線に沿って貫通したトーションシャフト収容孔に前記ウェビング挿通孔が連通し、更に、前記トーションシャフト収容孔の少なくとも一部に、内周形状が前記中心軸線側へ向けて開口した凹形状の回転規制部が形成されると共に、前記ウェビング挿通孔の内周部における前記トーションシャフト収容孔との連通部分側に前記中心軸線周り方向に対して前記中心軸線を中心とする半径方向の内方へ傾斜した荷重付与部が形成されたスプールと、前記スプールに対して相対回転可能なロックベースを有し、作動することで前記ウェビングを前記スプールから引出した際の前記スプールの回転方向である引出方向に対応した向きへの前記ロックベースの回転を規制するロック手段と、一端側が前記ロックベースに対する相対回転が規制された状態で前記ロックベースに繋がり、前記回転規制部に嵌まり込むように本体部分の外周部から突出形成された嵌合突起と前記外周面の一部が前記中心軸線周り方向に対して前記半径方向の外方へ傾斜して前記荷重付与部に対向するように本体部分の外周部から突出形成された荷重受け部とが前記ロックベースに繋がった部分よりも他端側に形成されたトーションシャフトと、を備えている。
【0007】
請求項1に記載の本発明に係るウェビング巻取装置では、スプールのトーションシャフト収容孔にトーションシャフトが設けられる。トーションシャフトはその一端側でロック手段を構成するロックベースに対する相対回転が規制された状態でロックベースに繋がっている。これに対して、このトーションシャフトにおけるロックベースとの連結部分よりも他端側ではトーションシャフトの本体部分の外周部から嵌合突起が突出形成されている。この嵌合突起に対応してスプールのトーションシャフト収容孔には回転規制部が形成されている。
【0008】
回転規制部はスプールの中心軸線側へ向けて開口した凹形状とされており、この回転規制部の内側に嵌合突起が嵌まり込む。スプールに対してトーションシャフトが相対回転しようとすると、回転規制部の内周部(特に、中心軸線周り方向を向く面)が嵌合突起に干渉する。これにより、スプールに対する嵌合突起の相対回転、ひいては、スプールに対するトーションシャフトの相対回転が規制される。
【0009】
このため、ロック手段が作動して、ロックベースの引出方向への回転が規制されると、トーションシャフトを介してスプールの引出方向への回転が規制される。これにより、スプールからのウェビングの引出しが規制される。
【0010】
一方、ロックベースの引出方向への回転が規制された状態で、トーションシャフトにおけるロックベース及びスプールの双方の連結部分の間の機械的強度を上回る引出方向への回転力(すなわち、ウェビングを引き出そうとする引張り力)がスプールに付与されると、ロックベース及びスプールの双方の連結部分の間でトーションシャフトに捩じり変形が生じる。スプールに付与された引出方向への回転力(すなわち、ウェビングを引き出そうとする引張り力)の一部は、このトーションシャフトの捩じり変形に供されて吸収される。さらに、このトーションシャフトの捩じり変形分だけスプールは引出方向に回転し、このスプールの回転分だけスプールからウェビングが引き出され、ウェビングを装着している乗員は車両前方へ移動できる。
【0011】
ところで、スプールに引出方向への回転力が付与されると、回転規制部が引出方向に嵌合突起を押圧する。この押圧力は引出方向に対してスプールの中心軸線側へ傾く。トーションシャフト収容孔にはウェビング挿通孔が連通しているので、トーションシャフト収容孔とウェビング挿通孔との連通部分にはトーションシャフト収容孔の内周部が存在せず、この部分には回転規制部が形成されない。
【0012】
このため、トーションシャフト収容孔とウェビング挿通孔との連通部分では、回転規制部が嵌合突起に付与する力が発生しない。しかしながら、ウェビング挿通孔の内周部におけるトーションシャフト収容孔との連通部分側には荷重付与部が形成され、この荷重付与部に対応してトーションシャフトの本体部分の外周部からは荷重受け部が突出形成される。荷重付与部は中心軸線周り方向(スプールの周方向)に対して中心軸線を中心とする半径方向の内方へ傾斜している。
【0013】
これに対して、荷重受け部は、外周面の一部が中心軸線周り方向に対して半径方向の外方へ傾斜している。このため、引出方向への回転力がスプールに付与されると、荷重付与部は引出方向に対して半径方向内方(中心軸線側)へ荷重受け部を押圧する。この押圧力における半径方向成分は、回転規制部が嵌合突起を押圧する力の半径方向成分に抗するように作用する。このため、トーションシャフトがトーションシャフト収容孔とウェビング挿通孔との連通部分側へ変位することを防止又は抑制できる。
【0014】
請求項2に記載の本発明に係るウェビング巻取装置は、請求項1に記載の本発明において、前記トーションシャフトにおける前記本体部分の外周部と前記嵌合突起の外周部との交点である嵌合突起側交点と前記中心軸線とを結ぶ仮想線を嵌合突起側第1仮想線とし、前記嵌合突起の外周部と前記回転規制部の内周部との接点である嵌合突起側接点と前記嵌合突起側交点とを結ぶ仮想線を嵌合突起側第2仮想線とし、前記トーションシャフトにおける前記本体部分の外周部と前記荷重受け部の外周部との交点である荷重受け部側交点と前記中心軸線とを結ぶ仮想線を荷重受け部側第1仮想線とし、前記荷重受け部の外周部と前記荷重付与部の内周部との接点である荷重受け部側接点と前記荷重受け部側交点とを結ぶ仮想線を荷重受け部側第2仮想線とし、前記嵌合突起側第1仮想線と嵌合突起側第2仮想線とが成す角度よりも前記荷重受け部側第1仮想線と前記荷重受け部側第2仮想線とが成す角度を小さく設定している。
【0015】
請求項2に記載の本発明に係るウェビング巻取装置では、嵌合突起の外周形状や荷重受け部の外周形状、回転規制部の内周形状や荷重付与部の形状が次のように設定される。
【0016】
すなわち、トーションシャフトにおける本体部分の外周部と嵌合突起の外周部との交点である嵌合突起側交点と中心軸線とを結ぶ仮想線を嵌合突起側第1仮想線とする。これに対して、嵌合突起の外周部と回転規制部の内周部との接点である嵌合突起側接点と嵌合突起側交点とを結ぶ仮想線を嵌合突起側第2仮想線とする。
【0017】
一方、トーションシャフトにおける本体部分の外周部と荷重受け部の外周部との交点である荷重受け部側交点と中心軸線とを結ぶ仮想線を荷重受け部側第1仮想線とする。これに対して、荷重受け部の外周部と荷重付与部の内周部との接点である荷重受け部側接点と荷重受け部側交点とを結ぶ仮想線を荷重受け部側第2仮想線とする。
【0018】
ここで、本発明に係るウェビング巻取装置では、嵌合突起側第1仮想線と嵌合突起側第2仮想線とが成す角度よりも荷重受け部側第1仮想線と荷重受け部側第2仮想線とが成す角度が小さくなるように嵌合突起の外周形状や荷重受け部の外周形状、回転規制部の内周形状や荷重付与部の形状が設定される。これにより、嵌合突起の突出寸法に比べて荷重受け部の突出寸法が短くても回転規制孔の内壁が嵌合突起の先端側に当接した際に、荷重受け部に荷重付与部を当接させることができ、荷重付与部から荷重受け部に引出方向への荷重を伝えることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上、説明したように、本発明に係るウェビング巻取装置は、トーションシャフトがスプールから受ける荷重のバランスを向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施の形態に係るウェビング巻取装置の要部であるシャフトアッセンブリの分解斜視図である。
【図2】図6の2−2線に沿った断面図である。
【図3】嵌合突起及び回転規制部の拡大図である。
【図4】荷重受け部及び荷重付与部の拡大図である。
【図5】図6の5−5線に沿った断面図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係るウェビング巻取装置の要部であるシャフトアッセンブリの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<本実施の形態の構成>
図1には、本発明の一実施形態に係るウェビング巻取装置10の主要部であるシャフトアッセンブリ12の構成が分解斜視図によって示されている。
【0022】
図1に示されるように、本ウェビング巻取装置10のシャフトアッセンブリ12はスプール14を備えている。スプール14は全体的に略円筒形状に形成されている。このスプール14には軸方向一端側(図1の矢印A方向側)にはフランジ部16がスプール14の本体部分から半径方向外方へ向けて略同軸的に延出されている。これに対してスプール14の軸方向他端側(図1の矢印B方向側)にはフランジ部16よりも厚肉のフランジ部18がスプール14の本体部分から半径方向外方へ向けて略同軸的に延出されている。
【0023】
このフランジ部16とフランジ部18との間ではスプール14に肉抜き部20が設定されている。肉抜き部20はスプール14の中心軸線に沿った向きに列を成すように複数形成されており、更に、この肉抜き部20の列がスプール14の周方向に複数形成されている。これらの肉抜き部20のうちの1列はトリガ収容部22とされており、後述するトリガワイヤ82を収容する。
【0024】
また、スプール14にはウェビング挿通孔32が形成されている。図2及び図5に示されるように、ウェビング挿通孔32はスプール14の中心軸線に沿った向きに長手とされたスリット状に形成されており、両端がスプール14の外周部にて開口するように貫通している。また、図2及び図5に示されるように、ウェビング挿通孔32はスプール14の中心軸線の向きに対して直交する向きに直線的に貫通しているものの、スプール14の軸心部分及びその近傍を避けるようにウェビング挿通孔32の形成位置が設定されている。
【0025】
図2及び図5に示されるように、ウェビング挿通孔32には可撓性を有する長尺帯状に形成されたウェビング34の長手方向基端側がウェビング挿通孔32の一方の開口端側から貫通する。このウェビング34の基端側は、先端側に折り返された状態で折り返し部分よりも基端側と先端側とが互いに重ね合わされて縫合されている。ウェビング34において、この縫合部分よりも基端側は閉じたループ状とされ、その内側には棒状のストッパ36が収容される。ウェビング挿通孔32においてスプール14の周方向に沿った開口幅は、ウェビング34の厚さの2倍よりも大きく、このウェビング34の厚さの2倍とストッパ36の直径寸法との和よりも小さく設定されている。
【0026】
さらに、図2及び図5に示されるように、ウェビング挿通孔32の他方の開口端側にはストッパ収容部38が設定されている。ウェビング34はスプール14の周方向に沿った開口幅が他端よりも長く、ウェビング34の厚さの2倍とストッパ36の直径寸法との和よりも大きく設定されている。ウェビング34の長手方向基端側のループ部分は、その内側にストッパ36を収容した状態でストッパ収容部38の内側に収容される。これにより、ウェビング34のループ部分がウェビング挿通孔32の一端側へ抜け出ることはなく、ウェビング34の長手方向基端側がスプール14に係止される。
【0027】
このように長手方向基端側がスプール14に係止されたウェビング34は、スプール14がその中心軸線周りの一方である巻取方向へ回転することでスプール14の外周部に層状に巻き取られて格納される。また、ウェビング34をその先端側へ引張ると、スプール14からウェビング34が引き出されつつスプール14が巻取方向とは反対の引出方向に回転する。
【0028】
一方、図1及び図6に示されるように、スプール14の軸方向他端側(図1及び図6の矢印B方向側)には嵌挿孔52が形成されている。嵌挿孔52は内周形状がスプール14に対して同軸の円形とされ、スプール14の軸方向他端部にて開口している。この嵌挿孔52にはロック手段としての第1ロック機構54を構成するロックベース56が嵌挿孔52の中心軸線周り(すなわち、スプール14の中心軸線周り)に回転可能に嵌挿されている。このロックベース56の回転半径方向外側にはロックベース56と共に第1ロック機構54を構成する図示しないロックパウルが設けられている。
【0029】
このロックパウルはウェビング巻取装置10を構成する図示しないフレームのうち、スプール14の軸方向他端側に設けられた脚板にスプール14の軸方向と同じ向きを軸方向とする軸周りに揺動可能に設けられており、このロックパウルがロックベース56の外周部に接近するように揺動し、ロックベース56の外周部に形成されたラチェット歯にロックパウルが係合するとロックベース56の引出方向への回転が規制される。また、このロックパウルが設けられた脚板には第1ロック機構54を構成するハウジングが取り付けられている。
【0030】
このハウジングの内側には本ウェビング巻取装置10を搭載した車両が急減速した際の車両の加速度(減速度)に反応して作動する所謂「VSIR機構」を構成する各種部品や、スプール14が引出方向に回転した際の加速度が所定の大きさ以上の場合に作動する所謂「WSIR機構」を構成する各種部品が収容されている。このような「VSIR機構」や「WSIR機構」が作動することで上記のロックパウルがロックベース56の外周部へ接近するように揺動する。
【0031】
一方、図6に示されるように、スプール14の軸方向一端側(図1の矢印A方向側)には嵌挿孔62が形成されている。嵌挿孔62は内周形状がスプール14に対して同軸の円形とされ、スプール14の軸方向一端部にて開口している。この嵌挿孔62にはスリーブ64が嵌挿孔62の中心軸線周り(すなわち、スプール14の中心軸線周り)に回転可能に嵌挿されている。
【0032】
図1に示されるように、このスリーブ64にはロック手段としての第2ロック機構66を構成するクラッチ68が設けられている。このクラッチ68はスリーブ64に対する相対回転が規制された状態でスリーブ64に支持されている。このクラッチ68に対応して上述したフレームのうちスプール14の軸方向一端側に設けられた脚板には、第2ロック機構のベース部材が取り付けられており、このベース部材にはスプール14に対して同軸的に回転可能なリング部材が設けられている。
【0033】
このリング部材の内側には上記のクラッチ68が設けられており、クラッチ68に設けられたパウル70が作動すると、このパウル70がクラッチ68とリング部材とを連結し、リング部材に対するクラッチ68の引出方向への相対回転が規制される。また、ベース部材には作動することでリング部材の引出方向への回転を規制するロック部材が設けられており、本ウェビング巻取装置10に対応した座席に着座した乗員の体重が所定の大きさ以上の場合で且つ車両が急減速状態になった場合にロック部材がリング部材の回転を規制するように構成されている。
【0034】
上述したクラッチ68に設けられたパウル70はリング部材へ係合する向きに付勢されていると共に、初期状態ではトリガワイヤ82の先端側が係合しており、リング部材へ係合する向きへのパウル70の変位が規制されている。トリガワイヤ82は全体的に軸方向がスプール14の軸方向と同じ向きとされた棒状又は線状に形成されており、上述したトリガ収容部22に収容されている。トリガワイヤ82の長手方向先端側はスプール14の軸方向一端(クラッチ68側の端部)から突出して、クラッチ68内に入り込んでいる。トリガワイヤ82がスプール14の軸方向他端(ロックベース56側の端部)側へ移動してクラッチ68から抜け出ると、クラッチ68のパウル70に対するトリガワイヤ82の係合が解除され、クラッチ68のパウル70は付勢力によってリング部材に接近してリング部材に係合する。
【0035】
一方、トリガワイヤ82の長手方向基端部はスプール14の軸方向他端(ロックベース56側の端部)から突出してロックベース56に係止されている。ロックベース56に対してスプール14が引出方向に相対回転すると、この相対回転量に応じてトリガワイヤ82がトリガ収容部22からスプール14の軸方向他端側へ引き出され、これにより、トリガワイヤ82の先端側がクラッチ68から抜け出るようになっている。
【0036】
また、図1及び図6に示されるように、スプール14にはトーションシャフト収容孔92が形成されている。図6に示されるように、トーションシャフト収容孔92は一端が嵌挿孔62の底部にて開口していると共に、他端が嵌挿孔52の底部にて開口している。さらに、図2及び図5に示されるように、トーションシャフト収容孔92におけるスプール14の中心軸線の側方では上述したウェビング挿通孔32がトーションシャフト収容孔92に重なっている。
【0037】
図1、図2、及び図6に示されるように、このトーションシャフト収容孔92の内側にはトーションシャフトとしてのメイントーション102が設けられている。図1及び図6に示されるように、メイントーション102はメイントーション本体104を備えている。本実施の形態においてメイントーション本体104は軸方向がスプール14の軸方向と同じ向きで断面形状が円形の棒状とされている。このスプール14のロックベース56側の端部にはロックベース側係合部106が形成されている。ロックベース側係合部106は外周形状が多角形や星形、又はギヤ形状やセレーション形状等の非円形とされている。
【0038】
このロックベース側係合部106に対応してロックベース56には係合孔108が形成されている。この係合孔108は内周形状がロックベース側係合部106の外周形状と同じ形状(厳密には僅かに大きな相似形状)とされている。ロックベース側係合部106が係合孔108に嵌め込まれることでメイントーション102に対するロックベース56の相対回転が規制される。
【0039】
メイントーション本体104のロックベース側係合部106とは反対側の端部にはスプール側係合部110が設けられている。ここで、図2に示されるように、スプール側係合部110は外周形状がメイントーション本体104の外周形状よりも大きな係合部本体112を備えている。係合部本体112には複数(本実施の形態では4つ)の嵌合突起114、116、118、120が形成されている。
【0040】
これらの嵌合突起114〜120はメイントーション102の中心軸線から半径方向外方へ向けて放射状に係合部本体112の外周部から突出形成されている。特に、嵌合突起114の係合部本体112からの突出方向はウェビング挿通孔32の貫通方向一方(ストッパ収容部38側)の向きと同じ向きとされ、嵌合突起120の係合部本体112からの突出方向はウェビング挿通孔32の貫通方向他方(ストッパ収容部38とは側)の向きと同じ向き(すなわち、嵌合突起114の突出方向とは反対方向)とされている。
【0041】
嵌合突起116は嵌合突起114の引出方向側に形成され、嵌合突起116と嵌合突起120との間に嵌合突起118が形成されている。さらに、本実施の形態では、メイントーション102周りに嵌合突起114の突出方向に対して嵌合突起116の突出方向が成す角度、メイントーション102周りに嵌合突起116の突出方向に対して嵌合突起118の突出方向が成す角度、メイントーション102周りに嵌合突起118の突出方向に対して嵌合突起120の突出方向が成す角度は同じ角度に設定されている。また、これらの嵌合突起114〜120の外周形状は、所謂「インボリュート歯車」の外歯と歯型曲線と同じ曲線とされており、メイントーション102の中心軸線から外方へ向けて漸次幅寸法が短くなっている。
【0042】
また、これらの嵌合突起114〜120に対応してトーションシャフト収容孔92の内周部には係合孔122が形成されている。係合孔122は内周形状がスプール側係合部110の外周形状に略等しく(厳密には僅かに大きい)設定されている。この係合孔122には回転規制部としての回転規制孔124、126、128、130が形成されている。回転規制孔124〜130の各々は嵌合突起114〜120の各々に対応して形成されており、係合孔122に係合部本体112が嵌め込まれた状態で回転規制孔124には嵌合突起114が嵌め込まれ、回転規制孔126には嵌合突起116が嵌め込まれ、回転規制孔128には嵌合突起118が嵌め込まれ、回転規制孔130には嵌合突起120が嵌め込まれる。
【0043】
回転規制孔124〜130の各々は、成形上の観点や組み付け性の観点から対応する嵌合突起114〜120よりも僅かに大きく形成されている。また、図3に示されるように、回転規制孔124の巻取方向側の斜面132は嵌合突起114の突出方向先端側から基端側へ向けて嵌合突起114の巻取方向側の斜面134から漸次離間するように形成されている。
【0044】
また、詳細な説明は省略するが、嵌合突起116と回転規制孔126との関係、嵌合突起118と回転規制孔128との関係、及び嵌合突起118と回転規制孔128との関係もまた上述したような嵌合突起114と回転規制孔124との関係と同様に設定されている。
【0045】
一方、図2に示されるように、メイントーション102の中心軸線を介して嵌合突起118とは反対側には荷重受け部142が係合部本体112の外周面から突出形成されている。図4に示されるように、係合部本体112からの荷重受け部142の突出寸法は嵌合突起114〜120の突出寸法よりも短く、突出方向先端面はウェビング挿通孔32におけるスプール14の中心軸線側の面よりもウェビング挿通孔32の内側に突出しないように設定されている。この荷重受け部142の巻取方向側の斜面は荷重受け面144とされている。
【0046】
荷重受け面144はメイントーション102の中心軸線周りの巻取方向への向きに対してメイントーション102の回転半径方向外方へ向いた傾斜曲面とされている。この荷重受け面144に対向するように係合孔122には荷重付与部146が設定されている。また、荷重付与部146は荷重受け部142の突出方向先端側から基端側へ向けて荷重受け面144から漸次離間するように形成されている。
【0047】
ここで、メイントーション102の嵌合突起114における斜面134の根元(斜面134とメイントーション102の軸部分との交点)と、メイントーション102の中心軸線(ひいては、スプール14の中心軸線)とを結ぶ仮想線を仮想線L1とし、斜面134と回転規制孔124の巻取方向側の斜面132との接触位置とを結ぶ仮想線を仮想線L2として、仮想線L1と仮想線L2とが成す角度を角度θ1とする。
【0048】
これに対して、メイントーション102の荷重受け部142における荷重受け面144の根元(荷重受け面144とメイントーション102の軸部分との交点)と、メイントーション102の中心軸線(ひいては、スプール14の中心軸線)とを結ぶ仮想線を仮想線L3とし、荷重受け面144と荷重付与部146の巻取方向側の斜面との接触位置とを結ぶ仮想線を仮想線L4として、仮想線L3と仮想線L4とが成す角度を角度θ2とする。
【0049】
本実施の形態では、上記の角度θ2が角度θ1よりも小さくなるように嵌合突起114や荷重受け部142の外周形状、回転規制孔124の内周形状や荷重付与部146の形状等が設定されている。
【0050】
また、図2に示されるように、メイントーション102の中心軸線を介して嵌合突起116とは反対側には突起152が係合部本体112の外周面から突出形成されており、この突起152の引出方向側の対向部154に対向して対向面156がスプール14に形成されている。突起152、対向部154、対向面156の各々は、メイントーション102の中心軸線に交わり、且つ、係合部本体112からの嵌合突起114、120の突出方向に対して直交する向きに沿った線(図2における一点鎖線L)を軸に荷重受け部142、対向部154、対向面156に対して線対称形状とされている(すなわち、一点鎖線Lを軸に突起152は荷重受け部142と鏡像関係にあり、対向部154は荷重受け面144と鏡像関係にあり、対向面156は荷重付与部146と鏡像関係にある)。但し、突起152には特許請求の範囲で言う「荷重受け部」としての機能は有しておらず、また、対向面156は特許請求の範囲で言う「荷重付与部」としての機能は有していない。
【0051】
図1に示されるように、このようなスプール側係合部110を備えたメイントーション102においてロックベース側係合部106のメイントーション本体104とは反対側の端部からは軸部162がメイントーション本体104に対して同軸的に形成されている。このメイントーション本体104の先端側は、上述した第1ロック機構54のハウジング又はこのハウジングとは別にフレームのフランジ部18側の脚板に取り付けられた別の部品に直接又は間接的に回転自在に支持されている。
【0052】
一方、スプール14のトーションシャフト収容孔92にはトーションシャフトとしてのサブトーション182が設けられている。サブトーション182はサブトーション本体184を備えている。本実施の形態においてサブトーション本体184は軸方向がスプール14の軸方向と同じ向きで断面形状が円形の棒状とされている。このスプール14の第2ロック機構66側の端部にはクラッチ側係合部186が形成されている。
【0053】
クラッチ側係合部186は外周形状が多角形や星形、又はギヤ形状やセレーション形状等の非円形とされている。このクラッチ側係合部186に対応してスリーブ64には係合孔188が形成されている。この係合孔188は内周形状がクラッチ側係合部186の外周形状と同じ形状(厳密には僅かに大きな相似形状)とされている。クラッチ側係合部186が係合孔188に嵌め込まれることでサブトーション182に対するスリーブ64の相対回転が規制される。
【0054】
サブトーション本体184のクラッチ側係合部186とは反対側の端部にはスプール側係合部190が設けられている。図5に示されるように、スプール側係合部190は外周形状がサブトーション本体184の外周形状よりも大きな係合部本体192を備えている。係合部本体192には複数(本実施の形態では4つ)の嵌合突起194、196、198、200、及び荷重受け部214が形成されている。
【0055】
また、スプール側係合部190に対応してトーションシャフト収容孔92の内周部には係合孔202が形成されている。この係合孔202には回転規制部としての回転規制孔204、206、208、210、及び荷重付与部218が形成されている。上述した回転規制孔124〜130の各々とは異なり、回転規制孔204〜210の各々は周方向寸法が嵌合突起194〜200の各々の周方向寸法よりも充分に大きく設定されている。但し、回転規制孔204〜210の巻取方向側の斜面と嵌合突起194〜200の巻取方向側の斜面との関係は、上述した嵌合突起114〜120の斜面134と回転規制孔124〜130の斜面132との関係と同じように設定されている。また、荷重受け部214と荷重付与部218との関係も上述した荷重受け部142と荷重付与部146との関係と同じように設定されている。
【0056】
また、サブトーション182のサブトーション本体184にはストッパ232が設けられている。ストッパ232は複数の嵌入ピン234を備えている。これらの嵌入ピン234は、上述した嵌合突起194〜200の引出方向側の面と、回転規制孔204〜210の引出方向側の面との間の隙間に対応して設けられている。これらの嵌入ピン234は嵌合突起194〜200の引出方向側の面と、回転規制孔204〜210の引出方向側の面との間の隙間に嵌入され、回転規制孔204〜210の巻取方向側の斜面から嵌合突起194〜200の巻取方向側の斜面から離間する向きへの相対的な回転を規制している。
【0057】
このようなスプール側係合部190を備えたサブトーション182においてクラッチ側係合部186のサブトーション本体184とは反対側の端部にはスクリュー222が設けられている。スクリュー222は雄ねじ部224を備えており、サブトーション本体184に対して同軸的にクラッチ側係合部186に形成された雌ねじ孔に雄ねじ部224が螺合してサブトーション182にスクリュー222が一体的に取り付けられている。このスクリュー222は軸部226が雄ねじ部224に対して同軸的に形成されている。この軸部226は上述した第2ロック機構66のハウジング又はこのハウジングとは別にフレームのフランジ部16側の脚板に取り付けられた別の部品に直接又は間接的に回転自在に支持されている。これにより、スプール14は間接的にフレームに回転自在に支持されている。
【0058】
<本実施の形態の作用、効果>
次に、本実施の形態に係るウェビング巻取装置10の基本的な動作について説明する。
【0059】
(基本動作)
例えば、車両が急減速状態になると第1ロック機構54を構成する「VSIR機構」が作動する。また、車両が減速すると、車両の乗員の身体が車両前方側へ慣性移動する。これによって乗員の身体に装着されているウェビング34が引っ張られるとスプール14が引出方向に回転させられる。このスプール14の引出方向への回転加速度が所定の大きさを越えると第1ロック機構54を構成する「WSIR機構」が作動する。このように「VSIR機構」や「WSIR機構」が作動すると第1ロック機構54を構成するロックパウルが揺動し、ロックベース56の外周部に形成されたラチェット歯に噛み合う。これにより、ロックベース56の引出方向への回転が規制される。
【0060】
ロックベース56にはメイントーション102のロックベース側係合部106がロックベース56に対する相対回転が規制された状態で嵌合している。一方、メイントーション102のスプール側係合部110は係合孔122に嵌合していることでスプール14に対する相対回転が規制されている。したがって、ロックベース56はスプール14に対する相対回転が規制されている。このため、上記のようにロックベース56の引出方向への回転が規制されることでスプール14の引出方向への回転が規制され、スプール14からのウェビング34の引出しが規制される。これにより、車両前方へ慣性移動しようとする乗員の身体をウェビング34によって効果的に拘束できる。
【0061】
この状態で、スプール14に付与される引出方向への回転力がメイントーション102のメイントーション本体104の機械的強度を上回ると、メイントーション本体104におけるロックベース側係合部106側に対してスプール側係合部110側が引出方向に回転するように捩じれる。メイントーション本体104にて生じた捩じれ分だけスプール14は引出方向に回転する。したがって、このスプール14の引出方向への回転量に応じた長さだけスプール14からウェビング34が引出され、引出されたウェビング34の長さ分だけ乗員の身体は車両前方へ慣性移動できる。また、スプール14に付与された引出方向への回転力の一部、すなわち、乗員の身体がウェビング34を引っ張る力の一部はメイントーション本体104での捩じり変形に供されて吸収される。
【0062】
さらに、このスプール14の引出方向への回転は、回転が規制されたロックベース56に対するスプール14の相対回転でもある。このため、このようにスプール14が引出方向に回転すると、基端部がロックベース56に係止されたトリガワイヤ82がフランジ部18側へ移動する。これにより、トリガワイヤ82の先端がクラッチ68から抜け出ると、パウル70が付勢力により変位し、半径方向外側のリング部材に係合する。
【0063】
この状態で、例えば、乗員の体重等の所定の条件を満たしていれば、リング部材の引出方向への回転が規制される。リング部材の引出方向への回転が規制されていることで、第2ロック機構66の引出方向への回転が規制され、ひいては、スリーブ64の引出方向への回転が規制される。スリーブ64の係合孔188にはサブトーション182のクラッチ側係合部186が嵌合しており、スリーブ64に対するサブトーション182の相対回転が規制されているため、スリーブ64の引出方向への回転が規制されることでサブトーション182の引出方向への回転が規制される。
【0064】
したがって、この状態では、スプール14に付与された引出方向への回転力の大きさが、メイントーション102におけるメイントーション本体104の機械的強度と、サブトーション182におけるサブトーション本体184の機械的強度との和を上回らないと、スプール14は引出方向に回転することができない。
【0065】
スプール14に付与された引出方向への回転力の大きさが、メイントーション102におけるメイントーション本体104の機械的強度と、サブトーション182におけるサブトーション本体184の機械的強度との和を上回るとメイントーション102のメイントーション本体104及びサブトーション182のサブトーション本体184の双方で捩じり変形が生じ、メイントーション102のメイントーション本体104だけが捩じり変形した場合よりも大きな力(エネルギー)を吸収できる。
【0066】
一方、トリガワイヤ82の先端がクラッチ68から抜け出てパウル70がリング部材に係合した状態であっても、例えば、乗員の体重等の所定の条件を満たしていなければ、リング部材の引出方向への回転が規制されない。したがって、この状態ではサブトーション182のクラッチ側係合部186側がスリーブ64、ひいては、クラッチ68を伴ってスプール14と共に引出方向に回転できる。このため、この状態ではサブトーション182のサブトーション本体184に捩じり変形が生じることはなく、スプール14に付与された引出方向への回転力の大きさが、メイントーション102におけるメイントーション本体104の機械的強度を上回ればスプール14は引出方向に回転できる。
【0067】
ところで、上記のようにロックベース56の引出方向への回転が規制された状態でスプール14に引出方向への回転力が付与されると、係合孔122の回転規制孔124〜130における巻取方向側の各斜面132が、メイントーション102の嵌合突起114〜120の巻取方向側の斜面134を引出方向側へ押圧する。また、この状態では、この押圧力は回転接線方向の成分と、回転半径方向中央側への成分を有している。
【0068】
また、この状態では、係合孔122の荷重付与部146が荷重受け部142の荷重受け面144を引出方向側へ押圧する。この押圧力もまた回転接線方向の成分と、回転半径方向中央側への成分を有している。ここで、係合孔122の荷重付与部146が荷重受け部142の荷重受け面144に付与する押圧力の回転半径方向中央側への成分は、回転規制孔124〜130の各斜面132が嵌合突起114〜120の斜面134に付与する押圧力の回転半径方向中央側への成分(特に、回転規制孔126の斜面132が嵌合突起116の斜面134に付与する押圧力の回転半径方向中央側への成分)に抗する。
【0069】
このため、引出方向へ回転しようとするスプール14から引出方向への回転力がメイントーション102のスプール側係合部110に付与された際のスプール側係合部110での荷重バランスが向上し、スプール側係合部110におけるウェビング挿通孔32への変位を抑制できる。
【0070】
一方、嵌合突起114〜120に比べて荷重受け部142は先端側がウェビング挿通孔32内に入り込まないように係合部本体112からの突出寸法が小さく設定されている。ここで、上述した仮想線L1と仮想線L2とが成す角度を角度θ1よりも仮想線L3と仮想線L4とが成す角度を角度θ2が小さく設定される。
【0071】
このため、嵌合突起114〜120の根元側における係合孔122との間の隙間に比べて荷重受け部142の根元側における係合孔122との間の隙間が小さくなる。このため、スプール14が引出方向に回転しようとして回転規制孔124〜回転規制孔130が嵌合突起114〜120の先端側に当接した際に、荷重受け部142の荷重受け面144に荷重付与部146を当接させることができ、荷重付与部146から荷重受け部142に引出方向への荷重を伝えることができる。
【0072】
また、詳細な説明は省略するが、サブトーション182のスプール側係合部190と係合孔202との関係は、基本的にメイントーション102のスプール側係合部110と係合孔122との関係と同様に設定されている。このため、サブトーション182のスプール側係合部190と係合孔202との間でもメイントーション102のスプール側係合部110と係合孔122との間で奏した作用と同様の作用を奏する。したがって、サブトーション182のスプール側係合部190と係合孔202との間でもメイントーション102のスプール側係合部110と係合孔122との間で得られる効果と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0073】
10 ウェビング巻取装置
14 スプール
32 ウェビング挿通孔
34 ウェビング
54 第1ロック機構(ロック手段)
66 第2ロック機構(ロック手段)
92 トーションシャフト収容孔
102 メイントーション(トーションシャフト)
114 嵌合突起
116 嵌合突起
118 嵌合突起
120 嵌合突起
124 回転規制孔(回転規制部)
126 回転規制孔(回転規制部)
128 回転規制孔(回転規制部)
130 回転規制孔(回転規制部)
142 荷重受け部
146 荷重付与部
182 サブトーション(トーションシャフト)
194 嵌合突起
196 嵌合突起
198 嵌合突起
200 嵌合突起
204 回転規制孔(回転規制部)
206 回転規制孔(回転規制部)
208 回転規制孔(回転規制部)
210 回転規制孔(回転規制部)
214 荷重受け部
218 荷重付与部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェビング挿通孔の両端が外周面にて開口して、前記ウェビング挿通孔の一端から挿通されたウェビングが前記ウェビング挿通孔の他端側にて係止されると共に、中心軸線に沿って貫通したトーションシャフト収容孔に前記ウェビング挿通孔が連通し、更に、前記トーションシャフト収容孔の少なくとも一部に、内周形状が前記中心軸線側へ向けて開口した凹形状の回転規制部が形成されると共に、前記ウェビング挿通孔の内周部における前記トーションシャフト収容孔との連通部分側に前記中心軸線周り方向に対して前記中心軸線を中心とする半径方向の内方へ傾斜した荷重付与部が形成されたスプールと、
前記スプールに対して相対回転可能なロックベースを有し、作動することで前記ウェビングを前記スプールから引出した際の前記スプールの回転方向である引出方向に対応した向きへの前記ロックベースの回転を規制するロック手段と、
一端側が前記ロックベースに対する相対回転が規制された状態で前記ロックベースに繋がり、前記回転規制部に嵌まり込むように本体部分の外周部から突出形成された嵌合突起と前記外周面の一部が前記中心軸線周り方向に対して前記半径方向の外方へ傾斜して前記荷重付与部に対向するように本体部分の外周部から突出形成された荷重受け部とが前記ロックベースに繋がった部分よりも他端側に形成されたトーションシャフトと、
を備えるウェビング巻取装置。
【請求項2】
前記トーションシャフトにおける前記本体部分の外周部と前記嵌合突起の外周部との交点である嵌合突起側交点と前記中心軸線とを結ぶ仮想線を嵌合突起側第1仮想線とし、
前記嵌合突起の外周部と前記回転規制部の内周部との接点である嵌合突起側接点と前記嵌合突起側交点とを結ぶ仮想線を嵌合突起側第2仮想線とし、
前記トーションシャフトにおける前記本体部分の外周部と前記荷重受け部の外周部との交点である荷重受け部側交点と前記中心軸線とを結ぶ仮想線を荷重受け部側第1仮想線とし、
前記荷重受け部の外周部と前記荷重付与部の内周部との接点である荷重受け部側接点と前記荷重受け部側交点とを結ぶ仮想線を荷重受け部側第2仮想線とし、
前記嵌合突起側第1仮想線と嵌合突起側第2仮想線とが成す角度よりも前記荷重受け部側第1仮想線と前記荷重受け部側第2仮想線とが成す角度を小さく設定した請求項1に記載のウェビング巻取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−107466(P2013−107466A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253057(P2011−253057)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】