説明

ウェブ巻取装置

【課題】ウェブの巻取芯交換動作を効率良く行うウェブ巻取装置を提供する。
【解決手段】同軸に配置された内側及び外側シャフト2、3を各々回転駆動する回動モータ5、6と、基端側において内側及び外側回動シャフト2、3に各々固定され、先端側において巻取芯13、23を保持すると共に巻取芯13、23を回転させる巻取芯設置部12、22を有する、2つの一対の取芯支持アーム11、21と、各々巻取芯支持アーム11、21と所定の角度をなすと共に、基端側において内側及び外側回動シャフト2,3に各々固定され、先端側においてサポートロール32、42を各々回転可能に保持する、2つの一対のサポートロール支持アーム31、41と、を備え、外側回動シャフト3には、内側回動シャフト2に固定された2つの1対のアーム21、31が貫通すると共に当該アーム21、31の回動を許容するような切欠部15が設けられたウェブ巻取装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェブの巻取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図14乃至図19を参照して、従来のウェブ巻取装置について説明する。図14は、従来のウェブ巻取装置の構成の一例を示す概略図である。図15乃至図19は、図14のウェブ巻取装置によるウェブ(紙、樹脂フィルム、金属箔等の印刷対象物乃至巻取対象物)の巻取芯交換動作を説明するための概略図である。
【0003】
図14に示すウェブ巻取装置100は、回動シャフト102を回動可能に軸支する支柱103と、回動シャフト102を回転駆動する回動モータ104と、を備えている。一対の第一巻取芯支持アーム111が、それらの基端側において回動シャフト102に固定され、それらの先端側において第一巻取芯設置部112を有している。同様に、一対の第二巻取芯支持アーム121が、それらの基端側において回動シャフト102に固定され、それらの先端側において第二巻取芯設置部122を有している。そして、第一巻取芯支持アーム111と第二巻取芯支持アーム121とが、回動シャフト102を中心として対向するように配置されている。
【0004】
また、一対の第一サポートロール支持アーム131が、それらの基端側において回動シャフト102に固定され、それらの先端側において第一サポートロール132を回転可能に保持している。更に、一対の第一サポートロール支持アーム131は、第一巻取芯支持アーム111と、回動シャフト102の回転方向に対して反対側に90°の角度をなしている。同様に、一対の第二サポートロール支持アーム141が、それらの基端側において回動シャフト102に固定され、それらの先端側において第二サポートロール142を回転可能に保持している。更に、一対の第二サポートロール支持アーム141は、第二巻取芯支持アーム121と、回動シャフト102の回転方向に対して反対側に90°の角度をなしている。
【0005】
第一巻取芯設置部112は、第一巻取芯113を保持すると共に当該第一巻取芯113を巻取のために回転させるようになっている(回転用のモータを内蔵している)。第二巻取芯設置部122も、同様に、第二巻取芯123を保持すると共に当該第二巻取芯123を巻取のために回転させるようになっている(回転用のモータを内蔵している)。
【0006】
また、ウェブ巻取装置100は、ウェブ101を巻取った巻取芯が所定の切断位置にある時に、当該巻取芯と所定のニップロール151との間で、切断刃152によりウェブ101を幅方向に切断する切断部150を備えている。
【0007】
また、ウェブ巻取装置100は、ウェブ101を巻取った巻取芯が巻取位置と同一水平面内で対向する取外位置にある時に、巻取芯の移載(交換)を行うための昇降リフト160を備えている。
【0008】
図15に示すように、第一巻取芯113が所定量のウェブ101を巻取ると、回動モータ104の駆動により、第一巻取芯支持アーム111と、第二巻取芯支持アーム121と、第一サポートロール支持アーム131と、第二サポートロール支持アーム141とが、一体として回動される。
【0009】
それによって、図16に示すように、第一巻取芯113が所定の切断位置まで移動されると、切断部150が回動シャフト102の方にスライドされ、第二巻取芯123とニップロール151との間でウェブ101が狭持されて、当該ウェブ101が第二巻取芯123にも固定され、ニップロール151と第一サポートロール132とにより当該ウェブ101が張架される。そして、切断刃152により当該ウェブ101が幅方向に切断される。
【0010】
次に、図17に示すように、第二巻取芯123が巻取位置まで移動された後に、第二巻取芯設置部122が第二巻取芯123を回転させることにより、第二巻取芯123がウェブ101の巻取を開始する。
【0011】
一方、図18に示すように、巻取芯の取外位置においては、昇降リフト160が巻取られたウェブ101の外周に当接あるいは近接するまで上昇されて、ウェブ101を巻取った第一巻取芯113が昇降リフト160に移載できる準備が整う。そして、第一巻取芯113が取外される。その後、図19に示すように、昇降リフト160が下降して第一巻取芯113は適宜に運搬されていく。その後、第一巻取芯設置部112に当該新たな巻取芯が設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平2−282148号公報
【特許文献2】特開平7−257788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、従来のウェブ巻取装置100では、第一巻取芯支持アーム111と第二巻取芯支持アーム121とが一体となって回動するため、第一巻取芯113がウェブ101を巻取った後、巻取位置と同一水平面内で対向する待機位置(取外位置)まで第一巻取芯113を回動させてから、昇降リフト160を昇降させて第一巻取芯113を交換しなければならない。すなわち、巻取芯交換動作に時間を要する。そのため、輪転印刷装置のような高速の印刷装置では、ウェブの印刷よりも巻取芯交換動作の方に多くの時間を要する場合が生じてしまい、そのような場合には、巻取芯交換動作時間が印刷速度を制限してしまう。
【0014】
実際、紙をウェブとして、ウェブの巻取量3000m、ウェブの巻取速度200m/分、として従来のウェブ巻取装置を稼働したところ、3000/200=15分で巻取自体は完了する。しかしながら、1回の巻取芯交換動作の方には20分を要したため、交換動作毎に5分間ウェブ巻取装置を停止しなければならなかった。
【0015】
一方、このようなウェブ巻取装置の停止を回避するべく、ウェブ巻取装置の手前に印刷済ウェブを蓄積できるような装置も知られている(特許文献2)。しかしながら、印刷済ウェブを蓄積するスペースには限界があるため、長時間ウェブ巻取装置を稼働する場合には対応することが難しい。
【0016】
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、ウェブの巻取芯交換動作を効率良く行うことができるウェブ巻取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、互いに同軸に配置された内側回動シャフト及び外側回動シャフトと、前記内側回動シャフト及び外側回動シャフトをそれぞれ回動可能に軸支する支柱と、前記内側回動シャフトを回転駆動する第一回動モータと、前記外側回動シャフトを回転駆動する第二回動モータと、基端側において内側回動シャフトに固定され、先端側において第一巻取芯を保持すると共に当該第一巻取芯を巻取のために回転させる第一巻取芯設置部を有する、一対の第一巻取芯支持アームと、基端側において外側回動シャフトに固定され、先端側において第二巻取芯を保持すると共に当該第二巻取芯を巻取のために回転させる第二巻取芯設置部を有する、一対の第二巻取芯支持アームと、前記第一巻取芯支持アームと所定の角度をなすと共に、基端側において内側回動シャフトに固定され、先端側において第一サポートロールを回転可能に保持する、一対の第一サポートロール支持アームと、前記第二巻取芯支持アームと前記所定の角度をなすと共に、基端側において外側回動シャフトに固定され、先端側において第二サポートロールを回転可能に保持する、一対の第二サポートロール支持アームと、を備え、外側回動シャフトには、内側回動シャフトに固定された第一巻取芯支持アームが貫通すると共に当該第一巻取芯支持アームの所定の範囲の回動を許容するような第一巻取芯支持アーム用切欠部が設けられ、且つ、外側回動シャフトには、内側回動シャフトに固定された第一サポートロール支持アームが貫通すると共に当該第一サポートロール支持アームの所定の範囲の回動を許容するような第一サポートロール支持アーム用切欠部が設けられていることを特徴とするウェブ巻取装置である。
【0018】
本発明によれば、第一巻取芯支持アームと第二巻取芯支持アームとを個別に回動させることができるため、各巻取芯支持アームを互いに独立に回動させることで、ウェブを巻取った巻取芯を任意の位置で取外すことができる。このため、巻取芯支持アームの回動動作上の制約がなくなるため、昇降リフトを利用する必要がなくなり、ウェブの巻取芯交換動作を効率良く行うことができる。
【0019】
好ましくは、前記内側及び外側回動シャフトをそれぞれ回転駆動する第一及び第二回動モータと、前記第一及び第二巻取芯をそれぞれ回転させる第一及び第二巻取芯設置部と、を制御する制御部と、前記制御部の制御によってウェブを巻取った巻取芯が所定の切断位置に移動された後で、当該巻取芯と所定のニップロールとの間で、ウェブを幅方向に切断する切断部と、を更に備える。これによれば、巻取芯の交換を行う制御を、より一層効率よく自動的に実施することができる。
【0020】
あるいは、好ましくは、前記第一巻取芯支持アームは、前記第一巻取芯設置部を当該第一巻取芯支持アームの長手方向に移動可能な第一移動手段を有しており、前記第二巻取芯支持アームは、前記第二巻取芯設置部を当該第二巻取芯支持アームの長手方向に移動可能な第二移動手段を有している。このような形態が採用されるならば、巻取芯支持アームの任意の回動位置にて、巻取芯設置部を長手方向に更に移動させることで、巻取芯の取外位置を更に柔軟に設定可能となるため(特に、鉛直方向のフレキシビリティが増す)、ウェブの巻取芯交換動作をより一層効率良く行うことができる。
【0021】
更に、好ましくは、前記内側及び外側回動シャフトをそれぞれ回転駆動する第一及び第二回動モータと、前記第一及び第二巻取芯をそれぞれ回転させる第一及び第二巻取芯設置部と、前記第一及び第二巻取芯設置部をそれぞれ移動可能な第一及び第二移動手段と、を制御する制御部と、前記制御部の制御によってウェブを巻取った巻取芯が所定の切断位置に移動された後で、当該巻取芯と所定のニップロールとの間で、ウェブを幅方向に切断する切断部と、を更に備える。これによれば、巻取芯の交換を行う制御を、極めて効率よく自動的に実施することができる。
【0022】
また、前記所定の角度については、一般的には90°であることが好ましい。この場合、ウェブの切断を行う際に、ウェブに適切な張力がかかり、ウェブの切断を安定して行うことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、第一巻取芯支持アームと第二巻取芯支持アームとを個別に回動させることができるため、各巻取芯支持アームを互いに独立に回動させることで、ウェブを巻取った巻取芯を任意の位置で取外すことができる。このため、巻取芯支持アームの回動動作上の制約がなくなるため、昇降リフトを利用する必要がなくなり、ウェブの巻取芯交換動作を効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるウェブ巻取装置の、ウェブの巻取芯交換動作前の状態を示す概略側面図である。
【図2】図1のウェブ巻取装置の要部を示す概略正面図である。
【図3】図1のウェブ巻取装置によるウェブの巻取芯交換動作を説明するための概略側面図である。
【図4】図1のウェブ巻取装置によるウェブの巻取芯交換動作を説明するための概略側面図である。
【図5】図1のウェブ巻取装置によるウェブの巻取芯交換動作を説明するための概略側面図である。
【図6】図1のウェブ巻取装置によるウェブの巻取芯交換動作を説明するための概略側面図である。
【図7】図1のウェブ巻取装置によるウェブの巻取芯交換動作を説明するための概略側面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態におけるウェブ巻取装置の、ウェブの巻取芯交換動作前の状態を示す概略側面図である。
【図9】図8のウェブ巻取装置によるウェブの巻取芯交換動作を説明するための概略側面図である。
【図10】図8のウェブ巻取装置によるウェブの巻取芯交換動作を説明するための概略側面図である。
【図11】図8のウェブ巻取装置によるウェブの巻取芯交換動作を説明するための概略側面図である。
【図12】図8のウェブ巻取装置によるウェブの巻取芯交換動作を説明するための概略側面図である。
【図13】図8のウェブ巻取装置によるウェブの巻取芯交換動作を説明するための概略側面図である。
【図14】従来のウェブ巻取装置の構成の一例を示す概略側面図である。
【図15】図14のウェブ巻取装置によるウェブの巻取芯交換動作を説明するための概略側面図である。
【図16】図14のウェブ巻取装置によるウェブの巻取芯交換動作を説明するための概略側面図である。
【図17】図14のウェブ巻取装置によるウェブの巻取芯交換動作を説明するための概略側面図である。
【図18】図14のウェブ巻取装置によるウェブの巻取芯交換動作を説明するための概略側面図である。
【図19】図14のウェブ巻取装置によるウェブの巻取芯交換動作を説明するための概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるウェブ巻取装置の、ウェブの巻取芯交換動作前の状態を示す概略側面図である。図2は、図1のウェブ巻取装置の要部を示す概略正面である。図3乃至図7は、図1のウェブ巻取装置によるウェブの巻取芯交換動作を説明するための概略側面図である。
【0026】
図1及び図2に示すように、本実施の形態のウェブ巻取装置1は、互いに同軸に配置された内側回動シャフト2及び外側回動シャフト3と、内側回動シャフト2及び外側回動シャフト3をそれぞれ回動可能に軸支する支柱4と、内側回動シャフト2を回転駆動する第一回動モータ5と、外側回動シャフト3を回転駆動する第二回動モータ6と、を備えている。
【0027】
一対の第一巻取芯支持アーム11が、それらの基端側において内側回動シャフト2に固定され、それらの先端側において第一巻取芯設置部12を有している。一方、一対の第二巻取芯支持アーム21が、それらの基端側において外側回動シャフト3に固定され、それらの先端側において第二巻取芯設置部22を有している。
【0028】
図2に示すように、外側回動シャフト3には、内側回動シャフト2に固定された第一巻取芯支持アーム11が貫通する第一巻取芯支持アーム用切欠部15が設けられている。この第一巻取芯支持アーム用切欠部15によって、第一巻取芯支持アーム11は、外側回動シャフト3に対して所定の範囲で回動することができるようになっている。
【0029】
第一巻取芯設置部12は、第一巻取芯13を保持すると共に、当該第一巻取芯13をウェブ巻取のために回転させるようになっている。具体的には、第一巻取芯設置部12は、第一内蔵モータ16を有している。第二巻取芯設置部22も、同様に、第二巻取芯23を保持すると共に、当該第二巻取芯23をウェブ巻取のために回転させるようになっている。具体的には、第二巻取芯設置部22は、第二内蔵モータ26を有している。
【0030】
また、一対の第一サポートロール支持アーム31が、基端側において内側回動シャフト2に固定され、先端側において第一サポートロール32を回転可能に保持している。更に、一対の第一サポートロール支持アーム31は、第一巻取芯支持アーム11と、内側回動シャフト2(外側回動シャフト3)の回転方向に対して反対側に90°の角度をなしている。一方、一対の第二サポートロール支持アーム41が、基端側において外側回動シャフト3に固定され、先端側において第二サポートロール42を回転可能に保持している。更に、一対の第二サポートロール支持アーム41が、第二巻取芯支持アーム21と、外側回動シャフト3(内側回動シャフト2)の回転方向に対して反対側に90°の角度をなしている。
【0031】
外側回動シャフト3には、内側回動シャフト2に固定された第一サポートロール支持アーム31が貫通する第一サポートロール支持アーム用切欠部(図示せず)が設けられている。この第一サポートロール支持アーム用切欠部によって、第一サポートロール支持アーム31は、外側回動シャフト3に対して所定の範囲で回動することができるようになっている。
【0032】
図1に戻って、ウェブ巻取装置1は、内側及び外側回動シャフト2、3をそれぞれ回転駆動する第一及び第二回動モータ5、6と、第一及び第二巻取芯13、23をそれぞれ回転させる第一及び第二巻取芯設置部12、22(具体的には第一及び第二内蔵モータ16、26)と、を制御する制御部70と、を更に備えている。
【0033】
また、ウェブ巻取装置1は、制御部70の制御によってウェブ10を巻取った巻取芯が所定の切断位置に移動された後で、当該巻取芯と所定のニップロール51との間で、切断刃52によりウェブを幅方向に切断する切断部50を更に備えている。
【0034】
具体的には、本実施の形態の制御部70は、第一巻取芯13が所定量のウェブ10を巻取ると、図1に示す巻取芯交換動作前の状態から第一回動モータ5を駆動させることにより、図3に示すように、第一巻取芯支持アーム11と、第一サポートロール支持アーム31とを、一体として回動させ、これと同時に、第二回動モータ6を駆動させることにより、第二巻取芯支持アーム21と、第二サポートロール支持アーム41とも、一体として回動させるようになっている。
【0035】
この回動制御によって、図4に示すように、第一巻取芯13が所定の切断位置まで回動されると、切断部50が内側回動シャフト2(外側回動シャフト3)の方にスライドされて、予め粘着テープが巻かれたウェブ巻取前の第二巻取芯23と切断部50の構成部材であるニップロール51との間でウェブ10が狭持されるようになっている。これにより、ウェブ10が第二巻取芯23にも固定されると共に、ニップロール51と第一サポートロール32とにより当該ウェブ10を好適な状態に張架できるようになっている。この状態で、切断刃52は、ウェブ10を幅方向に切断するようになっている。
【0036】
次に、図5に示すように、切断部50のスライド移動が戻され、制御部70が、第二回動モータ6を駆動させることによって第二巻取芯23を巻取位置まで回動させた後に、第二巻取芯設置部22(第二内蔵モータ26)によって第二巻取芯23を回転させることにより、第二巻取芯23によるウェブ10の巻取を開始させるようになっている。
【0037】
一方、第一巻取芯13を取外すために、載置台60が第一巻取芯13の取外位置に設置されるようになっている。この載置台60は、高さ一定の台である。そして、図6に示すように、制御部70は、第一回動モータ5を逆方向に駆動させることによって第一巻取芯13を所定の取外位置まで逆方向に(図の時計回り方向に)回動させるようになっている。すなわち、第二巻取芯23の回動と第一巻取芯13の回動とを互いに独立に制御できるために、取外位置を任意に設定することができる。特に、第一回動モータ5がトルクモータとして構成されていれば、巻取られたウェブ10の外周と設置台60とが当接し所定の負荷がトルクモータに掛かると、当該負荷を受けてモータの回転が停止する。これにより、第一巻取芯13は所定の取外位置に自動で停止できる。あるいは、巻取られたウェブ10の外周と載置台60とが当接あるいは近接したことを検知するセンサを載置台60に設けて、当該検知情報に基づいて第一回動モータ5の回転を停止させてもよい。
【0038】
次に、以上のような構成からなる本実施の形態の作用について、図1乃至図7を参照しながら説明する。
【0039】
図3に示すように、第一巻取芯13が所定量のウェブ10を巻取ると、制御部70が第一回動モータ5を駆動させることにより、第一巻取芯支持アーム11と、第一サポートロール支持アーム31とが、一体として回動する。これと同時に、制御部70が第二回動モータ6を駆動させることにより、第二巻取芯支持アーム21と、第二サポートロール支持アーム41とが、一体として回動する。
【0040】
この回動制御によって、図4に示すように、第一巻取芯13が所定の切断位置まで回動される。この状態で、切断部50が内側回動シャフト2(外側回動シャフト3)の方にスライドされ、予め粘着テープが巻かれたウェブ巻取前の第二巻取芯23とニップロール51との間でウェブ10が狭持される。これにより、ウェブ10は第二巻取芯23にも固定される。また、この時、ニップロール51と第一サポートロール32とによりウェブ10が好適な状態で張架され、切断刃52によりウェブ10が幅方向に容易に切断される。この時、不図示の空気吹付手段等によって、第二巻取芯23の側の切断されたウェブ10の端部が第二巻取芯23に巻付けられることが好ましい。
【0041】
次に、図5に示すように、切断部50のスライド移動が戻され、制御部70が第二回動モータ6を駆動させることによって第二巻取芯23を巻取位置まで回動させた後に、第二巻取芯設置部22によって第二巻取芯23を回転させることにより、第二巻取芯23によるウェブ10の巻取が開始される。一方、第一巻取芯13を取外すための載置台60が、第一巻取芯13の取外位置に設置される。
【0042】
次に、図6に示すように、制御部70は、第一回動モータ5を逆方向に駆動させることによって第一巻取芯13を所定の取外位置まで回動させる。そして、第一巻取芯13が取外される。その後、載置台60は第一巻取芯13と共に移動されて、第一巻取芯設置部12には新たな巻取芯が設置される。
【0043】
その後、図7に示すように、制御部70が第一回動モータ5を再び順方向に駆動することによって、第一巻取芯13が待機位置まで回動される。
【0044】
以上のように、本実施の形態によれば、第一巻取芯支持アーム11と第二巻取芯支持アーム21とを個別に回動させることができるため、各巻取芯支持アームを互いに独立に回動させることによって、ウェブ10を巻取った巻取芯を任意の位置で取外すことができる。このため、巻取芯支持アームの回動動作上の制約がなくなるため、昇降リフトを利用する必要がなくなり、ウェブの巻取芯交換動作を効率良く行うことができる。
【0045】
特に、第一回動モータ5がトルクモータとして構成されていれば、巻取られたウェブ10の外周と設置台60とが当接し所定の負荷がトルクモータに掛かると、当該負荷を受けてモータの回転が停止する。これにより、第一巻取芯13は所定の取外位置に自動で停止できる。あるいは、巻取られたウェブ10の外周と載置台60とが当接あるいは近接したことを検知するセンサを載置台60に設けて、当該検知情報に基づいて第一回動モータ5の回転を停止させてもよい。
【0046】
また、第一サポートロール支持アーム31は、第一巻取芯支持アーム11と、内側回動シャフト2(外側回動シャフト3)の回転方向に対して反対側に90°の角度をなしているため、ウェブ10の切断を行う際に、ウェブ10に適切な張力がかかり、ウェブ10の切断を安定して行うことができる。
【0047】
次に、図8乃至図13を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図8は、本発明の第1の実施の形態におけるウェブ巻取装置の、ウェブの巻取芯交換動作前の状態を示す概略側面図である。図9乃至図13は、図8のウェブ巻取装置によるウェブの巻取芯交換動作を説明するための概略側面図である。図8に示すウェブ巻取装置1’においては、第一巻取芯支持アーム11が、第一巻取芯設置部12を当該第一巻取芯支持アーム11の長手方向に移動させることが可能な第一移動手段14を有しており、同様に、第二巻取芯支持アーム21が、第二巻取芯設置部22を当該第二巻取芯支持アーム21の長手方向に移動させることが可能な第二移動手段24を有している。更に、制御部70’が、内側及び外側回動シャフト2、3をそれぞれ回転駆動する第一及び第二回動モータ5、6と、第一及び第二巻取芯13、23をそれぞれ回転させる第一及び第二巻取芯設置部12、22と、第一及び第二巻取芯設置部12、22をそれぞれ移動させることが可能な第一及び第二移動手段14、24と、を制御するようになっている。
【0048】
第一移動手段14は、第一巻取芯支持アーム11に設けられた電動ボールネジによって、第一巻取芯設置部12を当該第一巻取芯支持アーム11の長手方向に摺動移動させることが可能となっている。同様に、第二移動手段24は、第二巻取芯支持アーム21に設けられた電動ボールネジによって、第二巻取芯設置部22を当該第二巻取芯支持アーム21の長手方向に摺動移動させることが可能となっている。もっとも、第一移動手段14及び第二移動手段24は、それぞれ第一巻取芯支持アーム11及び第二巻取芯支持アーム21に設けられたエアシリンダであってもよい。
【0049】
本実施の形態の制御部70’は、第一巻取芯13が所定量のウェブ10を巻取ると、図8に示す巻取芯交換動作前の状態から第一回動モータ5を駆動させることにより、図9に示すように、第一巻取芯支持アーム11と、第一サポートロール支持アーム31とを、一体として回動させ、これと同時に、第二回動モータ6を駆動させることにより、第二巻取芯支持アーム21と、第二サポートロール支持アーム41とも、一体として回動させるようになっている。
【0050】
この回動制御によって、図10に示すように、第一巻取芯13が所定の切断位置まで回動されると、切断部50が内側回動シャフト2(外側回動シャフト3)の方にスライドされて、予め粘着テープが巻かれたウェブ巻取前の第二巻取芯23と切断部50の構成部材であるニップロール51との間でウェブ10が狭持されるようになっている。これにより、ウェブ10が第二巻取芯23にも固定されると共に、ニップロール51と第一サポートロール32とにより当該ウェブ10を好適な状態に張架できるようになっている。この状態で、切断刃52は、ウェブ10を幅方向に切断するようになっている。
【0051】
次に、図11に示すように、切断部50のスライド移動が戻され、制御部70が、第二回動モータ6を駆動させることによって第二巻取芯23を巻取位置まで回動させた後に、第二巻取芯設置部22(第二内蔵モータ26)によって第二巻取芯23を回転させることにより、第二巻取芯23によるウェブ10の巻取を開始させるようになっている。
【0052】
一方、制御部70は、第一回動モータ5を駆動させることによって第一巻取芯13を所定の取外用伸縮位置まで回動させるようになっている。ここで、第二巻取芯23の回動と第一巻取芯13の回動とを互いに独立に制御できるために、取外用伸縮位置を任意に設定することができる。例えば、第一巻取芯13の所定の切断位置と所定の取外用伸縮位置とは、同位置であってよい。
【0053】
次に、図12に示すように、制御部70’が第一移動手段14によって、第一巻取芯設置部12を第一巻取芯支持アーム11の長手方向に移動させて、巻取られたウェブ10の外周を地面に当接させるようになっている。
【0054】
次に、以上のような構成からなる本実施の形態の作用について、図8乃至図13を参照しながら説明する。
【0055】
図9に示すように、第一巻取芯13が所定量のウェブ10を巻取ると、制御部70’が第一回動モータ5を駆動させることにより、第一巻取芯支持アーム11と、第一サポートロール支持アーム31とが、一体として回動する。これと同時に、制御部70が第二回動モータ6を駆動させることにより、第二巻取芯支持アーム21と、第二サポートロール支持アーム41とが、一体として回動する。
【0056】
この回動制御によって、図10に示すように、第一巻取芯13が所定の切断位置まで回動される。この状態で、切断部50が内側回動シャフト2(外側回動シャフト3)の方にスライドされ、予め粘着テープが巻かれたウェブ巻取前の第二巻取芯23とニップロール51との間でウェブ10が狭持される。これにより、ウェブ10は第二巻取芯23にも固定される。また、この時、ニップロール51と第一サポートロール32とによりウェブ10が好適な状態で張架され、切断刃52によりウェブ10が幅方向に容易に切断される。この時、不図示の空気吹付手段等によって、第二巻取芯23の側の切断されたウェブ10の端部が第二巻取芯23に巻付けられることが好ましい。
【0057】
次に、図11に示すように、切断部50のスライド移動が戻され、制御部70が第二回動モータ6を駆動させることによって第二巻取芯23を巻取位置まで回動させた後に、第二巻取芯設置部22によって第二巻取芯23を回転させることにより、第二巻取芯23によるウェブ10の巻取が開始される。一方、制御部70が第一回動モータ5を駆動することによって、第一巻取芯13が所定の取外位置まで回動する。
【0058】
次に、図12に示すように、制御部70’が第一移動手段14によって、第一巻取芯設置部12を第一巻取芯支持アーム11の長手方向に伸長移動させて、巻取られたウェブ10の外周を地面に当接させる。そして、第一巻取芯13が取外される。その後、第一巻取芯設置部12に新たな巻取芯が設置される。
【0059】
その後、制御部70’が第一移動手段14によって第一巻取芯設置部12の伸長移動を元に戻させ、図13に示すように、第一回動モータ5を駆動させることによって第一巻取芯13を待機位置まで回動させる。
【0060】
本実施の形態によっても、第一巻取芯支持アーム11と第二巻取芯支持アーム21とを個別に回動させることができるため、各巻取芯支持アームを互いに独立に回動させて、ウェブ10を巻取った巻取芯を任意の位置で取外すことができる。このため、巻取芯支持アームの回動動作上の制約がなくなるため、昇降リフトを利用する必要がなくなり、ウェブの巻取芯交換動作を効率良く行うことができる。
【0061】
更に、第一移動手段14及び第二移動手段24が設けられているため、巻取芯支持アームの任意の回動位置にて、巻取芯設置部を巻取芯支持アームの長手方向に更に移動させることで、巻取芯の取外位置を更に柔軟に設定可能となるため(特に、鉛直方向のフレキシビリティが増す)、ウェブ10の巻取芯交換動作を極めて効率良く行うことができる。
【符号の説明】
【0062】
1、1’ ウェブ巻取装置
2 内側回動シャフト
3 外側回動シャフト
4 支柱
5 第一回動モータ
6 第二回動モータ
10 ウェブ
11 第一巻取芯支持アーム
12 第一巻取芯設置部
13 第一巻取芯
14 第一移動手段
15 第一巻取芯支持アーム用切欠部
16 第一内蔵モータ
21 第二巻取芯支持アーム
22 第二巻取芯設置部
23 第二巻取芯
24 第二移動手段
26 第二内蔵モータ
31 第一サポートロール支持アーム
32 第一サポートロール
41 第二サポートロール支持アーム
42 第二サポートロール
50 切断部
51 ニップロール
52 切断刃
60 載置台
70、70’ 制御部
100 ウェブ巻取装置
101 ウェブ
102 回動シャフト
103 支柱
104 回動モータ
111 第一巻取芯支持アーム
112 第一巻取芯設置部
113 第一巻取芯
121 第二巻取芯支持アーム
122 第二巻取芯設置部
123 第二巻取芯
131 第一サポートロール支持アーム
132 第一サポートロール
141 第二サポートロール支持アーム
142 第二サポートロール
150 切断部
151 ニップロール
152 切断刃
160 昇降リフト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに同軸に配置された内側回動シャフト及び外側回動シャフトと、
前記内側回動シャフト及び外側回動シャフトをそれぞれ回動可能に軸支する支柱と、
前記内側回動シャフトを回転駆動する第一回動モータと、
前記外側回動シャフトを回転駆動する第二回動モータと、
基端側において内側回動シャフトに固定され、先端側において第一巻取芯を保持すると共に当該第一巻取芯を巻取のために回転させる第一巻取芯設置部を有する、一対の第一巻取芯支持アームと、
基端側において外側回動シャフトに固定され、先端側において第二巻取芯を保持すると共に当該第二巻取芯を巻取のために回転させる第二巻取芯設置部を有する、一対の第二巻取芯支持アームと、
前記第一巻取芯支持アームと所定の角度をなすと共に、基端側において内側回動シャフトに固定され、先端側において第一サポートロールを回転可能に保持する、一対の第一サポートロール支持アームと、
前記第二巻取芯支持アームと前記所定の角度をなすと共に、基端側において外側回動シャフトに固定され、先端側において第二サポートロールを回転可能に保持する、一対の第二サポートロール支持アームと、
を備え、
外側回動シャフトには、内側回動シャフトに固定された第一巻取芯支持アームが貫通すると共に当該第一巻取芯支持アームの所定の範囲の回動を許容するような第一巻取芯支持アーム用切欠部が設けられ、且つ、
外側回動シャフトには、内側回動シャフトに固定された第一サポートロール支持アームが貫通すると共に当該第一サポートロール支持アームの所定の範囲の回動を許容するような第一サポートロール支持アーム用切欠部が設けられている
ことを特徴とするウェブ巻取装置。
【請求項2】
前記内側及び外側回動シャフトをそれぞれ回転駆動する第一及び第二回動モータと、前記第一及び第二巻取芯をそれぞれ回転させる第一及び第二巻取芯設置部と、を制御する制御部と、
前記制御部の制御によってウェブを巻取った巻取芯が所定の切断位置に移動された後で、当該巻取芯と所定のニップロールとの間で、ウェブを幅方向に切断する切断部と、
を更に備える
ことを特徴とする請求項1に記載のウェブ巻取装置。
【請求項3】
前記第一巻取芯支持アームは、前記第一巻取芯設置部を当該第一巻取芯支持アームの長手方向に移動可能な第一移動手段を有しており、
前記第二巻取芯支持アームは、前記第二巻取芯設置部を当該第二巻取芯支持アームの長手方向に移動可能な第二移動手段を有している
ことを特徴とする請求項1に記載のウェブ巻取装置。
【請求項4】
前記内側及び外側回動シャフトをそれぞれ回転駆動する第一及び第二回動モータと、前記第一及び第二巻取芯をそれぞれ回転させる第一及び第二巻取芯設置部と、前記第一及び第二巻取芯設置部をそれぞれ移動可能な第一及び第二移動手段と、を制御する制御部と、
前記制御部の制御によってウェブを巻取った巻取芯が所定の切断位置に移動された後で、当該巻取芯と所定のニップロールとの間で、ウェブを幅方向に切断する切断部と、
を更に備える
ことを特徴とする請求項3に記載のウェブ巻取装置。
【請求項5】
前記所定の角度は、90°である
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のウェブ巻取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−67505(P2013−67505A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208980(P2011−208980)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】