説明

エアバッグ装置

【課題】エアバッグ装置を、車体側の部材に対してより強固に固定できるようにすることを目的とする。
【解決手段】エアバッグ装置20は、インストルメントパネル10に組込まれ、車体側の部材16に固定される。エアバッグ装置20は、エアバッグ34と、エアバッグ34にガスを導入して膨張展開させるインフレータ36と、インフレータ36が固定されるベース部材32と、ベース部材32に固定されたブラケット50とを備える。ブラケット50は、一端側がベース部材32に固定されると共に他端側が車体側の部材16に固定可能な一対の板状部分56を含み、一対の板状部分56は、ベース部材32から外方に向けて順次広がる又は順次狭まる姿勢でベース部材32に固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、インストルメントパネル等に組込まれるエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のエアバッグ装置として特許文献1〜3に開示のものがある。
【0003】
特許文献1及び2では、エアバッグを収納するケースが板状のブラケットを介してボディ側の部材であるリーンホースに取付けられている。
【0004】
特許文献3では、エアバッグを収納するケースが、間隔をあけて平行に配設された一対の板部分を有するブラケットを介して、ボディ側の部材であるリーンホースに取付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−97162号公報
【特許文献2】特開2003−260997号公報
【特許文献3】特開2003−335204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び2に開示のブラケットは、単一板状であるため、その厚み方向の支持力と、ケース及びリーンホースを結ぶ方向への支持力が不十分である。
【0007】
また、特許文献3の開示のブラケットでは、一対の板部分は平行に配設されているため、一対の板部分が同時に同方向に傾くように容易に変形し得る。このため、一対の板部分を結ぶ方向の支持力と、ケース及びリーンホースを結ぶ方向への支持力は不十分である。
【0008】
そこで、本発明は、エアバッグ装置を、車体側の部材に対してより強固に固定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、第1の態様は、パネルに組込まれ、車体側の部材に固定されるエアバッグ装置であって、エアバッグと、前記エアバッグにガスを導入して膨張展開させるインフレータと、前記インフレータが固定されるベース部材と、前記ベース部材に固定されたブラケットとを備え、前記ブラケットは、一端側が前記ベース部材に固定されると共に他端側が前記車体側の部材に固定される可能な板状部分を一対含み、前記一対の板状部分は前記ベース部材から外方に向けて順次広がる姿勢又は順次狭まる姿勢で前記ベース部材に固定されている。
【0010】
第2の態様は、第1の態様に係るエアバッグ装置であって、前記パネルに形成された開口部に嵌め込まれるリッドを有し、前記ベース部材との間に前記エアバッグを収容した状態で、前記ベース部材に固定されるエアバッグカバーをさらに備える。
【0011】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係るエアバッグ装置であって、前記ブラケットは、前記ベース部材に固定された又は前記車体側の部材に固定可能な板状の固定部の両端部から前記一対の板状部分が延出する部材である。
【0012】
第4の態様は、第3の態様に係るエアバッグ装置であって、前記ブラケットは前記固定部の両端に前記一対の板状部分が屈曲部を介して連結された一体形成部材である。
【0013】
第5の態様は、第3又は第4の態様に係るエアバッグ装置であって、前記一対の板状部分の一端側がそれぞれ前記ベース部材に固定されると共に、前記固定部が前記車体側の部材に固定可能に形成されている。
【発明の効果】
【0014】
第1の態様によると、前記ブラケットは、一端側が前記ベース部材に固定されると共に他端側が前記車体側の部材に固定可能な板状部分を一対含み、前記一対の板状部分は前記ベース部材から外方に向けて順次広がる姿勢又は順次狭まる姿勢で前記ベース部材に固定されている。このため、ベース部材に対してそれらを結ぶ方向の荷重が加わったとしても、いずれか一方の板状部分がその荷重を受ける。また、ベース部材と車体側の部材とを結ぶ方向の荷重が作用すると、両ベース部材が一体となって当該荷重を受止める。また、これらの両方向に対して直交する方向の荷重は、板状部分がその幅方向の支持力で受止めることができる。従って、エアバッグ装置を、車体側の部材に対してより強固に固定することができる。
【0015】
第2の態様によると、パネルに形成された開口部に嵌め込まれるリッドを有するエアバッグカバーを、車体側の部材により強固に固定できる。
【0016】
第3の態様によると、一対の板状部分のうち固定部で連結された側の端部ではその間隔をより確実に一定に保つことができ、エアバッグ装置を、車体側の部材に対してより強固に固定することができる。
【0017】
第4の態様によると、ブラケットを容易に加工できる。
【0018】
第5の態様によると、エアバッグ装置を容易に車体側の部材に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態に係るエアバッグ装置を示す側面図である。
【図2】同上のエアバッグ装置を示す斜視図である。
【図3】同上のエアバッグ装置を示す平面図である。
【図4】ブラケットを模式的に示す説明図である。
【図5】変形例に係るブラケットを模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施形態に係るエアバッグ装置について説明する。図1はエアバッグ装置20を示す側面図であり、図2はエアバッグ装置20を示す斜視図であり、図3はエアバッグ装置20を示す平面図である。
【0021】
このエアバッグ装置20は、車両のインストルメントパネル10のうち助手席側の部分に組込まれるものであり、エアバッグカバー22と、エアバッグユニット30と、ブラケット50とを備えている。エアバッグユニット30はブラケット50を介して車体側の部材であるリーンホース16に取付けられている。エアバッグカバー22はエアバッグユニット30に一体的に取付固定されると共に、インストルメントパネル10に形成された開口部12に嵌め込まれ、前記エアバッグユニット30を助手席側から覆っている。よって、本エアバッグ装置20は、全体として車体側の部材であるリーンホース16に固定される装置といえる。
【0022】
上記エアバッグユニット30は、ベース部材32、エアバッグ34及びインフレータ36を備えている。
【0023】
エアバッグ34は、布等によって、ガス導入口を有する袋状に形成されている。エアバッグ34は、通常状態では、エアバッグカバー22内に折畳んで収納されている。そして、ガスの導入によりエアバッグ34が膨張展開すると、エアバッグ34はエアバッグカバー22を割開いてインストルメントパネル10外に飛出して助手席側乗員に向けて膨張展開する。
【0024】
インフレータ36は、点火装置及びガス発生剤等を含んでおり、エアバッグ34内にガスを供給可能な状態でエアバッグ34に連結されている。そして、インフレータ36は、車両の衝撃検知部からの点火命令信号等を受けて前記点火装置を発火させ、この発火によりガス発生剤を燃焼させる。これにより発生したガスが、ガス導入口を通じてエアバッグ34内に供給されて、エアバッグ34が膨張展開する。
【0025】
ベース部材32は、金属板等を適宜プレス加工等することによって形成されたものであり、ここでは、ベース板部32aと前記ベース板部32aの一主面側を囲う周壁部32bとを有する形状、即ち、一方側が開口する箱状に形成されている。そして、前記周壁部32bが、エアバッグ34の立壁26(後述する)内に嵌め込まれた状態で、当該立壁26に取付固定される。立壁26に対するベース部材32の固定は、例えば、ベース部材32の周壁部32bに係止されたフック部を立壁26に形成された固定孔26hに引っかけること、或は、ベース部材32より延出されたベルトを立壁26に形成された固定孔26hに通すこと等によって行われる。
【0026】
このベース部材32に対して上記インフレータ36がねじ止等によって固定される。また、このインフレータ36に連結されたエアバッグ34は、折畳まれた状態で、エアバッグ34とベース部材32とで囲まれる空間に収容される。なお、ベース部材32に周壁部32bが形成されていることは必須ではなく、ベース部材32とエアバッグ34との間で折畳まれたエアバッグ34を収容可能な空間が形成された状態で、ベース部材32とエアバッグカバー22とが取付固定されていればよい。
【0027】
このベース部材32には、ブラケット50が取付固定されている。本ブラケット50がリーンホース16に取付固定されることで、エアバッグ装置20が車体に固定される。このブラケット50については、後で詳述する。
【0028】
また、インストルメントパネル10のうちエアバッグユニット30の配設部分対応領域に開口部12が形成されている。ここでは、開口部12は、略長方形状であるが必ずしも当該形状である必要はなく、円形状等に形成されていてもよい。そして、前記開口部12に嵌込まれるようにエアバッグカバー22が配設されることで、当該エアバッグカバー22がエアバッグユニット30を覆うようになっている。
【0029】
エアバッグカバー22は、樹脂によって金型成型された一体部材であり、リッド24と、立壁26とを備えている。
【0030】
リッド24は、開口部12を塞ぐ板状に形成されている。ここでは、リッド24は、開口部12の形状に合わせて略長方形状に形成されている。また、リッド24は、インストルメントパネル10の表面に対して連続した表面を形成すべく、開口部12の側方の当該インストルメントパネル10の曲面形状に応じて曲面をなしている。リッド24の外周形状及び大きさと、開口部12の内周形状及び大きさとは完全に一致する必要はないが、それらの間の隙間をなるべく小さくできるように、それらの形状及び大きさがなるべく一致していることが好ましい。
【0031】
また、このリッド24は、エアバッグ34の膨張展開時に破断可能に構成されている。ここでは、リッド24の内面に図示省略の溝部が形成され、エアバッグ34の膨張展開時にリッド24が当該溝部に沿って割れて破断するようになっている。
【0032】
なお、このリッド24は、インストルメントパネル10に形成された開口部12に嵌め込まれるだけの構成であり、その周縁部にはインストルメントパネル10の開口部12の周縁部へのロック構造等は設けられていない。
【0033】
また、リッド24の内面側に立壁26が形成されている。ここでは、立壁26は方形枠状に形成されている。立壁26のうち長辺側の部分に固定孔26hが形成されている。そして、上記ベース部材32に形成されたフック部を当該固定孔26hに引っかけること等によって、立壁26とエアバッグユニット30とが相互固定されるようになっている。
【0034】
そして、後述するようにエアバッグユニット30がリーンホース16に固定された状態で、エアバッグカバー22のリッド24がインストルメントパネル10の開口部12を閉塞する位置に配設されるようになっている。
【0035】
ブラケット50を中心に、本エアバッグ装置20を車体側の部材であるリーンホース16に固定する構造についてより具体的に説明する。図4はブラケット50を模式的に示す説明図である。
【0036】
図1〜図4に示すように、インストルメントパネル10の内側には、車両のボディに固定された部材である車体側部材としてリーンホース16が配設されている。リーンホース16は、ボディに固定され、インストルメントパネル10内で車幅方向に沿って配設された部材である。ここでは、リーンホース16は、パイプ状の部材である。また、インストルメントパネル10は周知構造を含む取付構造によって車両のボディに固定され、また、リーンホース16も車両のボディに固定されているので、インストルメントパネル10とリーンホース16とは一定の位置関係に保たれている。従って、本エアバッグ装置20をリーンホース16に対して一定位置に固定することで、リッド24はインストルメントパネル10に対して一定位置に配設される。もっとも、エアバッグ装置20は、リーンホース16以外の車体側の部材に固定されていてもよい。
【0037】
より具体的には、ベース部材32のうちインストルメントパネル10内側(つまり、リーンホース16側)を向く面に、金属板等によって形成されたブラケット50が固定されている。
【0038】
ブラケット50は、固定部52と、一対の板状部分56とを有している。ここでは、ブラケット50は、固定部52の両端に一対の板状部分56が屈曲部54を介して連結された一体形成部材である。より具体的には、ブラケット50は、鉄等の金属製の細長板材の両端部を、2箇所で同一方向に屈曲させることより形成された部材である。
【0039】
固定部52は、細長い板状に形成されると共に、リーンホース16の外周面形状に応じてその幅方向において外向けに凹となるように湾曲している。これにより、固定部52をリーンホース16の外周面に面接触させた状態で安定して配設できるようになっている。また、固定部52には、ネジ孔等が形成されており、ネジSを介して固定部52をリーンホース16に固定できるようになっている(図4参照)。固定部52がリーンホース16に固定されることによって、ブラケット50の一端側がブラケット50に固定される。その他、リーンホース16を挟込む等の構成によって、固定部52或はブラケット50がリーンホース16に固定される構成であってもよい。
【0040】
一対の板状部分56は、その長手方向に沿って真っ直ぐ延びる細長板状に形成されている。一対の板状部分56の幅方向は、当該一対の板状部分56を結ぶ方向に対して直交する姿勢とされている。一対の板状部分56の一端側は屈曲部54を介して上記固定部52に連結されている。また、一対の板状部分56の他端側には、外方に向けて延びる他端側固定片57が設けられている。他端側固定片57にはネジ孔が形成されており、ネジSを介して他端側固定片57がベース部材32の外面に固定される。ここでは、他端側固定片57は、インフレータ36の両側部でベース部材32のベース板部32aに固定されている。なお、他端側固定片57は、一対の板状部分56の内方に向けて延出していてもよい。また、一対の板状部分56の幅方向中間部には、その長手方向に沿って延びるリブ部56aが形成されている。リブ部56aは、一対の板状部分56の幅方向中間の細帯状領域を外側又は内側に突出変形させることにより係止されている。このリブ部56aによって、板状部分56の曲げ変形がより有効に抑制され、板状部分56をより確実に真っ直ぐな状態に維持することができる。
【0041】
また、一対の板状部分56は、ベース部材32から外方に向けて(リーンホース16に向けて)順次狭まる姿勢で前記ベース部材32に固定されている。より具体的には、一対の板状部分56は、固定部52の両端部から外方に広がる姿勢で当該板状部分56に屈曲部54を介して連結されている。従って、エアバッグユニット30とリーンホース16とを最短距離で結ぶラインMに対して、一対の板状部分56は角度θaをなして外方に傾斜している。また、エアバッグユニット30とリーンホース16と間の距離L2よりも、一対の板状部分56の長さ寸法L1は大きい。
【0042】
なお、本実施形態では、一対の板状部分56が左右対称な形状である例で説明するが、必ずしもその必要はない。リーンホース16に対してエアバッグユニット30を一定姿勢(通常、リーンホース16の軸方向に対してベース板部32aが平行となる姿勢)で維持できるのであれば、一対の板状部分56の長さ又はベース部材32に対する一対の板状部分56の角度が異なっていてもよい。
【0043】
このように構成されたエアバッグ装置20は、次のようにして車両に組込まれる。
【0044】
すなわち、ベース部材32に固定されたブラケット50の固定部52がリーンホース16に取付固定される。これにより、エアバッグユニット30及びエアバッグカバー22がリーンホース16に対して一定姿勢に支持される。この状態で、インストルメントパネル10が車両に固定されると、エアバッグカバー22がインストルメントパネル10の内側より開口部12内に嵌め込まれる。
【0045】
この取付状態において、車両振動等によって、板状部分56の幅方向に荷重Faが加わったとする(図1及び図2参照)。この荷重Faに対しては、板状部分56がその幅方向で受止める。従って、板状部分56の幅方向における耐振強度を大きくすることができる。
【0046】
また、車両振動等によって、一対の板状部分56を結ぶ方向(リーンホース16の軸方向或は車幅方向)に荷重Fbが加わったとする(図2〜図4参照)。この場合、一対の板状部分56がベース部材32からリーンホース16に向けて順次狭まるように延設されているため、いずれか一方の板状部分56が主として圧縮方向に荷重Fbを受けることができる。例えば、図4において、右方向からの荷重Fbが加わったとすると、同じ右側の板状部分56がその圧縮方向で荷重Fbを受けることができる。このため、一対の板状部分56が荷重Fbを受けて同一方向に傾き難い。従って、一対の板状部分56を結ぶ方向における耐振強度も大きくすることができる。
【0047】
また、エアバッグ34の膨張展開時における衝撃力は、ベース部材32とリーンホース16とを結ぶ方向に作用する。このような衝撃力或は車両振動等によって、ベース部材32とリーンホース16とを結ぶ方向に荷重Fcが加わったとする(図1,図2及び図4参照)。この場合、一対の板状部分56が主としてその圧縮伸長方向に荷重Fcを受止めることができる。しかも、一対の板状部分56は、ベース部材32からリーンホース16に向けて順次狭まるように延設されているため、一対の板状部分56が一対の板状部分56を結ぶ方向に倒れないように両側から支持されている。従って、ベース部材32とリーンホース16とを結ぶ方向においても、耐振強度及びエアバッグ34の膨張展開による衝撃力を受止める強度も大きくすることができる。
【0048】
このように3次元方向における支持強度を十分に大きくすることができる結果、エアバッグユニット30及びエアバッグカバー22をリーンホース16に対して十分な支持強度で支持できる。
【0049】
以上のように構成されたエアバッグ装置20によると、ブラケット50は、一端側がベース部材32に固定されると共に他端側が車体側の部材であるリーンホース16に固定可能な板状部分56を一対含み、この一対の板状部分56がベース部材32から外方に向けて順次狭まる姿勢でベース部材32に固定されているため、エアバッグ装置20を、リーンホース16に対してより強固に固定することができる。
【0050】
また、エアバッグ装置20は、インストルメントパネル10の開口部12に嵌め込まれるリッド24を有するエアバッグカバー22を備えた構成であるため、当該エアバッグカバー22をリーンホース16に対してより強固に固定できる。その結果、エアバッグカバー22に、インストルメントパネル10の開口部12への固定用のロック構造等を形成する必要がなくなる。これにより、エアバッグカバー22の構成の簡易化を図ることでき、軽量化及び低コスト化が可能となる。また、エアバッグカバー22を開口部12に嵌め込むだけでよいため、エアバッグカバー22をインストルメントパネル10に組込む作業も容易となる。
【0051】
また、ブラケット50は、ベース部材32に固定される固定部52の両端部から一対の板状部分56が延出する部材であるため、一対の板状部分56のうち固定部52で連結された側の端部ではその間隔をより確実に一定に保つことができ、エアバッグ装置20をリーンホース16に対してより強固に固定できる。また、固定部52をリーンホース16に取付固定するだけでよいため、当該取付作業を容易に行える。
【0052】
しかも、ブラケット50は、固定部52の両端部に一対の板状部分56が屈曲部54を介して連結された一体形成部材であるため、当該ブラケット50を容易に加工製造することができる。
【0053】
また、一対の板状部分56の一端側がベース部材32に固定されると共に、固定部52がリーンホース16に固定される構成であるため、本エアバッグ装置20を車体に対して容易に取付加工することができる。
【0054】
{変形例}
なお、上記実施形態では、一対の板状部分56はベース部材32から外方に向けて順次狭まる姿勢でベース部材32に固定されている例で説明したが、必ずしもその必要はない。図5に示すように、上記ブラケット50に対応するブラケット150が、固定部52に対応する固定部152と、一対の板状部分56に対応する一対の板状部分156を有し、一対の板状部分56がベース部材32から外方に向けて(リーンホース16)順次広がる姿勢でベース部材32に固定されていてもよい。
【0055】
この場合でも、上記実施形態と同様に、一対の板状部分56がその幅方向で当該幅方向の荷重を受止めることができる。また、上記実施形態と同様に、一対の板状部分156の少なくとも一方がその圧縮伸長方向で、一対の板状部分156を結ぶ方向の荷重Fb及びベース部材32とリーンホース16とを結ぶ方向の荷重Fcを受止めることができる。その結果、エアバッグユニット30及びエアバッグカバー22をリーンホース16に対して十分な支持強度で支持できる。このため、上記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0056】
また、上記実施形態では、エアバッグカバー22には、インストルメントパネル10へのロック構造等を組込まない例で説明したが、必ずしもその必要はない。エアバッグカバー22に、インストルメントパネル10の開口部12の周縁部へのロック構造等が組込まれていてもよい。
【0057】
また、上記ブラケット50、150において固定部52、152が設けられていること、固定部52、152と一対の板状部分56、156とが一体形成部材であることは必須ではない。
【0058】
例えば、固定部52、152が省略されていてもよい。この場合、別々の部材として形成された一対の板状部分の両端部を、それぞれ別々にベース部材32及びリーンホース16にねじ止等によって固定すればよい。
【0059】
また、固定部52、152に相当部分と一対の板状部分56、156に相当する部分とが別体として形成された後に、ねじ止、溶接等で一体的に連結される構成であってもよい。
【0060】
また、固定部52、152をベース部材32に固定するようにしてもよい。
【0061】
また、本実施形態では、エアバッグ装置20がエアバッグカバー22を備える例で説明したが、エアバッグカバー22は必ずしも必須ではない。例えば、インストルメントパネル10に対してエアバッグカバー相当部分が一体的に組込まれているような場合には、エアバッグ装置はエアバッグカバーが無い構成として製造され、車両に組付けられる。
【0062】
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【0063】
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0064】
10 インストルメントパネル
12 開口部
16 リーンホース
20 エアバッグ装置
22 エアバッグカバー
24 リッド
30 エアバッグユニット
32 ベース部材
32a ベース板部
34 エアバッグ
36 インフレータ
50、150 ブラケット
52、152 固定部
54 屈曲部
56、156 板状部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルに組込まれ、車体側の部材に固定されるエアバッグ装置であって、
エアバッグと、
前記エアバッグにガスを導入して膨張展開させるインフレータと、
前記インフレータが固定されるベース部材と、
前記ベース部材に固定されたブラケットと、
を備え、
前記ブラケットは、一端側が前記ベース部材に固定されると共に他端側が前記車体側の部材に固定される可能な板状部分を一対含み、
前記一対の板状部分は前記ベース部材から外方に向けて順次広がる姿勢又は順次狭まる姿勢で前記ベース部材に固定されている、エアバッグ装置。
【請求項2】
請求項1記載のエアバッグ装置であって、
前記パネルに形成された開口部に嵌め込まれるリッドを有し、前記ベース部材との間に前記エアバッグを収容した状態で、前記ベース部材に固定されるエアバッグカバーをさらに備えるエアバッグ装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のエアバッグ装置であって、
前記ブラケットは、前記ベース部材に固定された又は前記車体側の部材に固定可能な板状の固定部の両端部から前記一対の板状部分が延出する部材である、エアバッグ装置。
【請求項4】
請求項3記載のエアバッグ装置であって、
前記ブラケットは前記固定部の両端に前記一対の板状部分が屈曲部を介して連結された一体形成部材である、エアバッグ装置。
【請求項5】
請求項3又は4記載のエアバッグ装置であって、
前記一対の板状部分の一端側がそれぞれ前記ベース部材に固定されると共に、前記固定部が前記車体側の部材に固定可能に形成されている、エアバッグ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−232615(P2012−232615A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100665(P2011−100665)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000117135)芦森工業株式会社 (447)
【Fターム(参考)】