説明

エアブラスト装置の搬送テーブル

【課題】ワークの必要な位置決め精度を確保する。
【解決手段】圧縮空気により噴射される研掃材で表面が研掃される被研掃品を移動及び回転自在に載置するエアーブラスト装置の搬送テーブルにおいて、テーブル本体上に、鋸歯状に連続して配置される複数の三角棒材と、三角棒材の稜線に設けられる凹部と、凹部に嵌合されるゴム製の被研掃品支持部材とを有する。被研掃品支持部材は、四角柱形状を為し、凹部からの突出量が凹部への埋設量に対し9%〜17%であることを特徴とする。被研掃品支持部材は、シリコンゴム又は硬質ゴムで構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークの必要な位置決め精度を確保することが可能なエアブラスト装置の搬送テーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エアブラスト装置は、例えば、エンジンシリンダブロックなどの鋳造品のワークの表面に付着する切削くずや鋳砂を圧縮空気により研掃材を噴射して鋳造品の表面の研掃を行うものが知られている。
【0003】
例えば、図4〜図6に示すように、エアブラスト装置100は、エンジンシリンダブロックなどのワーク(被研掃品)Wを回転自在に載置する搬送テーブル101と、圧縮空気により研掃材を噴射してワークWの表面の研掃を行うエアーブラスト104と、搬送テーブル101をワークWの処理工程に基づいて回転及び搬送させる搬送装置106とを備えている。
【0004】
搬送テーブル101は、テーブル本体102上に、焼き入れした金属製の複数の三角棒材を鋸歯状に連続して配置した載置部103を備えている。
【0005】
エアブラスト104は、ロボット105によって操作されるようになっている。
【0006】
エアブラスト装置100は、例えば、NC制御によってワークWが搬送テーブル101上に置かれると、搬送テーブル101は搬送装置106によってロボット105によるエアブラストの位置まで移動される。そして、その位置でエアブラストが圧縮空気により研掃材を噴射してワークWの表面の研掃を行う。この際、搬送テーブル101はワークWを載置したまま回転させられる。その後、ワークWを載置した搬送テーブル101は元の位置に戻される。次に、NC制御によってワークWが搬送テーブル101から取り除かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−47634号公報
【特許文献2】特開平7−32272号方法
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
エアブラスト装置は、ワークWの取り置きはNC機で、エアブラストはロボットで行うため、高い位置決め精度が要求される。
【0009】
しかし、従来のエアブラスト装置では、エアブラストロボットからショットブラストを噴出するために、設備機能上クランプ装置又は位置決めの設置ができない。そのため、搬送テーブル101が移動時又は回転時にその速度を上げると、ワークWが位置ずれを起こし、エアブラストロボットと干渉してワークWが落下するという問題があった。
【0010】
このため、搬送テーブル101の移動速度及び回転速度を低速に抑え込むこととなり、設定サイクル時間内で必要な正味作業時間が確保できなくなるという問題があった。結果として、稼働時間の延長、勤務時間の増加が発生するという不具合があった。
【0011】
なお、一般的な搬送テーブルの滑り止めとして、例えば、ゴム材製の滑り板を用いる食品容器類搬送装置(例えば、特許文献1参照)、ゴムカバーを用いる作業台とこの作業台を使用したカッターテーブル(例えば、特許文献2参照)が知られている。
【0012】
しかし、特許文献1、2とも、例えば、エンジンシリンダブロックなどの鋳造品のワークに適用しようとすると、損傷しやすく、耐久性がなく、エアブラスト装置の搬送テーブルに転用することはできない。
【0013】
本発明は斯かる従来の問題点を解決するために為されてもので、その目的は、ワークの必要な位置決め精度を確保することが可能なエアブラスト装置の搬送テーブルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に係る発明は、圧縮空気により噴射される研掃材で表面が研掃される被研掃品を移動及び回転自在に載置するエアーブラスト装置の搬送テーブルにおいて、テーブル本体上に、鋸歯状に連続して配置される複数の三角棒材と、前記三角棒材の稜線に設けられる凹部と、前記凹部に嵌合されるゴム製の被研掃品支持部材とを有することを特徴とする。
【0015】
請求項2に係る発明は、請求項1記載のエアーブラスト装置の搬送テーブルにおいて、前記被研掃品支持部材は、四角柱形状を為し、前記凹部からの突出量が前記凹部への埋設量に対し9%〜17%であることを特徴とする。
【0016】
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2記載のエアーブラスト装置の搬送テーブルにおいて、前記被研掃品支持部材は、シリコンゴム又は硬質ゴムで構成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3の何れか記載のエアーブラスト装置の搬送テーブルにおいて、前記被研掃品は、切削くず又は鋳砂が付着する鋳造品であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ワークの必要な位置決め精度を確保することが可能となる。そのため、設定サイクル内のワークの移動、回転時間の半減が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る搬送テーブルを示す平面図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】図1の被研掃品支持部材の取付状態を示す断面図である。
【図4】従来のエアブラスト装置を示す平面図である。
【図5】図4の側面図である。
【図6】図4の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0021】
図1乃至図3は、本発明の一実施形態に係る搬送テーブル10を示す。
【0022】
本実施形態に係る搬送テーブル10は、テーブル本体11上に、鋸歯状に連続して配置される複数の三角棒材12を備える。各三角棒材12は、焼き入れした金属製材料で構成されている。
【0023】
各三角棒材12の稜線には凹部13が設けられている。
【0024】
各凹部13にシリコンゴム製又は硬質ゴム製の被研掃品支持部材14が嵌合されている。
【0025】
被研掃品支持部材14は、四角柱形状を為し、凹部13からの突出量が凹部13への埋設量に対し9%〜17%である。例えば、凹部13の深さが10mm〜20mmとすると、2mm程度を突出するように被研掃品支持部材14は凹部13に嵌め込まれている。シリコンゴム製又は硬質ゴム製の被研掃品支持部材14は、突出量を低く抑えているので、腰折れを防ぎ、高さ位置決め精度も確保できる。
【0026】
また、シリコンゴム製又は硬質ゴム製の被研掃品支持部材14は、凹部13に嵌め込まれているので、交換時には引き出し、新たなシリコンゴム製又は硬質ゴム製の被研掃品支持部材14と取り替えることができる。
【0027】
次に、本実施形態に係る搬送テーブル10を図4〜図6に示すエアブラスト装置100の搬送テーブル101に適用した場合について説明する。
【0028】
例えば、NC制御によってワークWが搬送テーブル10上に置かれると、搬送テーブル10は搬送装置106によってロボット105によるエアブラストの位置まで移動される。
【0029】
この際、シリコンゴム製又は硬質ゴム製の被研掃品支持部材14は、ワークWの自重によるグリップ力が発生する。そのため、搬送テーブル10を従来より早く移動させても、ワークWが位置ずれを起こすことがない。
【0030】
次に、その位置でエアブラストが圧縮空気により研掃材を噴射してワークWの表面の研掃を行う。この際、搬送テーブル10はワークWを載置したまま回転させられるが、搬送テーブル10を従来より早く回転させても、ワークWが位置ずれを起こすことがない。
【0031】
次に、ワークWを載置した搬送テーブル101は元の位置に戻されるが、搬送テーブル10を従来より早く移動させても、ワークWが位置ずれを起こすことがない。
【0032】
次に、NC制御によってワークWが搬送テーブル101から取り除かれる。
【0033】
このように、本実施形態に係る搬送テーブル10によれば、テーブル本体11上に載置されたシリコンゴム製又は硬質ゴム製の被研掃品支持部材14によって、ワークWが確実に保持されるので、搬送テーブル10を従来の搬送テーブル101よりも早く移動及び回転させても、ワークWの位置ずれが確実に防止できる。
【0034】
なお、シリコンゴム製又は硬質ゴム製の被研掃品支持部材14は、ワークWの重量が軽い場合には、シリコンゴム製、ワークWの重量が重い場合には、硬質ゴム製とすることが望ましい。
【符号の説明】
【0035】
10 搬送テーブル
11 テーブル本体
12 三角棒材
13 凹部
14 被研掃品支持部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮空気により噴射される研掃材で表面が研掃される被研掃品を移動及び回転自在に載置するエアーブラスト装置の搬送テーブルにおいて、
テーブル本体上に、鋸歯状に連続して配置される複数の三角棒材と、
前記三角棒材の稜線に設けられる凹部と、
前記凹部に嵌合されるゴム製の被研掃品支持部材と
を有することを特徴とするエアーブラスト装置の搬送テーブル。
【請求項2】
請求項1記載のエアーブラスト装置の搬送テーブルにおいて、
前記被研掃品支持部材は、四角柱形状を為し、前記凹部からの突出量が前記凹部への埋設量に対し9%〜17%である
ことを特徴とするエアーブラスト装置の搬送テーブル。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のエアーブラスト装置の搬送テーブルにおいて、
前記被研掃品支持部材は、シリコンゴム又は硬質ゴムで構成されている
ことを特徴とするエアーブラスト装置の搬送テーブル。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか記載のエアーブラスト装置の搬送テーブルにおいて、
前記被研掃品は、切削くず又は鋳砂が付着する鋳造品である
ことを特徴とするエアーブラスト装置の搬送テーブル。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−121108(P2012−121108A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274868(P2010−274868)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(000003908)UDトラックス株式会社 (1,028)