説明

エコポイント管理システムおよび方法

【課題】エコポイント管理システムにおいて、エコポイントを算出する際に、特定の区間や特定の時間帯に特定の区間を走行した場合と、それ以外の場合で、走行履歴情報を電動車両などから取得することによって、付与するエコポイントが異なるようにする。
【解決手段】車両端末101は、電動車両の現在の位置情報を取得し、取得した位置情報と前記特定区間データベースの情報から特定区間通過履歴情報を作成し、前記特定区間通過履歴情報、使用量実績、電力使用量実績を充電設備200経由で充電設備IDを付加して管理サーバ400に送信する。管理サーバは、受信した情報と各種管理DBの情報により適切な付与すべきエコポイントを算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両の電力を用いた走行によって削減できた温室効果ガスの排出量に応じて付加されるエコポイントを管理するエコポイント管理システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、充電可能な蓄電装置を搭載し、駆動装置として当該蓄電装置からの電力によって走行する電動車両が環境にやさしい車両として注目されている。
その中で電動車両の利用者のモチベーション向上のために、電気自動車の使用によって削減された温室効果ガスの排出量に応じてエコポイントを付与することが特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許4466726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献1では渋滞の発生する特定の区間や特定の時間帯に特定の区間を通過することによる温室効果ガスの排出量の増加に対しては効果的な対策となっていないという課題があった。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、エコポイントを算出する際に、特定の区間や特定の時間帯に特定の区間を通過した場合と、それ以外の場合で、走行履歴情報を電動車両などから取得することによって、付与するエコポイントが異なるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、充電設備により充電された電動車両が電力を用いた走行によって削減できた温室効果ガス排出量に応じて付与されるポイントを運用するためのエコポイント管理システムであって、前記エコポイント管理システムは、ネットワークを介して前記電動車両に搭載された車載端末と管理サーバが接続され、前記車載端末は、予め設定された特定走行区間の位置情報とエコポイント情報を対応付けた特定区間データと、実際に特定走行区間を通過した特定区間通過履歴情報と、前記電動車両に搭載された蓄電装置の電力使用量実績と、電動車両の走行距離実績と、を記憶する記憶手段と、電動車両の現在の位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記位置情報取得手段で取得した位置情報と前記特定区間データから特定区間通過履歴情報を作成し、前記記憶手段に記憶させる特定区間通過履歴情報作成手段と、前記特定区間通過履歴情報と前記電力使用量実績と前記走行距離実績を含む送信情報を前記管理サーバに送信する送信手段と、を備え、前記管理サーバは、予め設定された燃費とエコポイント情報を対応付けたエコポイント換算基準燃費データを記憶する記憶手段と、前記車載端末から受信した送信情報と前記エコポイント換算基準燃費データを含む算出情報に基づいて、付与するエコポイントを算出するエコポイント算出手段と、を備え、前記エコポイント算出手段は、前記電力使用量実績と前記走行距離実績から燃費を計算し、前記計算した燃費と前記エコポイント換算基準燃費データから基準エコポイントを算出し、前記電動車両が特定区間を通過した場合、前記特定区間データと前記特定区間通過履歴情報から前記算出した基準エコポイントを割増または割引し、付与するエコポイントを算出することを特徴とするエコポイント管理システム。
【0007】
また、本発明におけるエコポイント算出手段は、前記電動車両が特定の時間帯に特定の区間を通過した場合、前記特定区間データと前記特定区間通過履歴情報から前記算出した基準エコポイントを割増または割引し、付与するエコポイントを算出することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、予め設定されている基準エコポイントの割増または割引を行なう特定区間や時間帯の情報を前記電動車両の利用者に提示する設定エコポイント提示手段を備えていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、付与するエコポイントと、基準エコポイントに対して増加または減少分のエコポイントを前記電動車両の利用者に通知する実績エコポイント通知手段を備えていることを特徴とする。
【0010】
また、ここでは、システムとして表現されているが、方法により実現されるとしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のエコポイント管理システムによれば、適切なエコポイント付与により電動車両の利用促進および温室効果ガスの排出量削減のモチベーションを高めることができる。さらに、特定区間の渋滞を減らす効果も望めるため、渋滞発生による温室効果ガスの排出量の増加を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係るエコポイント管理システムの構成概要を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る走行開始から特定区間DBの更新にいたる全体の流れを示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る車載端末の構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る特定区間DBの例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る特定区間通過履歴情報の例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る管理サーバの構成を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るエコポイント換算基準燃費DBの例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係るエコポイント算出要求の例を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態に係るエコポイント算出処理のフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態に係る特定区間DBの特定区間進入時刻・特定区間終了時刻の組み合わせのパターンの例を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る特定区間進入時刻・特定区間終了時刻の組み合わせのパターンとポイントの増減の組み合わせの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
<エコポイント管理システムの概要>
図1は、本発明の実施形態に係るエコポイント管理システムの構成概要を示す図である。図1において本発明の実施形態に係るエコポイント管理システムは、車載端末101及び、蓄電装置102を搭載した電動車両100、充電設備200、ネットワーク300、管理サーバ400からなる。
【0014】
電動車両100に搭載された蓄電装置102は、充電設備200に給電ケーブル103を接続することによって充電することができる。充電を行う際に車載端末101と充電設備200との間では、給電ケーブルと一体となった通信ケーブル等を介して、情報の送受信が可能となっている。車載端末101は、充電設備200と通信ケーブル等を介して接続された場合、充電設備200を経由し、ネットワーク300を介して、管理サーバ400と情報の送受信を行う。
【0015】
また、車載端末101は、前回のエコポイント算出要求からの蓄電装置102の電力使用量および、走行距離を記憶している。
<車載端末の機能構成>
図3は、車載端末101の構成を示す図である。図3の車載端末101は特定区間通過履歴情報111、ユーザー識別情報112、前回エコポイント算出要求からの走行距離情報113、前回エコポイント算出要求からの蓄電装置の電力使用量114、特定区間DB115、特定区間通過情報取得機能116、位置情報取得機能117、管理サーバ通信機能118を備えている。
【0016】
車載端末101は、ハードウェア資源として、たとえば、CPU(中央処理装置)、記憶装置、入出力装置、各種インターフェース、他の装置(無線端末含む)との通信装置、GPS受信装置など、周知の構成として備えており、また当然ながら後述する車載端末101の各種機能を実現させるためのプログラム及び上記情報を上記記憶装置内に格納している。また、前回のエコポイント算出要求からの蓄電装置102の電力使用量および、走行距離についても上記記憶装置内に格納している。また、入力装置は、文字入力キーボード、要求ごとに割り付けてあるボタン、タッチパネルなどであり、出力装置は、ディスプレイ、プリンター、音声出力装置などである。また、車両端末101は、前回のエコポイント算出要求から現在までの蓄電装置102の電力使用量および、走行距離を計測し、最新の情報を記憶装置に記憶している。
<管理サーバの機能構成>
図6は、管理サーバ400の構成を示す図である。図6の管理サーバ400は、電動車両通信機能401、エコポイント算出機能402、特定区間DB403、エコポイント換算基準燃費DB404、及びユーザーごとのポイントを記録するユーザー情報DB405などを備えている。特定区間DB403は、車載端末101の特定区間DB115とデータ構成は同一である。
【0017】
また、管理サーバ400は、ハードウェア資源として、たとえば、CPU(中央処理装置)、記憶装置、入出力装置、各種インターフェースなど、周知の構成として備えており、また当然ながら管理サーバ400の各種機能を実現させるためのプログラム及び上記情報を上記記憶装置内に格納している。
<充電設備の機能構成>
図1に示す充電設備200は、車載端末101および管理サーバ400との通信機能(図示せず)、給電ケーブルで接続された蓄電装置への電力供給機能(図示せず)などを備えている。
【0018】
また、充電設備200は、ハードウェア資源として、たとえば、CPU(中央処理装置)、記憶装置、入出力装置、通信装置、各種インターフェースなどを備えている(図示せず)。また、記憶装置には、充電設備200の充電設備IDが記憶されている。
【0019】
充電設備200は、上述した充電設備200の機能にさらに管理サーバ400の機能をすべて備えていても良い。
<特定区間通過情報の位置情報取得機能>
エコポイントシステムは、エコポイントの追加付与を行なう対象となる、特定区間の開始地点から終了地点までを通過したことを検知する位置情報取得機能を備えている。 この位置情報取得機能としては以下のような方法が考えられる。
【0020】
たとえば、第1の位置情報取得機能は、道路に設けたゲート近傍にある無線端末から送信される位置情報を車載端末で受信し、特定区間を通過したことを検知してもよい。 また、第2の位置情報取得機能は、道路に設けたゲート近傍にある無線端末が、車載端末からの信号(たとえばユーザ識別情報)を受信し、位置情報を車載端末に送信することで、特定区間を通過したことを検知してもよい。
【0021】
また、第3の位置情報取得機能は、車載端末がGPS(Global Positioning System)からの位置情報を受信し、特定区間を通過したことを検知してもよい。
以下では、特定区間通過情報の第3の位置情報取得機能として、車載端末101でGPSからの位置情報を取得する方式について説明する。
【0022】
図2は、走行開始から特定区間DBの更新にいたるシステム全体の処理の流れを示す図である。以下の説明では図2を用いて説明する。
<特定区間通過履歴情報作成機能>
特定区間通過履歴情報作成機能について、図2に示す全体の流れと、図3に示す車載端末101の構成と、図4に示す特定区間DB115と、図5に示す特定区間通過履歴情報111を用いて説明する。
【0023】
電動車両の走行中、車載端末101の特定区間通過履歴情報取得機能116は、位置情報取得機能117から取得した位置情報(北緯、東経)から図4に示す特定区間DB115の特定区間開始位置情報(北緯、東経)を検索し、特定区間に入ったか否かを監視する(図2 S21)。
【0024】
図4の特定区間DB115は、特定区間の開始地点と終了地点の位置情報、特定区間識別情報、特定区間通過時間帯、減少ポイント、増加ポイントといった情報を対応付けたレコードの集合体である。これらの情報は、特定区間DB115に予め登録されている。また、特定区間の開始地点と終了地点の位置情報は、北緯、東経の度数に幅をもたせてその範囲に入ったか否かで開始、終了位置を判定しても良い。
【0025】
電動車両の利用者は、車載端末101の入力装置から特定区間の情報を要求することで、特定区間DB115の内容を車載端末101の出力装置に出力(表示または印刷)し、時間帯・区間毎の増減ポイントを知る事ができる。出力装置に出力する内容としては、たとえば、図4の表示内容となる。また、入力装置で特定の特定区間識別情報が選択された場合、選択された特定区間識別情報に対応する情報を出力しても良い。
【0026】
特定区間通過履歴情報取得機能116は、特定区間に入った場合に、図5に示す特定区間通過履歴情報111に新規のレコードを追加し、追加したレコードの特定区間識別情報に進入した特定区間の特定区間識別情報、特定区間進入時刻に特定区間を通過した時刻を記録する(図2 S22)。
【0027】
特定区間通過履歴情報取得機能116は、特定区間に入ったと判断した場合(図2 S21:YES)、位置情報取得機能117から取得した位置情報で、特定区間DB115の特定区間終了位置情報を検索し、特定区間の終了地点を通過したかを監視する(図2 S23)。
【0028】
特定区間通過履歴情報取得機能116は、特定区間の終了地点を通過した場合(図2 S23:YES)、特定区間通過履歴情報111のS22で追加したレコードの特定区間終了時刻に特定区間の終了地点を通過した時刻を追記する(図2 S24)。
<エコポイント算出の概要>
エコポイントの算出処理は、最初に、電動車両100の車載端末101と充電設備200が通信ケーブルで接続されると(図2 S25)、車載端末101は、エコポイントの算出要求を送信する(図2 S26)。また、算出要求は、接続後、車載端末の入力装置から要求しても良い。
【0029】
車載端末101から充電設備200へのエコポイントの算出要求は、ユーザー識別情報112、前回エコポイント算出要求からの走行距離113、前回エコポイント算出要求からの蓄電装置の電力使用量114、及び前述の特定区間通過履歴情報111からなる。
【0030】
次に、充電設備200は、管理サーバ400へエコポイントの算出要求を送信する(図2 S27)。充電設備200から管理サーバ400へのエコポイントの算出要求は、車載端末101から送信された情報と、充電設備200が記憶装置に保持する充電設備IDからなる。
【0031】
図8に充電設備200が管理サーバ400に送信するエコポイント算出要求の一例を示す。内容については、基準エコポイントの算出説明で後述する。
図9にエコポイントの算出処理のフローチャートを示す。エコポイントの算出は、まず基準エコポイントを算出し、その後、特定区間通過履歴情報111から、エコポイントの増減分を算出し、基準エコポイントに増減分を加算することで付与するエコポイントを算出し、ユーザー情報DB405の該当するユーザー識別情報112に対応するエコポイント情報に反映される(図2 S28)。
<エコポイント算出の詳細>
エコポイント算出の詳細は、図2に示す全体の流れと、図4に示す特定区間DB403と、図7のエコポイント換算基準燃費DBと、図8のエコポイント算出要求の一例と、図9のエコポイント算出処理のフローチャートと、図10の特定区間進入時刻と特定区間終了時刻の組み合わせの例と、図11の特定区間進入時刻・特定区間終了時刻の組み合わせのパターンとポイントの増減の組み合わせの例を用いて説明する。
<<エコポイント算出の詳細 基準エコポイントの算出>>
基準エコポイントの算出処理について、図9のエコポイント算出処理のフローチャート、図7に示すエコポイント換算基準燃費DB404と、図8に示すエコポイント算出要求の一例を用いて説明する。
【0032】
エコポイント算出機能402は、前回エコポイント算出要求からの蓄電装置の電力使用量114と前回エコポイント算出要求からの走行距離113から、燃費(単位電力量あたりの走行距離)を計算する(図9 S91)。
【0033】
エコポイント算出機能402は、計算した燃費と、充電設備IDと、前回エコポイント算出要求からの走行距離113で、エコポイント換算基準燃費DB404を検索し、該当する基準エコポイントを算出する(図9 S92)。
【0034】
図8の情報の場合、走行距離「120」、電力使用量「1」なので、燃費は120km/kWhとなる。燃費「120」、走行距離「120」から、図7のエコポイント換算基準燃費DB404を検索すると、標準エコポイントは300ポイントとなる。
<<エコポイント算出の詳細 増減エコポイントの算出>>
次に、特定区間通過履歴情報を用いた増減エコポイントの算出について、図9のエコポイント算出処理のフローチャートと、図4に示す特定区間DB403と、図10の特定区間進入時刻と特定区間終了時刻の組み合わせの例と、図11の特定区間進入時刻・特定区間終了時刻の組み合わせのパターンとポイントの増減の組み合わせの例を用いて説明する。
【0035】
エコポイント算出機能402は、特定区間通過履歴情報111に未処理のレコードがある場合(図9 S93:YES)、そのレコードの特定区間識別情報・特定区間進入時刻・特定区間終了時刻で図4に示す特定区間DB403を検索し、増減ポイントを取得する(図9 S94)。
<<エコポイント算出の詳細 付与するエコポイントの算出>>
次に、付与するエコポイントの算出処理について、図9のエコポイント算出処理のフローチャートを用いて説明する。
【0036】
エコポイント算出機能402は、S92で算出した基準エコポイントにS94で算出した増減ポイントを加算し、付与するエコポイントを算出し、算出した付与するエコポイントを、ユーザー情報DB405の該当するユーザー識別情報112に対応するエコポイント情報に反映される(図9 S95)。また、S94、S95の処理は、特定区間通過履歴情報111の未処理のレコードがなくなるまで繰り返す(図9 S93:NO)。
<<エコポイント算出の詳細 特定区間の組合せパターン例>>
図4に示す特定区間DB403と、図10の特定区間進入時刻と特定区間終了時刻の組み合わせの例と、図11の特定区間進入時刻・特定区間終了時刻の組み合わせのパターンとポイントの増減の組み合わせの例を用いて説明する。
【0037】
図4に示す特定区間DB403の例では、渋滞する時間帯に減少ポイントを定義して、その前後の時間帯に増加ポイントを定義している。これにより、電気自動車の利用者が渋滞する時間帯に特定区間を通過しないように誘導することと、渋滞する時間帯の前後の時間帯に特定区間を通過するように誘導することを目指している。
【0038】
図10は特定区間進入時刻と特定区間終了時刻の組み合わせの例を示したものである。
図11は特定区間進入時刻と特定区間終了時刻の組み合わせの各パターン毎にポイントの増減がどうなるかの対応を表している。
【0039】
エコポイント算出機能402は、減少ポイントが定義されている時間帯の特定区間に開始地点を通過または終了地点を通過した場合、減少ポイントを適用する(特定区間開始または終了時は、減少ポイントの時間帯でない場合も減少ポイントが適用となる)。エコポイント算出機能402は、減少ポイントが定義されている時間帯の特定区間に開始地点を通過または終了地点を通過した場合以外かつ、増加ポイントが定義されている時間帯の特定区間に開始地点を通過または終了地点を通過した場合、増加ポイントを適用する。
すなわち、エコポイント算出機能402は、特定区間進入時刻と特定区間終了時刻の組み合わせが、図10の501、502、506、507のパターン番号の場合、増加ポイントを適用する。
【0040】
また、エコポイント算出機能402は、特定区間進入時刻と特定区間終了時刻の組み合わせが、図10の503、504、505のパターン番号の場合、減少ポイントを適用する。
【0041】
また、図10の508・509のパターン番号の時間帯に走行した場合、エコポイントは増加しない。
<<エコポイント算出の詳細 図4、5、8の例>>
特定区間通過履歴情報から算出するエコポイントは、図4及び図5の例の場合、特定区間識別情報「001」の区間は、「05:50〜06:20」の時間帯に通過していたので、増加ポイントは、「20」ポイントになる。また、特定区間識別情報「002」の区間は、「17:00〜17:20」の時間帯に通過していたので減少ポイントは、「−10」ポイントになる。したがって、特定区間識別情報のポイントを合計(「20」+「−10」)すると10ポイントのポイント増加となる。
【0042】
図5及び、図8の情報から、エコポイントの算出を行った場合、基準エコポイントが「300」ポイントと、特定区間通過による増減エコポイントが「10」ポイントの増加となり、合計「310」ポイントが付与するエコポイントとなる。図5において、たとえば、特定区間識別情報「001」の特定区間進入時刻が「05:50」で、特定区間終了位置情報の区間を車両が通過しなければ、図5の該当する特定区間終了時刻の項目に時刻データは入らない。したがって、該当するレコードのエコポイントの算出は行わない。また、増加ポイントとなる同一の特定区間の開始〜終了時間までの区間を複数回通過し、ポイントが2重カウントとなる場合は、一方だけをカウントするようにしても良い。
【0043】
付与するエコポイントは、ユーザー情報DB405の該当するユーザー識別情報112に対応するエコポイント情報に反映される。反映の方法としては、前回までのエコポイントに今回付与されたエコポイントを加算して記憶しても良いし、エコポイント付与ごとに新たなレコードを追加し、今回付与されたエコポイント、増加ポイント、減少ポイント、付与日時などを記憶しても良い。
<エコポイントの明細表示>
図2の説明に戻り、管理サーバ400は、S27で付与するエコポイントを算出し、ユーザー情報DB405の該当するユーザー識別情報112に対応するエコポイント情報に反映される。
【0044】
その後、算出終了通知として、付与されたエコポイント及び、特定区間通過履歴情報からのエコポイントの増減分を、ネットワーク300を介し、充電設備200を経由し(図2 S29)、車載端末101に送信する(図2 S30)。
【0045】
車載端末101は算出したエコポイント及び、特定区間通過履歴情報からのエコポイントの増減分を電動車両の利用者が確認できる形で表示する(図2 S31)。
例えば、車載端末101の出力装置(ディスプレイ)に表示する。表示内容は、図5及び図8の情報から、「今回、付与エコポイント:310ポイント」、「増加ポイント:20ポイント」、「減少ポイント:10ポイント」などの情報を表示する(図示せず)。
【0046】
また、ユーザー情報DBに付与ごとのエコポイント情報が記憶されている場合、ユーザーは、車載端末101の入力装置からの表示要求により、付与されたエコポイントの履歴情報を表示させることができる。
【0047】
<特定区間DBの更新>
車載端末101は、今回、付与されたエコポイントの明細を管理サーバ400から受信すると(図2 S30)、充電設備200を経由し、管理サーバ400に特定区間DB115の更新の有無を問い合わせる(図2 S32、S33)。更新があった場合、管理サーバ400は、更新された特定区間DB403の最新情報を、ネットワーク300を介し、充電設備200を経由し(図2 S34)、車載端末101に送信する(図2 S35)。車載端末101は、更新された特定区間DB403の最新情報を取得し、特定区間DB403を最新情報に更新する(図2 S36)。
【0048】
<電力使用量および走行距離のリセット>
車載端末101は、管理サーバ400から算出終了通知を受信したタイミング(図2 S30の後)で、記憶していた算出要求からの蓄電装置102の電力使用量および、走行距離の情報をリセットする。
【0049】
<実施例の効果>
上述した本実施例によれば、適切なエコポイント付与により電動車両の利用促進および温室効果ガスの排出量削減のモチベーションを高めることができる。さらに、特定区間の渋滞を減らす効果も望めるため、渋滞発生による温室効果ガスの排出量の増加を抑えることができる。本実施例における適切なエコポイント付与とは、(1)車種などによる基準燃費ではなく、実際に走行した距離と電力使用量から燃費を算出するため、適正な燃費が算出できる、(2)特定区間の通過履歴により付与するエコポイントが増減するため、利用者の走行ルートの改善が見込める、(3)(2)の特定区間に通過時間帯の条件をさらに加えることで走行ルートと利用時間帯の改善が見込める。
【符号の説明】
【0050】
100 電動車両、101 車載端末、102 蓄電装置、103 給電ケーブル、111 特定区間通過履歴情報、112 ユーザー識別情報、113 前回エコポイント算出要求からの走行距離、114 前回エコポイント算出要求からの蓄電装置の電力使用量、115 特定区間DB、116 特定区間通過情報取得機能、117 位置情報取得機能、118 管理サーバ通信機能、200 充電設備、300 ネットワーク、400 管理サーバ、401 電動車両通信機能、402 エコポイント算出機能 、403 特定区間DB、404 エコポイント換算基準燃費DB、405 ユーザー情報DB、501〜509 特定区間進入時刻・特定区間終了時刻のパターン番号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電設備により充電された電動車両が電力を用いた走行によって削減できた温室効果ガス排出量に応じて付与されるポイントを運用するためのエコポイント管理システムであって、
前記エコポイント管理システムは、ネットワークを介して前記電動車両に搭載された車載端末と管理サーバが接続され、
前記車載端末は、
予め設定された特定走行区間の位置情報とエコポイント情報を対応付けた特定区間データと、実際に特定走行区間を通過した特定区間通過履歴情報と、前記電動車両に搭載された蓄電装置の電力使用量実績と、電動車両の走行距離実績と、を記憶する記憶手段と、
電動車両の現在の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報取得手段で取得した位置情報と前記特定区間データから特定区間通過履歴情報を作成し、前記記憶手段に記憶させる特定区間通過履歴情報作成手段と、
前記特定区間通過履歴情報と前記電力使用量実績と前記走行距離実績を含む送信情報を前記管理サーバに送信する送信手段と、を備え、
前記管理サーバは、
予め設定された燃費とエコポイント情報を対応付けたエコポイント換算基準燃費データを記憶する記憶手段と、
前記車載端末から受信した送信情報と前記エコポイント換算基準燃費データを含む算出情報に基づいて、付与するエコポイントを算出するエコポイント算出手段と、を備え、
前記エコポイント算出手段は、前記電力使用量実績と前記走行距離実績から燃費を計算し、前記計算した燃費と前記エコポイント換算基準燃費データから基準エコポイントを算出し、前記電動車両が特定区間を通過した場合、前記特定区間データと前記特定区間通過履歴情報から前記算出した基準エコポイントを割増または割引し、付与するエコポイントを算出することを特徴とするエコポイント管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載のエコポイント管理システムであって、
前記エコポイント算出手段は、前記電動車両が特定の時間帯に特定の区間を通過した場合、前記特定区間データと前記特定区間通過履歴情報から前記算出した基準エコポイントを割増または割引し、付与するエコポイントを算出することを特徴とするエコポイント管理システム。
【請求項3】
請求項1〜2に記載のエコポイント管理システムであって、
予め設定されている基準エコポイントの割増または割引を行なう特定区間や時間帯の情報を前記電動車両の利用者に提示する設定エコポイント提示手段を備えていることを特徴としたエコポイント管理システム。
【請求項4】
請求項1〜3に記載のエコポイント管理システムであって、
付与するエコポイントと、基準エコポイントに対して増加または減少分のエコポイントを前記電動車両の利用者に通知する実績エコポイント通知手段を備えていることを特徴としたエコポイント管理システム。
【請求項5】
充電設備により充電された電動車両が電力を用いた走行によって削減できた温室効果ガス排出量に応じて付与されるポイントを運用するためのエコポイント管理方法であって、
前記エコポイント管理方法は、ネットワークを介して前記電動車両に搭載された車載端末と管理サーバが接続され、
前記車載端末は、
予め設定された特定走行区間の位置情報とエコポイント情報を対応付けた特定区間データと、実際に特定走行区間を通過した特定区間通過履歴情報と、前記電動車両に搭載された蓄電装置の電力使用量実績と、電動車両の走行距離実績と、を記憶する記憶部と、
電動車両の現在の位置情報を取得する過程と、
前記取得した位置情報と前記特定区間データから特定区間通過履歴情報を作成し、前記記憶部に記憶させる過程と、
前記特定区間通過履歴情報と前記電力使用量実績と前記走行距離実績を含む送信情報を前記管理サーバに送信する過程と、を備え、
前記管理サーバは、
予め設定された燃費とエコポイント情報を対応付けたエコポイント換算基準燃費データと、を記憶する記憶部と、
前記車載端末から受信した送信情報と前記エコポイント換算基準燃費データを含む算出情報に基づいて、付与するエコポイントを算出する過程と、を備え、
前記エコポイントを算出する過程は、前記電力使用量実績と前記走行距離実績から燃費を計算し、前記計算した燃費と前記エコポイント換算基準燃費データから基準エコポイントを算出し、前記電動車両が特定区間を通過した場合、前記特定区間データと前記特定区間通過履歴情報から前記算出した基準エコポイントを割増または割引し、付与するエコポイントを算出することを特徴とするエコポイント管理方法。
【請求項6】
請求項5に記載のエコポイント管理方法であって、
前記エコポイントを算出する過程は、前記電動車両が特定の時間帯に特定の区間を通過した場合、前記特定区間データと前記特定区間通過履歴情報から前記算出した基準エコポイントを割増または割引し、付与するエコポイントを算出することを特徴とするエコポイント管理方法。
【請求項7】
請求項5〜6に記載のエコポイント管理方法であって、
予め設定されている基準エコポイントの割増または割引を行なう特定区間や時間帯の情報を前記電動車両の利用者に提示する過程、をさらに含むことを特徴としたエコポイント管理方法。
【請求項8】
請求項5〜7に記載のエコポイント管理方法であって、
付与するエコポイントと、基準エコポイントに対して増加または減少分のエコポイントを前記電動車両の利用者に通知する過程をさらに含むことを特徴としたエコポイント管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−88846(P2013−88846A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225663(P2011−225663)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】