説明

エネルギー貯蔵体を有する自動車用ドアチェック

自動車用のドアチェック装置であって、当該装置は、一体的チェック本体を有し、該一体的チェック本体は、一対の追従的な板バネとガイド装置とを含み、車両ドアに固定して取り付けられるように構成されている。該装置は、チェックアームをも有し、該チェックアームは、カム面と移動止め機能部とを含み、車両本体構造に回転可能に接続され、かつ、前記一体的チェック本体のガイド装置とスライド可能に連係するように構成されている。該一体的チェック本体は弾性材料から製造されており、ガイド装置に対するチェックアームのカム面と移動止め機能部の動きに応じて、追従的な板バネがエネルギーを貯蔵しかつ放出できるようになっている。一体的チェック本体のガイド装置に対するチェックアームの移動止め機能部間の関係によって定められる位置にて、追従的な板バネによって貯蔵されかつ放出されるエネルギーから作られる所定の力にて、車両本体構造に対する車両ドアの回転運動がチェックされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、自動車用ドアチェック装置に関し、とりわけ、自動車用ドアを、予め定められた力にて、いくつかの予め定められた開位置(open position)に保持することができるコンパクトな機械装置に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術の説明
乗客の便利で安全な出入りを確保するために、自動車用ドアの動きをいくつかの予め定められた開位置においてチェック(check、制止)することが有用であることが分かっている。ドアは、通常、突風および傾斜またはこう配での駐車の影響に抵抗するのに充分な作用力または抵抗力にて、少なくとも一つの開位置において、動きに抗してチェックされる。
【0003】
自動車用ドアチェック装置の最も一般的な形態は、動きに抵抗する機械装置であって、その系の外力による動き(forced motion)に応じて、エネルギーを解放可能に貯蔵することによって該抵抗がなされる。これらの装置は、車両本体構造とドアとの間に位置するが、ドアヒンジと一体であるように、または、独立した機械的な組立体(アセンブリー)として別個に構成することができる。エネルギーの貯蔵は、最も一般的な構成であるコイルおよびトーション(捩り)装置を用いたスプリングの形態によって一般に達成される。ドアが開けられるか、または、閉じられるときに、ドアチェック装置は、チェック位置(制止ポジション)に入りながらエネルギーを放出し、かつ、該チェック位置から出るように動くときにエネルギーを貯蔵するように構成される。スプリングシステム内にエネルギーを貯蔵する最も一般的な方法は、ドアと連動して動くカム装置によるものである。このカムは、ヒンジ内で働いて、最終的に、該ヒンジのピボット回転軸の周りにトルクを生成することができ、また、別個のチェック装置内で直線的に働くことができ、それが選択した開位置においてドアの動きに抵抗する力のベクトルを生み出す。
【0004】
Carswellへの米国特許第5173991号は、通常タイプの別個のドアチェック装置を記載しており、該装置は、成形リンク部材を用いており、エネルギーを解放可能に貯蔵するためのカム装置と、一対のコイルスプリングとを備えている。該コイルスプリングは、チェックハウジング内に収容され、ボールベアリングとボールベアリング保持器(ball bearing retainers)を介して、該成形リンク部材によって作用を受ける。該チェックハウジングは、車両ドアに固定して(rigidly)取り付けられ、そして、成形リンク部材は、車両本体構造にピボット回転可能に連結される。Carswellの該装置は、自動車用ドアの動きをチェックするために、強固で、信頼性があり、比較的にコンパクトな解決策を提供する。類似の解決策が多数存在し、それらは、Carswellのボールベアリングの代わりにローラーまたはスライダーを用いている。Patonらへの米国特許第6370733号は、別個のチェック装置を記載しており、該装置は、成形リンク部材、または、チェックアームとローラーを用いている。Hoffmannらへの米国特許第6842943号は、別個のチェック装置を記載しており、該装置は、成形チェックアームとスライダーを用いている。
【0005】
自動車用ドアチェック装置は、車両の本体構造とドアとの間に位置しなければならないので、該車両本体構造とドアとの間に限られた隙間しかない場合、および、ドア内に利用可能な非常に小さい容積しかない場合、該装置は厳しく制限されたパッケージスペースを占有するように強いられる。加えて、自動車用ドアチェック装置の重量は大きすぎてはならず、それは、ドアのプロファイル(profile)内にドアチェック装置の質量のかなりの割合が存在するからであり、該ドアのプロファイルがピボット上でスイングしかつ重量に高度に敏感だからである。一般に、自動車部品の製造コストは、あらゆる同等の産業の中で最も低く、そうして、部品数の少ない単純な解決策が非常に望ましい。自動車用ドアチェックの開発における主な焦点は、可能な最小のパッケージ中で達成し得る最低の重量およびコストにて、要求されるチェックの作用力を獲得することである。できる限り少ない構成部品を使用することが非常に望ましい。スプリングのタイプとそれに関連するひずみエネルギーの貯蔵能力が、作働機構のパッケージ効率と組み合わせられて、自動車用ドアチェック装置の総合的な有効性を最終的に決定する。
【発明の概要】
【0006】
発明の概要
従って、先行技術の構成と同一の機能的性能を提供するが、それらの既存の装置よりも少ない構成部品および可動部分でそれを行う自動車用ドアチェック装置を創り出すことは有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、チェックハウジングおよび取付けブラケットの機能を、エネルギー貯蔵装置の機能と組み合わせることによって、自動車用ドアチェック装置の複雑さ、重量およびコストを削減する。この機能の組合せは、先行技術の装置で用いられるような、別個のスプリング、複数ピースのチェックハウジング、および、ボールベアリング、ローラーまたはスライダーの必要性を排除する。本発明のドアチェック装置では、先行技術の装置における最低7個を、2個の可動部品へと削減している。
【0008】
本発明は、従来の先行技術の自動車用ドアチェック装置のチェックハウジングと取付けブラケットとスプリングとを、単品の一体的チェック本体(unitary check body)に置き換えており、該チェック本体は、エネルギーを貯蔵しかつ放出することができる弾性材料から製造されている。この一体的チェック本体は、取付け面を通じて車両ドアに固定的に取り付けられ、かつ、一対の追従的な板バネ(leaves)と、ガイド装置とを有して構成される。チェックアームは、移動止め機能部(detent features)とカム面とを有して構成され、かつ、該チェックアームは、車両本体構造に回転可能に連結されるように構成され、かつ、適切なアクセス開口(access opening、進入口)を通過し車両ドア内に入っている。一体的チェック本体は、アクセス開口において、車両ドアに固定して取り付けられている。チェックアームは、一体的チェック本体を通過して移動するように構成され、かつ、車両本体構造に対する車両ドアの回転運動に応じて、ガイド装置とスライド(滑動)可能に連係する。この相対的な回転運動が、予め定められた力にて、予め定められた位置においてチェックされ、それは、一体的チェック本体のガイド装置に対するチェックアームの移動止め機能部間の関係によってなされる。その予め定められたチェック力は、一体的チェック本体の追従的な板バネによって貯蔵されかつ放出されるエネルギーから作り出される。一体的チェック本体の追従的な板バネは、ガイド装置の動きに応じてエネルギーを貯蔵しかつ放出し、それは、チェックアームが一体的チェック本体を通過して移動するときに、チェックアームの移動止め機能部とカム面のプロファイルに従動するように該板バネが力を受けるときにである。この技術分野において一般的であるように、予め定められたチェック力は、主としてチェックアームの中心線の軸に沿って作用し、かつ、該チェックアームは、車両ドアと車両本体構造との間の相対的な回転運動に抵抗するチェックモーメントを誘起するように、ヒンジのスイングの中心線に対してオフセット(offset)させて設置される。このようにして、本発明の自動車用ドアチェック装置は、二つの主要な構成部品だけで、先行技術の装置と同一のチェック力とモーメントの発生を提供する。
【0009】
本発明のさらなる態様では、チェックアームは、ピボットボス(pivot boss、回転軸の横座)を有して構成され、かつ、ピボットリベットを介して、取付けブラケットにピボット回転するように接続される。そして、該取付けブラケットは、ボルト締め、溶接、接着(bonding)、リベット締め、または、類似の締結手段によって、車両本体構造に固定して取り付けられる。
【0010】
本発明の好ましい実施形態では、チェックアームは、成形可能(モールド可能)なプラスチック材料から形成され、かつ、該プラスチック材料中に一体成形された金属製の補強材を含んでいる。
【0011】
本発明のさらなる態様では、チェックアームがバンプ停止部(bump stop、隆起停止部)を有して構成され、該バンプ停止部は、一体的チェック本体のガイド装置を、接触することなく通過するように構成される。該バンプ停止部が一体的チェック本体にその取付け面のところで接触することによって、車両ドアは、その全開スイング限界(full open swing limit)において、さらなる回転が防止される。このようにして、車両ドアのさらなる回転の防止に関係する停止負荷が、一体的チェック本体を通じるよりはむしろ、車両ドア構造物に直接伝達される。これは、全開停止負荷を伝えるために必要とされるよりはむしろ、追従的な板バネによって予め定められたチェック力を発生する一つの機能について、該一体的チェック本体を最適化することを可能にする。このバンプ停止部の装置が、先行技術(チェックハウジングが全開スイング限界の停止負荷に耐えるように構成される)に対する、主要な差別化要因である。
【0012】
本発明の好ましい実施形態では、エネルギー吸収体がチェックアームのバンプ停止部内に組み込まれ、それが一体的チェック本体の取付け面の裏面と接触したときに、車両ドアを移動させることによって伝えられる運動エネルギーが散逸する。制御された方法にて運動エネルギーを散逸させることによって、車両ドアは、全開スイング限界に達したときに跳ね返って閉じることが防止される。
【0013】
本発明の追加的な態様では、チェックアームが、塗装クリップ装置を受け入れる(accept、はめる)ように構成され、該塗装クリップ装置は、追加的な移動止め機能部およびカム面を有して構成される。該塗装クリップ装置は、車両の塗装および組立てプロセスの間に必要とされるような追加のチェック位置を提供するように構成される。塗装クリップ装置は、塗装および組立てプロセスの後に、チェックアームから容易に取り外しできるように構成される。このようにして、本発明の自動車用ドアチェック装置は、車両ドアの完全閉鎖限界(full closed limit)に、一時的なチェック位置を提供することができ、ドアラッチが設置される前の塗装を容易にする。
【0014】
本発明の好ましい実施形態では、一体的チェック本体は、高強度鋼(high strength steel)、または、類似の柔軟でありながら強い材料から製造される。この弾性材料の機械的性質、追従的な板バネの幾何学形状的な構成、並びに、移動止め機能部とカム面のプロファイル形状は、自動車用ドアチェック装置の操作範囲内において、該弾性材料がその弾性限界を決して超えないように構成される。
【0015】
本発明のさらなる態様では、
a)一体的チェック本体が、一対の追従的な板バネとガイド装置とを含み、かつ、ボルト締め、溶接、接着、リベット締め、または、類似の締結手段によって、車両ドアに固定して取り付けられるように構成され、
b)一体的チェック本体が、高強度鋼から製造されて、追従的な板バネが、エネルギーを貯蔵しかつ放出できるようになっており、
c)チェックアームが、バンプ停止部(bump stop)と、カム面と、移動止め機能部とを含み、かつ、取付けブラケットとピボットリベット装置とによって車両本体構造にピボット回転するように接続され、かつ、一体的チェック本体のガイド装置と摺動可能に接触するように構成され、
d)チェックアームが、成形可能なプラスチック材料から形成され、かつ、該プラスチック材料中に共に成形された補強材を含み、
e)バンプ停止機能部(bump stop feature)が、チェックアームのプラスチック材料と共に成形されたエネルギー吸収材料を一体に含んでおり、
f)取付けブラケットが、ボルト締め、溶接、接着、リベット締め、または、類似の締結手段によって車両本体に固定して取り付けられ、
それによって、車両本体構造に対する車両ドアの回転運動は、ガイド装置に対する、チェックアームの移動止め機能部同士の間の関係によって定められる位置において、一体的チェック本体の追従的な板バネによって貯蔵されかつ放出されるエネルギーで生成される予め定められた力にてチェックされ、かつ、該車両ドアは、バンプ停止機能部が一体的チェック本体とその取付け面で接触することによって、その全開スイング限界においてさらなる回転が防止され、それによって、さらなる回転の防止に関係する停止負荷が車両ドア構造に直接伝達され、かつ、エネルギー吸収材料によって、車両ドアが跳ね返って閉じることが防止されるようになっている。
【0016】
本発明のさらなる態様は、以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の自動車用ドアチェック装置の斜視図である。
【図2】図2は、典型的な自動車への設置における本発明の自動車用ドアチェック装置の斜視図である。
【図3】図3は、本発明の自動車用ドアチェック装置のチェックアームの平面図である。
【図4】図4は、本発明の自動車用ドアチェック装置の平面図であって、車両ドアをその全開スイング限界において示した図である。
【図5】図5は、本発明の自動車用ドアチェック装置のチェックアームの斜視図であって、部分的な内部の詳細を示した図である。
【図6】図6は、本発明の自動車用ドアチェック装置の代替的な実施形態の斜視図である。
【図7】図7は、塗装クリップ装置を含んだ、本発明の自動車用ドアチェック装置のさらなる代替的な実施形態の斜視図である。
【図8】図8は、塗装クリップ装置の取り外しを示した、本発明の自動車用ドアチェック装置のさらなる代替的な実施形態の斜視図である。
【図9】図9は、塗装クリップ装置が取り外された、本発明の自動車用ドアチェック装置のさらなる代替的な実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
発明の詳細な説明
図1および3を参照すると、自動車用ドアチェック装置(1)は、一体的チェック本体(10)とチェックアーム(30)とからなる。
該一体的チェック本体(10)は、取付け面(12)と、一対の追従的な板バネ(14)と、ガイド装置(16)と、少なくとも一つの取付け締結具(mounting fastener)(18)とを有して構成されている。
チェックアーム(30)は、ピボットボス(32)と、取付けブラケット(34)と、ピボットリベット(36)と、移動止め機能部(38)と、カム面(39)と、バンプ停止部(40)とを有して構成される。
図1および2を参照すると、一体的チェック本体(10)は、自体の少なくとも一つの取付け締結具(18)によって、車両ドア(2)に固定して取り付けられるように構成されている。チェックアーム(30)は、自体の取付けブラケット(34)と、少なくとも一つの取付け締結具(48)によって、車両本体構造(3)に固定して取り付けられるように構成されている。チェックアーム(30)は、自体のピボットリベット(36)の周りを回転するように、かつ、一体的チェック本体(10)を通過して移動するように、かつ、ガイド装置(16)とスライド可能に連係する(interface、相互に関連する)ように、構成されている。
【0019】
車両ドア(2)と車両本体構造(3)との間の相対的な回転運動によって、チェックアーム(30)が、一体的チェック本体(10)を通過して動かされ、かつ、ガイド装置(16)とスライド可能に連係し、追従的な板バネ(14)が、チェックアーム(30)のカム面(39)と移動止め機能部(38)に応じて動かされる。
【0020】
一体的チェック本体(10)は、エネルギーを貯蔵しかつ放出することができる弾性材料で製造され、そして、追従的な板バネ(14)の変位に応じて予め定められた接触力を発生する。弾性材料の機械的性質、追従的な板バネ(14)の幾何学的形状、並びに、移動止め機能部(38)とカム面(39)のプロファイル形状(輪郭形状)は、自動車用ドアチェック装置(1)の作動範囲内において弾性材料がその弾性限界を決して超えないように構成される。
本発明の好ましい実施形態では、一体的チェック本体(10)の弾性材料は、高強度鋼である。本発明の代替的な実施形態では、一体的チェック本体(10)の弾性材料は、高強度複合材料、または、類似の追従的(compliant、柔軟)であるが強度のある材料である。
【0021】
チェックアーム(30)が一体的チェック本体(10)を通って移動するとき、該チェックアームは、ガイド装置(16)とスライド可能に連係し、追従的な板バネ(14)は、移動止め機能部(38)に移動してエネルギーを放出し、その接触力を低下させる。チェックアーム(30)が、一体的チェック本体(10)を通って移動し続け、かつ、ガイド装置(16)とスライド的に連係し続けると、追従的な板バネ(14)は、移動止め機能部(38)から出て、カム面(39)上に上がるまで移動して、その接触力を増加させ、エネルギーを貯蔵する。該接触力は、移動止め機能部(38)のプロファイル形状と組み合わせられて、チェックアーム(30)の軸に沿って、予め定められたチェック力(checking force、制止力)を発生する。車両ドア(2)と車両本体構造(3)との相対的な回転運動は、ガイド装置(16)に対するチェックアーム(30)の移動止め機能部(38)の間の関係によって決定された位置において、予め定められたチェック力によって、制止(チェック)される。
【0022】
本発明の好ましい実施形態では、チェックアーム(30)は、成形可能なプラスチック材料から形成され、移動止め機能部(38)と、カム面(39)と、ピボットボス(32)と、バンプ停止部(40)とを一体的に含む。図5を参照すると、好ましい実施形態のさらなる態様が示されており、そこでは、成形されたプラスチックのチェックアーム(30)が、一体成形された補強材(44)を含んでおり、補強材は、鋼、アルミニウム、強化プラスチック、または、類似の構造材料(structural material)から製造されている。
【0023】
図4は、当該ドアチェック装置のさらなる態様を示しており、全開スイング限界にある車両ドア(2)と、一体的チェック本体(10)の取付け面(12)の裏面と接触しているバンプ停止部(40)とを示している。バンプ停止部(40)が、一体的チェック本体(10)の取付け面(12)の単一材料厚さを通して、チェックアーム(30)から車両ドア構造物へと、停止負荷を直接的に伝達することによって、車両ドア(2)のさらなる回転が防止される。バンプ停止部(40)と車両ドア構造物との間の短い負荷経路は、全開停止負荷を支えるために必要であるというよりはむしろ、追従的な板バネ(14)によって予め定められたチェック力を発生する単一の機能について、一体的チェック本体(10)を最適化することを可能にする。このバンプ停止部の装置が、先行技術(チェックハウジングが全開スイング限界の停止負荷に耐えるように構成される技術)に対する、主要な差別化要因である。
【0024】
チェックアーム(30)のバンプ停止部(40)の好ましい実施形態は、図6で示される。エネルギー吸収材(42)がバンプ停止部(40)に組み込まれており、一体的チェック本体(10)の取付け面(12)の裏面に該吸収材が接触したときに、車両ドア(2)を移動させることによって伝えられる運動エネルギーが散逸し、それによって、車両ドア(2)が全開スイング限界に達したときに跳ね返って閉じるのが防止されるようになっている。この好ましい実施形態のさらなる態様では、エネルギー吸収材(42)がチェックアーム(30)と一体成形(co-molded)される。
【0025】
図7、8および9に示すように、本発明のさらなる態様では、チェックアーム(30)は、塗装クリップ装置(46)を受け入れるように構成されており、該塗装クリップ装置(46)は、追加的な移動止め機能部(58)およびカム面(59)を有して構成されている。塗装クリップ装置(46)は、車両の塗装および組立てプロセス中に要求されるような追加のチェック位置を提供するように構成される。塗装クリップ装置(46)は、塗装と組立てプロセスの後に、チェックアーム(30)から容易に取り外しできるように構成される。図8は、塗装クリップ装置(46)が、該装置を解放するためのねじ回し(screwdriver、ドライバー)(55)を用いてチェックアーム(30)から取り外されているのを示しており、図9は、塗装クリップ装置(46)が完全に取り外されたチェックアーム(30)を示している。このようにして、本発明の自動車用ドアチェック装置(1)は、車両ドア(2)の完全閉鎖限界に一時的なチェック位置を提供することができ、ドアラッチが設置される前の塗装を容易にする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用のドアチェック装置であって、当該装置は、
a)一体的チェック本体を有し、該一体的チェック本体は、一対の追従的な板バネおよびガイド装置を含んでおり、車両ドアに固定して取り付けられるように構成されており、
b)チェックアームを有し、該チェックアームは、カム面と、移動止め機能部とを含んでおり、車両本体構造にピボット回転するように接続され、かつ、前記一体的チェック本体のガイド装置とスライド可能に連係するように構成されており、
一体的チェック本体が弾性材料から製造されて、ガイド装置に対するチェックアームのカム面と移動止め機能部の動きに応じて、前記追従的な板バネがエネルギーを貯蔵しかつ放出することができるようになっている、
前記自動車用のドアチェック装置。
【請求項2】
一体的チェック本体のガイド装置に対するチェックアームの移動止め機能部間の関係によって定められた位置において、予め定められた力にて、車両本体構造に対する車両ドアの回転運動がチェックされる、請求項1に記載のドアチェック装置。
【請求項3】
一体的チェック本体の弾性材料が、高強度鋼である、請求項1に記載のドアチェック装置。
【請求項4】
一体的チェック本体の弾性材料が、高強度複合材料である、請求項1に記載のドアチェック装置。
【請求項5】
チェックアームが、成形可能なプラスチック材料から形成されている、請求項1に記載のドアチェック装置。
【請求項6】
チェックアームが、前記プラスチック材料中に一体成形された補強材を含んでいる、請求項5に記載のドアチェック装置。
【請求項7】
チェックアームの補強材が、鋼、アルミニウム、強化プラスチック、または、類似の構造材料から製造されている、請求項6に記載のドアチェック装置。
【請求項8】
チェックアームが、鋳造、鍛造、または、類似の手段によって、金属材料から形成されている、請求項1に記載のドアチェック装置。
【請求項9】
一体的チェック本体が、ボルト締め、溶接、接着、リベット締め、または、類似の締結手段によって、車両ドアに固定して取り付けられている、請求項1に記載のドアチェック装置。
【請求項10】
チェックアームが、取付けブラケットおよびピボットリベット装置を介して、車両本体構造にピボット回転するように接続されている、請求項1に記載のドアチェック装置。
【請求項11】
取付けブラケットが、ボルト締め、溶接、接着、リベット締め、または、類似の締結手段によって、車両本体構造に固定して取り付けられている、請求項10に記載のドアチェック装置。
【請求項12】
チェックアームが、塗装クリップ装置を受け入れるように構成されている、請求項1に記載のドアチェック装置。
【請求項13】
塗装クリップ装置が、追加的な移動止め機能部とカム面とを有して構成されている、請求項12に記載のドアチェック装置。
【請求項14】
塗装クリップ装置が、塗装および組立てプロセスの後に、チェックアームから容易に取り外しできるように構成されている、請求項13に記載のドアチェック装置。
【請求項15】
自動車用のドアチェック装置であって、当該装置は、
a)一体的チェック本体を有し、該一体的チェック本体は、一対の追従的な板バネおよびガイド装置を含んでおり、車両ドアに固定して取り付けられるように構成されており、
b)前記一体的チェック本体は、追従的な板バネから製造されて、該追従的な板バネがエネルギーを貯蔵しかつ放出できるようになっており、
c)チェックアームを有し、該チェックアームは、カム面と、移動止め機能部とを含んでおり、車両本体構造にピボット回転するように接続され、かつ、前記一体的チェック本体のガイド装置とスライド可能に連係するように構成されており、
一体的チェック本体のガイド装置に対する、チェックアームの移動止め機能部間の関係によって定められる位置において、該一体的チェック本体の追従的な板バネによって貯蔵されかつ放出されるエネルギーから生成される予め定められた力にて、車両本体構造に対する車両ドアの回転運動がチェックされる、
前記自動車用のドアチェック装置。
【請求項16】
一体的チェック本体の弾性材料が、高強度鋼である、請求項15に記載のドアチェック装置。
【請求項17】
一体的チェック本体の弾性材料が、高強度複合材料である、請求項15に記載のドアチェック装置。
【請求項18】
チェックアームが、成形可能なプラスチック材料から形成されている、請求項15に記載のドアチェック装置。
【請求項19】
チェックアームが、前記プラスチック材料中に一体成形された補強材を含んでいる、請求項18に記載のドアチェック装置。
【請求項20】
チェックアームの補強材が、鋼、アルミニウム、強化プラスチック、または、類似の構造材料から製造されている、請求項19に記載のドアチェック装置。
【請求項21】
チェックアームが、鋳造、鍛造、または、類似の手段によって、金属材料から形成されている、請求項15に記載のドアチェック装置。
【請求項22】
一体的チェック本体が、ボルト締め、溶接、接着、リベット締め、または、類似の締結手段によって、車両ドアに固定して取り付けられている、請求項15に記載のドアチェック装置。
【請求項23】
チェックアームが、取付けブラケットおよびピボットリベット装置を介して、車両本体構造にピボット回転するように接続されている、請求項15に記載のドアチェック装置。
【請求項24】
取付けブラケットが、ボルト締め、溶接、接着、リベット締めまたは類似の締結手段を介して車両本体構造に固定して取り付けられている請求項23に記載のドアチェック装置。
【請求項25】
チェックアームがバンプ停止機能部を含んでおり、該バンプ停止機能部は、車両ドアの全開スイング限界において、さらなる回転を防止するように、前記一体的チェック本体と接触するように構成されている、請求項15に記載のドアチェック装置。
【請求項26】
バンプ停止機能部が、前記一体的チェック本体の取付け面において、該一体的チェック本体と接触するように構成されていて、さらなる回転の防止に関係する停止負荷が車両ドア構造に直接伝達されるようになっている、請求項25に記載のドアチェック装置。
【請求項27】
バンプ停止機能部にエネルギー吸収材が組み込まれており、該エネルギー吸収材は、車両ドアが全開スイング限界に達したときに跳ね返って閉じることを防止するように構成されている、請求項26に記載のドアチェック装置。
【請求項28】
チェックアームが塗装クリップ装置を受け入れるように構成されており、該塗装クリップ装置は、塗装および組立てプロセスの間に必要とされる追加のチェック位置を提供するように構成されている、請求項15に記載のドアチェック装置。
【請求項29】
塗装クリップ装置が、追加の移動止め機能部とカム面とを有して構成されている、請求項28に記載のドアチェック装置。
【請求項30】
塗装クリップ装置が、塗装および組立てプロセスの後に、チェックアームから容易に取り外しできるように構成されている、請求項29に記載のドアチェック装置。
【請求項31】
自動車用のドアチェック装置であって、当該装置は、
a)一体的チェック本体を有し、該一体的チェック本体は、一対の追従的な板バネおよびガイド装置を含んでおり、ボルト締め、溶接、接着、リベット締め、または、類似の締結手段によって、車両ドアに固定して取り付けられるように構成されており、
b)前記一体的チェック本体は、高強度鋼から製造されて、該追従的な板バネがエネルギーを貯蔵しかつ放出できるようになっており、
c)チェックアームを有し、該チェックアームは、カム面と、移動止め機能部とを含んでおり、取付けブラケットとピボットリベット装置とを介して車両本体構造にピボット回転するように接続され、かつ、前記一体的チェック本体のガイド装置とスライド可能に連係するように構成されており、
d)前記チェックアームは、成形可能なプラスチック材料から形成されており、かつ、該プラスチック材料中に一体成形された補強材を含んでおり、
e)前記取付けブラケットは、ボルト締め、溶接、接着、リベット締め、または、類似の締結手段によって、車両本体に固定して取り付けられており、
一体的チェック本体のガイド装置に対するチェックアームの移動止め機能部間の関係によって定められる位置において、該一体的チェック本体の追従的な板バネによって貯蔵されかつ放出されるエネルギーから生成される予め定められた力にて、車両本体構造に対する車両ドアの回転運動がチェックされるようになっている、
前記自動車用のドアチェック装置。
【請求項32】
チェックアームがバンプ停止機能部を含んでおり、該バンプ停止機能部は、車両ドアの全開スイング限界において、さらなる回転を防止するように、前記一体的チェック本体と接触するように構成されている、請求項31に記載のドアチェック装置。
【請求項33】
バンプ停止機能部が、前記一体的チェック本体の取付け面において、該一体的チェック本体と接触するように構成されていて、さらなる回転の防止に関係する力が車両ドア構造物に直接伝達されるようになっている、請求項32に記載のドアチェック装置。
【請求項34】
バンプ停止機能部にエネルギー吸収材が組み込まれており、該エネルギー吸収材は、車両ドアが全開スイング限界に達したときに跳ね返って閉じることを防止するように構成されている、請求項33に記載のドアチェック装置。
【請求項35】
エネルギー吸収材が、チェックアームのプラスチック材料と一体成形されている、請求項34に記載のドアチェック装置。
【請求項36】
チェックアームが塗装クリップ装置を受け入れるように構成されており、該塗装クリップ装置は、塗装および組立てプロセスの間に必要とされる追加のチェック位置を提供するように構成されている、請求項31に記載のドアチェック装置。
【請求項37】
塗装クリップ装置が、追加の移動止め機能部とカム面とを有して構成されている、請求項36に記載のドアチェック装置。
【請求項38】
塗装クリップ装置が、塗装および組立てプロセス後にチェックアームから容易に取り外しできるように構成されている請求項37に記載のドアチェック装置。
【請求項39】
自動車用のドアチェック装置であって、当該装置は、
a)一体的チェック本体を有し、該一体的チェック本体は、一対の追従的な板バネおよびガイド装置を含んでおり、ボルト締め、溶接、接着、リベット締め、または、類似の締結手段によって、車両ドアに固定して取り付けられるように構成されており、
b)前記一体的チェック本体は、高強度鋼から製造されて、該追従的な板バネがエネルギーを貯蔵しかつ放出できるようになっており、
c)チェックアームを有し、該チェックアームは、バンプ停止部と、カム面と、移動止め機能部とを含んでおり、取付けブラケットとピボットリベット装置とを介して車両本体構造にピボット回転するように接続され、かつ、前記一体的チェック本体のガイド装置とスライド可能に連係するように構成されており、
d)前記チェックアームは、成形可能なプラスチック材料から形成されており、かつ、該プラスチック材料中に一体成形された補強材を含んでおり、
e)前記バンプ停止機能部には、チェックアームのプラスチック材料と一体成形されたエネルギー吸収材が組み込まれており、
f)前記取付けブラケットが、ボルト締め、溶接、接着、リベット締め、または、類似の締結手段によって、車両本体に固定して取り付けられており、
ガイド装置に対するチェックアームの移動止め機能部間の関係によって定められる位置において、該一体的チェック本体の追従的な板バネによって貯蔵されかつ放出されるエネルギーから生成される所定の力にて、車両本体構造に対する車両ドアの回転運動がチェックされるようになっており、かつ、バンプ停止機能部が、前記一体的チェック本体の取付け面において該一体的チェック本体と接触することによって、車両ドアが、その全開スイング限界においてさらなる回転を防止され、該さらなる回転の防止に関係する停止負荷が車両ドア構造に直接伝達され、かつ、エネルギー吸収材料によって、車両ドアが跳ね返って閉じることが防止されるようになっている、
前記自動車用のドアチェック装置。
【請求項40】
チェックアームが塗装クリップ装置を受け入れるように構成されており、該塗装クリップ装置は、塗装および組立てプロセスの間に必要とされる追加のチェック位置を提供するように構成されている、請求項39に記載のドアチェック装置。
【請求項41】
塗装クリップ装置が、追加の移動止め機能部とカム面とを有して構成されている、請求項40に記載のドアチェック装置。
【請求項42】
塗装クリップ装置が、塗装および組立てプロセスの後に、チェックアームから容易に取り外しできるように構成されている、請求項41に記載のドアチェック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−516758(P2011−516758A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−502200(P2011−502200)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【国際出願番号】PCT/CA2009/000125
【国際公開番号】WO2009/124373
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(597005820)マルティマティック インコーポレイティッド (6)