説明

エレクトロフュージョン継手

【課題】本発明は、EF継手に挿入された管状体の確実な接続を実現しつつ、EF継手の製造コストの低減を実現し得る技術を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂で形成した第1管状体4を、第2管状体4と接続するエレクトロフュージョン継手20であって、少なくとも内周面1aが熱可塑性樹脂で形成され、内周面1aに両端部6の内径よりも大きな内径を有する拡径部5を備える第1筒状体1と、熱可塑性樹脂からなり、拡径部5に装着され、内周面3aにおいて少なくとも第1管状体1の外周面1bと接合可能な第2筒状体3と、第1筒状体1の内周面1aと第2筒状体3の外周面3bとの間に設けられる薄膜状のヒータ2とを備え、第2筒状体3の外径を第1筒状体1の両端部6の内径よりも大きく構成し、第2筒状体3に、その外径の寸法を調節し、第2筒状体3を第1筒状体1に挿入可能とする外径調節手段8を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロフュージョン継手に関し、さらに詳しくは、少なくとも外周面を熱可塑性樹脂で形成した第1管状体を、第2管状体と接続するエレクトロフュージョン継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガスや水道水などの流体を流通させる管部材として熱可塑性樹脂で形成した管状体が用いられており、この管状体同士を接合するためにエレクトロフュージョン継手(以下、EF継手と省略する場合がある。)が用いられている。
このEF継手は、例えば、通電すると発熱するニクロム線が巻回された発熱体を熱可塑性樹脂に埋設して、当該熱可塑性樹脂を射出成型用金型に挿入し、射出成型用の熱可塑性樹脂を当該射出成型用金型に射出することにより一体形成される。このEF継手の構造は、円筒状で、その内部には接合対象の管状体を当該円筒状の長手方向の両端からそれぞれ挿入可能に円筒状の空間が形成され、当該空間の外周側には発熱体が埋設された熱可塑性樹脂を包みこむ状態で射出成型用の熱可塑性樹脂が存在し、この射出成型用の熱可塑性樹脂によりEF継手の内周面及び外周面が形成されている。
このEF継手を用いて接合対象の管状体を接合する際には、上記円筒状の空間の長手方向の両端から所定位置まで管状体をそれぞれ挿入し、続いて発熱体に通電することにより当該発熱体周辺の熱可塑性樹脂を溶融し、当該熱可塑性樹脂を接合対象の管状体の外周面等に融着させて、当該管状体同士を接合することができる(例えば、特許文献1参照)。
これにより、管状体をEF継手と接合して管状体同士を充分に接続することができる。
また、上記発熱体として、ニクロム線ではなく平板状の発熱体を用い、この平板状の発熱体を熱可塑性樹脂に埋設して、上記と同様に一体形成されるEF継手も開示されている(例えば、特許文献2参照)。これにより、上記特許文献1のEF継手と同様に、管状体をEF継手と接合して管状体同士を充分に接続することができる。
【0003】
【特許文献1】特開2001−082667号公報
【特許文献2】特開平05−106776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のEF継手では、発熱体としてニクロム線を巻回したものを用いているため、ニクロム線を巻回することが必須となり、EF継手の製造において、製造コストが上昇するという問題があった。
また、上記特許文献2に記載のEF継手では、発熱体を平板状としているためニクロム線を巻回するコストを低減できるが、一体形成する際に、当該平板状の発熱体を射出成型金型に挿入し、射出成型用の熱可塑性樹脂を射出成型用金型に射出することが必要となり、製造コストの低減は難しかった。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、EF継手に挿入された管状体の確実な接続を実現しつつ、EF継手の製造コストの低減を実現し得る技術を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明に係る、少なくとも外周面を熱可塑性樹脂で形成した第1管状体を、第2管状体と接続するエレクトロフュージョン継手の第1特徴構成は、
少なくとも内周面が熱可塑性樹脂で形成され、内周面に両端部の内径よりも大きな内径を有する拡径部を備える第1筒状体と、
熱可塑性樹脂からなり、前記拡径部に装着されるとともに、内周面において少なくとも前記第1管状体の外周面と接合可能な第2筒状体と、
前記第1筒状体の内周面と前記第2筒状体の外周面との間に設けられる薄膜状のヒータとを備え、
前記第2筒状体の外径を前記第1筒状体の両端部の内径よりも大きく構成し、
前記第2筒状体に、その外径の寸法を調節し、当該第2筒状体を前記第1筒状体に挿入可能とする外径調節手段を設けた点にある。
【0007】
上記第1特徴構成のエレクトロフュージョン継手は、それぞれ別々の部材である第1筒状体、ヒータ、第2筒状体により構成され、第1筒状体の軸心方向の端部からヒータ、第2筒状体を順次挿入して、径方向でエレクトロフュージョン継手の外周面から内周面に向かって第1筒状体、この第1筒状体の拡径部にヒータ、当該拡径部に第2筒状体が順次配置され、当該第2筒状体の内側には、少なくとも接合対象の第1管状体が挿入可能な空間が形成される。
したがって、上記第1特徴構成によれば、第2筒状体の外径が第1筒状体の両端部の内径よりも大きく構成されているが、当該第2筒状体には当該第2筒状体の外径の寸法を調節する外径調節手段が設けられているので、外径の寸法を小さくして第2筒状体を第1筒状体に確実に挿入することが可能となる。また、第2筒状体を第1筒状体に挿入後には、第1筒状体の拡径部において、第2筒状体の外径が第1筒状体の両端部の内径よりも大きくなり、第2筒状体が第1筒状体から外れることなく、第2筒状体、ヒータ、第1筒状体がある程度固定された状態を維持することができる。
これにより、第1筒状体、ヒータ、第2筒状体をそれぞれ別部材で構成して各部材の一体化を図ることにより、射出成型による一体化や接着剤による一体化をする必要が無くなるため、製造効率が上がって大量生産が可能となり、EF継手の製造コストの低減を図ることができる。また、このような一体化を使用に際して作業者により現場で行うこととすれば、更なるコストの低減を図ることができる。さらに、このように一体化することにより、第2筒状体及びヒータが第1筒状体の拡径部から散逸しない程度に装着固定されているため、第2筒状体に第1管状体を挿入した際に各部材の位置関係が大きく変動することがなく、ヒータにより加熱することにより第1筒状体、第2筒状体及び少なくとも第1管状体を確実に溶融して、これらを確実に融着することができる。加えて、ヒータが薄膜状に形成されているので、溶融部分が平面状に均一に拡大し、各部材を確実に融着できる状態となるまでの総エネルギー量を、従来のEF継手を用いた場合と比較して低減することができる。なお、従来のEF継手はニクロム線(コイル)が周方向に巻回された構成であり、溶融部分が各コイルを中心として同心円状に溶融が進み拡大していくため、各部材を確実に融着するまでには比較的多くのエネルギー量が必要となる。
よって、EF継手に挿入された管状体の確実な接続を実現しつつ、EF継手の製造コストの低減を実現することができる。
【0008】
本発明に係るエレクトロフュージョン継手の第2特徴構成は、前記外径調節手段は、前記第2筒状体の外周面に軸心方向の全部にわたって設けられたスリットである点にある。
【0009】
上記第2特徴構成によれば、外径調節手段は、第2筒状体の外周面に軸心方向の全部にわたって設けられたスリットであるので、第2筒状体を第1筒状体の軸心方向の端部から挿入する際には、当該スリットの間隔を小さくし、必要であれば、スリットを形成する第2筒状体の周方向端部同士を重ね合わせることにより、当該第2筒状体の外径を小さくすることができ、確実な挿入を実現することができる。また、挿入後は、当該スリットの間隔が戻り、第2筒状体の外径が第1筒状体の両端部の内径よりも大きくなり、第2筒状体が第1筒状体から外れることなく、第2筒状体、ヒータ、第1筒状体がある程度固定された状態を維持することができる。
よって、第2筒状体を第1筒状体に確実に挿入できるとともに、第2筒状体によりヒータ及び第1筒状体との一体化を確実に行うことができる
【0010】
本発明に係る第3特徴構成は、前記第2筒状体の内径を、前記第1管状体の外径以下に形成する点にある。
【0011】
上記第3特徴構成によれば、第2筒状体の内径を、第1管状体の外径以下に形成するので、第1管状体が第2筒状体の内周面に接触しながら挿入されて、第2筒状体が外径方向に変形し外径調節手段により拡径される。これにより、第1管状体が第2筒状体に挿入されると、第2筒状体の内周面と第1管状体の外周面とを確実に密着させることができる。
ここで、上記ヒータは薄膜状に形成されて第1筒状体と第2筒状体との間に設けられるが、当該ヒータは接着等されておらず、ヒータと第1筒状体との間及びヒータと第2筒状体との間にはそれぞれわずかな隙間が存在している場合がある。すなわち、第2筒状体の外径に応じて、第2筒状体、ヒータ、第1筒状体との間にはある程度の隙間が発生することがある。このような隙間が存在する場合であっても、上述のように、第1管状体が第2筒状体に挿入されると、第2筒状体の外径が拡径することによりヒータ及び第1筒状体を外径方向に押圧することとなるので、上記隙間を無くし、第2筒状体、ヒータ、第1筒状体をより確実に密着固定することができる。
したがって、このような密着状態においてヒータに通電して第2筒状体を溶融し第1管状体と接合させることで、より確実に第2筒状体と第1管状体とを接合することができる。
【0012】
本発明に係る第4特徴構成は、前記第2筒状体の内周面に、少なくとも一方の端部に向かって内径が拡径するテーパ面を設けた点にある。
【0013】
上記第4特徴構成によれば、第2筒状体の内周面に、少なくとも一方の端部に向かって内径が拡径するテーパ面を設けたので、当該第2筒状体の内周面に接触したまま第1管状体を挿入する場合であっても、当該第1管状体をテーパ面に沿って挿入させることで所望の位置まで比較的簡単に挿入することができる。
【0014】
本発明に係る第5特徴構成は、前記第1筒状体の拡径部における径方向の厚みが、前記第2筒状体の径方向の厚みよりも厚く形成されている点にある。
【0015】
上記第5特徴構成によれば、第1筒状体の拡径部における径方向の厚みが、第2筒状体の径方向の厚みよりも厚く形成されているので、両者の間に設けられた薄膜状のヒータにより両者が加熱されたとしても、EF継手の外周面を形成する第1筒状体が完全に溶融してしまう前に第2筒状体が確実に溶融して、EF継手の外周面が溶融することを防止できる。
【0016】
本発明に係る第6特徴構成は、前記第1筒状体の内周面と前記第2筒状体とが、同一の熱可塑性樹脂からなる点にある。
【0017】
上記第6特徴構成によれば、第1筒状体の内周面と第2筒状体とが、同一の熱可塑性樹脂からなるので、その溶融温度に加熱することにより、第1筒状体と第2筒状体とを溶融して確実に融着することができる。また、同一の熱可塑性樹脂であるため、第1筒状体と第2筒状体は強固に融着する。
【0018】
本発明に係る第7特徴構成は、前記薄膜状のヒータがフィルムコートされてなる点にある。
【0019】
上記第7特徴構成によれば、薄膜状のヒータがフィルムコートされているので、ヒータが薄膜状に形成されて比較的壊れやすい場合であっても、当該フィルムコートによりヒータを保護することができ、また、薄膜状の形状を維持して第1筒状体と第2筒状体との間に比較的容易に装着することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明に係るエレクトロフュージョン継手(以下、EF継手という場合がある。)20の実施の形態について、図1から図7に基づいて説明する。
図1は本願に係るEF継手20とチューブ4の分解斜視図、図2はヒータ2の平面図、図3はチューブ4(第1管状体、第2管状体の一例)がEF継手20に挿入される前の状態でのEF継手20の縦断面図、図4はチューブ4が所定位置までEF継手10に挿入された状態でのEF継手20の縦断面図、図5は図3におけるV−V断面図、図6は図4に
おけるVI−VI断面図、図7(a)から(c)はEF継手20にチューブ4を挿入する前、
挿入した後、ヒータ2により加熱した後の状態示す部分縦断面図である。
【0021】
〔EF継手〕
図1に示すように、本願に係るEF継手20は、このEF継手20の外側に位置するソケット1(第1筒状体の一例)と、このソケット1及び後述するスリーブ3(第2筒状体の一例)を加熱し溶融するヒータ2と、EF継手20の内側に位置するスリーブ3とを備えている。これら部材は、EF継手20の外周面から内周面に向けてソケット1、ヒータ2、スリーブ3の順に配置され、ヒータ2はソケット1とスリーブ3との間に設けられている。
したがって、詳細は後述するが、図1、図5に示すように、EF継手20の内周面(スリーブ3の内周面3a)側には空間Sが設けられており、この空間SにEF継手20の軸心方向の両端から接続対象のチューブ4を挿入できるように構成されている。
【0022】
〔ソケット(第1筒状体)〕
ソケット1は、図1、図3、図4に示すように、内部がくり抜かれた筒状に形成されて、このソケット1の外周面1bがEF継手20の外周面を構成している。ソケット1の内周面1aには軸心方向の両端部6の内径よりも拡径された拡径部5が設けられ、後述するヒータ2及びスリーブ3を装着可能に構成されている。ソケット1の外周面1bには、後述するヒータ2に設けられた接触部2bへ電流を入出力可能な端子9が同一軸心方向に一対設けられている。なお、図3に示すように、ソケット1の両端部6における内径はR6、拡径部5の内径はR5として形成されている。
また、ソケット1は、熱可塑性樹脂から構成されており後述するヒータ2の加熱により溶融可能となっている。この熱可塑性樹脂としては、ヒータ2の加熱により溶融することができれば、特に制限されず用いることができるが、例えば、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリアセタール樹脂(POM)などを用いることができる。これらの樹脂は架橋の有無を問わないが、例えば、非架橋のポリエチレン樹脂を用いると、架橋処理が不要となり、比較的溶融温度が低いので消費エネルギーの低減を図ることができるとともに、非架橋であるのでリサイクル性を向上させることができ、好適である。
【0023】
〔ヒータ〕
ヒータ2は、薄膜状の金属からなる発熱体2aであり、絶縁体によりフィルムコートされて平板状に形成されている。この発熱体2aは、高抵抗で、かつ平板状の全面で均一に発熱が可能であれば、特に制限無く用いることができるが、例えば、図2に示すように、薄膜状で、平面視で長方形状に形成された発熱体2a(SUS304のステンレス)を、短辺方向に沿って並行となるように、長辺方向の全長に亘って蛇行させた形状にエッチングし、フィルムコートしたエッチングヒータを用いることができる。このヒータ2は、図1に示すように、短辺同士をつき合わすように円筒状にして、上記ソケット1とスリーブ3との間に装着される。この際、当該一端と他端にはそれぞれ電流を入力可能な接触部2bが設けられ、これら接触部2bは、円筒の長手方向の略同一直線上に配置されている。したがって、当該接触部2bはそれぞれ上述したソケット1の軸心方向に一対設けられた端子9に簡便に接続でき、当該端子9からの電流によりヒータ2に通電可能に構成されている。なお、エッチングヒータとしては、例えば、長辺方向に沿って並行に配列するようにエッチングしたものを用いることもでき、この場合にも同様の効果を得ることができる。
また、フィルムコートする絶縁材料としては、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリアセタール樹脂(POM)などを用いることができる。
【0024】
〔スリーブ(第2筒状体)〕
スリーブ3は、図1、図3、図4に示すように、内部がくり抜かれた筒状に形成されて、このスリーブ3の外周面3bは上記平板状に形成されたヒータ2に良好に密着できるように平滑に形成されている。筒状に形成されたスリーブ3の内部には軸心方向の両端から、接合対象のチューブ4を挿入できるように空間Sが構成されている。また、スリーブ3の内周面3aには、端部に向かって拡径し、チューブ4を案内するテーパ面7が軸心方向の両端部にそれぞれ設けられ、中央付近にはさらにチューブ4の内径程度まで縮径された停止部10が設けられている。
このスリーブ3には、図1、図3に示すように、当該スリーブ3の外径を調節する外径調節手段としてのスリット8が、当該スリーブ3の軸心方向にわたって内周面3aと外周面3bとを貫通する形態で設けられている。すなわち、図1、図3に示すように、スリーブ3の軸心方向に平行で、かつスリーブ3の径方向断面においてスリーブ3の中心に向かうように形成されたスリット8が形成されている。これにより、後述するスリーブ3の外径R32は、少なくともスリット8の間隔分、必要であれば、当該スリット8を形成するスリーブ3の周方向端部同士を重ねる、もしくは離間させることにより、所定の距離だけ伸縮させることができる。
スリーブ3の外径R32は、ソケット1の両端部6の内径R6よりも大きく形成され、ソケット1の拡径部5の内径R5よりも小さく形成されている。これにより、スリーブ3がソケット1の拡径部5に一旦装着されると、スリーブ3は両端部6に引っ掛かり拡径部5にある程度固定される。
スリーブ3の内径R31は、後述するチューブ4の外径4b以下、好ましくは当該外径4bよりも若干小さく形成され、チューブ4が挿入されると当該チューブ4の外周面4bがテーパ面7に確実に接触してスリーブ3が外径方向に変形するように構成されている。
なお、スリーブ3の停止部10における内径は、チューブ4の内径と同じになるように形成され、チューブ4の接続後に当該チューブ4内の流体を良好に流通させることができる。
一方、このスリーブ3は、熱可塑性樹脂から構成されておりヒータ2の加熱により溶融可能となっている。この熱可塑性樹脂としては、ヒータ2の加熱により溶融することができれば、特に制限されず用いることができるが、例えば、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリアセタール樹脂(POM)などを用いることができる。これらの樹脂は架橋の有無を問わないが、例えば、非架橋のポリエチレン樹脂を用いると、架橋処理が不要となり、比較的溶融温度が低いので消費エネルギーの低減を図ることができるとともに、非架橋であるのでリサイクル性を向上させることができ、好適である。
なお、上記ソケット1と同一の熱可塑性樹脂を用いると、一つのヒータ2によりソケット1及びスリーブ3を良好に溶融することができるので好適である。
【0025】
〔チューブ(第1管状体、第2管状体)〕
チューブ4は、少なくとも外周面4bが熱可塑性樹脂からなる管状体から構成されるが、例えば、図1、図3に示すように、全体が熱可塑性樹脂からなるチューブとすることができる。当該チューブ4の外径R4は規格に応じて複数形成されるが、当該チューブ4の外径R4に応じてスリーブ3の内径R31を決定することができる。
熱可塑性樹脂としては、ヒータ2の加熱により溶融することができれば、特に制限されず用いることができるが、例えば、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリアセタール樹脂(POM)などを用いることができる。これらの樹脂は架橋の有無を問わないが、例えば、非架橋のポリエチレン樹脂を用いると、架橋処理が不要となり、比較的溶融温度が低いので消費エネルギーの低減を図ることができるとともに、非架橋であるのでリサイクル性を向上させることができ、好適である。
なお、上記ソケット1及びスリーブ3と同一の熱可塑性樹脂を用いると、一つのヒータ2によりソケット1及びスリーブ3を良好に溶融することができるので好適である。
【0026】
〔EF継手の組立〕
EF継手20は、上記のとおり、ソケット1とスリーブ3との間にヒータ2が設けられた状態で一体的に構成されるが、このEF継手20の一体化方法について説明する。
EF継手20は、図1に示すように、それぞれ別々の部材により構成されたソケット1、薄膜状のヒータ2、スリーブ3から構成され、このソケット1の軸心方向の両端部6にそれぞれ設けられた開口から、まず円筒状に形成した平板状のヒータ2、次に内側にスリーブ3を挿入し、これらをソケット1の内周面1aに形成された拡径部5に順次装着することにより、ソケット1とスリーブ3との間にヒータ2を設けた状態で一体形成される。
この際には、スリーブ3の外径R32は、ソケット1の両端部6の内径R6よりも大きいので、スリーブ3に設けられたスリット8の間隔を小さく、すなわち、外径R32を小さくしつつソケット1に挿入することで、スリーブ3をソケット1の拡径部5に確実に装着することができる。
また、装着後は、スリーブ3に設けられたスリット8の間隔が戻り、スリーブ3の外径R32はソケット1の両端部6の内径R6よりも大きくなるので、当該スリーブ3の軸心方向の両端がソケット1の両端部6に引っ掛かることにより、スリーブ3及びヒータ2がソケット1から離脱してしまうことを良好に防止することができる(図3、図5参照)。
なお、例えば、スリーブ3自身が弾性力を生じるように構成することにより、スリット8の間隔を小さくしてソケット1の拡径部5に装着後、当該拡径部5内において、スリーブ3自身が有する弾性力により当該スリーブ3がソケット1に挿入される前の外径R32若しくはソケット1の拡径部5の内径R5程度の外径にまで外径を復元し、当該スリーブ3により外径方向に、すなわちヒータ2及びソケット1に押圧力を付与して、これら部材をある程度密着固定し一体化を行うこともできる。この場合、このスリーブ3の弾性力は、熱可塑性樹脂の種類、加工の方法、スリット8の間隔、スリーブ3の厚さ等により適宜調整して設定することができる。
よって、ソケット1、ヒータ2、スリーブ3を別部材とすることにより、コストの低減を図ることができ、上記のように一体化した場合であっても、これら部材をある程度密着させたまま確実に固定することができる。
【0027】
〔EF継手を用いたチューブの接合〕
次に、上記EF継手20を用いて、2本のチューブ4を接続する方法について、図3から図7を用いて説明する。
【0028】
まず、図3に示すように、EF継手20の軸心方向の両端に、接合対象のチューブ4をそれぞれ挿入する。
この際には、図3、図5に示すように、EF継手20には、ソケット1とヒータ2との間、ヒータ2とスリーブ3との間には僅かな隙間11が形成されている場合があり、このような隙間11はできるだけ無くし各部材を密着させることが好ましい。すなわち、できるだけ密着させることにより、ヒータ2によるソケット1やスリーブ3の溶融に必要な時間の短縮や余分なエネルギーを節減できるなど無駄を排除し、また、適切な融着を実現することが可能となる。
ここで、本願のEF継手20にあっては、図7(a)に示すように、EF継手20の両端に挿入されたチューブ4は、まず、スリーブ3の内周面3aを構成するテーパ面7に接触し、その後、内周面3aに接触しつつ停止部10に衝突して、所望の接合位置にまで案内される(図7(b)参照)。この際には、テーパ面7はスリーブ3の端部に向かって拡径していることから、比較的容易にチューブ4の挿入が可能である。特に、図3に示すように、スリーブ3の両端部付近に設けられたテーパ面7の内径(図示せず)は、スリーブ3の内径R31以上ソケット1の両端部6の内径R6以下に形成されており、さらに、チューブ4の外径R4も同様に、スリーブ3の内径R31以上ソケット1の両端部6の内径R6以下となるように設定されている。したがって、テーパ面7において一番大径となる最端部の内径はR6であり、チューブ4の外径R4がこの内径R6よりも小さく設定されていると、チューブ4をEF継手20に挿入して当該テーパ面7に接触させることにより、当該チューブ4がスリーブ3を押し広げ、より容易に所望の接合位置まで案内することができる。
また、スリーブ3の内径R31はチューブ4の外径R4以下、より好ましくは当該外径R4よりも若干小さく形成されているため、チューブ4がスリーブ3に挿入されると、チューブ4の外周面4bとスリーブ3の内周面3aとが良好に密着することとなる。この際には、スリーブ3のスリット8の間隔が大きくなるので、チューブ4をスリーブ3に比較的容易に挿入することが可能である。
さらに、チューブ4の挿入に伴って、スリーブ3のスリット8の間隔が大きくなって当該スリーブ3の外径R32が大きくなるので、スリーブ3の径方向外側にあるヒータ2及びソケット1を押圧して、上述したソケット1とヒータ2との間、ヒータ2とスリーブ3との間の隙間11をできるだけ無くすことができ、各部材が良好に密着固定されることとなる(図4、図6、図7(b)参照)。
したがって、上記のような隙間11が存在する場合であっても、ヒータ2により加熱する前にチューブ4、スリーブ3、ヒータ2、ソケット1をできるだけ密着しておくことができ、効率よく各部材の溶融、融着を行うことができる(図4、図6、図7(b)参照)。
【0029】
次に、図4、図6、図7(b)に示す状態において、端子9からヒータ2に所定時間通電を行いソケット1、スリーブ3、チューブ4を加熱して、これら部材を構成する熱可塑性樹脂を溶融する。この溶融によりソケット1の拡径部5の内周面1a、スリーブ3の全体、チューブ4の外周面4bがヒータ2の発熱体2aを囲んだ概略楕円形状に溶融し、これらが発熱体2aをソケット1とスリーブ3との間に挟んだまま融着されることとなる(図7(c)参照)。この際には、各部材が密着された状態で溶融されるため比較的短時間で確実に融着することができる。また、各部材が同一の熱可塑性樹脂により形成されている場合には、各部材を一つのヒータ2により的確に溶融して確実に融着することができる。さらに、ソケット1の拡径部5における熱可塑性樹脂の径方向における厚みが、スリーブ3の熱可塑性樹脂の径方向における厚みよりも厚く構成されていることから、ソケット1の外周面1b(EF継手20の外周面)が溶融してしまうことは防止されている。加えて、ヒータが薄膜状に形成されているので、溶融部分が平面状に均一に拡大し、各部材を確実に融着できる状態となるまでの総エネルギー量を、従来のEF継手を用いた場合と比較して低減することができる。なお、従来のEF継手はニクロム線(コイル)が周方向に巻回された構成であり、溶融部分が各コイルを中心として同心円状に溶融が進み拡大していくことで各部材を融着できる状態となるため、確実に融着するまでには比較的多くのエネルギー量が必要となる。
なお、上記のように各部材が溶融する際には、各部材が溶融することで上記スリット8やテーパ面7により形成される隙間(図4、図7(c)参照)も融着する。
したがって、EF継手20とチューブ4とは確実に接合され、チューブ4同士を良好に接続することができ、当該チューブ4の内部を流通する流体が漏れ出てしまうことを確実に防止することができる。
よって、本願のEF継手20によれば、EF継手20に挿入されたチューブ4の確実な接続を実現しつつ、EF継手20の製造コストの低減を実現することができる。
【0030】
ここで、2本のチューブ4を融着し接続(接合)する際に、EF継手として、薄膜状のエッチングヒータ(ヒータ2)を用いた本実施形態のEF継手20(本願に係る実施例)と、ニクロム線(コイル)が周方向に巻回されたヒータを熱可塑性樹脂に埋設した、従来のEF継手(比較例)とを用いた場合について、それぞれ必要なエネルギー量を調べた。ただし、本発明は、実施例に限定されるものではない。
【0031】
〔実施例〕
具体的には、実施例として、本実施形態のEF継手20にチューブ4を挿入し、通常のエネルギー量(約480W)よりも比較的少ないエネルギー量(約150W)でエッチングヒータに通電を行った。通電は、ソケット1の径方向に貫通して設けられた貫通孔(図示せず)から外周面1bに出てくる、溶融した熱可塑性樹脂をインジケータとして、このインジケータが出るまでの時間(約23s間)行った。なお、インジケータが出た時点で、後述するようにEF継手20とチューブ4との融着は確実なものとなっている。
結果、表1に示すように、エネルギー量を150W、通電時間を23sとして、EF継手20により2本のチューブ4を融着し接続(接合)した際の総エネルギー量は、3.5kJであった。なお、総エネルギー量(kJ)は、エネルギー量(W)×通電時間(s)にて算出した。
【0032】
〔比較例〕
また、比較例としてのEF継手にチューブ4を挿入し、通常のエネルギー量(約480W)でニクロム線(コイル)に通電を行った。上記と同様に、インジケータが当該EF継手の外周面に出てくるまでの時間(約18s間)行った。
結果、表1に示すように、エネルギー量を480W、通電時間を18sとして、EF継手により2本のチューブ4を融着し接続(接合)した際の総エネルギー量は、8.6kJであった。
【0033】
【表1】

【0034】
2本のチューブ4がそれぞれ融着して確実に接合されたか否かは、上記通電が終了したそれぞれのEF継手を冷却後、以下に示す、(a)融着面強度確認、(b)耐圧強度確認、(c)融着界面観察を行うことにより確認した。その結果、実施例、比較例ともに、確実に融着できていることが判った。
(a)の融着面強度確認は、EF継手とチューブとが融着し接続(接合)された状態で、当該EF継手とチューブとに軸心方向に荷重をかけて両者を分離し、当該分離が各部材の材料破壊により生じたものであるか否かを確認する。当該分離が材料破壊により生じたものであれば、融着面の融着強度は十分であるといえる。
(b)の耐圧強度確認は、EF継手とチューブとが融着し接続(接合)された状態で、EF継手とチューブの内部に水圧をかけて破裂させ、破裂箇所が融着面か否かを確認する。当該破裂箇所が融着面に存在しなければ、融着面の融着強度は十分であるといえる。
(c)の融着界面観察は、EF継手とチューブとが融着し接続(接合)された状態で、当該EF継手の軸心方向で切断して断面を観察し、EF継手とチューブとが確実に融着されているか否かを確認する。当該融着されている部分が、EF継手及びチューブにまで十分に到達していれば、融着面の融着強度は十分であるといえる。
【0035】
上記表1の結果は、十分な融着強度で2本のチューブ4を融着し接続するために、比較例のEF継手では、上記本願に係る実施例のEF継手20よりも比較的大きな総エネルギー量が必要であることを示している。
具体的には、本願に係るエッチングヒータ(ヒータ2)を用いたEF継手20では(実施例)、ヒータ2が薄膜状(平面状)に形成されているので、熱可塑性樹脂の溶融がヒータ2の発熱体2aから平面状に均一に進み、各部材(ソケット1、ヒータ2、スリーブ3、チューブ4)が発熱体2aを囲んで溶融した概略楕円形状部分が形成され、各部材が確実に融着される(図7(c)参照)。すなわち、各部材を確実に融着できる程度の状態とするための概略楕円形状部分を形成するまでに、必要最小限のエネルギー量で各部材を融着することができる。このため、本願に係るEF継手20では、後述する比較例の場合と比較して、融着に必要な総エネルギー量が少なくて済んでいる。
【0036】
一方、ニクロム線(コイル)が周方向に巻回された従来のEF継手の場合では(比較例)、チューブを接続した状態(EF継手とチューブとが融着している状態)で軸心方向の断面(本願の図7に相当する断面)を分析したところ、上記実施形態と同様に、各部材(EF継手とチューブ)が複数のコイルを囲んで溶融した概略楕円形状部分が形成され、各部材が確実に融着されていた。しかしながら、この概略楕円形状部分は、各コイルが熱可塑性樹脂を溶融する際に各コイルを中心として同心円状に溶融が進み、この同心円状の溶融部分が複数のコイルにより複数形成され、拡大していくことで形成されている。したがって、当該比較例の概略楕円形状部分は、上記実施例のように溶融部分が平面状に均一に拡大することで形成されるものではないため、上記インジケータにより確実に各部材を融着したと判断できる状態となるまでには、比較的多くのエネルギー量が必要となる。
したがって、比較例では、実施例の場合と比して各部材を確実に融着するための総エネルギー量が増大しているものである。
また、比較例において、上記インジケータにより各部材を確実に融着したと判断できる状態となる概略楕円形状部分を形成するまでに、各コイルの周囲に同心円状に形成された比較的コイルに近い中心部付近では、円形の白く変色した溶融部分が形成されることが判明した。これは、中心部付近においては過剰にエネルギーが付与され、熱可塑性樹脂が劣化していることを示している。なお、上記実施例では、上記インジケータにより確実に各部材を融着したと判断できる状態となる概略楕円形状部分が形成された状態でも、比較例のような白く変色した溶融部分は発生していない。
よって、本願の薄膜状のエッチングヒータ(ヒータ2)を採用したEF継手20を用いて、チューブ4を接続した場合には、各部材を融着するための総エネルギー量を良好に低減できることが判明した。
【0037】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、スリーブ3の外径を調節する外径調節手段としてのスリット8は、当該スリーブ3の軸心方向にわたって内周面3aと外周面3bとを貫通し、スリーブ3の軸心方向に平行で、かつスリーブ3の径方向断面においてスリーブ3の中心に向かうように形成されたが、スリーブ3の外径を調節することができる構成であれば上記形状に限定されるものではなく、図8に示すように、スリーブ3の軸心方向にわたって内周面3aと外周面3bとを貫通し、スリーブ3の軸心方向に平行で、かつスリーブ3の径方向断面においてスリーブ3の外径から中心に向かう直線に対し所定の角度傾いた状態のスリット8として形成することもできる。
また、上記と同様に、図9に示すように、スリーブ3の軸心方向にわたって内周面3aと外周面3bとを貫通し、スリーブ3の軸心方向に対し蛇行し、かつスリーブの径方向断面においてスリーブ3の中心に向かうスリット8として形成することもできる。
さらに、外径調節手段としては、スリーブ3の外径を良好に調整できる手段であれば、特に制限されない。例えば、エラストマー等の弾性部材によりスリーブ3を構成することでも、外径を調整可能にすることができる。
【0038】
(2)上記実施形態では、EF継手20の両端に2つのチューブ4を接続する例を示したが、これに限らず、EF継手20の一端側を上記実施形態と同様にチューブ4(第1管状体の一例)を接合可能に設け、他端側を給湯器等のねじ部や金属製のニップル等(第2管状体の一例)と螺合可能若しくは接続可能に設けることもできる。
【0039】
(3)上記実施形態では、チューブ4として全てが熱可塑性樹脂からなるチューブを用いたが、これに限らずホース等、少なくとも外周面が熱可塑性樹脂で形成されるものであれば、EF継手20により良好に接合することが可能である。
【0040】
(4)上記実施形態では、ソケット1として全てが熱可塑性樹脂からなるソケットを用いたが、これに限らず、少なくとも内周面が熱可塑性樹脂で形成されるソケットであれば、EF継手20に良好に用いることができる。
【0041】
(5)上記実施形態では、薄膜状のヒータ2としてフィルムコートしたヒータを用いたが、ソケット1とスリーブ3との間に容易に設けることができる構成であれば、特に制限されず、フィルムコートしないヒータを用いることもできる。
【0042】
(6)ソケット1とスリーブ3とチューブ4とは同一の熱可塑性樹脂に限らず、異なる種類の熱可塑性樹脂を用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に係るEF継手は、挿入された管状体の確実な接続を実現しつつ、製造コストの低減を実現し得る技術として有効に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本願に係るEF継手とチューブの分解斜視図
【図2】本願に係るヒータの平面図
【図3】チューブがEF継手に挿入される前の状態でのEF継手の縦断面図
【図4】チューブが所定位置までEF継手に挿入された状態でのEF継手の縦断面図
【図5】図3におけるV−V断面図
【図6】図4におけるVI−VI断面図
【図7】(a)EF継手にチューブを挿入する前の状態示す部分縦断面図、(b)EF継手にチューブを挿入した後の状態示す部分縦断面図、(c)ヒータにより加熱した後のEF継手の状態示す部分縦断面図
【図8】本願の別実施形態に係るスリーブのスリットを示す平断面図
【図9】本願の別実施形態に係るスリーブのスリットを示す斜視図
【符号の説明】
【0045】
1: ソケット(第1筒状体)
1a:ソケットの内周面
1b:ソケットの外周面
2: ヒータ
3: スリーブ(第2筒状体)
3a:スリーブの内周面
3b:スリーブの外周面
4: チューブ(第1管状体、第2管状体)
4a:チューブの内周面
4b:チューブの外周面
5: 拡径部
6: 両端部
7: テーパ面
8: スリット(外径調節手段)
20:エレクトロフュージョン継手(EF継手)
S: 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも外周面を熱可塑性樹脂で形成した第1管状体を、第2管状体と接続するエレクトロフュージョン継手であって、
少なくとも内周面が熱可塑性樹脂で形成され、内周面に両端部の内径よりも大きな内径を有する拡径部を備える第1筒状体と、
熱可塑性樹脂からなり、前記拡径部に装着されるとともに、内周面において少なくとも前記第1管状体の外周面と接合可能な第2筒状体と、
前記第1筒状体の内周面と前記第2筒状体の外周面との間に設けられる薄膜状のヒータとを備え、
前記第2筒状体の外径を前記第1筒状体の両端部の内径よりも大きく構成し、
前記第2筒状体に、その外径の寸法を調節し、当該第2筒状体を前記第1筒状体に挿入可能とする外径調節手段を設けたエレクトロフュージョン継手。
【請求項2】
前記外径調節手段は、前記第2筒状体の外周面に軸心方向の全部にわたって設けられたスリットである請求項1に記載のエレクトロフュージョン継手。
【請求項3】
前記第2筒状体の内径を、前記第1管状体の外径以下に形成する請求項1又は2に記載のエレクトロフュージョン継手。
【請求項4】
前記第2筒状体の内周面に、少なくとも一方の端部に向かって内径が拡径するテーパ面を設けた請求項1から3の何れか一項に記載のエレクトロフュージョン継手。
【請求項5】
前記第1筒状体の拡径部における径方向の厚みが、前記第2筒状体の径方向の厚みよりも厚く形成されている請求項1から4の何れか一項に記載のエレクトロフュージョン継手。
【請求項6】
前記第1筒状体の内周面と前記第2筒状体とが、同一の熱可塑性樹脂からなる請求項1から5の何れか一項に記載のエレクトロフュージョン継手。
【請求項7】
前記薄膜状のヒータがフィルムコートされてなる請求項1から6の何れか一項に記載のエレクトロフュージョン継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−270684(P2009−270684A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−123870(P2008−123870)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(000145471)株式会社十川ゴム (28)
【Fターム(参考)】